JP2542333B2 - 高圧噴射攪拌工法における改良柱の造成状態検出方法および検出装置 - Google Patents

高圧噴射攪拌工法における改良柱の造成状態検出方法および検出装置

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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は軟弱地盤改良工法のう
ち、最近よく利用されている高圧噴射攪拌工法におい
て、施工された改良体(改良柱)が、充分に所期の設計
どおりの状態で造成されているかどうかを検出するため
の方法およびその検出に用いる装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】地盤改良工法には各種各様、極めて多岐
な工法がある。いずれも地表より下位の地盤内で、その
土の組成や性質を変えることにより、強度やその他の性
質(例えば透水性、圧縮性など)を改良するものであ
る。そのため施工中において対象土がどのように挙動
し、また施工によってどのように変化したかを直接見る
ことはきわめて困難である。すなわち多数の改良柱を造
成する場合には、その1本1本について詳細にチェック
することが困難である。そのため通常は施工後適当な時
間を経過して改良柱が硬化した時点において、例えば改
良柱の100〜200本に1本程度の割合でボーリング
を行ない、1本の改良柱について深度を変えて1個乃至
数個の試料を採取して改良柱の出来工合を調査するとい
った方法を採っているのが実状である。
【0003】このような状況であるから、施工した改良
柱の個々については到底チェック出来ないのみならず、
施工効果が多少とも明らかになるのは、実際に施工して
から相当の日数を経過した後となり、万一、施工後の効
果が不十分で、追加施工なり別種の補助工法を行う必要
が生じても、工期的にも重大な困難が生ずることにな
る。
【0004】高圧噴射攪拌工法においても、現在の段階
で施工中に確認できるものとしては、ポンプの圧力、注
入管ないしロッド(以下、注入管と総称する)の回転
数、引き上げ速度、並びに安定処理材の吐出量がその主
要なものであり、その他、工法によってジェット水流や
圧縮空気を用いる場合には、それらの圧力を記録する程
度に過ぎず、それらはいずれも施工者の手許において確
認し得る数値によって管理しているに過ぎない。
【0005】しかしながら安定処理材がロッドの先端の
ノズルから地盤内にほぼ所定の量だけ噴射注入され、ま
た注入管が所定の回転を行い、所定の速度で引き上げら
れたとしても、はたして正確に安定処理材による所定の
径の改良柱が地中に造成されているかどうかは不明であ
る。とくに高圧噴射による地盤改良工法においては、深
層混合攪拌工法のように定まった攪拌翼の回転による注
入攪拌というような機能がなく、でき上がった改良柱の
直径は、噴出される安定処理材の届く範囲、いいかえれ
ば地盤の軟弱さの程度に依存するためになおさらであ
る。
【0006】それというのも高圧噴射攪拌工法において
は、地盤改良工法のうちの他の工法、例えば深層混合攪
拌工法のように所定の大きさの攪拌翼で軟弱地盤を掘進
し、その土の組織をずたずたに切り、そこに安定処理材
を注入して攪拌するのではなく、注入管の先端部に装着
されたノズルから高圧で噴射される安定処理材およびジ
ェット水流、圧縮空気などの噴出エネルギーが注入管周
辺の軟弱地盤を切削し、これを押しのけて空隙を作り、
その空隙を安定処理材が充たすことにより、改良柱が造
成されるのである。そのため、出来た改良柱の径は、ノ
ズルから高圧で噴射される流体などによってどの範囲ま
で注入管周辺の軟弱地盤が切削され、押しのけられるか
にかかっているのであり、当然のこととして原地盤の軟
らかさ、硬さにより改良柱の径にも差を生ずることが考
えられる。例えば地盤内に非常に軟弱な地層のところ
や、やや固い地層のところが混在している場合は、同一
の速さで回転、引き上げを施工した場合でも、軟弱な地
層のところでは改良柱の径が太く出来、やや硬い地層の
