JP2540143C - - Google Patents

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JP2540143C
JP2540143C JP2540143C JP 2540143 C JP2540143 C JP 2540143C JP 2540143 C JP2540143 C JP 2540143C
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penicillin
synthase
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ビーチヤム・グループ・ピーエルシー
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【発明の詳細な説明】 この発明は、組換え体DNA分子類、特に、β−ラクタム抗生物質類ことにペ
ニシリン類とセファロスポリン類の生合成に関与する1以上の酵素の遺伝情報を
指定する1以上の遺伝子を有するDNAフラグメントが挿入されこれを保有する
微生物宿主を形質転換するのに用いる組換え体ベクター類に関する。 ストレプトミセス・クラブリゲルス(Streptomyces clavuligerus)のごとき
微生物によって産生されるβ−ラクタム抗生物質の生合成の解釈については進展
は遅々としたものであった。それにもかかわらず、ある種のペニシリン類とセフ
ァロスポリン類(セファマイシン類を含む)の生合成経路が密接に関連している
ことが立証されたのである。 イソペニシリンNは、前記両グループの化合物を生合成する場合の中間体であ
り、トリペプチドのδ(L−α−アミノアジピル)−L−システイニル−D−バ
リン(LLD−ACVと呼称される 場合もあるが、この明細書ではさらに簡単にACVと呼称する)にサイクラーゼ
(cyclase)酵素を作用させて製造される。中間体のイソペニシリンNはペニシ
リンGに変換することができるが、エピメラーゼ酵素の作用でペニシリンNにも
変換することができる。そして、後者のペニシリンNから、最初の、エクスパン
ダーゼ(expandase)酵素による環拡大反応(ring expansion)とこれに続く多
段の経路によって、種々のセファロスポリン類やセファマイシン類が誘導される
。この技術の水準を最近要約したものが、J.F.MartinおよびP.Liras,
Trend in Biotechnology,1985, 3,39-44に記載されている。セファマイシ
ンCを生合成する場合、まずペニシリンNがデアセトキシセファロスポリンCに
変換され、次いでこのデアセトキシセファスポリンCがジオキシゲナーゼ酵素に
よってデスアセチルセファロスポリンCに変換される。このデスアセチルセファ
スポリンCはO−カルバモイル化されてO−カルバモイルデスアセチルセファロ
スポ リンCに変換され、ついでこのカルバモイル化物がセファマイシンCに変換され
る。セファマイシンCの7α−メトキシ基は、次の2工程によって、すなわち、
O−カルバモイルデスアセチルセファロスポリンCに7−ヒドロキシラーゼ酵素
を作用させて、その7α−ヒドロキシ誘導体を得、次いでメチル化反応に付する
ことによって誘導されるということは、J.D.Hoodらの研究(J.Chem.S
oc.Chem.Commun,1983,第1187-1188頁およびその引用文献)に照らして可
能であろう。 現在よく知られているように、組換え体DNA技術によって、あるベクターが
有するDNAを宿主細胞に挿入することによって、形質転換された宿主に、挿入
DNAが有する遺伝子がエンコード(encode)するどんな蛋白質や酵素でも合成
する性能を付与することが可能である(組換え体DNA方法論の充分な検討、こ
の明細書に用いる用語の辞典については、R.W.OldとS.B.Primrose著
、第3版、Blackwell Scientific Publications,1985の“Principles of gene manipulation”を
参照のこと)。 シイ・アクレモニウム(C.acremonium)由来のイソペニシリンNシンテター
ゼ(サイクラーゼ)遺伝子のイー・コリ(E.Coli)における分離と発現は最近
、S.M.Samsonらによって報告された(Nature.1985, 318,191-194)。 この発明を明確にするため、下記の図面が参照される。 第1(a)図は、ペニシリンとセファロスポリンの生合成に関与する遺伝子の遺
伝情報を指定するエス・クラブリゲルスATCC27064染色体DNA(I)のエ
ンドヌクレアーゼ制限地図である。 第1(b)図は、プラスミドpBROC138内に含まれるDNA(I)の一部分の
エンドヌクレアーゼ制限地図である。 第1(C)図は、プラスミドpBROC137内に含まれるDNA(I)の一部分の
エンドヌクレアーゼ制限地図である。 第1(d)図は、プラスミドpBROC303内に含まれるDNA(I)の一部分の
エンドヌクレアーゼ制限地図である。 第2図は、プラスミドpBROC137とpBROC138のエンドヌクレアーゼ制限
地図である。 第3図は、プラスミドpBROC303のエンドヌクレアーゼ制限地図である。 したがって、この発明は、ペニシリンとセファロスポリンのβ−ラクタム化合
物の生合成に関与する1以上の酵素の遺伝情報を指定する1以上の遺伝子を有す
る、第1(a)図に示す制限座位の配置を有するDNA(I)またはそのDNA由
来のフラグメントを提供するものである。 さらにこの発明は、ペニシリンおよびセファロスポリンのβ−ラクタム化合物
類の生合成に関与する1つ以上の酵素の遺伝情報を指定する1以上の遺伝子を有
する挿入DNAもしくはこのDNA由来の制限フラグメントを有し、前記DNA
が第1(a)図に示す制限座位の配置を有する、宿主細胞を形質転換できる組換え
体ベクターを提供するも のである。 したがって、この発明は他の態様として、この発明の組換え体ベクターによっ
て形質転換された宿主細胞を提供するものである。かような宿主細胞として適切
なのは微生物であり、好ましいのは、イー・コリ(E.coli)、ストレプトミセ
ス属の微生物の、例えばエス・リビダンス 66(S.lividans 66)(DSM寄
