JP2536730B2 - 光受容部材 - Google Patents

光受容部材

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JP2536730B2 JP60029219A JP2921985A JP2536730B2 JP 2536730 B2 JP2536730 B2 JP 2536730B2 JP 60029219 A JP60029219 A JP 60029219A JP 2921985 A JP2921985 A JP 2921985A JP 2536730 B2 JP2536730 B2 JP 2536730B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、光(ここでは広義の光であって、紫外線、
可視光線、赤外線、X線、γ線等を意味する。)のよう
な電磁波に対して感受性にある光受容部材に関する。
〔従来技術の説明〕
固体撮像装置、或いは像形成分野における電子写真用
像形成部材や原稿読取装置における光導電層を形成する
光導電材料としては、高感度で、SN比〔光電流(Ip)/
暗電流(Id)〕が高く、照射する電磁波のスペクトル特
性に適合した吸収スペクトル特性を有すること、光応答
性が速く、所望の暗抵抗値を有すること、使用時におい
て人体に対して無公害であること、更には固体撮像装置
においては、残像を所定時間内に容易に処理することが
できること等の特性が要求される。殊に、事務機として
オフィスで使用される電子写真装置内に組込まれる電子
写真用像形成部材の場合には、上記の使用時における無
公害性が重要な点である。
この様な点に立脚して最近注目されている光受容部材
にアモルファスシリコン(以後a−Siと表記す)があ
り、例えば、独国公開第2746967号公報、同第2855718号
公報には電子写真用像形成部材として、独国公開第2933
411号公報には光電変換読取装置への応用が記載されて
いる。
しかしながら、従来のa−Siで構成された光受容層を
有する光受容部材は、暗抵抗値、光感度、光応答性等の
電気的、光学的、光導電的特性、及び使用環境特性の
点、更には経時的安定性及び耐久性の点において、各
々、個々には特性の向上が計られているが、総合的な特
性向上を計る上で更に改良される余地が存するのが実情
である。
例えば、電子写真用像形成部材に適用した場合に、高
光感度化、高暗抵抗化を同時に計ろうとすると従来にお
いてはその使用時において残留電位が残る場合が度々観
測され、この種の光受容部材は長時間繰返し使用し続け
ると、繰返し使用による疲労の蓄積が起って、残像が生
ずる所謂ゴースト現象を発する様になる等の不都合な点
が少なくなかった。
又、a−Si材料で光受容層を構成する場合には、その
電気的、光導電的特性の改良を計るために、水素原子或
いは弗素原子や塩素原子等のハロゲン原子、及び電気伝
導型の制御のために硼素原子や燐原子等が或いはその他
の特性改良のために他の原子が、各々構成原子として光
受容層中に含有されるが、これ等の構成原子の含有の仕
方如何によっては、形成した層の電気的或いは光導電的
特性や電気的耐圧性に問題が生ずる場合があった。
即ち、例えば、形成した光受容層中に光照射によって
発生したフォトキャリアの該層中での寿命が充分でない
ことや、暗部における支持体側よりの電荷の注入の阻止
が充分でないこと、或いは、転写紙に転写された画像に
俗に「白ヌケ」と呼ばれる、局所的な放電破壊現象によ
ると思われる画像欠陥や、クリーニングにブレードを用
いるとその摺擦によると思われる、俗に「白スジ」と云
われている画像欠陥が生じたりしていた。又、多湿雰囲
気中で使用したり、或いは多湿雰囲気中に長時間放置し
た直後に使用すると俗に云う画像のボケが生ずる場合が
少なくかった。
更には、層厚が十数μ以上になると層形成用の真空堆
積室より取り出した後、空気中での放置時間の経過と共
に、支持体表面からの層の浮きや剥離、或いは層に亀裂
が生ずる等の現象を引起しがちになる。この現象は、殊
に支持体が通常、電子写真分野に於いて使用されている
ドラム状支持体の場合に多く起る等、経時的安定性の点
に於いて解決されるべき点がある。
従ってa−Si材料そのものの特性改良が計られる一方
で光受容部材を設計する際に、上記した様な問題の総て
が解決される様に工夫される必要がある。
(発明の目的) 本発明は、上述のごときa−Siで構成された光受容層
を有する光受容部材における諸問題を解決することを目
的とするものである。
すなわち、本発明の主たる目的は、電気的、光学的、
光導電的特性が使用環境に殆んど依存することなく実質
的に常時安定しており、耐光疲労に優れ、繰返し使用に
際しても劣化現象を起こさず耐久性、耐湿性に優れ、残
留電位が全くか又は殆んど観測されない、a−Siで構成
された光受容層を有する光受容部材を提供することにあ
る。
本発明の他の目的は、支持体上に設けられる層と支持
体との間や積層される層の各層間に於ける密着性に優
れ、構造配列的に緻密で安定的であり、層品質の高い、
a−Siで構成された光受容層を有する光受容部材を提供
することにある。
本発明の更に他の目的は、電子写真用像形成部材とし
て適用させた場合、静電像形成のための帯電処理の際の
電荷保持能力が充分あり、通常の電子写真法が極めて有
効に適用され得る優れた電子写真特性を有する、a−Si
で構成された光受容層を有する光受容部材を提供するこ
とにある。
本発明の別の目的は、長期の使用に於いて画像欠陥や
画像のボケが全くなく、濃度が高く、ハーフトーンが鮮
明に出て且つ解像度の高い、高品質画像を得ることが容
易にできる電子写真用のa−Siで構成された光受容層を
有する光受容部材を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、高光感度性、高SN比特性及
び高電気的耐圧性を有する、a−Siで構成された光受容
層を有する光受容部材を提供することにある。
〔発明の構成〕
本発明は上記の目的を達成するものであって、電子写
真用像形成部材や固体撮像装置、読取装置等に使用され
る光受容部材としてのa−Siの製品成立性、適用性、応
用性等の事項を含めて総括的に鋭意研究を続けた結果、
シリコン原子を母体とする非晶質材料、特にシリコン原
子を母体とし、水素原子(H)又はハロゲン原子(X)
の少なくともいずれか一方を含有するアモルファス材
