JP2928884B2 - Dnaおよびその用途 - Google Patents

Dnaおよびその用途

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JP2928884B2 JP2003762A JP376290A JP2928884B2 JP 2928884 B2 JP2928884 B2 JP 2928884B2 JP 2003762 A JP2003762 A JP 2003762A JP 376290 A JP376290 A JP 376290A JP 2928884 B2 JP2928884 B2 JP 2928884B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はリゾバクター・ラクタムゲヌス(Lysobacter
lactamgenus)などの細菌由来の、β−ラクタム系抗生
物質の生合成に関与する複数の遺伝情報をコードしてい
る遺伝子群を有するDNA断片およびその用途に関する。
リゾバクター・ラクタムゲヌス(Lysobacter lactamg
enus)などの細菌が生産するセファバシン類抗生物質
(特開昭60−66987号および特開昭60−141296号公報参
照)は、数多くの抗生物質の中でも、臨床上きわめて重
要な半合成セフェム抗生物質の製造に使用するペニシリ
ン、セファロスポリン類に属し、その生合成酵素遺伝子
群は、セファバシン類のみならず、カビや放線菌が生産
するペニシリン、セファロスポリン類抗生物質の生産性
向上や、それらの生合成酵素の生産をはじめ、新規な抗
生物質やそれらの誘導体の生産への利用が期待できる。
従来の技術 ペニシリンやセファロスポリンなど医薬産業上重要
な、β−ラクタム系抗生物質は、従来、主としてカビに
よって生産されていたが、近年、放線菌、細菌からもβ
−ラクタム系抗生物質生産菌が発見されている。それら
のうち、β−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子と
しては、アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium c
hrysogenum)のイソペニシリンNシンセターゼ(IPS)
遺伝子(S.M.Samson et al:ネイチャー(Nature),31
8,191(1985)参照)、デアセトキシセファロスポリン
Cシンセターゼ/デアセトキシセファロスポリンCヒド
ロキシラーゼ遺伝子(S.M.Samson et al:バイオ・テク
ノロジー(Bio/Technology),5,1207(1987)参照)が
よく知られており、イソペニシリンNシンセターゼ遺伝
子は、アクレモニウム・クリソゲナム以外にもペニシリ
ウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)(L.
G.Carr et al:ジーン(Gene),48,257(1986)参
照)、アスパージーラス・ニドランス(Aspergillus ni
dulans)(D.Roman et al:ジーン(Gene),57,171(19
87)参照)、ストレプトマイセス・リプマニ(Steptomy
ces lipmanii)(B.J.Weigel et al:ジャーナル・オブ
・バクテリオロジー(J.Bacteriol.),170,3817(198
8)参照)からもクローン化されている。またデアセト
キシセファロスポリンCシンセターゼ遺伝子について
も、アクレモニウム・クリンゲナム以外に、ストレプト
マイセス・クラブリゲルス(Streptomyces elavuligeru
s)(B.J.Weigel et al:ジャーナル・オブ・バクテリオ
ロジー(J.Bacteriol.),170,3817(1988)参照)から
もクローン化されている。一方、放線菌などでは抗生物
質の生合成に関与する遺伝子は遺伝子群を形成している
ことが知られており(C.R.Bailey et al:バイオテクノ
ロジー(Biotechnology),808(1984)参照)、Strepto
myces clavuligerus(特開昭62−198394号公報参照)の
セファマイシン生合成酵素遺伝子群のうちイソペニシリ
ンNシンセターゼ遺伝子、イソペニシリンNエピメラー
ゼ遺伝子、デアセトキシセファロスポリンCシンセター
ゼ遺伝子、O−カルバモイルデアセチルセファロスポリ
ンC 7−ヒドロキシラーゼ遺伝子を含むDNA断片、ストレ
プトマイセス・カトレア(Streptomyces cattleya)
(特開昭62−224292号公報参照)のセファマイシン生合
成酵素遺伝子群を含む29.3K bpのDNA断片が知られてい
る。
発明が解決しようとする課題 上記のようにカビの場合、よく解析されているβ−ラ
クタム系抗生物質生合成酵素遺伝子はまだ全体の一部に
すぎず、放線菌の場合もセファマイシン生合成酵素遺伝
子群を含むDNA断片が取得されているものの、まだその
構造が十分に解析されているとはいいがたい。セファバ
シン類抗生物質など細菌が生産するβ−ラクタム系抗生
物質の生合成酵素遺伝子については、まだ全く知られて
いない状況にある。
一方、一般的にカビ,放線菌の成育は細菌に比べて遅
いため、醗酵生産物の製造には不利を伴うのみならず、
抗生物質生産に際して形態変化(分化)を必要とするの
で、その制御方法が十分解明されていない現在、生産性
の向上に困難を生ずることも少なくない。これに反し細
菌は成育が速く、製造条件の管理が比較的容易であるた
め、多くの醗酵生産に利用されているものの、β−ラク
タム系抗生物質の生産には未だ用いられていない。した
がって、細菌に対して遺伝子操作技術を駆使することに
よって、カビまたは放線菌を用いた場合よりも生産性の
向上が期待できる。さらに、遺伝子産物を細菌などで生
産しようとする場合、その遺伝子が細菌由来のものであ
れば、遺伝子の発現の強さや安定性に期待が持てる。
課題を解決するための手段 本発明者らは、リゾバクター・ラクタムゲヌス(Lyso
bacter lactamgenus)のDNAからセファバシン類抗生物
質の生合成酵素遺伝子を分離して解析したところ、この
DNA断片に複数の生合成酵素遺伝子が遺伝子群として存
在していることをつきとめ、さらに解析を進めた結果、
それらが、δ−(L−α−アミノアジピル)−L−シス
テイニル−D−バリンシンセターゼ、イソペニシリンN
シンセターゼ、イソペニシリンNエピメラーゼ、デアセ
トキシセファロスポリンCシンセターゼ、デアセトキシ
セファロスポリンCハイドロキシラーゼ、β−ラクタマ
ーゼの各遺伝子を含むものからなることを見出し、さら
にそれら遺伝子を大腸菌をはじめとして、カビ,放線菌
などで効率的に発現させうることを知って、本発明を完
成するに至った。すなわち本発明は、 (1)セファロスポリン系抗生物質の生合成に関与する
酵素遺伝子群を有する細菌由来のDNA断片、 (2)該細菌がリゾバクター・ラクタムゲヌスである、
前記(1)のDNA断片、 (3)セファロスポリン系抗生物質の生合成に関与する
酵素遺伝子群が、δ−(L−α−アミノアジピル)−L
−システイニル−D−バリンシンセターゼ、イソペニシ
リンNシンセターゼ、イソペニシリンNエピメラーゼ、
デアセトキシセファロスポリンCシンセターゼ、デアセ
トキシセファロスポリンCハイドロキシラーゼ、β−ラ
クタマーゼの遺伝子のうち少なくとも1種を含むもので
ある、前記(1)または(2)のDNA断片、 (4)DNA断片の塩基配列が、第1図に示すものである
前記(1)ないし(3)のDNA断片、 (5)前記(1)〜(4)のDNA断片または、それを構
成する少なくとも一つの酵素遺伝子の発現に必要な大き
さのDNA断片を組み込んだプラスミド、 (6)前記(5)のプラスミドで形質転換した微生物お
よび (7)セファロスポリン系抗生物質を産生する能力を有
する前記(6)の形質転換体を培養し、セファロスポリ
ン系抗生物質を培養液中に蓄積させ、それを採取するこ
とを特徴とするセファロスポリン系抗生物質の製造法に
関する。
本発明において、β−ラクタム系抗生物質を産生する
バクテリアのβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝
子は、該バクテリアの菌体から公知の方法で分離採取す
ることができる。
該バクテリアとしては、β−ラクタム系抗生物質を産
生する能力を有する細菌であればとくに制限されない
が、例えばその代表例として、キチノボリン類あるいは
セファバシン類抗生物質の生産菌として知られるリゾバ
クター・ラクタムゲヌス(Lysobacter lactamgenus)、
キサントモナス・ラクタムゲスト(Xanthomonas lactam
gena)、フラボバクテリウム・エスピー(Flavobacteri
umsp.)、フラボバクテリウム・キチノボテム(Flavoba
cterium chitinovorum)等があげられ、その具体例とし
て、リゾバクター・ラクタムゲヌス(Lysobacter lacta
mgenus)YK−90(IFO 14288、FERM BP−575)株、キサ
ントモナス・ラクタムゲナ(Xanthomonas lactamgena)
YK−280(IFO 14330、FERM BP−635)株、同YK−431(I
FO 14385,FERM P−7955)株およびフラボバクテリウム
・キチノボラムFERM− P−7085株等があげられる。上記
のIFO番号は、財団法人発酵研究所(Institute For Fer
metation、Osaka;IFO)における受託番号を、また、FER
M P番号は通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所
(FRI)における受託番号を、FERM BP番号はFRIにおけ
るブタペスト条約に基づく受託番号をそれぞれ示す。
β−ラクタム抗生物質の生合成酵素遺伝子をコードす
るDNAは、該バクテリアの染色体DNAもしくはプラスミド
DNAから常法により制限酵素で切り出すことによって得
ることができる。該DNAの調製は、菌体から公知の方
法、たとえば「エクスペリメンツ・ウィズ・ジーン・フ
ュージョンズ」(Experiments with Gene Fusions.198
4、Gold Spring Harbor Laboratory)137〜139頁記載の
DNA分離法に従い、あるいはこれに準じた方法により得
ることができる。該DNAからβ−ラクタム系抗生物質の
生合成酵素遺伝子を含むDNA断片を切り出して、ある宿
主−ベクター系を用いてクローニングするための宿主と
しては特に限定されないが、通常大腸菌が用いられ、具
体的には市販されているエシェリヒア・コリ(Escheric
hia coli)LE392株[ストラタジーン・クローニング・
システム(STRATAGENE Cloning System)社製、USA]が
好ましい。該ベクターとしては、大腸菌に導入しうるも
のであれば如何なるものであっても差し支えないが、pB
R322、pUC18、pUC19などのプラスミドベクターや、λフ
ァージベクターなどが好んで用いられる。具体的には、
市販のラムダ・フイックス(Lambda FIX)[ストラタジ
ーン・クローニング・システム(STRATAGENE Cloning S
ystem)社製、USA]などが例示される。
該DNAからβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝
子を含むDNA断片を切り出す方法は如何なる方法を用い
てもよいが、通常制限酵素が用いられる。また、該DNA
断片をベクターに挿入する方法は如何なる方法を用いて
もよいが、通常は該DNAを適当な制限酵素を用いて切
断、もしくは部分切断し、一方ベクターDNAを染色体DNA