ところでは細くなるというような結果になりがちであ
る。しかもそのことは地上からは的確に察知出来ないの
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来の圧入ポ
ンプ圧力、ロッドの回転数、引き上げ速度ならびに安定
処理材の吐出量、その他、ジエット水流、圧縮空気の圧
力などの管理に加えて、地中に造成された改良柱の状態
を、主としてその径をチェックすることにより、所期の
目標通りに施工出来たかどうかを、簡単に、しかも施工
の直後に検出する方法および装置を提供することを技術
課題とするものである。
【0008】すなわち本発明の方法および装置によっ
て、地中に造成された改良柱の出来が一定でなく、その
太さが所定の径よりも細いところがあるような場合に
は、施工後そのことが直ちに判るので、必要に応じてす
ぐにその対応策を講ずることが可能となり、地盤改良工
事の能率を著しく上げることにつながる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の改良柱の造成状
態検出方法は、地下の所定深度まで貫入させた注入管を
回転させながら引き上げ、その注入管の先端から高圧で
安定処理材を噴出させ、注入管周辺の軟弱な地層に安定
処理材を填充して円柱状の改良柱を造成する高圧噴射攪
拌工法における、改良柱の造成状態検出方法であって
前記注入管を引き上げるときに注入管の先端に設けた検
出器により、造成された未硬化の改良柱の比抵抗を測定
し、その測定値に基づいて改良柱の填充造成範囲を推定
ることを特徴としている。
【0010】前記改良柱の比抵抗は、たとえばウエンナ
ー氏の4極法により測定することができる。しかしシュ
ランベルジャー氏の4極法など、他の測定方法も採用し
得る。前記ウエンナー氏の4極法による測定を、電極間
の寸法が異なる複数組の電極群により行い、各電極群ご
との比抵抗値同士を比較することにより、測定している
深度の改良柱の径を、より詳しく推定するのが好まし
【0011】本発明の高圧噴射攪拌工法における改良柱
の造成状態検出装置は注入管の下端に出没自在に設け
られ、かつ外に出たときには注入管の下から適当な距
離を保って吊るされ容器および、この容器に収容さ
れて周囲の改良柱ないし土と接触する電極からなるゾン
デと、前記電極間の電圧または電流に基づき、周囲の
良柱ないし土の比抵抗を測定する測定器とを備えている
ことを特徴としている。前記電極は、所定の寸法で等間
隔に配置された4個1組の電極群とし、両端の一対の電
極を電源に連結すると共に、中央の一対の電極を電位差
計に連結した、いわゆるウエンナー氏の4極法による電
極配置か、あるいは電流電極と電位電極の間隔を両電位
電極間の間隔と変えたシュランベルジャー氏の4極法に
よる電極配置とするのが好ましい。
【0012】 高圧噴射攪拌工法においては工法により
改良柱の径が30cm程度から2〜3m程度に及ぶ大き
なものまでがあり、大きな径の改良柱に対する検出器の
ゾンデには、仮にウエンナー氏の4極法を用いたとして
シュランベルジャー氏の4極法によったとしても、そ
の電極間の寸法を変えた2〜5種類程度の電群を収容
することが望ましい。その場合、もっとも電極間の寸法
が大きい電極群の4個の電極のうち、両端の1対の電極
間の寸法を、造成しようとしている改良柱の直径とほぼ
同じか、それよりいくらか小さい程度とするのが好まし
い。
【0013】
【作用】一般に土は電気的に導体であり、セメントを主
成分とする安定処理材もまた電導体である。土の場合は
その比抵抗値は土の種類によって異なる。一方、安定処
理材の比抵抗値はセメントを主としているために極めて
小さく、殆んどの土よりも小さい値を示す。表1はこれ
らの比抵抗値を示したものである。
【表1】
【0014】したがって高圧噴射攪拌工法によって造成
される改良柱は、従来あった軟弱土を押しのけて、その
あとを安定処理材が填充して造成されるのであるから、
いわば置換されて出来るもので、施工前と施工後とでは
比抵抗値が変わるのが当然である。つまり施工前は軟弱
な砂質土なり粘性土なりに特有の比抵抗値が、施工後は
