JP2535373B2 - 特殊アクリル系繊維およびその繊維製品の製造法 - Google Patents

特殊アクリル系繊維およびその繊維製品の製造法

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JP2535373B2 JP63057625A JP5762588A JP2535373B2 JP 2535373 B2 JP2535373 B2 JP 2535373B2 JP 63057625 A JP63057625 A JP 63057625A JP 5762588 A JP5762588 A JP 5762588A JP 2535373 B2 JP2535373 B2 JP 2535373B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は特殊アクリル系繊維およびその繊維製品の製
造法、特にアクリル系重合体(以下、重合体をポリマと
いう)の多層化構造に基づく極細繊維化に関するもので
ある。
[従来の技術] 従来、極細繊維の製法は種々知られているが、ポリエ
チレン,ポリスチレン,ポリエステル系,ポリアミド系
などを代表とする熱可塑性ポリマの溶融特性を応用した
極細繊維が多い。
例えば、特開昭54-93115号公報および特開昭57-11275
号公報には高分子相互配列体繊維溶解法,所謂,海−島
型繊維と称される溶解法において、海成分にポリスチレ
ン,島成分にポリエステル系を用いた複合繊維とし、そ
の海成分を溶解して残存成分の極細繊維を得る方法が示
されている。
一方、アクリル系繊維においては、前記の高分子相互
配列体繊維溶解法が採用できず、貼合せ型(サイドバイ
サイド型)複合繊維の片成分にアクリルポリマと親和性
を有するポリマを配して繊維化し、それをアルカリにて
溶解除去することにより細デニール化する方法が知られ
ている。例えば、特公昭48-9386号公報にはサイドバイ
サイド型複合繊維の片成分にアルカリ易溶解のアクリル
ポリマを配して、繊維化後に該アルカリ易溶解のポリマ
成分を溶解して細デニール化する方法が記載されてい
る。
[発明が解決しようとする課題] しかし、前記海−島型の結晶性繊維においては、繊度
の安定した極細繊維が容易に得られる反面、ポリマが限
定されるという問題点を有していた。即ち、熱可塑性ポ
リマの溶融特性を異にしたポリマに限定されること、ま
た特殊口金を必要とするため多ホール化が困難となりコ
スト的に不利なこと等である。
一方、アクリル系ポリマに採用されているサイドバイ
サイド型複合繊維溶解法においては、繊維が貼合せ型
(2層構造)であるため極細化が困難であり、あえて極
細化したとしても非常に効率が悪くなる。またこれらは
特殊口金を必要とし,従って,紡糸性の低下をきたす問
題、さらにサイドバイサイド型の複合構造は複合ポリマ
間の収縮性に顕著な差異が生じ、このことが繊維の収縮
・膨潤化と共に微細な捲縮が増大してソフトな風合とは
言い難い問題などがある。
本発明者らは、極細繊維における上記問題点を解消す
べく鋭意研究中のところ、本発明者らの先の提案に係る
アクリル系繊維の多層化複合技術(特願昭62-170742
号)を巧みに応用することで極細繊維の前記問題点が一
挙に解決できることを見出し、本発明に至ったのであ
る。
すなわち、本発明の課題は紡糸性が良好で,特殊口金
を必要としない極細繊維を効率良く得て、しかも一層の
ソフトな風合と嵩高性を有するアクリル系極細繊維およ
び該繊維製品の製造法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の上記目的は、 (1)カルボン酸基含有アクリル系重合体と他のアクリ