託番号第1567号)である。 当業者によって容易に認識されることであるが、式I(a)に示す全DNAセグ
メント(I)をこの発明の組換え体プラスミドに利用することは不便で望ましく
ないことである。したがって、式I(a)に示す全長のDNA(I)由来の適切な
制限フラグメントは、ペニシリン類とセファロスポリン類の生合成に関与する1
以上の完全な遺伝子を有する場合、挿入DNAとして用いることができる。 この発明の制限フラグメントは、公知の方法により、適切な制限酵素で開裂す
ることによってDNAセグメント(I)から得ることができる。 特に好ましいDNAフラグメントとしては、前記第1(b)図、第1(C)図および
第1(d)図に示す制限座位の配置を有するDNAフラグメントが挙げられる。 第1〜3図において、略記号ClaI、BclIなどは制限エンドヌクレアーゼ類
の通常の略記号であり(OldおよびPrimroseの前記文献参照)、アガロースゲ
ル電気泳動法で行ったサイジング実験によって測定したものであるがDNAのお
よその長さ〔キロベース(Kb)〕を示した。第1〜3図は、前記サイジング実
験によって測定された、制限酵素開裂座位の近似の位置を示すもので、図示した
DNAに存在する可能性のあるすべての制限座位を、示そうと必ずしも意図する
ものではないと解されるべきである。 第1(a)図に示されるDNAまたは第1(b),1(c)および1(d)図に示すフラグ
メントのような前記DNA由来の適切な制限フラグメントは、ペニシリン類もし
くはセファロスポリン類の生合成に関与する酵素の遺伝子情報を指定する遺伝子
を発現で きるいずれの宿主細胞でも形質転換しうるいずれのベクターにも連結することが
できる。 この発明のDNAを発現できる適切な宿主細胞としては、イー・コリ、ペニシ
リウム(Penicillium)種、セファロスポリウム(Cephalosporium)種、また
はエス・クラブリゲルスおよびエス・リビダンスのようなストレプトミセスの種
(スペシーズ)が挙げられる。 通常、この発明のDNAがクローンされるベクターは、プラスミドであり、例
えばストレプトミセス属の菌(Streptomycete)由来のプラスミド、またはテン
ペレートファージもしくはビルレントファージである。 適切なベクターの例は、pIJ702(分子量8.9メガドルトン)であり、すな
わちKatz,E.ら、J.Gen.microbiol.1983, 129,2703-2714に記載された
高コピイ数プラスミドでJohn Innes Institute,Norwich,英国より入手可
能である。 適切なテンペレート ファージの例は、φC31 として知られているファージであり、Lomovskaya,N.D.,Chater,K.F.
,Mkrtumian,N.M.,Bacheriol.Rev.,1980, 44,206〜229に記載されて
いる。 この発明の組換え体ベクターは、第1(a)図に示す挿入DNAもしくはこのD
NA由来の制限フラグメントを、選択された〔線形化(linearized)〕ベクターに
、任意の便利な方法例えば付着端の直接接合法、ホモポリマー・テーリング法(
tailing)またはリンカーもしくはアダプター分子により、連結することによっ
て製造することができる。 上記の方法によって製造された組換え体ベクターは、2つの可能な配向のうち
の一つの配向の挿入DNAを有していることが分かる。両方の配向を有する組換
え体ベクターもこの発明の権利範囲に含まれる。 適切な組換え体ベクターは、上記の第1(b),1(C)および1(d)図に示す制限
座位の配置を特徴とするDNAフラグメントを有するプラスミドである。 好ましい組換え体分子は: (i) 第1(b)図に示すDNAフラグメントがpIJ702のBglII座位に挿入され
ているか(その構造物は以下にpBROC138と呼称される)、 (ii) 第1(C)図に示すDNAフラグメントがpIJ702のBglII座位に挿入さ
れているか(その構造物は以下にpBROC137と呼称される)、または (iii) 第1(d)図に示すDNAフラグメントがpIJ702のBglII座位に挿入さ
れている(その構造物は以下にpBROC300と呼称される) 分子である。 この発明のDNAを作製するために、ランダム配列のDNAフラグメントをエ
ス・クラブリゲルス(ATCC27064)の全細胞DNAを任意の便利な制限酵素
で部分消化することによって生成させることができる。エンドヌクレアーゼSau
3AI(以下Sau 3Aと略記する)とそのアイソシゾマー類は、この目的に
特に適している。 次いでこのDNAフラグメントは、ショ糖勾配 法でサイズの分画がなされ、3Kbを超え好ましくは15Kbを超えない長さのフラ
グメントが分離される。好ましいフラグメントは大きさが4〜14Kbのものである
。次いでそのDNAフラグメントは、適切に開裂されたベクター例えばpIJ702
に通常の“ショット・ガン”法によって連結され、再環化した後、その組換え体
ベクターは、セファマイシンCを産生する性能の欠除しているエス・クラブリゲ
リスの菌株に形質転換される。 この目的のために適切なエス・クラブリゲルスの菌株は、エス・クラブリゲル
スNCP−5であり、これは、Beecham Culture Collectionに1986年1月29
日付けで寄託番号BCC1で寄託され、その後the National Collection of
Industrial and Marine Bacteria,Aberdeen,Scotlandに移され、その寄
託(NCIB 12208,1986年2月19日付で寄託)は、特許手続上の微生物の寄
託の国際的承認に関するブタペスト条約に基づいて行われた。 したがって、エス・クラブリゲルスNCIB 12208はこの発明の他の態様を形成する。 エス・クラブリゲルスNCP−5(エス・クラブリゲルスNCIS12208)の
派生と特性は次のとおりである。エス・クラブリゲルスNCP−5の派生(derivation) エス・クラブリゲルス(ATCC27064)の試料の密封アンプルを開いたとこ
ろ種々の形態を示した。14の異なるタイプが認められた。これらの一つを、エス
・クラブリゲルスSC−2として分離した。これを培養すると、エス・クラブリ
ゲルスSC−2自体が種々の形態を示した。‘小さな’変種の一例から、‘大き