の切断に用いたものと同じ制限酵素、もしくは切断され
た染色体DNAと連結可能な切断点を生じさせうる制限酵
素を用いて切断したのち、両者をDNAリガーゼの作用に
より連結して、ベクターDNAに染色体DNA断片を挿入した
組換え体DNAとすればよい。
このような目的に用いられる制限酵素の具体例として
は、例えばモレキュラー・クローニング[(Molecular
Cloning)、Maniatisら著、Cold Spring Horbor Labora
tory,New York 1982年]第100〜101頁記載の制限酵素な
どが単独ないしは適宜組み合わせて用いられる。また必
要に応じてモレキュラー・クローニング第107〜148頁記
載のDNA修飾酵素が適宜用いられる。ここで用いる制限
酵素の切断条件、DNA修飾酵素の反応条件、およびリガ
ーゼによる連結条件は、特に制限はなく通常の反応条件
でよい。
上記により得られた組換え体DNAを宿主に導入するた
めには、公知の方法を用いればよく、たとえばプラスミ
ドをベクターとして用いた場合は、コンピテントセル法
を用いればよく、λ−ファージベクターを用いた場合
は、インビトロ・パッケイジング法を用いればよい。具
体的には、染色体DNAが組み込まれたラムダ・フイック
ス(Lambda FIX)を市販のインビトロ・パッケイジング
キット[例えば、Gigapackgold,ストラタジーン・クロ
ーニング・システム(STRATAGENE Cloning System)社
製、USA]を用いてインビトロ・パッケイジングした
後、大腸菌宿主に感染させ、プラークを形成させればよ
い。目的とするβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺
伝子を含むλファージベクターを検出するには、ベクタ
ーDNAに挿入されたDNA断片上にβ−ラクタム系抗生物質
の生合成酵素遺伝子の存在が確認できるものであれば、
如何なる手段を用いてもよく、たとえば宿主のβ−ラク
タム系抗生物質の生合成酵素遺伝子欠損株の相補性を利
用する方法、既知である糸状菌または放線菌のβ−ラク
タム系抗生物質の生合成関連酵素遺伝子またはその一部
を放射能ラベルしてプローブとし、ハイブリダイゼーシ
ョンによって検出する方法などを用いることができる。
具体的には、S.M.Samsonらの報告[ネイチャー(Natur
e),318,191(1985)参照]にあるアクレモニウム・ク
リソゲナム(Acremonium chrysogenum)由来のイソペニ
シリンNシンセターゼ遺伝子が、プローブとして好適に
用いられる。この場合、既知である糸状菌または放線菌
のβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子と、バク
テリアのβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子と
は、完全に同一ではないので、通常用いられるハイブリ
ダイゼーションの条件(前記、「モレキュラー・クロー
ニング」第387〜389頁参照)では検出できないこともあ
るので、相同性の低いDNAでも検出できうる条件(たと
えば、通常のハイブリダイゼーション溶液中のホルムア
ミド濃度(50(v/v)%)を約30(v/v)%)を約30(v/
v)%に低下させる)を選択する必要が生じることもあ
る。
ハイブリダイズすることが認められたプラークからλ
ファージを通常の方法で回収し、それを用いてプラーク
ハイブリダイゼーションの操作を数回繰り返すことによ
り、β−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子を含む
染色体DNA断片が挿入されたλファージを分離すること
ができる。このλファージからλDNAを分離し、適当な
制限酵素で切断後、ベクタープラスミドにサブクローニ
ングしたDNA断片とアクレモニウム・クリソゲナム(Acr
emonium chrysogenum)由来のイソペニシリンNシンセ
ターゼ遺伝子がハイブリダイズするか否かを調べること
によりβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子のお
およその位置と大きさを知ることができる。
これら一連の基本操作は公知であり、文献[メソッズ
・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology)6
8巻1979年、モレキュラー・クローニング(Molecular C
loning)、1982年]に詳細に記載されている。
β−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子をコード
するDNAの塩基配列は、公知の方法、例えばジデオキシ
合成鎖停止法[添田栄一ら著、「核酸の塩基配列決定
法」第61〜113頁、学会出版センター、1985年、参照]
およびマキシマムギルバート(Maxam Gilbert)法[プ
ロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・オ
ブ・アメリカ,74,5463(1977)参照]あるいはそれら
に準じた方法に従って決定できる。決定したDNA塩基配
列中におけるβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝
子の正確な位置は、その解析から容易に知ることができ
る。
放線菌などでは、抗生物質に関与する遺伝子は遺伝子
群を形成していることが知られているが、バクテリアの
β−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子が遺伝子群
を形成しているかは、決定したDNA塩基配列を解析する
ことにより知ることができる。例えば、リゾバクター・
ラクタムゲヌス(Lysobacter lactamgenus)YK−90(IF
O14288、FERM P−7247)株から上記の方法でクローン化
した、イソペニシリンNシンセターゼ遺伝子を含むDNA
断片の塩基配列および該遺伝子の位置は第1図に示すと
おりである。すなわち第1図に示したDNA塩基配列中に
は、インペニシリンNシンセターゼ遺伝子をコードする
オープン・リーディング・フレーム(ORF)の前後に合
計9個のORFが遺伝子群として存在している。すなわ
ち、ORFIは第1図のDNA塩基配列中、塩基番号5524のATG
(開始コドン)から塩基番号16690のTAG(終止コド
ン)、ORF2は塩基番号16761のATG(開始コドン)から塩
基番号17739のTGA(終止コドン)、ORF3は塩基番号1780
2のATG(開始コドン)から塩基番号18759のTGA(終止コ
ドン)、ORF4は塩基番号18798のATG(開始コドン)から
塩基番号19737のTGA(終止コドン)、ORF5は塩基番号19
802のATG(開始コドン)から塩基番号21059のTGA(終止
コドン)、ORF6は塩基番号21186のATG(開始コドン)か
ら塩基番号2341のTAG(終止コドン)、ORF7は塩基番号4
211のATG(開始コドン)から塩基番号5441のTGA(終止
コドン)、ORF8は塩基番号2887のATG(開始コドン)か
ら塩基番号4198のTGA(終止コドン)、ORF9は塩基番号
6のATG(開始コドン)から塩基番号2817のTGA(終止コ
ドン)である。ここで、イソペニシリンNシンセターゼ
遺伝子をコードするORFは、後述するようにORF2であ
る。
ORFにコードされているタンパク質(酵素)の機能を
決定する方法としては、大腸菌やシュードモナス・プチ
ダなどの宿主−ベクター系を用いてORFにコードされて
いるタンパク質を菌体内で発現させ、その酵素活性を調
べる方法、既知である糸状菌または放線菌のβ−ラクタ
ム系抗生物質の生合成酵素のアミノ酸配列とORFにコー
ドされているタンパク質のアミノ酸配列を比較する方
法、既知のβ−ラクタム系抗生物質の生合成欠損株を宿
主としORFにコードされているタンパク質を菌体内で発
現させ、その生合成欠損の相補性を調べる方法などが例
示される。
本発明者らは、上記のORFを大腸菌およびシュードモ
ナス・プチダ内での発現と、他の微生物由来の既知のβ
−ラクタム系抗生物質生合成酵素のアミノ酸配列との比
較から、ORF1はδ−(L−α−アミノアジピル)−L−
システイニル−D−バリンシンセターゼ、ORF2はイソペ
ニシリンNシンセターゼ、ORF3はデアセトキシセファロ
スポリンCシンセターゼ、ORF4はデアセトキシセファロ
スポリンCハイドロキシラーゼ、ORF5はイソペニシリン
Nエピメラーゼ、ORF6はβ−ラクタマーゼをコードして
いることを明らかにした。すなわち細菌においても放線
菌の場合と同様、β−ラクタム系抗生物質生合成酵素遺
伝子が遺伝子群を形成していることをはじめて明らかに
することができた。
このようにして解析した各々のORF,すなわちβ−ラク
タム系抗生物質生合成酵素の構造遺伝子を含むDNA断片
は、種々の宿主で該遺伝子を発現させるためのDNA断片
として用いることができる。この場合、DNA断片の大き
さとしては、遺伝子の発現に必要な大きさの断片、すな
わち各々のORFの開始コドン(ATG)から終止コドン(TA
GまたはTGA)を含むものであればさしつかえない。
以下にこの遺伝子群の産業上の応用方法について説明
する。
β−ラクタム系抗生物質産生微生物のβ−ラクタム系
抗生物質産生能を増大させるためにβ−ラクタム系抗生
物質の生合成酵素遺伝子は有用である。β−ラクタム系
抗生物質産生能は、β−ラクタム系抗生物質の生合成酵
素に依存しているので、生合成酵素遺伝子を導入するこ
とによる生合成酵素の活性の増加は、β−ラクタム系抗
生物質産生能を増大させうる。β−ラクタム系抗生物質
産生能を有する微生物の具体例としては、アクレモニウ
ム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)、ペニシ
リウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、
ストレプトマイセス・クラブリゲルス(Streptomyces c
lavuligerus)、リゾバクター・ラクタムゲヌス(Lysob
acter lactamgenus)、キサントモナス・ラクタムゲナ
(Xanthomonas lactamgena)、フラボバクテリウム・キ
チノボラム(Flavobacterium chitinovorum)などが例
示される。β−ラクタム系抗生物質産生能を有する微生
物にβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子を導入
する方法としては、通常の形質転換法が用いられる。生
合成酵素遺伝子は単独でもさしつかえないが、さらに複
数のβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子を、同
時に形質転換してもよい。
該形質転換体を用いてβ−ラクタム系抗生物質を生産
させる場合、形質転換株が同化しうる炭素源、資化しう
る窒素源その他を含有する培地が用いられる。炭素源と
しては同化しうるものであれば何でもよく、例えばグル
コース、シュークロース、澱粉、可溶性澱粉、グリセリ
ン、n−パラフィンをはじめ、酢酸、フマール酸、安息
香酸などの有機酸類、エタノール、ブタノールなどのア
ルコール類、油脂類(例、大豆油、ラード油)などが単
独でまたは混合して用いられる。また窒素源としては例
えばペプトン、大豆粉、肉エキス、綿実粉、乾燥酵母、
酵母エキス、コーン・スティーブ・リカー、プロフロ、
コーングルテンミール、尿素、アンモニウム塩類(例、
塩化アンモニウム)、硝酸塩類(例、硝酸カリウム)、
その他有機または無機の窒素含有物(例、NZアミン
(A)、硫安)が単独でまたは混合して用いられる。ま
た、前駆体や硫黄源としてメチオニン、システインを添
