JP2548676B2 - 薬液注入工法による地盤改良工の効果確認方法およびそれに用いる装置 - Google Patents

薬液注入工法による地盤改良工の効果確認方法およびそれに用いる装置

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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は薬液注入工法におい
て、施工後の地盤における注入効果を確認・判定するた
めの方法およびそれに用いる検出装置に関するものであ
る。このような薬液注入工法は、軟弱地盤のうち、主と
して砂質土系の地盤の改良に用いられる工法であり、簡
便、迅速で小回りがきくので、他の大規模な施工機械を
駆使して行う地盤改良工法では施工できないような条件
の下でも採用することができ、多くの分野で広く用いら
れている。
【0002】
【従来の技術】薬液注入工法は、軟弱な(ゆるい)地盤
内に注入孔を設け、その注入孔に挿入した注入管を通し
て珪酸ソーダ(水ガラス)などの土質安定剤(薬液)を
注入滲透させ、注入孔の底部から上部に向かって順に施
工していく工法であり、前述のごとく主として砂質土系
の地盤に対して使用される。
【0003】軟弱な砂質土は一般的に、間隙が大き
い、含水比が比較的大きい(固い砂地盤よりは小さい
が、粘性土に比べると大きい)、強度(剪断抵抗な
ど)が小さい、単位体積重量(つまり密度ないし比重
量)が比較的小さい、多くは若干のシルト分や粘土分
を含んでいる、などの性質を有している。それゆえ軟弱
な砂質土中に珪酸ソーダなどの薬液を注入すると、土粒
子間の空隙が大きいため、比較的容易に薬液が空隙中に
滲透していき、それまでその空隙を占拠していた水(H
2 O)や空気に代わって空隙を充填し、ときには薬液の
粒子が砂粒子と結合することもある。
【0004】一方、空隙から追い出された水分子は、砂
質地盤では空隙が大きく、透水性が高いこともあって、
きわめて容易に周辺の砂質地盤中に逸出する。そのため
注入孔(管)から圧出された薬液は比較的容易に軟弱な
砂質土の地盤中の空隙を充填し、間隙率を低下させ、密
度を増大し、またときには薬液粒子が砂粒子と固く結合
することもあって、その強度を増大する。しかし注入工
施工後の地盤において、実際にどの程度まで地盤強度
(例えば剪断抵抗)や、力学的性質が変化したか、また
は改良範囲はどのぐらいかなどについて定量的に測定す
る方法はなかったのである。
【0005】このような状況下において、現在では薬液
注入工の施工後の効果の判定は、主として地盤の透水性
の変化を測定することにより間接的に行なっている。そ
の原理は以下の通りである。まず砂質土地盤中に薬液を
注入すると、薬液は砂質土中に存在していた空隙中の水
を追い出して空隙を充填する。その結果、薬液が十分に
浸透した地盤は、空隙を水や空気などが占めていた原地
盤よりも空隙が小さくなり透水性が悪くなる。したがっ
て、地盤中の透水性を測定すれば、薬液が十分浸透した
部分の範囲や、またそれによってもとの地盤に存在して
いた空隙のうちどの程度が薬液によって浸透充填された
か、いわゆる薬液充填率などを推定しようというのであ
る。なお透水率の測定には、地盤中に水を圧入したり、
地下水をポンプで汲み上げたり、あるいは両者を組み合
わせるなどして地盤中に水を滲透ないし吸引させ、その
ときの水の滲透ないし吸引量を測定する現場透水試験が
主に採用される。
【0006】この方法は一応合理的なように見えるが、
以下のような問題がある。すなわちさきにも触れたよう
に、軟弱な(ゆるい)砂質土地盤というのは、粘性土や
シルト分を含むことが多い。例えば岩石が風化してでき
たものであれば、その風化の過程において、粘土やシル
ト分、あるいは有機質などが混入する。まして埋め立て
地盤などにおいては、その殆どがシルト質砂や粘土混じ
り砂の層を含んでいると考えても良いほどである。した
がって全体として砂質土地盤であっても、局部的には殆
ど粘性土地盤に近い部分を有していることもある。
