JP2542117Y2 - クランクシャフトの高周波焼入装置 - Google Patents

クランクシャフトの高周波焼入装置

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JP2542117Y2
JP2542117Y2 JP1992041010U JP4101092U JP2542117Y2 JP 2542117 Y2 JP2542117 Y2 JP 2542117Y2 JP 1992041010 U JP1992041010 U JP 1992041010U JP 4101092 U JP4101092 U JP 4101092U JP 2542117 Y2 JP2542117 Y2 JP 2542117Y2
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crankshaft
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武彦 長尾
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案はクランクシャフトの高周
波焼入装置に関し、特に2種類のクランクシャフトの焼
入に適した高周波焼入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のクランクシャフトの高周波焼入装
置は、クランクシャフトのピンを焼入するピン焼入ステ
ーションと、このピン焼入ステーションの後段に、クラ
ンクシャフトのジャーナルを焼入するジャーナル焼入ス
テーションとを有する。ピン焼入ステーションにはピン
焼入機が設置されている。このピン焼入機は、ピンを高
周波誘導加熱する複数の高周波加熱コイル(以下高周波
加熱コイルを単に加熱コイルとも記す) と、各加熱コイ
ルの下部に取り付けた冷却液噴射用のジャケットとを設
けた加熱コイル体と、加熱コイルに高周波電流を供給す
るために加熱コイルごとに設けたトランスとを具備して
いる。ジャーナル焼入ステーションには、ピン焼入ステ
ーションと同様に、ジャーナルを焼入するジャーナル焼
入機が設けられている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】ところが、上記した従
来のクランクシャフトの高周波焼入装置のピンおよびジ
ャーナル焼入機(加熱コイル、冷却液噴射用のジャケッ
ト、加熱コイルに高周波電流を供給するトランス等を備
えている) は、1種類のクランクシャフト、例えば図4
に示す4気筒エンジン用のクランクシャフトWAのピンPA
1 〜PA4 、およびジャーナルJA1 〜JA5 に対応してい
る。
【0004】従って、この高周波焼入装置で、他の種類
のクランクシャフト、例えば図5に示す同じく4気筒エ
ンジン用のクランクシャフトWBのピンPB1 〜PB4 、およ
びジャーナルJB1 〜JB5 (ピンPA1 〜PA4 とピンPB1 〜
PB4 とでは、径、幅、およびピッチが互いに異なってい
るか、或いは、これらの内の1つ以上が異なっている)
を焼入する場合には、その都度、焼入機を、他の種類の
クランクシャフトのピンPB1 〜PB4 およびジャーナルJB
1 〜JB5 に対応したものと交換しなければならない。
【0005】クランクシャフトWAのピンPA1 〜PA4 を焼
入するピン焼入機は、加熱コイル体とトランスとを4個
ずつ備えており、ジャーナル焼入機は、同じく加熱コイ
ル体とトランスとを5個ずつ備えている。しかも、加熱
コイル体やトランスの1個の重量は約数十kgであるか
ら、焼入機の交換時の加熱コイル体やトランスの取り外
し、取り付けに手間がかかる上に、各加熱コイル体やト
ランスには配線や冷却液配管が接続されているので、こ
れら配線と冷却液配管の取り外し、取り付けにも手間が
かかる。
【0006】本考案は上記事情に鑑みて創案されたもの
であって、1つの種類のクランクシャフトのピンとジャ
ーナルとの焼入後、少ない手間で、他の種類のクランク
シャフトのピンとジャーナルとの焼入を行うようにする
ことができるクランクシャフトの高周波焼入装置を提供
することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、請求項1に係る考案はピン及びジャーナルの寸法、
間隔を異にする2種類からなる第1クランクシャフトと
第2クランクシャフトとのピン及びジャーナルをそれぞ
れ焼入するピン焼入ステーション及びジャーナル焼入ス
テーションと、水平に配置されたクランクシャフトを軸
方向と直交する方向に所定距離をもって順次搬送する手
段とを備えたクランクシャフトの高周波焼入装置であっ
て、前記ピン焼入ステーションは、前記軸方向にそれぞ
れ移動可能に設けられ第1クランクシャフトのピンを焼
入する第1ピン焼入機と第2クランクシャフトのピンを
焼入する第2ピン焼入機と、ピン焼入機移動手段とを具
備しており、前記ジャーナル焼入ステーションは、前記
軸方向にそれぞれ移動可能に設けられ第1クランクシャ
フトのジャーナルを焼入する第1ジャーナル焼入機と第
2クランクシャフトのジャーナルを焼入する第2ジャー
ナル焼入機と、ジャーナル焼入機移動手段とを具備して
おり、前記ピン、ジャーナル焼入機移動手段は、ピン焼
入ステーションとジャーナル焼入ステーションとの略中
間位置に背中合わせにそれぞれ配置され、軸方向に平行
して設けられた1対のレールと、前記第1、第2ピン焼
入機、第1、第2ジャーナル焼入機にそれぞれ電力を供
給する電力分配盤に設けられ前記レールに摺動自在に係
合するスライダと、スライダを移動させるシリンダとを
有しており、かつ、ピン焼入機移動手段は、第1クラン
クシャフトが焼入位置に搬送されてきた場合には第1ピ
ン焼入機を、第2クランクシャフトが焼入位置に搬送さ
れてきた場合には第2ピン焼入機を、それぞれ待機位置
よりピン焼入位置に移動させ、ジャーナル焼入機移動手
段は第1クランクシャフトが焼入位置に搬送されてきた
場合には第1ジャーナル焼入機を、第2クランクシャフ
トが焼入位置に搬送されてきた場合には第2ジャーナル
焼入機を、それぞれ待機位置よりジャーナル焼入位置に
移動させるようにしたことを特徴としている。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明する。図1〜5は本実施例を説明するための図面であ
って、図1は平面説明図、図2は図1のX−X線矢視断
面説明図、図3は図2の矢視M平面説明図、図4はクラ
ンクシャフトの正面図、図5は他の種類のクランクシャ
フトの正面図である。
【0009】本実施例のクランクシャフトの高周波焼入
装置は、前述した図4に示すクランクシャフトWAのピン
PA1 〜PA4 とジャーナルJA1 〜JA5 、および、図5に示
すクランクシャフトWBのピンPB1 〜PB4 とジャーナルJB
1 〜JB5 を焼入する装置である。なお、8 はクランクシ
ャフトWAの軸であって、各ジャーナルJA1 〜JA5 の中心
を結ぶ直線であり、9 はクランクシャフトWBの軸であっ
て、各ジャーナルJB1〜JB5 の中心を結ぶ直線である。
また、FAおよびFBは、それぞれ、クランクシャフトWAお
よびWBのオイルシールフランジである。
【0010】本実施例の高周波加熱装置は、焼入しよう
とするクランクシャフトWA或いはWBを搬送するクラ
ンクシャフト搬送装置と、クランクシャフトWAおよび
WBを焼入する4台の焼入機と、焼入機をそれぞれ移動
させるピン焼入機移動手段とジャーナル焼入機移動手段
を備えている。焼入機は、クランクシャフトWAのピ
ンPA1〜PA4を焼入するピン焼入機30A(第1ピ
ン焼入機)、ジャーナルJA1〜JA5を焼入するジャ
ーナル焼入機60A(第1ジャーナル焼入機)、クラン
クシャフトWBのピンPB1〜PB4を焼入するピン焼
入機30B(第2ピン焼入機)、およびジャーナルJB
1〜JB5を焼入するジャーナル焼入機60B(第2ジ
ャーナル焼入機)から構成されている。
【0011】そして、本装置は、図1および図2に示す
ように、搬入ステーション1 、第1アイドリングステー
ション2 、ピン焼入待機位置3Aとピン焼入位置3Bとから
なるピン焼入ステーション3 、第1アフタクーリングス
テーション4 、ジャーナル焼入待機位置6Aとジャーナル
焼入位置6Bとからなるジャーナル焼入ステーション6、
および第2アフタクーリングステーション兼搬出ステー
ション(以下単に搬出ステーションという) 7 を備えて
