JPH0523187A - カスガマイシンアセチル化酵素遺伝子とそれを含有するdna断片 - Google Patents

カスガマイシンアセチル化酵素遺伝子とそれを含有するdna断片

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JPH0523187A
JPH0523187A JP2150091A JP2150091A JPH0523187A JP H0523187 A JPH0523187 A JP H0523187A JP 2150091 A JP2150091 A JP 2150091A JP 2150091 A JP2150091 A JP 2150091A JP H0523187 A JPH0523187 A JP H0523187A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 放線菌(カスガマイシン生産菌、ストレプト
ミセス・カスガエンシス)のDNAに由来して分子量が
約14kbのPstI−PstI切断DNA断片を制限
酵素BamHIで切断して得られ且つカスガマイシンア
セチル化酵素をコードする遺伝子を内部に含有し、制限
酵素SplI及びSalIによる酵素切断点を有する分
子量が約0.7kbのDNA断片又はこれと等価である
DNA断片、並びに宿主細胞にカスガマイシンをアセチ
ル化する酵素を産生させる能力を付与し、これにより、
宿主細胞にカスガマイシンを不活性化する能力を付与し
て宿主細胞をカスガマイシン耐性とする、カスガマイシ
ンアセチル化酵素をコードする遺伝子。 【効果】 組換えDNA技術の活用に必要な遺伝子導入
用ベクターの選択マーカーとして有用であり、さらにカ
スガマイシンの新規誘導体の創製などを目的として行わ
れるカスガマイシンの生産機構の解析に利用される材料
としても有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
【0002】本発明は、ストレプトミセス属の放線菌に
由来して放線菌または細菌のカスガマイシン耐性に関与
するカスガマイシンアセチル化酵素をコードする遺伝子
に関し、また該遺伝子を含有するDNA断片並びにそれ
の単離とその利用に関する。より詳しくは、本発明よる
カスガマイシンアセチル化酵素をコードする遺伝子、ま
たは該遺伝子を含有するDNA断片は組換えDNA技術
の活用に必要な遺伝子導入用ベクターの選択マーカーと
して有用であり、さらにカスガマイシンの新規誘導体の
創製などを目的として行われるカスガマイシンの生産機
構の解析に利用される材料としても有用である。
【0003】
【従来の技術】
【0004】現在、DNA組換え技術のめざましい発展
により、大腸菌、枯草菌、放線菌や酵母など数多くの微
生物について、宿主−ベクター系が開発され、有用ペプ
チドの生産などに利用されている。その際、プラスミド
ベクターのための選択マーカーとしては、選択の容易性
や適用範囲の広さなどから、薬剤耐性マーカーが多く用
いられ、例えば、アンピシリン耐性マーカーやテトラサ
イクリン耐性マーカーが用いられ、またその他に、カナ
マイシン、ネオマイシンやストレプトマイシンなどのア
ミノグリコシド系抗生物質の耐性マーカーなどが挙げら
れる。そしてこれらの耐性マーカーの利用例としては枯
草菌のベクターpUC110上のカナマイシン耐性マー
カー、放線菌のベクターpIJ61上のネオマイシン耐
性マーカー及びコリネバクテリウムのベクターpCG4
上のストレプトマイシン耐性マーカーなどがある。
【0005】しかしながら、従来、カスガマイシン耐性
マーカーは知られていない。
【0006】一方、抗生物質の誘導体の創製によって大
きな発展を遂げた例としては、β−ラククム系抗生物質
であるペニシリンやセファロスポリンがある。これらの
抗生物質では、それぞれの基本骨格である6−アミノペ
ニシラン酸や7−アミノセファロスポラン酸に各種の側
鎖を導入することにより、抗菌スペクトルが拡大された
及び(又は)分解酵素に対する安定性が増大された有益
な誘導体が数多く開発されている。
【0007】カスガマイシンは、アミノグリコシド系抗
生物質のうちでも特異な構造を有し、その構成成分であ
るα−イノシトール及びカスガミン部分、並びにこれに
結合されるカルボキシホルムイミドイル基側鎖は、いず
れも天然物として非常に希な特異な構造体である。
【0008】このようにカスガマイシンは、特異な構造
を有する故にそれの生合成経路についても種々調べられ
ている(「ジャーナル・オブ・アンチビオチックス」第
21巻、第185頁(1968年);同誌第21巻第1
82頁(1968年);同誌第21巻第358頁(19
68年)]。
【0009】しかしながら、カスガマイシンの生合成経
路中で生ずる中間体等に関する従来の知見はカスガマイ
シンの新規誘導体を創製するための知識を充足する上に
