JP2536698B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両等の衝突の際に乗
員を保護するエアバッグ装置に関し、更に詳細に説明す
ると、ベースプレートに固着されたガス発生器と、該ガ
ス発生器よりのガスが流入するガス注入口を有するエア
バッグ本体とを備え、該エアバッグ本体のガス注入口の
周縁部に補強布が縫着され、該補強布を被覆するように
防炎布が取付けられ、前記補強布に吊りベルトが取付け
られたエアバッグ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、車両等の乗員の保護装置とし
てエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置
としては、実開昭６１−１８５６４２号公報、実開昭６
３−１２３３５５号公報、実開平２−７１０５３号公報
及び特開平２−１６９３４４号公報等が存在する。

【０００３】図５に示す如く、インストルメントパネル
やステアリング等の固定側に取付けられたベースプレー
ト１にガス発生器２が固着され、ガス注入口４を有する
エアバッグ本体３がリテーナ５を介してリベット６また
はボルト等により固着され、所定の条件のもとでガス発
生器が作動した場合にガスが瞬間的にエアバッグ本体３
内に流入し、エアバッグ本体３が瞬時に膨出するように
なされている。前記エアバッグ本体３のガス注入口４の
周縁部にはガス発生器２から放出される燃焼ガスの圧力
により大きな引張力が与えられるため、ガス注入口４の
周縁部に補強用の補強布７が取付けられている。また高
温のガスによりガス注入口４の周縁部の縫着部の縫糸が
溶融して破断するのを防止するために、防炎布８がガス
注入口４の周縁部の補強布７を被覆する状態で取付けら
れている。更にエアバッグ本体３が乗員に向かって一方
向に膨出し、乗員の顔面や胸部に衝撃を与えるのを防止
するため、前記補強布７に複数の吊りベルト１０が取付
けられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、従来のエア
バッグ装置においては、前記防炎布８をエアバッグ本体
３側に縫着する縫着部９が前記リテーナ５の内周縁の内
側位置に形成されているだけであった。このためリテー
ナ５のリベット６止めの際に防炎布８がめくれ易く、リ
テーナ５とベースプレート１とで挟持する際に、このめ
くれ上がった防炎布８の外端部を挟み込む虞れを有し、
防炎布８が十分に機能し得ない状態となる欠点を有して
いた。またこのような防炎布８のめくれ上がりは、エア
バッグ本体３にリテーナ５の取付穴を穿設する際に、防
炎布８の取付穴が位置ズレを発生させる虞れを有するも
のであった。このためリテーナ５の取付作業が煩雑で正
確且つ確実な取付状態が得られず、強度低下の虞れを有
するものであった。

【０００５】本発明の目的は、防炎布のめくれ上がりを
防止することができ、リテーナによるエアバッグ本体の
取付作業を簡易迅速に行え、またリテーナにより防炎布
の端部を挟み込む虞れがなく、所望の強度を有するエア
バッグ本体を得ることのできるエアバッグ装置を提供す
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上述せる課題に
鑑みてなされたもので、エアバッグ本体に縫着した補強
布を被覆するように取付けられた防炎布の周縁部に切り
込みを形成し、この補強布の周縁部に縫着した吊りベル
トを前記切り込みに挿入したことを特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明に依れば、補強布の周縁部に縫着した吊
りベルトを防炎布の周縁部に形成した切り込みに挿入し
たので、吊りベルトにより防炎布の周縁部が引っ張られ
た状態で押さえられ、防炎布がめくれ上がるのを防止で
きる。またこれにより、リテーナの取付時に防炎布の端
部を挟み込む虞れがなく、更に防炎布の取付穴に位置ズ
レが生ずる虞れもない。

【０００８】

【実施例】以下本発明に係るエアバッグ装置を図面を参
照して詳述する。図１乃至図３には本発明に係るエアバ
ッグ装置の一実施例の概略が夫々示されており、エアバ
ッグ装置１１はベースプレート１３の取付けられる固定
側をインストルメントパネル側またはステアリング側と
することができ、更にドアー側やシート等適宜の位置に
取付けられる。図１に示す如く、エアバッグ装置１１は
図５に示すと同様に、ベースプレート１３にボルト，ナ
ット等の固着手段により固定されたガス発生器１２と、
このガス発生器１２よりのガスが流入するガス注入口１
５を有するエアバッグ本体１４とを備えている。尚、こ
のエアバッグ本体１４は折り畳んだ状態で図示しないカ
バー部材により被覆されるものである。