いる。なお、焼入位置3Bは、焼入待機位置3Aの斜め上方
前方に位置しており、焼入位置6Bは、焼入待機位置6Aの
斜め後方上方に位置している。また、ステーション1 、
2 、3A、4 、5 、6A、および7 は等間隔に位置してい
る。
【0012】まず、クランクシャフト搬送装置の一部を
説明する。前記ステーション1 、2、3A、4 、5 、6A、
および7 には、それぞれ、1対ずつの固定Vブロック1
1、11〜17、17が配設されている。固定Vブロック11
〜17は、それぞれ、本高周波焼入装置の設置面100 上に
立設した図示しない柱の上端に取り付けられている。ま
た、各ステーションの固定Vブロックの間でステーショ
ン1 〜7 にわたって平行に配設された1対の可動ビーム
20、20の上には、直線状、L字状、或いはT字状の符号
を付さない支柱の上端に、1対ずつの可動Vブロック2
1、21〜27、27が固定されている。可動ビーム20、20
は、可動ビーム昇降装置28によって矢印Aの方向に上昇
されてから、可動ビーム前後進装置29によって矢印Bの
方向に前進され、次いで可動ビーム昇降装置28によって
矢印Cの方向に降下されて後、可動ビーム前後進装置29
によって矢印Dの方向に後退されて元の位置に戻って1
サイクルの運動を終える。
【0013】焼入されるクランクシャフトWAおよびWB
は、それぞれの軸8 および9 が水平に且つトランスファ
ラインを構成する上記ステーション1 〜7 を結ぶ方向
(矢印Bの方向) と直角方向(矢印Eの方向) に配設さ
れた状態で矢印Bの方向に、可動Vブロック21〜27によ
って移動され、可動Vブロック21〜27の1サイクルの運
動によって次の固定Vブロックに載置されることを繰り
返して前進してゆく。
【0014】本実施例の高周波焼入装置は、クランクシ
ャフトWAとWBのピンやジャーナルの径、幅、間隔の相違
はあまり大きくなく、或いは、径、幅または間隔の内1
つ以上が多少異なっている。従って、クランクシャフト
の全長で約10mm程度の違いであるクランクシャフトWAお
よびWBを取り扱う。従って、例えば固定Vブロック11と
11との距離、および固定Vブロック11、11自身の厚み
は、クランクシャフトWAのジャーナルJA1 とJA5 を支持
でき、しかも、クランクシャフトWBのジャーナルJB1 と
JB5 をも支持できるように選定されている。他の固定V
ブロック12、12〜17、17も同様である。
【0015】また、例えば可動Vブロック21と21との距
離、および可動Vブロック21、21自身の厚みは、クラン
クシャフトWAのジャーナルJA2 とJA4 を支持でき、しか
も、クランクシャフトWBのジャーナルJB2 とJB4 をも支
持できるように選定されている。他の可動Vブロック22
〜27も同様である。
【0016】設置面100 上に建てられた焼入機台101 上
には、前記ピン焼入機30A 、ピン焼入機30B 、ジャーナ
ル焼入機60A 、およびジャーナル焼入機60B が、矢印E
の方向、および矢印Eと反対方向の矢印Fの方向とに移
動可能に取り付けられている。
【0017】上記各焼入機の構造を、ピン焼入機30A を
例にとって説明する。ピン焼入機30A は、ピンPA1 〜PA
4 をそれぞれ加熱する4組の加熱コイル体KP、各加熱コ
イル体KPに設けられて各加熱コイル体KPに高周波電流を
供給する4個のトランスTPA、および図示しない高周波
電源から高周波電力を受け、各トランスTPA に電力を分
配する電力分配盤39A を備えている。
【0018】各加熱コイル体KPは、図2に示すように、
加熱コイルCPと、加熱コイルCPの下部に付属させた冷却
液噴射用の1対のジャケットZPとを備えている。加熱コ
イル体KPの上部は、トランスTPA の下部に突設された出
力端子31に固定されている。トランスTPA はトランス取
付枠32上に固定されている。
【0019】次いで、ピン焼入機30Aを矢印Eおよび
Fの方向に移動させるピン焼入機移動手段について述べ
る。焼入機台101の上面に矢印Eの方向に平行且つ水
平に取り付けられた1対のレール111、111には、
電力分配盤39Aの下面に設けた1対のスライダ39
1、391が摺動自在に係合されている。電力分配盤3
