JP2542150Y2 - 金属板ガスケット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はエンジンのシリンダヘッ
ドガスケット等に用いられる金属板ガスケットに関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】ステンレス鋼板等の弾性金属板から成
り、シリンダボア、油孔、水孔等のシール部を囲繞し該
シール部をシールするビードを設けた金属板ガスケット
においては、大部分のビードが弾性金属板の同一面側に
突出するように形成されている。このためビードを形成
した弾性金属板は大部分のビードが突出する方向と逆向
きに反る傾向がある。また、このビードを形成した弾性
金属板をプリセット（仮圧縮）すれば、逆にビードの突
出方向と同方向に反る傾向を生じる。シール部をシール
するビートを設けた弾性金属板を単板で金属板ガスケッ
トとして用いるにしても、或いは例えばシール部をシー
ルするビードを設けた弾性金属板の両側に副板を重ね合
せる等して積層金属板ガスケットとして用いるにして
も、ビードを形成した弾性金属板が上記のように一方の
面側に反り返る傾向をもつことは、金属板ガスケットの
組立、取扱或いはシリンダヘッド等の接合面への装着に
おける不利、不便をもたらす。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】本考案は上記に鑑みて
なされたもので、シール部をシールするビードを設けた
弾性金属板の反りを軽減するもしくは解消することを目
的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本考
案は、シリンダボア、水孔、油孔等のシール部を囲繞し
シールするビードを設けた弾性金属板から成る基板を有
する金属板ガスケットにおいて、シリンダブロック及び
シリンダヘッドの冷却水通路及び潤滑油通路の開口部の
大きさよりも小サイズに形成された水孔及び油孔の周縁
で該ガスケットをシリンダブロック及びシリンダヘッド
間に装着したときに上記開口部内に位置する箇所、該ガ
スケットをシリンダブロック及びシリンダヘッド間に装
着したときにシリンダブロック及びシリンダヘッドの一
方側のみに開口部を有する盲開口部内に位置する箇所及
び該ガスケットの中間板に設けた面圧調整用の透孔内に
位置する箇所の一つもしくは複数の箇所において、前記
シール部をシールする前記ビードの突出方向と逆方向に
突出するダミービードを前記基板に設けたことを特徴と
するものである。

【０００５】

【作用】本考案においては、シリンダボア、油孔、水孔
等のシール部を囲繞し、シールするビードを設けた弾性
金属板から成る基板に、上記のシール部をシールするビ
ードの突出方向と反対方向に突出するダミービードを設
けているので、シール部をシールするビードによる反り
傾向とダミービードによる反り傾向とが打ち消し合って
ビードを設けた弾性金属板の反りを軽減もしくは解消す
ることができる。しかも上記のダミービードはシール部
のシールに影響のない前記の箇所に設けられるので、ダ
ミービードがガスケットのシール機能に悪影響を及ぼす
ことはない。

【０００６】

【実施例】以下に、本考案の金属板ガスケットを実施例
により、また図面に基づき詳細に説明する。各図面にお
いて同一の符号は同一の部分を示している。図１は本考
案の実施例の金属板ガスケットの一部破截平面図の一部
であり、図２は該ガスケットをシリンダブロックとシリ
ンダヘッドとの間に装着した状態（但しボルト締結前）
を図１のＡ−Ａ線による断面で示した断面図である。

【０００７】図において、１はエンジンのシリンダブロ
ックであり、２はその冷却水もしくは潤滑油の通路の開
口部である。３はシリンダヘッドであり、４はその水却
水もしくは潤滑油の通路の開口部である。シリンダブロ
ック１とシリンダヘッド３との接合面に装着された金属
板ガスケット５は、ステンレス鋼板等の弾性金属板から
成りシール部をシールするビードを備えた基板６と該基
板６の両面側に積層されたステンレス鋼板或いは鉄板等
より成る副板７、７との３層の金属板により構成されて
いる。

【０００８】金属板ガスケット５にはシリンダブロック
の燃焼室の開口形状に合わせた円形のシリンダボア８、
冷却水や潤滑油を通すための透孔９、シリンダヘッドを
シリンダブロックに固定するボルトを挿通するボルト孔
１０が設けられている。透孔９はシリンダブロックおよ
びシリンダヘッドの冷却水もしくは潤滑油の通路の開口
部２および４の形状、大きさとほぼ同一の形状、大きさ
を有するものもあるが、流量調節の関係から図２に示さ
れているように開口部２および４の大きさよりもかなり
小さくされているものも多い。

【０００９】ガスケット５の基板６にはシリンダボア８
を囲繞しシリンダボア８をシールするビード１１が設け
られ、また冷却水や潤滑油を通すための透孔９並びに開
口２および４をシールするビート１２がこれらの透孔お
よび開口を囲繞するように設けられている。これらのビ
ード１１および１２はビードの頂部１１ａおよび１２ａ
が基板６の同一面側、図２ではシリンダヘッド側に突出
するように設けられている。

【００１０】ダミービード１３はシリンダブロックおよ
びシリンダヘッドの冷却水通路、潤滑油通路の開口部２
および４の大きさよりも小サイズの透孔９すなわち水孔
及び油孔の周縁に、そしてガスケット５がシリンダブロ
ック１とシリンダヘッド３との間に装着されたときに開
口部２および４内に位置する箇所の基板に設けられてい
る。ダミービード１３の突出方向はシール部をシールす
るビートの突出方向と逆方向で、ダミービードの頂部１
３ａがシリンダブロック側に突出している。従ってシー
ル部をシールするビード１１および１２に基づく反り傾
向がダミービード１３により軽減されもしくは解消され
る。しかもダミービード１３は上記のように開口部２お
よび４内に位置しているので、水孔、油孔等のシール部
のシールに影響を及ぼすことは全くない。