ル系重合体とからなる2種以上のアクリル系重合体の紡
糸原液を多層化装置にて下記式に示す単糸中理論層数を
3〜40とするよう層分割したのち紡糸し、得られたアク
リル系多層複合繊維をアルカリ溶液にて膨潤化処理する
とともに捲縮を発現させ、しかる後該嵩高膨潤化繊維の
カルボン酸基含有重合体成分の一部もしくは全部を溶解
除去することを特徴とする特殊アクリル系繊維の製造
法。
上式中、Kは紡糸口金の外郭形態により定まる定数で
ある。
(2)カルボン酸基含有アクリル系重合体と他のアクリ
ル系重合体とからなる2種以上のアクリル系重合体の紡
糸原液を多層化装置にて下記式に示す単糸中理論層数を
3〜40とするよう層分割したのち紡糸し、得られたアク
リル系多層複合繊維を用いて、もしくは該アクリル系多
層複合繊維と他種繊維とを混用して繊維製品となし、次
に該繊維製品をアルカリ溶液にて膨潤化処理するととも
に捲縮を発現させ、しかる後該嵩高膨潤化繊維製品のカ
ルボン酸基含有重合体成分の一部もしくは全部を溶解除
去することを特徴とする特殊アクリル系繊維製品の製造
法。
上式中、Kは紡糸口金の外郭形態により定まる定数で
ある。
によって達成することができる。
すなわち、本発明方法におけるカルボン酸基含有アク
リル系ポリマとは、アクリロニトリルとカルボン酸基含
有ビニルモノマを主体とするアクリル系ポリマである。
この場合のカルボン酸基含有ビニルモノマとしては、
アクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,マレイン酸,
クロトン酸,ブテントリカルボン酸等を例示できるが、
特にアクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸を一種以上
用いるのが好ましい。
該カルボン酸基含有ビニルモノマの共重合量はカルボ
ン酸基含有アクリル系ポリマ中のカルボン酸基含有量が
0.3mmol/g以上、好ましくは0.4〜3mmol/g,さらに好まし
くは0.5〜2.0mmol/gとなる範囲、換言すれば,全モノマ
ーに対し約1〜17モル%,特に3〜12モル%の共重合量
範囲が望ましい。
この共重合量が1モル%未満であると,繊維中,カル
ボン酸基含有アクリル系ポリマ層の溶解に長時間を要し
たり,不充分であるなど、溶解が困難となり、好ましく
ない。一方、17モル%を越えると,紡糸性の低下を生じ
たり,特に布帛化したのちアルカリ中で収縮膨潤化する
際,前記カルボン酸基含有アクリル系ポリマ層が剥離し
て充分な嵩高性あるいは織クリンプが得難い傾向があ
り、好ましくない。
また上記カルボン酸基含有アクリル系ポリマの共重合
成分には、前記カルボン酸基含有ビニルモノマ以外に,
例えば,アクリル酸,メタクリル酸の低級アルキルエス
テル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニ
ル、塩化ビニル、スチレン、塩化ビニリデン等のビニル
系化合物、ビニルスルホン酸,アリルスルホン酸,メタ
リルスルホン酸,p−スチレンスルホン酸等の不飽和スル
ホン酸およびそれらの塩類などの酸性モノマ類の同種ま
たは異種を用いることができる。
一方、カルボン酸基含有アクリル系ポリマ以外のアク
リル系ポリマとしては、公知の繊維形成性を有するアク
リル系ポリマ、即ち,30モル%以上のアクリロニトリル
(以下、ANと略称)を含有するモダクリル系ポリマや、
80モル%以上のANを含有するアクリル系ポリマおよびそ
れらのコポリマである。
すなわち、前記カルボン酸基含有アクリル系ポリマと
カルボン酸基非含有アクリル系ポリマ各々の共重合率差
を制御することによって、後述するアルカリ処理工程に