必ずしも満足すベきものではない。
【発明が解決しようとする課題】
【0010】前述の如く、各種の微生物への組換えDN
A技術の実用的な応用の拡大を目的として、種々の選択
マーカーが利用された宿主−ベクター系が開発されてい
るものの、今後さらに宿主細胞として用いられる微生物
種が増加しつつあり、それぞれの微生物種に適合したベ
クターの構築が必要とされている。そのため、ベクター
の選択マーカーとして使用でき、より優れたベクターの
開発につながる新規なマーカーが要望されている。
【0011】また、前述のごとく、カスガマイシンの特
異な化学構造を利用して、さらに有益な生理活性を有す
るカスガマイシン誘導体の創製などに役立つ知見を得る
ために、カスガマイシンの生合成経路を解析する材料と
して、カスガマイシンの生産に関連する各種の遺伝子を
含むDNA断片を単離することも有用である。
【課題を解決するための手段】
【0012】本発明者らは、前記の課題を解決するため
に鋭意検討した。その結果、ストレプトミセス・カスガ
エンシスMB273はカスガマイシンに耐性であるが、
このようにカスガマイシン耐性である理由の一つは自己
の生産するカスガマイシンの2´−位のアミノ基をアセ
チル化する酵素を本菌が産生すること及びそれによりカ
スガマイシンを不活性化する能力を有することに由るこ
とを初めて知見した。そして、本菌からそのアセチル化
酵素の産生に関与する遺伝子を含むDNA断片を分離し
て、目的とする新規な選択マーカーを取得することに成
功した。さらに、これを利用することによりカスガマイ
シンの生産機構に関する知見を得る材料を提供できるも
のと推測し、研究を進めていた。
【0013】そして今回その研究の結果として、ストレ
プトミセス・カスガエンシスMB273菌株の細胞中の
総DNA(但しプラスミドpSK1およびpSK2以外
のプラスミドおよび染色体DNAを含めて)を制限酵素
PstIで切断して得られた各種のDNA断片のうちか
ら、カスガマイシンをアセチル化して不活性にする酵素
をを産生する遺伝子を内部に保有する約14kbのDN
A断片をプラスミドに組み込み、かつクローニングする
ことに成功した。
【0014】したがって本発明によれば、カスガマイシ
ンの2´−位のアミノ基をアセチル化する酵素活性を有
するアセチル化酵素をコードする遺伝子が提供され、さ
らにまた当該遺伝子を含むDNA断片、及び該DNA断
片を含有する組換えプラスミドが提供される。
【0015】更に詳しくは、第1の本発明の要旨とする
ところは、宿主細胞にカスガマイシンをアセチル化する
酵素を産生させる能力を付与し、これにより、宿主細胞
にカスガマイシンを不活性化する能力を付与して宿主細
胞をカスガマイシン耐性とすることを特徴とする、カス
ガマイシンアセチル化酵素をコードする遺伝子にある。
【0016】本発明のカスガマイシンアセチル化酵素を
コードする遺伝子(以下では、単にカスガマイシンアセ
チル化酵素遺伝子という)を含有するDNA断片は、カ
スガマイシンを生産し、且つカスガマイシンをアセチル
化する酵素活性を有する菌の総DNAに由来するもので
あればよい。そのような菌の例としてストレプトミセス
・カスガエンシスMB273(「J.Antibiot
ics」第36巻、99頁(1983))が挙げられ
る。より具体的には、ストレプトミセス・カスガエンシ
スMB273より、2度にわたるプロトプラストの再生
を経過させる処理を加えることによって本菌が元来持つ
2種のプラスミドpSK1とpSK2を除いたプラスミ
ド除去株が使用される。ストレプトミセス・カスガエン
シスMB273由来の、このプラスミド除去株は、スト
レプトミセス・カスガエンシスMB273−R108と
命名し、通産省工業技術院微生物技術研究所に微工研菌
寄第11875号(FERM P−11875)として
寄託してある。
【0017】本発明で提供するカスガマイシンアセチル
化酵素遺伝子を含むDNA断片のクローニングに用いる
宿主としては、プラスミドベクターによる遺伝子導入系
が確立しており且つ当初はカスガマイシンに感受性を示
すが形質転換によってカスガマイシンに対する耐性を獲
得した菌株を容易に選別することが可能とする種類の菌
が好適である。そのような代表例として大腸菌が挙げら
れる。
【0018】他方、ベクタープラスミドとしては、宿主
に用いる菌内にあって安定に増殖可能であって、クロー
ニングサイトを多く持ち、且つそれらクローニングサイ
ト近傍に異種遺伝子を発現させるために必要なプロモー
ターを有する発現べクターが好ましい。そのようなプラ
スミドベクターの具体的な例として、大腸菌を宿主とす
る場合には、市販のプラスミドベクターpUC18など
が挙げられる。プラスミドベクターpUC18は、内部
にアンピシリン耐性遺伝子とlacZ遺伝子の2つの選
択マーカーを持ち、さらにマルチプルクローニングサイ
トと呼ばれる外来DNAの挿入部位がlacZ遺伝子の