9Aの上面には、長尺状の邸材37の一端が固定されて
おり、この部材37の他端にはスプロッケット36が軸
支されている。連結棒33の一端および他端は、それぞ
れトランス取付枠32の上部中央部分に固定した部材3
2aおよび電力分配盤39Aの前面に回動自在に取付け
られている。
【0020】スプロケット36にはチェイン34が巻回され
ており、チェイン34の一端は、連結棒33の前記部材32a
寄りの部分に取り付けられており、他端はバネ35を介し
て部材37の一端近辺に固定されている。38は、連結棒33
をその他端を中心として回動させることによって加熱コ
イル体KPをそれぞれのトランスTPA と共に昇降させるコ
イル昇降装置である。
【0021】焼入機台101 の上面には、矢印Eの方向に
溝102 が穿設されており、この溝102 内に設けたシリン
ダ台103 上に、電力分配盤39A を矢印EおよびFの方向
に移動させる油圧シリンダ393 が配設されている。油圧
シリンダ393 によって進退する図示しないロッドの先端
は、電力分配盤39A の下部に突設した突起392 に接続さ
れている。
【0022】ジャーナル焼入機60Aもピン焼入機30
Aと類似な構造であって、加熱コイルCJとジャケット
ZJとを設けた5個の加熱コイル体KJ、5個のトラン
スTJA、各トランスTJA用に設けた出力端子61、
トランス取付枠62、連結棒63、チェイン64、バネ
65、および歯車66、並びに、電力分配盤69A、1
対のスライダ691および突起692を備えている。な
お、ジャーナル焼入機60Aのジャーナル焼入機移動手
として、前記レール111、溝102、シリンダ台1
03、シリンダ393に、それぞれ対応するレール11
2、溝104、シリンダ台105、シリンダ693が設
けられている。以下の説明に於て、ピン焼入機移動手段
及びジャーナル焼入機移動手段を単に焼入機移動手段と
いう。
【0023】クランクシャフト搬送装置の他部、即ち、
クランクシャフトWA或いはWBを、焼入待機位置3Aと焼入
位置3Bとの間で移動させる装置を、図2と図3を参照し
て説明する。焼入機台101 のほぼ中央部分には、クラン
クシャフトを通過させるための貫通孔110 が開設されて
おり、この貫通孔110 の両側には円筒部材90の両端を回
動自在に支持する1対の軸受93が取り付けられている。
円筒部材90の一端近辺には板状部材91が、また、他端近
辺には板状部材92が、それぞれ、立設されている。
【0024】板状部材91の先端近辺には、シリンダ82が
取り付けられている。81はこのシリンダ82の動作によっ
て進退するセンタであって、クランクシャフトWAの出力
軸側(ジャーナルJA1 側) の端面の中心を、或いは、ク
ランクシャフトWBの出力軸側(ジャーナルJB1 側) の端
面の中心を支持する。
【0025】84はクランクシャフトWAのフランジFAを把
持するチャックである。板状部材92の先端近辺の一方側
にはチャック進退用シリンダ89が取り付けられており、
他方側には、このシリンダ89の動作によって進退するロ
ッド89a と、このロッド89aの先端に固定されたチャッ
ク取付板86が配設されている。
【0026】チャック取付板86の先端近辺の一方側に
は、チャック開閉用シリンダ87と、チャック回転用モー
タ88が取り付けられており、他方側には、シリンダ87の
進退動作をチャック84の開閉動作に変換すると共に、モ
ータ88の回転によって自己も回転してチャック84を回転
させるチャック制御装置85と、このチャック制御装置85
の出力側に設けられているチャック84とが配設されてい
る。
【0027】95はシリンダであり、96はシリンダ95の動
作によって進退するロッドである。そして、ロッド96の
先端は、前記チャック取付板86に回動自在に取り付けら
れている。また、シリンダ95の側面に対向するように突
設した1対の軸97、97は、焼入機台101 に固定したほぼ
F字状の部材98によって軸支されている。
【0028】クランクシャフトWA或いはWBを、焼入待機
位置6Aと焼入位置6Bとの間で移動させる手段は、前記の
クランクシャフトWA或いはWBを焼入待機位置3Aと焼入位
置3Bとの間で移動させる手段と同等である。