おいて繊維の収縮膨潤化に差異が生じ捲縮化がコントロ
ールできるのである。
なお、ここでいうカルボン酸基非含有アクリル系ポリ
マには、0.1mmol/g以下の少量のカルボン酸基を共重合
したポリマを含むことは許される。
また前記カルボン酸基含有アクリル系ポリマとカルボ
ン酸基非含有アクリル系ポリマとの配合比率は、カルボ
ン酸基含有アクリル系ポリマ/カルボン酸基非含有アク
リル系ポリマとして約70/30〜30/70の範囲が望ましい。
この範囲外では2成分原液がブレンドされて繊維繊度変
動率が好適範囲からはずれ,風合を損ねる傾向があるた
め、好ましくない。
上記カルボン酸基含有アクリル系ポリマおよびそれ以
外のアクリル系ポリマは、それぞれジメチルホルムアミ
ド,ジメチルアセトアミド,ジメチルスルホキシド(以
下、DMSOと略称)などや、ロダンリチウム,ロダンカリ
ウム,ロダンナトリウムなどのアルカリ金属のロダン
塩、ロダンアンモン、塩化亜鉛,過塩素酸塩などの有機
溶剤や無機溶剤に適宜溶解し、ポリマ濃度が約10〜35重
量%,好ましくは10〜25重量%の紡糸原液を調製する。
これらの紡糸原液は多層化装置に供給して層分割し、
しかる後,単一紡糸口金孔から凝固浴中に吐出する湿
式、あるいは該紡糸口金孔から一旦空気または不活性雰
囲気中に吐出した後,凝固浴に導入する乾湿式紡糸法な
どによって繊維化される。
第1図は本発明方法における紡糸浴周りの工程要件を
説明するためのフローシートである。
図中,A,Bは多層化ポリマの紡糸原液、1は多層化ポリ
マの紡糸原液を個別に流入させるための案内装置、2は
多層化装置、3はフィルター、4は紡糸口金、5は凝固
浴である。
この製糸段階で特に留意すべきことは、先ず多層化ポ
リマの紡糸原液を該多層化装置によって十分,かつ安定
に層分割し、一度形成させた多層化状態を紡糸口金孔に
至るまで安定に維持し、ここで繊維を目的の多層化構造
とすることである。
すなわち、本発明において多層化構造とは、カルボン
酸基含有アクリル系ポリマとそれ以外のアクリル系ポリ
マとからなる二種以上の成分ポリマを繊維軸の長手方向
に沿って連続的に積層させ、その際,成分ポリマの層数
が3層以上,好ましくは4〜30層、さらに好ましくは5
〜20層とすることを意味する。
このような多層化構造とするために本発明方法におい
ては、多層化装置内で単糸中理論層数が3〜40、好まし
くは5〜20の範囲に層分割した後、単一紡糸口金へ導入
する必要がある。
この単糸中理論層数が3未満では、溶解後のアクリル
系極細繊維としての単繊維繊度や繊度変動率が好適な範
囲,即ち,単繊維繊度が約0.01〜3デニール,好ましく
は0.1〜1デニール,繊度変動率が約40%以上,好まし
くは50〜150%の範囲に保持できないため,その繊維製
品はソフトな風合や嵩高感に欠けたものしか得られな
い。このような好適な単繊維繊度および繊度変動率をと
ることによって、繊維製品はソフトでかつ特殊風合のも
のが得られる。
なお、単糸中理論層数が40を越えると超極細化による
弱糸あるいは機械的強度不足や毛玉などの問題が生じ易
い。ここでいう単糸中理論層数とは、紡糸口金の紡糸孔
当りの統計的平均流入原液層数を表わし、完全層流域で
は理論的に単繊維中に入り得ると考えられる層数の理論
値で,次式により求めることができる。
上式中、Kは紡糸口金の外郭形態により定まる定数で
あり、方形状口金ではKの値は1であり、円形状の口金
ではKの値は1.1になる。
この単糸中理論層数は、多層化装置内の構造、即ち,
多層化エレメントの積層段数と配列,ねじり羽根のねじ
り角度,通路管数、並びに紡糸口金のホール数などで適
宜制御すればよい。
次に、多層化ポリマの紡糸原液を多層化装置に供給す