【０００９】エアバッグ本体１４の内面側及び外面側に
は夫々補強布１７，１８が縫着されている。前記内面側
の補強布１７は前後２枚のキャッチクロス１７ａ，１７
ｂからなり、このキャッチクロス１７ａ，１７ｂ間に吊
りベルト２０の端部が挿入され、縫着されている。尚１
枚のキャッチクロスにより補強布１７を構成しても良
い。また外面側の補強布１８は、内面側の補強布１７よ
り大きく形成され、この外面側の補強布の１８の外周縁
がエアバッグ本体１４に単独で縫着されている。尚、内
面側及び外面側の補強布１７，１８の大きさを上述の構
成と逆にすることもでき、また同じ大きさとすることも
できる。

【００１０】前記内面側の補強布１７には防炎布２５が
積層され、該内面側の補強布１７を被覆する状態で縫着
されている。この防炎布２５は、図２に示す如く、周縁
部２５ａが前記吊りベルト２０の数（本実施例では４
本）に合わせて四方に延設され、夫々の先端部に切り込
み２７が形成されている。この切り込み２７は、防炎布
２５の延設された周縁部２５ａの幅方向に沿って形成さ
れ、吊りベルト２０の幅と略同一か又はやや大きく形成
されている。

【００１１】斯る構成において、図３に拡大して示す様
に、前記内面側の補強布１７を構成する２枚のキャッチ
クロス１７ａ，１７ｂの間に吊りベルト２０の端部が挿
入されて縫着され、防炎布２５の周縁部２５ａの切り込
み２７に吊りベルト２０が挿入されることにより、防炎
布２５の周縁部２５ａが吊りベルト２０により引っ張ら
れた状態で押さえられ、リテーナ２１を取付ける際に防
炎布２５の外端部を挟み込む虞れがない。また吊りベル
ト２０の縫着部が防炎布２５で被覆されることとなり、
縫製糸が高温のガス等により溶融する虞れがない。

【００１２】尚本発明は、上述の実施例構造に限定され
るものではなく、例えば図４に示す如く、切り込み２７
を防炎布２５の周縁部２５ａのいずれかの側端部を切り
欠いて形成することもできる。斯る構成においては、吊
りベルト２０を前面側の補強布１７に縫着する前に横に
スライドさせるだけで防炎布２５の周縁部２５ａを押さ
えることができる。また単に幅方向のスリットを設けて
切り込み２７とすることもできる。更に、上述の実施例
では防炎布２５の周縁部２５ａの四方のみを延設した
が、防炎布２５全体を大きく形成し、周縁部２５ａの適
宜の位置に切り込み２７を形成しても良いものである。

【００１３】

【発明の効果】以上が本発明に係るエアバッグ装置の一
実施例の構成であるが、斯る構成に依れば、防炎布の周
縁部に形成した切り込みに補強布の周縁部に縫着した吊
りベルトを挿入したので、吊りベルトにより防炎布の周
縁部が引っ張られた状態で押さえられ、防炎布がめくれ
上がるのを有効に防止でき、安全性を著しく向上させる
ことができる。またリテーナの取付け時に防炎布の端部
を挟み込む虞れがなく、更に防炎布の取付穴に位置ズレ
が生ずる虞れのないエアバッグ装置を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示すエアバッグ装置の一部
断面図。

【図２】同、概略平面図。

【図３】同、要部拡大斜視図。

【図４】切り込みの変形例を示す要部拡大斜視図。

【図５】従来のエアバッグ装置の断面図。

【符号の説明】

１１ エアバッグ装置 １２ ガス発生器 １３ ベースプレート １４ エアバッグ本体 １７ 補強布 １８ 補強布 ２０ 吊りベルト ２５ 防炎布 ２５ａ 周縁部 ２７ 切り込み

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベースプレートに固着されたガス発生器
   と、該ガス発生器よりのガスが流入するガス注入口を有
   するエアバッグ本体とを備え、該エアバッグ本体のガス
   注入口の周縁部に補強布が縫着され、該補強布を被覆す
   るように防炎布が取付けられ、前記補強布に吊りベルト
   が取付けられたエアバッグ装置において、前記防炎布の
   周縁部に切り込みが形成され、前記補強布の周縁部に縫
   着された吊りベルトが前記切り込みに挿入されているこ
   とを特徴とするエアバッグ装置。