料、いわゆる水素化アモルファスシリコン、ハロゲン化
アモルファスシリコン、あるいはハロゲン含有水素化ア
モルファスシリコン〔以下、「a−Si(H,X)」と表記
する。〕で構成される光受容層を有する光受容部材の層
構成を以下に記載する様な特定の二層構成の下に設計さ
れて作成された光受容部材が、実用上著しく優れた特性
を示すばかりでなく、従来の光受容部材と比較してもて
もあらゆる点において凌駕しており、特に電子写真用の
光受容部材として著しく優れた特性を有しているという
事実を見に出したことに基づいて完成せしめたものであ
る。
即ち、本発明の光受容部材は、支持体と、該支持体上
に、シリコン原子を母体とし、周期律表第III族または
第V族に属する原子を含有する層領域を有する非晶質材
料で構成された層厚1〜100μの第一の層と、シリコン
原子を母体とし、炭素原子を含有し、更に水素原子また
は水素原子とハロゲン原子を該水素原子とハロゲン原子
を該水素原子の含有量あるいは該水素原子と該ハロゲン
原子との含有量の和が1〜40atomic%の量含有し、且
つ、周期律表第III族または第V族に属する原子を層厚
方向に均一な分布状態で含有する非晶質材料で構成され
た層厚3×10-3〜30μの第二の層とが支持体側から順に
積層された光受容層を有し、少なくとも前記第一の層の
前記第二の層と接する一部の領域と前記第二の層のいず
れか一方に層厚方向に均一な分布状態で酸素原子が含有
されていることを特徴とする。
そして、前記第一の層を構成するシリコン原子を母体
とする非晶質材料としては、特にシリコン原子(Si)を
母体とし、水素原子(H)又はハロゲン原子(X)の少
なくともいずれか一方を含有するアモルファス材料即ち
a−Si(H,X)を用い、前記第二の層を構成する、シリ
コン原子を母体とし炭素原子及び伝導性を制御する物質
を含有する非晶質材料としては、特に、シリコン原子
(Si)を母体とし、炭素原子(C)と、伝導性を制御す
る物質(M)と、水素原子(H)又は水素原子(H)と
ハロゲン原子(X)とを含有するアモルファス材料〔以
下「a−SiCM(H,X)」(但し、Mは、伝導性を制御す
る物質を表わす。)と表記する。〕を用いる。
なお、本明細書においては、第二の層に含有される水
素原子又は水素原子とハロゲン原子を、便宜上“水素原
子または/及びハロゲン原子”と表現する場合もある。
前記の伝導性を制御する物質としては、半導体分野に
於ていう、いわゆる不純物を挙げることができ、P型伝
導性を与える周期律表第III族に属する原子(以下第III
族原子と称す。)、又は、n型伝導性を与える周期律表
第V族に属する原子(以下第V族原子と称す。)を用い
る。具体的には、第III族原子としては、B(硼素)、A
l(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウ
ム)、Tl(タリウム)等を、特に好ましくは、B、Gaを
用いる。また、第V族原子としては、P(燐)、As(砒
素)、Sb(アンチモン)、Bi(ビスマス)等を、特に好
ましくは、P、Asを用いる。そして、第一の層に含有せ
しめる伝導性を制御する物質と、第二の層に含有せしめ
る伝導性を制御する物質とは、同じであっても、或い
は、異なっていてもよい。これらの伝導性を制御する物
質は、第一の層についてはその全層領域中又は一部の層
領域中に均一に分布するように含有せしめ、第二の層に
ついてはその全層領域中に均一に分布するように含有せ
しめる。
第一の層についてその全層領域中に伝導性を制御する
物質を均一に分布するように含有せしめる場合、主とし
て第一の層の伝導型又は/及び伝導率を制御する効果が
奏される。この場合、含有せしめる伝導性を制御する物
質の量は比較的わずかな量でよい。
また、第一の層についてその一部の層領域中、即ち、
例えば支持体と接する一部の層領域中に伝導性を制御す
る物質を均一の分布するように含有せしめる場合、電荷
注入阻止層としての効果が奏される。この場合、含有せ
しまる伝導性を制御する物質の量は比較的多量である。
さらに、上述の場合とは逆に、第一の層の、第二の層
と接する一部の層領域中に伝導性を制御する物質を均一
に分布するように含有せしめる場合、第一の層と第二の
層に含有せしめる伝導性を制御する物質の伝導型が同じ
であれば、第一の層と第二の層の間のエネルギーレベル
的整合性を向上せしめ、両層間での電荷の移送を高める
という効果が奏され、この効果は第二の層の層厚が厚
く、暗抵抗が高い場合に特に顕著である。また、第二の
層と接する第一の層の一部の層領域中に均一に分布する
ように含有せしめる場合において、第一の層と第二の層
に含有せしめる伝導性を制御する物質の伝導型が異なっ
ている場合、該層領域は積極的に第一の層と第二の層の
接合部となり、帯電処理時における見掛け上の暗抵抗の
増大をはかるという効果が奏される。そして、第二の層
と接する第一の層の一部の層領域に伝導性を制御する物
質を含有せしめる場合には、その量は比較的わずかな量
でよい。
本発明の光受容部材の第二の層は、耐湿性、連続繰返
し使用特性、電気的耐圧性、使用環境特性、および耐久
性等を向上させる目的で、第一の層上に設けられる。そ
してこの目的は、第二の層を構成するアモルファス材料
に炭素原子を構造的に導入せしめることにより達成でき
る。第二の層に炭素原子を構造的に導入する場合、炭素
原子の量の増加に伴って、前述の特性は向上するが、炭
素原子の量が多すぎると層品質が低下し、電気的および
機械的特性も低下する。こうしたことから、炭素原子の
含有量は通常は、1×10-3〜90atomic%とし、好ましく
は1〜90atomic%、最適には10〜80atomic%とする。
さらに、連続繰返し使用特性および耐久性の向上のた
めには、第二の層の層厚を厚くすることが好ましいが、
層厚が厚くなると残留電位の発生原因となる。こうした
ことから、第二の層に伝導性を制御する物質、即ち、第
III族原子又は第V族原子を含有せしめることにより、
前述の残留電位の発生を、防止するかあるいは実質的な
影響がない程度に抑止することができる。通常の場合の
この種の第二の層は、機械的耐久性には優れているが、
先端が鋭角なもので該層の表面を摺擦したり、あるいは
押圧したりすると、表面にいわゆる傷として残らないに
しても、帯電処理時には静電荷的痕跡傷となって現わ
れ、トナー転写画像の画像品質の低下をきたしてしまう