るに際しては、多層化させる紡糸原液を一旦合流した後
に、多層化装置へ供給するのではなく、多層化させる各
紡糸原液が互いに混合されないよう,第1図に示すよう
に多層化装置の流入口に設けた原液案内装置(流入口)
にて個別に流入させることが望ましい。このような紡糸
原液の流入手段は、単に多層化エレメントを1個減少さ
せた効果とは全く異なり、多層化装置内での多層化を確
実かつ安定に行なわせるのである。
さらに該多層化装置は第2図に示すように多層化エレ
メントのピッチ(L/D)を0.8〜2.5,特に1.4〜2.0の範囲
内とするのが望ましい。このピッチが0.8〜2.5から外れ
ると該多層化装置内で多層化された紡糸原液の流線が乱
れて,多層化状態が不安定になり勝ちとなる。
ここに用いる多層化装置には、例えば,東レ(株)製
の“ハイミキサー”、ノリタケ(株)製の“スタティッ
クミキサー”、桜製作所(株)製の“スケヤミキサ
ー”、特殊化工機械(株)製の“ロスISGミキサー”な
どを挙げることができる。
これらの多層化装置の中でも構成エレメントが複雑で
なく、紡糸原液の流動抵抗が比較的小さく、しかも紡糸
原液流路における有効断面積の変化が少ない、換言すれ
ば,装置内で紡糸原液の異常滞留が生じ難い“スタティ
ックミキサー",“スケヤミキサー”が好ましく使用され
る。
上記多層化装置で所定範囲に層分割された紡糸原液
は、複合紡糸用の紡糸口金ではなく,通常の単一紡糸口
金に導き、前記有機溶媒または無機溶媒の水溶液を凝固
剤とする凝固浴中に吐出される。
その際、紡糸口金から吐出されたポリマ溶液は直接凝
固浴中に導入(湿式紡糸法)してもよいし、また紡糸口
金を凝固浴液面上約2〜20mmの位置に設け、その口金孔
から吐出された該紡糸原液を紡糸口金孔と凝固液面との
間の微小空間を走行させた後、凝固浴中に導入する乾湿
式紡糸法によってもよいが、機械的物性の優れた繊維が
得られ易い点で乾湿式紡糸法が望ましい。
なお、本発明の実施に当り、上記多層化装置と前記紡
糸口金との間には目開きが10μ以上,好ましくは20〜50
μ程度のフィルターを介在させることが望ましく、その
フィルターの濾材にはポリエステル,ポリアミドなどの
紗織物や、ステンレス性の金網などが一般的である。ま
た本発明繊維が乾湿式紡糸法にて得られることは勿論で
ある。
凝固浴より導出された凝固糸条は、水洗または水洗と
同時に延伸、延伸後水洗、または水洗後延伸などの処理
を施した後、乾燥緻密化させ、さらに機械捲縮を付与さ
せる。該延伸工程での延伸倍率は4倍以上が好ましく、
さらに好ましくは5倍以上である。該延伸倍率が4倍未
満では後の収縮膨潤化工程で収縮率が低く、嵩高性減少
と機械的物性低下の要因となる可能性がある。
このようにして得られた繊維には、先ずアルカリによ
る収縮膨潤化と捲縮発現処理を施す。
この際のアルカリとしては、例えば炭酸ソーダ水溶液
であり、このアルカリ濃度は約1g/l〜100g/l,好ましく
は2g/l〜50g/lとし、また処理温度は約70〜100℃,好ま
しくは85〜100℃で行なうのが一般的である。
この好適範囲外では、繊維の物性低下や単繊維同士の
膠着などが多発したり、また該カルボン酸基含有成分層
とアルカリとの反応速度が遅く繊維の収縮率が低くな
り,ひいては捲縮発現力の低下と共に次工程での溶解処
理においてポリマ溶出がし難い傾向があり、好ましくな
い。
上記アルカリによる捲縮発現を伴なった収縮膨潤化繊
維には、引続き溶解処理を施す。ここで初めて前記カル
ボン酸基含有重合体成分の一部もしくは全部が溶解除去
され、アクリル系繊維が極細化されることになる。
この際の溶解剤としては、苛性ソーダや過酸化水素の