プロモーターに近接して存在し、その部位に挿入された
異種遺伝子をlacZのプロモーターにより発現させる
ことが可能である。またlacZ遺伝子のプロモーター
は、イソプロピル−β−1−チオガラクトシド(IPT
G)などの存在下で誘導的に働くという特徴を持つ。
【0019】ここに本発明者らは、宿主として大腸菌J
M109を用い且つベクターとしてpUC18を用いる
系を利用して、ストレプトミセス・カスガエンシスMB
273−R108の総DNAからカスガマイシンアセチ
ル化酵素遺伝子をショットガン法によりクローニングす
ることを試みた。その結果、カスガマイシン耐性を獲得
した大腸菌JM109の形質転換株を得ることに成功
し、またこの形質転換株から、本発明のカスガマイシン
アセチル化酵素遺伝子を含有する添付図面の図1に記載
の制限酵素地図をもつ分子量約14kbのPstI−P
stI切断DNA断片を含む組換えプラスミドpUC1
8−KP1を分離することに成功した。このプラスミド
pUC18−KP1の制限酵素地図は添付図面の図2に
示す。宿主にカスガマイシン耐性を付与する遺伝子すな
わちカスガマイシン耐性遺伝子は、分子量約14kbの
前記PstI−Pst切断DNA断片内に存在し後述す
る如く、嘱望されたカスガマイシンアセチル化酵素遺伝
子であることが見出された。本組換えプラスミドを保持
する大腸菌JM109は大腸菌JM109(pUC18
−KP1)と命名し、通産省工業技術院微生物技術研究
所に微工研菌寄第11876号(FERM P−118
76)として寄託してある。
【0020】以下にこの分子量約14kbのPstI−
PstI切断DNA断片及びその内部に存在する本発明
のカスガマイシンアセチル化酵素遺伝子すなわちカスガ
マイシン耐性遺伝子について若干の説明を加える。
【0021】このPstI−PstI切断DNA断片
は、添付図面の図1に示した制限酵素切断地図を有す
る。このPstI切断DNA断片内部において、カスガ
マイシン耐性遺伝子が黒く塗りつぶした分子量約0.7
kbのBamHI−BamHI切断DNA断片内に存在
することは、この約0.7kbのBamHI切断DNA
断片をプラスミドpUC18上にサブクローニングして
得られた添付図面の図3に記載の組換えプラスミドpU
C18−KB1を持つ大腸菌JM109がカスガマイシ
ンに耐性となることにより明らかとなる。プラスミドp
UC18−KP1をもつ大腸菌JM109のカスガマイ
シン耐性は微弱であるが、他方、プラスミドpUC18
−KB1を持つ大腸菌JM109のカスガマイシン耐性
は大幅に高まった。さらにプラスミドpUC18−KP
1またはpUC18−KB1を持つ大腸菌JM109の
カスガマイシン耐性は、どちらもIPTG添加条件下で
はカスガマイシン耐性の増強が認められたことより、カ
スガマイシン耐性遺伝子は両組換えプラスミド上でla
cZ遺伝子のプロモーターより発現されていることが示
され、遺伝子の転写方向は添付図面の図1の矢印の方向
であることが判明した。
【0022】本発明のカスガマイシン耐性遺伝子が、カ
スガマイシンをアセチル化する酵素をコードして産生す
ることは、次のことから理解される。即ち、IPTG存
在下で培養したプラスミドpUC18−KB1を持つ大
腸菌JM109の菌体より調製した粗酵素液とカスガマ
イシンとをアセチルCoAの存在下で反応させると、シ
ュードモナス・フルオレッセンスに対して示すカスガマ
イシンの抗菌活性が完全に消失することから、上記の粗
酵素液中には、プラスミドpUC18−KB1上にある
カスガマイシン耐性遺伝子より産生されたカスガマイシ
ンアセチル化酵どに対しては耐性とならなかった。この
ことは、カスガマイシンの構造からも予想されるよう
に、本発明の遺伝子より産生されるカスガマイシンアセ
チル化酵素の基質特異性の高さを示すものであり、本発
明の遺伝子を新規な選択マーカーとして含むプラスミド
ベクターを作製すれば、そのベクターを組込まれた形質
転換株はカスガマイシン耐性であることから排他的に選
択することができ、極めて有利である。
【0023】これによって、添付図面の図1のPstI
−PstI切断DNA断片内に存在して、宿主である大
腸菌にカスガマイシン耐性を付与する遺伝子は、下式で
示されるカスガマイシンの2´−位のアミノ基のアセチ
ル化を司るカスガマイシンアセチル化酵素の遺伝子と確
認された。
【0024】従って、第2の本発明によると、放線菌の
DNAに由来する分子量が約14kbのDNA断片であ
って、添付図面の図1に示される制限酵素切断地図を有
し、且つ第1の本発明のカスガマイシンアセチル化酵素
をコードする遺伝子を内部に含有するDNA断片が提供
される。
【0025】また、第3の本発明によると、放線菌のD
NAに由来して且つ添付図面の図1に示される制限酵素
切断地図を有する分子量が約14kbのPstI−Ps
tI切断DNA断片を、制限酵素BamHIで切断して
