JP2543206B2 - スクロ―ル圧縮機 - Google Patents

スクロ―ル圧縮機

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JP2543206B2
JP2543206B2 JP1287015A JP28701589A JP2543206B2 JP 2543206 B2 JP2543206 B2 JP 2543206B2 JP 1287015 A JP1287015 A JP 1287015A JP 28701589 A JP28701589 A JP 28701589A JP 2543206 B2 JP2543206 B2 JP 2543206B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、冷凍空調用等の冷媒圧縮機あるいは空気圧
縮機として用いられるスクロール式の電動圧縮機に関す
るものである。
従来の技術 従来、この種の圧縮機は、第6図および第7図に示す
ように、密閉容器101の内部に圧縮機構102を駆動する電
動機103の固定子104が固定され、この電動機103の回転
子105に圧縮機構102を駆動するクランク軸106が結合さ
れ、密閉容器101の下部が潤滑油溜107となっている。圧
縮機構102は、固定枠体108に固定渦巻羽根109を一体に
形成した固定渦巻羽根部材110と、この固定渦巻羽根109
と噛み合って複数個の圧縮作業空間114を形成する旋回
渦巻羽根111を旋回鏡板112の上に形成した旋回渦巻羽根
部材113と、この旋回渦巻羽根部材113の自転を防止して
旋回のみをさせる自転拘束部材115とを有し、この旋回
鏡板112の旋回渦巻羽根111とは反対側に設けた旋回駆動
軸116は、クランク軸106の一端に形成した主軸117の内
方に設けられた偏心軸受118に嵌入され、このクランク
軸106はその主軸117を支承する主軸受119を有する主軸
受部材120と、主軸とは反対側のクランク軸106の端部を
支承するすべり形の上部軸受121を有する上部軸受部材1
22で支持されている。前記主軸受部材120に固定された
スラスト軸受123は旋回鏡板112を軸方向に支承する。圧
縮機の吸入管124から吸入した冷媒気体は、圧縮機構102
の吸入口125から圧縮機構102に入り、圧縮作業空間114
で圧縮され、吐出口126から吐出室127を経て吐出常128
を通り圧縮機の外に吐出される(特開平1−177482号公
報)。
発明が解決しようとする課題 上に述べた従来例の圧縮機は、クランク軸106を両端
で支持して回転子105を保持する構造にしているため、
主軸受119にはほとんどモーメントがかからず、さら
に、クランク軸106を曲げようとするモーメントも小さ
く、信頼性が向上できる。しかし、組立ての際に、クラ
ンク軸106の回転軸にこじれ等が生じやすく、振動や軸
受破損が発生する原因となることがあった。さらに、上
部軸受121は油潤滑不足になりがちで、すべり形の軸受
では破損をきたす恐れがある。また、上記問題解決のた
めの方策として、第7図の構成が考えられている。同図
はクランク軸201の主軸202とは反対側の端部を転がり形
の副軸受203で支承したものである。転がり形の軸受
は、すべり形の軸受けに比ベラジアル荷重とアキシアル
荷重とを同時に受けることができる、さらに、少量の潤
滑油でも潤滑が可能であることから、組立精度や油潤滑
に柔軟性をもたせることができる(特開平1−170779号
公報、特開昭58−172485号公報、特開昭62−253982号公
報など)。
しかし、転がり形の軸受は、振動、異音を発生すると
いう大きな問題があった。上記問題点に鑑み、本発明の
目的は、振動、騒音特性の改善を図り、さらには信頼性
と性能の向上を図るものである。
課題を解決するための手段 上記目的を達成するため、本発明は、第1の手段とし
て、密閉容器の内部の上部に固定子および回転子を有す
る電動機とその下部にこの電動機で駆動する圧縮機構を
配設し、圧縮機構を、固定枠体に固定渦巻羽根を形成し
た固定渦巻羽根部材と、固定渦巻羽根と噛み合って複数
個の作業空間を形成する旋回渦巻羽根を旋回鏡板の上に