加したり、バリンなどのアミノ酸を添加してもよい。そ
の他培地成分の無機塩としては、各種リン酸塩(例、リ
ン酸カリウム)、硫酸塩(例、硫酸ナトリウム)、塩酸
塩(例、塩化マグネシウム)などが用いられる。鉄、マ
グネシウム、カルシウム、マンガン、コバルトなどの各
イオンの添加は菌の成育およびセファロスポリン系抗生
物質の生産、安定性などに関係が深い。硫黄源としてチ
オ硫酸ナトリウムやチオ尿素などの添加も有効であり、
さらに消泡剤も適宜用いられる。これら使用する培地原
料は使用する菌株、培養に利用する条件などに応じて適
宜に組合わせ、もしくは選択されうる。実際の培養にあ
たっての培養温度、培養期間、培地のpH、通気撹拌など
の培養条件は使用する菌株、培地組成などによって一定
しないが、目的とするセファロスポリン系抗生物質の蓄
積量が最大になるように選択調節されればよい。一般
に、培養温度は、20〜30℃、培養期間は4〜14日、培地
のpHは5.0〜9.0で好気的に培養を行なうと、培養液中の
セファロスポリン系抗生物質の蓄積は最高に達する。
培養の結果、得られた培養液中にはセファロスポリン
系抗生物質が生成蓄積される。セファロスポリン系抗生
物質の大部分は培養ろ液中に存在するので、培養液を遠
心分離あるいはろ過により菌体を除去した液体部分から
これを得るのが好ましい。セファロスポリン系抗生物質
を分別採取するには、公知の方法、たとえば弱酸性有機
物の一般的な分別採取法が準用できる。すなわちイオン
交換樹脂(例、アンバーライトIRA−900)、活性炭、セ
ルロース、シリカゲルなどを用いるクロマトグラフィー
あるいはゲルろ過法などを組み合わせることにより有利
に目的物を採取することができる。なおセファロスポリ
ン系抗生物質の定量には薄層クロマトグラフィーで各成
分を分離後、被検菌に対する抗菌力を測定する方法、ま
たはネイチャー(Nature)第246巻、154頁(1973)に記
載されているセファロスポリナーゼを用いる方法が用い
られる。またセファロスポリン系抗生物質の同定には元
素分析、核磁気共鳴スペクトル、ろ紙電気泳動、薄層ク
ロマトグラフィーなどが用いられる。
また、第1図に示したDNA塩基配列の一部もしくは全
部をハイブリダイゼーションのプローブとして用いるこ
とにより、他のβ−ラクタム系抗生物質産生微生物から
β−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子、もしくは
遺伝子群をクローン化することが可能となる。かくして
得られた遺伝子(群)を用いて、さらに上記の如き操作
を経て核微生物のβ−ラクタム系抗生物質の生産性を向
上させることも可能である。
さらに、全くβ−ラクタム系抗生物質を産生しない微
生物に、β−ラクタム系抗生物質の生合成酵素遺伝子群
を導入することによりβ−ラクタム系抗生物質の産生能
を付与することが可能となる。このような目的の微生物
としては、β−ラクタム系抗生物質を産生しない微生物
であれば如何なるものでもよいが、好ましくはその菌体
内にセファロスポリン系抗生物質の前駆体である、L−
バリン、L−システイン、L−α−アミノアジピン酸が
存在する微生物が用いられる。その具体例としてはシュ
ードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などが例示
される。しかしこれらの前駆体が存在しない微生物も、
それを生合成するのに必要な酵素遺伝子をβ−ラクタム
系抗生物質の生合成酵素遺伝子群と同時に導入すること
によりβ−ラクタム系抗生物質の産生能を付与すること
が可能となる。
さらに、第1図に示したDNA塩基配列中のβ−ラクタ
ム系抗生物質の生合成酵素をコードする構造遺伝子を適
当な宿主で大量に発現させることは、通常の遺伝子操作
技術を用いることにより可能である。大量に発現させる
ための宿主としては特に制限はないが、大腸菌をもちい
るのが適切である。ベクターとしては、通常大腸菌で用
いられるものであれば如何なるものでもよく、例えば先
に記述したものが用いられる。この場合、遺伝子を大量
に発現させるために大腸菌で効率よく働くプロモーター
の下流に、該構造遺伝子を接続するのが望ましい。該プ
ロモーターの具体例としては、よく知られているlact
rptac、λpLプロモーターなどが例示される。また市
販の発現ベクタープラスミド、たとえばpK K233−2
(ファルマシア製、スウェーデン)や、それらの誘導体
を用いてもよい。このようにして大量に発現させた宿主
からβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素は、通常の酵
素精製法で単離、精製される。単離、精製されたβ−ラ
クタム系抗生物質の生合成酵素は、無細胞系で、たとえ
ば固定化酵素として用いることにより、β−ラクタム系
抗生物質(非天然のβ−ラクタム系抗生物質を含む)の
製造にもちいることができる。
これら遺伝子群を応用する場合、第1図に示したDNA
塩基配列中のβ−ラクタム系抗生物質の生合成酵素をコ
ードする構造遺伝子をそのまま用いてもさしつかえない
が、その機能が失われないかぎりは、DNA塩基配列を改
変して用いてもよい。たとえば、DNA塩基配列の改変法
としては、部位特異的変異法(Site directed mutagene
sis)、化学合成DNAを用いる方法など通常の方法が例示
される。また異種の宿主で発現させる場合などに、アミ
ノ酸コドンをその宿主での発現に好都合なアミノ酸コド
ンに変化するようにDNA塩基配列を改変して用いてもよ
い。さらにそれぞれのβ−ラクタム系抗生物質の生合成
酵素遺伝子のDNA塩基配列を改変することにより、基質
特異性、Km値、至適pH、至適温度などの酵素の機能が変
化した変異酵素を作製して用いてもよい。
実施例 以下に実施例および参考例を挙げて、本発明の内容を
より具体的に説明するが、これらはいずれも本発明の内
容を例示するものであり、本発明の範囲を限定するもの
ではない。なお以下において%(パーセント)は特にこ
とわりのない限り重量/容量パーセントを示すものとす
る。
実施例1 アクレモニウム・クリソゲナムのIPS遺伝子
のクローニング 1)アクレモニウム・クリソゲナムの染色体DNAの調製 アクレモニウム・クリソゲナムATCC 11550株の凍結保
存菌体をサッカロース30g/l、肉エキス15g/l、コーン・
スティープ・リカー5g/lおよびCaCl3 1.5g/lを含む培地
(pH7.0)に接種し、28℃で48時間、回転式振盪機(200
rpm)上で培養した。培養液1をろ別して得られる菌
体から、P.F.Hamlynらの方法[エンザイム・マイクロバ
イオロジカル・テクノロジー(Enzyme Microbiological
Technology)3,321(1981)参照]に従ってプロトプラ
ストを調製した。得られたプロトプラストからD.R.Crye
rらの方法[メソッド・イン・セル・バイオロジー(Met
hod in Cell Biology)XII、39(1975)参照]に従い、
約5mgの染色体DNAを得た。
2)アクレモニウム・クリソゲナムのジーンライブラリ
の作製 上記1)項で得た染色体DNA30μgに5.4ユニットの制
限酵素MboIを37℃で20分間作用させ部分切断した後、d
A TPとdG TPの存在下でDNAポリメレースI・ラージ フ
ラグメント(DNA polymerase I large fragment)(宝
酒造製)を作用させた。これとファージベクターλFix
XhoI切断断片、パーシアル・フイル−イン・アーム
(partial fill−in arm)(ストラタジーン・クローニ
ング・システム社製、USA)とをT4DNA リガーゼ(T4DN
A ligase)により連結した。この連結反応液を、ギガパ
ック ゴールド(Gigapack gold)(ストラタジーン・
クローニング・システム社製、USA)を用いて、イン
ビトロ・パッケイジング(in vitro packaging)を行な
った。以上のようにして作製したジーンライブラリ(ge
ne library)のタイターは、指示細菌として大腸菌LE39
2を用いて前記「モレキュラー・クローニング」第64頁
に記載の方法により調べた結果、6.5×106pfu/mlであっ
た。
3)イソペニシリンNシンセターゼ遺伝子検索プローブ
の調製 S.M.Samsonらの報告[Nature.318,191(1985)参照]
をもとに、第2図に示すDNAオリゴマーを調製した。
4)ジーンライブラリからのIPS遺伝子のスクリーニン
グ 上記3)項で作製したジーンライブラリをプレートあ
たり6000個のプラークが出現するようにSM(NaCl5.8g/
l,MgSO4・7H2O2g/l,50mMトリス−塩酸(pH7.5),0.01
%ゼラチンを含む,前記「モレキュラー・クローニン
グ」第70頁参照)で希釈したのち、指示細菌として大腸
菌LE392を用いてプレート上にプラークを出現させた。
このプレートから前記「モレキュラー・クローニング」
の第320〜321頁に記載の方法に従ってプラークをニトロ
セルロースフィルターにリフトした。前記「モレキュラ
ー・クローニング」、第396頁記載の方法で第2図のDNA
オリゴマーの5′末端をT4ポリヌクレオチド・キナーゼ
「γ−32P]ATPを用いて32Pで放射能ラベルした。これ
をプローブとして、プラーク・ハイブリダイゼーション
(前記「モレキュラー・クローニング」、第326〜328頁
参照)を行なった。プローブとハイブリダイズが認めら
れたポジティブプラークから前記、「モレキュラー・ク
ローニング」第371〜372頁記載の方法に従いλDNAを分
離した。得られたλDNAを、制限酵素BamHIで切断したの
ち、アガロースゲル(0.8%)電気泳動した。この電気
泳動ゲルから、サザン(Southern)法(前記「モレキュ
ラー・クローニング」、第382〜386頁参照)により、ニ
トロセルロースフィルターにDNAを転写した。32Pでラベ
ルした第2図のDNAオリゴマーと、上記DNA結合ニトロセ
ルロースフィルターのサザン雑種形成(前記「モレキュ
ラー・クローニング」、第387〜389頁参照)を行なっ
た。その結果、3.1KbpのBamHI断片とハイブリダイズが
認められた。
5)IPS遺伝子のサブクローニング 上記4)項で得たλDNAを制限酵素BamHIで切断したの
ち、3.1KbpのBamHI断片をアガロースゲル(1.0%)電気
泳動(前記「モレキュラー・クローニング」、第150〜1
62頁参照)および電気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子
操作マニュアル」第33頁、講談社サイエンティフィク、
1982年参照)により単離した。一方ベクタープラスミド
pUC18を制限酵素BamHIで切断した。このようにして得ら
れた2種類のDNA断片を混合し、T4DNAリガーゼで連結反
応を行なった。この連結反応液を用いて大腸菌JM109株
を形質転換することにより、pUC18のBamHIサイトに3.1K
bpのBamHI断片(アクレモニウム・クリソゲナムのISP遺
伝子を含む)が挿入されたプラスミドpISP6(第3図参
照)を作製することにより、サブクローン化した。
実施例2 リゾバクター・ラクタムゲヌスのIPS遺伝子
のクローニング 1)リゾバクター・ラクタムゲヌスの染色体DNAの調製 リゾバクター・ラクタムゲヌスYK−90(IFO 14288,FE
RM BP−575)の凍結保存菌体を、TYG培地(酵母エキス
2.5g/l、バクトトリプトン5g/l、グルコース1g/lを含
む)100mlに接種して回転式振盪機(200rpm)上で、24
℃、24時間培養した。遠心分離(6000G、5分)により
得られた菌体から「エクスペリメンツ・ウィズ・ジーン
・フュージョンズ」(Experiments with Gene Fusions.