得られ且つカスガマイシンアセチル化酵素をコードする
遺伝子を内部に含有し、しかも添付図面の図4に示した
塩基配列を有し且つ制限酵素SplI及びSalIによ
る酵素切断点を有する分子量が約0.7kbのDNA断
片又はこれと等価であるDNA断片が提供される。
【0026】第3の本発明の分子量約0.7kbのDN
A断片は図4の配列表の配列に示された734塩基対よ
りなる。ここで「DNA断片と等価である」DNA断片
とは、該DNA断片の有する塩基配列の中でDNAコド
ンの縮重により該DNA断片自体のそれと異った塩基配
列をもつに至ったが、ジエノタイプでは同一と認められ
るDNA断片を含有していることを意味し、特に本発明
ではカスガマイシンをアセチル化する酵素をコードする
塩基配列を内部に含むDNA断片である点で本発明の約
0.7kbのDNA断片と均等であるものを意味する。
【0027】本発明がもたらす効果としては、以下のよ
うな効果が期待される。本発明のカスガマイシンアセチ
ル化酵素遺伝子を含有する組換えプラスミドpUC18
−KB1による大腸菌JM109の形質転換株は、カス
ガマイシンに対して高度に耐性となったが、プラスミド
マーカーの選択薬剤として従来より用いられているアミ
ノグリコシド系抗生物質であるカナマイシン、ネオマイ
シン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンなどに対し
ては耐性とならなかった。このことは、カスガマイシン
の構造からも予想されるように、本発明の遺伝子より産
生されるカスガマイシンアセチル化酵素の基質特異性の
高さを示すものであり、本発明の遺伝子を新規な選択マ
ーカーとして含むプラスミドベクターを作製すれば、そ
のベクターを組込まれた形質転換株はカスガマイシン耐
性であることの指標から排他的に選択することができ、
極めて有利である。
【0028】また、本発明の遺伝子より産生される酵素
はカスガマイシンに特異的なアセチル化酵素であること
から、本発明の遺伝子はカスガマイシンの生産に関連し
た遺伝子のひとつ、おそらくは自己耐性に関与した遺伝
子であると推測される。
【0029】抗生物質の生産には多数の遺伝子の関与が
必要であるが、それらの遺伝子は生産菌の染色体上でク
ラスターを形成し連なって存在していることが、ストレ
プトマイシン〔ジャーナル・オブ・バクテリオロジー
(J. Bacteriol.)第164巻、85頁
(1985)〕、ビアラホス〔「モレキュラー・アンド
・ゼネラル・ゼネチックス」(Mol. Gen. G
enet.)第205巻、42頁(1986)〕やエリ
スロマイシン〔「バイオテクノロジー」(Biotec
hnology)第4巻、229頁(1986)〕など
のいくつかの抗生物質で明らかとなっている。カスガマ
イシンの場合も同様であるものと推測される。第2の本
発明により単離された、カスガマイシンアセチル化酵素
遺伝子を含む約14kbのPstI−PstI切断DN
A断片中には、アセチル化酵素の産生以外にもカスガマ
イシンの生産または生合成経路に関与する各種の遺伝子
が含有されることは十分に考えられる。従って、第2の
本発明のDNA断片を用いてDNA組換え技術を駆使す
れば、本発明のDNA断片内に存在する他のカスガマイ
シン生産関連遺伝子の同定やカスガマイシン生合成閉鎖
変異株の分離及びその変異株の蓄積する生合成中間体の
単離を実現できる可能性がある。その場合に応用できる
DNA組換え技術の手法の一つとしては、遺伝子置換法
がある。すなわちin vitroで作成した変異を含
むDNA断片を組込んだプラスミドをそのDNA断片の
供与菌に導入し、その菌が持つDNA組換え能を利用し
て、染色体上の相同領域にその変異を置き換えることに
よって変異株を作成するという手法である。この手法を
用いた具体例としては、ビアラホスの生合成遺伝子に関
する研究〔「ジャーナル・オブ・アンチビオチックス」
(J. Antibiotics)第41巻、226頁
(1988)〕がある。
【0030】従って第2の本発明の約14kbのDNA
断片は、これまでほとんどなされていないカスガマイシ
ンの生産に関する解析を行うのに利用できる材料とし
て、またカスガマイシンの新規誘導体を創作するのに利
用しうる新しい材料としても極めて有用である。
【0031】実施例 1 組換えプラスミドの調製法 ストレプトミセス・カスガエンシスMB273−R10
8を、1%グルコース、0.4%ポリペプトン、0.4
%酵母エキス、0.05%MgSO4 ・7H2 O、0.
1%K2 HPO4 、0.05%グリシンよりなる組成の
培地25mlを分注した100ml容量の坂口フラスコ
に接種し、27℃で2日間振盪培養した。この培養物を
種として、500ml容量の坂口フラスコに分注した
0.4%グリセロール、0.2%ポリペプトン、0.4
%酵母エキス、0.05%MgSO4 ・7H2 O、0.
