JP2004245635A - 軸受の寿命予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軌道輪・転動体間の潤滑状態が寿命に及ぼす影響を考慮して精度良く予測することのできる軸受の寿命予測方法を提供する。軸受短寿命の真の原因である表面粗さの突起同士の接触による応力集中を考慮に入れる。
【解決手段】転がり軸受の軌道輪と転動体の接触によって生じる応力体積Vを複数の部分応力体積ΔVi に分割し、部分応力体積ΔVi の寿命から全体の寿命を求める。従来の基本的な軸受寿命理論を基本として、そこに、分割された応力体積ΔVi の残存確率から全体の残存確率を求めるという概念を採り入れる。この場合に、表層部の部分応力体積ΔVi に対して、非表層部よりも大きな応力を適用することによって応力集中を表す。この応力集中に、油膜パラメータΛで表される潤滑状態の寿命に及ぼす影響を反映させて寿命を求める。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車、産業機械、鉄鋼・大型設備機械等、工業界全般にわたり使用される転がり軸受の寿命を算出する寿命予測方法に関し、特に、潤滑条件が軸受寿命に及ぼす影響を考慮して、精度良く寿命予測することを可能にした発明である。
【0002】
【従来の技術】
軸受寿命を予想することは、軸受の交換タイミングを定めたり、軸受使用機器の軸受の選定時に、軸受サイズや軸受種類を選定するための重要な事項である。
転がり軸受には寿命計算式があり、軸受の動的負荷容量を示す「動定格荷重C」と、使用時の「等価荷重P」から求める定格寿命L10が軸受選定時の指針となっている((1)式参照)。
これに加え、補正係数として、信頼度係数(a1 )、材料特性係数(a2 )、および使用条件係数(a3 )を導入した補正定格寿命もあり((2)式参照)、多様化する軸受の種類ならびに使用条件に対応してきた。
しかしながら、軸受寿命に影響を及ぼす要因は多く、計算寿命と実寿命との乖離を小さくするためには、さらなる補正が必要となり、技術の進歩、知識の蓄積を考慮し、補正係数a2 ,a3 、およびその他の因子の影響を統合した補正係数aXYZ を導入する案が検討され、2000年2月に、ISO281; 1990/Amd2;2000として規格化された。(3)式に示すaXYZ の値は、現在のところ、各国あるいは各社が自己の責任のもとに使用することになる。
【0003】
【数2】
Figure 2004245635
【0004】
すでに軸受メーカの何社かは、独自の寿命計算式を公表しており、(3)式に示すaXYZ の値を求める図表・手法がカタログ・文献(非特許文献1、非特許文献2)で紹介されている。また、計算ソフトウェアも普及しつつあるのが現状である。
【0005】
【非特許文献1】
日本エスケイエフ株式会社,SKFゼネラルカタログ(SKF General catalogue),1988年発行
【非特許文献2】
武村浩道・松本洋一・村上保夫,NSKテクニカルジャーナル,第671巻,第21号(NSK TECHNICAL JOURNAL No.671(2001)21),2001年
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
軸受が、前述の定格寿命を満たさず、短時間ではく離の不具合が生じる事例の原因として、潤滑油中の硬質異物の噛み込みによる圧痕形成、および、軌道輪・転動体間の潤滑不良がある。前者の潤滑油中の硬質異物の噛み込みによる圧痕形成については、これを考慮した寿命予測方法を本発明者は先に提案した(特願2001−315957号)。しかし、軌道輪・転動体間の潤滑不良が寿命に及ぼす影響を考慮することについては、未解決であった。
【0007】
この発明の目的は、軌道輪・転動体間の潤滑状態が寿命に及ぼす影響を考慮して精度良く予測することのできる軸受の寿命予測方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の軸受の寿命予測方法は、転がり軸受の軌道輪と転動体との接触により生じる接触部の応力体積を複数の部分応力体積に分割し、各部の部分応力体積の寿命から全体の寿命を求める軸受の寿命予測方法において、表層部の部分応力体積に対して非表層部よりも大きな応力を適用することによって応力集中を表し、この応力集中に、油膜パラメータΛで表される潤滑状態の寿命に及ぼす影響を反映させて寿命を求めることを特徴とする。油膜パラメータΛは、軌道輪の軌道面と転動体表面の合成表面粗さに対する両面間の油膜形成厚さの割合を示すパラメータのことである。