形成した旋回渦巻羽根部材と、この旋回渦巻羽根部材の
自転を防止して旋回のみをさせる自転拘束部材と、回転
子と結合して旋回渦巻羽根部材を旋回駆動させるクラン
ク軸とを有し、クランク軸の旋回渦巻羽根部材と係合す
る側に形成した主軸は、密閉容器内に固定されている、
主軸受を有する主軸受部材により支承され、回転子を挟
んで主軸の反対側にあたるクランク軸の端部は、その端
部に係合する保持部材が密閉容器内に固定された転がり
形の上部軸受の内輪端面で支持される台座部材に吊り下
げ保持される状態で支承されている構成にしたものであ
る。また、第2の手段として、本発明は、上記第1の手
段に加えて、前記電動機の前記回転子のセンターを前記
固定子のセンターより上方にずらした構成にしたもので
ある。また、第3の手段として、本発明は、上記第1、
第2の手段に加えて、クランク軸を軸方向に弾性力を付
勢する弾性部材を介して、転がり軸受の内輪端面で支持
される台座部材に、保持部材により吊り下げ保持する構
成にしたものである。
また、第4の手段として、本発明は、上記第1、第
2、第3の手段に加えて、クランク軸の主軸とは反対側
の端部に固定部材により弾性部材に初期変形を与えて配
設固定し、前記弾性部材を介して、前記クランク軸を転
がり軸受の内輪端面に吊り下げ保持した構成にしたもの
である。
作用 上記手段による作用は、以下のとおりである。本発明
は、第1の手段により、転がり形の副軸受の内輪にクラ
ンク軸系の自重が、台座部材を介して予圧として作用す
るため、軸系の振動および共振による転がり軸受から発
生する異音等を防止できる。また、クランク軸の軸方向
力を転がり形の内輪で支承する構造となるので、動力損
失の低減もできる。さらに、本発明は、第2の手段によ
り、第1の手段による作用に加えて、電動機の回転子と
固定子とのマグネットセンターをずらすことによりクラ
ンク軸系の自重のみならず、磁気吸引力も転がり軸受の
内輪に、予圧として作用させることができるので副軸受
から発生する異音等の防止効果をさらに高める。また、
本発明は、第3の手段により、第1、第2の手段による
作用に加えて、弾性部材を介することにより、落下、輸
送に伴いクランク軸が転がり軸受内輪へ及ぼす衝撃力を
緩和することができるので、転がり軸受の保護効果が得
られる。さらに、本発明は、第4の手段により、第1、
第2、第3の手段に加えて、予め弾性部材を変形させ
て、クランク軸系により、転がり軸受内輪に作用する力
以上の弾性力をもたすことにより通常運転では弾性部材
は弾性体として作用せず、その結果、運転周波数と共振
を起こすことはなくなり、転がり軸受の保護効果が得ら
れると同時により振動、騒音に優れたものとなる。
実 施 例 以下、本発明の実施例のスクロール圧縮機について、
図面を参照しながら説明する。まず、第1図により、本
発明の第1の実施例について説明する。同図において、
密閉容器1の内部に圧縮機構2を駆動する電動機3の固
定子4が固定され、この電動機3の回転子5に圧縮機構
2を駆動するクランク軸6が結合され、密閉容器1の下
部が潤滑油溜7となっている。圧縮機構2は、固定枠体
8に固定渦巻羽根9を一体に形成した固定渦巻羽根部材
10と、この固定渦巻羽根9と噛み合って複数個の圧縮作
業空間14を形成する旋回渦巻羽根11を旋回鏡板12の上に
形成した旋回渦巻羽根部材13と、この旋回渦巻羽根部材
13の自転を防止して旋回のみをさせる自転拘束部材15と
を有し、この旋回鏡板12の旋回渦巻羽根11とは反対側に
設けた旋回駆動軸16は、クランク軸6の一端に形成した
主軸17の内方に設けられた偏心軸受18に嵌入され、この
クランク軸6はその主軸17を支承する主軸受19を有する
主軸受部材20と、転がり形の副軸受21を有する副軸受部
材22で支持されている。前記クランク軸6は、前記副軸
受21の内輪23端面で支持される平板(台座部材)24に止
め輪(保持部材)25により吊り下げ固定されている。ま
た、旋回鏡板12の背面から微少な間隔の隙間をおいて旋
回渦巻羽根部材13の軸方向の動きを制限する軸方向制限
板26が前記主軸受部材20に一体化され、さらに、この旋
回鏡板12の背面に、この背面とは摺動自在で背面の中心
側に吐出圧力が作用し、外周部の背圧室28にそれよりも
