JP2537925Y2 - 棚差替え式の緑化装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、例えば、水稲、葉た
ばこ、野菜、花類、イチゴ等の栽培に用いられる棚差替
え式の緑化装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上述の緑化装置としては、例え
ば、出芽処理済みの育苗箱を出芽台車に多数段積重ねた
状態のまま育苗ハウス内部に設置した回転式緑化装置の
前部位置に走行移動させ、同出芽台車に積重ねられた各
育苗箱を回転式緑化装置の外周上に吊設した各箱載せ枠
に夫々棚入れした後、これら各箱載せ枠を周回方向に回
転して各育苗箱を緑化処理する装置がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上述のように
出芽台車に積重ねられた育苗箱を各箱載せ枠に棚入れす
る場合、出芽台車に積重ねられた育苗箱を上段側から順
次抜き取り、回転式緑化装置の外周上に吊設された各箱
載せ枠に育苗箱を１箱ずつ棚入れするので、育苗箱の棚
入れ作業及び棚出し作業に手間が掛かる。且つ、棚入れ
作業及び棚出し作業に於いて何百箱分の育苗箱を箱単位
で取り扱うため、作業開始から作業終了までに要する時
間が長くなり、作業能率が低下するという問題点を有し
ている。また、出芽台車に積重ねられた育苗箱の数量が
少なくなるに伴い、作業者は腰を屈めた低い姿勢で棚入
れ作業を行なわなければならず、作業条件が悪いという
問題点も有している。

【０００４】この考案は上記問題に鑑み、複数個の育苗
箱を棚枠上に並列載置した状態のまま育苗台車と棚受け
枠との相互間で差替えることにより、育苗箱の交換作業
が容易に行なえ、作業の省力化及び能率アップを図るこ
とができる棚差替え式の緑化装置の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案は、育苗ハウス
内部に各棚受け枠を水平姿勢に保持した状態のまま上下
方向に周回移動する棚受け枠周回手段を設け、上記各棚
受け枠に複数個の育苗箱を並列載置した棚枠を棚入れす
る棚受け部を複数段形成し、上記棚受け枠の棚入れ間隔
と対応して育苗台車に棚枠を棚入れする棚受け部を複数
段形成すると共に、前記棚受け枠周回手段の前部位置
に、前記棚受け枠の各棚受け部と上記育苗台車の各棚受
け部とを水平状態に接続して相互に各棚枠を差替える棚
差替え手段を設けた棚差替え式の緑化装置であることを
特徴とする。

【０００６】

【作用】この考案は、育苗台車の各棚受け部上に棚入れ
した各棚枠上に複数個の育苗箱を並列載置した後、育苗
ハウス内部に設けた棚受け枠周回手段の前部位置に育苗
台車を走行移動する。棚受け枠周回手段を駆動して、同
周回手段の前部位置に走行移動した育苗台車に対して水
平となる高さ位置に棚受け枠を回転停止した後、棚差替
え手段を駆動して、育苗台車の各棚受け部と棚受け枠の
各棚受け部とを水平状態に接続すると共に、育苗台車か
ら棚受け枠に複数個の育苗箱を並列載置した状態のまま
各棚枠を夫々移載する。この後、棚受け枠周回手段を駆
動して、これら各棚受け枠を水平姿勢に保持した状態の
まま上下方向に周回移動させ各棚枠に並列載置した各育
苗箱を均一に緑化処理する。

【０００７】

【考案の効果】複数個の育苗箱を各棚枠上に並列載置し
た状態のまま育苗台車と棚受け枠との相互間で差替える
ので、従来例のように育苗箱を１箱ずつ棚入れする手間
が省け、棚入れ作業及び棚出し作業に要する時間を大幅
に短縮することができる。しかも、一つの棚枠に育苗箱
を複数個棚入れした状態のままで差替えるため、多数の
育苗箱を一括して交換することができ、育苗箱の交換作
業が容易に行なえると共に、交換作業に必要する人員及
び回数を削減して、作業の省力化及び能率アップを図る
ことができる。