【0007】そのような局部的にほとんど粘性土地盤に
近い地点が、たまたま透水性をチェックする地点にぶつ
かった場合、例えば現場透水試験を実施すると、薬液注
入に関係なくはじめから透水性が非常に低いのであるか
ら、薬液注入の効果を知ることができない。すなわち同
じように透水性の小さい結果を示す地盤であっても、軟
弱な(ゆるい)砂質地盤に対して薬液注入工が十分に施
工され、空隙を充填した結果、透水性が小さくなった場
合もあり、はじめから粘性土分の混入が多く、透水性が
小さい場合もある。前者の場合、当然それなりに地盤の
強度も力学的性質も改良されているが、後者の場合には
薬液注入も十分に行なわれないのであるから、実際には
地盤の強度の増大は到底期待できない。
【0008】さらに極端な例をあげると、例えばある一
定の広さの地域のうち、特定の地点だけ、ほぼ完全に薬
液注入工を施工して空隙を充填しておき、その地点で現
場透水試験を行なった場合には、その特定の地点以外の
地域では殆ど薬液注入工の有効な施工はなされなかった
としても、十分に小さな透水性が検出される。そのため
全体の地域については実体を正確に判断できない。そう
いうこともあるので地盤の透水性のチェックは可成り頻
繁に高い密度で行なわれねばならず、これでは薬液注入
工法自体が迅速、簡便を特徴としているのに対して、施
工後の効果確認判定工の方がむしろ煩鎖になり経費もか
かるということになり、好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、主として軟
弱な(ゆるい)砂質土に対して行なった薬液注入工によ
って行なう地盤改良の効果の確認を、従来行なっていた
ような地盤の透水性によって間接的に判断するのでな
く、より実際に近い形で検出しうる簡便な方法および装
置を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の薬液注入工法に
よる地盤改良工の効果確認方法は、注入管を砂質土系の
地盤に所定の深度まで挿入し、注入管を通じて薬液を周
辺地盤に注入滲透させながら注入管を徐々に引き上げて
いく薬液注入工法における効果確認方法であって、前記
注入管を引き上げるときに注入管の先端に設けた検出
器により周辺の地盤の電気比抵抗を測定し、その測定値
より注入孔周辺の地盤中への薬液の滲透充填状況を把握
ることを特徴としている。
【0011】前記の周辺地盤の電気比抵抗値は、例えば
ウエンナー氏の4極法またはシュランベルジャー氏の4
極法によって測定することができる。またウエンナー氏
あるいはシュランベルジャー氏の4極法のいずれの方法
を用いても、その電極間の間隔を変えた複数組の電極群
により同時に測定を行なうことにより、周辺地盤におけ
る薬液の浸透有効範囲ならびにその改良効果をより詳細
に察知することができる。
【0012】本発明の検出装置は、地盤改良工事を行い
ながら、その結果をほぼ同時進行するように検出するも
のであり、その装置は地盤改良剤(材)を周囲の地盤内
に注入するための注入管の下端に出没自在に設けられ、
かつ外に出たときに注入管の下端から適当な距離を保っ
て支持される容器およびこの容器内に収容されて周囲の
地盤と接触する電極からなるゾンデ(検出器)と、前記
電極間の電圧または電流に基づき、周囲の地盤の比抵抗
を測定する測定器とを備えていることを特徴としてい
る。前記電極はウエンナー氏の4極法、またはシュラン
ベルジャー氏などの4極法による電流配置とすることが
好ましい。しかしもちろんほかの電極配置を用いること
も可能である。
【0013】本発明の検出装置におけるゾンデ(検出
器)に内蔵される電極群の組数は特別の場合を除いて1
〜2組で十分であるが、それ以上でもよい。1組の場合
はその電流電極間の距離、2組以上の場合は電極間隔の
大きい方の電極群の外側の一対の電流電極間の距離を、
それぞれ薬液注入孔のピッチaとほぼ同じか、それより
もやや小さい程度とするのが好ましい。
【0014】なおピッチaの値は次のように定める。注
入孔のピッチが縦a、横aの場合(a×a)、ピッチは
aとする。注入孔のピッチが縦p、横qの場合(p×
