JP2534793Y2 - 内燃機関におけるコネクティングロッド用針状ころ軸受 - Google Patents

内燃機関におけるコネクティングロッド用針状ころ軸受

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JP2534793Y2 JP1989146840U JP14684089U JP2534793Y2 JP 2534793 Y2 JP2534793 Y2 JP 2534793Y2 JP 1989146840 U JP1989146840 U JP 1989146840U JP 14684089 U JP14684089 U JP 14684089U JP 2534793 Y2 JP2534793 Y2 JP 2534793Y2
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【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、内燃機関におけるコネクティングロッド
用針状ころ軸受に関する。
〔従来の技術〕
例えば、2サイクル内燃機関においては、第14図に示
すように、クランクピン1とピストン2のピストンピン
3をコネクティングロッド4で連結し、コネクティング
ロッド4の小端部5とピストンピン3の間及び上記ロッ
ド4の大端部6とクランクピン1の間に針状ころ軸受
7、8を介装した構造が採用されている。
上記コネクティングロッド4の小端部5における針状
ころ軸受7の回りはその構造上各種の問題点を内在して
おり、例えば、(I)シリンダ摺動面の摩耗、(II)爆
発に伴うピストンピンの撓み、(III)ピストンの傾
き、(IV)ピストンピンボスの摩耗等がある。
こうした状況下での対策として、上記(I)に対して
は分散メッキの工業化、(II)に対しては限界肉厚の設
定、(III)に対してはコネクティングロッド小端部規
制化によって対応しており、特にコネクティングロッド
の傾き防止としては、コネクティングロッドを外径面の
球面化(実開昭63−171719号)やコネクティングロッド
両幅面のスラスト軸受化(実開平1-91121号)が提案さ
れている。
ところで、前記(IV)のピストンピン3の摩耗は、ピ
ストンピン3が鋼製であるのに対し、ピストン2の材質
がアルミニウム製であり、爆発に伴う熱影響で嵌め合い
部に隙間が生じることにより発生する。
ピストンピン3の摩耗は該ピン3の傾きを生じ、小端
部5の針状ころ軸受7においてはエッジロードが生じや
すく早期ブレーキングの原因となる。
このため、ピストンピンに対して摩耗対策を講じる必
要がある。
従来から知られている摩耗対策として、4サイクル内
燃機関においては、ピストンピンにパーカー処理(リン
酸塩被膜処理)を施し、耐摩耗性を向上させる方法が採
られている。
〔考案が解決しようとする課題〕
ところで、上記のようなパーカー処理を施すとピスト
ンピン3の針状ころ軌道面となる表層はポーラスを生じ
て粗面化し、2サイクル内燃機関の場合は小端部5に針
状ころ軸受7を使用するため、軌道面と針状ころの油膜
切れ(金属接触)を招き、このようなパーカー処理をそ
のまま2サイクル内燃機関のピストンピンに採用するこ
とはできない。
即ち、ピストンピンの軌道面表層が粗面化するのに対
し、針状ころの表面は超仕上加工によって鏡面になって
おり、針状ころ表面の油膜形成が不十分となり、軸受寿
命が低下するという問題が生じる。
そこでこの考案の課題は、上記のような問題点を解決
するため、針状ころ表面の面粗さの評価を軸方向だけで
なく転がり方向にも着目し、軸方向と円周方向の表面粗
さ一定範囲に抑えることで油膜形成が有利に行なえ、ピ
ストンピンに化成処理を施しても長寿命を示す内燃機関
におけるコネクティングロッド用針状ころ軸受を提供す
ることにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記のような課題を解決するため、この考案は、コネ
クティングロッドとピストンピンの間及びクランクピン
の間に各々針状ころ軸受を介装し、少なくともコネクテ
ィングロッドとピストンピンの間に介装した針状ころ軸
受における針状ころの表面に独立した微小な凹形状のく
ぼみを無数にランダムに形成し、針状ころ表面の面粗さ
を、軸方向と円周方向のそれぞれを求めてパラメータRM
Sで表示したとき、軸方向面粗さRMS(L)と円周方向面
粗さRMS(C)との比RMS(L)/RMS(C)が1.0以下と