場合が多々ある。こうした場合にも、第二の層に伝導性
を制御する物質を含有せしめることにより、これらの問
題の発生を未然に防止できる。
ところで、第一の層の全層領域、第一の層の一部の層
領域、第二の層の全層領域、のいずれかに酸素原子を均
一に分布するように含有せしめることの目的は、光受容
部材の高光感度化と高暗抵抗化、更には支持体と第一の
層の間の、あるいは第一の層と第二の層との間の密着性
の改善等を図ることにある。そして、高光感度化と高暗
抵抗化を図ることを主たる目的にする場合には、酸素原
子を、第一の層の全層領域に含有せしめるか、あるいは
第一の層の全層領域と第二の層の双方に含有せしめ、ま
た、支持体と第一の層の間の密着性を図ることを主たる
目的にする場合には、酸素原子を、第一の層の支持体と
接する一部の層領域に含有せしめる。更に、第一の層と
第二の層の間の密着性を図ることを主たる目的にする場
合には、酸素原子を、第一の層の第二の層と接する一部
の層領域に含有せしめるか、第二の層に含有せしめる
か、あるいはその両者に含有せしめる。
酸素原子の含有量は、光感度と暗抵抗の向上を主たる
目的にする場合には比較的少なくてよく、密着性の向上
を主たる目的にする場合には比較的多くすることが望ま
しい。また、酸素原子の含有量は、酸素を含有している
層と隣接する他の層の特性や、酸素を含有している層と
他の層との界面の特性等との関係も考慮して決定する必
要もある。こうしたことから、酸素原子の含有量は、一
般的には0.001〜50atomic%とするが、好ましくは0.002
〜40atomic%、より好ましくは0.003〜30atomic%とす
る。さらに、酸素原子の含有量の上限の値は、酸素原子
を第一の層と第二の層の双方に含有している場合、ある
いは、酸素原子を含有している一部の層領域の第一の層
において占める割合が充分に大きい場合、即ち、例えば
酸素原子を含有している一部の層領域の層厚が第二の層
の層厚の40%以上となるような場合には、前述の値より
小さくすることが望ましく、具体的には上限の値は通常
30atomic%とするが、好ましくは20atomic%、より好ま
しくは10atomic%とする。
本発明における第一の層の層厚および第二の層の層厚
は、本発明の目的を効率的に達成するためには重要な要
因の1つであり、所期の目的に応じて適宜決定されるも
のであるが、各層に含有せしめる酸素原子、第III族原
子、第V族原子、炭素原子、ハロゲン原子、水素原子の
量、あるいは各層相互の層厚等の関係において、要求さ
れる特性に応じて相互的かつ有機的関連性の下に決定す
る必要もある。更に、生産性や量産性をも加味した経済
性の点においても考慮する必要がある。こうしたことか
ら、第一の層の層厚は通常は1〜100μ、好ましくは1
〜80μ、最適には2〜50μとし、第二の層の層厚は通常
は3×10-3〜30μ、好ましくは4×10-3〜20μ、最適に
は5×10-3〜10μとする。
本発明に用いる支持体は、導電性でも電気絶縁性であ
ってもよく、導電性支持体としては、例えば、NiCr、ス
テンレス、Al、Cr、Mo、Au、Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pb等
の金属又はこれ等の合金が挙げられ、電気絶縁性支持体
としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネ
ート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリア
ミド等の合成樹脂のフィルム又はシート、ガラス、セラ
ミック、紙等を使用する。これ等の電気絶縁性支持体
は、好適には少なくともその一方の表面を導電処理し、
該導電処理された表面側に光受容層が設けられるのが望
ましい。
例えば、ガラスであれば、その表面に、NiCr、Al、C
r、Mo、Au、Ir,Nb、Ta、V、Ti、Pt、Pd、In2O3、Sn
O2、ITO(In2O3+SnO2)等から成る薄膜を設けることに
よって導電性を付与し、或いはポリエステルフィルム等
の合成樹脂フィルムであれば、NiCr、Al、Ag、Pb、Zn、
Ni、Au、Cr、Mo、Ir、Nb、Ta、V、Ti、Pt等の金属の薄
膜を真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング等でそ
の表面に設け、又は前記金属でその表面をラミネート処
理して、その表面に導電性を付与する。支持体の形状と
しては、円筒状、ベルト状、板状等任意の形状が使用可
能であり、所望によって、その形状を決定するが、例え
ば、電子写真用像形成部材として使用するのであれば連
続高速複写の場合には、無端ベルト状又は円筒状とする
のが望ましい。支持体の厚さは、所望通りの光受容部材
を形成しうる様に適宜決定するが、光受容部材として可
撓性が要求される場合には、支持体としての機能が充分
発揮される範囲内で可能な限り薄くする。しかしなが
ら、この様な場合支持体の製造上及び取扱い上、機械的
強度等の点から、通常は、10μ以上とする。
本発明の光受容部材は前記のごとき層構成としたこと
により、前記したアモルファスシリコンで構成された光
受容層を有する光受容部材の諸問題の総てを解決でき、
極めて優れた電気的、光学的、光導電的特性、電気的耐
圧性及び使用環境特性を示す。特に、電子写真用像形成
部材として適用した場合には、画像形成への残留電位の
影響が全くなく、その電気的特性が安定しており高感度
で、高SN比を有するものであって、耐光疲労、繰返し使
用特性に優れ、濃度が高く、ハーフトーンが鮮明に出
て、且つ解像度の高い、高品質の画像を安定して繰返し
得ることができる。
又、本発明の光受容部材は支持体上に形成される光受
容層が、層自体が強靱であって、且つ支持体との密着性
に著しく優れており、高速で長時間連続的に繰返し使用
することが出来る。
以下、図面により本発明の光受容部材の具体的層構成
について詳しく説明する。
第1〜4図は本発明の光受容部材の層構成を説明する
ために模式的に示した図であり、各図において100は光
受容部材、101は支持体、102は第一の層、103は第二の
層、104は自由表面を表わす。
第1図は支持体101上に第一の層102と第二の層103が
この順に設けられている例を示しており、第二の層103
には炭素原子および第III族原子又は第V族原子を必須