q、p≠q)、ピッチはa=√(p・q)とする。
【0015】
【作用】前記本発明の方法は現在薬液注入工において圧
倒的に多く用いられている珪酸ソーダ(水ガラス)薬液
の電気比抵抗が、一般の砂質地盤や地下水に比べて遥か
に小さく、したがってまた珪酸ソーダ(水ガラス)薬液
が十分に浸透し、空隙を充填した地盤では施工前の地盤
と比べて、その電気抵抗が大幅に減少する性質を利用し
て、薬液注入工の施工効果の確認判定を行なうものであ
る。しかも本検出方法においては薬液注入工の1本1本
について、その施工後直ちに効果の確認が可能である。
また注入工の施工途中において、注入による浸透充填が
十分に行なわれていないことが判明した場合には、直ち
にその対応策をとることが可能になり、地盤改良工事の
効率を著しく上げることにつながる。それらの作用原理
を以下に詳述する。
【0016】一般に土は電気的に導体である。しかしそ
の電導度は土の種類によって異なり、したがって電導度
の逆数である比抵抗値もまた土の種類によって異なる値
を示す。砂質地盤は一般に粘性土地盤よりも比抵抗値は
高い値を示すものである。各種の土(岩石)の一般的な
比抵抗値を示すと表1のようになる。
【0017】
【表1】
【0018】ところが薬液注入工法における主薬剤であ
る珪酸ソーダ(水ガラス)溶液は比抵抗値が極めて小さ
く、そのホモゲルの比抵抗値は1.0 Ω−m以下である。
したがって軟弱な砂質地盤中に珪酸ソーダ(水ガラス)
溶液を主剤とする薬液の注入工を施工した場合は、施工
後の地盤の電気抵抗値は、その空隙充填率にもよるが、
ほぼ2〜15Ω−m程度の値となる。しかももとの砂質土
中の空隙に対する薬液の充填の度合いと、施工後の地盤
の比抵抗との間には、非常に顕著な対応関係がある。例
えば図1は豊浦標準砂に対して珪酸ソーダ(水ガラス)
溶液を注入滲透させた場合の、薬液の充填率(砂の空隙
料に対する浸透量の割合)と、施工後の砂の比抵抗値の
関係を室内実験で測定した結果の一例を示すグラフであ
るが、これによれば砂の空隙量に対する充填率が40%
程度のときは比抵抗値は20Ω−m程度であるが、充填
率が50%程度になれば10Ω−m、60%になれば5
Ω−m程度、さらに70%程度以上になれば4Ω−m以
下程度と、しだいに小さくなっている。
【0019】これらのことから薬液注入工施工後の地盤
の比抵抗値がわかれば、薬液が地盤の空隙中にどの程度
有効に浸透充填しているかを察知することが可能にな
り、ひいては施工後の地盤の強度増加や力学的性質など
の改良効果について正確に推定することができる。
【0020】次に本発明の測定装置の作用を説明する。
ゾンデに内蔵される電極群の配置の仕方には、よく用い
られる方法としてウエンナー法とシュランベルジャー法
の2通りがある。先ずウエンナー法について説明すれ
ば、4個の電極は上から一列に等間隔で並んでいる。4
個の電極は外側の2個の電極が電流電極、内側の2個の
電極が電位電極となっている。その個々の電極間隔をa
とし、外側の2個の電流電極の間隔をBとする。B=3
aとなるが、この4個の電極によって測定される地盤の
比抵抗の値は丁度、外側の2個の電流電極を直径の両端
とする球体、つまり直径Bの球状体の地盤部分の比抵抗
の値となる。
【0021】次にシュランベルジャー法による配列の場
合は、各電極間の間隔は等間隔ではないが、4個の電極
はやはり外側の2個が電流電極、内側の2個が電位電極
で、外側の2個の電流電極の間隔をBとすれば、この場
合も4個の電極によって測定される地盤の比抵抗の値
は、丁度外側の2個の電流電極を直径の両端とする球
体、つまり直径Bの球状体の地盤部分の比抵抗の値にな
る。
【0022】したがって注入管の先端から定まった距離
dだけ離れてゾンデが位置しており、ゾンデ内の4個の
電極群のうち最も上に(注入管に近く)位置する電流電
極と注入管先端との距離をd´とする(d´>d)と
き、その時点において4個の電極群により測定される比
抵抗値は、ウエンナー氏の4極法電極配置であるとシュ
ランベルジャー氏の4極法電極配置であるとにかかわら