2%KH2 PO4 、0.8%Na2 HPO4 ・12H2
O、0.3%グリシンよりなる組成の培地100mlに
2%量で接種し、27℃で24時間振盪培養した。この
培養液から低速遠心で菌体を集め、この菌体から岡西ら
の方法〔「ジャーナル・オブ・バクテリオロジー」
(J.Bacteriol.)第104巻、第1086
頁(1970)〕に準じて全DNAを抽出・精製した後
に供与体DNAとした。
【0032】このようにして得られた供与体DNA2.
5μg及び市販のベクタープラスミドpUC18
(〔株〕ニッポンジーン製)1μgをそれぞれ30単位
と15単位の制限酵素PstI(〔株〕ニッポンジーン
社製)と37℃で2時間反応させて切断した。これらの
反応液にフェノールを添加して酵素PstIを失活さ
せ、反応を終了させた。
【0033】この両反応液を混合し、3モル酢酸ナトリ
ウム溶液(酢酸でpH5.2に調整)を1/10量加
え、さらに冷エタノールを2倍量加えて、−20℃で一
夜保置した後、10,000回転で10分間遠心分離
し、DNA断片を沈殿物として回収した。
【0034】回収したDNA断片をDNA溶解用DSB
緩衝液[10mM Tris−HCl(pH7.6)、
10mM NaCl、1mM EDTA・2Na]45
μlに溶解した。このDNA溶液に10倍濃度のリガー
ゼ反応用緩衝液[660mMTris−HCl(pH
7.6)、66mM MgCl2 、100mMジチオス
レイトール、5mM ATP]の5μlと、T4DNA
リガーゼの1μl(375単位)を加え、10℃で20
時間反応させ、DNA断片の連結を行った。このように
してプラスミドpUC18のPstI切断片に、ストレ
プトミセス・カスガエンシスMB273−R108の全
DNAのPstI切断片を組込んで組換えプラスミドの
混合物を調製した。
【0035】実施例 2 形質転換と形質転換株の選別 上記の実施例1で得た組換えプラスミドの混合物から目
的の組換えプラスミドを取得するために、大腸菌JM1
09のコンピテントセル(competentcel
l)にこの組換えプラスミドの混合物を導入した。以下
にその操作手順の詳細を記す。
【0036】大腸菌JM109を、L字管に分注したY
T培地(0.5%酵母エキス,0.8%バクトトリプト
ン,0.5%NaCl)5mlに接種し、37℃で一夜
振盪培養した。この培養液0.5mlを、新鮮なYT培
地を50ml分注した500ml容三角フラスコ加え
て、37℃で2時間10分振盪培養した。この培養液2
0mlから遠心分離で集めた菌体よりコンピテントセル
を調製するために10mlの50mM CaCl2 溶液
に懸濁し、15分間氷水中に静置した。この懸濁液を遠
心分離し、集めた菌体を2mlの50mM CaCl2
溶液に懸濁し氷水中に静置した。
【0037】このコンピテントセルの懸濁液400μl
に実施例1で得た組換えプラスミド混合物の溶液20μ
lを加え、氷水中に30分静置し形質転換を行った。次
いで37℃で3分間加温した後、再度、10分間氷水中
に静置した。これにYT培地を1.6ml加えて37℃
で30分間静置した。
【0038】カスガマイシンに耐性となった形質転換株
の選別は以下のように行った。選択培地として50μg
/mlのアンピシリン・Naと300μg/mlのカス
ガマイシン・HClを含有するYT寒天培地を9cm経
のシャーレに20枚用意し、この寒天培地1枚につき、
上記の形質転換した菌の懸濁液100μlと200mM
IPTG溶液50μlを同時に塗布した。塗布後、該
寒天培地を37℃で42時間培養して、カスガマイシン
耐性形質転換株を選別した。
【0039】実施例 3 形質転換株の持つプラスミド
の抽出と解析 実施例2に記載した如く選択培地上でカスガマイシン耐
性となった形質転換株を選別した結果、4株のカスガマ
イシン耐性株の出現が認められた。これらの耐性株の持
つプラスミドの大きさなどを調べるために、以下のよう
にして耐性株からプラスミドを抽出した。
【0040】4株の耐性株のそれぞれをL字管に分注し
た5mlのYT培地(50μg/mlのアンピシリンN
aを含有)に接種し、37℃で一夜振盪培養した。遠心
分離によって集めた菌体をTES緩衝液(25mM T
ris−HCl(pH7.4),25mM NaCl,
25mM EDTA・3Na)2mlに懸濁・洗浄し
て、再度、遠心分離で菌体を集め2倍濃度のTES緩衝
液0.45mlによって懸濁した。この懸濁液に40m
g/mlの卵白リゾチーム溶液25μlと5mg/ml
のリボヌクレアーゼ溶液10μlを加えて室温で30分
静置したのちに、溶菌用溶液(2%ドデシル硫酸ナトリ
ウム,0.1M EDTA・3Na,0.5N NaO
H)の0.25mlを加えて撹拌・混合して溶菌した。
次いでこれに3M酢酸を62.5μl加えて中和し、さ
らにフェノール−クロロホルム溶液(0.2M Tri
s−HCl(pH8.0)で飽和したフェノールとイソ
アミルアルコールを4%含むクロロホルムを1:1で混
合した溶液)の0.8mlを加えて撹拌・混合したのち
遠心分離を行い、その上層を分取し、DSB緩衝液中で
透析して、プラスミド抽出液を得た。
【0041】4株のカスガマイシン耐性株より抽出した