な’コロニイの変異細胞が自然に得られ、エス・クラブリゲルスNCP−5と命
名された。エス・クラブリゲルスNCP−5の分類 エス・クラブリゲルスNCP−5の分類学的および形態学的性質は、エス・ク
ラブリゲルス(A TCC27064)のそれに本質的に類似していることが見出された。これらの性質
については、米国特許第3,862,008号やHiggins,・C.E.およびKastner,R
.E.のInt.J.Systematic Bacteriol.,1971,21,326-331にも記載されて
いる。エス・クラブリゲルスNCP−5の培養法は、英国特許第1,508,977号明
細書に、エス・クラブリゲルス(ATCC27064)について記載された方法と類
似している。 前記“ショットガン”法によって得られた形質転換細胞は、セファマイシンC
に感受性の微生物に接触させてその微生物の増殖特性を試験することによって、
セファマイシンCの産生能についてスクリーニングされる。この目的に適切な微
生物はエイ・フェカリス(A.faecalis)である(the National Collection
of Industrial and Marine BacteriaにNCIS8156の寄託番号で寄託されて
おり、また請求があればいつでもthe Beecham Culture Collection(寄託番
号BCC2)から誰でも入手しうる)。スクリー ニングのために、エイ・フェカリースは、寒天プレート上で便利に培養され、次
いで相補性試験が、当該技術分野で公知の通常の方法で形質転換細胞類のプラグ
を寒天プレートに挿入することによって行われる。 エイ・フェカリスのようなセファマイシン感受性微生物を新たに接種した培地
に成育阻害領域を生成する性能によって陽性と確認された形質転換細胞が単離さ
れ、これに保有されている組換え体ベクターが‘陽性’の各コロニイから通常の
方法で単離される。その組換え体ベクターを適切な制限酵素で消化することによ
って、各ベクターに挿入されたエス・クラブリゲルスDNAは、この発明のDN
Aを保有しているということを調べるために通常の方法で種々の制限酵素で開裂
することによって確認され、大きさを測定し地図にされる。 かようにして単離された2以上の‘重複’挿入体は、全部もしくは部分的にこ
の発明のDNAに含まれているが、小さすぎてペニシリン類およびセファロスポ
リン類の生合成に関与する完全な遺 伝子(intact gene)を入れることができないので、通常のしかたで、共通の制
限座位を開裂し次いで連結する(例えばDNAリガーゼによって)ことによって
しばしば融合されて、例えばpBROC137とpBROC138の挿入DNAもしくは
前記定義のこれらのDNA由来の適切な制限フラグメントが得られる。 DNAセグメントIは、pBROC137もしくはpBROC138のエス・クラブリ
ゲルスDNAを用い、エス・クラブリゲルスの全細胞DNAとpHC79〔Hohn,
B.およびCollins,J.,(1980),Gene, 11,291〕とで作製されたコスミ
ドを保有するイー・コリ細胞を、コロニイ・ハイブリッド形成法によって、同定
することによって単離される。次いでプラスミドpBROC303がpIJ702とセグ
メントI(d)のDNA(フラグメントIから得られる)とから、簡単なサブクロ
ーニング法によって組立てられる。 ペニシリン類とセファロスポリン類の生合成に関与する酵素の生産は、この発
明のDNAを適切 なベクター例えばpIJ702に再挿入し、次いで適切な宿主微生物、例えばエス・
リビダンス66(DSM1567)を、前記のようにして作製した組換え体ベクターで
形質転換することによって達成される。 このようにして製造された特に価値のある酵素には、‘サイクラーゼ(cyclas
e)’すなわちイソペニシリンNシンテターゼ(ACVをイソペニシリンNに変
換できる)、‘エクスパンダーゼ’すなわちデアセトキシセファロスポリンCシ
ンテターゼ(ペニシリンNをデアセトキシセファロスポリンCに変換できる)、
‘エピメラーゼ’すなわちペニシリンNシンテターゼ(イソペニシリンNをペニ
シリンNに変換できる)およびO−カルバモイルデスアセチルセファロスポリン
C−7−ヒドロキシラーゼ(O−カルバモイルデスアセチルセファロスポリンC
とセファロスポリンCとをそれぞれの7-ヒドロキシ誘導体に変換できる)として
、当該技術分野で知られている酵素(J.F.MartinおよびP.Lirasの前記
文献)が含 まれる。エス・クラブリゲルスATCC27064の前記酵素類やペニシリン類とセ
ファロスポリン類の合成をもたらす性能を有するいずれの他の蛋白類も、この発
明の形質転換された宿主によって産生される場合は、この発明の他の態様を形成
するものである。これら蛋白や酵素類は高純度の形態で得ることが好ましい。 かような蛋白や酵素は、通常の方法によって単離・精製される。 この発明のDNAとこれを保有するベクターは、工業界の多くの分野で用途が
見出されている。このようなことは、前記ベクターで形質転換された宿主微生物
およびその微生物が発現する酵素にもあてはまる。例えばこのDNAは、ハイブ
リッド形成プローブとして利用して、エス・クラブリゲルス(ATCC27064)
や、類似の構造と特異性を有する酵素を産生する他の微生物の全細胞DNAに存
在する、関連もしくは重複の遺伝子を同定・単離することができる。したがって
、この発明は微生物内でβ−ラクタム抗生物質の生合成に関 与する遺伝子を単離するために、β−ラクタム抗生物質産生の微生物のDNAに
ハイブリッド形成できるDNA(I)もしくはそのフラグメントの使用を提供す
るものである。前記DNAを保有する組換え体ベクターは、適切な宿主に形質転
換されると、セファマイシンCのような価値ある抗生物質を多量に合成する遺伝
学的に改変された微生物を製造したりまたは遺伝子転移法による新規なもしくは
ハイブリッドの抗生物質を生成させる(例えばD.A.Hopwoodら、Nature,1
985, 314,642-644参照)のに有用である。この発明のDNAによってエンコー
ド(encode)されている酵素は特に、例えば公知のβ−ラクタム抗生物質を、そ
の天然の前駆体から製造したりまたは新規なβ−ラクタム抗生物質を例えば化学
合成法で得られた非天然の前駆体から製造したりするために適切な固体の担体に