【０００８】

【実施例】この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。

【０００９】図面は出芽処理済みの育苗箱を棚枠上に複
数個棚入れした状態のまま差替える棚差替え式の緑化装
置を示し、図１及び図５に於いて、この棚差替え式の緑
化装置１は、播種プラント２の搬送経路終端に設置した
箱棚入れ機３を駆動して播種処理済みの育苗箱ａを育苗
台車４に順次棚入れした後、同機側部の走行経路終端に
設置した台車積重ね機５を駆動して各育苗台車４…を上
下２段に順次積重ねる。これら各育苗台車４…を育苗ハ
ウス６内部に設置したジャバラ式の出芽室６ａに所定期
間保管して出芽処理した後、同出芽室６ａの出口側に設
置した台車積下ろし機７を駆動して各育苗台車４…を１
段に順次積下ろし、育苗ハウス６内部に形成した緑化室
６ｂに育苗台車４を順次移動すると共に、同緑化室６ｂ
に並列設置した各緑化装置１…の前部位置に育苗台車４
を１台ずつ走行移動させ、これら各位置に設置した各棚
差替え機８…を駆動して各育苗台車４…に棚入れされた
各棚枠１０…を各緑化装置１…の外周上に吊設した各棚
入れ枠９…に順次移載し、これら各棚入れ枠９…を周回
方向Ｂに移動しながら各棚枠１０…に複数個棚入れした
各育苗箱ａ…を緑化処理する。

【００１０】上述の育苗台車４は、図３に示すように、
横長形状に形成した台車本体１１の下面側四隅部に４個
のキャスター１２を夫々取付け、同台車本体１１の上面
側両端部に支持枠１３，１３を所定間隔に隔てて立設す
ると共に、これら各支持枠１３，１３間に、６箱分の各
育苗箱ａ…を並列載置する形状寸法に形成した各棚枠１
０…を上下等間隔に離間して５段棚入れする。すなわ
ち、両端部に立設した各支持枠１３，１３の対向側垂直
面に、後述する棚入れ枠９の棚入れ間隔と対応する上下
間隔に隔てて５枚の棚受け板１４を水平方向に平行して
夫々架設し、相対向する水平位置に架設した各棚受け板
１４，１４上に棚枠１０の両側端部に形成した各係止部
１０ａ，１０ａを夫々係合して、一つの育苗台車４に対
して棚枠１０を５段棚入れする。

【００１１】前述の緑化装置１は、図１に示すように、
緑化室６ｂの床面中央部に形成した凹状設置部１５に支
持フレーム１６，１６を所定間隔に隔てて立設し、これ
ら各支持フレーム１６，１６の上部及び下部に架設した
各フレーム１７，１７上に４個の支持ローラ１８を夫々
固定して、これら各支持ローラ１８…でリング形状に形
成した各回転フレーム１９，１９を回転可能に夫々軸受
すると共に、これら各回転フレーム１９，１９の外周面
上に周設したギャ２０，２０と、下部の各フレーム１
６，１６上に軸受したギャ２１，２１とを歯合して、装
置側部に設置した減速機付き回転用モータ２２の駆動力
により、スプロケット２３，２４，２５，２６及びチェ
ーン２７，２８を介して各回転フレーム１９，１９を周
回方向Ｂに同期して低速回転する。

【００１２】上述の各回転フレーム１９，１９の対向側
外周部には５本の支持アーム２９を所定等間隔に隔てて
放射状に夫々連設し、これら各支持アーム２９…の先端
部に三角形状の吊掛けフレーム３０を自転可能に夫々軸
受すると共に、相対向する位置に軸受した各吊掛けフレ
ーム３０…の対向側端部間に吊掛け軸３１を夫々架設し
て、これら各吊掛け軸３１…上に棚入れ枠９を揺動可能
に夫々吊設している。これら各棚入れ枠９…は、図４に
示すように、吊掛け軸３１の両端部に吊下げ板３２，３
２を所定等間隔に隔てて垂設し、これら各吊下げ板３
２，３２の対向側垂直面に、前述の育苗台車４の棚入れ
間隔と対応する上下間隔に隔てて５枚の棚受け板３３を
水平方向に平行して夫々架設し、相対向する水平位置に
架設した各棚受け板３３，３３上に棚枠１０の両側端部
に形成した各係止部１０ａ，１０ａを夫々係合して、一
つの棚入れ枠９に対して棚枠１０を５段棚入れする。

【００１３】前述の棚差替え機８は、図１及び図２に示
すように、上述の緑化装置１の前部位置に設定した走行
経路と直交して各走行レール３４，３４を敷設し、これ
ら各走行レール３４，３４上に運搬台３５の下面側に軸
受した各車輪３６…を走行可能に係合して、同運搬台３
５の下面側に固定した減速機付き走行用モータ３７の駆
動力により、装置前部の走行経路と接続される後退位置
と、育苗台車４と棚入れ枠９とを所定間隔に近接する前
進位置とに運搬台３５を走行移動する。

