JP2541176B2 - スクロ―ル形流体機械の可動スクロ―ル - Google Patents

スクロ―ル形流体機械の可動スクロ―ル

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JP2541176B2
JP2541176B2 JP121991A JP121991A JP2541176B2 JP 2541176 B2 JP2541176 B2 JP 2541176B2 JP 121991 A JP121991 A JP 121991A JP 121991 A JP121991 A JP 121991A JP 2541176 B2 JP2541176 B2 JP 2541176B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スクロール形流体機械
に使用する可動スクロールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種可動スクロールは、第5
図に示したように、鏡板Aの表面側に渦巻体Bを突設す
ると共に、前記鏡板Aの裏面側にクランク軸が挿嵌され
るボス部Cを突設させる一方、前記鏡板Aの外周部に、
相対向するアーム部D,Dから成り、これらアーム部
D,D間にオルダムキー溝Eを形成するキー溝形成部
F,Fを突設させている。
【0003】しかして以上の可動スクロールを簡単かつ
正確に製作することを目的として、同図で示したよう
に、前記鏡板Aの外周部で前記オルダムキー溝E,Eを
結ぶ直線に対し半径方向一側方中間部位に円形仕上げ面
aをもつ突起Gを、また、前記直線に対し半径方向他側
方中間部位に前記円形仕上げ面aと同心円状の円形仕上
げ面b,cを設けると共に、前記鏡板Aの外周部で前記
キー溝形成部F,Fに設けるアーム部D,Dの一方側と
連続する鋳肌部分I,Iを対称状に付加したものを、以
前に提案した(実願平1−204370号)。尚、図5
においてHは、前記突起Gと重量バランスをとるための
突出部である。
【0004】そして、前記可動スクロールを製作するに
際しては、先ず、前記鏡板Aの円形仕上げ面a,b,c
を旋盤のチャックで挟圧保持して、前記鏡板Aの裏面粗
仕上げ加工と、前記ボス部Cの表面粗仕上げ及び内周面
仕上げ加工と、前記各キー溝Eの粗仕上げ加工とを行
い、この後前記ボス部Cをチャックで保持して、前記鏡
板Aの裏面を基準として、該鏡板Aの表面側と前記渦巻
体Bとの粗仕上げ加工を行い、また、この後、前記鏡板
Aの中心に対し同心円状に形成された鏡板Aの円形仕上
げ面a,b,cを旋盤のチャックで挟圧保持して、前記
鏡板Aの裏面側の仕上げ加工を行う。更に、この後、前
記各鋳肌部I,Iの2箇所を平面的に押え付けて、エン
ドミル加工で前記鏡板Aの表面や渦巻体B及び各オルダ
ムキー溝E,Eの仕上げ加工を行うようにしたのであ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】所が、以上の可動スク
ロールでは、エンドミル加工で前記鏡板Aや渦巻体Bな
どの表面仕上げ加工を行うため、前記鏡板Aの外周部に
機能上何ら必要としない2つの鋳肌部I,Iをわざわざ
設けていることから、可動スクロールの全体重量が重く
なる問題があったし、また、鋳肌面2箇所で押えてエン
ドミル加工を行うから、安定性が悪く、加工精度が充分
得られない問題もあった。
【0006】本発明は以上のような問題に鑑みてなした
もので、その目的は、全体重量を軽減できながら、平面
的に押えて加工するときの加工精度を向上でき、渦巻体
の加工時の平面押えを安定よくでき、渦巻体側と反渦巻
体側、即ち、鏡板の表面との位置関係を向上させること
ができる可動スクロールを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、鏡板31の表面に渦巻体32を突設
し、裏面にボス部33を突設すると共に、前記鏡板31
の外周部に、相対向するアーム部36,37から成り、
これらアーム部36,37間にオルダムキー溝38を形
成するキー溝形成部34,35を突設したスクロール形
流体機械の可動スクロールであって、前記鏡板31の外
周部で、前記オルダムキー溝38,38を結ぶ直線に対
し半径方向一側中間部位に、半径方向外方に突出する突
出部39を設けると共に、この突出部39と、前記直線
に対し半径方向他側に位置する前記アーム部36,36
とに、前記渦巻体32の加工時、前記鏡板31を平面的