1984、Gold Spring Harbor Laboratory)137〜139頁記
載の染色体DNA分離法に従い、約1mgの染色体DNAを得
た。
2)リゾバクター・ラクタムゲヌスのジーンライブラリ
(gene library)の作製 上記1)項で得た染色体DNA30μgに5.4ユニットの制
限酵素MobIを37℃で20分間作用させ、部分切断した
後、dATPとdGTPの存在下でDNAポリメレースI・ラージ
フラグメント(DNA polymerase I large fragment)
(宝酒造製)を作用させた。これとファージベクターλ
FixのXhoI切断断片、パーシアル フイル−イン・アー
ム(partial fill−in arm)(ストラタジーン・クロー
ニング・システム社製、USA)とをT4DNAリガーゼ(T4DN
A ligase)により連結した。この連結反応液を、ギガパ
ックゴールド(Gigapack gold)(ストラタジーン・ク
ローニング・システム社製、USA)を用いて、イン ビ
トロ・パッケイジング(in vitro packaging)を行なっ
た。以上のようにして作製したジーンライブラリのタイ
ターは、指示細菌として大腸菌LE392を用いて前記と同
様の方法で調べた結果、8.6×106pfu/mlであった。
3)ジーンライブラリからのIPS遺伝子のスクリーニン
グ 上記2)項で作製したジーンライブラリをプレートあ
たり6000個のプラークが出現するようにSMで希釈したの
ち、指示細菌として大腸菌LE392を用いてプレート上に
プラークを出現させた。このプレートから前記「モレキ
ュラー・クローニング」の第320〜321頁に記載の方法に
従ってプラークをニトロセルロースフィルターにリフト
した。ニックトランスレーション法(前記「モレキュラ
ー・クローニング」、第109〜112頁参照)により32Pで
放射能ラベルしたプラスミドpIPS6の1.9KbpのNcoI−Ba
mHI断片(アクレモニウム・クリソゲナムのIPS遺伝子を
含む)をプローブとして、プラークハイブリダイゼーシ
ョン(前記「モレキュラー・クローニング」、第326〜3
28頁参照)を30(v/v)%ホルムアミド、0.75M塩化ナト
リウム、0.075Mクエン酸ナトリウム、0.5%ドデシル硫
酸ナトリウム、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)および1
00μg/ml熱変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーシ
ョン溶液中で42℃、16時間行った。
プローブとハイブリダイズが認められたポジティブプ
ラークから(前記「モレキュラー・クローニング」、第
371〜第372頁記載の方法に従いλDNAを分離した。得ら
れたλDNAを、制限酵素SacIで切断したのちアガロース
ゲル(0.8%)電気泳動した。この電気泳動ゲルから、
サザン(Southern)法(前記「モレキュラー・クローニ
ング」、第382〜386頁参照]により、ニトロセルロース
フィルターにDNAを転写した。32Pで放射能ラベルした
プラスミドpIPS6の1.9KbpのNcoI−BamHI断片と、上記D
NA結合ニトロセルロースフィルターのサザン雑種形成
(前記「モレキュラー・クローニング」、第387〜389頁
参照)を30(v/v)%ホルムアミド、0.75M塩化ナトリウ
ム、0.075Mクエン酸ナトリウム、0.5%ドデシル硫酸ナ
トリウム、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)および100μ
g/ml熱変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション
溶液中で42℃、16時間行なった。その結果、4.8KbpのSa
cI断片とハイブリダイズが認められた。
4)IPS遺伝子のサブクローニング 上記3)項で得たλDNAを制限酵素SacIで切断したの
ち、4.8KbpのSacI断片をアガロースゲル(1.0%)電気
泳動(前記「モレキュラー・クローニング」、第150〜1
62頁参照)および電気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子
操作マニュアル」第33頁、講談社サイエンティフィク、
1982年参照)により単離した。一方ベクタープラスミド
pUC18を制限酵素SacIで切断した。このようにして得ら
れた2種類のDNA断片を混合し、T4DNAリガーゼで連結反
応を行なった。この連結反応液を用いて大腸菌JM109株
を形質転換することにより、pUC18のSacIサイトに4.8K
bpのSacI断片が挿入されたプラスミドpBI1(第4図参
照)をえた。プラスミドpBI1を種々の制限酵素で切断
し、λファージのHind III分解物を分子量の基準にし
て、アガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記「モレキ
ュラー・クローニング」、第150〜162頁参照)のパター
ンから、第4図に示す制限酵素切断地図を作製した。
実施例3 IPS遺伝子と隣接する領域のクローニング 1)プラスミドpBI 1のSacI断片(4.8Kb)と隣接する
領域のサブクローニング 実施例2−3)で得たポジティブ プラークから分離
したλDNAを制限酵素XhoIで切断したのちアガロースゲ
ル(0.8%)電気泳動した。この電気泳動ゲルから、サ
ザン(Southern)法(前記、「モレキュラー・クローニ
ング」、第382〜386頁参照)により、ニトロセルロース
フィルターにDNAを転写した。32Pで放射能ラベルしたプ
ラスミドpBI1の1.3KbpのXhoI−SacI断片と、上記DNA
結合ニトロセルロースフィルターのサザン雑種形成(前
記「モレキュラー・クローニング」、第387〜389頁参
照)を50(v/v)%ホルムアミド、0.75M塩化ナトリウ
ム、0.075Mクエン酸ナトリウム、0.5%ドデシル硫酸ナ
トリウム、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)および100μ
g/ml熱変性サケ精子DNAを含むハイブリダイゼーション
溶液中で42℃、16時間行なった。その結果、5.1KbpのXh
oI断片とハイブリダイズが認められた。また同様にし
32Pで放射能ラベルしたプラスミドpBI1の1.8KbpのXho
I−SacI断片とサザン雑種形成を行なった結果、4.6Kb
pのXhoI断片とハイブリダイズが認められた。
5.1KbpのXhoI断片と4.6KbpのXhoI断片をそれぞれ実
施例2−4)と同様の方法でベクタープラスミドpblues
cript SK+のXhoIサイトに挿入し、プラスミドpBI2
(5.1KbpのXhoI断片を含む、第5図参照)pBI3(4.6Kb
pのXhoI断片を含む、第6図参照)を作製した。
2)プラスミドpBI2のXhoI−NruI断片(0.8Kbp)と隣
接する領域のジーンライブラリーからのスクリーニング 実施例3−1)記載のプラスミドpBI2のXhoI−Nru
断片(0.8Kbp)をプローブとする実施例2−3)と同様
のプラークハイブリダイゼーション法を用いて実施例2
−2)で作製したリゾバクター・ラクタムゲヌスのジー
ンライブラリ(gene library)からプラスミドpBI2のXh
oI−NruI断片(0.8Kbp)と隣接する領域を含むプラー
クをスクリーニングした。得られたポジティブプラーク
からλDNAを分離した後、制限酵素XhoI切断で得られる
DNA断片を実施例2−4)と同様の方法で、ベクタープ
ラスミドpbluescript SK+のXhoIサイトに挿入し、プ
ラスミドpBI5(2.0KbpのXhoI断片を含む、第8図参
照)、pBI7(8.5KbpのXhoI断片を含む、第10図参照)
を作製した。また制限酵素BamHI切断で得られるDNA断片
を実施例2−4)と同様の方法で、ベクタープラスミド
pbluescript SK+のBamHIサイトに挿入し、プラスミドp
BI4(3.0KbpのBamHI断片を含む、第7図参照)、pBI6
(3.0KbpのBamHI断片を含む、第9図参照)、pBI8(9.3
KbpのBamHI断片を含む、第11図参照)を作製した。
これらのプラスミドpBI1、pBI2、pBI3、pBI5、pBI7、
pBI4、pBI6およびpBI8にサブクローニングしたリゾバク
ター・ラクタムゲヌス YK−90の染色体DNA断片の位置
関係および制限酵素切断地図を第12図に示した。
実施例4 クローン化したリゾバクター・ラクタムゲヌ
ス YK−90の染色体DNAの塩基配列 第12図に示したリゾバクター・ラクタムゲヌス YK−
90の染色体DNAの制限酵素切断地図上3.0KbpのNruIサイ
トから26.7KbpのPstIサイトまでの約23.7KbpのDNA断片
の塩基配列をジデオキシ合成鎖停止法[添田栄一ら著、
「核酸の塩基配列決定法」第61〜113頁、学会出版セン
ター、1985年参照]に従って決定した。その結果を第1
図に示す。
実施例5 DNA塩基配列の解析 第1図に示したDNA塩基配列を、DNAシークエンス入力
解析システム「DNA SIS」(日立ソフトエンジニアリン
グ製)を用いて解析した結果、第1図に示したDNA塩基
配列中に9個のオープンリーディングフレーム(ORF1〜
ORF9)が存在していた。その結果を第12図に示す。ま
た、それぞれのORFのアミノ酸配列を第13図から第21図
に示す。
実施例6 大腸菌での発現ベクタープラスミドの作製 ベクタープラスミドpBR322(ファルマシア社製、スウ
ェーデン)をPstIで切断した後、dNTPの存在下でT4DNA
ポリメラーゼ(宝酒造製)を作用させ切断点をフラッシ
ュエンドに転換した。これにEcoRIリンカー(宝酒造
製)をT4DNリガーゼ(宝酒造製)により連結した後、Ec
oRIで切断した。これをT4DNAリガーゼ(宝酒造製)によ
り連結することにより、プラスミドpBR322のEcoRIサイ
トからPstIサイトまでが欠失したプラスミドpBR322Eco
(第22図参照)を作製した。
市販の発現プラスミドpKK233−2をScaIで切断した
後、EcoRIリンカー(宝酒造製)をT4DNAリガーゼ(宝酒
造製)により連結した。これをEcoRIで切断した後、1.1
KbpのEcoRI断片をアガロースゲル(1.0%)電気泳動
(前記「モレキュラー・クローニング」、第150〜162頁
参照)および電気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子操作
マニュアル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982
年参照)により単離した。一方前記、プラスミドpBR322
Ecoを制限酵素EcoRIで切断したのち、アルカリフォスフ
ァターゼ(宝酒造製)を作用させた。このようにして得
られた2種類のDNA断片を混合し、T4DNAリガーゼで連結
反応を行なった。この連結反応液を用いて大腸菌JM109
株を形質転換することによりpBR322EcoのEcoRIサイトに
1.1KbpのEcoRI断片が挿入されたプラスミドpBRTAC8(第
23図参照)をえた。
実施例7 ORF2の大腸菌での発現 実施例2−4)記載のプラスミドpBI1をBamHIとXho
で切断した後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝
酒造製)を作用させ切断点をフラッシュエンドに転換し
た。これをアガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記
「モレキュラー・クローニング」、第150〜162頁参照)
した後、電気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子操作マニ
ュアル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982年、
参照)によりORF2を含む1.25KbpのBamHI−XhoI断片を
単離した。
実施例6記載のプラスミドpBRTAC8をNcoIで切断した
後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝酒造製)を
作用させ切断点をフラッシュエンドに転換した。このよ
うにして得られた2種類のDNA断片を混合し、T4DNAリガ
ーゼで連結反応を行なった。この連結反応液を用いて大
腸菌JM109株を形質転換することによりpBRTAC8のNco
サイトに1.25KbpのBamHI−XhoI断片が挿入されたプラ
スミドpBI110(第24図参照)をえた。
プラスミドpBI110を保持する大腸菌CPC20株(ampC欠
損株、すなわちβ−ラクタマーゼ欠損株、アグリカルチ
ュラル・アンド・バイオロジカル・ケミストリー(Agr.