低い背圧圧力が作用するように仕切る環状の背圧仕切帯
27が配設されている。圧縮機の吸入管29から吸入した冷
媒気体は、圧縮機構2に入り、圧縮作業空間14で圧縮さ
れ、吐出口30から吐出室31を経て吐出管32を通り圧縮機
の外に吐出される。上記構成において、転がり軸受21の
内輪23には、クランク軸系の自重が、平板(台座部材)
24を介して予圧として作用する。その結果、軸系の振動
および共振により転がり軸受21から発生する異音等を防
止する。また、クランク軸の軸方向力を転がり形の副軸
受21の内輪23で支承する構造となるので、動力損失の低
減もできる。次に、第2図により、本発明の第2の実施
例について説明する。ここで、第1の実施例と同一のも
のについては、同一の符号を付して説明を省略する。同
図において、電動機3の回転子5のセンター5aを固定子
4のセンター4aより上方にずらして配設されている。上
記構成において、電動機3の回転子5と固定子4とのマ
グネットセンターのずれによりクランク軸系に磁気吸引
力が下方に発生する。その結果、第1の実施例に加え
て、クランク軸系の自重のみならず、磁気吸引力も転が
り軸受21の内輪23に、予圧として作用させることができ
るので、副軸受21から発生する異音等の防止効果をさら
に高める。さらに、第3図により、本発明の第3の実施
例について説明する。ここで、先の実施例と同一のもの
については、同一の符号を付して説明を省略する。同図
において、転がり軸受の内輪端面で支持される平板(台
座部材)24上に、軸方向に弾性力を付勢する弾性部材と
して波ワッシャ33と押え板34を配設し、クランク軸6
は、前記押え板34に止め輪26で吊り下げ保持され、波ワ
ッシャ(弾性部材)33を介して前記転がり軸受21の内輪
23端面にクランク軸系の自重が予圧として作用する。上
記構成において、上記第1,第2の実施例と同様に、転が
り軸受からの異音等の防止効果が得られるとともに、波
ワッシャ38の弾性により、落下、輸送に伴いクランク軸
が転がり軸受21の内輪23へ及ぼす衝撃力を緩和するの
で、転がり軸受21の保護効果が得られる。さらに、第4
図、第5図により、本発明の第4の実施例について説明
する。ここで、先の実施例と同一のものについては、同
一の符号を付して説明を省略する。第4図において、ク
ランク軸6を、前記副軸受21とのはめあい部分より上の
部分を細くした段付形状にし、その段付面35に平板(固
定部材a)36を嵌入当接させ、前記平板36と押え板(固
定部材b)37により波ワッシャ(弾性部材)33をはさみ
込み、前記波ワッシャ33に初期変形を与え、止め輪(固
定部材c)38により、前記ワッシャ33を前記クランク軸
6に固定している。前記クランク軸6は、前記平板(固
定部材a)により前記転がり軸受け21の内輪23の端面に
吊り下げ保持される。第5図に前記波ワッシャの組込み
部分の拡大図を示す。上記構成において、予め波ワッシ
ャ33を変形させて、クランク軸系による作用荷重以上の
弾性力を付与しておけば、通常運転では波ワッシャは弾
性体として作用せず、その結果、運転周波数と共振を起
こすことはなくなり、転がり軸受の保護効果が得られる
と同時により振動、騒音に優れたものとなる。なお、上
記各実施例においては、クランク軸6の吊り下げ保持す
る際、止め輪26を用いる場合として説明したが、容易に
はずれない固定具、であれば、それは特に限定されるも
のではない。また、上記第3、第4の実施例では、弾性
部材として、波ワッシャを用いたが、弾性体であれば特
に限定されるものではない。
さらに、第4の実施例において、シャフト端部を段付
形状としたが、弾性部材をクランク軸に配設固定する一
手段であり、例えば止め輪などでも構成でき、それは特
に限定されるものではない。
発明の効果 上記実施例より明らかなように本発明は、転がり形の
副軸受の内輪にクランク軸系の自重が、予圧として作用
するため、転がり軸受から発生する異音等を防止でき
る。また、クランク軸の軸方向力を転がり形の副軸受の
内輪で支承する構造となるので、動力の損失が低減でき
る。さらに、電動機の回転子と固定子とのマグネットセ
ンターをずらすことによりクランク軸系の自重のみなら