固定化される場合、細胞の存在しない系で使用することができる。 この発明のDNAもしくはそのフラグメント(完全な遺伝子を必ずしももって
いない)は、組 換え体DNAの技術もしくは天然の組換え工程によって、β−ラクタム合成に関
与する遺伝子のフラグメントと結合され、ハイブリッド酵素の合成を命令しうる
ハイブリッド遺伝子が製造される。かような酵素類は、前記方法と類似の方法に
よって新規な抗生物質を製造するのに用いられる。 またこの発明のDNAは、特定部位の突然変異誘発法の公知の技術(例えば、
G.Winterら、Nature,1982, 299,756-758又はZollerとSmith,Nucleic
Acids Research,1982,10,6487-6500に記載されたのと類似のしかた)によ
って改変され、特異な突然変異および/または欠失がなされたDNAが得られる
。その突然変異DNAは、β−ラクタム抗生物質を産生することがすでに知られ
ている適切な宿主微生物から公知のβ−ラクタム抗生物質を増大した収率(また
はタイター)で得るために使用される。またこの突然変異DNAは、遺伝子転移
法によって新規もしくはハイブリッドの抗生物質を得るのに用いられ、または上
記記載の方法と類似の方法によって 新規な抗生物質を製造するのに用いうる突然変位酵素(ムューテイン,mutein)
の産生に用いられる。かような突然変異DNAはこの発明の範囲内にあると解さ
れる。 この発明を下記実施例で説明するが、本願発明を限定するものではない。 実施例 製造例1 Sau 3Aで消化されたエス・クラブリゲルス27064 DNAの4〜15Kb
の大きさのピースの単離 (a)全細胞DNA(total cellular DNA)をエス・クラブリゲルス27064から下記の
方法で製造した。 i)エス・クラブリゲルス27064の胞子を、トリプトン・ソヤ・ブロスマルトー
ス増殖培地入りの2つの振盪フラスコ(30ml/250mlスプリング振盪フラスコ
;トリプトン・ソヤ・ブロス30g/l,マルトース10g/l)に接種し、26℃で4
8時間(240rpm)培養した。 ii)菌系体(mycelium)を、10,000Gで遠心分離して収穫した。 iii)上澄フラクションを流出させ、ペレットを10mlの溶解液(lysing solut
ion;50mMトリスpH 8.5,50mM Na2EDTA,15%庶糖、リゾチーム3mg/ml)に
再懸濁させ、37℃で1時間培養した。 iv)2mgのプロティナーゼK(SIGMA chemicals社)含有のナトリウムラウリルサルフェート(10%溶液)の0.5ml
を添加し、培養を15分間続け、さらにSLS/Prot K溶液を加え培養をさらに15
分間続けた。 v)酢酸ナトリウム(0.3Mまで)と氷冷エタノール(2容積)とを加えた後、D
NAをガラス棒でまき取った。これを数回繰返しDNAの半透明粘性の製剤を得
た。(b)エス・クラブリゲルス27064からの染色体DNAのSau 3Aによる部分消化 180μgの全細胞DNAを、推奨された緩衝液中、12単位のSau 3A制限酵素(
NEW ENGLAND BIOLABS供給)とともに30分間37℃で培養した。酵素を70℃で
変性させることによって反応を停止させた。DNAの消化の度合をアガロースゲ
ル電気泳動法によって試験したところ、得られたフラグメントは15Kb〜0.16
Kbの大きさの範囲にあることが見出された。(c)ショ糖勾配法(40〜10% W/v)によるSau 3Aによって部分的に消化されたDNA
の分画 ショ糖の勾配法(40〜10%)を“Genetic ManipuLation of Streptomyces-A Labo
ratory Manual,著者:D.A.Hopwoodら,the John Innes Foundation発行1985”に
記載してあるのと同様にして、ショ糖の勾配(40〜10%)を13mlの遠心分離管内に
作製した。 エス・クラブリゲルス27064DNAのSau 3Aによる部分消化物(0.5ml中100μ
g)を前記ショ糖勾配の上面に注意深く積層し、その系を21時間30000rpm(105
gav)で遠心分離した。 遠心分離管を遠心分離器から取り外し、該分離管の底部にあけた孔から、400
μlづつのフラクションを採取した。これらのフラクションの5μl試料をゲル電
気泳動法で試験し、大きさが4〜14KbのDNAを含有することを示したフラ
クションを集めた。 このようにして、Sau 3Aで消化され、大きさが4−14KbのDNAの12μ
gを得た。製造例2 エス・クラブリゲルス27064DNAのSau 3Aによるフラグメントをク
ローンするのに適 切なpIJ702ベクターDNAの製造 (a)プラスミドDNAの単離 エス・クラブリゲルス27064:pIJ702の胞子を振盪フラスコ中のTSB/マル
トース培地[培地調製に関する製造例1(a)参照]に接種した。プラスミドの安定
性を保持するためにチオストレプトンを2.5μg/mlまで添加した。微生物を4
8時間、26℃で培養した。pIJ702[Katz,E.ら,J.Gen.Microbiol.(1983)129,27
03-2714参照]プラスミドを、中性溶菌法(the Neutral Lysis Procedure,Hopwo
odら,1985の前記文献参照)を用いて菌系体から単離した。このようにして、pI
J 702DNAの50μgを単離した。(b)エス・クラブリゲルス27064からのpIJ702DNAのBglIIによる消化 30μgのpIJ 702 DNAを、推奨の制限緩衝液(全容積400μl)中のBglII
制限酵素(Amersham Internationalにより供給された100単位)で、30分間3
7℃で消化した。 70℃で30分間培養することによって反応を 停止した。 反応混合物の試料をアガロースゲル電気泳動法(0.7%ゲル)で試験したところ
、当初存在した共有閉環状プラスミド[closed covalent circular(ccc)plasmid
]はすべて直線形に変換していた。(c)BglIIで消化されたpIJ 702DNAの小牛の腸のアルカリ性ホスファターゼ(
CIAP)による処理 この処理は、“Molecular Cloning-A Laboratory Monual,“Maniatis,T.ら,c