水溶液,過酸化水素と炭酸ソーダの混合水溶液などが用
いられるが、過酸化水素水溶液が溶解処理時に臭気が発
生しないなどの点で好ましく用いられる。またこの際の
処理条件は前記収縮膨潤化条件によっても多少異なる
が、溶解剤濃度は約0.1〜10重量%とし、また処理温度
は約80〜100℃、処理時間は約1〜60分間が好適範囲で
ある。この好適範囲外では繊維層が溶解されにくかった
り、また溶解速度が速くなるが生産性や経済性が低下す
るなどの傾向がある。
以上本発明における収縮膨潤化と捲縮発現化および溶
解処理はアクリル系の多層化構造繊維糸条についてのみ
説明したが、該多層化構造繊維糸条の糸および編織物な
ど任意の加工段階でも上記同様に施すことができるし、
また該繊維を他種繊維と混紡・交織した後の繊維製品に
対しても施すことができる。
〔実施例〕 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明す
る。
本例中、繊維のカルボン酸基含有量,捲縮数および単
繊維繊度変動率、並びに織物の嵩高度および伸縮特性
(伸張率,回復率)は次のようにして求めた。
繊維 カルボン酸基含有量(mmol/g): 十分乾燥した試料約1gを精秤し(Ag)、これに200ml
の水を加えた後,50℃に加温しながら1N塩酸水溶液を添
加してpH2にし、次いで0.1N苛性ソーダ水溶液で常法に
従って滴定曲線を求める。この滴定曲線からカルボン酸
基に消費された苛性ソーダ水溶液量(Bml)を求める。
以上の測定結果から次式によってカルボン酸基含有量
を算出した。
捲縮数(山/25mm): JIS-L-1015に準じて求めた。
単繊維繊度変動率(%): 試料(極細化繊維)の単繊維断面を写真撮影し、その
中から無作為に50本選んで切抜き、その単繊維断面の重
量を求め、各単繊維の繊度を算出した。一方、比較用に
は既知繊度の繊維を用いた。
単繊維繊度変動率(%)は次式により算出した。
ただし、σ;単繊維繊度の標準偏差 X;単繊維平均繊度 織物 嵩高度: 25cm×25cmの試験片を2枚採取し、1枚当りの重量を
測定して1m2当りの重さ(wg/m2)に換算する一方、試
験片の厚さ(tmm)を測定し、次式に従って嵩高度を算
出する。
ただし、tはJIS-L-1079普通法に準じて求めた。
伸張率および回復率: JIS-L-1080「伸縮織物の伸縮性試験法−A法」に準じ
て求めた。
実施例1 AN96.0モル%、イタコン酸4.0モル%をDMSO中で溶液
重合し、紡糸原液を(A)を作製した。
他方、AN94.7モル%、アクリル酸メチル5.0モル%お
よびメタリルスルホン酸ソーダ0.3モル%を同様に溶液
重合し、紡糸原液(B)を作製した。ポリマ濃度および
60℃における溶液粘度は各々(A)が25%,150ポイズ、
(B)が23%,140ポイズであった。
上記(A),(B)2種の紡糸原液の等量を第1図に
示すような原液流入口案内装置1を備えた“スタティッ
クミキサー”(多層化エレメントのピッチ径L/D1.5)に
導き、層分割したのち、孔径0.055mmφおよび孔径0.080
mmφの方形状単一紡糸口金より、55重量%のDMSO水溶液
の凝固浴中に吐出・凝固糸条とした。このときの単糸中
理論層数は11.1とした。なお、紡糸ドラフトは0.6、凝
固糸条の引取速度(紡糸速度)は10m/分とした。
凝固糸条は、98℃の熱水中で6倍に延伸し、温水で充
分洗浄した後、150℃で乾燥緻密化した。
この乾燥緻密化糸条を、押込式捲縮機にて約10山/25m
mの機械捲縮を付与し、60℃の熱風で乾燥し、単繊維繊
度が2デニールおよび5デニールのアクリル系繊維とし
た。
このとき、紡糸凝固浴温度が40℃から20℃に低下して