プラスミドをアガロースゲル電気泳動によって調査した
結果、4株のうちの2株より抽出した2つの組換えプラ
スミドは、ベクターに用いたプラスミドpUC18より
明らかに大きな組換えプラスミドであった。
【0042】この2つの組換えプラスミドをPstIや
BamHIなどの各種の制限酵素の単独もしくは複数で
切断した際に生じる種々のDNA断片の大きさを測定し
制限酵素切断点の位置を解析した結果、上記の両方の組
換えプラスミドは添付図面図1に記載の分子量約14k
bのPstI切断DNA断片を共通に含有し且つ同じ方
向に組込でいる添付図面図2に記載の制限酵素地図をも
っ同一の組換えプラスミド(pUC18−KP1と命
名)であった。
【0043】この約14kbのPstI切断DNA断片
の内部にカスガマイシン耐性遺伝子が存在することは、
プラスミドpUC18−KP1による再形質転換によっ
て得られた大腸菌JM109アンピシリン耐性形質転換
株がすべてカスガマイシン耐性になったことから確認さ
れた。さらに、14kbのPstI切断DNA断片をB
amHIで切断して得られた0.7kbのBamHI切
断DNA断片(添付図面第1図の黒塗りの部分)を後述
の如くサブクローニングして添付図面図の図3記載の組
換えプラスミドpUC18−KB1を得たが、このpU
C18−KB1が大腸菌JM109に強いカスガマイシ
ン耐性を付与することからも確認された。
【0044】実施例 4 組換えプラスミドpUC18
−KB1の調製 組換えプラスミドpUC18−KP1とプラスミドベク
ターpUC18をそれぞれ別々に制限酵素BamHIで
完全切断したのちに、混合してエタノール沈澱を行っ
た。遠心分離により回収したDNA断片をDSB緩衝液
に溶解し、10倍濃度のリガーゼ反応用緩衝液とT4リ
ガーゼを加えて反応させた。この反応によって、実施例
2に記した方法により大腸菌JM109のコンピテント
セルを形質転換した。
【0045】9cm径のシャーレに作製した50μg/
mlのアンピシリン・Naを含有するYT寒天培地1枚
につき、上記の形質転換された菌懸濁液100μl,2
00mM IPTG溶液10μl及び5%X−Gal溶
液10μlを同時に塗布し、37℃で18時間培養し
た。この培養後に出現したアンピシリン耐性株のなかか
ら、白色のコロニーを形成するものを選別し、カスガマ
イシン耐性を調査した。カスガマイシンに耐性を示した
形質転換株について実施例3に記した方法でプラスミド
を抽出し、アガロースゲル電気泳動によってその大きさ
を調べた。
【0046】検出されたプラスミドのうち最も小さいプ
ラスミドについてBamHIなどの制限酵素で切断して
解析した結果、該プラスミドはpUC18に先の14k
bのPstI切断DNA断片内の0.7kbのBamH
I切断DNA断片が挿入された組換えプラスミド(pU
C18−KB1と命名、添付図面の図3に記載)であっ
た。プラスミドpUC18−KB1を持つ大腸菌JM1
09は、極めて強カスガマイシン耐性を示した。たとえ
ば、大腸菌JM109の形質転換株に対するM9最少寒
天培地上でのカスガマイシンの最少阻止濃度(MIC)
をIPTG存在下で測定すると、pUC18による形質
転換株に対するカスガマイシンのMICは20μg/m
lであるのに対して、pUC18−KB1による形質転
換株に対するカスガマイシンのMICは、2mg/ml
以上であった。
【0047】実施例 5 本発明のカスガマイシン耐性
遺伝子による耐性機構 大腸菌JM109の形質転換株より調製した酵素抽出液
を用いて、本発明のカスガマイシン耐性遺伝子による耐
性機構の解析を以下のように行った。プラスミドベクタ
ーpUC18及び組換えプラスミドpUC18−KB1
をそれぞれ持つ大腸菌JM109を、50μg/mlの
アンピシリンNaを含むYT培地5mlを分注したL字
管に接種し、37℃で一夜振盪培養した。この培養液
0.5mlを500ml容量の三角フラスコに分注した
50mlの新鮮なYT培地に加え、37℃で振盪培養し
た。1時間後にIPTGを2mMになるように添加し、
さらに3時間培養を継続した。6,000回転10分間
遠心分離して菌体を集め、0.3mg/mlのジチオス
レイトールを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH
7.5)で洗浄後、同緩衝液2mlに懸濁し、氷冷下超
音波にて菌体を破砕した。この菌体破砕液を12,00
0回転で10分間遠心分離して得られた上清を、20m
Mトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)中で透析して、無
細胞酵素抽出液とした。
【0048】このように調製した2種の酵素抽出液のそ
れぞれ160μlに、200μg/mlのカスガマイシ
ン塩酸塩溶液を20μl加え、さらに5mg/mlのア
セチルCoA溶液を20μl加えて、30℃2時間反応
させた。対照としてアセチルCoA溶液の代りに蒸留水
を加えたものを用意した。この反応結果をシュードモナ
ス・フルオレッセンスの生育阻止を指標としたペーパー
ディスク検定によるバイオアッセイで調ベた。
【0049】すなわち検定菌であるシュードモナス・フ
ルオレッセンスを含んだ0.1%グルコース,0.5%
