JP2537902Y2 - 低騒音便器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ロータンクが載設された便器において洗浄
水の排水を行ったときに発生する洗浄騒音を低減させる
技術に関する。

〔従来の技術〕

第３図は、ロータンク20が載設された洋風便器10を示
すものである。当該便器10は、ロータンク20から洗浄水
の供給を受ける給水室11を備えており、上面に該給水室
11への流入口12が開設されている。一方、ロータンク20
の底部24には排水口21が開設されており、該排水口21に
フロート弁22及び排水管23が取り付けられている。そし
て、ロータンク20の排水口21は上記給水室11の流入口12
に接続されている。

便器洗浄を行う際には、前記フロート弁22を上方へ引
き上げ、排水管23を通じてロータンク20内に貯溜した洗
浄水を、便器10の上面に開設した流入口12を介し給水室
11へ供給する。洗浄水は、給水室11からリム通水路13へ
流入し、リム通水路13の底部に設けた複数の射水孔14か
ら吐出されて便鉢15を洗浄すると共に、汚物を排出す
る。

〔考案が解決しようとする課題〕〕 便器洗浄を行う際に生ずる洗浄騒音のうち、洗浄開始
時の騒音はかなり大きく耳障りである。この洗浄開始時
における騒音の発生原因は、次の如くであると考えられ
る。すなわち、フロート弁22を引き上げて洗浄水の供給
を開始すると、洗浄水が勢いよく落下して給水室11の底
面16に衝突すると共に、空気を巻き込みながら矢印で示
す如く四方へ飛散する。このときに耳障りな洗浄騒音が
発生する。しかも、この洗浄騒音は、給水室11が満水に
なって洗浄水を給水室底面16との直接的な衝突が無くな
るまで持続するため、深夜などの閑静時には、迷惑を及
ぼすおそれがあった。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、上記課題に鑑み、便器洗浄開始時の洗浄騒
音を低減化することを目的として創案された便器であ
る。その特徴とするところは、ロータンクから洗浄水の
供給を受ける給水室を備え該給水室の流入口が上面に形
成されている便器において、上記流入口の直下領域にお
ける左右及び後側の三方を囲み流入する洗浄水の流動方
向を水平方向に案内する湾曲壁が上記流入口に連設さ
れ、当該湾曲壁における左右部位の内表面は正面断面形
状が半円状に形成されていることである。

〔作用〕

本考案に係る便器は、流入口の直下領域における左右
及び後側の三方を囲み流入する洗浄水の流動方向を水平
方向に案内する湾曲壁が上記流入口に連設されている。
しかも、湾曲壁における左右部位の内表面は、正面断面
形状が半円状に形成されている。このため、便器洗浄を
開始すると、ロータンクから排出される洗浄水は、給水
室の底面に衝突する前に、湾曲壁に案内されて流動方向
が水平に方向転換され、水平な層状態で流動する。従っ
て、洗浄水が給水室の底面と衝突して四方へ飛散するこ
とも空気を巻き込むこともなくなるので、洗浄騒音が極
めて低減化する。

〔実施例〕

以下、本考案の詳細を、実施例を示す図面に基づいて
説明する。

第１図は、本考案に係る便器１にロータンク20を載設
した状態を断面して示す側面図、第２図は、その要部を
背面側から部分断面して示す図面である。なお、図面に
おいて、第３図に示す従来例と共通の部材には、同じ符
号を付している。

本考案に係る便器１は、給水室11の流入口12に連設さ
れた湾曲壁２に特徴がある。該湾曲壁２は、流入口12と
給水室底面16とを連結する断面円弧状の壁体である。本
実施例では、湾曲壁２の全体形状は、球状壁を４分割し
たものに相当しており、流入口12の直下領域における左
右及び後側の三方を囲んでいる。従って該湾曲壁２は、
流入口12直下の左右及び後方の領域を区画して洗浄水の
非供給空間となし、流入口12よりも前方側領域のみを給
水室11として利用するように構成されている。なお、ロ
ータンク20の排出口21に、フロート弁22に連設させて排
水管23を取りつけた場合には、図示の如く、該排水管23
を流入口12から給水室11内へ若干挿入させてもよい。

上記の如く構成された便器１は、便器洗浄の開始時に
おいて、ロータンク20より供給される洗浄水を湾曲壁２
で流動方向を水平に案内したのち、リム通水路13へ向け
て送出する。それ故、洗浄水が給水室底面16と衝突して
四散したり空気を巻き込んだりすることがなくなる。ま
た、洗浄水の流動方向は、リム通水路13へ向かう水平方
向に規定されるから、流動が円滑である。つまり、洗浄
開始時における騒音発生の主要因が除去されるので、そ
の結果、低騒音が実現される。

ところで、本考案の構成は、前記に限定されるもので
はなく、実施の態様に応じた適宜の変更を加えることを
妨げるものではない。

〔考案の効果〕

本考案に係る便器によれば、洗浄開始直後に、洗浄水
が給水室底面と衝突したり四方へ飛散するのを防止する
と共に、空気を巻き込んだ状態で流動することを抑止す
る。依って、洗浄騒音を発生させる主たる要因が除去さ
れるので、洗浄開始時における騒音の低減化がもたらさ
れる。

要するに本考案は、優れた騒音低減効果を発揮する便
器を提供するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る便器にロータンクを載設した状
態を示す側面断面図、第２図は本考案に係る便器の要部
を拡大して示す部分切欠背面図である。第３図は、従来
の便器及びロータンクを示す側面断面図である。 １……便器、２……湾曲壁、11……給水室 12……流入口、16……給水室底面、20……ロータンク 21……排水口、22……フロート弁

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ロータンクから洗浄水の供給を受ける給水
   室を備え該給水室の流入口が上面に形成されている便器
   において、上記流入口の直下領域における左右及び後側
   の三方を囲み流入する洗浄水の流動方向を水平方向に案
   内する湾曲壁が上記流入口に連設され、当該湾曲壁にお
   ける左右部位の内表面は正面断面形状が半円状に形成さ
   れていることを特徴とする低騒音便器。