JP2539016Y2 - 軽量シャッターのバランス調整装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、軽量シャッターのシャッターカーテンの垂
下部重量とスプリングの巻き上げ力とをバランスさせ
る、バランススプリングの付勢力を調整する軽量シャッ
ターのバランス調整装置に関するものである。

［従来の技術及び考案が解決しようとする課題］ 多数のスラットを屈曲自在に上下方向に連結したシャ
ッターカーテンを開口部上部に横架した巻き取りドラム
に巻装し、シャッターカーテンの下端を引き下ろし、ま
たは引き上げて開口部を開閉する軽量シャッターでは、
シャッターカーテンの引き下ろし、または引き上げに伴
いシャッターカーテンの垂下部の重量が増減するため、
シャッターカーテンの閉鎖時は引き下ろしに伴い下降速
度が加速して危険であると共に、全閉時、シャッターカ
ーテンの座板と床面との衝撃が大きく、また引き上げ開
放時は当初全閉したシャッターカーテンの全重量を持ち
上げることになるため大きな労力が必要であるうえ、シ
ャッターカーテンを途中の半開状態に停止しておくこと
ができない等の不都合がある。

そこで従来軽量シャッターでは巻き取りドラムにバラ
ンススプリングを取り付け、シャッターカーテンを引き
下ろすことによってバランススプリングが蓄勢され、そ
の巻き上げ力とシャッターカーテンの垂下部の重量とが
バランスされ、シャッターカーテンが恰かも無重量とな
るようにし、シャッターカーテンの開閉が軽く、かつ半
開状態の停止も可能になるようにしている。

上記バランススプリングは、最終的に現場でバランス
スプリングの付勢力を調整し、適当な引き下ろし力と引
き上げ力で操作でき、かつ半開状態で安定して停止する
ようにするが、この調整はバランススプリングの一端を
止着している巻き取りドラム側、または固定軸側のねじ
を外し、バランススプリングの付勢力を加減し、バラン
スを得られるまで何度も別のねじ孔にねじをつけ替える
方法を行っているため、非常に手間がかかる上２名の作
業員を要し、かつ高所作業であるため危険を伴うという
問題があった。

本考案は上記現状を改善することを課題としてなされ
たものであって、バランススプリングの調整が１名の作
業員で容易に、かつ安全に、しかも適確にできる、軽量
シャッターのバランス調整装置を提供することを目的と
している。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するため本考案は、シャッターカーテ
ンを巻装した巻き取りドラムを回転自在に軸支する固定
軸に、当該巻き取りドラム内に位置してバランススプリ
ングを外装し、その一端を巻き取りドラム側に止着する
と共に、他端を、上記巻き取りドラム内に位置する固定
軸に固定した固定爪車に係脱自在に噛合する調整爪車に
止着して、蓄勢方向にのみ回転する調整爪車と固定爪車
との係合位置変更でバランススプリングの蓄勢力を調整
するように構成したことを特徴としている。

［作用］ 従って、調整爪車を回転できる方向、即ち、バランス
スプリングの蓄勢方向に少しずつ回転することにより、
バランススプリングの巻き上げ力は漸次増加していき、
シャッターカーテンの垂下部重量とバランススプリング
の巻き上げ力とがバランスした時点で調整爪車の回転を
止めれば、調整爪車はその位置で固定爪車に係止され
る。この調整は１名の作業員で極めて容易に行うことが
できる。

また、バランススプリングの巻き上げ力が強過ぎる場
合は、固定爪車から調整爪車の噛み合いを外せば、バラ
ンススプリングの弾性で調整爪車はバランススプリング
の弛緩方向に回転する。そこで一旦バランススプリング
を弛緩させてから、前記と同様に調整爪車を固定爪車と
噛み合い状態で蓄勢方向に回転していき、所要の巻き上
げ力が得られた所で停止して調整する。

［実施例］ 以下本考案を図示の一実施例に基づいて詳細に説明す
る。

第１図は本考案の要部側面図、第２図は同要部の側断
面図、第３図は軽量シャッターの全体正面図である。

図において、１は軽量シャッター、２は多数のスラッ
ト2aを屈曲自在に上下方向に連結して成るシャッターカ
ーテンで、該シャッターカーテン２は開口部上部のシャ
ッターケース３内に横架された巻き取りドラム４に巻装
され、シャッターカーテン２の下端を引き下ろし、また
は引き上げることによってシャッターカーテン２が開口
部左右の案内レール５に案内されて下降または上昇し、
開口部を開閉するようになっている。

前記巻き取りドラム４は、複数のステー６で連結され
た複数のホイール７が、シャッターケース３内左右のブ
ラケット８に架設された固定軸９にベアリング10を介し
て回転自在に軸支されて成り、該巻き取りドラム４内で
固定軸９に外装されたバランススプリング11と、本考案
のバランス調整装置12が組み込まれている。