なり、合わせて表面粗さのパラメータSK値が軸方向及び
円周方向の何れも−1.6以下となるようにしたものであ
る。
〔作用〕
針状ころの表面をランダムな微小粗面に形成し、この
微小粗面の仕上げ面粗さパラメータRMSを軸方向
(L)、円周方向(C)で求め、その比RMS(L)/RMS
(C)を1.0以下とし、合わせてパラメータSK値を軸方
向、円周方向とも−1.6以下としたので、転動面の油膜
形成率が向上し、ピストンピン表面に化成処理を施して
もピーリング損傷や摩耗の発生がなく、針状ころ軸受の
長寿命を得ることができる。
〔実施例〕
以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。
第1図は針状ころ軸受7又は8の構造を示しており、
第14図の如く、コネクティングロッド4の小端部5とピ
ストンピン3の間及び該ロッド4の大端部6とクランク
ピン1の間に介装使用される。
上記針状ころ軸受は、針状ころ11を保持器12で円周方
向に一定の間隔で保持し、針状ころ11郡の内側がピスト
ンピン3又はクランクピン1に外嵌し、外側でコネクテ
ィングロッド4を支持することになる。
前記針状ころ11は、表面がランダムな方向の微小粗面
11aに形成され、この微小粗面11aは、面粗さを針状ころ
11の軸方向と円周方向のそれぞれを求めてパラメータRM
Sで表示したとき、軸方向面粗さRMS(L)と円周方向面
粗さRMS(C)の比RMS(L)/RMS(C)を1.0以下、例
えば、0.7〜1.0にすると共に、表面粗さのパラメータSK
値が軸方向、円周方向とも−1.6以下になっている。
上記のような転動面の粗面条件を得るための表面加工
処理は、特殊なバレル研磨によって、所望する仕上面を
得ることができる。
前記パラメータSK値とは、表面粗さの分布曲線の歪み
度(SKEWNESS)を指し、ガウス分布のような対称形分布
はSK値が0となるが、パラメータSK値を円周方向、軸方
向とも−1.6以下とした設定値は、表面凹部の形状、分
布が加工条件により油膜形成に有利な範囲である。
また、第14図で示したピストンピン3はその表面が摩
耗対策として各種化成処理が施されている。
次に、針状ころ表面に、仕上げ面の異なる表面処理を
施した複数種類の針状ころ軸受を製作し、相手軸の面粗
さを変えて寿命試験を行なった結果について説明する。
寿命試験に用いた針状ころ軸受は、第1図に示すよう
に、外径Dr=38mm、内径dr=28mm、針状ころの直径D=
5mm、長さL=13mmで、14本の針状ころ11を用いた保持
器12付の軸受である。
試験軸受は針状ころの表面粗さ仕上げの異なる5種類
を製作した。各試験軸受の表面仕上げ面粗さパラメータ
RMSでの特性値を表1に、各試験軸受の加工種類を表2
に示すと共に、各試験軸受の針状ころにおける仕上げ面
状況を第2図に比較して示した。
また、使用した試験装置は、第3図に概略図で示した
ようなラジアル荷重試験機21を使用し、回転軸22の両側
に試験軸受Xを取付け、回転と荷重を与えて試験を行な
うものである。
試験に用いたインナーレース(相手軸)の仕上は研削
仕上のRmax0.4〜4μmである。アウターレース(外
輪)はRmax1.6μmで何れの場合も共通である。
また、試験条件は以下の通りである。
軸受ラジアル荷重 1465kgf 回転数 3050rpm 潤滑財 タービン油(試験条件で10cst) 上記の条件で各試験軸受に対して行なった針状ころ寿
命試験の各相手面毎の結果を第4図乃至第8図に示す。
第4図乃至第6図は、この考案の試験軸受Cを主体に
行なった試験結果を、第7図と第8図はこの考案の試験
軸受DとEの試験結果を示している。
上記のような試験結果から明らかなように、この考案
の試験軸受C、D、Eは、相手軸面粗さのいかんにかか
わらず全て長寿命を示した。
また、上仕上面と粗面の転動のとき上仕上面側にピー
リング損傷が見られることが多いが、この考案の試験軸
受C、D、Eには認められなかった。
第9図と第10図は、各試験軸受A乃至EのSK値、RMS
のL/Cと寿命(L10)を求めた結果を示している。
第9図の如く、SK値−1.6以下の試験軸受C、D、E
では長寿命を示している。
また、軸方向粗さRMS(L/C)は、第10図の如くバレル
研磨特殊加工の1.0でも長寿命であることが判明した。
なお、RMS(L/C)値のみで長寿命軸受の転動体を評価
するには不充分であることも判明した。
次に、上記試験条件下において、試験軸受A乃至Cの
相手軸との組合せによるGrubinの式に基づく油膜パラメ