Biol.Chem.),37,1528(1984)参照)を、テトラサイ
クリン(10μg/ml)を含む2XYT培地(酵母エキス10g/
l、バクトトリプトン16g/l、NaCl5g/lおよびジアミノピ
メリン酸50mg/lを含む)20mlに接種して回転式振盪機
(200rpm)上で、30℃、7時間培養した。遠心分離(60
00G、5分)により得られた菌体を、0.1mMジチオスレイ
トール(DTT)、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル
(PMSF)を含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)で洗
浄したのち、1.5mlの0.1mM DTT、1mM PMSFを含む50mMト
リス−塩酸緩衝液(pH7.5)に再懸濁した。この菌体懸
濁液を超音波処理(160ワット、2分間)したのち、遠
心分離(20000G、20分間)することにより、粗酵素液を
調製した。この粗酵素液のイソペニシリンNシンセター
ゼ活性をY.−Q.Shenらの方法[ジャーナル・オブ・アン
ティバイオティクス(J.Antibiotics)37,1044〜1048
(1984)参照]に従って測定した。その結果プラスミド
pBI110(ORF2を含む)を保持する大腸菌CPC20株の粗酵
素液にイソペニシリンNシンセターゼ活性(δ−(L−
α−アミノアジピル)−L−システイニル−D−バリン
(LLF−ACV)をイソペニシリンNに転換する活性)が認
められた。
実施例8 ORF3の大腸菌での発現 実施例2−4)記載のプラスミドpBI1をSplIとNco
で切断した後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝
酒造製)を作用させ切断点をフラッシュエンドに転換し
た。これをアガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記
「モレキュラー・クローニング」、第150〜162頁参照)
した後、電気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子操作マニ
ュアル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982年、
参照)によりORF3を含む1.3KbpのSplI−NcoI断片を単
離した。
実施例6記載のプラスミドpBRTAC8をNcoIで切断した
後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝酒造製)を
作用させ切断点をフラッシュエンドに転換した。このよ
うにして得られた2種類のDNA断片を混合し、T4DNAリガ
ーゼで連結反応を行なった。この連結反応液を用いて大
腸菌JM109株を形質転換することによりpBRTAC8のNco
サイトに1.3KbpのSplI−NcoI断片が挿入されたプラス
ミドpBI120(第25図参照)をえた。
プラスミドpBI120を保持する大腸菌CPC20株(ampC欠
損株、すなわちβ−ラクタマーゼ欠損株、前記文献参
照)を、テトラサイクリン(10μg/ml)を含む2XYT培地
(酵母エキス10g/l、バクトトリプトン16g/l、NaCl5g/l
およびジアミノピメリン酸50mg/lを含む)20mlに接種し
た回転式振盪機(200rpm)上で、37℃、7時間培養し
た。遠心分離(6000G、5分)により得られた菌体を、
0.1mMDTT、1mM PMSFを含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)で洗浄したのち、1.5mlの0.1mM DTT、1mM PMSFを
含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)に再懸濁した。
この菌体懸濁液を超音波処理(160ワット、2分間)し
たのち、遠心分離(20000G、20分間)することにより、
粗酵素液を調製した。この粗酵素液のデアセトキシセフ
ァロスポリンCシンセターゼ(エクスパンダーゼ)活性
をS.E.Jensenらの方法[ジャーナル・オブ・アンティバ
イオティクス(J.Antibiotics)38,263〜265(1985)参
照]に従って測定した。その結果プラスミドpBI120(OR
F3を含む)を保持する大腸菌CPC20株の粗酵素液にエク
スパンダーゼ活性(ペニシリンNをデアセトキシセファ
ロスポリンに転換する活性)が認められた。
実施例9 ORF5の大腸菌での発現 実施例3記載のプラスミドpBI3をXhoIとMluIで切断
した後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝酒造
製)を作用させ切断点をフラッシュエンドに転換した。
これをアガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記「モレ
キュラー・クローニング」、第150〜162頁参照)した
後、電気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子操作マニュア
ル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982年、参
照)によりORF5を含む1.6KbpのXhoIとMluI断片を単離
した。
実施例6記載のプラスミドpBRTAC8をNcoIで切断した
後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝酒造製)を
作用させ切断点をフラッシュエンドに転換した。このよ
うにして得られた2種類のDNA断片を混合し、T4DNAリガ
ーゼで連結反応を行なった。この連結反応液を用いて大
腸菌JM109株を形質転換することによりpBRTAC8のNco
サイトに1.6KbpのXhoIとMluI断片が挿入されたプラス
ミドpBI140(第26図参照)をえた。
プラスミドpBI140を保持する大腸菌CPC20株(ampC欠
損株、すなわちβ−ラクタマーゼ欠損株、前記文献参
照)を、テトラサイクリン(10μg/ml)を含む2XYT培地
(酵母エキス10g/l、バクトトリプトン16g/l、NaCl5g/l
およびジアミノピメリン酸50mg/lを含む)20mlに接種し
て回転式振盪機(200rpm)上で、30℃、7時間培養し
た。遠心分離(6000G、5分)により得られた菌体を、
0.1mMDTTを含む100mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.0)で洗
浄したのち、1.5mlの0.1mM DTT、0.1mMリン酸ピリドキ
サール(pyridoxal phosphate)を含む100mMトリス−塩
酸緩衝液(pH7.0)に再懸濁した。この菌体懸濁液を超
音波処理(160ワット、2分間)したのち、遠心分離(2
0000G、20分間)することにより、粗酵素液を調製し
た。この粗酵素液のイソペニシリンNエピメラーゼ活性
をS.E.Jensenらの方法[カナディアン・ジャーナル・オ
ブ・マイクロバイオロジー(Can.J.Microbiol)、29、1
526〜1531(1983)参照]に従って測定した。その結果
プラスミドpBI140(ORF5を含む)を保持する大腸菌CPC2
0株の粗酵素液にイソペニシリンNエピメラーゼ活性
(イソペニシリンNをペニシリンNに転換する活性)が
認められた。
実施例10 ORF6の大腸菌での発現 実施例3記載のプラスミドpBI3をAatIIとStuIで切断
した後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝酒造
製)を作用させ切断点をフラッシュエンドに転換した。
これをアガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記「モレ
キュラー・クローニング」、第150〜162頁参照)した
後、電気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子操作マニュア
ル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982年、参
照)によりORF6を含む1.7KbpのAatIIとStuI断片を単離
した。
実施例6記載のプラスミドpBRTAC8をNcoIで切断した
後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝酒造製)を
作用させ切断点をフラッシュエンドに転換した。このよ
うにして得られた2種類のDNA断片を混合し、T4DNAリガ
ーゼで連結反応を行なった。この連結反応液を用いて大
腸菌JM109株を形質転換することによりpBRTAC8のNco
サイトに1.75KbpのAatIIとStuI断片が挿入されたプラ
スミドpBI151(第27図参照)をえた。
大腸菌CPC20株(ampC欠損株、すなわちβ−ラクタマ
ーゼ欠損株、前記文献参照)は、10μg/mlセファロスポ
リンCを含む寒天培地上で成育できないが、プラスミド
pBI151を保持する大腸菌CPC20株は、10μg/mlセファロ
スポリンCを含む寒天培地上で成育できた。このことか
らORF6は、β−ラクタマーゼをコードしていることが明
らかである。
実施例11 ORF2のアクレモニウム・クリソゲナムでの発
現 1)プラスミドpGBI1の作製 実施例1−4)記載のプラスミドpBI1をBamHIとXho
で切断した。これをアガロースゲル(1.0%)電気泳動
(前記「モレキュラー・クローニング」、第150〜162頁
参照)した後、電気泳動溶出法(高木康司敬著「遺伝子
操作マニュアル」第33頁、講談社サイエンティフィク、
1982年、参照)によりORF2を含む1.25KbpのBamHI−Xho
I断片を単離した。この1.25KbpのBamHI−XhoI断片をB
sp1286で切断した後、アガロースゲル(1.0%)電気泳
動および電気泳動溶出法によりORF2を含む1.05KbpのBsp
1286−XhoI断片を単離した。
後述の参考例において作成した。グリセロアルデヒド
3燐酸脱水素酵素(GLD)遺伝子のプロモーターおよび
翻訳開始部位を含むプラスミドpGH21(第28図参照)をB
glIIとSalIで切断した後、アルカリフォスファターゼ
(宝酒造製)を作用させた。これをアガロースゲル(1.