安定処理材の特有の比抵抗値を示すようになる筈であ
る。万一、施工後の比抵抗の測定値が安定処理材に特有
な比抵抗値を示さないならば、それは改良柱が所定の通
りに造成されていないことを示していることに外ならな
い。
【0015】本発明の方法は上記の原理に基づくもので
あり、高圧噴射攪拌工法の作業工程の進行と同時に出来
上りつつある改良柱の出来具合をその比抵抗値によって
検出し、万一その出来形が十分でない場合には直ちにそ
の対策をとることが出来るようにしたものである。
【0016】請求項2におけるウエンナー氏の4極法に
より比抵抗を検出する方法においては、4個の電極間の
それぞれの間隔をaとすると、この1セットの電極群に
よって測定される比抵抗値は、4つの電極のうちの外側
の2個の電極の位置を直径の両端とする球体部分の、改
良体乃至は土の比抵抗の値である。つまり注入管の先端
に吊した、各電極間隔がaの1組の電極群によって、注
入管を中心とする直径3a、半径にすれば1.5aの円
柱状領域の改良柱乃至土の比抵抗値が連続的に得られる
ことになる。同様にして各電極間隔がbの1組の電極群
によっては、注入管を中心とする直径3b、半径にすれ
ば1.5bの円柱状領域の改良柱乃至土の比抵抗値が連
続的に得られる。したがって上記2セットの電極群の検
出値を原地盤の比抵抗値と比較することにより、出来上
りつつある改良柱の半径が1.5a以上か、1.5a〜
1.5bか、1.5b未満かをそれぞれほぼ確実に判断
することができ、さらに経験値などと比較することによ
り、ある程度は改良柱の径をより具体的な数値として推
定することができるのである。
【0017】
【実施例】つぎに図面を参照しながら本発明の方法およ
び装置を説明する。簡単のためにゾンデに内蔵される電
極群の電極配置は、いずれもウエンナー氏の4極法によ
るものを例にとることにする。図1及び図2はそれぞれ
本発明の施工法の工程の実施例を示す概略図であり、図
1はボーリングロッドで掘削した後、そのロッドを注入
管として用いて高圧噴射を行う場合、図2はボーリング
を行う際にケーシングを用いて、そのケーシングをガイ
ドホールとして残しておき、掘削完了後、注入管をガイ
ドホール内に孔底まで建込み、高圧噴射を行う場合をそ
れぞれ示したものである。
【0018】図3は図1の場合の注入管の先端部と検出
器の関係を示してものである。図4は検出器のゾンデの
拡大断面図(図はゾンデ内部に3組の電極群を内蔵した
例)を示し、図5はウエンナー氏の4極法による比抵抗
値の測定方法における配線方法を概略的に表したもので
ある。図6aはこのようにして改良柱の比抵抗値を連続
的に測定して得られる深度〜比抵抗曲線の1例を示して
ものであり、図には電極間隔を変えて配置した3組の電
極群をゾンデ内に内蔵して測定を行った3種類の比抵抗
値曲線ρ1 、ρ2 、ρ3 の例を示している。なお図6a
には、比較のために地盤改良工法(高圧噴射攪拌工法)
の施工前において予め測定しておいた原地盤の比抵抗値
曲線ρ0 及び、その値より推定した原地盤の柱状図をも
記入しておいた。図6bは本検出器において測定して得
られた3種類の比抵抗値曲線から推定される改良柱の出
来形を模式図的に示したものである。
【0019】図1はボーリングロッドで以て所定の深度
まで掘削を行い、掘削完了後はそのロッドをそのまま注
入管として高圧噴射攪拌を行う場合における測定法につ
いて、その工程順に示したものである。この場合、掘削
時には高圧ポンプでロッド2内に循環水を注入し、先端
のノズルから循環水を噴出させながらロッド2を回転さ
せて掘り進んでいく(工程S1)。そして所定の深度ま
で掘削を完了した後は、そのままそのロッド2を安定処
理材を注入するための注入管として利用する。以下、ロ
ッド2を注入管2と呼ぶ。以後は注入管2の回転数を落
とし、循環水を安定処理材に切り替え、高圧ポンプの吐
出圧を大幅に上げ(通常200kg/cm2程度以上に)、
注入管2の先端部の側方に装着させたノズル3より安定
処理材を高圧噴射させながら、注入管2を引き上げてい
く(工程S2〜S5)。検出器のゾンデ4は、掘削工程