ポリペプトン,0.2%酵母エキス,1.2%バクトア
ガーよりなる組成の寒天培地の上に、前記の反応液50
μlをしみこませた径8mmのペーパーディスクをの
せ、27℃で一夜培養して、シュードモナス・フルオレ
ッセンスの生育阻止を観察した。
【0050】その結果、プラスミドpUC18を持つ大
腸菌JM109より調製した酵素抽出液の場合には、ア
セチルCoAの有無にかかわらず、反応後のカスガマイ
シンによる検定菌の生育阻止にほとんど変化は認められ
なかった。一方、組換プラスミドpUC18−KB1を
持つ大腸菌JM109より調製した酵素抽出液の場合に
は、アセチルCoAの添加条件下においてカスガマイシ
ンによる検定菌の生育阻止の消失が明確に認められた。
【0051】この事実は、組換えプラスミドpUC18
−KB1の導入によって大腸菌JM109が、カスガマ
イシンをアセチル化することによって不活性化する酵素
を産生する能力を獲得したことを意味し、本発明の約1
4kbのDNA断片または約0.7kbのDNA断片中
に存在するカスガマイシン耐性遺伝子は、カスガマイシ
ンアセチル化酵素をコードしていることを示すものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のカスガマイシンアセチル化酵
素遺伝子を内部に含有する分子量約14kbのPstI
−PstI切断DNA断片の詳細な制限酵素切断地図で
ある。黒塗りの部分は、カスガマイシンアセチル化酵素
遺伝子の存在領域を表わしている。なお、この黒塗りの
領域内には、図3で示したような位置にSalI切断点
とSplI切断点が存在する。
【図2】図2は、図1のPstI−PstI切断DNA
断片を組込んだ組換えプラスミドpUC18−KP1の
制限酵素切断地図である。一部の制限酵素切断点の記載
は省略した。黒塗りの部分は、カスガマイシンアセチル
化酵素遺伝子の存在領域を表わしている。
【図3】図3は、図1の黒塗りの領域の分子量約0.7
kbのBamHI−BamHI切断DNA断片をサブク
ローニングして得た組換えプラスミドpUC18−KB
1の制限酵素切断地図である。
【図4】図4は、本発明のカスガマイシンアセチル化酵
素遺伝子のコード領域、即ち図1で矢印を付した黒塗り
の領域の塩基配列である。この図4の塩基配列の左上端
から右下端への配列が図1〜図3の黒塗りの領域に記し
た矢印の方向に相当する。図4中に制限酵素BamH
I、SplI、SalIによる切断点又は部位をアンダ
ーラインを付して表わし、また、開始コドンと終止コド
ンを二重のアンダーラインを付して表わした。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年10月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】一方、抗生物質の誘導体の創製によって大
きな発展を遂げた例としては、β−ラクム系抗生物質
であるペニシリンやセファロスポリンがある。これらの
抗生物質では、それぞれの基本骨格である6−アミノペ
ニシラン酸や7−アミノセファロスポラン酸に各種の側
鎖を導入することにより、抗菌スペクトルが拡大された
及び(又は)分解酵素に対する安定性が増大された有益
な誘導体が数多く開発されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】カスガマイシンは、アミノグリコシド系抗
生物質のうちでも特異な構造を有し、その構成成分であ
−イノシトール及びカスガミン部分、並びにこれに
結合されるカルボキシホルムイミドイル基側鎖は、いず
れも天然物として非常に希な特異な構造体である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】そして今回その研究の結果として、ストレ
プトミセス・カスガエンシスMB273菌株の細胞中の
総DNA(但しプラスミドpSK1およびpSK2以外
のプラスミドおよび染色体DNAを含めて)を制限酵素
PstIで切断して得られた各種のDNA断片のうちか
ら、カスガマイシンをアセチル化して不活性にする酵素
を産生する遺伝子を内部に保有する約14kbのDNA
断片をプラスミドに組み込み、かつクローニングするこ
とに成功した。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】本発明で提供するカスガマイシンアセチル
化酵素遺伝子を含むDNA断片のクローニングに用いる
宿主としては、プラスミドベクターによる遺伝子導入系
が確立しており且つ当初はカスガマイシンに感受性を示
すが形質転換によってカスガマイシンに対する耐性を獲
得した菌株を容易に選別すること可能とする種類の菌
が好適である。そのような代表例として大腸菌が挙げら
れる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】ここに本発明者らは、宿主として大腸菌J
M109を用い且つベクターとしてpUC18を用いる
系を利用して、ストレプトミセス・カスガエンシスMB
273−R108の総DNAからカスガマイシンアセチ
ル化酵素遺伝子をショットガン法によりクローニングす
