JP2535672B2 - 高精細サポ―ト層付エラストマ―コネクタ―の製造方法 - Google Patents

高精細サポ―ト層付エラストマ―コネクタ―の製造方法

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孝治 西沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サポート層付エラス
マーコネクターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエラストマーコネクターの製造方
では、導電性と絶縁性の未硬化のエラストマーを交互
多重に所定ピッチで積層したいわゆるS型層の2種類の
エラストマーが露出している面に、未硬化のサポート層
接着剤を介さずして直接プレス成形により加硫接着さ
せている。この2種類のエラストマーは通常絶縁性エラ
ストマーとこれに導電性付与剤を添加した導電性エラス
トマーとから構成されているため、この面は縞模様面
(以下、単にゼブラ面という)となっている
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この場合、S型層に接
着の際のプレスによって生じた歪により積層された各層
の直線性に乱れを起すいわゆるスキュー収率不良を生じ
たり、成形時のプレスによって生じた歪によりS型層
が蛇行したりした。このためS型層を低ピッチ化例えば
5〜500μm特には30〜100μmとして、高分解
能0.1〜0.6mm特には0.3〜0.5mmのエラ
ストマーコネクターを達成しようとしても、このスキュ
ー収率不良が妨げとなって高精細のサポート層付エラス
トマーコネ クターは実現できなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はかゝる従来の課
題を解決するもので、本発明の高精細サポート層付エラ
ストマーコネクターの製造方法は、導電性エラストマー
層と絶縁性エラストマー層とを交互多重にその積層ピッ
チが5〜500μmとなるように積層してなるエラスト
マー状態のS型層を、前記2種類のエラストマーが露出
している表面で、保持板に担持されたエラストマー状態
のサポート層と接着圧力100g/cm 以下の面圧で
接着したのち、保持板のみを剥離することを特徴とす
【0005】すなわち本発明は、それぞれ未硬化のS型
サポート層とを接着剤層を介さずしてプレス成形し
て加硫と同時に接着する代わりに、S型層のゼブラ面と
サポート層をともにエラストマー状態(硬化済の状態)
とした後にこれらの間に接着層を設け、その際の接着圧
力及びサポート層の片伸びを防止すべく種々検討してこ
の課題を解決してなるものである。以下、本発明におけ
S型層、接着層、サポート層および接着方法について
図面に基づき順次説明する。
【0006】(1) S型層 図1、2に示すように、導電性エラストマー層1と絶縁
性エラストマー層2交互に多重積層してなるエラス
トマー状態のS型層3を形成する。導電性エラストマー
層としては、シリコーンゴムにカーボンブラック及びシ
リカフィラーを配した体積固有抵抗値が6Ω・cm以下
導電性エラストマーが特によい。絶縁性エラストマー
としては、シリコーンゴムとシリカフィラーからなる
縁性エラストマーが特によいが、ポリウレタン、ニトリ
ルゴムや熱可塑性エラストマーも用いられる。
【0007】(2) 接着層 材料としては縮合型のシリコーンR.T.V.、シリコ
ーン接着ワニス、アク リル系接着剤(粘着剤)等公知の
接着剤、粘着剤を使用できるが、本発明のエラストマー
コネクターの製造方法にはシリコーン付加型接着剤が適
しており、組成としてオルガノハイドロジェンポリシ
ロキサン中のSi原子結合水素原子と1分子中に少な
くとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキ
サン中のSi原子結合アルケニル基のモル比が0.8
/1〜6/1の範囲内にあるものが低温で反応時間が短
く、さらに副反応生成物がなく硬化後の収縮も殆どない
ので好ましい。特に接着強度を高めたい場合は、モル比
を6/110/1の範囲内のものを使用するのがよ
【0008】一般的にロール塗り、スプレー、はけ塗り
等公知の方法で塗布するが、S型層の表面(ゼブラ面)
には30μm程度の凹凸があるため、接着層は5〜10
μmの厚みを必要とし、作業性を考慮すると20〜40
μmの厚みがよい。被塗布物が均一体でないS型層の場
合はスクリーン印刷がとくによい。接着層の塗布面はS
型層のゼブラ面でもサポート層でもどちらでもよいが
型層の歪を特に避けたい場合はサポート層に塗布す
る。
【0009】(3) サポート層サポート層は、 スポンジまたはソリッドのエラストマー
状態(硬化済)のものを使用し、特に圧縮永久歪特性に
優れたシリコーンゴム系がよいが、熱可塑性エラストマ
ーも使用できる。サポート層の厚みは、0.1〜20.