上記バランス調整装置12は、固定軸９に通しボルト13
で固定された固定爪車14と、固定爪車14のボス14a上に
摺動自在に嵌合され、固定爪車14に対して常時噛み合い
方向にスプリング15で付勢された調整爪車16から成り、
バランススプリング11は一端を巻き取りドラム４のホイ
ール７に、他端を調整爪車16に夫々螺子17、18で止着さ
れている。

上記調整爪車16は、固定爪車14に対してバランススプ
リング11の蓄勢方向、即ち第１図図示例において矢線で
示す、手前外周が上方に回転する方向にはスプリング15
を撓めて固定爪車14の爪を乗越して回転可能であるが、
前記と逆のバランススプリング11の弛み方向には固定爪
車14の爪に係止されて回転できないように、固定爪車14
と調整爪車16の爪形状が設定されている。

また調整爪車16の反爪側に形成されたボス16aにはロ
ーレットが刻設され、ローレット部をパイプレンチで掴
んで調整爪車16を回転できるようになっている。なおロ
ーレットの代りにボス16a部に複数のバー孔を設け、該
バー孔にバーを差し込んで調整爪車16を回転させるよう
にしてもよい。

叙上の構成において、軽量シャッター１のバランスを
調整するには、パイプレンチまたはバーを使い、調整爪
車16をバランススプリング11の蓄勢方向に回転していけ
ば、バランススプリング11の巻き上げ力は漸次増加して
いる。そこでシャッターカーテン２の垂下部重量とバラ
ンススプリング11の巻き上げ力とバランスした所で回転
を止めれば、調整爪車16をその位置で固定爪車14に係止
され、軽量シャッター１のバランス調整が終了する。

バランススプリング11の巻き上げ力が強過ぎる場合
は、固定爪車14から調整爪車16の噛み合いを外せば、パ
ランススプリング11の弾性で調整爪車16はバランススプ
リング11の弛緩方向に回転する。そこで一旦バランスス
プリング11を弛緩させてから、前記と同様に調整爪車16
を固定爪車14と噛み合い状態で蓄勢方向に回転してい
き、所要の巻き上げ力が得られた所で停止して調整す
る。

固定爪車14と調整爪車16の噛み合い爪のピッチを細か
くすればバランスの微調整が可能になると共に、バラン
ス調整時使用するパイプレンチまたはバーが巻き取りド
ラム４外周のステー６に邪魔される度合いも少なくな
る。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案は、シャッターカーテンを
巻装した巻き取りドラムを回転自在に軸支する固定軸
に、当該巻き取りドラム内に位置してバランススプリン
グを外装し、その一端を巻き取りドラム側に止着すると
共に、他端を、上記巻き取りドラム内に位置する固定軸
に固定した固定爪車に係脱自在に噛合する調整爪車に止
着して、蓄勢方向にのみ回転する調整爪車と固定爪車と
の係合位置変更でバランススプリングの蓄勢力を調整す
るように構成したから、軽量シャッターのバランス調整
は、従来行っているバランススプリングを止めているね
じを外し、バランススプリングの付勢力を加減し、バラ
ンスが得られるまで何度も別のねじ孔にねじをつけ替え
る非常に手間のかかる方法に比べ、バランス調整装置の
調整爪車を回転するだけですみ、作業員１名で極めて容
易かつ安全に、しかも適確にバランス調整ができると共
に、バランス調整装置自体は巻き取りドラム内で保護さ
れるので、軽量シャッターを構成する外付けの周辺機器
とバランス調整装置との接触が皆無となり、当該調整装
置のバランス調整状態が不用意に変更されてしまうよう
な不具合を一掃することができ、安定したシャッターの
稼動状態を維持し得るばかりでなく、巻き取りドラムを
内装するシャッターケースおよびその側板等に何らの付
加的構成を追加することなく、かつシャッターの各構成
部材の配置変更や調整装置を設置するための余分なスペ
ースを要せずしてバランス調整を行うことができる、等
という極めて有用な実用的効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は要部側面図、
第２図は同要部の側断面図、第３図は軽量シャッターの
全体正面図である。 １……軽量シャッター、２……シャッターカーテン、2a
……スラット、３……シャッターケース、４……巻き取
りドラム、５……案内レール、６……ステー、７……ホ
イール、８……ブラケット、９……固定軸、10……ベア
リング、11……バランススプリング、12……バランス調
整装置、13……通しボルト、14……固定爪車、14a……
ボス、15……スプリング、16……調整爪車、16a……ボ
ス、17、18……ねじである。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シャッターカーテンを巻装した巻き取りド
   ラムを回転自在に軸支する固定軸に、当該巻き取りドラ
   ム内に位置してバランススプリングを外装し、その一端
   を巻き取りドラム側に止着すると共に、他端を、上記巻
   き取りドラム内に位置する固定軸に固定した固定爪車に
   係脱自在に噛合する調整爪車に止着して、蓄勢方向にの
   み回転する調整爪車と固定爪車との係合位置変更でバラ
   ンススプリングの蓄勢力を調整するように構成したこと
   を特徴とする軽量シャッターのバランス調整装置。