ず、そのときの注入管より直下で、d+B/2だけ離れ
た地点を中心として半径B/2の球体の内部の地盤の比
抵抗値を示すものと考えてよい。このようにして注入管
から常に一定の距離dだけ下方に離れた状態でゾンデの
電極群が注入管の引上げに追従して引上げられることに
より、常に注入管の先端位置よりd+B/2だけ下方の
地点を中心として半径B/2の球形の部分の比抵抗値が
連続的に測定され、記録されるのである。
【0023】
【実施例】つぎに図面を参照しながら、本発明の方法お
よび装置を説明する。図1は砂質地盤に対して珪酸ソー
ダ溶液を浸透充填させた場合における、充填率と比抵抗
値の関係を室内実験において測定した一例を示すグラフ
である。図2は薬液注入工の施工方法とその後の注入孔
周辺の地盤における注入効果の確認評価を行なうための
装置の概念図である。注入管1の中央には細い管2が挿
入されており、その管2の中にゾンデ3およびケーブル
4が収容され、保護されている。ゾンデ3は図4〜5に
示すように、地盤の比抵抗値を測定する4極1組の電極
群5a、5b及びこれを収容するセラミックなどの絶縁
体製の容器6から成り、必要に応じて先端部に重錘(図
示していない)を附す。ゾンデ3はケーブル4によって
注入管1の下部から出没自在に吊されている。なおゾン
デ3及びケーブル4は地盤G中に露出させるようにして
もよいが、注入管1の下部から出没自在の保護パイプ7
内に収容するようにしてもよい。その場合、保護パイプ
7はもちろん絶縁体製とする。
【0024】図2における(1) は注入管1を地盤G中に
挿入している段階の状態で、ゾンデ3及びケーブル4は
注入管1の中央に設けられた細い管2内に納まってい
る。つぎに(2) は注入管1が注入孔8の孔底に達した
後、先端部から薬液を地盤G中に注入しながら引上げて
くる段階の状態であり、ゾンデ3と注入管1の先端との
距離がdになった時点以後は、このように一定の距離d
を保ったままゾンデ3は注入管1の引上げに追従して引
上げられる。dの値としては特に限定されないが、0.
30m程度するのが好ましい。
【0025】図3は本発明の方法を取り入れた薬液注入
工法の工程を示した概念図である。図3の(1) 及び(2)
の段階では地盤Gの比抵抗値の検出装置であるゾンデ3
及びケーブル4は、図2の(1) の状態にあってまだ稼動
しておらず、(3) →(4) → (5)の段階にあっては図2の
(2) のような形でゾンデが稼動状態になる。図4及び図
5は検出器であるゾンデ3の断面図であり、図4はウエ
ンナー氏の4極法によるもの、図5はシュランベルジャ
ー氏の4極法によるものである。どちらも4極1組の電
極群5を2組内蔵したゾンデ3の例を示している。もち
ろん電極群5を1組だけ内蔵するゾンデ3を用いること
もできる。
【0026】次の図6及び図7は、1組の電極群5によ
る比抵抗値測定における配線の方法を示した図であり、
図6はウエンナー氏法の4極法、図7はシュランベルジ
ャー氏の4極法の場合である。それぞれ両端の一対の電
極は電源に連結される電流電極であり、中央の一対の電
極は電位差計Vに連結される電位電極である。図8は2
組の電極群を内蔵したゾンデ3によって薬液注入工施工
後の地盤Gの比抵抗値の測定を行なった場合の深度〜比
抵抗値曲線の記録の一例である。
【0027】図4のウエンナー氏法の4極法による2組
の電極群5a、5bにおいては、左右の各組の電極群5
a、5bの各電極の間隔はいずれも等しく、図4の右側
の組(電極群5a)ではその間隔はa1 であり、左側の
組(電極群5b)ではa2 であり、a1 >a2 となって
いる。各組の電極群5a、5bにおいて外側の一対の電
流電極間の間隔をB1 、B2 とする。すなわち、B1
3a1 、B2 =3a2となる。また、各組の電極の中心
点の位置をO1 、O2 とし、O1 及びO2 の深度が一致
するように配置しておく。右側4個の電極群5aによる
電気比抵抗の値はO1点を中心として半径がB1 /2=
1.5a1 の球体の部分の地盤の比抵抗値を示し、左側
の4個の電極群5bによる電気比抵抗の値はO2 点を中