【００１４】上述の運搬台３５は、同運搬台３５の前部
両側面に挾持アーム３８，３８を回動可能に軸支し、こ
れら各挾持アーム３８，３８に運搬台３５の前部両側面
に固定した各挾持用シリンダ３９，３９のピストンロッ
ド端部を連結固定している。すなわち、育苗台車４と棚
入れ枠９との近接時に各挾持用シリンダ３９，３９を同
期作動して、育苗台車４と棚入れ枠９とを近接した状態
に各挾持アーム３８，３８により挾持固定し、育苗台車
４の各棚受け板１４…と棚入れ枠９の各棚受け板３３…
とを水平となる高さ位置に保持する。且つ、運搬台３５
の後部上面に、育苗台車４に移載された各棚枠１０…の
後方側端面と対向して移載用シリンダ４０，４０を５段
配設し、これら各移載用シリンダ４０…のピストンロッ
ド端部に棚枠１０の後方側端部を挾持するための各挾持
部材４１…を取付けている。すなわち、育苗台車４と棚
入れ枠９とを近接して位置固定した後、各移載用シリン
ダ４０…に取付けた各挾持部材４１…で各棚枠１０…の
後方側端部を夫々挾持し、これら各移載用シリンダ４０
…を作動して、育苗台車４又は棚入れ枠９に各棚枠１０
…を水平移動する。

【００１５】図示実施例は上記の如く構成するものとし
て、以下、棚差替え式の緑化装置１による棚枠１０の差
替え動作を説明する。

【００１６】先ず、図３及び図５に示すように、播種プ
ラント２から供給される育苗箱ａを各育苗台車４…に順
次棚入れした後、これら各育苗台車４…を上下２段に積
重ねた状態のまま育苗ハウス６内部の出芽室６ａに所定
期間保管して出芽処理する。次に、出芽処理済みの各育
苗台車４…を出芽室６ａから順次搬出し、これら各育苗
台車４…を１段に順次積下ろして育苗ハウス６内部の緑
化室６ｂに走行移動させ、同緑化室６ｂに並列設置した
各緑化装置１…の前部位置に育苗台車４を１台ずつ走行
移動すると共に、これら各位置に設置した各棚差替え機
８…を夫々駆動して、これら各育苗台車４…に棚入れさ
れた各棚枠１０…を各緑化装置１…の外周上に吊設した
各棚入れ枠９…に順次移載する。

【００１７】すなわち、図１に示すように、緑化装置１
の回転用モータ２２を駆動して、各回転フレーム１９，
１９を周回方向Ｂに回転させながら各吊掛けフレーム３
０…を夫々自転させ、これら各吊掛けフレーム３０…に
吊設した各棚入れ枠９…を、棚差替え機８の運搬台３５
上に走行移動される育苗台車４に対して水平となる高さ
位置に順次回転停止する。同時に、棚差替え機８の走行
用モータ３７を駆動して、運搬台３５上に走行移動され
た育苗台車４を棚入れ枠９に近接した後、各挾持用シリ
ンダ３９，３９を同期作動して、育苗台車４と棚入れ枠
９とを所定間隔に近接した状態のまま各挾持アーム３
８，３８により挾持固定し、育苗台車４の各棚受け板１
４…と、棚入れ枠９の各棚受け板３３…とを水平となる
高さ位置に保持する。

【００１８】次に、図２に示すように、育苗台車４に棚
入れした各棚枠１０…の後方側端部を、運搬台３５上の
各移載用シリンダ４０…に取付けた各挾持部材４１…に
より夫々挾持し、これら各移載用シリンダ４０…を作動
して、育苗台車４の各棚受け板１４…上から棚入れ枠９
の各棚受け板３３…上に各棚枠１０…を夫々水平移動さ
せ、図４に示すように、出芽処理済みの育苗箱ａを各棚
枠１０…に載置した状態のまま棚入れ枠９に移載した
後、各挾持部材４１…による挾持固定を解除して各移載
用シリンダ４０…を復帰作動させる。なお、空の各育苗
台車４…は緑化処理が終了するまで保管しておく。