も単糸切れがなく、良好であった。
次に、上記繊維を20g/lの炭酸ナトリウム水溶液中,95
〜98℃で10分間収縮膨潤化とともに捲縮を発現させ、洗
浄後,60℃で乾燥した繊維はスパイラル状の屈曲の大き
い捲縮が発現していた。この繊維の捲縮数は2デニール
繊維で28山/25/mmであった。
次に、上記繊維を5重量%の過酸化水素水溶液中,95
〜98℃で10分間処理して、カルボン酸含有ポリマ成分の
繊維層を溶解除去し極細繊維とした。
一方、比較のために上記紡糸原液(A),(B)を用
い、“スタティックミキサー”の代りに複合口金を用い
た以外は、上記同様の条件で2デニールおよび5デニー
ルのサイドバイサイド型アクリル系複合繊維とした。
この繊維について、上記同様の収縮膨潤化処理と,カ
ルボン酸含有ポリマ成分層の溶解除去処理を行なった。
なお、この場合の収縮膨潤化後の捲縮数は2デニール繊
維で45山/25mmと非常に多く,しかも細かい鋭角の形態
をしていた。
ここに得られた極細繊維の単繊維繊度,単繊維繊度変
動率,および風合を調べて第1表に示した。
これらの結果が示すように、本発明方法で得られた繊
維は捲縮形態が示すとおり非常にソフトな風合と嵩高性
を有しており、単繊維繊度2デニールに設定品で0.26デ
ニールの極細繊維が得られた。しかも単繊維繊度変動率
が78%と大きく、このことがかえって特異な好ましい風
合、即ち,ソフトな風合と嵩高性の両面を保持し、さら
に極細化しているため“フワッ”とし,かつ反撥力(回
復力)のある天然繊維様の感触を呈していた。
これに対して、サイドバイサイド型複合繊維は単繊維
繊度変動率が小さく,捲縮数が多くかつ微細な鋭角の捲
縮形態を有し、その風合は粗硬な感触を呈していた。
実施例2 AN90モル%、アクリル酸10モル%をDMSO中で溶液重合
し、紡糸原液(C)を作製した。
他方、AN91.6モル%、アクリル酸メチル8モル%およ
びメタリルスルホン酸ソーダ0.4モル%を同様に溶液重
合し、紡糸原液(D)を作製した。ポリマ濃度および60
℃にける溶液粘度は各々(C)が20%,130ポイズ、
(D)が22%,150ポイズであった。
上記(C),(D)2種の紡糸原液の等量を“スタテ
ィックミキサー”に導き、層分割し、2デニールのアク
リル系繊維とした。
このときの単糸中理論層数は“スタティックミキサ
ー”の多層化エレメントの積層段数を調整して第2表に
示すとおりの値とした。
上記以外の製糸条件、並びに収縮膨潤化およびカルボ
ン酸含有ポリマ成分層の溶解除去処理は実施例1と同様
とした。
得られた極細繊維の単繊維繊度,単繊維繊度変動率,
および風合を調べて第2表に示した。
この結果が示すように、本発明方法においては単糸中
理論層数を3以上とすると、好適な極細化繊維が得られ
る。しかし、その単糸中理論層数が約40を超えると,か
えって単繊維繊度変動率が増大し,風合を損ねる。
実施例3 実施例1の紡糸原液(A),(B)を用いて乾湿式紡
糸した以外は、実施例1と同様にして2デニールのアク
リル系繊維とした。
このアクリル系繊維ステープル(2d×51mm)80重量%
と、ポリエステルステープル(東レ“テトロン"1.5d×5
1mm)20重量%とを混紡し、40S単糸の紡績糸とした。こ
の紡績糸を経糸および緯糸に用いて平織物を製織した。
次に、この織物を20g/lの炭酸ナトリウム水溶液中,95
〜98℃で10分間収縮膨潤化した。このときの織物は収縮
膨潤し、織クリンブの大きい嵩高かな織物となった。
次に、該織物を160℃で1分間弛緩乾熱処理し、織物
の構造固定を行った。
次に、該織物を3重量%の過酸化水素水溶液中,95〜9
8℃で20分間処理して、カルボン酸含有ポリマ成分層を