S1においては、図3に示すように、ケーブル5ととも
に注入管2の中央に配置した細いパイプ内に装着されて
おり、注入管2を引き上げるときにそのパイプから出す
ようにする。なお図1において、形成されていく改良柱
12はハッチングにより示しており、符号Pは注入管2
を垂直に支持するクローラクレーンである。
【0020】図2の場合には、ボーリングの際にはボー
リングロッドを囲むケーシング1を用いて所定の深度ま
で掘削を行い、掘削完了後にケーシング1を残してロッ
ドのみを引き上げ、改めて注入管2を挿入して高圧噴射
を行う場合における測定方法について示したものであ
る。この場合にはボーリング掘削はケーシング1と、そ
の中で回転するロッドを用いて掘削工程T1を行う。所
定の深度まで掘削を完了した後は、ケーシング1はその
まま地盤中に注入工程のためのガイドホールとして残し
ておく。以下、ケーシング1をガイドホール1と呼ぶ。
注入工程T2〜T5を行なうため、ロッドを引き上げ
て、代わりに注入管2をガイドホール1の孔底まで建込
む。注入管2の先端部には、側面に開口するノズル3が
装着されており、安定処理材及びジエット水流、圧縮空
気などをそれぞれ高圧で噴射攪拌して改良柱を造成す
る。この場合も注入管2をガイドホール1の孔底まで建
込むときは、検出器のゾンデ4はケーブル5とともに注
入管2の中央に通した細いパイプ内に装着しておく。
【0021】前記ゾンデ4は、現在井戸掘削において標
準的に採用されている4極法などによる電気検層法と同
じ原理によるものである。いまもっとも一般的なウエン
ナー氏の4極法の場合について説明すると、図4に示す
ように、ゾンデ4はセラミックなどの絶縁体製の容器6
と、その容器6内に内蔵された1乃至数組の電極群とか
ら成る。図4には3組の電極群E1、E2、E3を内蔵
した例を示している。1組の電極群は4個の電極7、
8、9、10を等間隔に上下に配置したものであり、各
組ごとに電極の間隔を変えている。図4では左側の電極
群E1の各電極7〜10間のそれぞれの間隔をa、右側
の電極群E2の各電極7〜10間のそれぞれの間隔を
b、中央の電極群E3の各電極7〜10間のそれぞれの
間隔をcとし、a>b>cなる関係があるとする。この
ときの最大の電極間隔aは、改良柱の目標径をBとする
と、
【数1】 になるように設定する。従ってゾンデの長さもほぼBと
同程度か、若干長い程度に納まることになる。
【0022】また各電極群E1〜E3の両端の一対の電
極7、10は電流電極であり、中央の一対の電極8、9
は電位電極である。これらの電極はまとめて容器6に収
められ、各電極7〜10の端だけが容器6から外部に出
て、その周囲の改良柱または土に接するようにしてい
る。各電極からのコード類はまとめてゾンデ4からケー
ブル5となって出て行き、注入管2の中央に設けられた
細いパイプにより保護され、図5の電源部D及び指示部
Jに接続する。なおゾンデ4の下端には、必要であれば
適当な重量を与えるための重錘Wを付す。ゾンデ4は図
1、2及び3に示すように、注入管2の下端から出没自
在であり、吊り下げられた状態における注入管2の下端
とゾンデ4との距離dは、改良柱の目標径をBとする
と、およそd=(0.3〜0.5)・B程度に保たれ
る。ゾンデ4は、注入管2のノズル3から高圧噴射攪拌
を開始した後、ガイドホール1とともに徐々に引き上げ
られてゾンデ4と注入管2の下端との距離が上記のdに
達した後は、注入管2の引上げに追従して改良柱12の
中央部を上昇し、その間、連続的に噴射攪拌によって造
成されたばかりの改良柱の比抵抗値を測定することにな
る。
【0023】上記のゾンデ4の電極は、ウエンナー氏の
4極法の場合を例にとれば、図5に示すように改良柱1
2の中央に配置する。この状態で両端の電流電極7、1
0間に電流Iを流し、中央の電位電極8、9間に生ずる
電位差Vを検出する。このとき電極群の中央点0点を中
心としてほぼ半径が(2/3)・a(ここにaは各電極
間隔とする)の円柱領域の改良柱の比抵抗値ρは次式に
よって表される。 ρ=πa・(V/I)=πaR 従って注入管の引き上げに伴い、これに追従して改良柱