この発明方法は、表面粗さの突起同士の接触による応力集中による短寿命現象を予測する方法である。分割された各部の部分応力体積の寿命から全体の寿命を求める手法は、寿命に及ぼす表面での応力集中の影響を考慮できる利点がある。油膜パラメータΛが低下すると、表面粗さの突起同士の接触による干渉が増し、表層部に応力集中が発生する。したがって、表層部の部分応力体積に対して非表層部よりも大きな応力を適用することによって応力集中を表し、この応力集中に、油膜パラメータΛで表される潤滑状態の寿命に及ぼす影響を反映させることにより、精度良く寿命予測することができる。
【0009】
この発明の軸受の寿命予測方法は、具体的には、例えば転がり軸受の軌道輪と転動体との接触により生じる接触部の応力体積Vを複数の部分応力体積ΔVi に分割し、各部の部分応力体積ΔVi の寿命ΔLi から全体の寿命Lを求める軸受の寿命予測方法において、次の(5),(6),(7)式を用い、かつ同式中に適用する局部応力σi として、表層部の部分応力体積ΔVi に対して非表層部の部分応力体積ΔVi よりも大きな応力を適用することによって応力集中を表し、この応力集中に、油膜パラメータΛで表される潤滑状態の寿命に及ぼす影響を反映させて寿命を求める方法である。下記の指数c,e,hは、実験により求められる値である。
【0010】
【数3】
Figure 2004245635
【0011】
この発明方法は、学術論文等で公開されている軸受寿命理論(後に実施形態の欄で説明する L−Pの寿命理論)を基本とし、そこに、軸受短寿命の真の原因である表面粗さの突起同士の接触による応力集中を考慮に入れた方法である。
寿命を支配する局部応力σi は、上記基本とする軸受寿命理論における両振りの最大せん断応力によらず、例えば相当応力など、部分応力体積ΔVi に作用する全体の応力を用いる。また、分割された応力体積ΔVi に発生する局部応力σi が、疲労限を与える応力閾値以下のときは、その部分応力体積ΔVi の寿命ΔLi が無限大になるという考えを採用している。
以上の基本概念を表した寿命計算は(5)式であり、(6)式は個々の部分応力体積ΔVi の寿命ΔLi を示したものである。応力体積全体の寿命Lは(7)式により表した。すなわち、(7)式は、部分応力体積ΔVi の組み合わせに対する寿命を示す。(5)式の左辺は、例えば基本定格寿命L10(一群の同じ軸受を同一条件で個々に回転させたとき、その90%が転がり疲れによってフレーキングを生じることなく回転できる実質的な相回転数)に相当する。
このような(5),(6),(7)式を用いた寿命予測方法を基本とし、同式中に適用する局部応力σi として、表層部の部分応力体積ΔVi に対して非表層部の部分応力体積ΔVi よりも大きな応力を適用することで、軸受短寿命の真の原因である表面粗さの突起同士の接触による応力集中を考慮に入れる。このため油膜パラメータΛで表される潤滑状態の寿命に及ぼす影響を考慮した精度の良い寿命予測が行える。
【0012】
この発明方法において、油膜パラメータΛの影響で応力集中を受ける部分の深さは、接触楕円短軸半径との比で表しても良い。このように深さを接触楕円短軸半径との比で表すことにより、種々の寸法の軸受について同様な値を用いて寿命計算が行える。
応力集中部に適用する応力の大きさは、表面粗さ突起の高さ分布累積度数に従って増加するとしても良い。これにより、表面粗さ突起の干渉量に従って応力が増すものとでき、実際の応力の変化に応じた計算が行える。
また、応力集中部に適用する応力の大きさは、ころ軸受の場合、2次元接触応力分布に基づいて求めるようにしても良い。ころ軸受の接触部は楕円ではなく長方形であるから、上記の取扱いを行なう場合もある。
【0013】
この発明の軸受使用機器の軸受設計方法は、軸受使用機器において、使用する軸受を選定する基準の一つとして、この発明の上記のいずれかに記載の軸受の寿命予測方法を用いて選定する方法である。
この設計方法によると、この発明の軸受の寿命予測方法の採用によって、軌道輪・転動体間の潤滑状態が寿命に及ぼす影響を考慮して精度良く予測することができるため、荷重条件だけでなく、潤滑条件を含めた軸受使用条件に応じて、求められる軸受寿命の面から、使用する軸受サイズや軸受種類等を適切に選定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明の実施形態を図面と共に説明する。実施形態の説明の前に、まず、この発明の基礎となる軸受の寿命予測方法を説明する。