溶解除去して極細繊維とした。
この織物の形態は溶解繊維層が除去された分だけ繊維
相互間の空隙が大きくなり、しかも織クリンブが大きい
ためソフト性および嵩高性の優れた織物とすることがで
きた。さらにこの織物は優れた伸縮性を有しており、ス
トレッチ織物としても有用であることが認められた。
この織物特性を第3表に示した。
[発明の効果] 以上の如き本発明方法は、従来の極細繊維において特
殊口金を必要とする問題,もしくはソフト風合や嵩高性
に欠ける問題,さらには効率良く極細が得られなかった
点などの諸問題をカルボン酸基含有アクリル系重合体と
それ以外のアクリル系重合体との多層構造化によって一
挙に解消することができた。特に本発明方法に従えば、
アクリル系極細繊維の編織物は、極細繊維がミックスさ
れたことに基づくソフトでかつ新規な特殊風合を有し、
またアクリル系の色彩と特異な捲縮形態や膨潤化が作用
し嵩高性が付与されるため、特に衣料分野では優れた特
性・機能を提供することができる。また驚くべきことに
熱安定性の良いポリエステル系繊維と混用すれば、従来
のストレッチ織物に劣らぬ程の伸縮性機能を本発明のア
クリル系繊維が発揮しより優れたストレッチ性が求めら
れるスポーツ衣料,スキーパンツ,紳士・婦人カジュア
ル衣料分野においても顕著な効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法における製糸段階での工程要件を説
明するフローシート、第2図は多層化装置における多層
化エレメントの概略図である。 A,B:多層化ポリマの紡糸原液 1:多層化ポリマの案内装置 2:多層化装置、2′:多層化エレメント 3:フィルター 4:紡糸口金 5:凝固浴 D:多層化エレメントの直径 L:多層化エレメント1ケの長さ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−229814(JP,A) 特公 昭48−9386(JP,B1) 特公 昭62−2045(JP,B2) 特公 昭62−35482(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボン酸基含有アクリル系重合体と他の
    アクリル系重合体とからなる2種以上のアクリル系重合
    体の紡糸原液を多層化装置にて下記式に示す単糸中理論
    層数を3〜40とするよう層分割したのち紡糸し、得られ
    たアクリル系多層複合繊維をアルカリ溶液にて膨潤化処
    理するとともに捲縮を発現させ、しかる後該嵩高膨潤化
    繊維のカルボン酸基含有重合体成分の一部もしくは全部
    を溶解除去することを特徴とする特殊アクリル系繊維の
    製造法。 上式中、Kは紡糸口金の外郭形態により定まる定数であ
    る。
  2. 【請求項2】カルボン酸基含有アクリル系重合体と他の
    アクリル系重合体とからなる2種以上のアクリル系重合
    体の紡糸原液を多層化装置にて下記式に示す単糸中理論
    層数を3〜40とするよう層分割したのち紡糸し、得られ
    たアクリル系多層複合繊維を用いて、もしくは該アクリ
    ル系多層複合繊維と他種繊維とを混用して繊維製品とな
    し、次に該繊維製品をアルカリ溶液にて膨潤化処理する
    とともに捲縮を発現させ、しかる後該嵩高膨潤化繊維製
    品のカルボン酸基含有重合体成分の一部もしくは全部を
    溶解除去することを特徴とする特殊アクリル系繊維製品
    の製造法。 上式中、Kは紡糸口金の外郭形態により定まる定数であ
    る。
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