ータΛの計算値を表3に示す。
計算の結果、油膜パラメータΛは相手軸面粗さにより
大きく左右され、2μmでは0.91〜1.30の範囲である。
一般に油膜パラメータと油膜形成率には第11図に示す
関係があり、寿命の観点からも油膜パラメータは大きい
方が良いと言われているが、寿命試験結果からも明らか
な通り、一概にΛだけでは説明できない。
針状ころ仕上面の油膜形成状況の確認及び耐ピーリン
グ性について、2円筒の試験機を用いて、自由転がり条
件下で、本考案試験軸受C及び試験軸受Aと同一の表面
状態の試験片を用いて加速ピーリング試験を行なった。
油膜形成状況の確認は、直流通電方式により行なった。
試験条件 最大接触面圧 227kgf/mm2 周速 4.2m/sec(2000rpm) 潤滑剤 タービン油 (試験条件で10cst) 繰り返し負荷回数 4.8×105(4hr) この試験による油膜の形成率は、第12図と第13図に示
す通りであり、本考案試験軸受Cの仕上面の油膜形成率
は、試験軸受Aに比較して運転開始時で20%程度油膜形
成率が向上した。
また、繰り返し負荷回数1.2×105でほぼ完全に油膜を
形成することが確認された。
更に、試験軸受Aの仕上面では、長さ0.1mm程度のピ
ーリングの発生、進展が多数認められるのに対し、本考
案試験軸受Cの仕上面では、損傷は認められなかった。
上記のように、針状ころ軸受における針状ころの表面
をランダムな微小粗面に形成し、針状ころ表面の油膜形
成率を向上させることにより、ピストンピン3の軌道面
が化成処理によって粗面化していても、トルクロスの低
減と温度上昇を防止して焼付きを防ぎ、針状ころ軸受の
長寿命化を図ることができ、2サイクル内燃機関におい
て、ピストンピンの耐摩耗性向上の対策として、化成処
理の導入が可能になる。
〔効果〕
以上のように、この考案によると、針状ころの表面を
ランダムな微小粗面に形成し、この微小粗面の軸方向及
び円周方向の粗さを一定範囲に抑えるようにしたので、
転動面の油膜形成に有利となり、相手面が粗面でも仕上
面の良い相手に対しても長寿命を得ることができ、従っ
て内燃機関におけるピストンピンに摩耗対策とし各種化
成処理を施しても、ピストンピンとコネクティングロッ
ドの結合に針状ころ軸受を使用することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図はこの考案に係る針状ころ軸受の断面図、第2図
は試験軸受における針状ころの仕上げ面状況を示す概略
図、第3図は試験装置の概略図、第4図乃至第8図の各
々は針状ころ寿命試験の結果を示すグラフ、第9図はSK
値と寿命の関係を示すグラフ、第10図はRMS(L/C)値と
寿命の関係を示すグラフ、第11図は油膜パラメータと油
膜形成率を示す関係図、第12図と第13図は油膜形成率を
示すグラフ、第14図はコネクティングロッドの使用部分
を示す断面図である。 1……クランクピン、2……ピストン、3……ピストン
ピン、4……コネクティングロッド、7、8……針状こ
ろ軸受、11……針状ころ、11a……微小粗面、12……保
持器。

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】コネクティングロッドとピストンピンの間
    及びクランクピンの間に各々針状ころ軸受を介装し、少
    なくともコネクティングロッドとピストンピンの間に介
    装した針状ころ軸受における針状ころの表面に独立した
    微小な凹形状のくぼみを無数にランダムに形成し、針状
    ころ表面の面粗さを、軸方向と円周方向のそれぞれを求
    めてパラメータRMSで表示したとき、軸方向面粗さRMS
    (L)と円周方向面粗さRMS(C)との比RMS(L)/RMS
    (C)が1.0以下となり、合わせて表面粗さのパラメー
    タSK値が軸方向及び円周方向の何れも−1.6以下となる
    ようにした内燃機関におけるコネクティングロッド用針
    状ころ軸受。
  2. 【請求項2】ピストンピンの表面に化成処理を施した請
    求項(1)に記載の内燃機関におけるコネクティングロ
    ッド用針状ころ軸受。
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"潤滑"社団法人日本潤滑学会VOL.27 NO.2(1982)P.114〜118

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