JP2537361Y2 - 吸着用パッド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ワークを吸着し、任意の位置に搬送するた
めの吸着用パッドに関する。

［従来の技術］ 従来から、例えば、薄板状のワークを搬送するために
真空吸引源に連結された吸着用パッドが用いられてい
る。この種の吸着用パッドは、通常、根本部とこれに一
体的に連設されたスカート部とを備え、コネクタを介し
てロボットのアームに装着され、ワークの搬送等に使用
される。その際、吸着用パッドの根本部に真空吸引源か
らのチューブを接続し吸引することにより、スカート部
の減圧作用下でワークが吸着用パッドに吸着され搬送さ
れる。

ところで、ワークの形状が細長いもの、例えば定規の
ような形状のものを搬送等する場合には、従来の円形断
面のスカート部を有する吸着用パッドを用いると、ワー
クの幅が狭小なため、スカート部における吸着面の大き
さが制限され、スカート部のワークに対する吸着面積が
小さくなり、吸引力も低下する。また、ワークを吸着す
る際、ワークの重心と前記円形断面の中心点にずれが生
ずると、搬送時にワークのバランスが悪くなり、ワーク
の離脱時に正確な位置決めが困難となる。

このような点から、従来において細長い形状のワーク
を搬送等する場合、スカート部の断面が略楕円形を呈し
ている吸着用パッド、いわゆる、長円パッドが用いられ
ている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記の従来技術では、搬送されるワー
クの形状に伴い、円形の吸着用パッド程ではないが、い
わゆる長円パッドにおいてもスカート部断面の大きさに
制限を受け、そのため空気の吸い込み流量も規制され、
その結果、パッドの吸着力の低下をもたらすという問題
がある。

また、従来の長円パッドでは、スカート部の内側の略
楕円形の中心点に空気吸引孔があるため、その中心点か
ら一定の長さの同心円上では吸着力が均一化している
が、同心円上からはずれた長軸の両端部分まで均一な吸
引力を及ぼすことができなかった。

さらに、略楕円形の中心点から長軸の両端または短軸
の両端までの長さが異なることにより、短軸の両端の方
が吸引力が強いため、ワークの吸着時にスカート部の短
軸の両端部分が内側に捲くれるという不都合が生ずる場
合もあった。

［課題を解決するための手段］ 上記の課題を解決するために、本考案は、真空吸引源
にコネクタを介して接続される根本部と、前記根本部に
一体的に連設された略楕円形スカート部とを備え、ワー
クを吸着するための吸着用パッドにおいて、 前記略楕円形スカート部の内側に、前記ワークを該略
楕円形スカート部に吸着するための空気吸引孔を焦点位
置に対応して一組設けたことを特徴とする。

［作用］ 上記の本考案に係る吸着用パッドでは、スカート部の
内側に、ワークを吸着するための空気吸引孔を焦点位置
に対応して一組設けることにより、略楕円形断面のスカ
ート部内の吸引力を長軸の端部にまで及ぼし、吸着面全
体の吸い込み流量の平均化をはかることができる。

［実施例］ 本考案に係る吸着用パッドについて好適な実施例を挙
げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。

第１図は、本考案の実施例に係る吸着用パッドの斜視
図であり、第２図（Ａ）は、第１図のII−II線に沿う縦
断面図、第２図（Ｂ）は、第２図（Ａ）のＢ−Ｂ線に沿
う横断面図、第２図（Ｃ）は、第１図の底面図である。

実施例の吸着用パッド10は、図示しない真空吸引源に
上部の孔11を通じて接続される根本部12と、この根本部
12から一体的に連設されたスカート部14とを備えてい
る。

根本部12は略楕円形の断面を有し、第３図に示すよう
に、ロボットのアームの先端に取り付けられるコネクタ
16に接続される。根本部12の上部孔11の内周はコネクタ
16に接続するため、略楕円形の中心にむかって突き出し
ており、断面において鉤形の突部18を形成している。ま
た、根本部12の凹部20の底部21に、スカート部14に連通
する２つの空気吸引孔22、23が貫通形成されている。

詳細には、スカート部14は略楕円形の底面24を有し、
スカート部14の内側でワークを吸着する吸着面である底
面24に所定の間隔をおいて、２つの空気吸引孔22、23が
形成されている。

次に、第３図は本考案の実施例に係る吸着用パッド10
が嵌め込まれるコネクタ16と吸着用パッド10の斜視図で
あり、第４図は本考案の実施例に係る吸着用パッド10を
コネクタ16に嵌め込んだ状態の縦断面図である。

コネクタ16の上部26は中心に雄ねじ部28を有し、図示
しない取付金具の雄ねじ部に接続されることにより、チ
ューブを介して真空吸引源に接続される。雌ねじ部28の
下方には、吸着用パッド10の空気吸引孔22、23に連結す
る貫通孔30が形成されている。