寿命基礎式を説明する。次の(4)式は、LundbergとPalmgren (文献 G. Lundberg, A.Palmgren: IVA Holdlingar, 196,(1947)1.)が与えた軸受寿命の基礎式であり、従来の代表的な寿命理論(以下、 L−Pの寿命理論と称す)である。このL−P の寿命理論においては、寿命を支配する応力として、軌道面に対して平行に作用する両振りのせん断応力を採用しており、内部起点型剥離寿命を取り扱っている。また、軸受荷重の大きさ如何にかからず、寿命は有限としている。
内部起点型剥離寿命とするため、完全に平滑な接触の場合の寿命となり、異物噛み込み時に生じる表面起点型剥離の場合の寿命は予測できない。潤滑状態が悪いことに起因して生じる表面起点型はく離の場合の寿命も予測できない。また、軸受荷重の大きさ如何にかからず、寿命を有限とするため、疲労限(無限寿命)の概念が導入されていない。
【0015】
【数4】
Figure 2004245635
【0016】
最近では、Ioannides−Harrisらによる新しい寿命理論(以下、 I−Hの寿命理論と称す) (E.Ioannides,T.A.Harris:Jounal of Tribology,July 985, Vol.107(1985)367) が示されており、この中には応力体積を分割し、分割部分の残存確率(つまり分割部分の寿命の残存する確率)から全体の残存確率を求めること、および疲労限の概念の導入が含まれている。また、寿命を支配する応力として、von−Mises の相当応力を適用した例で示されている(T.A.Harris,Rolling Bearing Analysis 4thEdition,Wiley,New York,(2001))。
【0017】
分割された応力体積の残存確率から全体の残存確率を求める手法には、例えば、寿命に及ぼす表面での応力集中の影響を考慮できる利点があり、寿命を支配する応力として、von−Mises の相当応力を適用することによって、様々な破損モードによる寿命を計算することができるという利点がある。
【0018】
そこで、本発明者は、この発明方法において、上記寿命計算式(4)を基本とし、そこに、分割された応力体積の残存確率から全体の残存確率を求めるという上記 I−Hの寿命理論の概念を取り入れた寿命計算式を考えた。また、寿命を支配する応力は、von−Mises の相当応力とした。
なお、上記 I−Hの寿命理論の寿命計算式(4)は、寿命を支配する疲労限を与える応力を減じることによって疲労限の概念を導入しているが、この実施形態における寿命計算式では、分割された応力体積(部分応力体積ΔVi )中に発生する局部応力σi が、疲労限を与える閾値以下のときに、その部分応力体積ΔVi の寿命ΔLi が無限大になるという考えを採用していることで、上記従来の概念とは異なる。閾値は、ISO281; 1990/Amd2;2000の記載内容に基づき、面圧1500MPaで生じるvon−Mises の相当応力858MPaを採用した。
以上の記念概念を表した寿命計算式は(5)式であり、(6)式は個々の部分応力体積ΔVi の寿命ΔLi を表したものである。応力体積Lの全体の寿命Lは(7)式により表した。
【0019】
【数5】
Figure 2004245635
【0020】
図1ないし図3と共に、上記応力体積Vおよびその分割された応力体積ΔVi につき説明する。図1は、転がり軸受の一例である深溝玉軸受を示す。この転がり軸受1は、内輪および外輪となる軌道輪2,3の軌道面6,7間に、保持器4に保持された複数の転動体5を介在させたものである。転動体5はボールからなる。軌道輪2,3および転動体5は軸受鋼等の鋼材からなる。
【0021】
図2(A)に内輪側の軌道輪2の一部を拡大して示すように、軌道輪2の転動体5との接触部の応力体積Vは、転動体5が軌道面6に接することによって軌道輪2にある程度以上の応力が発生する部分の体積である。例えば、転動体5が軌道面6にヘルツ接触すると考え、その接触楕円の軌道輪軸方向yに生じる長軸長さ2a(長軸半径をaとする)における軌道面6下の所定深さZの断面の範囲(図2に斜線で示す)を、全周に考えた体積が応力体積Vである。応力体積Vの深さZは、応力の影響を考慮して任意に定められる。
【0022】
部分応力体積ΔVi は、上記のように規定される応力体積Vについて、図2(B)に示すように、軸方向yおよび深さ方向zについて、マトリクス状に複数に分割した個々の部分の体積である。図2(B)は軌道輪2のyz断面における応力体積Vの部分を、軌道面6が平面であるとしてモデル化した図である。