の構成原子として含有せしめ、第一の層102には第III族
原子又は第V族原子を含有せしめる場合と含有せしめな
い場合とがある。第III族原子又は第V族原子を第一の
層の全層領域中に含有せしめる場合は、主として伝導型
又は/及び伝導率の制御を目的としており、その含有量
は比較的少量であり、好適には1×10-3〜1×103atomi
c ppm、より好適には5×10-2〜5×102atomic ppm、最
適には1×10-1〜2×102atomic ppmとする。
更に、第一の層102全層領域および第一の層の少なく
ともいずれか一方には酸素原子を含有しており、含有し
ている層中において酸素原子は均一に分布している。第
一の層の全層領域に酸素原子を含有している場合は、主
として光感度と暗抵抗の向上を目的とする場合であっ
て、その含有量は比較的少なくてよい。また第二の層の
みが酸素原子を含有する場合、主として第一の層と第二
の層の密着性の強化を目的とするものであって、その含
有量は比較的多くする。
第2、3図は支持体上に第一の層102と第二の層103と
がこの順序で設けられており、かつ、第一の層が層領域
102′と層領域102″とからなる場合の例示である。この
場合、第2、3図における第二の層は第1図の例と同様
に炭素原子と第III族原子又は第V族原子とを必須の構
成原子として含有する。
そして第2図は、支持体と接している一部の層領域10
2′が第III族原子又は第V族原子及び/又は酸素原子を
含有している例を示している。
第2図に示す例において層領域102′に第III族原子又
は第V族原子を含有せしめる場合は、主として層領域10
2′が電荷注入阻止層として役割を果たすことを目的と
する場合であって、その含有量は比較的多く、一般的に
は30〜5×104atomic ppmであるが、好ましくは50〜1
×104atomic ppm、最適には1×102〜5×103atomic pp
mである。該目的を達成するためには、層領域102′の層
厚は、一般的には30Å〜10μとするが、好ましくは40Å
〜8μ、最適には50Å〜5μである。さらにこの場合、
第III族原子又は第V族原子を含有する層領域102′、第
III族原子又は第V族原子を含有しない層領域102″およ
び第二の層103のうちの少なくともいずれか1つには酸
素原子を含有するものである。
第2図に示す例において層領域102′に酸素原子を含
有せしめ、層領域102″に酸素原子を含有せしめない場
合は、支持体と第一の層との密着性を強化することが主
たる目的になり、この場合層領域102′に含有せしめる
酸素原子の量は比較的多くする。また、該目的を達成す
るためには層領域102′の層厚は5μ以下とするのが望
ましい。ところでこの場合、層領域102′および/又は
層領域102″に第III族原子又は第V族原子を含有せしめ
てもよく、第二の層に酸素原子を含有せしめてもよい。
第3図は、第二の層と接している一部の層領域102′
に第III族原子又は第V族原子および/又は酸素原子を
含有している場合の例示である。
第3図に示す例において層領域102′に第III族原子又
は第V族原子を含有せしめる場合であってその伝導型が
第二の層に含有せしめる第III族原子又は第V族原子の
伝導型と同じである場合は、第一の層と第二の層との間
のエネルギーレベル的整合性を向上させて、両層間での
電荷の移送性を高めることが主たる目的になり、該層領
域102′の効果はことに第二の層の層厚が厚く、暗抵抗
が高い場合に顕著なものとなる。また、層領域102′に
含有せしめる第III族原子又は第V族原子の伝導型が第
二の層103に含有せしめる第III族原子又は第V族原子の
伝導型と異なるものである場合は、積極的意義において
第一の層と第二の層の接合部を設けてなるものとなり、
帯電処理時の見掛け上の暗抵抗の増大をはかることが主
たる目的になる。層領域102′中の第III族原子又は第V
族原子の含有量は、いずれの場合も比較的少なくてよ
く、好適には1×10-3〜1×103atomic ppm、より好適
には5×10-2〜5×102atomic ppm、最適には1×10-1
〜2×102atomic ppmである。さらにこの場合、第III族
原子又は第V族原子を含有する層領域102′、第III族原
子又は第V族原子を含有しない層領域102″、および第
二の層103の少なくともいずれか1つに、酸素原子を含
有せしめる。
第3図に示す例において層領域102′に酸素原子を均
一に含有せしめ、層領域102″に酸素原子を含有せしめ
ない場合も本発明の実施の1例である。この場合には、
層領域102′および/又は層領域102″に第III族原子又
は第V族原子を含有せしめてもよく、さらに第二の層10
3に酸素原子を含有せしめてもよいことは第2図の場合
と同様である。
第4図は支持体上に第一の層102と第二の層103がこの
順序で設けられ、かつ第一の層が層領域102′、層領域1
02″及び層領域102で構成される場合の例示である。
第4図に於て、層領域102′は、第III族原子又は第V族
原子と酸素原子の両方を含有し、層領域102″は酸素原
子を含有するが、第III族原子又は第V族原子は含有し
ていない。そして層領域102は、第III族原子、第V族
原子、酸素原子のいずれも含有していない。そしてこれ
らの原子は各層領域において均一に分布している。第4
図に示す例では、層領域102′と層領域102″に酸素原子
を含有せしめることにより、光感度および暗抵抗を向上
させ、かつ支持体と第一の層との密着性を向上させるこ
とができる。また層領域102′に第III族原子又は第V族
原子を含有せしめることにより第二の層103の自由表面1
04側より帯電処理を施した際の電荷の注入を阻止するこ
とができる。
また、第4図に示す例においてにおける層領域102′
には酸素原子および第III族原子又は第V族原子の両方
を含有せしめ、層領域102″には第III族原子又は第V族
原子を含有せしめるが、酸素原子は含有せしめることな
く、さらに層領域102について、酸素原子及び第III族
原子又は第V族原子のいずれも含有しないものとするこ
ともできる。
上述の第1〜4図に示したものは本発明の光受容部材
の具体例であり、本発明はこれらによって限定されない
ことは言うまでもない。
次に本発明の光受容層の形成方法について説明する。