内を引き上げられる左側の電極群E1によって、改良柱
の半径(2/3)・a(直径は3a)の円柱領域の比抵
抗値が連続的に、または所定の深さごとに測定されるこ
とになる。
【0024】つぎに図1及び図2に戻って、上記ゾンデ
4を備えた注入管2による改良柱の比抵抗値の測定方法
を説明する。
【0025】(予備作業)予め2極法、4極法あるいは
その他の適当な地表電気検査方式により、地盤Gの各深
度ごとの比抵抗値を測定しておく。これが基本の原地盤
の深度−比抵抗値曲線となる。この曲線は地層の構成に
応じて、例えば図6aの折れ線ρ0 のような形となる。
またこの曲線ρ0 をもとに地盤の柱状図を想定すると、
図6aの右に示すようになる。なおこれと別に安定処理
材だけの比抵抗値ρa を測定しておく。なお曲線ρ0
折れ線になっているのは、測定点が不連続なためであ
り、測定点を増加すればさらに滑らかになる。
【0026】(掘削完了、高圧噴射攪拌工程)図1の場
合にはボーリングロッドにより掘削が完了すると、その
ままロッド2を注入管2として高圧噴射攪拌工法に入
り、図2の場合には掘削完了後は、掘削に用いたケーシ
ング1をそのままガイドホール1として地盤内に残置し
ておき、ロッドの代わりに注入管2をガイドホール1の
孔底まで建込み、高圧噴射攪拌工法に入る。いずれの場
合も注入管内の細いパイプ内の先端部に固定されていた
検出器のゾンデ4はこの瞬間に離脱され、高圧噴射攪拌
の進行に伴い、注入管2が上昇するにつれて、注入管2
より下位の改良柱12の底部に自重または重錘の重量で
もって残置される。ゾンデ4と注入管2との距離が前記
のdに達すれば、以後は注入管2の引き上げに追従しな
がら上昇して行くことになる。
【0027】(改良柱の造成状態の評価)前記図1及び
図2の高圧噴射攪拌工程において連続的に測定した比抵
抗の値は、図6aにおけるρ1 、ρ2 、ρ3 のような曲
線で記録される。図6aは、それぞれの電極間隔がa、
b、c(ここにa>b>cとする)の3組の電極群によ
って測定した例である。この工法は一種の置換工法であ
るから、造成された改良柱12は安定処理材のみから成
ると考えてよく、従ってその比抵抗値は予め測定してお
いた安定処理材の比抵抗値ρa にほぼ等しい値を示す筈
である。
【0028】従って図6の例について説明すれば、ρa
の値が10〜15Ω・m程度であるとすれば、もし改良
柱が上(地表)から下(改良柱底部)まで所定の目標ど
おり、直径Bの円柱状に出来上がっているとすれば、a
はほぼB/3に定めてあるので、ρ1 曲線は半径が(3
/2)・a、すなわち直径がほぼ3a≒Bの範囲の比抵
抗曲線となる筈で、つまり、ρ1 曲線は上から下まで
(測定の順次からいえば下から上まで)ほぼ10〜15
Ω・m程度の値を示し続ける筈である。ところにより多
少ずれても、20〜25Ω・m程度の値にとどまるべき
である。またb、cの値はaより小さいので、当然ρ
2 、ρ3 曲線もρ1 曲線と同様に10〜15Ω・mか、
ずれたとしても20Ω・m程度の値を示す筈である。そ
れが例えば図6aのように深度−3.5m付近から−
8.5m付近にかけてρ1 が50〜140Ω・mの値を
示していることは、その間の改良柱の直径が3a≒Bよ
りも小さいことを示しているのである。
【0029】同様のことはρ2 曲線についてもいえる。
図6aのρ2 曲線をみると、GL−5.6m付近から−
7.5m付近までの比抵抗値が80〜105Ω・m程度
を示しているのは、この間において改良柱の直径が3b
よりも小さいことを表している。ρ3 曲線が上から下ま
で10〜15Ω・mの範囲内の値に終始していること
は、この改良柱が上から下まで最小でも直径3cより太
い状態に造成されていることを表している。以上のよう
な測定結果より、造成された改良柱12の断面形状を推
定すれば図6bのようになり、どの深さのところで改良
柱が充分に造成されていないかを容易に判定することが
出来る。
【0030】
【発明の効果】本発明の改良柱の造成状態検出方法は、
高圧噴射攪拌工の施工時の注入管の引き上げに追従して