【0029】ピン焼入機30B の構造は、ピン焼入機30A
と類似であり、トランスTPA に対応する4個のトランス
TPA と、各トランスTPA から高周波電流を供給される加
熱コイルおよびジャケットとを有する図示しない4個の
加熱コイル体、電力分配盤39B 、および、その他のピン
焼入機30A を構成する部品と同等の部品を備えている。
勿論、加熱コイル体および電力分配盤39B は、クランク
シャフトWBのピンPB1〜PB4 の焼入に適した容量とす
る。また、ピン焼入機30B には、ピン焼入機30Aと同様
に、電力分配盤39B を矢印EおよびF方向へ移動する焼
入機移動手段が設けられている。
【0030】ジャーナル焼入機60B の構造は、ジャーナ
ル焼入機60A と類似であり、トランスTJA に対応する5
個のトランスTJB と、各トランスTJB から高周波電流を
供給される加熱コイルおよびジャケットとを有する図示
しない5個の加熱コイル体、電力分配盤69B 、および、
その他のジャーナル焼入機60A を構成する部品と同等の
部品を備えている。勿論、加熱コイル体および電力分配
盤69B は、クランクシャフトWBのジャーナルJB1 〜JB5
の焼入に適した容量に選定されている。また、ジャーナ
ル焼入機60B には、ジャーナル焼入機60A と同様に、電
力分配盤69B を矢印EおよびF方向へ移動する焼入機移
動手段が設けられている。
【0031】次ぎに、本実施例の動作を説明する。ま
ず、クランクシャフトWAを焼入する場合を説明する。搬
入ステーション1 の固定Vブロック11、11に、最初のク
ランクシャフトWAのジャーナルJA1 とJA5 が載置され
る。可動ビーム昇降装置28および可動ビーム前後進装置
29を起動すると、クランクシャフトWAは、可動Vブロッ
ク21の矢印A方向への上昇途中でジャーナルJA2 とJA4
とが可動Vブロック21、21によって支持され、矢印Bの
方向への前進後、矢印C方向への降下途中にジャーナル
JA1 とJA5 が固定Vブロック12、12に支持されて固定V
ブロック12、12に載置される。次いで、可動Vブロック
21〜27は矢印Dの方向に後退して元の位置に戻り、1サ
イクルの運動を完了する。固定Vブロック11、11には2
番目のクランクシャフトWAが載置されている。
【0032】可動Vブロック21〜27の2サイクルの運動
によって最初のクランクシャフトWAは、焼入待機位置3A
の固定Vブロック13、13上に載置される。この後、シリ
ンダ82、89を動作させてセンタ81とチャック84を進出さ
せ、センタ81でクランクシャフトWAのジャーナルJA1 側
の端面の中心を支持すると共に、シリンダ87を動作させ
てチャック84でクランクシャフトWAのオイルシールフラ
ンジFAの周面を把持する。次いで、シリンダ97を動作さ
せてクランクシャフトWAを矢印Gの方向に移動させて焼
入位置3Bにまで移動させる。
【0033】そして、コイル昇降装置38によって、焼入
位置3Bの上方の待機位置にいた4個の加熱コイル体KPを
矢印Jの方向に降下させてそれぞれピンPA1 〜PA4 に載
置し、モータ88によってクランクシャフトWAを回転させ
ると共に、各加熱コイルCPに、図示しない高周波電源か
ら各トランスTPA を経て、高周波電流を所定時間通電
後、4組のジャケットZPから冷却液をそれぞれピンPA1
〜PA4 に噴射してから、モータ88を停止してクランクシ
ャフトWAの回転を止めてピンPA1 〜PA4 の焼入を終了す
る。
【0034】この後、コイル昇降装置38によって加熱コ
イル体KPを矢印Jと反対方向に上昇させてから、シリン
ダ95を動作させてクランクシャフトWAを焼入待機位置3A
に戻し、シリンダ82、89を動作させてセンタ81とチャッ
ク84とを後退させてクランクシャフトWAを固定Vブロッ
ク13、13上に載置する。
【0035】次いで可動ビーム20の可動ビーム昇降装置
28および可動ビーム前後進装置29による運動を開始し、
可動ビーム20の3サイクルの運動によって最初のクラン
クシャフトWAは、焼入待機位置6Aの固定Vブロック16、
16上に載置される。そして、ピン焼入ステーション3 で
ピンPA1 〜PA4 が焼入されたのと同様な要領でジャーナ