本発明の光受容層を構成する層には、a−Si(H,X)
で構成される層、a−SiC(H,X)で構成される層、およ
び第III族原子は第V族原子および/又は酸素原子を含
有せしめたa−Si(H,X)又はa−SiC(H,X)で構成さ
れる層があるが、これらの層を構成する非晶質材料はい
ずれもグロー放電法、スパッタリング法、或いはイオン
プレーティング法等の放電現象を利用する真空堆積法に
よって行われる。これ等の製造法は、製造条件、設備資
本投下の負荷程度、製造規模、作製される光受容部材に
所望される特性等の要因によって適宜選択されて採用さ
れるが、所望の特性を有する光受容部材を製造するに当
っての条件の制御が比較的容易であり、シリコン原子と
共に炭素原子及び水素原子の導入を容易に行い得る等の
ことからして、グロー放電法或いはスパッタリング法が
好適である。そして、グロー放電法とスパッタリング法
とを同一装置系内で併用して形成してもよい。
例えば、グロー放電法によって、a−Si(H,X)で構
成される層を形成するには、基本的にはシリコン原子
(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガスと共に、水素原
子(H)導入用の又は/及びハロゲン原子(X)導入用
の原料ガスを、内部が減圧にし得る堆積室内に導入し
て、該堆積室内にグロー放電を生起させ、予め所定位置
に設置した所定の支持体表面上にa−Si(H,X)から成
る層を形成する。
必要に応じて層中に含有せしめるハロゲン原子(X)
としては、具体的にはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙
げられ、殊にフッ素、塩素が好ましい。
前記Si供給用の原料ガスとしては、SiH4、Si2H6、Si3
H8、Si4H10等のガス状態の又はガス化し得る水素化硅素
(シラン類)が挙げられ、殊に、層作成作業のし易さ、
Si供給効率の良さ等の点でSiH4、Si2H6が好ましい。
また、前記ハロゲン原子導入用の原料ガスとしては、
多くのハロゲン化合物が挙げられ、例えばハロゲンガ
ス、ハロゲン化物、ハロゲン間化合物、ハロゲンで置換
されたシラン誘導体等のガス状態の又はガス化し得るハ
ロゲン化合物が好ましい。
更に又、シリコン原子とハロゲン原子とを構成要素と
するガス状態の又はガス化し得るハロゲン原子を含む珪
素化合物も有効なものとして挙げることができる。具体
的には、ハロゲン化合物としては、フッ素、塩素、臭
素、ヨウ素のハロゲンガス、BrF、ClF、ClF3、BrF5、Br
F3、IF3、IF7、ICl、IBr等のハロゲン間化合物を挙げる
ことができ、ハロゲン原子を含む硅素化合物、所謂、ハ
ロゲン原子で置換されたシラン誘導体としては、SiH4
Si2H6、SiCl4、SiBr4等のハロゲン化硅素が好ましいも
のとして挙げられる。
この様なハロゲン原子を含む硅素化合物を使用してグ
ロー放電法により形成する場合には、Siを供給し得る原
料ガスとしての水素化硅素ガスを使用しなくとも、所定
の支持体上にハロゲン原子を含むa−Siから成る層を形
成する事ができる。
グロー放電法を用いて、ハロゲン原子を含む層を形成
する場合、基本的には、Si供給用の原料ガスであるハロ
ゲン化硅素ガスとAr、H2、He等のガス等を所定の混合比
とガス流量になる様にして堆積室に導入し、グロー放電
を生起してこれ等のガスのプラズマ雰囲気を形成するこ
とによって、所定の支持体上に層を形成し得るものであ
るが、水素原子の導入を計る為にこれ等のガスに更に水
素原子を含む硅素化合物のガスも所定量混合してもよ
い。
又、各ガスは単独種のみでなく所定の混合比で複数種
混合して使用してもよい。
反応スパッタリング法或いはイオンプレーティング法
に依ってa−Si(H,X)から成る層を形成するには、例
えばスパッタリング法の場合にはSiから成るターゲット
を使用して、これを所定のガスプラズマ雰囲気中でスパ
ッタリングし、イオンプレーティング法の場合には、多
結晶シリコン又は単結晶シリコンを蒸発源として蒸着ボ
ートに収容し、このシリコン蒸発源を抵抗加熱法、或い
はエレクトロンビーム法(EB法)等によって加熱蒸発さ
せ飛翔蒸発物を所定のガスプラズマ雰囲気中を通過させ
る事で行うことができる。
その際、スパッタリング法、イオンプレーティング法
の何れの場合でも形成される層中にハロゲン原子を導入
するについては、前記のハロゲン化合物又は前記のハロ
ゲン原子を含む硅素化合物のガスを堆積室中で導入して
該ガスのプラズマ雰囲気を形成してやればよい。
又、水素原子を導入する場合には、水素原子導入用の
原料ガス、例えば、H2或いは前記したシラン類等のガス
をスパッタリング用の堆積室中に導入して該ガスのプラ
ズマ雰囲気を形成してやればよい。
グロー放電法、スパッタリング法またはイオンプレー
ティング法等によって層を形成するにおいては、ハロゲ
ン原子導入用の原料ガスとして前記のハロゲン化合物或
いはハロゲンを含む硅素化合物が有効なものとして使用
できるが、これ等の他に、HF、HCl、HBr、HI等のハロゲ
ン化水素、SiH2F2、SiH2I2、SiH2Cl2、SiHCl3、SiH2B
r2、SiHBr3等のハロゲン置換水素化硅素、等々のガス状
態の或いはガス化し得る、水素原子を構成要素の1つと
するハロゲン化物も有効な出発物質として挙げる事がで
きる。
これ等の水素原子を含むハロゲン化物は、層形成の際
に層中にハロゲン原子の導入と同時に電気的或いは光電
的特性の制御に極めて有効な水素原子も導入しうるの
で、好適なハロゲン原子導入用の原料として使用でき
る。
水素原子を層中に構造的に導入するには、上記の他に
H2、或いはSiH4、Si2H6、Si3H8、Si4H10等の水素化硅素
のガスをSiを供給する為のシリコン化合物と堆積室中に
共存させて放電を生起させる事でも行うことができる。
例えば、反応スパッタリング法の場合には、Siターゲ
ットを使用し、ハロゲン原子導入用のガス及びH2ガスを
必要に応じてHe、Ar等の不活性ガスも含めて堆積室内に
導入してプラズマ雰囲気を形成し、前記Siターゲットを
スパッタリングすることによって、支持体上にa−Si
(H,X)から成る層を形成する。
本発明の光受容部材の光受容層中に含有せしめる水素
原子(H)の量又はハロゲン原子(X)の量又は水素原
子とハロゲン原子の量の和(H+X)[但し、第二の層
においては水素原子(H)の量または水素原子とハロゲ