0mm、特に1.0〜5.0mmが好ましく、またサポ
ート層は多層構造のものでもよい。接着層の塗布時およ
びS型層との接着時のサポート層の歪を考慮すると、
ポート層は接着される面の反対側面を金属板、プラスチ
ック板、スチールベルト、プラスチックベルト、金属フ
ィルム、プラスチックフィルム等のように、接着面と平
行の方向に変形しにくく、S型層とサポート層の接着後
サポート層から離し易い保持板で保持する必要があ
が、特に0.03〜0.1mm厚さのポリエステルフ
ィルムで片面を保持されているサポート層が作業性、
離性に優れている。
【0010】(4) 接着方法 接着層を塗布したS型層とサポート層の貼り合せおよび
接着にあたっては圧力を加えることを極力避けるのがよ
い。100g/cm を超える圧力を加えるとS型層が
変形するので、特に10g/cm以下の圧力で接着す
ることが望ましい。またS型層とサポート層の貼り合せ
は真空状態(10−1torr以下)で実施すること
が、エアの巻き込み、変形を防ぐうえで望ましいが、作
業性を考慮すると貼り合せ後に真空状態下でエア抜きを
行なってもよい。この場合には10−1torr以下の
真空中で、10g/cm以下の面圧を加えてエア抜き
を実施するのがよい。貼り合せ後常圧〜100g/cm
以下好ましくは常圧〜10g/cm 以下の圧力、
50℃以下の加熱下(サポート層が熱可塑性エラストマ
ーからなる場合には、当然のことながら熱可塑性エラス
トマーの柔軟温度以下とする必要がある)で接着層を硬
化させるのがよい
【0011】
【実施例】(1)サポート層の作製 KE1978A/B信越化学工業(株)製商品名
(硬度20゜H)を使用し、縦350mm、横300m
m、厚さ0.97mmのエラストマーゴム板をつくり、
片面を0.1mm厚さのポリエステルフィルムからなる
保持板で保持した。
【0012】(2)サポート層への接着剤塗布 KE1800TA・TB信越化学工業(株)製商品
を原料とする接着剤を、ミノマット600W印刷機
(株)ミノグループ社製を使用し、スクリーン印刷
によりサポート層のポリエステルフィルムで保持してい
ない側の面(縦350mm、横300mm)に30μm
の厚さに塗布した。このときスクリーンは150メッシ
ュのステンレス製を使用した。ポットライフを長く保つ
場合には、KE1800TA・TBにX−93−500
信越化学工業(株)製商品名を0.2部添加する。
【0013】(3)サポート層とS型層の貼り合せ接着 ピッチ0.1mm、縦290mm、横340mm、厚さ
0.3mmのS型層のゼブラ面(信越ポリマー(株)
に、接着剤を塗布したサポート層を上下方向から貼
り合せ、10−1torrの真空状態下、10g/cm
の面圧下でエア抜きを行い、つづいて面圧10g/c
、100℃の条件下で70秒間加圧し、接着層を硬
化させた。
【0014】(4)二次加硫、製品寸法カット サポート層を保持していたポリエステルフィルムをはぎ
取り、225℃、2時間の二次加硫を行い、所定の寸法
にカットし、接着層を有するピッチ0.1mm、長さ2
00mm、高さ5mm、幅2.3mmのサポート層付
ラストマーコネクターを得た
【0015】[比較例] 比較例として接着層のないサポート層付エラストマーコ
ネクター(比較例1)と、保持板を用いないサポート層
付エラストマーコネクター(比較例2)の製造方法を以
下に示す。(比較例1) (1)サポート層 X−30−1160Bu信越化学工業(株)製商品
またはDY32−767u東レ・ダウコーニング
・シリコーン(株)製商品名(どちらも硬化後のソリ
ッド硬度20°H)にパーオキサイドタイプ加硫剤C−
信越化学工業(株)製商品名を、2.0部添加し
て混練する。これを幅300mm、厚さ0.1mmのポ
リエステルフィルム上にカレンダーロールを用いて未硬
化状態で厚さ1.0mmにシーティングし、縦300m
m、横350mmの大きさにカッティングし未硬化のサ
ポート層を得る
【0016】(2)サポート層とS型層の貼り合わせ接
着 ピッチ0.1mm、縦290mm、横340mm、厚さ