心として半径がB2 /2=1.5a2 の球体の部分の地
盤Gの比抵抗の値を示すことになる。前記のようにO1
点とO2 点とは等しい深度の点であるから、この2組の
電極群5a、5bによる測定を同時に行なうことによ
り、注入孔の直下のO1 ≡O2 点を中心として、それぞ
れ半径が1.5a1 と1.5a2 の2通りの範囲につい
て地盤の比抵抗値を知ることが可能となる。
【0028】図5のシュランベルジャー氏の4極法によ
る電極群5a、5bについても同様である。シュランベ
ルジャー氏の方法によれば、2組の電極群5a、5bは
内側の極である電位電極を共通にしており、電流電極の
位置だけを変化させることができる。よって2個の電位
電極の間の間隔をaとし、電流電極と電位電極との間隔
をそれぞれb1 、b2 (b1 >b2 )とし、また各組の
外側の両電流電極間の間隔をそれぞれB1 、B2 (B1
>B2 )とすると、B1 =2b1 +a、B2 =2b2
aとなる。
【0029】また2組の電極群5a、5bに共通な2個
の電位電極の中間点をOとすると、2組の電極群によっ
て測定される地盤の範囲は、O点を中心として半径がそ
れぞれB1 /2=b1 +a/2及びB2 /2=b2 +a
/2の球状体に含まれる地盤の部分となる。したがって
この場合も2組の電極群による測定を同時に行なうこと
により、注入孔の直下でO点を中心として半径がb1
a/2及びb2 +a/2の2通りの範囲について地盤の
比抵抗値を知ることが可能となる。
【0030】このときのウエンナー氏法及びシュランベ
ルジャー氏法による各々の電極配置によって測定される
比抵抗値の算定方法について以下に説明する。ウエンナ
ー氏法においては図6に示すような配線によって両電流
電極間に電流Iを流し、そのときに両電位電極間に生ず
る電位差Vを検出する。このとき電極群の中心点0を中
心とし(3/2)aを半径とする球状領域の地盤の比抵
抗値ρは次式で表わせる。 ρ=πaV/I(Ω−m) 次にシュランベルジャー氏法においては、図7のような
配線になっている。両端の電流電極の間に電流Iを流し
たときに中央の2個の電位電極の間に生ずる電位電極の
間の電位差がVであれば、このとき0点を中心とする半
径B/2=b+a/2の球状領域の地盤の比抵抗値ρは
次式で表わされる。 ρ=(π/)・{(B−a)/a}・V/I(Ω−m) ただしB=2b+a
【0031】つぎに図3に戻って上記ゾンデ3を備えた
注入管1による薬液注入工施工後の地盤の比抵抗値ρの
測定法を説明する。
【0032】(予備作業)あらかじめ2極法、4極法あ
るいはその他の適当な地表電気探査方式により、施工前
地盤の各深度ごとの比抵抗値を測定しておく。これが基
本の原地盤の深度〜比抵抗値曲線となり、その形は例え
ば図8の折れ線ρo のような形となる。
【0033】(注入管の所定深度までの挿入完了・薬液
注入工程)注入管1を地盤G内の所定の深度まで挿入し
て薬液注入工程に入ると、注入の進行にしたがって注入
管1は徐々に引き上げられていく。ゾンデ3は注入管1
の挿入時には、注入管1の中央に設けられた細い管2内
の下端部に保護されて注入管1と一緒に下降していく。
しかし孔底から注入管1が少しずつ上昇していっても、
そのまま注入孔8の底にとどまり、注入管1の先端とゾ
ンデ3の容器6の上端との間が一定の距離dになると、
それ以後は距離dを保ったまま注入管1に追従して上昇
していく。そしてその上昇の途中に注入孔8周辺の地盤
Gの比抵抗値の測定を続けることになる。
【0034】(薬液注入工による地盤改良効果の評価)
以上説明してきたように、電極間隔を変えた2組の電極
群を内蔵するゾンデ3をもって薬液注入工施工後の地盤
比抵抗値を検出した結果、深度〜比抵抗値曲線が図8の
ようになったとする。ここに2組の電極群5a、5bの
それぞれの両電流電極間の間隔をB1 及びB2 (B1
2 )とし、両電流電極間の間隔がB1の電極群5aに
よる深度〜比抵抗値曲線をρ1 曲線、両電流電極間の間
隔がB2の電極群5bによる深度〜比抵抗値曲線をρ2
曲線とする。
【0035】図8の例について説明すれば、ρ2 曲線に
