JP2538939Y2 - グランド等の盛土の構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は競技場やゴルフ場のグリーンあるいは各種の
グランドなど（以下、グランド等という）に採用される
盛土の構造に関する。

〔従来の技術〕

従来のグランド等は、暗渠排水設備の埋設してある所
は雨水を充分排水することができるが、長期間雨の降ら
ないときは、水道水などを使ってグランド等に頻繁に散
水を行って地面を湿らせ、芝生の枯死や色変わり、表土
の過度の乾燥、プレイコンディションの悪化などを防止
することが行われている。

また、暗渠排水設備のない所では、多量の降雨があっ
た時は地面が乾かずプレイが長時間できない状態になっ
ている。

〔考案が解決しようとする課題〕

グランド等に暗渠排水設備がある場合は、多量の雨水
は地中に浸み込んで排水され、その水は河川等に流出す
るため、渇水期には地中に水分がほとんどない状態にな
っていた。そのため、芝生が枯れたり、グランドが固く
なりすぎたりするので、この時期に貴重な水道水などを
使用して芝生の変色や枯死、表土の過度の乾燥等をを防
止しなければならないという問題があった。またグラン
ド等に暗渠排水設備がない場合は、多量の降雨の後はグ
ランド等が長い間使用できなくなるという問題があっ
た。

本考案は以上の事情に鑑みてなされたもので、多量の
降雨の時は排水ができ、しかも渇水期には頻繁に散水し
なくても、土中に水分が保持され、この水分によって地
面の湿り具合を常に良い状態に維持できる盛土の構造を
提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案のグランド等の盛土の構造は、先端が開孔され
ている多数の凸状部と、溝状の通水路部とが形成された
板体を、不透水層上に積層された砂層の上におき、前記
凸状部の裏面窪み部に砂が充填されるように敷設すると
共に、前記凸状部先端同士を結ぶ面に透水性シートを載
置し、該透水性シートの上に砂質を含む土を積層するも
のである。

〔作用〕

この構成の盛土の構造によると、多量の降雨があった
時は、水は砂質を含む土にスムースに浸み込んで透水性
シートを通り、水の大部分は板体に形成された溝状の通
水路部を流れ従来の暗渠設備と同様に排水され、水の一
部は凸状部先端の開孔から板体を通過して砂層に流れ込
む。しかし、さらに多量の水が浸み込んできた場合、通
水路部は水で満杯となり、凸状部先端の開孔から板体を
通過して板体下方の砂層に流れ込む。砂層に流れ込んだ
水は砂層の下方に浸み込んでゆくが、砂層の下は不透水
層であるため流れは止まり、砂層に貯水されてゆく。

また、渇水期になると、凸状部に砂が充填されている
ため毛細管現象で水は透水性シートの上まで上昇して地
表に近い所まで湿った状態をつくることができる。ま
た、板体の凸状部の先端だけに開孔があるため、板体の
下の砂層に貯った水は一度に大量に蒸散することもなく
徐々に使用されるため、長期間土質の湿った状態が維持
されるものである。

〔実施例〕

第１図は本考案の一実施例のグランド等の盛土の構造
Ａを示す断面図である。

同図に於いて、１は不透水層であり、粘土層やコンク
リート、モルタル層あるいは合成樹脂製シート等、水を
通さないものであれば使用可能である。この不透水層の
深さは約15〜50cmであって、ゴルフ場のグリーンや競技
場等、その土地の雨水の量、土質等によって設定される
ものである。また、同図に於いて、２は砂層であり、不
透水層上全面に略同厚さで積層されている。砂層２の厚
みは約5cm程度が必要であり、あまり少な過ぎると貯水
量が少なくなるため、長期間の保水が困難となる。該砂
層２の上面に敷きつめられる板体３はポリエチレンやポ
リ塩化ビニル等のシートを加熱下で成形することによっ
て得られる成形板体であって、厚み0.3〜3.5mmの長尺巾
広のシートである。第２図は本考案に使用される板体３
の要部拡大断面図である。該板体３は凸状部７と溝状の
通水路部８を有しており、凸状部７の高さは約４〜50mm
であり、凸状部の先端は開口されている。また、溝状の
通水路部８は凸状部以外の部分で形成される。また凸状
部７の裏面の凹部９には砂が充填されている。砂の充填
は板体３の敷設時に板体３を横方向に左右に動かしなが
ら上から板体３を押さえれば簡単に行える。そして板体
３の多数の凸状部７の先端部分12を結ぶ面には透水性シ
ート４が載置されている。透水性シート４は天然繊維や
合成繊維からなる不織布や織布、又は和紙や合成紙等の
紙類など、土を通さず水を通すものならどんなものでも
よい。該透水性シート４は好ましくは板体３の凸状部７
の先端部分12に接着固定されているのが良い。また透水
性シート４の上部には砂質を含む土の層５が積層されて
いて、この土の層５がグランド又は芝生を育成するため
の土質となっている。従って、この土の層５は充分水は
けの良いものでなければならない。６はこの土の層５に
植生された芝生である。

第３図は本考案に使用される板体３の別の実施例であ
って、板体３は波形をなしているものである。波形の山
の部分が凸状部７であり、谷の部分が溝状の通水路部８
である。また波形の山の部分の先端12には多数の開孔11
が設けられている。

本考案で使用できる板体３は凸状部と通水路部があれ
ば特にその形状は限定されるものではないが、板体３の
上下方向からの押圧に対して強度のあるものが望まし
い。板体３の凸状部７の裏面に砂が充填されているとい
えども、通水路部８は空間であって、板体３の強度が小
さい場合は、この空間で押し潰されて水路が狭くなる恐
れがあるからである。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案の盛土の構造
はグランド等に多量の降雨があった場合には表層の土に
雨水が浸み込み、透水性シートを通って板体の通水路部
から排水管等の排水設備に流出し、グランド等の表面は
短時間で乾くという効果を奏する。また、多量の降雨が
あった場合には通水路部に水があふれるため凸状部の上
端の開孔部から板体の下に水は浸み込み、板体の下の砂
層に流下して水は砂層に貯えられ、渇水期などの地表が
乾燥状態となっている時には砂層に貯えられた水分が上
層にしみ出し、地表の植物の枯死や表土の過度の乾燥を
防ぐという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す盛土の縦断面図、第２
図は本考案に使用される板体の一実施例を示す要部拡大
断面斜視図、第３図は本考案に使用される板体の他の実
施例を示す斜視図である。 １……不透水層、２……砂層、３……板体、４……透水
性シート、５……土の層、７……凸状部、８……通水路
部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】先端が開孔されている多数の凸状部と、溝
   状の通水路部とが形成された板体を、不透水層上に積層
   された砂層の上におき、前記凸状部の裏面窪み部に砂が
   充填されるように敷設すると共に、前記凸状部先端同士
   を結ぶ面に透水性シートを載置し、該透水性シートの上
   に砂質を含む土を積層してなるグランド等の盛土の構
   造。