に押え付ける押圧力を受ける受面39a,36a,36
aを設けたことを特徴とするものである。
【0008】また、前記渦巻体32における巻き終り側
端部は、前記受面36aを設けたアーム部36の突出基
部に位置させることが望ましい。
【0009】更に、前記鏡板31の外周部で、前記オル
ダムキー溝38,38を結ぶ直線に対し半径方向一側方
に設ける突出部39の両側位置と、前記直線に対し半径
方向他側方中間部位で前記突出部39と略対称位置と
に、前記鏡板31の中心に対し同心円の円形仕上げ面4
1a,41b,41cを設けるのが好ましい。
【0010】
【作用】前記可動スクロールの製作時で、前記渦巻体3
2の仕上げ加工を行うときは、前記突出部39と、前記
オルダムキー溝38,38を結ぶ直線に対し半径方向他
側中間部位に位置される前記各アーム部36,36とに
形成した前記各受面39a,36a,36aの3箇所を
平面的に押え付けてエンドミル加工を行うことにより、
前記渦巻体32の仕上げ加工ができるから、この加工を
安定して正確に行われ、また、この渦巻体32の仕上げ
加工に連続して前記鏡板31の表面や前記各キー溝38
の仕上げ加工も行うことができる。このようなエンドミ
ル加工による仕上げ加工時には、従来のように前記鏡板
31に鋳肌部を別途形成するのではなく、この鏡板31
に予め設けられている前記突出部39と各アーム36,
36とを利用し、これら各部に形成する前記各受面39
a,36a,36aの3箇所を平面的に押え付けてエン
ドミル加工を行うのであり、従って、加工時の安定性が
向上し、可動スクロールの全体重量が軽減されながら、
この可動スクロールの正確な製作が可能になり、この可
動スクロールにおける渦巻体側と反渦巻体側との位置関
係を向上させられる。
【0011】また、前記渦巻体32における巻き終り側
端部を、前記受面36aを設けたアーム部36の突出基
部に位置させるときには、エンドミル加工で前記渦巻体
32の巻き終り側端部を仕上げ加工する場合に、この巻
き終り側端部のエンドミルによる撓みつまりスプリング
バックがなくなって、その加工精度が高められる。
【0012】更に、前記鏡板31の外周部で、前記オル
ダムキー溝38,38を結ぶ直線に対し半径方向一側方
に設ける前記突出部39の両側位置と、前記直線に対し
半径方向他側方中間部位で前記突出部39の略対称位置
とに、前記鏡板31の中心に対し同心円の円形仕上げ面
41a,41b,41cを設けるときには、前記鏡板3
1の裏面側及びこの裏面側に設ける前記ボス部33の仕
上げ加工が精度良く行われるし、また、前記突出部39
の略対称位置に円形仕上げ面41cを設けるから、換言
するとこの円形仕上げ面41cを突出状に設けるもので
あるから、前記突出部39に対するバランスウエイトの
作用をし、可動スクロールの重心調整も可能となるので
ある。
【0013】
【実施例】図4はスクロール形流体機械の1部を省略し
た全体構造を示しており、密閉ケーシング1の内方上部
に、固定スクロール2と可動スクロール3とを架構4を
介して上下対向状に配設すると共に、この架構4と前記
可動スクロール3との間に、該可動スクロール3の自転
を阻止して公転駆動させるオルダムリング5を介装させ
る一方、前記ケーシング1における架構4の下部側にモ
ータ6を設けて、このモータ6から延びるクランク軸7
の上部側を前記可動スクロール3に連動連結させてい
る。そして、前記モータ6の駆動に伴う前記クランク軸
7の回転により前記可動スクロール3を固定スクロール
2に対し公転駆動させ、これら各スクロール2,3内に
吸入された冷媒を圧縮して、この圧縮冷媒を前記ケーシ
ング1の上部側に形成した吐出チャンバー8から、該吐
出チャンバー8に開口された外部吐出管9を介して外部
に吐出させるようにしている。
【0014】また、前記可動スクロール3は、第1図及
び第2図で明らかなように、円板状とされた鏡板31の
上部表面側に、前記固定スクロール2に設けた渦巻体2
1と噛み合う渦巻体32を突設させると共に、前記鏡板
31の裏面中央部に、前記クランク軸7の偏心部71が
挿嵌されるボス部33を突設する一方、前記鏡板31の
外周部で左右対向位置に、それぞれ第1及び第2キー溝
形成部34,35を突設させており、これら各キー溝形
成部34,35は、相対向する2つの第1及び第2アー
ム部36,37をそれぞれ備え、これら各アーム部3
6,37間に前記オルダムリング5のオルダムキー51