old Spring Harbour Laboratory(1982)発行”に記載されているのと同様にして
行った。 T4DNAリガーゼの存在下、CIAPで処理したDNAを試験した結果、酵素に
よって脱リン酸化を行った後は、もはや自己連結(self-ligate)しないことが分
かった。製造例3.エス・クラブリゲルス27064の、3au 3Aで消化された全細胞DNAと
、BglIIで消化されCIAPで処理されたpIJ702DNAとの連結 Sau 3Aで消化されたエス・クラブリゲルス 27064の染色体DNA(4-14Kb)の1μgを含有する15μlの水を入れた12
の各容器に、BglIIで消化されCIAPで処理されたpIJ702(0.5μg/ポット)含
右の緩衝液100μlを加えて、最終濃度を1.5μgDNA/150μl、トリス塩酸
pH7.5緩衝液(66mM)、MgCl2(6.6mM)、ジチオトレイトール(10mM)およびアデノ
シントリホフエート(0.4mM)とした。T4DNAリガーゼ(0.1単位、Amersham I
nternational社より供給)を各ポットに添加し、各系を15℃で72時間培養し
、必要な容器に移した。製造例4.エス・クラブリゲルスNCP-5:pIJ702/27064クローンのライブラリイの
作製 (a)pIJ702中に挿入されたDNAの頻度とDNA挿入体の大きさに関する、エ
ス・リビダンス66内の連結DNAの試験 1.5μgの連結DNA(エス・クラブリゲルス27064から製造され、BglIIで
消化されCIAPで処理されたPIJ702を連結したエス・クラブリゲルス27064のSau 3
Aによって得られた4−14Kbの フラグメント)を10μlのTE緩衝液(1mM Na2EDTA,10mMトリス塩酸pH8
.2)に溶解し、その5μlづつの2つのを、エス・リビダンス66(DSM 1567
)の原形質体[1010原形質体/ml,25%ポリエチレングリコール(平均分
子量1000)の存在下、“Genetic Manipulation of Streptomyes-A Laboratory M
annual”に記載したのと同様にして製造]の100μlづつの2つの形質転換する
のに用いた。 形質転換した後、その原形質体の10-4まで希釈した液を、プレート上のR2
YE寒天に塗布した(Hopwoodらの前記文献参照)。 32℃で24時間培養した後、プレートを軟普通ブイヨン寒天(SNBA)[8g
Difco普通ブイヨン/l、プラスミドが産生するコロニイを選択するためのチオ
ストレプトン抗生物質(500μg/l)と、これらのコロニイが産生する、pIJ702のme
l遺伝子に挿入体を持つプラスミドを検出するためのL−チロシン(1g/l)
とを含有する3g寒天/l]でオーバーボアーした(overpour)。 数日の培養後、黒色コロニイの頻度(2%を超えない)と連結DNAの形質転
換効率(9.3×103形質転換体/μgDNA)を、カウンティング(counting)によ
って確認することができた。 前記の方法(製造例2a)で、エス・リビダンス66の10ケの白色コロニイ
からプラスミドを調製した。これらのプラスミド製剤をBclI制限酵素で消化し
、次いでアガロースゲル電気泳動法でDNA挿入体の大きさを測定した。 このようにして測定した結果、クローンされたDNAの平均の大きさは5Kb
であった。(b)連結DNA試料のエス・クラブリゲルスNCP-5(エス・クラブリゲルスNCIB 12
208)への形質転換 1.5μgの連結DNAを、2×5μlのT.E.緩衝液内で、2×100μlのエス
・クラブリゲルスNCP−5原形質体(1010原形質体/ml,前記のHopwoodら(1
985)の文献に記載されたのと同様にして製造]に形質転換した。この形質転換さ
れた原形質体を、26℃でR5寒天[100gショ糖/l、10 gデキストリン/l、5.1gMgCl2・6H2O/l,1gカザミノ酸/l,0.05gMgS
O4・7H2O/l,2.5gL-アルギニンHCl/l,1ml微量元素/l,20g Oxoid Technica
l Agar No.3/1,0.05g KH2PO4/l,3.7g CaCl2・2H2O/l,5.7g TES緩衝液PH7.2/l]
上で再生させた。なお微量元素溶液は、FeSO4・7H2O1g/l,MnCl2・4H2O1g/l,ZnSO
4・7H2O1g/lを含有している。48時間再生させた後、チオストレプトン(50μ
g/ml)含有のSNBA(製造例4aに記載したのと同一)で覆うことによってチ
オストレプトン耐性コロニイを選択した。さらに72時間後、形質転換されたコ
ロニイを個々にかきとって、抗生物質生産に適切なひとつの普通寒天培地上に配
列した。この寒天培地は、デキストリン10g/l、K2HPO41g/l、MgSO4・7H2O
1g/l、(NH4)2SO41g/l、Indust-rial chalk 4g/l、微量元素溶液1ml、寒天20g
/l、酵母エキス2g/lおよび細菌学的ペプトン2.5g,/lを含有するM5D+
天培地である。またその微量元素溶液は、FeSO4・7H2O 0.1%、MnCl2・4H2O 0.1
%およびZnSO4・7H2O 0.01%並びにチオストレプ トン(2.5μg/ml)を含有している。 pIJ702:エス・クラブリゲルス27064DNAプラスミドによって与えられたチオ
ストレプトン耐性を示した4500のNCP−5コロニイをこの方法で得た。製造例5.セファマイシンC産生のためのNCP−5:pIJ 702/エス・クラブリ
ゲルス27064ライブラリイのスクリーニング M5D+寒天培地上26℃で10日間培養した後、8mm径の寒天プラグをそ
れぞれの菌糸体パッチから切りとり、アルカリゲネス・フェカリス(Alcaligenes
faecalis)ATCC 8750/NCIB 8156を予め新たに接種したDST寒天培地(40g Oxo
id DST寒天/l水)上に置いた(Claridge,C.A.およびJonson,D.L.(1962)Antimicr
ob.Ag.Chemother.682-686参照)。この生物は、セファロスポリンCとセファマ
イシンCのごときある種のセファロスポリン類に感受性であるが、用いられる増
殖条件下でNCP−5によって産生される低濃度のクラバラン酸の存在下でさえ
もペニシリンNには感 受性ではない。従ってペニシリンNとクラバラン酸のみを産生したNCP−5は