0%)電気泳動した後、電気泳動溶出法により3.5KbpのB
glII−SalI断片を単離した。3種類の合成オリゴヌク
レオタイド(5′−GATCTATCAAAATG、5′−AACAGACATG
CCGACGTGCC、5′−CGTCGGCATGTCTGTTCATTTTGATA)をそ
れぞれT4ポリヌクレオタイド・キナーゼ(宝酒造製)に
より、5′末端をリン酸化したのち、アニーリングさせ
ることによりBglII−Bsp1286アダプター(第29図参照)
を作製した。以上の1.05KbpのBsp1286−XhoI断片、3.5
KbpのBglII−SalI断片およびBglII−Bsp1286アダプタ
ーをT4リガーゼを用いて連結することにより、プラスミ
ドpGBI1(第30図参照)を作製した。
2)pGHBI21の作製(第31図参照) 第1)項記載のプラスミドpGBI1をHindIIIで切断した
のち、アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)を作用さ
せた。
前項記載のプラスミドpGH21をHindIIIで切断したの
ち、アガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記「モレキ
ュラー・クローニング」、第150〜162頁参照)および電
気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子操作マニュアル」第
33頁、講談社サイエンティフィク、1982年、参照)によ
り、2.9KbpのHidd III断片を単離した。
以上のpGBI1のHindIII断片と、2.9KbpのHindIII断片
をT4リガーゼを用いて連結することによりプラスミドpG
HBI21を作製した。
3)アクレモニウム・クリソゲナム N−2株(IFO 32
177、FERM BP−2204)からのプロトプラストの調製 アクレモニウム・クリソゲナム N−2株の凍結保存
しておいた分生胞子1×109個を、サッカロース30g/l、
肉エキス15g/l、コーン・スティープ・リカー5g/lを含
む液体培地(pH7.0)に接種して回転式振盪機(200rp
m)上、28℃で18時間培養した。培養液250mlをろ別して
得られた菌体を滅菌水で洗浄したのち、0.01Mジチオス
レイトールを含んだマクイルベイン(McIlvaine)緩衝
液(0.1Mクエン酸−0.2Mリン酸ナトリウム、pH7.3)30m
lに懸濁し、28℃で1時間、穏やかに振盪した。菌体を
ろ別、洗浄したのち、Novozyme234(ノボ・インダスト
リー、デンマーク)5mg/ml、0.7M NaClおよび20mM MgSO
4・7H2Oを含むマクイルベイン緩衝液60mlに懸濁した。
菌体懸濁液を30℃で3時間、穏やかに振盪したのち、グ
ラスフィルター(G−1、岩城硝子製)により、菌糸と
プロトプラストを分離した。ろ液を遠心分離(1000G、
5分間)することにより、プロトプラストを沈殿させた
のち、0.7M NaClで2回洗浄し、プロトプラストが5×1
08個/mlになるように0.7M NaClに懸濁した。
4)プラスミドpGHBI21によるプロトプラスト形質転換 得られた0.1mlのプロトプラスト懸濁液に、プラスミ
ドpGHBI21(10μg、5μl)を加え、かるく混合した
のち0.7M NaClを0.4mlと36%PEG4000(和光純薬工業
製)、106mM CaCl2を含む0.05Mグリシン緩衝液(pH7.
5)を0.5ml加え、かるく混合した。室温で10分間静置し
たのち、0.7M NaClを5ml加え、遠心分離(1000G、5分
間)した。沈澱となったプロトプラストを0.7M NaCl1ml
に再懸濁した。この形質転換プロトプラスト懸濁液(0.
1ml)をプロトプラスト再生培地(10.3%サッカロース
を含むトリプティカーゼ・ソイ・アガー(ビービーエル
・マイクロバイオロジーシステム(BBL・Microbiology
systems)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニ
ー製、USA)30mlを含むプレート上に広げ15℃で20時間
培養したのち、ハイグロマイシンBを350μg/ml含むプ
ロトプラスト再生培地を5ml(45℃に保温)オーバーレ
イした。25℃で6〜12日間培養することにより、ハイグ
ロマイシンB耐性となった形質転換株を選択した。1ml
の形質転換プロトプラスト懸濁液から10株のハイグロマ
イシンB耐性形質転換株を得た。
5)ハイグロマイシンB耐性形質転換株の培養 4)項で得られたハイグロマイシンB耐性形質転換株
を、SBF培地(サッカロース30g/l、DL−メチオニン5g/
l、ソイ・ビーン・フラワー32g/l、コーン・スティーブ
・リカー0.5g/lおよびCaCO31.5g/lを含む、pH6.8)に接
種して、回転式振盪機(240rpm)上で、28℃で5日間培
養した。培養液を遠心分離(1000G、10分)して得られ
た上清液中の全セファロスポリン濃度をペーパーディス
クを用いるバイオアッセイで調べた。その結果を第1表
に示す。
実施例12 ORF1のシュードモナス・プチダでの発現 1)プラスミドpCP14の作製 実施例4で分離したλDNAをApaIとNdeIで切断した
後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝酒造製)を
作用させ切断点をフラッシュエンドに転換した。これに
XbaIリンカー(宝酒造製)をT4DNAリガーゼ(宝酒造
製)により連結した。これをXbaIで切断し後、11.56Kb
pのXbaI断片(ORF1を含む)をアガロースゲル(1.0
%)電気泳動(前記、「モレキュラー・クローニン
グ」、第150〜162pH参照)および電気泳動溶出法(高木
康敬著「遺伝子操作マニュアル」第33頁、講談社サイエ
ンティフィク、1982年、参照)により単離した。
一方、広宿主域プラスミドRSF1010の誘導体であるベ
クタープラスミドpDSK519(ジーン(Gene)70,191〜197
(1988)参照)を制限酵素XbaIで切断したのち、アル
カリフォスファターゼ(宝酒造製)を作用させた。この
ようにして得られた2種類のDNA断片を混合し、T4DNAリ
ガーゼで連結反応を行なった。この連結反応液を用いて
大腸菌JM109株を形質転換することによりpDSK519のXba
Iサイトに11.56KbpのXbaI断片が挿入されたプラスミ
ドpCP14(第32図参照)をえた。
2)プラスミドpCP14のシュードモナス・プチダ IFO 1
4146への導入大腸菌JM109株が保持しているプラスミドp
CP14をプラスミドpRK2013をヘルパープラスミドとする
接合伝達法〔プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユ
ナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA)76,1648〜1652(1979)参照〕を用いてシ
ュードモナス・プチダ IFO 14146へ導入した。
プラスミドpCP14を保持するシュードモナス・プチダ
IFO 14146を、カナマイシン(100μg/ml)を含む2XYT
培地(酵母エキス10g/l、バクトトリプトン16g/l、NaCl
5g/l)、30mlに接種して回転式振盪機(200rpm)上で、
24℃、16時間培養した。遠心分離(10000G、10分)によ
り得られた菌体を、100mM KClを含む50mMトリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)で洗浄したのち、1.5mlの50mM KCl、30
mM 2−メルカプトエタノール、20mM EDTA、50%グリセ
ロールを含む50mM MOPS−NaOH緩衝液(pH7.5)に再懸濁
した。この菌体懸濁液を超音波処理(160ワット、2分
間)したのち、遠心分離(20000G、20分間)することに
より、粗酵素液を調製した。この粗酵素液のδ−(L−
α−アミノアジピル)−L−システイニル−D−バリン
(ACV)シンセターゼ活性をS.E.Jensenらの方法〔エフ
イーエムエス・マイクロバイオロジー・レターズ(FEMS
Microbiology Letters)49,213〜218,(1988)参照〕
に従って測定した。その結果プラスミドpCP14(ORF1を
含む)を保持するシュードモナス・プチダ IFO 14146
の粗酵素液中にδ−(L−α−アミノアジピル)−L−
システイニル−D−バリン(ACV)シンセターゼ活性が
認められた。
実施例13 ORF1〜ORF6のシュードモナス・プチダでの発
現 1)プラスミドpCP7の作製 実施例4で分離したλDNAをApaIで切断した後、dNTP
の存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝酒造製)を作用させ
切断点をフラッシュエンドに転換した。これにXbaIリ
ンカー(宝酒造製)をT4DNAリガーゼ(宝酒造製)によ
り連結した。これをXbaIとNdeIで切断し後、11.56Kbp
XbaI−NdeI断片(ORF1とORF2の一部を含む)をアガ
ロースゲル(1.0%)電気泳動(前記、「モレキュラー
・クローニング」、第150〜162頁参照)および電気泳動
溶出法(高木康敬著「遺伝子操作マニュアル」第33頁、
講談社サイエンティフィク、1982年、参照)により単離
した。
実施例2−3)で分離したλDNAをApaIで切断した
後、dNTPの存在下でT4DNAポリメラーゼ(宝酒造製)を
作用させ切断点をフラッシュエンドに転換した。これに