ン原子(H+X)の量の和]は、通常の場合1〜40atom
ic%、好適には5〜30atomic%とするのが望ましい。
光受容層中に含有せしめる水素原子(H)又は/及び
ハロゲン原子(X)の量を制御するには、例えば支持体
温度又は/及び水素原子(H)、或いはハロゲン原子
(X)を含有せしめる為に使用する出発物質の堆積装置
系内へ導入する量、放電々力等を制御してやればよい。
第一の層には前述のa−Si(H,X)にさらに必要に応
じて第III族原子又は第V族原子および酸素原子を含有
せしめたもの、第二の層にはa−Si(H,X)に炭素原子
および第III族原子又は第V族原子を含有せしめたも
の、あるいはさらに酸素原子を含有せしめたものを用い
るが、これらの層又は層領域を設けるには、グロー放電
法、スパッタリング法あるいはイオンプレーティング法
等によるa−Si(H,X)の層の形成の際に、第III族原子
又は第V族原子導入用の出発物質、酸素原子導入用の出
発物質、あるいは炭素原子導入用の出発物質を、夫々前
述したa−Si(H,X)形成用の出発物質と共に使用し
て、形成する層中へのそれらの量を制御しながら含有せ
しめてやることにより行なわれる。
例えば、第二の層は第III族原子又は第V族原子を含
有するa−SiC(H,X)〔以下、a−SiCM(H,X)(但
し、Mは第III族原子又は第V族原子を表わす。)と表
記する。〕で構成されるものであるが、グロー放電法に
よって第二の層を形成するには、a−SiCM(H,X)形成
用の原料ガスを、必要に応じて希釈ガスと所定量の混合
比で混合して、支持体101の設置してある真空堆積用の
堆積室に導入し、導入されたガスをグロー放電を生起さ
せることでガスプラズマ化して前記支持体上に既に形成
されてある第一の層上にa−SiCM(H,X)を堆積させれ
ばよい。
a−SiCM(H,X)形成用の原料ガスとしては、Si、
C、H及び/又はハロゲン原子、及び第III族原子又は
第V族原子の中の少なくとも一つを構成原子とするガス
状の物質又はガス化し得る物質をガス化したものであれ
ば、いずれのものであってもよい。
Si、C、H及び/又はハロゲン原子、第III族原子又
は第V族原子の中の1つとしてSiを構成原子とする原料
ガスを使用する場合は、例えばSiを構成原子とする原料
ガスと、Cを構成原子とする原料ガスと、H及び/又は
ハロゲン原子を構成原子とする原料ガスと第III族原子
又は第V族原子を構成原子とする原料ガスを所望の混合
比で混合して使用するか、又は、Siを構成原子とする原
料ガスと、C及びH及び/又はハロゲン原子を構成原子
とする原料ガスと、第III族原子又は第V族原子のを構
成原子とする原料ガスとを、これも又所望の混合比で混
合するか、或いは、Siを構成原子とする原料ガスと、S
i、C及びH及び/又はハロゲン原子の3つを構成原子
とする原料ガスと第III族原子又は第V族原子を構成原
子とする原料ガスとを混合して使用することができる。
又、別には、SiとH及び/又はハロゲン原子とを構成
原子とする原料ガスにCを構成原子とする原料ガスと第
III族原子又は第V族原子を構成原子とする原料ガスと
を混合して使用してもよい。
a−SiC(H,X)で構成される層形成用の原料ガスとし
て有効に使用されるのは、SiとHとを構成原子とするSi
H4、Si2H6、Si3H8、Si4H10等のシラン(Silane)類等の
水素化硅素ガス、CとHとを構成原子とする、例えば炭
素数1〜4の飽和炭化水素、炭素数2〜4のエチレン系
炭化水素、炭素数2〜3のアセチレン系炭化水素等が挙
げられる。
具体的には、飽和炭化水素としては、メタン(C
H4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、n−ブタン
(n−C4H10)、ペンタン(C5H12)、エチレン系炭化水
素としては、エチレン(C2H4)、プロピレン(C3H6)、
ブテン−1(C4H8)、ブテン−2(C4H8)、イソブチレ
ン(C4H8)、ペンテン(C5H10)、アセチレン系炭化水
素としては、アセチレン(C2H2)、メチルアセチレン
(C3H4)、ブチン(C4H6)等が挙げられる。
SiとCとHとを構成原子とする原料ガスとしては、Si
(CH3)4、Si(C2H5)4等のケイ化アルキルを挙げることが
できる。これ等の原料ガスの他、H導入用の原料ガスと
しては勿論H2も使用できる。
酸素原子を含有する層又は層領域、あるいは第III族
原子又は第V族原子を含有する層又は層領域を形成する
のにグロー放電法を用いる場合、これらの層又は層領域
形成用の原料ガスとなる出発物質としては、a−Si(H,
X)又は、a−SiC(H,X)形成用の出発物質の中から所
望に従って選択したものに、酸素導入用の出発物質又は
/及び第III族原子又は第V族原子導入用の出発物質を
加えたものを用いる。酸素導入用の出発物質あるいは第
III族原子又は第V族原子導入用の出発物質としては、
少なくとも酸素原子あるいは第III族原子又は第V族原
子となるガス状の物質又はガス化し得る物質をガス化し
たものであれば何でも用いることができる。
酸素原子導入用の出発物質としては具体的には、例え
ば酸素(O2)、オゾン(O3)、一酸化窒素(NO)、二酸
化窒素(NO2)、一二酸化窒素(N2O)、三二酸化窒素
(N2O3)、四二酸化窒素(N2O4)、五二酸化窒素(N
2O5)、三酸化窒素(NO3)、シリコン原子(Si)と酸素
原子(O)と水素原子(H)とを構成原子とする、例え
ば、ジシロキサン(H3SiOSiH3)、トリシロキサン(H3S
iOSiH2OSiH3)等の低級シロキサン等を挙げることがで
きる。
第III族原導入用の出発物質として具体的には硼素原
子導入用としては、B2H6、B4H10、B5H9、B5H11、B
6H10、B6H12、B6H14等の水素化硼素、BF3、BCl3、BBr3
等のハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3、G
aCl3、Ga(CH3)2、InCl3、TlCl3等も挙げることができ
る。
第V族原子導入用の出発物質として、具体的には燐原
子導入用としては、PH3、P2H4等の水素化燐、PH4I、P
F3、PF5、PCl3、PCl5、PBr3、PBr5、PI5等のハロゲン化
燐が挙げられる。この他、AsH3、AsF3、AsCl3、AsBr3
