JP2547777Y2 - 印鑑付筆記具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業状の利用分野】本考案は、無数の連続気孔を有す
る多孔性印材よりなる印字体を使用した印鑑を搭載し
た、所謂印鑑付筆記具の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、インクを吸蔵できるようにスポン
ジゴム等の無数の連続気孔を有した多孔性印材より形成
された印字体を使用して、使用のたびに朱肉等に付着さ
せる必要のない印鑑を軸の後端に装着した印鑑付筆記具
が知られている。然しながら、この種の印鑑付筆記具は
印鑑の印字面が露出していると印字面にキズをつけたり
ゴミが付着したり、インクが乾いてしまう等の問題が発
生する為に、キャップで印字面を被覆するようになって
おり、その為にキャップを着脱するのが面倒なだけでな
くキャップをなくしてしまう等の問題や着脱に際して誤
って手を汚すなどの問題がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする問題点】本考案は上記のよう
な問題を解決し、且つ複数の筆記体を収納した多機能で
便利な印鑑付筆記具を提供せんとするものである。

【０００４】

【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに案出された本考案の印鑑付筆記具は、その後端部内
孔に印鑑を収納して開口部を遮蔽する蓋部をキャップ後
端部の基部に回動自在に取付けると共にキャップを軸後
方部外周に軸推移可能に被嵌して、キャップを軸の先方
に推移させた時、蓋部の内側面が印鑑の角部に接触しな
がら拡開して印字体が開口部より露出して捺印可能とな
るように構成すると共に、シャープペンシル筆記体、ボ
ールペン筆記体、消しゴム繰出し体の３本の筆記体及び
繰出し体を搭載して軸の先方部に対てキャップを回動す
ることにより選択して筆記体又は繰出し体の先端部位を
軸先から突出可能としたことである。

【０００５】

【実施例】図１乃至図６は本考案の実施例を示してい
る。先ず、図１及び図２に示す様に印鑑５はインクを吸
蔵できる様にスポンジゴム等の無数の連続通気孔を有し
た多孔性印材より形成された印字体６とインクを貯蔵し
て印字体６にインクを供給するインク吸蔵体をカバーで
（図示せず）脚部７に固着して構成され、後軸１の後端
内孔の軸部２９に着脱可能に嵌着されている。キャップ
４の後端で開口部２１近傍の外周部に設けた基部１０に
キャップ４と蓋部８との相互間にスプリング１１を附勢
して蓋部８を回動自在に取付けると共に、蓋部８は常時
開口部２１を遮蔽する様に構成されている。又、基部１
０にはクリップ２５が固着されている。又、キャップ４
は後軸１の外周部に軸推移可能に被嵌されるが、後軸１
の外周部には２箇所の係止溝１９、２０が形成され、そ
れと対向してキャップ４の基部１０には前端に突状の係
止部１４と後端に釦１３を有したロック装置１２が中間
の止着部２３でピン等を介して適宜回動するように取付
けられている。又、ロック装置１２はキャップ４に設け
た窓部（図示せず）に嵌装しており、ロック装置１２の
釦１３はクリップ２５に穿設された窓部２８から適宜突
出して、後軸１の周面と釦１３の下部との間にはスプリ
ング２４が附勢されて釦１３を押圧することにより上記
係止部１４が昇降するように構成されている。

【０００６】図１の状態では上記係止部１４が後軸１の
係止溝１９に係合している。又、キャップ４は上記ロッ
ク装置１２に解除により後軸１に対して軸推移するが回
転方向には阻止される。然しながら、回転方向の阻止を
確実にする為にキャップ４の内周部と後軸１の外周部に
は適宜に回転止め手段（図示せず）が施されている。