が挿嵌されるオルダムキー溝38,38を形成してい
る。
【0015】しかして、以上の可動スクロール3におい
て、前記鏡板31の外周部で、前記オルダムキー溝3
8,38の中心を通る直線に対し半径方向一側中間部
位、つまり鏡板31の図1における外周下部側で中間部
位に、半径方向外方に向けて突出する突出部39を設け
ると共に、この突出部39と、前記直線に対し半径方向
他側、つまり、該直線に対し前記鏡板31の図1におけ
る上部側に位置される前記各キー溝形成部34,35の
上部側アーム36,36とに、それぞれ前記渦巻体32
などのエンドミル加工時に、前記鏡板31を平面的に押
え付ける押圧力を受ける受面39a,36a,36aを
形成するのてある。
【0016】また、前記オルダムキー溝38,38の中
心を通る直線に対し半径方向一側中間部位、つまり鏡板
31の図1における外周上部側で中間部分に、前記突出
部39と対称状に突起40を設けて、これら突出部39
と突起40とで前記可動スクロール3の重量バランスを
取るようになすと共に、前記鏡板31の外周部で前記突
出部39の左右両側部分と前記突起40の外周面とに、
それぞれ前記鏡板31の中心イに対し同心円状の円形仕
上げ面41a,41b,41cを形成する。
【0017】そして、前記可動スクロール3を製作時に
は、先ず、前記鏡板31の円形仕上げ面を旋盤のチャッ
クで挟圧保持して、該鏡板31の裏面粗仕上げ加工と、
前記ボス部33の表面粗仕上げ及び内周面仕上げ加工
と、前記各オルダムキー溝38の粗仕上げ加工とを行
い、この後前記ボス部33を同じくチャックで挟圧保持
して、前記鏡板31の裏面側を基準として、該鏡板31
の表面側と前記渦巻体32の外周面との粗仕上げ加工を
行い、また、この後、前記鏡板31の中心イに対し同心
円状に形成された前記各円形仕上げ面41a,41b,
41cの3箇所を旋盤のチャックで挟圧保持して、前記
鏡板31の裏面側及びこの裏面側に設けられる前記ボス
部33の外周面などを仕上げ加工する。このように、前
記各円形仕上げ面41a,41b,41cの3箇所を旋
盤のチャックで挟圧保持して、前記ボス部33の仕上げ
加工を行うことにより、該ボス部33の仕上げ加工精度
が高められる。
【0018】更に、この後、前記鏡板31の前記突出部
39と、前記鏡板31の上部側に位置される前記各キー
溝形成部34,35の上部側アーム36,36とにそれ
ぞれ形成した前記受面39a,36a,36aの3箇所
を平面的に押え付けて、エンドミル加工で前記鏡板31
の渦巻体32の内外周面及び各オルダムキー溝38,3
8の仕上げ加工を行うのである。このようなエンドミル
加工時に、前記各受面39a,36a,36aの3箇所
を平面的に押え付けて行うことにより、前記鏡板31や
渦巻体32及び各オルダムキー溝38の仕上げ加工が安
定して精度良く行われ、しかも、これら各者のエンドミ
ルによる仕上げ加工を連続して行うことができる。ま
た、このようなエンドミル加工による仕上げ加工時に
は、従来のように前記鏡板31に鋳肌部を別途設けるの
ではなく、前記可動スクロール3の加工時に使用される
前記突起40との間で重量バランスを取るために、前記
鏡板31に予め設けられる前記突出部39と、前記各キ
ー溝38,38を形成するために設けられている前記キ
ー溝形成部34,35の各アーム36,36とを利用し
て前記各受面39a,36a,36aを形成するのであ
るから、余分な肉部を設ける必要がなく、従って、前記
可動スクロール3の重量が増大することなく、全体とし
て軽減されながら、この可動スクロール3の正確な製作
が行われる。
【0019】更に、第3図に示したように、前記各受面
39a,36a,36aを設ける前記突出部39と前記
各アーム部36,36とは、それぞれ前記鏡板31にお
ける表面の仕上げ面に対し上方側に突出するように肉盛
り状に残るから、前記受面36aを設けたアーム部36
の突出基部に前記渦巻体32の巻き終り側端部32aを
連続状に形成することにより、エンドミル43で前記渦
巻体32の巻き終り側端部32aを仕上げ加工すると
き、この巻き終り側端部32aが前記肉盛り部で補強さ
れて、前記巻き終り側端部32aが前記エンドミル43
の加工圧で撓んだりすることがく、つまり該エンドミル
43によるスプリングバックがなくなって、前記巻き終
り側端部32aの加工精度が高められる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の可動スク