ることを試みた。その結果、カスガマイシン耐性を獲得
した大腸菌JM109の形質転換株を得ることに成功
し、またこの形質転換株から、本発明のカスガマイシン
アセチル化酵素遺伝子を含有する添付図面の図1に記載
の制限酵素地図をもつ分子量約14kbのPstI−P
stI切断DNA断片を含む組換えプラスミドpUC1
8−KP1を分離することに成功した。このプラスミド
pUC18−KP1の制限酵素地図は添付図面の図2に
示す。宿主にカスガマイシン耐性を付与する遺伝子すな
わちカスガマイシン耐性遺伝子は、分子量約14kbの
前記PstI−Pst切断DNA断片内に存在し
述する如く、嘱望されたカスガマイシンアセチル化酵素
遺伝子であることが見出された。本組換えプラスミドを
保持する大腸菌JM109は大腸菌JM109(pUC
18−KP1)と命名し、通産省工業技術院微生物技術
研究所に微工研菌寄第11876号(FERM P−1
1876)として寄託してある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】本発明のカスガマイシン耐性遺伝子が、カ
スガマイシンをアセチル化する酵素をコードして産生す
ることは、次のことから理解される。即ち、IPTG存
在下で培養したプラスミドpUC18−KB1を持つ大
腸菌JM109の菌体より調製した粗酵素液とカスガマ
イシンとをアセチルCoAの存在下で反応させると、シ
ュードモナス・フルオレッセンスに対して示すカスガマ
イシンの抗菌活性が完全に消失することから、上記の粗
酵素液中には、プラスミドpUC18−KB1上にある
カスガマイシン耐性遺伝子より産生されたカスガマイシ
ンアセチル化酵素が含まれているものと理解される。な
お、アセチル基が付与される位置については、カスガマ
イシンの2´位のアミノ基であることが、酵素反応によ
って生成したカスガマイシンのアセチル体を単離してそ
れの構造解析をすることにより確認された。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】カスガマイシンに耐性となった形質転換株
の選別は以下のように行った。選択培地として50μg
/mlのアンピシリン・Naと300μg/mlのカス
ガマイシン・HClを含有するYT寒天培地を9cm
のシャーレに20枚用意し、この寒天培地1枚につき、
上記の形質転換した菌の懸濁液100μlと200mM
IPTG溶液50μlを同時に塗布した。塗布後、該
寒天培地を37℃で42時間培養して、カスガマイシン
耐性形質転換株を選別した。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】この約14kbのPstI切断DNA断片
の内部にカスガマイシン耐性遺伝子が存在することは、
プラスミドpUC18−KP1による再形質転換によっ
て得られた大腸菌JM109アンピシリン耐性形質転換
株がすべてカスガマイシン耐性になったことから確認さ
れた。さらに、14kbのPstI切断DNA断片をB
amHIで切断して得られた0.7kbのBamHI切
断DNA断片(添付図面図1の黒塗りの部分)を後述の
如くサブクローニングして添付図面図3記載の組換えプ
ラスミドpUC18−KB1を得たが、このpUC18
−KB1が大腸菌JM109に強いカスガマイシン耐性
を付与することからも確認された。
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニ ユーフジマンシヨン701 (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジデ ンス405号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 宿主細胞にカスガマイシンをアセチル化
    する酵素を産生させる能力を付与し、これにより、宿主
    細胞にカスガマイシンを不活性化する能力を付与して宿
    主細胞をカスガマイシン耐性とする、カスガマイシンア
    セチル化酵素をコードする遺伝子。
  2. 【請求項2】 放線菌のDNAに由来する分子量が約1
    4kbのDNA断片であって、添付図面の図1に示され
    る制限酵素切断地図を有し、且つ請求項第1項に記載の
    カスガマイシンアセチル化酵素をコードする遺伝子を内
    部に含有するDNA断片。
  3. 【請求項3】 放線菌が、カスガマイシン生産菌、スト
    レプトミセス・カスガエンシスである請求項第2項に記
    載のDNA断片。
  4. 【請求項4】 放線菌のDNAに由来して且つ添付図面
    の図1に示される制限酵素切断地図を有する分子量が約
    14kbのPstI−PstI切断DNA断片を制限酵
    素BamHIで切断して得られ且つカスガマイシンアセ
    チル化酵素をコードする遺伝子を内部に含有し、しかも
    添付図面の図4に示した塩基配列を有し且つ制限酵素S
    plI及びSalIによる酵素切断点を有する分子量が
    約0.7kbのDNA断片又はこれと等価であるDNA
    断片。
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