通常、エイ・フェカリスNCIB 8156の増殖を阻害するゾーンを与えない。しかし
その親のエス・クラブリゲルス菌株は上記のゾーンを与える(この菌株は、ペニ
シリンN、クラバラン酸およびセファマイシンCを産生するからである)。前記
プラグからの抗生物質を、DST/エイ・フェカリス寒天に拡散させ、37℃で
一夜培養した後、エイ・フェカリスの増殖状態を、抗生作用のゾーンについて試
験した。 このようにして、クローンのライブラリーの任意のメンバーによるセファロス
ポリン抗生物質類産生の可能性を調べた。2つのクローンの、標識されたNCP
−5/36/5とNCP−5/10/7とは、エイ・フェカリスに対して抗生作用のゾーンを
与えることが見出された。製造例6.NCP-5/36/5とNCP-5/10/7のプラスミド含量の試験 (a)プラスミドの物理試験 プラスミド製剤をNCP-5/36/5とNCP-5/10/7とか ら製造例2aに記載したのと同様にして作製した。ふたつのポジティブ(positi
ve)の各々の30ml培養物から、数μgのプラスミド物質を単離することがで
きた。制限酵素座位の地図を作成したところ、プラスミドの一つの種だけがNCP-
5/10/5に存在し、別のひとつの種のみがNCP-5/10/7に存在するということを明確
に示した。制限地図(第1図参照)は、pIJ 702に、約5.7Kbと約5.8KbのD
NA挿入部をそれぞれを有するNCP-5/36/5とNCP-5/10/7から単離されるというこ
とを示唆している。この二つのDNA挿入体は、地図にされた制限酵素座位によ
って示唆されているように、ほぼ2.7Kbの共通フラグメントを有するようであ
る。次いでこのことは、pBROC138の32Pで標識された各フラグメントがpBROC137
DNAの予測された部分と広範なハイブリッドを形成するのをサザン分析法でし
めすことによって証明された。(b)プラスミドpBROC 137とpBROC 138のNCP−5への再導入 pBROC 137とpBROC 138とDNAの100ノナグラ ムづつを、エス・クラブリゲルスNCP−5を再形質転換するのに用いた。その
形質転換されたコロニイを分離し、製造例5に記載したのと同様にしてエイ・フ
ェカリス バイオアッセイ・プレートで試験した。 pBROC 137もしくはpBROC 138で形質転換されたNCP−5のコロニイ全部の少
なくとも90%が、エイ・フェカリスに抗生作用のゾーンを与えることができる
ことが明らかになった。このことは、pBROC 137とpBROC 138中に存在するDNA
が、NCP−5の受ける突然変異を修復できる遺伝情報を有することを立証して
いる。製造例7.pBROC 137、pBROC 138およびpBROC 303によってストレプトミセス・
リビダンス66に与えられる新規な酵素活性の測定 100ナノグラムづつのpBROC 137DNA、pBROC 138DNAおよびpBROC 303DN
Aを、エス・リビダンス66に形質転換した(製造例4aに記載したのと同様に
して)。 エス・リビダンス66:pBROC137、エス・リビダ ンス66:pBROC138およびエス・リビダンス66:pBROC 303の培養物を、YEME(30m
lグルコース10g/l、ショ糖340g/l、麦芽エキス3g/l、細菌学的ペプ
トン5g/l、酵母エキス(Oxoid)3g/lからなり、チオストレプトン抗生物質を
50μg/ml含有する)の振盪フラスコ中で培養した。この培養物を、48時間
、32℃、240rpmで培養した。菌糸体を10,000gで遠心分離して収穫し、トリス
塩酸緩衝液pH7.0(0.05M)で洗浄した。菌糸体を再び遠心分離し、ペレットを2.
5mlのトリス緩衝液中に再懸濁させた。1000psiでフレンチ・プレッシャー・セ
ルを用い細胞を破壊し、破壊細胞の製剤を105gで60分間遠心分離し、細胞
を含有せず粒子のない、溶解性酵素製剤を得た。(a)エクスパンダーゼ酵素活性の例証 エス・リビダンス66:pIJ 702、エス・リビダンス66:pBROC 137およびエス・リ
ビダンス66:pBROC 138由来の酵素製剤を、環拡大アセイシステムに用いて(Jens
en,S.E.,Westlake,D.W.S.およびWol fe.S.,(1983)Antimicrob.Ag.Chemother.24(3)307-312に記載してあるのと同様に
して)、デアセトキシセファロスポリンCシンテターゼの存在を測定した。 これらの著者によって記載された、イー・コリESS/ペニシリナーゼ(DIFCO
Penicillinase Concentrate 104u/ml)バイオアセイシステムを利用することに
よって、エス・リビダンス66:pIJ 702エキストラクトはペニシリンNをペニシリ
ナーゼ耐性抗生物質に形質転換できないが、一方エス・リビダンス66:pBROC 137
とエス・リビダンス66:pBROC 138からのエキストラクトは前記形質転換を行うこ
とができることを示すことができた。エス・リビダンス66:pBROC 137酵素エキス
トラクトは、前記アッセイシステム中のペニシリンNをペニシリナーゼ耐性抗生
物質に十分形質転換することができたが、エス・リビダンス66:pBROC 138からの
酵素エキストラクトは、この点について著しく低い活性を示した。次いで環拡大
試験体を、ペニシリンN、デアセトキシセファロスポリンC およびデアセチルセファロスポリンCの標準試料とともに、セルロースの薄層ク
ロマトグラフィ用プレート上でクロマトグラフィ(ブタノール/酢酸/水,3/1/
1)に付した。寒天含有のイー・コリESS/Difcoペニシリナーゼ上のクロマト
グラフィのバイオアッセイによって、37℃で一夜培養後に、エス・リビダンス
66:pBROC 137酵素エキストラクトはペニシリンNをデアセトキシセファロスポリ
ンCに形質転換するが、エス・リビダンス66:pIJ 702からの酵素のエキストラク
トはこの形質転換を行わないことが分かった。デアセチルセファロスポリンCが
いずれかの細胞エキストラクトによってペニシリンNから合成されるということ
は全く確認されなかった(デアセトキシセファロスポリンCのRf=0.55,デア
セチルセファロスポリンCのRf=0.39)。(ペニシリンNはペニシリナーゼが