【０００７】ところで、本考案の印鑑付筆記具では後軸
１の内径部に先端に切欠を有したカム斜面１７が設けら
れ、後端の軸部２９の内径部に位置して孔を有したツバ
部２７が一体に形成されている。一方ガイド筒１５に形
成された３箇所のガイド溝３９内にはそれに対応して、
後端に摺動コマ１６を取付けた芯パイプ３６と芯パイプ
と接合したシャープペンシル筆記体３０、後端に摺動コ
マ１６ａを取付けた受け棒１８と受け棒１８と接合した
ボールペン筆記体３１、そして後端に摺動コマ１６ｂ
（図示せず）を取付けたパイプ３６ａとパイプと接合し
た消しゴム繰出し体３２がそれぞれリターンスプリング
３３により後方に引き込むように附勢している。又、上
記ガイド筒１５の先方部位は先軸２に着脱可能で回転方
向で一体に装着されており、ガイド筒１５の後端には上
記ツバ部２７の孔に嵌着して抜け止め係止するツバ部３
５を有した止着部２６が一体に形成されておりガイド筒
１５と後軸１は抜け止めされて回転方向には適宜範囲で
自由となっている。即ち、ツバ部２７と止着部２６の相
互間にはガイド筒１５に対してキャップ４が略２４０度
の角度範囲に回転阻止する部位（図示せず）が設けられ
ている。又、上記止着部２６の周面には周溝３４が形成
されている。ところで、周溝３４は図６に示すように巾
尋の周溝３４ａと巾狭の周溝３４ｂより成っており、上
記ツバ部２７が周溝３４ａに位置した範囲でガイド筒１
５は後軸１に対して適宜間隔で軸推移可能となり、周溝
３４ｂに位置した範囲で軸推移が阻止されるように成っ
ている。又、ガイド筒１５と後軸１の抜け止めはガイド
筒１５の先方外周部にリング状突部を、後軸１先方の内
周部にリング状の溝部を設けて相互の弾性変形により抜
け止めさせるようにも構成できる。

【０００８】又、先軸２に対して後軸１即ち、回転止め
したキャップ４を回動させることによってシャープペン
シル筆記体３０、ボールペン筆記体３１、消しゴム繰出
し体３２の先端部が先軸の先端孔３より交互に出没する
ように構成されている。シャープペンシル筆記体３０は
通常この種の複式筆記具に使用される構造と同形のもの
であり、又、消しゴム繰出し体３２はシャープペンシル
筆記体と同様の先方部位に消しゴム３７を取付けてシャ
ープペンシルと同じように芯を繰り出せるようになって
いる。

【０００９】

【作用】本考案の印鑑付筆記具は以上のように構成され
ており、未使用時には図３に示す様に蓋部８で印字体６
が被覆状態になっている。捺印時にはロック装置１２の
釦１３を押圧した状態でキャップ４を先方に軸推移する
と止着部９を支点にして蓋部８の内側面が印字体６を避
けた印鑑５の角部２２を接触しながら拡開して印字体６
がキャップの開口部２１から露出する。その時、ロック
装置１２の係止部１４は係止溝１９から離脱して係止溝
２０に係合する。この状態でキャップ４を掴んで捺印し
てもキャップ４が後軸１に対して軸推移しないよう阻止
している。

【００１０】再び印字体６を収納する場合には、釦１３
を押圧した状態でキャップ４を後軸１に対して後方に軸
推移させれば良いが、係止溝の形状を釦１３の押圧をし
ないで、捺印に耐える適度な力で係合状態が解除される
ようにも構成できる。又、印鑑５を収納した状態に於い
ては釦１３を押圧した時のみ係止部１４と係止溝１９の
係合が解除されるのが望ましい。

【００１１】又、筆記体の使用について説明すると、図
１はシャープペンシルの使用状態を示しており、先軸２
に対してキャップ４の後端部即ち蓋部８をノックすると
順次芯が繰り出される。その時、摺動コマ１６の後端は
上記後軸のカム斜面１７の先端切欠に係合して位置決め
され、後軸１のツバ部２７はガイド筒１５の周溝３４に
対して図６に示す周溝３４ａのＡの位置にありノックス
トロークＳでキャップ４は先軸２に対して軸推移する。
先軸２に対してキャップ４を略１２０°回動させるとシ
ャープペンシル筆記体３０が先軸２内に没入して先端孔
３から消しゴム繰出し体３２の先端部位が突出して消し
ゴム３７の使用状態となる。その時上記ツバ部２７はＢ
の位置にある。又更に、略１２０°キャップ４を回動す
るとボールペン筆記体３１の先端部位が先端孔３から突
出する。その時ツバ部２７は周溝３４の斜面４０を滑り
Ｃの位置にあり、キャップ４は先軸２に対して軸推移不
可となっている。