コネクタ16の中部36は、図に示すように矩形断面を有
し、両端にはロボットのアームに取り付けるための孔3
4、35が設けられている。

コネクタ16の下部38は、筒状に形成され、内部に貫通
孔30を備えており、根本部12の突部18と嵌合する。その
下部38の下方には根本部12の凹部20に嵌入される突出部
39が形成されており、吸着用パッド10の回り止めのため
非円形断面の形状を呈している。

吸着用パッド10は、コネクタ16に接続される際、根本
部12の突部18の孔11が拡張され、コネクタ16は、軸心方
向にコネクタ16の突出部39が根本部12の凹部20の底部21
に達するまで押し入れることにより、コネクタ16の下部
38に突部18が嵌合する。

上記のように、コネクタ16に吸着用パッド10を嵌め込
むため、突部18および下部38を設けることにより、吸着
用パッド10が抜け出てくるのを防止し、また、貫通孔30
内の気密性を保持するとともにワークを吸着し搬送する
際に正確な位置決めが可能となる。

次に、上記のように構成される吸着用パッド10の動作
を説明する。

吸着用パッド10はロボットのアーム先端に取り付けら
れ、図示しない真空吸引源から吸引される空気は、チュ
ーブを介しコネクタ16内の貫通孔30を通じ、スカート部
14の内側に設けられ貫通孔30に連通された空気吸引孔2
2、23より吸引される。この場合、貫通孔30と空気吸引
孔22、23が接続する部分に、円形の孔部40を設けること
により、空気吸引孔22、23から吸引された空気は、孔部
40を通り貫通孔30を通じて吸引される。このような孔部
40を設けることにより、複数個の空気吸引孔から吸引さ
れた空気を貫通孔30を通じて、負荷なく効率的に吸引す
ることが可能となる。

上記のように吸引された結果、スカート部14の減圧作
用下でワークが吸着用パッド10に吸着され搬送される。

その際、搬送等されるワークが細長い形状の場合、ワ
ークの細い部分の方向にスカート部14の略楕円形の底面
24の短軸側、ワークの長い部分の方向に長軸側というよ
うにスカート部14の位置をきめて吸着する。

その吸着面は、略楕円形を有し、焦点位置に空気吸引
孔22、23を設けることにより、スカート部14の端部まで
吸引力を及ぼすことができる。

略楕円形において、スカート部14の端部の任意の一点
から前記焦点を結んだ距離の和は一定値に近似し、その
結果、吸い込み流量の平均化をはかることができるから
である。

次に、第５図は、本考案に係る吸着用パッド10を嵌め
込むための別の実施例のコネクタ17を示す斜視図であ
る。

前記コネクタ16と異なる点は、コネクタ17の中部36が
上から見て十字の形状をしている点である。その他の構
成は同様であり、同一の参照符号を付し、その詳細な説
明は省略する。

本考案に係る吸着用パッド10をコネクタ17に嵌入する
ことによる作用効果は、前記コネクタ16の場合と同様で
ある。

［考案の効果］ 以上のように、本考案に係る吸着用パッドは、略楕円
形断面のスカート部に焦点位置に対応して一組の空気吸
引孔を設けることにより、ワーク吸着時における吸着面
の端部まで吸引力を及ぼすことが可能となり、スカート
部内部の空気の吸い込み流量の均一化をはかることがで
きる。

その結果、ワークの吸着面における効率のよい吸着作
用をもたらすことができ、スカート部の大きさの制限に
よる吸着力の低下を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る吸着用パッドの斜視図、 第２図（Ａ）は第１図のII−II線に沿う縦断面図、第２
図（Ｂ）は第２図（Ａ）のＢ−Ｂ線に沿う横断面図、第
２図（Ｃ）は、第１図の底面図、 第３図は第１図に示した吸着用パッドとそれが嵌め込ま
れるコネクタの斜視図、 第４図は本考案に係る吸着用パッドがコネクタに嵌め込
まれた状態の縦断面図、 第５図は他の実施例に係るコネクタの斜視図である。 10……吸着用パッド 11、34、35……孔 12……根本部 14……スカート部 16、17……コネクタ 18……突部 22、23……空気吸引孔 30……貫通孔 39……突出部 40……孔部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】真空吸引源にコネクタを介して接続される
   根本部と、前記根本部に一体的に連設された略楕円形ス
   カート部とを備え、ワークを吸着するための吸着用パッ
   ドにおいて、 前記略楕円形スカート部の内側に、前記ワークを該略楕
   円形スカート部に吸着するための空気吸引孔を焦点位置
   に対応して一組設けたことを特徴とする吸着用パッド。