存在するので検出されない)(b)イソ−ペニシリンNの、イー・コリESSに対してより活性な化学形態への
変換 Jesen,S.Eらによって開発されたイソ−ペニシ リンNエピメラーゼアッセイを用いて[Can.J.Microbiol.(1983)29(11),1526-15
31]、エス・リビダンス66:pBROC 137からの細胞と粒子の存在しない酵素エキス
トラクト(製造例7aと同様)が、イソ−ペニシリンNを、イソペニシリンN自
体よりもイー・コリESSに対する活性が少なくとも10倍の化学的形態に変換
できるということを例証することができた。エス・リビダンス66:pIJ 702からの
同様のエキストラクトはこのような変換ができなかった。(c)エス・リビダンス66:pBROC 303の、細胞の存在しない製剤による、O−カル
バモイル・デスアセチル・セファロスポリンCとセファロスポリンCの、それぞ
れの7−ヒドロキシ誘導体への変換 エス・リビダンス66:pBROC 303の、細胞なしの製剤(0.9ml)を、アスコル
ビン酸ナトリウム(2.8mM)、硫酸第一鉄(0.045mM)、α−ケトグルタレー
ト(1mM)、塩化カリウム(7.5mM)、硫酸マグネシウム(7.5mM)、トリ
ス−塩酸pH7.0(0.05M)およびO−カルバモイル・ デスアセチル・セファロスポリンC(0.5mM)もしくはセファロスポリン(0.5
mM)とともに、最終容積1.2mlとし、22℃で培養した。 2時間培養後、振盪しながら25μlの氷酢酸を添加し、次いで遠心分離(10
,000G,5分間)して蛋白を除去した上澄液を得た。この液体をQAE−セファデ
ックスカラム(1ml容積)に吸収させた。この樹脂を250μlの水と200μlの0.
2M NaClで洗浄した。さらに250μlの0.2M NaClによって前記樹脂から
セファロスポリン類を溶離させた。 これらを濃縮した反応生成物の試料20μlをC18逆相マイクロボンダパックカ
ラムを用いる高速液体クロマトグラフィによって分析した。O−カルバモイル・
デスアセチル・セファロスポリンCを7−ヒドロキシO−カルバモイル・デスア
セチル・セファロスポリンCから分離するための移動相は0.1M NaH2PO4,pH3
.2であった。セファロスポリンCを7−ヒドロキシセファロスポリンCから分離
するために、移動相のpHを4.2まで 上昇させた。溶離は2ml/分の流速で260nmでの紫外吸収で検出して行った
。 このようにして、O−カルバモイル・デスアセチル・セファロスポリンC(保
持時間5.7分)がそのヒドロキシ誘導体(保持時間3.0分)に約50%変換したこと
、ならびにセファロスポリンC(保持時間18.2分)が7−ヒドロキシセファロス
ポリンC(保持時間6.6分)に約35%変換したことを証明することができた。
エス・リビダンス66:pIJ 702のエキストラクトはこのような形質転換を行え
なかった。製造例8.エス・リビダンス66:pBROC 137とエス・リビダンス66:pBROC 138とに
よって産生された蛋白質のナトリウムラウリルサルフェート/ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動法による分析 エス・リビダンス66:pBROC 137、エス・リビダンス66:pBROC 138およびエス・
リビダンス66:pIJ 702の、細胞と粒子のないエキストラクト(製造例7aと同様
)の5μlと10μlとを、ナトリウムラウリルサルフェート(SLS)で処理して
溶解し ている蛋白質を変性し、Laemmliの方法(英国、Nature,1970,227 680)を用いて、
SLS/12%ポリアクリルアミドゲル電気泳動法によるクロマトグラフイに付した。
クーマシーブリリアントブルーで染色することによって次のことが明らかになっ
た。すなわち同時にクロマトグラフに付した分子量が公知の蛋白質から判断でき
たが、エス・リビダンス66:pBROC 137とエス・リビダンス66:pBROC 138からのエ
キストラクトは約29,500ドルトンの蛋白質を示し、これはエス・リビダンス66:p
IJ 702からのエキストラクトには存在しないかごくわずかしか存在していないこ
とが分かった。エス・リビダンス66:pBROC 137からのエキストラクトも、大きさ
が約60,000ドルトンの著しくよく染まる蛋白質を示した。製造例9 pBROC 137とpBROC 138に含有されているDNAと隣接するエス・クラ
ブリゲルス染色体からのDNAの単離、特性表示およびサブクローニング a)pHC79中のエス・クラブリゲルスATCC 27064DNAのライブラリイの組立て 10μgのpHC79DNA[Holm,B.およびCollins J.(1980)Genell,291-298)を
、制限酵素のSalIとBamHIとによって完全に消化(digest)した。さらに10μg
のpHC79DNAをEcoRIとBamHIとで完全消化した。必要な“コスミドアーム(c
osmid arms)”を単離するため、上記の両消化物を、ショ糖勾配法(10〜40%)で分
画した。各コスミドアームの収量は5μgを超える量であった。 エス・クラブリゲルスATCC 27064の染色体DNAの100μgを、Sau 3AIで部
分的に消化し、ショ糖勾配法(10〜40%)で分画した。30Kbを超え50Kbを
超えない制限フラグメントを含有するフラクションを集め、この大きさの範囲の
Sau 3AIによるフラグメントの約10μgを得た。これらのフラグメントを、1:1:
1のモル比で、前記コスミドアームに連結した(DNA濃度200μg ml-1)。
24時間後、この連結混合物をλファージに生体外でパッケージした(フアージ
λ・パッケージング・エキストラクトとプロトコールは、Am ersham International PLCが供給されている)。イー・コリDHIをトランスフ
ェクションさせることによって[Low,B.(1968)PNAS 60,161-167]、5×107のト
ランスフェクタント(transfectant)/(μgパッケージされたDNA)を得た。b)エス・クラブリゲルスATCC 27064 DNAライブラリイからのDNAセグメント
(I)のの単離と、このDNAのpIJ 702へのサブクローニング エス・クラブリゲルスATCC 27064DNAの挿入体を有するpHC 79を保有するイ
