JP2534340B2 - 感温センサ― - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、電気毛布、電気カーペット等に好適に使用
される感温センサーに関するものである。

（従来の技術） 電気毛布等には、ヒーター線としての機能と感温セン
サーとしての機能とを兼備した感温電線が使用されるこ
とが多い。このような感温電線は一次導体と二次導体と
の間に感温層を配置したものであり、感温層を形成する
材料の融点を利用して異常加熱時に短絡機能を示すよう
にすることが必要である。

従来、このような用途に用いられている感温材料とし
ては、ポリアミド樹脂類にフェノール系添加剤、リン系
添加剤等をそれぞれ配合してなる組成物が知られてい
る。

しかし、この場合、上記ポリアミド樹脂組成物からな
る感温層が、外皮層材として一般に用いられるポリ塩化
ビニル樹脂と接触し、該ポリ塩化ビニル樹脂からの脱離
塩化水素による影響を受けるので、その耐熱性の低下は
避けられない。

これを改良するために、例えば、特開昭53−112953号
に開示する如く、フェノール基含有有機化合物及びリン
含有化合物を感温層材のポリアミド樹脂組成物に配合す
る試みがなされている。

また、ポリアミド樹脂自体は温度検知機能が小さいの
で、これを改良するように亜リン酸エステル類を配合す
る試みもなされている（特開昭56−71211号公報参
照）。

しかしながら、これらの感温層材料におけるリン含有
化合物及びフェノール基含有化合物は、必ずしも上記の
脱離塩化水素による影響をまぬかれることができず、問
題点を残している。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は、このような従来のものの欠点を除去し、上
述のポリ塩化ビニルからの脱離塩化水素の影響を抑制
し、耐熱性に優れたポリアミド樹脂系感温層材料からな
る感温センサーを提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段） 本発明者等は、この課題を解決すべく鋭意研究を行な
った結果、本発明を完成するに到った。

すなわち、本発明の感温センサーは、感温層が、ポリ
アミド樹脂100重量部に対してハイドロタルサイト0.5〜
５重量部を配合した高分子感温材組成物によって形成さ
れていることを特徴とする。

本発明において、用いられるポリアミド樹脂は、具体
的に、６−ナイロン、66−ナイロン、11−ナイロン、12
−ナイロン、及びこれらをベースとした共重合体が好ま
しい。又、これらのポリアミド樹脂単体で負のサーミス
タ特性は得られるが、感温層としては感度が低いので、
通常は各種の添加剤を加えて、該ポリアミド樹脂の結晶
化を抑え、可塑化することにより上記のサーミスタ特性
を高くして用いるのが好ましい。

これらの目的で添加する添加剤としては、ポリアミド
樹脂と相溶性のよいフェノール系可塑剤、リン酸エステ
ル系可塑剤等を用いることができる。

又、ポリアミド樹脂自体の酸化劣化を防ぐために、ヒ
ンタードフェノール系熱安定剤、アミン系熱安定剤、亜
リン酸系熱安定剤、ハロゲン化銅、ハロゲン化カリウム
等の無機系安定剤を使用することができる。

本発明においては、ポリアミド樹脂組成物からなる感
温層に外接して設けられた塩化ビニル系樹脂外皮層から
の脱離塩化水素による感温層のポリアミド樹脂の酸化分
解及び加水分解を防止するために、ポリアミド樹脂に対
して脱離塩化水素を効果的に捕捉して反応吸収する作用
のあるハイドロタルサイトを添加する。

このハイドロタルサイトは、その粒子径が小さい方が
表面積が大きくなるため効果が大きい。この添加剤は、
ポリアミド樹脂100重量部に対して0.5〜５重量部配合す
る。その理由は、0.5重量部未満では上記の塩化水素の
捕捉効果が小さく、又、５重量部を超えると、サーミス
タ特性を低下させてしまうばかりでなく、その溶融粘度
が高くなり、異常加熱時の短絡機能が働きにくくなり、
いずれも好ましくないからである。

（作 用） 本発明においては、上述のポリアミド樹脂中のハイド
ロタルサイトが脱離塩化水素を適切に捕捉し、該脱離塩
化水素による上述の耐熱性への影響を回避する作用を示
すのである。

（実施例） 以下に、本発明をさらに具体的に実施例によって説明
する。

実施例１〜３、比較例１〜３ 第１図は、実施例の感温電線を示すものである。

第１図において、参照数字１はポリエステル繊維、ア
ラミド繊維等を用いた芯糸、２は一次導体箔、３は感温
層、４は二次導体箔、５は外皮層である。

一次導体箔２及び二次導体箔４は共に銅合金導体箔に
よって形成され、一方をヒーター線として用いる。また
５は塩化ビニル系樹脂によって形成されている。

感温層３をなす材料としては、次の第１表の組成の感
温材料をそれぞれ用いた。

得られた感温電線について、それぞれの特性を評価
し、その結果を第１表に示す。

第１表の結果によれば、本発明の実施例は、比較例の
ものに比べて、前記の問題点のポリ塩化ビニルの影響に
よる耐熱性の低下が大幅に改善されている。結果的に実
施例品を用いた電気毛布、電気カーペット等の寿命及び
安全性が向上しているのは明らかである。

（発明の効果） 本発明によれば、前記実施例の結果からも明らかなよ
うに、ポリアミド樹脂をベース樹脂としてなる感温材組
成物において、ポリアミド樹脂100重量部に対して、ハ
イドロタルサイト0.5〜10重量部を配合したことによ
り、形成される前記感温層の特性を著しく向上させるこ
とができる。その工業的利用効果は非常に大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例の感温電線の構造を示す端
部を一部剥した側面図である。 １……芯糸、２……一次導体箔 ３……感温層、４……二次導体箔 ５……外皮層

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】一次導体と、二次導体と、これら一次、二
   次導体間に配置された感温層と、塩化ビニル系樹脂から
   なる外皮層とを設けた感温センサーにおいて、前記感温
   層が、上記ポリアミド樹脂100重量部に対してハイドロ
   タルサイト0.5〜５重量部を配合した高分子感温材組成
   物によって形成されていることを特徴とする感温センサ
   ー。