JP2536019B2 - X線マイクロアナライザによる分析方法 - Google Patents

X線マイクロアナライザによる分析方法

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JP2536019B2 JP63035688A JP3568888A JP2536019B2 JP 2536019 B2 JP2536019 B2 JP 2536019B2 JP 63035688 A JP63035688 A JP 63035688A JP 3568888 A JP3568888 A JP 3568888A JP 2536019 B2 JP2536019 B2 JP 2536019B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (イ)産業上の利用分野 本発明は、X線マイクロアナライザを用いた分析方法
に関する。
(ロ)従来技術とその問題点 X線マイクロアナライザ(EPMA)を使用した試料の線
分析、面分析、定量分析等においては、試料で得られた
分析対象元素のKα、Kβ、Lα、Lβ等の特性X線か
ら一つの特性X線を選定し、選定したその特性X線のX
線強度を測定して、これを元素濃度に換算している。
この場合、測定条件が安定し、かつ、試料が十分なバ
ルク状態をしているならば、一つの特性X線で測定した
X線強度の値のみをもって元素濃度に換算することは特
に問題はない。しかし、試料表面が傾斜しているなど水
平でなく、X線の発生位置が相対的にずれる場合や、試
料が薄膜多層構造のような場合には、各特性X線によっ
てそのX線強度が異なる。たとえば、第3図に示すよう
に、Kα、Lα等の波長によって試料の焦点位置Z0から
の変位量に伴うX線強度の測定値IK/I0K、IL/I
0L(I0K、I0Lはそれぞれ標準試料のKα線、Lα線の強
度)の変化率が異なり、また、第4図に示すように、試
料が薄膜多層構造の場合には、Kα、Lα等の特性X線
の種類によってX線発生領域や検出領域が異なるため、
検出領域I、IIの深さが異なってくる。したがって、こ
れらを考慮に入れることなく無条件で単一の特性X線の
X線強度のみ測定してこれを濃度に換算することは誤っ
た分析結果を得ることになって好ましくない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであ
って、測定したX線強度を濃度換算することが可能か否
かを確実に判断できるようにして、常に精度良い分析結
果が得られるようにすることを目的とする。
(ハ)問題点を解決するための手段 本発明は、上記の目的を達成するために、次の構成を
採る。
すなわち、本発明のX線マイクロアナライザによる分
析方法は、同一元素についてX線分光器で分光されたK
α線、Kβ線、Lα、Lβ、Mα、Mβ線の内の少なく
とも2つの特性X線から測定したX線強度に基づいてX
線強度比を算出し、その算出結果を予め設定された許容
値と比較してその大小に基づいて濃度換算が可能か否か
を判断することに特徴を有している。
(ニ)作用 上記構成によれば、測定したX線強度に基づいて算出
したX線強度比と予め設定された許容値とを比較して濃
度換算が可能か否かを判断しているので、測定したX線
強度をそのまま濃度換算することが可能か否かを確実に
判断することができる。
(ホ)実施例 第1図は本発明の分析方法を採用したX線マイクロア
ナライザの要部ブロック図である。同図において、符号
1はX線マイクロアナライザの全体を示し、2は電子
銃、4は収束レンズ、6は走査コイル、8は対物レン
ズ、10は試料、12a、12bは第1、第2分光器である。
また、14は同一元素について第1、第2X線分光器12
a、12bでそれぞれ分光された2波長の特性X線の強度を
測定する測定部、16は測定部14で測定された両波長のX
線強度に基づいて両者の比を算出する強度比算出部、18
は強度比算出部の算出結果を予め設定された許容値と比
較してその大小を示す判別信号を出力する判別部、20は
判別部18の判別信号に基づいてデータ処理する処理部で
ある。
上記構成において、電子銃2から放射された電子ビー
ムは収束レンズ4と対物レンズ8によって試料10の測定
点を照射し、走査コイル6により該試料10上を走査され
る。これにより、試料10からは波長の異なるKα、Lα
等の各特性X線が放出される。
一方、この実施例では、第1分光器12aはKα線、第
2分光器はLα線を検出できるように予め設定される。
したがって、試料10から放出された特性X線の内、Kα
線が第1分光器12aで、また、Lα線が第2分光器12bで
それぞれ分光される。そして、第1、第2分光器12a、1
2bで分光されたKα線、Lα線の各特性X線の強度IK
ILが測定部14で測定される。それらの各測定値IK、I
Lは、次のX線強度比算出部16に送出され、ここで両者
のX線強度比Fが算出される。すなわち、 F=(IL/I0L)/(IK/I0K) (ここに、I0K、I0Lは標準試料のKα線、Lα線の強
度)が算出される。そして、この算出結果Fが次段の判
定部18に送出される。判別部18は、X線強度比Fと予め
設定された許容値1±Δ(Δは試料に応じて設定される
許容幅)と比較する。X線強度比Fが許容値の範囲内、
すなわち、 1−Δ≦F≦1+Δ の場合には、X線強度の変化は波長Kα、Lαに依存し
ないので、濃度換算が可能であることを示す第1判別信
号を出力する。また、強度比Fが上記の許容範囲を越え
ていてる場合には、X線強度の変化が波長Kα、Lαに
依存するので、濃度換算が正確でないことを示す第2判
別信号を出力する。
処理部20は、第1判別信号が入力された場合には、濃
度換算をそのまま実行する。また、第2判別信号が入力
された場合には、濃度換算を実行するとともに、各波長
によって強度比が異なる旨を記載するためのコメント信
号を出力する。したがって、X線強度の測定結果をプリ
ンタに出力した場合、X線強度比が許容範囲を越えてい
る場合にはその旨がコメントされる。また、コンテント
マッピング表示を行う場合には、第2図に示すように、
濃度表示色とは別の色(たとえば灰色等)を用いて濃度
換算が正確でないことを示すことができる。
したがって、測定結果を見ればX線強度の濃度換算値
が正確なものか否かを確実に判断することができる。
なお、この実施例では、2つのX線分光器12a、12bを
使用したが、単一のX線分光器を使用して上記の処理を
行うことも可能である。また、2波長でなくそれよりも
多い波長について、上記の処理を行うことも可能であ
る。
(ヘ)効果 本発明によれば、測定したX線強度に基づいて濃度換
算が可能か否かを確実に判断できるので、常に精度良い
分析結果が得られるようになる等の優れた効果が発揮さ
れる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示すもので、第1図はX線マイ
クロアナライザの要部ブロック図、第2図はコンテント
マッピングの表示において判別信号に基づく表示を示す
説明図、第3図は試料の焦点位置からの変位量とこれに
伴う各波長のX線強度の測定値との関係を正規化して示
す特性図、第4図は多薄膜層構造試料に対する特性X線
の各波長の検出領域の違いを示す説明図である。 1……X線マイクロアナライザ、10……試料、12a、12b
……第1、第2分光器、14……測定部、16……強度比算
出部、18……判別部。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同一元素についてX線分光器で分光された
    Kα線、Kβ線、Lα、Lβ、Mα、Mβ線の内の少な
    くとも2つの特性X線から測定したX線強度に基づいて
    X線強度比を算出し、その算出結果を予め設定された許
    容値と比較してその大小に基づいて濃度換算が可能か否
    かを判断することを特徴とするX線マイクロアナライザ
    による分析方法。
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