ー・コリDHIの5000のコロニイを、ニトロセルロースのフィルターに固定化し
て溶解した。pBROC137由来の1.2KbBClI−KpnIエンデットフラグメントを単離し
てニックトランスレートした。このフラグメントを、標準コロニイハイブリット
形成技法によってフィルターをプローブ(probe)した。7つのハイブリッドを形
成しているコロニイが得られ、そのうちのひとつが第1(a)図に示すDNAセグ
メント(I)を保有していた。 DNAセグメント(I)のフラグメントのサブ クローニングを、このクローンされたDNAの10μgをBamHIで消化すること
から開始した。ベクターのpIJ 702の5μgをBgl IIで消化し、CIAPで処理して
再環化するのを防止した。前記のBam HIで生成したフラグメントと、BglIIで消
化しCIAPで処理したpIJ 702とを、2:1のモル比で連結し、50μg/mlのDN
A濃度とした。15℃で24時間培養後、0.5μgの連結混合物をエス・リビダ
ンス66に形質転換し、2×105形質転換細胞/μgを得た。この形質転換細胞をス
クリーニングすることによって、他のBamHIフラグメントクローンを有するpBROC
303を単離することができた。
【図面の簡単な説明】 第1(a)図は、ペニシリンとセファロスポリンの生合成に関与する遺伝子の遺
伝情報を指定するエス・クラブリゲルスATCC 27064染色体DNA(I)のエンド
ヌクレアーゼ制限地図、 第1(b)図は、プラスミドpBROC 138内に含まれるDNA(I)の一部分のエン
ドヌクレアーゼ制 限地図、 第1(C)図は、プラスミドpBROC 137内に含まれるDNA(I)の一部分のエン
ドヌクレアーゼ制限地図、 第1(d)図は、プラスミドpBROC 303内に含まれるDNA(I)の一部分のエン
ドヌクレアーゼ制限地図、 第2図は、プラスミドpBROC 137とpBROC 138のエンドヌクレアーゼ制限地図お
よび第3図は、プラスミドpBROC 303のエンドヌクレアーゼ制限地図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 下記制限部位の立体配置: を有し、ペニシリンとセファロスポリンのβ-ラクタム化合物類の生合成に関与
    するペニシリンN合成酵素、デアセトキシセファロスポリンC合成酵素及びO−
    カルバモイルデスアセチルセファロスポリンC7−ヒドロキシラーゼをコードす
    る遺伝子を含む、ストレプトミセス・クラブリゲルス ATCC 27064 DNAコスミド
    ライブラリーからSau 3A制限フラグメントとして得ることができるDNA。 2. ペニシリンN合成酵素又はデアセトキシセファロスポリンC合成酵素を
    エンコードし、下記制限部位の立体配置; を有する、ストレプトミセス・クラブリゲルス ATCC 27064 DNAライブラリーか
    らSau3A制限フラグメントとして得ることができる特許請求の範囲第1項記載のD
    NA。 3. O−カルバモイルデスアセチルセファロスポリンC7−ヒドロキシラー
    ゼをエンコードし、下記制限部位の立体配置; を有する、下記制限部位の立体配置: を有するDNAからBam HI制限フラグメントとして得ることができる特許請求の範
    囲第1項記載のDNA。 4. ストレプトミセス属の菌由来のプラスミドまたはテンペレートファージ
    中にクローン化された、下記制限部位の立体配置: を有し、ペニシリンとセファロスポリンのβ-ラクタム化合物類の生合成に関与
    するペニシリンN合成酵素、デアセトキシセファロスポリンC合成酵素及びO−
    カルバモイルデスアセチルセファロスポリンC7−ヒドロキシラーゼをコードす
    る遺伝子を含む、ストレプトミセス・クラブリゲルス ATCC 27064 DNAコスミド
    ライブラリーからSau3A制限フラグメントとして得ることができるDNAを含有する
    組換えベクター。 5. プラスミドが、pIJ 702である特許請求の範囲第4項記載の組換えベク
    ター。 6. 下記制限部位の立体配置; で示される約11.5kbのpBROC137もしくは約11.6kbのpBROC138、又は下記制限部位
    の立体配置; で示される約12.5kbのpBROC303からなる特許請求の範囲第5項記載の組換えベク
    ター。 7. ストレプトミセス属の菌由来のプラスミドまたはテンペレートファージ
    中にクローン化された、下記制限部位の立体配置: を有し、ペニシリンとセファロスポリンのβ-ラクタム化合物類の生合成に関与
    するペニシリンN合成酵素、デアセトキシセファロスポリンC合成酵素及びO−
    カルバモイルデスアセチルセファロスポリンC7−ヒドロキシラーゼをコードす
    る遺伝子を含む、ストレプトミセス・クラブリゲルス ATCC 27064 DNAコスミド
    ライブラリーからSau3A制限フラグメントとして得ることができるDNAを含有する
    少なくとも1つの組換えベクターで形質転換された宿主。 8. 宿主が、ストレプトミセス属の菌である特許請求の範囲第7項記載の宿
    主。 9. ストレプトミセス属の菌が、DSM寄託番号1567のエス・リビダンス66(S.
    lividans 66)である特許請求の範囲第8項記載の宿主。 10.ストレプトミセス・クラブリゲルスNCIB 12208。 11.下記制限部位の立体配置; を有し、ペニシリンとセファロスポリンのβ-ラクタム化合物類の生合成に関与
    するペニシリンN合成酵素、デアセトキシセファロスポリンC合成酵素及びO−
    カルバモイルデスアセチルセファロスポリンC7−ヒドロキシラーゼをコードす
    る遺伝子を含む、ストレプトミセス・クラブリゲルス ATCC 27064 DNAコスミド
    ライブラリーからSau 3A制限フラグメントとして得ることができるDNAを、β-ラ
    クタム抗生物質を産生する微生物のDNAにハイブリッド形成させることからなる
    、その微生物からのβ-ラクタム抗生物質の生合成に関与する遺伝子の単離方法

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