ロールでは、鏡板31の外周部で、オルダムキー溝3
8,38を結ぶ直線に対し半径方向一側中間部位に、半
径方向外方に突出する突出部39を設けると共に、この
突出部39と、前記直線に対し半径方向他側に位置する
アーム部36,36とに、渦巻体32の加工時、前記鏡
板31を平面的に押え付ける押圧力を受ける受面39
a,36a,36aを設けたから、可動スクロールの必
要部分を利用でき、余分な肉付けをする必要がないか
ら、前記受面39a,36a,36aの三箇所で押えて
加工できるから、加工の安定性を向上でき、渦巻体側と
反渦巻体との位置関係の精度を向上できるのである。
【0021】また、前記渦巻体32における巻き終り側
端部を、前記受面36aを設けたアーム部36の突出基
部に位置させることにより、エンドミル加工で前記渦巻
体32の巻き終り側端部を仕上げ加工する場合に、この
巻き終り側端部のエンドミルによる撓みつまりスプリン
グバックをなくして、その加工精度が高めることができ
る。
【0022】更に、前記鏡板31の外周部で、前記オル
ダムキー溝38,38を結ぶ直線に対し半径方向一側方
に設ける前記突出部39の両側位置と、前記直線に対し
半径方向他側方中間部位で前記突出部39の略対称位置
とに、前記鏡板31の中心に対し同心円の円形仕上げ面
41a,41b,41cをそれぞれ設けることにより、
前記鏡板31の裏面側に設けるボス部33などの仕上げ
加工を精度良く行うことができるし、また、前記円形仕
上げ面41cを形成するための突出部に対し前記突出部
39がバランスウエイトの役目を兼用することになり、
可動スクロールの重心調整も行うことができるのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる可動スクロールの平面図であ
る。
【図2】第1図X−X線の断面図である。
【図3】第1図Y−Y線の拡大断面図である。
【図4】スクロール形流体機械の全体構造を示す1部省
略の縦断面図である。
【図5】従来の可動スクロールを示す平面図である。
【符号の説明】
31 鏡板 32 渦巻体 33 ボス部 34,35 キー溝形成部 36,37 アーム部 38 キー溝 39 突出部 36a,39a 受面 41a,41b,41c 円形仕上げ面

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鏡板31の表面に渦巻体32を突設し、
    裏面にボス部33を突設すると共に、前記鏡板31の外
    周部に、相対向するアーム部36,37から成り、これ
    らアーム部36,37間にオルダムキー溝38を形成す
    るキー溝形成部34,35を突設したスクロール形流体
    機械の可動スクロールであって、前記鏡板31の外周部
    で、前記オルダムキー溝38,38を結ぶ直線に対し半
    径方向一側中間部位に、半径方向外方に突出する突出部
    39を設けると共に、この突出部39と、前記直線に対
    し半径方向他側に位置する前記アーム部36,36と
    に、前記渦巻体32の加工時、前記鏡板31を平面的に
    押え付ける押圧力を受ける受面39a,36a,36a
    を設けていることを特徴とするスクロール形流体機械の
    可動スクロール。
  2. 【請求項2】 渦巻体32における巻き終り側端部を、
    受面36aを設けたアーム部36の突出基部に位置させ
    ている請求項1記載のスクロール形流体機械。
  3. 【請求項3】 鏡板31の外周部で、オルダムキー溝3
    8,38を結ぶ直線に対し半径方向一側方に設ける突出
    部39の両側位置と、前記直線に対し半径方向他側方中
    間部位で前記突出部39の略対称位置とに、前記鏡板3
    1の中心に対し同心円の円形仕上げ面41a,41b,
    41cを備えている請求項1又は2記載のスクロール形
    流体機械の可動スクロール。
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JP4503783B2 (ja) * 2000-05-11 2010-07-14 パナソニック株式会社 スクロール圧縮機
WO2021054241A1 (ja) * 2019-09-20 2021-03-25 株式会社ヴァレオジャパン スクロール圧縮機
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