部分応力体積ΔVi および上記各式(5),(6),(7)において示した添字「i 」は、1から部分応力体積の最大個数nまでの数である。
なお、上記応力体積Vおよび部分応力体積ΔVi は、内輪側の軌道輪2について示したが、外輪側の軌道輪3の場合の応力体積Vおよび部分応力体積ΔVi も上記と同様に考える。転動体の応力体積も同じ考えが適用できる。
【0023】
つぎに、部分応力体積ΔVi に対する局部応力σi の適用を考える。分割された応力体積である部分応力体積ΔVi に対し、個々の寿命を求めるためには、各深さ位置に生じる応力が必要となる。ここでは、その各位置で生じる応力を局部応力σi と称する。その値は、例えば、K.L.Johnson 著“CONTACT MECHANIICS”に記載されている手法に基づいた室のプログラム(室 博:転がり軸受疲れシンポジウム予稿集(1993)31.) を用いて求めることができる。図3に同プログラムによる計算例を示す。同図は、図2(A)のように軸受の転がり方向をx、軸方向をy、深さ方向をzとすると、yz断面であり、図2(B)と対応する断面である。接触状態は円滑なヘルツ接触状態であり、a/b=10の場合である(aは接触楕円の長軸半径、bは同短軸半径)。玉軸受では、一般にa/b=10となることが多いため、その値を用いた。図から長軸半径bの約0.7倍の深さ位置に最大応力が発生していることがわかる。
【0024】
図4は線接触の状態での応力分布である。ここでは、その値をSmith−Liu の式( J. O. Smith, C.K. Liu : Trans. ASME, J.Appl. Mech., 75 (1953) 157. )を用いて求めた。図4にはvon−Mises の相当応力分布を示している。bの約0. 7倍の深さ位置に最大応力が発生していることがわかる。
【0025】
寿命に及ぼす油膜パラメータΛの影響については周知の通りであり、米国機械学会(ASME)の推奨線図が参考にされている。油膜パラメータΛは、軌道輪の軌道面と転動体表面の合成表面粗さに対する両面間の油膜形成厚さの割合を示すパラメータのことであり、次式で求まる値である。
Λ=(油膜形成厚さh)/(合成表面粗さFc )
Fc =(f +f 1/2
:軌道面の表面粗さ、f:転動体の表面粗さ
油膜パラメータΛの値が小さくなると転がり接触部の金属接触率が高まり、表面損傷が生じて寿命は低下するが、この現象も前述の応力集中の概念を導入して、計算で寿命を予測することができる。
【0026】
その計算モデルである寿命予測モデルを図示したものを図5に示す。また、応力集中を受ける体積を図6に示す。図5は、図2における横軸をY/aで表し、縦軸をZ/bで表した図である。同図のモデルは、油膜パラメータΛで表される潤滑状態の寿命に及ぼす影響を考慮するについて、表層部に応力集中が生じるとしており、表層部の部分応力体積ΔVi に応力集中を表す局部応力σi を付与した。同図の開示例は、軸方向yに対し接触楕円長軸(直径2a)を21等分し、深さ方向zは接触楕円短軸(直径2b)を20等分したものである。応力集中部は接触部の軸方向全面に生じるとし、軌道面円周方向の応力集中箇所に関しては、軸対称として取り扱うモデルである。
このようにモデル化した局部応力σi を、各部分応力体積ΔVi に対して適用する。したがって、表層部の部分応力体積ΔVi (斜線部)に対して、非表層部(例えば部分Q)の部分応力体積ΔVi よりも大きな応力を適用することによって応力集中を表すことになる。
【0027】
実際の接触状態は、ある表面粗さ形状を持つ2物体間に潤滑剤が介在する構成になっているが、モデルでは、2物体の合成表面粗さを持つ物体と完全平滑面との接触に置き換えた。開示例では、表面粗さの突起の高さは正規分布になっているとしている。油膜パラメータΛが低下すると表面粗さの突起と平滑面の干渉が増し、表面に応力集中が発生する。モデル化として、応力集中の大きさは、表面粗さの突起と平滑面間の干渉量に比例して、すなわちこの開示例では、正規分布の累積度数にしたがって増加するとしている。応力集中を考慮する部分(体積)については、接触部の合成表面粗さの山谷高さを基準にすれば良いが、応力集中を受ける体積を多めに見積もることは安全サイドの予測になるという考えで、大きめに設定することが望ましい。開示例は、図6に寿命予測モデルの詳細を示すように、油膜パラメータΛの影響で応力集中を受ける部分が接触楕円短軸半径bの0.01倍であるとしたモデルである。
また、加工目の状態を観察したところ、表面粗さ突起は周方向に連続している部分が多いので、表面粗さの突起と平滑面との接触による応力発生は、線接触状態であるとした。