XbaIリンカー(宝酒造製)をT4DNAリガーゼ(宝酒造
製)により連結した。これをXbaIとNdeIで切断し後、
6.35KbpのXbaI−NdeI断片(ORF2の一部とORF3〜ORF6
を含む)をアガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記、
「モレキュラー・クローニング」、第150〜162頁参照)
および電気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子操作マニュ
アル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982年、参
照)により単離した。
一方、ベクタープラスミドpDSK519(ジーン(Gene)7
0,191〜197(1988)参照)を制限酵素XbaIで切断した
のち、アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)を作用さ
せた。
以上の11.56KbpのXbaI−NdeI断片、6.35KbpのXba
NdeI断片とベクタープラスミドpDSK519を混合し、T4
DNAリガーゼで連結反応を行なった。この連結反応液を
用いて大腸菌JM109株を形質転換することによりpDSK519
XbaIサイトに17.91KbpのXbaI断片(第1図のDNA塩
基配列中、塩基番号5386のApaI部位から塩基番号23284
ApaI部位までを含む)が挿入されたプラスミドpCP7
(第33図参照)をえた。
2)プラスミドpCP7のシュードモナス・プチダへの導入 大腸菌JM109株が保持しているプラスミドpCPをプラス
ミドpPK2013をヘルパープラスミドとする接合伝達法
〔プロシーデイングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド
・ステイツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.US
A)76,1648〜1652(1979)参照〕を用いてシュードモナ
ス・プチダ IFO 14146へ導入した。
プラスミドpCP7を保持するシュードモナス・プチダ
IFO 14146を、カナマイシン(100μg/ml)を含む2XYT培
地(酵母エキス10g/l、バクトトリプトン16g/l、NaCl 5
g/l)、50mlに接種して回転式振盪機(200rpm)上で、2
4℃、16時間培養した。遠心分離(10000G、10分)によ
り得られた菌体を、滅菌蒸留水で2回洗浄した。この洗
浄菌体を70%アセトン(15ml)で抽出した後、遠心分離
(10000g、10分)により得られた上清を減圧下で濃縮す
ることにより細胞抽出液(4ml)を得た。
細胞抽出液をTLCプレート(東京化成工業製)を用い
て分離(展開溶媒、ブタノール:酢酸:水=3:1:1)し
た後、大腸菌PG−8を被験菌とするバイオオートグラフ
ィー〔アグリカルチュラル・アンド・バイオロジカル・
ケミストリー(Agr.Biol.Chem.)39,1295〜1301(197
5)参照〕を行なったところ、ペニシリンN、デアセト
キシセファロスポリンC、デアセチルセファロスポリン
Cと同じRf値の所に阻止円が認められた。同様なバイオ
オートグラフィーをペニシリナーゼ(カルビオケム(Ca
lbiochem)製、USA)を含んだプレートで行なうとペニ
シリンNと同じRf値の所の阻止円は認められなかった。
またエンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloac
ae)由来のセファロスポリナーゼを含んだプレートで行
なうと阻止円は全く認められなかった。
以上の結果からプラスミドpCP7を保持するシュードモ
ナス・プチダ IFO 14146の菌体内にペニシリンN、デ
アセトキシセファロスポリンC、デアセチルセファロス
ポリンCが蓄積していることがあきらかとなった。
参考例1 1)サッカロミセス・セレビシェの染色体DNAの調製 サッカロミセス・セラビシェIFO 10147の凍結保存菌
体をYPD培地(酵母エキス10g/l、ポリペプトン20g/lお
よびグルコース20g/lを含む)1に接種して回転式振
盪機(200rpm)上で、30℃、18時間培養した。遠心分離
(5000G、5分)により得られた菌体D.R.Cryerらの方法
[メソッド・イン・セル・バイオロジー(Method in Ce
ll Biology)、XII、39(1975)参照]に従い、約5mgの
染色体DNAを得た。
2)GLD遺伝子検索プローブの調製 J.P.Hollandの報告[ジャーナル・オブ・バイオロジ
カル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)、254、9839(197
9)参照]をもとに、第34図に示すDNAオリゴマーを調製
した。
3)サッカロミセス・セレビシェのジーンライブラリ
(gene library)の作製 上記1)項で得た染色体DNA 30μgに5.4ユニットの
制限酵素MboIを37℃で20分間作用させ部分切断した
後、dATPとdGTPの存在下でDNAポリメレースI・ラージ
フラグメント(DNA polymerase I large fragment)
(宝酒造製)を作用させた。これとファージベクターλ
FixのXhoI切断断片、パーシアル フイル−イン・アー
ム(partial fill−in arm)(ストラタジーンクローニ
ングシステム社製、USA)とをT4DNAリガーゼ(T4DNA li
gase)により連結した。この連結反応液をギガパック
ゴールド(Gigapak gold)(ストラタジーンクローニン
グシステム社製、USA)を用いて、イン ビトロ・パッ
ケイジング(in vitro packaging)を行なった。以上の
ようにして作製したジーンライブラリのタイターは、指
示細菌として大腸菌LE 392を用いて調べた結果、1.0×1
06pfu/mlであった。
4)ジーンライブラリからのGLD遺伝子のスクリーニン
グ 上記3)項で作製したジーンライブラリをプレートあ
たり6000個のプラークが出現するようにSMで希釈したの
ち、指示細菌として大腸菌LE392を用いてプレート上に
プラークを出現させた。このプレートから前記「モレキ
ュラー・クローニング」の第320〜321頁に記載の方法に
従ってプラークをニトロセルロースフィルターにリフト
した。前記、「モレキュラー・クローニング」、第396
項記載の方法で第35図のDNAオリゴマーの5′末端をT4
ポリヌクレオチド・キナーゼ、[γ−32P]ATPを用いて
32Pで放射能ラベルした。これをプローブとして、プラ
ーク・ハイブリダイゼーション(前記、「モレキュラー
・クローニング」、第326〜328頁参照)を行なった。プ
ローブとハイブリダイズが認められたポジティブプラー
クから(前記、「モレキュラー・クローニング」、第37
1〜372頁記載の方法に従いλDNAを分離した。得られた
λDNAを、制限酵素HindIIIで切断したのち、アガロース
ゲル(0.8%)電気泳動した。この電気泳動ゲルから、
サザン(Southern)法(前記、「モレキュラー・クロー
ニング」、第382〜386頁参照)により、ニトロセルロー
スフィルターにDNAを転写した。32Pでラベルした第35図
のDNAオリゴマーと、上記DNA結合ニトロセルロースフィ
ルターのサザン雑種形成(前記、「モレキュラー・クロ
ーニング」、第387〜389頁参照)を行なった。その結
果、2.3KbpのHingIII断片とハイブリダイズが認められ
た。
5)GLD遺伝子のサブクローニング 上記4)項で得たλDNAを制限酵素HindIIIで切断した
のち、2.3kbpのHindIII切断をアガロースゲル(1.0%)
電気泳動(前記、「モレキュラー・クローニング」、第
150〜162頁参照)および電気泳動溶出法(高木康敬著
「遺伝子操作マニュアル」第33頁、講談社サイエンティ
フィク、1982年、参照)により単離した。一方ベクター
プラスミドpUC18を制限酵素HindIIIで切断した。このよ
うにして得られた2種類のDNA断片を混合し、T4DNAリガ
ーゼで連結反応を行なった。この連結反応液を用いて大
腸菌JM 109株を形質転換することにより、pUC 18のHind
IIIサイトに2.3kbpのHindIII断片(サッカロミセス・セ
レビシェのGLD遺伝子を含む)が挿入されたプラスミドp
GLD19(第36図参照)を得た。
参考例2 1)ジーンライブラリからのGLD遺伝子のスクリーニン
グ 実施例1−1)および2)で作製したジーンライブラ
リをプレートあたり6000個のプラークが出現するように
SMで希釈したのち、指示細菌として大腸菌LE 392を用い
てプレート上にプラークを出現させた。このプレートか
ら前記「モレキュラー・クローニング」の第320〜321頁
に記載の方法に従ってプラークをニトロセルロースフィ
ルターにリフトした。ニックトランスレーション法(前
記、「モレキュラー・クローニング」、第109〜112頁参
照により32Pで放射能ラベルしたプラスミドpGLD19の2.3
kbpのHindIII断片(サッカロミセス・セレビシェのGLD
遺伝子を含む)を、プローブとして、プラークハイブリ
ダイゼーション(前記、「モレキュラー・クローニン
グ」、第326〜328頁参照)を30%ホルムアミド、0.75M
塩化ナトリウム、0.075Mクエン酸ナトリウム、0.5%ド
デシル硫酸ナトリウム、50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.