【００１１】次に、図３はダミービードをシール部のシ
ールに影響のない箇所に設ける他の例を示す断面図であ
る。エンジンのシリンダブロックおよびシリンダヘッド
には、これらの一方側だけに開口部が存在する盲開口部
が設けられていることがあり、図３にはシリンダブロッ
ク１側だけに開口部が存在する盲開口部２´を示してい
る。シリンダブロック１およびシリンダヘッド３の間に
装着された金属板ガスケット５は、図１〜２の場合と同
じく基板６および副板７、７の３層の金属板により構成
されており、基板６には盲開口部２´内の位置にダミー
ビード１３がその頂部１３ａがシリンダブロック１側に
突出するように設けられている。

【００１２】図４および図５はダミービードをシール部
のシールに影響を与えない箇所に設けた更に他の例を示
す平面図および断面図（図４のＡ−Ａ線断面図）であ
る。金属板ガスケット５は上板２１、基板２２、中間板
２３および下板２４を順次に積層して構成され、下板２
４をシリンダボア８において折り返して縁どり２５を形
成している。また、中間板２３には締付け面圧調整用の
透孔２６が設けられている。基板２２にはシリンダボア
８を囲繞するビード１１が設けられ、該ビード１１は縁
どり２５と共にシリンダボア８をシールする。基板２２
に上記ビート１１や冷却水、潤滑油を通す透孔９の周り
のビード（図示せず）とは突出方向を逆にして設けるダ
ミービード１３は上記の中間板２３の透孔２６内に位置
するように設けられている。

【００１３】 透孔２６内に位置するように基板２２に
設けられているダミービード１３は図６（イ）に示すよ
うに環状に連なるビードであってもよいし、図６（ロ）
に示すように直線状に延長する線状のビードであっても
よい。線状のビードを複数条平行に設けてもよい。

【００１４】

【００１５】上記説明した本考案の実質例は種々の変形
が可能であり、例えば、図１および２並びに図３に示し
た実施例は基板６だけから成る単板金属ガスケットとし
て構成することもできる。また、上記した図１〜６のダ
ミービードを１個の金属板ガスケット中に適宜に組合わ
せて形成することができる。更に図１〜３に示したダミ
ービードは環状に連なるビードである必要はなく、図６
（ロ）に示したような直線状に延長する線状のビードで
あってもよいし、断続的に連なるようなビードであって
もよい。要はシール部のシールに影響のない前記箇所
に、シール部をシールするビードの突出方向とは反対方
向にビードが突出するように設け、シール部をシールす
るビードによる反り傾向を打消すことができればよい訳
である。

【００１６】

【考案の効果】本考案によれば、シール部をシールする
ビードの突出方向と反対方向に突出するダミービード
が、シール部をシールするビードによる反り傾向を打ち
消し、反り傾向が軽減もしくは解消されるので、ビード
を形成した金属板ガスケットの組立て、取扱い或いは装
着に支障を来たすことがない。ダミービードはシール部
のシールに影響のない箇所に設けられるので、ダミービ
ードがシール機能に悪影響を及ぼすことはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の一部破截平面図の一部であ
る。

【図２】図１のガスケットをシリンダブロックとシリン
ダヘッドとの間に装着した状態（但しボルト締結前）を
図１のＡ−Ａ線による断面で示した断面図である。

【図３】本考案の更に他の実施例を示す断面図である。

【図４】本考案の更に他の実施例の平面図の一部であ
る。

【図５】図４のＡ−Ａ線による断面図である。

【図６】（イ）および（ロ）ともに、締付け面圧調整用
の透孔とダミービードとを説明する説明図である。

【符号の説明】

２ シリンダブロックの冷却水、潤滑油通路の開口部 ４ シリンダヘッドの冷却水、潤滑油通路の開口部 ６ 基板 ７ 副板 ８ シリンダボア ９ 冷却水、潤滑油を通す透孔 １１ シリンダボアをシールするビード １２ 透孔９をシールするビード １３ ダミービード ２６ 締付け面圧調整用の透孔

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダボア、水孔、油孔等のシール部
   を囲繞しシールするビードを設けた弾性金属板から成る
   基板を有する金属板ガスケットにおいて、シリンダブロ
   ック及びシリンダヘッドの冷却水通路及び潤滑油通路の
   開口部の大きさよりも小サイズに形成された水孔及び油
   孔の周縁で該ガスケットをシリンダブロック及びシリン
   ダヘッド間に装着したとき上記開口部内に位置する箇
   所、該ガスケットをシリンダブロック及びシリンダヘッ
   ド間に装着したときにシリンダブロック及びシリンダヘ
   ッドの一方側のみに開口部を有する盲開口部内に位置す
   る箇所及び該ガスケットの中間板に設けた面圧調整用の
   透孔内に位置する箇所の一つもしくは複数箇所におい
   て、前記シール部をシールする前記ビードの突出方向と
   逆方向に突出するダミービードを前記基板に設けたこと
   を特徴とする金属板ガスケット。