【００１２】

【考案の効果】本考案の印鑑付筆記具の構成及び作用は
以上の如くであり、従来のキャップで印字面を被覆した
物のように、捺印の度にキャップを着脱して紛失してし
まう心配も無く又、キャップの着脱の際に誤って手を汚
してしまう等の問題も無く使用でき、且つ、非使用時に
は印字面が蓋部により被覆されているので、キズをつけ
たり、ゴミが付着したりインクが乾いてしまう等の問題
もなく、シャープペンシル、消しゴム、ボールペンなど
多種の筆記体を選択的に使用できるので極めて使い勝手
の良い印鑑付筆記具が提供可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す縦断面図で、印鑑を収納
し且つ、シャープペンシルの使用状態を示している。

【図２】本考案の実施例で、ボールペン筆記体の使用状
態を示す縦断面図である。

【図３】本考案の実施例で、印鑑及び筆記体を収納した
状態の外観を示した上面図である。

【図４】本考案の実施例で、捺印状態を示した正面図で
ある。

【図５】本考案に使用されるガイド筒のガイド溝部に於
ける断面図である。

【図６】本考案の後軸のツバ部とガイド筒の周溝との位
置関係を示した説明図である。

【符号の説明】

１ 後軸 ２ 先軸 ３ 先端孔 ４ キャップ ５ 印鑑 ６ 印字体 ７ 脚部 ８ 蓋部 ９ 止着部 １０ 基部 １１ スプリング １２ ロック装置 １３ 釦 １４ 係止部 １５ ガイド筒 １６ 摺動コマ １６ａ 摺動コマ １７ カム斜面 １８ 受け棒 １９ 係止溝 ２０ 係止溝 ２１ 開口部 ２２ 角部 ２３ 止着部 ２４ スプリング ２５ クリップ ２６ 止着部 ２７ ツバ部 ２８ 窓部 ２９ 軸部 ３０ シャープペンシル筆記体 ３１ ボールペン筆記体 ３２ 消しゴム繰出し体 ３３ リターンスプリング ３４ 周溝 ３４ａ 周溝 ３４ｂ 周溝 ３５ ツバ部 ３６ 芯パイプ ３６ａ パイプ ３７ 消しゴム ３８ 接合部 ３９ ガイド溝 ３９ａ ガイド溝 ３９ｂ ガイド溝 ３９ｃ ガイド溝

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項】 先方部に筆記体を備え、後方部に印鑑を装
   着した所謂印鑑付筆記具に於いて、後軸１の後端部に印
   鑑５を収納して、開口部２１を常時遮蔽する蓋部８をキ
   ャップ４後端部の基部１０にキャップ４と蓋部８との相
   互間にスプリング１１を附勢して回動自在に取付けると
   共に、上記キャップ４を後軸１外周に軸推移のみ可能に
   被嵌して、相互間に軸推移を阻止するロック装置を設け
   て、ロック装置を解除した状態でキャップ４を先方に推
   移させた時、上記蓋部８の内側面が印字体６を避けた印
   鑑の角部２２に接触しながら拡開して印字体６が開口部
   ２１より露出して軸推移が阻止され、捺印可能となる様
   に構成され上記後軸１の内孔部にカム斜面１７が設けら
   れ、３箇所のガイド溝３９を有して先方に接合部３８を
   備えたガイド筒１５の上記ガイド溝３９にシャープペン
   シル筆記体３０、ボールペン筆記体３１、消しゴム繰出
   し体３２を軸推移自在に嵌装して、夫々の筆記体及び繰
   出し体の後端に摺動コマを固着すると共に上記後軸１の
   内孔部に位置してガイド筒１５は後軸１に対して抜け止
   めされ、且つ回転可能に構成されて上記接合部３８には
   先軸２が固定されて先軸２に対してキャップ４を回動し
   たとき、摺動コマがカム斜面１７に案内されて交互に摺
   動して先軸２の先端孔３から夫々の筆記体又は繰出し体
   の先端部位が突出するように構成し、シャープペンシル
   筆記体３１、消しゴム繰出し体３２が突出したときに、
   後軸１と共にキャップ４が先軸２に対して軸推移可能と
   なり芯又は消しゴムが繰り出され、ボールペン筆記体３
   １が突出したときに、後軸１と共にキャップ４の軸推移
   が阻止されるように構成したことを特徴とする印鑑付筆
   記具。