AsF5、SbH3、SbF3、SbF5、SbCl3、SbCl5、BiH3、BiC
l3、BiBr5等も第V族原子導入用の出発物質の有効なも
のとして挙げることができる。
例えば酸素原子を含有する層又は層領域を形成するに
は、シリコン原子(Si)を構成原子とする原料ガスと、
酸素原子(O)を構成原子とする原料ガスと、必要に応
じて水素原子(H)又は及びハロゲン原子(X)を構成
原子とする原料ガスとを所望の混合比で混合して使用す
るか、又は、シリコン原子(Si)を構成原子とする原料
ガスと、酸素原子(O)及び水素原子(H)を構成原子
とする原料ガスとを、これも又所望の混合比で混合する
か、或いは、シリコン原子(Si)を構成原子とする原料
ガスと、シリコン原子(Si)、酸素原子(O)及び水素
原子(H)の3つを構成原子とする原料ガスとを混合し
て使用することができる。
又、別には、シリコン原子(Si)と水素原子(H)と
を構成原子とする原料ガスに酸素原子(O)を構成原子
とする原料ガスを混合して使用してもよい。
スパッタリング法によって、酸素原子を含有する層を
形成するには、単結晶又は多結晶のSiウエーハー又はSi
O2ウエーハー、又はSiとSiO2が混合されて含有されてい
るウエーハーをターゲットとして、これ等を種々のガス
雰囲気中でスパッタリングすることによって行えばよ
い。
例えば、Siウエーハーをターゲットとして使用すれ
ば、酸素原子と必要に応じて水素原子又は/及びハロゲ
ン原子を導入する為の原料ガスを、必要に応じて希釈ガ
スで希釈して、スパッター用の堆積室中に導入し、これ
等のガスのガスプラズマを形成して前記Siウエーハーを
スパッタリングすればよい。
又、別には、SiとSiO2とは別々のターゲットとして、
又はSiとSiO2の混合した一枚のターゲットを使用するこ
とによって、スパッター用のガスとしての希釈ガスの雰
囲気中で又は少なくとも水素原子(H)又は/及びハロ
ゲン原子(X)を構成原子として含有するガス雰囲気中
でスパッタリングすることによって成される。酸素原子
導入用の原料ガスとしては、先述したグロー放電の例で
示した原料ガスの中の酸素原子導入用の原料ガスが、ス
パッタリングの場合にも有効なガスとして使用できる。
グロー放電法により本発明の第一の層および第二の層
を形成する場合、a−Si(H,X)に導入する炭素原子、
第III族原子又は第V族原子あるいは酸素原子の含有量
は、堆積室中に流入される出発物質のガス流量、ガス流
量比、放電パワー、支持体温度、堆積室内の圧力等を制
御することによって任意に制御できる。
支持体温度は通常の場合、50℃〜350℃、好適には100
℃〜250℃とするのが望ましいものである。放電パワー
条件は、それぞれの層の機能に考慮をはらって適宜選択
され、具体的には、0.005〜50W/cm2の範囲にするのが通
常である。しかし好ましくは、0.01〜30W/cm2、特に好
ましくは0.01〜20W/cm2の範囲である。また、堆積室内
のガス圧については通常0.01〜1Torr、好適には0.1〜0.
5Torr程度とするのが望ましい。
支持体温度、放電パワーの望ましい数値範囲として前
記した範囲の置が挙げられるが、これらの層作成ファク
ターは、通常は独立的に別々に決められるものではな
く、所望特性のアモルファス層を形成すべく相互的且つ
有機的関連性に基いて、各層作成ファクターの最適値を
決めるのが望ましい。
本発明においては、第一の層の全層領域又は一部の層
領域、あるいは第二の層に含有する炭素原子、酸素原子
あるいは第III族原子又は第V族原子は、該層又は層領
域中に均一に分布させることが必要であるが、このこと
は、各層又は各層領域を形成する際に、上述の諸条件を
一定に保つことによって達成される。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例1乃至14に従って、より詳細に
説明するが、本発明はこれ等によって限定されるもので
はない。
各実施例においては、第一の層および第二の層をグロ
ー放電法を用いて形成した。第5図はグロー放電法によ
る本発明の光受容部材の製造装置である。
図中の202,203,204,205,206のガスボンベには、本発
明の夫々の層を形成するための原料ガスが密封されてお
り、その1例として、たとえば、202はHeで稀釈されたS
iH4ガス(純度99.999%、以下SiH4/Heと略す)ボンベ、
203はHeで稀釈されたPH3ガス(純度99.999%、以下PH3/
Heと略す。)ボンベ、204はHeで稀釈されたSi2H6ガス
(純度99.99%、以下Si2H6/Heと略す。)ボンベ、205は
C2H4ガス(純度99.999%)ボンベ、206はO2ガスボンベ
である。
形成される層中にハロゲン原子を導入する場合には、
SiH4ガス又はSi2H6ガスに代えて、例えば、SiH4ガスを
用いる様にボンベを代えればよい。
これらのガスを反応室201に流入させるにはガスボン
ベ202〜206のバルブ222〜226、リークバルブ235が閉じ
られていることを確認し又、流入バルブ212〜216、流出
バルブ217〜221、補助バルブ232,233が開かれているこ
とを確認して、先ずメインバルブ234を開いて反応室20
1、ガス配管内を排気する。次に真空計236の読みが約5
×10-6torrになった時点で、補助バルブ232、233、流出
バルブ217〜221を閉じる。
基体シリンダー237上に第一の層102を形成する場合の
1例をあげる。ガスボンベ202よりSiH4/Heガス、ガスボ
ンベ203よりPH3/Heガス、ガスボンベ206よりO2ガスの夫
々をバルブ222,223,226を開いて出口圧ゲージ227,228,2
31の圧を1kg/cm2に調整し、流入バルブ212,213,216を徐
々に開けて、マスフロコントーラ207,208,211内に流入
させる。引き続いて流出バルブ217,218,221、補助バル
ブ232,233を徐々に開いてガスを反応室201内に流入させ
る。このときのSiH4/Heガス流量、PH3/Heガス流量、O2
ガス流量の比が所望の値になるように流出バルブ217,21
8,221を調整し、又、反応室201内の圧力が所望の値にな
るように真空計236の読みを見ながらメインバルブ234の
開口を調整する。そして基体シリンダー237の温度が加
熱ヒーター238により50〜400℃の範囲の温度に設定され