5)および100μg/ml熱変性サケ精子DNAを含むハイブリ
ダイゼーション溶液中で42℃、16時間行なった。プロー
ブとハイブリダイズが認められたポジティブプラークか
ら(前記、「モレキュラー・クローニング」、第371〜3
72頁記載の方法に従いλDNAを分離した。得られたλDNA
を制限酵素BamHIで切断したのちアガロースゲル(0.8
%)電気泳動した。この電気泳動ゲルから、サザン(So
uthern)法(前記、「モレキュラー・クローニング」、
第382〜386頁参照)により、ニトロセルロースフィルタ
ーにDNAを転写した。32P放射能ラベルしたプラスミドpG
LD 19の2.3kbpのHindIII断片(サッカロミセス・セレビ
シェのGLD遺伝子を含む)と、上記DNA結合ニトロセルロ
ースフィルターのサザン雑種形成(前記、「モレキュラ
ー・クローニング」、第387〜389頁参照)を、30%ホル
ムアミド、0.75M塩化ナトリウム、0.075Mクエン酸ナト
リウム、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム、50mMトリス塩
酸緩衝液(pH7.5)および100μg/ml熱変性サケ精子DNA
を含むハイブリダイゼーション溶液中で42℃、16時間行
なった。その結果、4.5kbpのBamHI断片とハイブリダイ
ズが認められた。
2)GLD遺伝子のサブクローニング 上記3)で得たλDNAを制限酵素BamHIで切断したの
ち、4.5kbpのBamHI断片をアガロースゲル(1.0%)電気
泳動(前記、「モレキュラー・クローニング」、第150
〜162頁参照)および電気泳動溶出法(高木康敬著「遺
伝子操作マニュアル」第33頁、講談社サイエンティフィ
ク、1982年、参照)により単離した。一方ベクタープラ
スミドpbluescript SK+を制限酵素BamHIで切断した。
このようにして得られた2種類のDNA断片を混合し、T4D
NAリガーゼで連結反応を行なった。この連結反応液を用
いて大腸菌JM 109株を形質転換することにより、pblues
cript SK+のBamHIサイトに4.5kbpのBamHI断片(アクレ
モニウム・クリソゲナムのGLD遺伝子を含む)が挿入さ
れたプラスミドpGL 13(第37図参照)を得た。
参考例3 1)プラスミドpCH 1の作製 ハイグロマイシンBホスフォトランスフェラーゼ遺伝
子を含むプラスミドpGL 62「L.Gritz、et al;ジーン(G
ene)25、179(1983)参照]からハイグロマイシンBホ
スフォトランスフェラーゼ遺伝子のプロモーターとアミ
ノ基末端から3個のアミノ酸が欠失したプラスミドpCH
1(第38図参照)をKasterらの方法[カレント・ジェネ
ティクス(Current Gnetics)8、353(1984)参照]に
準じて作製した。
2)プラスミドpGL 6の作製(第39図参照) プラスミドpGL 13をEcoRIとXhoIで切断したのち、ア
ガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記、「モレキュラ
ー・クローニング」、第150〜162頁参照)および電気泳
動溶出法(高木康敬著「遺伝子操作マニュアル」第33
頁、講談社サイエンスティフィク、1982年、参照)によ
り単離した。2.0kbpのEcoRI−XhoI断片をSau3AIで切断
したのち、アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)を作
用させた。これをポリアクリルアミドゲル(1.0%)電
気泳動したのち、約80bpのEcoRI−Sau3AI断片を、前
記、「モレキュラー・クローニング」、第173頁記載の
方法に従って単離した。
一方、2種類の14mer合成オリゴヌクレオタイド
(5′−GATCTATCAAAATG、5′−GATCCATTTTGATA)をそ
れぞれT4ポリヌクレオタイド・キナーゼ(宝酒造製)に
より、5′末端をリン酸化したのち、アニーリングさせ
ることによりBglII−BamHIアダプター(第39図参照)を
作製した。
次に、ベクタープラスミドpUC19をBamHIで切断したの
ち、アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)を作用さ
せ、さらにEcoRIで切断したのちアガロースゲル(1.0
%)電気泳動(前記、「モレキュラー・クローニン
グ」、第150〜162頁参照)および電気泳動溶出法(高木
康敬「遺伝子操作マニュアル」第33頁、講談社サイエン
ティフィク、1982年、参照)により、2.7kbpのEcoRI−B
amHI断片を単離した。
以上の約80bpのEcoRI−Sau3AI断片、BglII−BamHIア
ダプター、及び2.7kbpのEcoRI−BamHI断片をT4DNAリガ
ーゼを用いて連結することにより、プラスミドpGL 6を
作製した。
3)プラスミドpGL 69の作製(第40図参照) 前項のプラスミドpGL 6をEcoRIとBamHIで切断したの
ち、ポリアクリルアミドゲル(1.0%)電気泳動したの
ち、約90bpのEcoRI−BamHI断片を、前記、「モレキュラ
ー・クローニング」、第173頁記載の方法に従って単離
した。
一方、参考例2−4)記載のプラスミドpGL 13をEcoR
IとPstIで切断したのち、アガロースゲル(1.0%)電
気泳動(前記、モレキュラー・クローニング」、第150
〜162頁参照)および電気泳動溶出法(高木康敬著「遺
伝子操作マニュアル」第33頁、講談社サイエンティフィ
ク1982年、参照)により、1.2kbpのEcoRI−PstI断片を
単離した。
ベクタープラスミドpHSG398(宝酒造製)をPstIとBa
mHIで切断したのち、アガロースゲル(1.0%)電気泳動
(前記、「モレキュラー・クローニング」、第150〜162
頁参照)および電気泳動溶出法(高木康敬「遺伝子操作
マニュアル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982
年、参照)により2.2kbpのPstI−BamHI断片を単離し
た。
以上の約90bpのEcoRI−BamHI断片、1.2kbpのEcoRI−P
stI断片、2.2kbpのPstI−BamHI断片をT4DNAリガーゼ
を用いて連結することにより、プラスミドpGL 69を作製
した。
4)プラスミドpGH 2の作製(第41図参照) 前項のプラスミドpGL 69をPstIとBamHIで切断したの
ち、アガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記、「モレ
キュラー・クローニング」、第150〜162頁参照)および
電気泳動溶出法(高木康敬「遺伝子操作マニュアル」第
33頁、講談社サイエンティフィク、1982年、参照)によ
り、1.3kbpのPstI−BamHI断片を単離した。
1)項記載のプラスミドpCH 1をHindIIIとBamHIで切
断したのち、アガロースゲル(1.0%)電気泳動(前
記、「モレキュラー・クローニング」、第150〜162頁参
照)および電気泳動溶出法(高木康敬「遺伝子操作マニ
ュアル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982年、
参照)により、1.6kbpのHinIII−BamHI断片を単離し
た。
ベクタープラスミドpUC 19をPstIとHindIIIで切断し
たのち、アガロースゲル(1.0%)電気泳動(前記、
「モレキュラー・クローニング」、第150〜162頁参照)
および電気泳動溶出法(高木康敬「遺伝子操作マニュア
ル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982年、参
照)により、2.7kbpのPstI−HindIII断片を単離した。
以上の1.3kbpのPstI−BamHI断片、1.6kbpのHindIII
BamHI断片、2.7kbpのPstI−HindIII断片をT4DNAリガ
ーゼを用いて連結することにより、プラスミドpGH2を作
製した。
5)プラスミドpGH 21の作製 参考例3−3)で作製したpGL 69をBamHIとHindIIIで
切断したのち、アガロースゲル(1.0%)電気泳動(前
記、「モレキュラー・クローニング」、第150〜162頁参
照)および電気泳動溶出法(高木康敬著「遺伝子操作マ
ニュアル」第33頁、講談社サイエンティフィク、1982
年、参照)により、1.3kbpのBamHI−HindIII断片を単離
した。参考例3−1)項記載のプラスミドpCH 1をHindI
IIとBamHIで切断したのち、アガロースゲル(1.0%)電
気泳動(前記、「モレキュラー・クローニング」、第15
0〜162頁参照)および電気泳動溶出法(高木康敬著「遺
伝子操作マニュアル」第33頁、講談社サイエンティフィ
ク、1982年、参照)により、1.6kbpのHindIII−BamHI断
片を単離した。
ベクタープラスミドpHSG398(宝酒造製)をHindIIIで
切断したのち、アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)
を作用させた。
以上の1.3kbpのBamHI−HindIII断片、1.6kbpのHindII
I−BamHI断片、pHSG398のHindIII断片をT4リガーゼを用
いて連結することによりプラスミドpGH 21(第28図参
照)を作製した。
発明の効果 本発明のセファロスポリン系抗生物質の生合成に関与
する酵素遺伝子群を有するDNA断片は、細菌(例えば、
大腸菌)やカビ(例えば、アクレモニウム クリソゲナ
ム)を宿主として効率的に発現させることができ、これ
らの酵素遺伝子群を含有するDNA断片を用いることによ
って、セファロスポリン系抗生物質の生産性の向上が可
能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例4において決定されたDNA断片の塩基
配列を、第2図は、実施例1−3)において調製された
DNAオリゴマー(イソペニシリンNシンセターゼ遺伝子
検索プローブ)を、第3図は、実施例1−5)において
作製されたプラスミドpIPS 6の制限酵素切断地図を、第
4図は、実施例2−4)において得られたプラスミドpB
I1の制限酵素切断地図を、第5図および6図は、実施例
3−1)において作製されたプラスミドpBI2およびpBI3
の制限酵素切断地図を、第7図、第8図、第9図、第10
図および第11図は、実施例3−2)において作成された
プラスミドpBI4,pBI5,pBI6,pBI7およびpBI8の制限酵素
切断地図を、第12図は、プラスミドpBI1,pBI2,pBI3,pBI
4,pBI5,pBI6,pBI7およびpBI8に含まれるリゾバクター・
ラクタムAヌスYK−90の染色体DNAの制限酵素切断地図
を第13〜21図は、ORF1〜9のアミノ酸配列を、第22図
は、実施例6において作製されたプラスミドpBR322Eco
の制限酵素切断地図を、第23図は、実施例6において作
製されたプラスミドpBRTAC8の制限酵素切断地図を、第2
4図は、実施例7において作製されたプラスミドpBI110
の制限酵素切断地図を、第25図は、実施例8において作
製されたプラスミドpBI120の制限酵素切断地図を、第26
図は、実施例9において作製されたプラスミドpBI140の
制限酵素切断地図を、第27図は、実施例10において作製
されたプラスミドpBI151の制限酵素切断地図を、第28図
は、参考例3−5)において作製されたプラスミドpGH2
1の制限酵素切断地図を、第29図は、実施例11−1)に
おいて作製されたBglII−Bsp1286アダプターを、第30図
は、実施例11−1)において作製されたプラスミドpGBI
1の制限酵素切断地図を示す。第31図は、実施例11−
2)において作製されたプラスミドpGHBI21の制限酵素
切断地図を、第32図は、実施例12−1)において作製さ
れたプラスミドpCP14の制限酵素切断地図を、第33図
は、実施例13−1)において作製されたプラスミドpCP7
の制限酵素切断地図を、第34図は、参考例1−2)にお
いて調製されたDNAオリゴマー(GLO遺伝子検索プロー
ブ)を、第35図は、参考例1−4)において調製された
DNAオリゴマーを、第36図は、参考例1−5)において
作製されたプラスミドpGLD19の制限酵素切断地図を、第
37図は、参考例2−4)において作製されたプラスミド
pGL13の制限酵素切断地図を、第38図は、参考例3−
1)において作製されたプラスミドpCH1の制限酵素切断
地図を、第39図はプラスミドpGL6の調製法を、第40図
は、参考例3におけるプラスミドpGL69の調製法を、第4
1図は、参考例3におけるプラスミドpGH2の調製法をそ
れぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−141296(JP,A) 特開 昭62−224292(JP,A) Nature,1984,Vol.309, No.31,P.462−464 Nature,1985,Vol.318, No.14,P.191−194 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12P 1/00 - 41/00 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1図の第5524〜16690番目の塩基配
    列、第16761〜17739番目の塩基配列、第17802〜187
    59番目の塩基配列、第18798〜19737番目の塩基配列、
    第19802〜21059番目の塩基配列および第21186〜223
    41番目の塩基配列を含有することを特徴とするセファロ
    スポリン系抗生物質の生合成に関与するσ−(L−α
    −アミノアジピル)−L−システニル−D−バリンシン
    セターゼ)、イソペニシリンNシンセターゼ、デア
    セトキシセファロスポリンCシンセターゼ、デアセト
    キシセファロスポリンCハイドロキシラーゼ、イソペ
    ニシリンNエピメラーゼおよびβ−ラクタマーゼの酵
    素遺伝子群を有するリゾバクター・ラクタムゲヌス由来
    のDNA断片。
  2. 【請求項2】DNA断片の塩基配列が、第1図に示すもの
    である請求項(1)記載のDNA断片。
  3. 【請求項3】請求項(1)または(2)記載のDNA断片
    または、それを構成する酵素遺伝子の発現に必要な大き
    さのDNA断片を組み込んだプラスミド。
  4. 【請求項4】請求項(3)記載のプラスミドで形質転換
    した微生物。
  5. 【請求項5】セファロスポリン系抗生物質を産生する能
    力を有する請求項(4)記載の形質転換体を培養し、セ
    ファロスポリン系抗生物質を培養液中に蓄積させ、それ
    を採取することを特徴とするセファロスポリン系抗生物
    質の製造法。
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