0.3mmの未硬化S型層のゼブラ面(信越ポリマー
(株)製に、サポート層を上下方向から貼り合わせ
る。これを300mm×350mm×2.3mmのキャ
ビティー寸法の金型にセットして、200℃、2min
の条件で、サポート層の硬化およびS型層とサポート層
硬化接着を行う。
【0017】(3)二次加硫、製品寸法カット サポート層を保持していたポリエステルフィルムをはぎ
取り、225℃で2時間の二次加硫を行い、所定の寸法
にカットしてピッチ0.1mm、長さ200mm、高さ
5mm、幅2.3mmのサポート層付エラストマーコネ
クターを得た。(比較例2) サポート層をポリエステルフィルムからなる保持板で保
持しなかつた他は、前記実施例と同様にしてエラストマ
ーコネクターを得た 。上記実施例、比較例1、2におけ
るスキュー収率、ゼブラ蛇行収率をサンプル数100に
対して求め表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】[スキュー収率の測定方法] 所定寸法のカットが導電性エラストマー層に沿って正し
く行われたときは、図3(a)に示すように、導電層は
傾斜しない。しかし斜めにカットされたときは、(b)
に示すように、導電層が傾斜してカット面に現われるの
で、寸法T1、T2 を計測し、式1にしたがってθを
算出する。θが1.0°以上をNGとし、良品率を10
0分率で示したのがスキュー収率である。
【0020】
【式1】
【0021】[ゼブラ蛇行収率の測定方法] 図4に示すように、シートの蛇行幅Wを光学顕微鏡で測
定し、0.15mm以上をNGとし、良品率を100分
率で示したのがゼブラ蛇行収率である。比較例1では、
S型層が未硬化のものであるために加硫時に流れやすく
変形してしまうためスキュー収率が悪く、他方ゼブラ蛇
行はS型層、サポート層がともに未硬化のものであるた
めに加圧抗力がともによく似ているため曲がりが生じな
いものと思われる比較例2では、S型層、サポート層
とも硬化済(エラストマー体)であるために互いに反撥
しあいサポート層が片伸びし、蛇行が比較例1に比べて
大きなものとなり、他方スキュー収率については比較例
1よりも良くなっている。
【0022】
【発明の効果】上記実施例のようにS型層とサポート層
を硬化済のものとし、これらの間に接着層を設け、サ
ポート層の片伸びを防ぐために保持板で保持して所定の
面圧で接着し、その後保持板を剥離することにより、
形時にスキュー収率不良、S型層の蛇行を生じることが
い。従って本発明の製造方法を採用することによっ
、きわめて高い分解能0.1〜0.6mmをもつ高精
細のサポート層付エラスト マーコネクターが得られる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によつて得られるエラストマーコネクタ
ーの斜視図である。
【図2】図1に示すエラストマーコネクターの部分拡大
平面図である。
【図3】スキュー収率測定方法の説明図で、(a)は収
率100の場合、(b)は収率100以下の場合であ
る。
【図4】ゼブラ蛇行収率測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 導電性エラストマー層、2 絶縁性エラストマー
層、3 S型層、4 接着層、5 サポート層。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性エラストマー層絶縁性エラスト
    マー層とを交互多重にその積層ピッチが5〜500μm
    となるように積層してなるエラストマー状態のS型層
    を、前記2種類のエラストマーが露出している表面で、
    保持板に担持されたエラストマー状態のサポート層と接
    着圧力100g/cm 以下の面圧で接着したのち、保
    持板のみを剥離することを特徴とする高精細サポート層
    付エラストマーコネクターの製造方法
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