【００１９】この後、緑化装置１の回転用モータ２２を
連続駆動して、各回転フレーム１９，１９を周回方向Ｂ
に回転させながら各吊掛けフレーム３０…を夫々自転さ
せ、これら各吊掛けフレーム３０…に吊設した各棚入れ
枠９…を周回移動して、これら各棚入れ枠９…に棚入れ
した各育苗箱ａ…を均一に緑化処理する。

【００２０】一方、緑化処理後に於いて、各回転フレー
ム１９，１９を周回方向Ｂに回転させながら各吊掛けフ
レーム３０…を夫々自転させ、これら各吊掛けフレーム
３０…に吊設した各棚入れ枠９…を、棚差替え機８の運
搬台３５上に走行移動される空の育苗台車４に対して水
平となる高さ位置に順次回転停止する。同時に、走行用
モータ３７を駆動して、運搬台３５上に走行移動された
空の育苗台車４を棚入れ枠９に近接した後、各挾持用シ
リンダ３９，３９を同期作動して、育苗台車４と棚入れ
枠９とを各挾持アーム３８，３８により挾持固定する。
次に、各移載用シリンダ４０…を作動して、棚入れ枠９
に棚入れした各棚枠１０…の後方側端部を各移載用シリ
ンダ４０…に取付けた各挾持部材４１…で夫々挾持する
と共に、これら各移載用シリンダ４０…を復帰作動し
て、棚入れ枠９から育苗台車４に各棚枠１０…を移載し
た後、走行用モータ３７を駆動して、走行経路と接続さ
れる位置に運搬台３５を後退させ、育苗台車４を次の工
程（図示省略）に搬送供給する。

【００２１】このように育苗箱ａを各棚枠１０…上に６
箱載置した状態のまま育苗台車４と棚受け枠９との相互
間で差替えるので、従来例のように育苗箱ａを１箱ずつ
棚入れする手間が省け、交換作業に要する時間を大幅に
短縮することができる。しかも、一つの棚枠１０に育苗
箱ａを６箱載置した状態のままで差替えるため、多数の
各育苗箱ａ…を一括して交換することができ、育苗箱ａ
の交換作業が容易に行なえると共に、交換作業に必要す
る人員及び回数を削減して、作業の省力化及び能率アッ
プを図ることができる。

【００２２】この考案の構成と、上述の実施例との対応
において、この考案の棚受け枠周回手段は、実施例の緑
化装置１を構成する回転フレーム１９と、吊掛けフレー
ム３０と、ギャ２０，２１と、回転用モータ２２と、ス
プロケット２３，２４，２５，２６と、チェーン２７，
２８とに対応し、以下同様に、棚受け部は、棚受け板１
４，３３と対応し、棚差替え手段は、棚差替え機８と対
応するも、この考案は、上述の実施例の構成のみに限定
されるものではない。

【００２３】上述の実施例は育苗台車４と棚入れ枠９と
の相互間で各棚枠１０…を一括して移載する構成である
が、例えば、運搬台３５の後部上面に配設した各移載用
シリンダ４０…を上段側又は下段側から順次作動して、
育苗台車４と棚入れ枠９との相互間で各棚枠１０…を１
段ずつ順次移載するもよく、これら各棚枠１０…の移載
方向に生じる負荷を軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】棚差替え式の緑化装置による棚差替え動作を示
す側面図。

【図２】棚差替え機による棚差替え動作を示す平面図。

【図３】育苗台車の棚入れ状態を示す背面図。

【図４】棚入れ枠の棚入れ状態を示す背面図。

【図５】育苗ハウス内部の配置状態を示す平面図。

【符号の説明】

ａ…育苗箱 Ｂ…周回方向 １…緑化装置 ４…育苗台車 ６…育苗ハウス ８…棚差替え機 ９…棚入れ枠 １０…棚枠 １０ａ…係止部 １４，３３…棚受け板

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】育苗ハウス内部に各棚受け枠を水平姿勢に
   保持した状態のまま上下方向に周回移動する棚受け枠周
   回手段を設け、上記各棚受け枠に複数個の育苗箱を並列
   載置した棚枠を棚入れする棚受け部を複数段形成し、上
   記棚受け枠の棚入れ間隔と対応して育苗台車に棚枠を棚
   入れする棚受け部を複数段形成すると共に、前記棚受け
   枠周回手段の前部位置に、前記棚受け枠の各棚受け部と
   上記育苗台車の各棚受け部とを水平状態に接続して相互
   に各棚枠を差替える棚差替え手段を設けた棚差替え式の
   緑化装置。