ルJA1 〜JA5 が焼入されてから、可動Vブロック21〜27
の次の1サイクルの運動によってクランクシャフトWAは
搬出ステーション7 の固定Vブロック17、17に載置され
てから、高周波焼入装置外へ搬出される。
【0036】2番目以後のクランクシャフトWAのピンPA
1 〜PA4 とジャーナルJA1 〜JA5 も同様に焼入される。
所定数のクランクシャフトWAの焼入の終了後、クランク
シャフトWBの焼入を行うには、シリンダ393 、693 を動
作させて、電力分配盤39A 、69A のそれぞれの下部に突
出した突起392 、692 に接続されている図示しないロッ
ドを油圧シリンダ393 、693 によって進出させて、電力
分配盤39A 、69A を矢印Eの方向に移動させる。同時
に、電力分配盤39B 、69B を矢印Eの方向に移動させ
て、それぞれ焼入待機位置3A、6Aに移動させる。
【0037】以後は、クランクシャフトWAを焼入する
のと同様にクランクシャフトWBのピンPB1〜PB4
とジャーナルJB1〜JB5を焼入することができる。
所定数のクランクシャフトWBの焼入後、再び、クラン
クシャフトWAを焼入する場合には、電力分配盤39
A、69A、39B、69B、を元の位置に戻せばよ
い。なお前記各電力分配盤の待機位置は例えば図1に示
すようにクランクシャフトWA、WBを焼入する場合に
支障を来たなない位置で、且つ矢印Eの方向、矢印下の
方向の移動距離が最小となるように定めればよい。
【0038】上述のように、本実施例の高周波焼入装置
では、クランクシャフトWAおよびWBのそれぞれのピンと
ジャーナルを焼入する合計4台の焼入機30A 、60A 、30
B 、および60B を、水平に配設されたクランクシャフト
WA或いはWBが搬入から焼入を終えて搬出されるまでのト
ランスフアラインと直角方向に移動可能としているの
で、焼入するクランクシャフトが、クランクシャフトWA
およびWBのいずれであっても、対応する焼入機を焼入ス
テーションに簡単に移動できるから、焼入するクランク
シャフトの種類が変わっても、焼入装置の取り替えに要
する手間がすくない。
【0039】本実施例では焼入機30A 、60A 、30B 、お
よび60B の移動にシリンダを使用した場合を説明した
が、シリンダにこだわるものではなく、他の例えばボー
ルネジとナットの組み合わせ等を使用することができ
る。
【0040】
【考案の効果】以上説明したように、本考案のクランク
シャフトの高周波焼入装置は、ピン及びジャーナルの寸
法、間隔を異にする2種類からなる第1クランクシャフ
トと第2クランクシャフトとのピン及びジャーナルをそ
れぞれ焼入するピン焼入ステーション及びジャーナル焼
入ステーションと、水平に配置されたクランクシャフト
を軸方向と直交する方向に所定距離をもって順次搬送す
る手段とを備えたクランクシャフトの高周波焼入装置で
あって、前記ピン焼入ステーションは、前記軸方向にそ
れぞれ移動可能に設けられ第1クランクシャフトのピン
を焼入する第1ピン焼入機と第2クランクシャフトのピ
ンを焼入する第2ピン焼入機と、ピン焼入機移動手段と
を具備しており、前記ジャーナル焼入ステーションは、
前記軸方向にそれぞれ移動可能に設けられ第1クランク
シャフトのジャーナルを焼入する第1ジャーナル焼入機
と第2クランクシャフトのジャーナルを焼入する第2ジ
ャーナル焼入機と、ジャーナル焼入機移動手段とを具備
しており、前記ピン、ジャーナル焼入機移動手段は、ピ
ン焼入ステーションとジャーナル焼入ステーションとの
略中間位置に背中合わせにそれぞれ配置され、軸方向に
平行して設けられた1対のレールと、前記第1、第2ピ
ン焼入機、第1、第2ジャーナル焼入機にそれぞれ電力
を供給する電力分配盤に設けられ前記レールに摺動自在
に係合するスライダと、スライダを移動させるシリンダ
とを有しており、かつ、ピン焼入機移動手段は、第1ク
ランクシャフトが焼入位置に搬送されてきた場合には第
1ピン焼入機を、第2クランクシャフトが焼入位置に搬
送されてきた場合には第2ピン焼入機を、それぞれ待機
位置よりピン焼入位置に移動させ、ジャーナル焼入機移
動手段は第1クランクシャフトが焼入位置に搬送されて
きた場合には第1ジャーナル焼入機を、第2クランクシ