おいては比抵抗値は上から下まで(測定及び記録は下か
ら上に向かって実施される)ずっと5〜15Ω−m程度
の値を示している。このことは注入孔より半径B2 /2
の範囲内の地盤では、上から下まで十分に薬液が地盤中
に浸透し空隙を充填していること、つまり薬液注入が期
待どおりの効果をあげていることを示している。しかし
ρ1 曲線の方をみると、深度にして−3.00m付近及
び−7.00mから−8.00m付近にかけて、比抵抗
値が90〜110Ω−mという大きな値を記録してい
る。これは本注入工法において注入孔から半径がB2
2の範囲の地盤についてみれば、深度−3.00m付近
及び−7.00mから−8.00m付近にかけて、地盤
中に薬液が十分に浸透しておらず、そのため空隙の充填
も不十分であることを示している。
【0036】したがってρ1 曲線とρ2 曲線との双方を
組み合わせてみると、本注入孔の薬液注入効果として次
のようなことが明らかになる。すなわち地表から−3.
00mの近くまでは少なくとも注入孔を中心として半径
1 /2の広い範囲内の地盤に対して、ほぼ十分な薬液
の浸透、空隙の充填が行なわれているが、−3.00m
の付近では薬液の浸透範囲、つまり地盤の改良範囲が小
さくなり、半径B2 /2よりは大きいが、半径B1 /2
よりは小さい範囲になっている。同じように−3.00
mよりやや下位から−7.00m付近までは、注入孔を
中心として半径B1 /2の範囲内の地盤改良はほぼ十分
に行なわれているが、−7.00m付近から−8.00
mのすこし下位までの間では、再び改良範囲が小さくな
り、注入孔を中心にB2 /2の範囲よりは大きいが半径
1 /2の範囲よりは小さくなっている。さらに深度−
8.00mから少し下位から下端までは、またまた注入
孔を中心として半径がB1 /2の広い範囲内の地盤にお
いて十分な注入浸透効果があったことが分かる。
【0037】上に述べたのはゾンデ内に電極間隔の異な
る2組の電極群を内蔵した場合の例についてであるが、
薬液注入工においては比較的注入孔と注入孔の間のピッ
チが狭いため、1組の電極群だけを有するゾンデを用い
て測定を行なうことも当然あり得る。その場合において
も測定結果に対する評価の仕方については全く同様であ
る。
【0038】前記いずれの実施例においても、薬液注入
工法で本発明の測定装置を用いる例を示しているが、本
発明の測定装置、特に電位電極を共通にしたシュランベ
ルジャー氏の電極を2群以上備えたゾンデを有する測定
装置は、深層混合攪拌工法や高圧噴射攪拌工法など、他
の地盤改良工法においても好適に使用することができ、
その工法の種類によって限定されるものではない。それ
らの場合でも、複数の電極群を用いれば地盤改良範囲を
精密に推定できること、あるいはシュランベルジャー氏
の電極配置では電極構成が簡単になること等、薬液注入
工法の場合と同じ効果を奏することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明の薬液注入による地盤改良効果の
確認方法は、薬液注入工の施工時の注入管の引上げに追
従して測定を行なうため、注入工の全数について改良効
果及び改良工の有効範囲を確認することが可能で、しか
もそれぞれ注入工の各深度の注入孔周辺地盤における状
態を連続的に高い精度で知ることができる。したがって
本発明の測定による改良効果検出の結果、薬液が初期の
目標のように浸透せず、改良効果が不十分であることが
分かった場合にも、直ちに適切な対応策を講ずることが
可能である。また本発明の装置を用いることにより、従
来薬液注入効果、あるいは深層混合攪拌ないし高圧噴射
攪拌等の工法により得られた改良柱等の効果確認のため
に行なっているようなボーリング掘削とか、揚水試験な
どといった大がかりな施工をわざわざ行なう必要もな
く、殆ど注入工や改良柱等の施工の直後に注入工等の1
本ごとの、より詳細にして密度の高い情報を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】砂質地盤に対して珪酸ソーダ溶液を浸透充填さ