ていることを確認された後、電源240を所望の電力に設
定して反応室201内にグロー放電を生起し基体シリンダ
ー237上に先ず、燐と酸素を含有する層領域を形成す
る。
次に、所定の時間経過後PH3/Heガス、あるいはO2ガス
の反応室201内への導入を各対応するガス導入管のバル
ブを閉じて遮断することで、燐を含有する層領域、また
は酸素を含有する層領域の層厚を所望に従って任意に制
御する。
燐又は酸素を含有する層領域が前述のようにして所望
の層厚に形成された後、流出バルブ218又は221を閉じ
て、引き続きグロー放電を所望時間続けることによっ
て、燐又は酸素を含有する層領域上に、燐および酸素を
含有しない層領域が所望の層厚に形成されて、第一の層
の形成が終了する。
第一の層中にハロゲン原子を含有させる場合には上記
のガスにたとえばSiH4/Heを、更に付加して反応室内に
送り込む。
上記の様な操作によって、基体シリンダー237上に形
成された第一の層上に第二の層を形成するには、第一の
層の形成の際と同様なバルブ操作によって、例えば、Si
H4ガス、C2H4ガス、PH3ガスの夫々を、必要に応じてHe
等の希釈ガスで希釈して、所望の流量比で反応室201中
に流し、所望の条件に従って、グロー放電を生起させる
ことによって成される。
夫々の層を形成する際に必要なガスの流出バルブ以外
の流出バルブは全て閉じることは言うまでもなく、又夫
々の層を形成する際、前層の形成に使用したガスが反応
室201内、流出バルブ217〜221から反応室201内に至るガ
ス配管内に残留することを避けるために、必要に応じて
流出バルブ217〜221を閉じ補助バルブ232,233を開いて
メインバルブ234を全開して系内を一旦高真空に排気す
る操作を行う。
又、層形成を行っている間は層形成の均一化を図るた
め基体シリンダー237は、モータ239によって所望される
速度で一定に回転させる。
実施例1 第5図に示した製造装置により、ドラム状アルミニウ
ム基板上に第1表に示す条件で層形成を行った。
こうして得た感光ドラム(電子写真用像形成部材)を
複写装置に設置し、5KVで0.2sec間コロナ帯電を行
い、光像を照射した。光源はタングステンランプを用
い、光量は1.0lux・secとした。潜像は荷電性の現像
剤(トナーとキャリヤを含む)によって現像し、通常の
紙に転写したが、転写画像は、極めて良好なものであっ
た。転写しないで感光ドラム上に残ったトナーは、ゴム
ブレードによってクリーニングし、次の複写工程に移
る。このような工程を繰り返し15万回以上行っても、画
像の劣化は見られなかった。
実施例2〜10 第5図に示した製造装置により、Alシリンダー状基板
上に第2表、第3表、第4表、第5表、第6表、第7
表、第8表、第9表、第11表、第12表に示すそれぞれの
条件で層形成を行った。
その他の条件は実施例1同様にして行った。
こうして得られた各感光ドラムを用いて実施例1と同
様の方法で複写を行ったところ、実施例1と同様の良好
な結果が得られた。
参考例1〜3 第5図に示した製造装置により、Alシリンダー状基板
上に第10表、第13表、第14表に示すそれぞれの条件で層
形成を行った。
その他の条件は実施例1と同様にして行った。
こうして得られた各感光ドラムを用いて実施例1と同
様の方法で複写を行ったところ、実施例1と同様の良好
な結果が得られた。
〔発明の効果の概略〕 本発明の光受容部材はa−Si(H,X)で構成した光受
容層を有するものであって、該光受容部材の層構成を前
述のごとき特定のものとしたことにより、a−Siで構成
した従来の光受容部材における諸問題を全て解決するこ
とができたものである。即ち、本発明の光受容部材は特
に優れた耐湿性、連続繰返し使用特性、電気的耐圧性、
使用環境特性及び耐久性等を有するものであり、また光
感度及び暗抵抗性が向上し、更には、支持体と光受容層
の間および光受容層の各層間の密着性に優れたものであ
る。本発明の光受容部材を電子写真用像形成部材として
適用させた場合には、残留電位の影響が全くなく、その
電気的特性が安定しており、それを用いて得られた画像
は、濃度が高く、ハーフトーンが鮮明に出る等、すぐれ
た極めて秀でたものとなる。
【図面の簡単な説明】 第1〜4図は本発明の光受容部材の層構造を模式的に示
した図であり、第5図は本発明の光受容部材を製造する
ための装置の一例で、グロー放電分解法による製造装置
の模式的説明図である。 100…光受容部材、101…支持体、102…第一の層、10
2′,102″,102…層領域、103…第二の層、104…自由
表面、201…反応室、202〜206…ガスボンベ、207〜211
…マスフロコントローラ、212〜216…流入バルブ、217
〜221…流出バルブ、222〜226…バルブ、227〜231…圧
力調整器、232,233…補助バルブ、234…メインバルブ、
235…リークバルブ、236…真空計、237…基体シリンダ
ー、238…加熱ヒーター、239…モーター、240…高周波
電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03G 5/08 316 G03G 5/08 316

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体と、該支持体上に、シリコン原子を
    母体とし、周期律表第III族または第V族に属する原子
    を含有する層領域を有する非晶質材料で構成された層厚
    1〜100μの第一の層と、シリコン原子を母体とし、炭
    素原子を含有し、更に水素原子または水素原子とハロゲ
    ン原子を該水素原子の含有量あるいは該水素原子と該ハ
    ロゲン原子との含有量の和が1〜40atomic%の量含有
    し、且つ、周期律表第III族または第V族に属する原子
    を層厚方向に均一な分布状態で含有する非晶質材料で構
    成された層厚3×10-3〜30μの第二の層とが支持体側か
    ら順に積層された光受容層を有し、少なくとも前記第一
    の層の前記第二の層と接する一部の領域と前記第二の層
    のいずれか一方に層厚方向に均一な分布状態で酸素原子
    が含有されていることを特徴とする光受容部材。
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