ャフトが焼入位置に搬送されてきた場合には第2ジャー
ナル焼入機を、それぞれ待機位置よりジャーナル焼入位
置に移動させるようにしたことを特徴とするクランクシ
ャフトの高周波焼入装置。
【0041】このように、本考案のクランクシャフトの
高周波焼入装置では、ピン及びジャーナル焼入機を移動
可能にしているので、1つの種類のクランクシャフトの
ピンとジャーナルとの焼入後、迅速にかつ少ない手間
で、他の種類のクランクシャフトのピンとジャーナルと
の焼入を行うことができる。 従って、全焼入期間が短
縮され、交換に要する手間も少なくなるので生産性が著
しく向上する。
【0042】このように、本考案のクランクシャフトの
高周波焼入装置では焼入機を移動可能にしているので、
第1クランクシャフトの焼入を終了後、第2クランクシ
ャフトの焼入を行えるように焼入機を取り替える手間
要しない。また、第2クランクシャフトの焼入終了後、
再び第1クランクシャフトの焼入を行えるように焼入機
を取り替える手間も要しない。従って、作業効率が良
く、生産性が著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の平面説明図である。
【図2】図1のX−X線矢視断面説明図である。
【図3】図2の矢視M平面説明図である。
【図4】クランクシャフトの正面図である。
【図5】他の種類のクランクシャフトの正面図である。
【符号の説明】
3 ピン焼入ステーション 6 ジャーナル焼入ステーション 8 、9 軸 30A 、30B ピン焼入機 60A 、60B ジャーナル焼入機 JA1 〜JA5 、JB1 〜JB5 ジャーナル PA1 〜PA4 、PB1 〜PB4 ピン WA、WB クランクシャフト

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピン及びジャーナルの寸法、間隔を異に
    する2種類からなる第1クランクシャフトと第2クラン
    クシャフトとのピン及びジャーナルをそれぞれ焼入する
    ピン焼入ステーション及びジャーナル焼入ステーション
    と、水平に配置されたクランクシャフトを軸方向と直交
    する方向に所定距離をもって順次搬送する手段とを備え
    たクランクシャフトの高周波焼入装置であって、前記ピ
    ン焼入ステーションは、前記軸方向にそれぞれ移動可能
    に設けられ第1クランクシャフトのピンを焼入する第1
    ピン焼入機と第2クランクシャフトのピンを焼入する第
    2ピン焼入機と、ピン焼入機移動手段とを具備してお
    り、前記ジャーナル焼入ステーションは、前記軸方向に
    それぞれ移動可能に設けられ第1クランクシャフトのジ
    ャーナルを焼入する第1ジャーナル焼入機と第2クラン
    クシャフトのジャーナルを焼入する第2ジャーナル焼入
    機と、ジャーナル焼入機移動手段とを具備しており、前
    記ピン、ジャーナル焼入機移動手段は、ピン焼入ステー
    ションとジャーナル焼入ステーションとの略中間位置に
    背中合わせにそれぞれ配置され、軸方向に平行して設け
    られた1対のレールと、前記第1、第2ピン焼入機、第
    1、第2ジャーナル焼入機にそれぞれ電力を供給する電
    力分配盤に設けられ前記レールに摺動自在に係合するス
    ライダと、スライダを移動させるシリンダとを有してお
    り、かつ、ピン焼入機移動手段は、第1クランクシャフ
    トが焼入位置に搬送されてきた場合には第1ピン焼入機
    を、第2クランクシャフトが焼入位置に搬送されてきた
    場合には第2ピン焼入機を、それぞれ待機位置よりピン
    焼入位置に移動させ、ジャーナル焼入機移動手段は第1
    クランクシャフトが焼入位置に搬送されてきた場合には
    第1ジャーナル焼入機を、第2クランクシャフトが焼入
    位置に搬送されてきた場合には第2ジャーナル焼入機
    を、それぞれ待機位置よりジャーナル焼入位置に移動さ
    せるようにしたことを特徴とするクランクシャフトの高
    周波焼入装置。
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