せた場合における、充填率と比抵抗値の関係を室内実験
において測定した結果の一例を示すグラフである。
【図2】本発明の薬液注入工法とその後の注入孔周辺の
地盤における注入効果の確認評価を行なう方法及びその
ための装置の一実施例を示す概念図である。
【図3】本発明の方法を取り入れた薬液注入工法の一実
施例を示す工程図である。
【図4】本発明の検出装置にかかわるゾンデの一実施例
を示す概略断面図である。
【図5】本発明の検出装置にかかわるゾンデの他の実施
例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の検出装置の一実施例を示す概略断面図
である。
【図7】本発明の検出装置の他の実施例を示す概略断面
図である。
【図8】図8は図2の方法により測定したデータに基づ
く深度−比抵抗曲線の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 注入管 2 細い管 3 ゾンデ 4 ケーブル 5a 電極群 5b 電極群 6 容器 G 地盤

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 注入管を砂質土系の地盤に所定の深度ま
    で挿入し、注入管を通じて薬液を周辺地盤に注入滲透さ
    せながら注入管を徐々に引き上げていく薬液注入工法に
    よる地盤改良工の効果確認方法であって、 前記注入管を引き上げるときに注入管の先端に設け
    検出器により周辺の地盤の電気比抵抗を測定し、その測
    定値より注入孔周辺の地盤中への薬液の滲透充填状況を
    把握する薬液注入工法による地盤改良工の効果確認方
    法。
  2. 【請求項2】 前記周辺地盤の比抵抗をウエンナー氏な
    いしシュランベルジャー氏の4極法により測定する請求
    項1記載の薬液注入工法による地盤改良工の効果確認
    法。
  3. 【請求項3】 前記ウエンナー氏ないしシュランベルジ
    ャー氏の4極法による測定を、電極間の寸法が異なる複
    数組の電極群により同時に行い、各電極群ごとの比抵抗
    値同士を比較することにより、測定している深度の地盤
    における薬液の滲透有効範囲を推定する請求項2記載の
    薬液注入工法による地盤改良工の効果確認方法。
  4. 【請求項4】 地盤改良剤ないし地盤改良材を周囲の地
    盤内に注入するための注入管の下端に出没自在に設けら
    れ、かつ外に出たときに注入管の下端から適当な距離を
    保って支持される容器およびこの容器内に収容されて周
    囲の地盤と接触する電極からなるゾンデと、前記電極間
    の電圧または電流に基づき、周囲の地盤の比抵抗を測定
    する測定器とを備えた地盤改良効果の検出装置。
  5. 【請求項5】 前記電極が所定の間隔で配置された4個
    1組の電極群であり、その両端の一対の電極を電源に連
    結される電流電極とし、中央の一対の電極を電位差計に
    連結されている電位電極とする請求項4記載の地盤改良
    効果の検出装置。
  6. 【請求項6】 前記電極群を複数組有しかつ、各電極間
    の寸法を電極群ごとに互いに異にするような請求項5記
    載の地盤改良効果の検出装置。装置。
  7. 【請求項7】 薬液注入工法において用いる検出装置で
    あって、前記電極群における両端の一対の電流電極間の
    距離が改良地盤における薬液注入孔のピッチと同じか、
    それよりいくらか小さい寸法である請求項5記載の地盤
    改良効果の検出装置。
  8. 【請求項8】 薬液注入工法において用いる検出装置で
    あって、もっとも電極間寸法が大きい電極群における両
    端の一対の電流電極間の距離が改良地盤における薬液注
    入孔のピッチと同じか、それよりいくらか小さい寸法で
    ある請求項6記載の地盤改良効果の検出装置。
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