JP2548741Y2 - ヘリカル炉 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ヘリカル炉に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、従来のヘリカル炉は、図５及び
図６に示される如く、斜め方向に延びる管１を並設する
と共に該管１の間をフィン２によって接続してなる炉壁
本体３を備え、該炉壁本体３の長手方向（図の例では上
下方向）における一端側（図の例では上側）に加熱用の
バーナ等の熱源４が設けられている。

【０００３】前記ヘリカル炉の場合、炉壁本体３の熱源
４に近い側は高収熱部となり、又、熱源４から遠い側は
低収熱部となる。

【０００４】高収熱部においては管１内に水等の冷却媒
体を流し、管１一本当りの重量流量（ｋｇ／ｍ²・ｈ）
を増加させ、炉壁本体３を効率よく冷却する必要があ
り、このため、管１の炉壁本体３長手方向に対する傾斜
角度αは、高収熱部に合わせて設定されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
如く管１の炉壁本体３長手方向に対する傾斜角度αを高
収熱部に合わせて設定するのでは、高収熱部に比べ冷却
条件のさほど厳しくない低収熱部においても、管１内に
たくさんの冷却媒体が流れて管１一本当りの重量流量が
増加する形となり、全体の圧力損失が大きくなって、冷
却媒体を循環させるためのポンプの動力が増大し、効率
が低下するという問題を有していた。

【０００６】本考案は、斯かる実情に鑑み、炉壁本体の
長手方向における収熱率の変化に応じて管内を流れる冷
却媒体の管一本当りの重量流量を変化せしめ、全体の圧
力損失を抑制して冷却媒体循環用のポンプ動力の削減を
図り、効率向上を図り得るヘリカル炉を提供しようとす
るものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案は、斜め上方に延
びる管を並設すると共に該管の間をフィンによって接続
してなる炉壁本体を備え、該炉壁本体の長手方向一端側
に加熱用の熱源が設けられたヘリカル炉において、前記
炉壁本体の長手方向熱源側に形成される高収熱部の管を
前記炉壁本体長手方向に対して所要の傾斜角度で傾斜配
置すると共に、前記炉壁本体の長手方向反熱源側に形成
される低収熱部の管を前記高収熱部の管の炉壁本体長手
方向に対する傾斜角度より小さい傾斜角度で傾斜配置し
たことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】従って、低収熱部の管の炉壁本体長手方向に対
する傾斜角度が高収熱部の管の炉壁本体長手方向に対す
る傾斜角度より小さいことから、冷却媒体が炉壁本体の
長手方向に所要の距離だけ移動する際に通過することの
できる管の本数が、高収熱部より低収熱部の方が多くな
ると共に、その際における冷却媒体の管内での実質的な
移動距離が、高収熱部より低収熱部の方が短くなるた
め、低収熱部における管一本当りの重量流量は、高収熱
部における管一本当りの重量流量より少なくなる。

【０００９】

【実施例】以下、図面に基づいて本考案の実施例を説明
する。

【００１０】図１及び図２は本考案の一実施例であり、
炉壁本体３の長手方向反熱源４側に形成される低収熱部
の管１の前記炉壁本体３長手方向に対する傾斜角度β
を、前記炉壁本体３の長手方向熱源４側に形成される高
収熱部の管１の前記炉壁本体３長手方向に対する傾斜角
度αより小さくする。

【００１１】本実施例の場合、低収熱部から高収熱部へ
の境界部には、低収熱部における二本の管１と高収熱部
における一本の管１とを接続する継手管５を設けてあ
る。

【００１２】前述の如く構成したので、低収熱部の管１
の前記炉壁本体３長手方向に対する傾斜角度βが高収熱
部の管１の前記炉壁本体３長手方向に対する傾斜角度α
より小さいことから、冷却媒体が炉壁本体３の長手方向
に所要の距離だけ移動する際に通過することのできる管
１の本数が、高収熱部より低収熱部の方が多くなると共
に、その際における冷却媒体の管１内での実質的な移動
距離が、高収熱部より低収熱部の方が短くなるため、低
収熱部における管１一本当りの重量流量は、高収熱部に
おける管１一本当りの重量流量より少なくなる。