測定を行なうため、改良柱の全数についてその状態を確
認することが可能で、しかもそれぞれの改良柱の各深度
における状態を連続的に高い精度で知ることが出来る。
さらに、事前に試みた原地盤のデータと比較することに
より、改良柱の造成状態がかりに不十分であった場合に
も、それがどのような原因によるものかを察知する手が
かりが与えられるので、直ちに適切な対応策を講ずるこ
とが可能となる。本発明の装置を用いることにより、前
記方法を容易に実施することができ、地下における改良
柱造成の状態を施工直後に知ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一実施例を示す工程図である。
【図2】本発明の方法の他の実施例を示す工程図であ
る。
【図3】図1に示す注入管の要部拡大図である。
【図4】図1に示すゾンデの拡大断面図である。
【図5】図3のゾンデを用いた4極法による比抵抗値測
定法の説明図である。
【図6】図6aは図1の方法により測定したデータに基
づく深度−比抵抗曲線の一例を示すグラフであり、図6
bはそのグラフにより推定される改良柱の断面図であ
る。
【符号の説明】 1 ガイドホール(ケーシング) 2 注入管(ロッド) 3 ノズル 4 ゾンデ 5 ケーブル 6 容器 7 電流電極 8 電位電極 9 電位電極 10 電流電極 12 改良柱

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地下の所定深度まで貫入させた注入管を
    回転させながら引き上げ、その注入管の先端から高圧で
    安定処理材を噴出させ、注入管周辺の軟弱な地層に安定
    処理材を填充して円柱状の改良柱を造成する高圧噴射攪
    拌工法における、改良柱の造成状態検出方法であって、 前記注入管を引き上げるときに注入管の先端に設けた検
    出器により、造成された未硬化の改良柱の比抵抗を測定
    し、その測定値に基づいて改良柱の填充造成範囲を推定
    する 高圧噴射攪拌工法における改良柱の造成状態検出方法。
  2. 【請求項2】 前記改良柱の比抵抗を4極法により測定
    する請求項1記載の高圧噴射攪拌工法における改良柱の
    造成状態検出方法。
  3. 【請求項3】 前記4極法による測定を、電極間の寸法
    が異なる複数組の電極群により行い、各電極群ごとの比
    抵抗値同士を比較することにより、測定している深度の
    改良柱の径を推定する請求項2記載の高圧噴射攪拌工法
    における改良柱の造成状態検出方法。
  4. 【請求項4】 注入管の下端に出没自在に設けられ、か
    つ外に出たときは注入管の下端から適当な距離を保って
    吊るされる容器および、この容器内に収容されて周囲の
    改良柱ないし土と接触する電極からなるゾンデと、前記
    電極間の電圧または電流に基づき、周囲の改良柱ないし
    土の比抵抗を測定する測定器とを備えた高圧噴射攪拌工
    法における改良柱の造成状態検出装置。
  5. 【請求項5】 前記電極が所定の寸法で等間隔に配置さ
    れた4個1組の電極群であり、両端の一対の電極が電源
    に連結されると共に、中央の一対の電極が電位差計に連
    結されている請求頂4記載の高圧噴射攪拌工法における
    改良柱の造成状態検出装置。
  6. 【請求項6】 前記電極群を複数組有するとともに、電
    極間寸法が電極群ごとに互いに異なっており、かつもっ
    とも電極間寸法が大きい電極群における両端の一対の電
    極間の距離が造成しようとしている改良柱の直径と同じ
    か、それよりいくらか少ない寸法である請求項5記載の
    高圧噴射攪拌工法における改良柱の造成状態検出装置。
JP5185533A 1993-06-28 1993-06-28 高圧噴射攪拌工法における改良柱の造成状態検出方法および検出装置 Expired - Lifetime JP2542333B2 (ja)

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