ず、磁気吸引力も転がり軸受の内輪に、予圧として作用
させることができるので、副軸受から発生する異音等の
防止効果をさらに高める。さらに、波ワッシャ等の弾性
部材を介することにより、落下、輸送に伴いクランク軸
が転がり軸受内輪へ及ぼす衝撃力を緩和することができ
るので、転がり軸受の保護効果が得られる。さらに、予
め弾性部材を変形させて、クランク軸系により、転がり
軸受内輪に作用する力以上の弾性力をもたすことによ
り、通常運転では弾性部材は弾性体として作用せず、そ
の結果、運転周波数と共振を起こすことはなくなり、よ
り振動、騒音に優れたものとなる。以上の効果により振
動、騒音特性に優れ、さらには信頼性と性能の向上を図
ったスクロール圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例を示すスクロール圧縮機
の断面図、第2図は本発明の第2の実施例を示すスクロ
ール圧縮機の部分断面図、第3図は本発明の第3の実施
例を示すスクロール圧縮機の部分断面図、第4図は本発
明の第4の実施例を示すスクロール圧縮機の部分断面
図、第5図は波ワッシャ組込み部分の拡大断面図、第6
図および第7図はそれぞれ従来のスクロール圧縮機の断
面図である。 1……密閉容器、3……電動機、4……固定子、4a……
固定子のセンター、5……回転子、5a……回転子のセン
ター、6……クランク軸、8……固定枠体、9……固定
渦巻羽根、10……固定渦巻羽根部材、11……旋回渦巻羽
根、12……旋回鏡板、13……旋回渦巻羽根部材、15……
自転拘束部材、16……旋回駆動軸、17……主軸、18……
偏心軸受、19……主軸受、20……主軸受部材、21……副
軸受(転がり軸受)、22……副軸受部材、23……転がり
軸受の内輪、24……平板(台座部材)、25……止め軸
(固定部材)、33……波ワッシャ(弾性部材)、34……
押え板、35……段付面、36……平板(固定部材a)、37
……押え板(固定部材b)、38……止め輪(固定部材
c)。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】密閉容器1の内部の上部に固定子4および
    回転子5を有する電動機3とその下部にこの電動機3で
    駆動する圧縮機構10、13を配設し、前記圧縮機構10、13
    を、固定枠体8に固定渦巻羽根9を形成した固定渦巻羽
    根部材10と、前記固定渦巻羽根9と噛み合って複数個の
    作業空間14を形成する旋回渦巻羽根11を旋回鏡板12の上
    に形成した旋回渦巻羽根部材13と、この旋回渦巻羽根部
    材13の自転を防止して旋回のみをさせる自転拘束部材15
    と、前記回転子5と結合して前記旋回渦巻羽根部材13を
    旋回駆動させるクランク軸6とを有し、前記クランク軸
    6の前記旋回渦巻羽根部材13と係合する側に形成した主
    軸17は、前記密閉容器1内に固定されている、主軸受19
    を有する主軸受部材20により支承され、前記回転子5を
    挟んで主軸17の反対側にあたる前記クランク軸6の端部
    は、その端部に係合する保持部材25が前記密閉容器1内
    に固定された転がり形の上部軸受21の内輪23端面で支持
    される台座部材24に吊り下げ保持される状態で支承され
    ているスクロール圧縮機。
  2. 【請求項2】電動機3の回転子5のセンターを固定子4
    のセンターより上方にずらした請求項1記載のスクロー
    ル圧縮嶺。
  3. 【請求項3】保持部材25と台座部材24の間に、軸方向に
    弾性力を付勢する弾性部材33を介する構成とした請求項
    1または2記載のスクロール圧縮機。
  4. 【請求項4】クランク軸6の主軸17とは反対側の端部
    に、固定部材36、37、38による初期荷重を与えた弾性部
    材33を配設固定し、前記弾性部材33を介して、前記クラ
    ンク軸6を転がり形の上部軸受21の内輪23端面に吊り下
    げ保持した請求項1または2記載のスクロール圧縮機。
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