【００１３】この結果、全体の圧力損失が小さくなっ
て、冷却媒体を循環させるためのポンプの動力も小さく
て済み、効率がよくなる。

【００１４】尚、上記実施例において、継手管５を、低
収熱部における二本の管１と高収熱部における一本の管
１とを接続するものとする代りに、例えば、低収熱部に
おける三本の管１と高収熱部における一本の管１とを接
続するものとしてもよいことは言うまでもない。

【００１５】図３及び図４は本考案の他の実施例であ
り、図１及び図２に示す実施例と同様、炉壁本体３の長
手方向反熱源４側に形成される低収熱部の管１の前記炉
壁本体３長手方向に対する傾斜角度βを、前記炉壁本体
３の長手方向熱源４側に形成される高収熱部の管１の前
記炉壁本体３長手方向に対する傾斜角度αより小さくす
る一方、低収熱部の高収熱部に対する境界部に炉壁本体
３の外面側に屈曲する継手管６を設けると共に、高収熱
部の低収熱部に対する境界部に炉壁本体３の外面側に屈
曲する継手管７を設け、前記継手管６，７の間に、図示
していないヘッダを介在せしめ、低収熱部における管１
内を流れてきた冷却媒体を継手管６から一旦前記ヘッダ
に導入した後、前記継手管７を介して高収熱部における
管１内へ導くように構成したものである。

【００１６】図３及び図４に示す実施例においても、低
収熱部の管１の前記炉壁本体３長手方向に対する傾斜角
度βが高収熱部の管１の前記炉壁本体３長手方向に対す
る傾斜角度αより小さいことから、冷却媒体が炉壁本体
３の長手方向に所要の距離だけ移動する際に通過するこ
とのできる管１の本数が、高収熱部より低収熱部の方が
多くなると共に、その際における冷却媒体の管１内での
実質的な移動距離が、高収熱部より低収熱部の方が短く
なるため、低収熱部における管１一本当りの重量流量
は、高収熱部における管１一本当りの重量流量より少な
くなり、この結果、全体の圧力損失が小さくなって、冷
却媒体を循環させるためのポンプの動力も小さくて済
み、効率がよくなる。

【００１７】尚、本考案のヘリカル炉は、上述の実施例
にのみ限定されるものではなく、高収熱部と低収熱部を
夫々複数段に分割し、高収熱部側から低収熱部側へ向け
順次管の炉壁本体長手方向に対する傾斜角度を小さくし
ていくようにしてもよいこと等、その他、本考案の要旨
を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは
勿論である。

【００１８】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のヘリカル
炉によれば、炉壁本体の長手方向における収熱率の変化
に応じて管内を流れる冷却媒体の管一本当りの重量流量
を変化せしめることができ、全体の圧力損失を抑制して
冷却媒体循環用のポンプ動力の削減が可能となり、効率
向上を図り得るという優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の側面図である。

【図２】図１のＩＩ部、即ち低収熱部から高収熱部への
境界部における継手管形状を表わす斜視図である。

【図３】本考案の他の実施例の側面図である。

【図４】図３のＩＶ部、即ち低収熱部と高収熱部との境
界部における継手管形状を表わす斜視図である。

【図５】従来例の全体斜視図である。

【図６】従来例の側面図である。

【符号の説明】

１ 管 ２ フィン ３ 炉壁本体 ４ 熱源 α 傾斜角度 β 傾斜角

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 斜め上方に延びる管を並設すると共に該
   管の間をフィンによって接続してなる炉壁本体を備え、
   該炉壁本体の長手方向一端側に加熱用の熱源が設けられ
   たヘリカル炉において、前記炉壁本体の長手方向熱源側
   に形成される高収熱部の管を前記炉壁本体長手方向に対
   して所要の傾斜角度で傾斜配置すると共に、前記炉壁本
   体の長手方向反熱源側に形成される低収熱部の管を前記
   高収熱部の管の炉壁本体長手方向に対する傾斜角度より
   小さい傾斜角度で傾斜配置したことを特徴とするヘリカ
   ル炉。