【0028】
〔実験データとの整合性〕
この発明方法の妥当性を文献報告データと比較する。Skurkaは、ころ軸受を用いて寿命試験を行なっている( J. C. Skurka : Transactions of ASME (1970) 282.)。試験結果は油膜パラメータΛで整理されているので、その図に、上記実施形態の算出結果を重ねてプロットした(図7)。ころ軸受での試験結果ということで、計算としては図4に示した応力分布を用いた。図7における横軸は油膜パラメータΛであり、縦軸は定格寿命比である。算出結果を△印プロットで示すが、今回得られた計算結果はSkurkaの寿命試験結果とよく一致し、この計算モデルの妥当性が確認できた。
【0029】
【発明の効果】
この発明の軸受の寿命予測方法は、転がり軸受の軌道輪と転動体との接触により生じる接触部の応力体積を複数の部分応力体積に分割し、各部の部分応力体積の寿命から全体の寿命を求める軸受の寿命予測方法において、表層部の部分応力体積に対して非表層部よりも大きな応力を適用することによって応力集中を表し、この応力集中に、油膜パラメータΛで表される潤滑状態の寿命に及ぼす影響を反映させて寿命を求めることを特徴とする方法であるため、軌道輪・転動体間の潤滑状態が寿命に及ぼす影響として、軸受短寿命の真の原因である表面粗さの突起同士の接触による応力集中を考慮に入れることができ、精度良く寿命予測することができる。
この発明の軸受使用機器の軸受設計方法は、この発明の軸受の寿命予測方法の採用によって、軌道輪・転動体間の潤滑状態が寿命に及ぼす影響を考慮して精度良く予測することができるため、軸受使用条件に応じて、求められる軸受寿命の面から、使用する軸受サイズや軸受種類等を適切に選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の寿命予測方法を適用する軸受の一例を示す切欠斜視図である。
【図2】(A)は同軸受の軌道輪における部分応力体積の説明図、(B)はその分割した部分応力体積の説明図である。
【図3】応力体積の断面に生じる応力の説明図である。
【図4】線接触状態の応力分布の説明図である。
【図5】油膜パラメータの影響を考慮する際の寿命予測モデルの説明図である。
【図6】同寿命予測モデルの詳細図である。
【図7】油膜パラメータに対する定格寿命比の試験結果と計算結果を重ねて示すグラフである。
【符号の説明】
1…転がり軸受
2,3…軌道輪
5…転動体
6…軌道面
V…応力体積
ΔVi …部分応力体積

Claims (6)

  1. 転がり軸受の軌道輪と転動体との接触により生じる接触部の応力体積を複数の部分応力体積に分割し、各部の部分応力体積の寿命から全体の寿命を求める軸受の寿命予測方法において、表層部の部分応力体積に対して非表層部よりも大きな応力を適用することによって応力集中を表し、この応力集中に、油膜パラメータΛで表される潤滑状態の寿命に及ぼす影響を反映させて寿命を求めることを特徴とする軸受の寿命予測方法。
  2. 転がり軸受の軌道輪と転動体との接触により生じる接触部の応力体積Vを複数の部分応力体積ΔVi に分割し、各部の部分応力体積ΔVi の寿命ΔLi から全体の寿命Lを求める軸受の寿命予測方法において、次の(5),(6),(7)式を用い、かつ同式中に適用する局部応力σi として、表層部の部分応力体積ΔVi に対して非表層部の部分応力体積ΔVi よりも大きな応力を適用することによって応力集中を表し、この応力集中に、油膜パラメータΛで表される潤滑状態の寿命に及ぼす影響を反映させて寿命を求めることを特徴とする軸受の寿命予測方法。
    Figure 2004245635
  3. 請求項2において、油膜パラメータΛの影響で応力集中を受ける部分の深さを、接触楕円短軸半径との比で表す軸受の寿命予測方法。
  4. 請求項2または請求項3において、応力集中部に適用する応力の大きさを、表面粗さ突起の高さ分布累積度数に従って増加するとした軸受の寿命予測方法。
  5. 請求項2ないし請求項4のいずれかにおいて、応力集中部に適用する応力の大きさを、2次元接触応力分布に基づいて求める軸受の寿命予測方法。
  6. 軸受使用機器において、使用する軸受を選定する基準の一つとして、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の軸受の寿命予測方法を用いて選定する軸受使用機器の軸受設計方法。
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