JP2534144Y2 - 液晶表示素子 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、液晶表示素子に関するものである。

〔従来の技術〕

液晶表示素子は、透明電極および配向膜を形成した一
対の基板間に液晶を封入したもので、前記一対の基板は
シール材によって接着されている。

この液晶表示素子は一般に、一対の基板をシール材に
より接着して液晶セルを組立てた後、前記シール材の一
部にあらかじめ形成しておいた液晶注入口から真空注入
法によってセル内に液晶を注入充填し、この後液晶注入
口を封止する方法で製造されている。

しかし、この製造方法では、真空注入法によるセル内
への液晶の注入に際してセルの液晶注入口を形成した側
面を液晶皿に浸漬しなければならないため、セルの側面
に液晶が付着してこの液晶が無駄になってしまうし、ま
た液晶の注入後に、セルの側面に付着した液晶の洗浄お
よび液晶注入口の封止を行なわなければならないため、
液晶表示素子の製造が面倒であった。

このため、最近では、セルを組立てる前に、その一方
の基板上に適量の液晶を供給し、この後一対の基板を真
空中で重合接着してセルを組立てる製造方法が考えられ
ており、この方法によれば、液晶を無駄にすることな
く、かつ能率的に液晶表示素子を製造することができ
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、従来の液晶表示素子は、一対の基板を
接着するシール材としてエポキシ系接着剤を用いている
ため、一方の基板上に液晶を供給した後に一対の基板を
接着する方法で液晶表示素子を製造すると、液晶表示素
子の表示特性が悪くなってしまうという問題をもってい
た。

これは、シール材であるエポキシ系接着剤が、未硬化
の状態では液晶に溶解したり、また液晶を分解するため
である。すなわち、上記製造方法は、一方の基板上に適
量の液晶を供給し、一対の基板を重ね合わせて両基板間
のシール材で囲まれた領域全体に液晶を押し広げた後、
一対の基板のいずれかにあらかじめ印刷しておいたシー
ル材を硬化させて両基板を接着するものであるため、シ
ール材を硬化させる前に、このシール材に液晶が触れ
る。そして、シール材として従来使用されているエポキ
シ系接着剤は、未硬化の状態では液晶に溶解したり、ま
た液晶を分解するため、シール材の付近の液晶が変質
し、この液晶の変質によって液晶表示素子の表示特性が
悪くなる。なお、この液晶の変質は、時間の経過にとも
なって素子の中央側に進行して行く。

本考案は上記のような実情にかんがみてなされたもの
であって、その目的とするところは、一方の基板上に液
晶を供給した後に一対の基板を接着する方法で製造して
も、液晶に変質を生じさせることなく良好な表示特性を
得ることができる液晶表示素子を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の液晶表示素子は、上記目的を達成するため、
接着剤からなる枠状のシール材が予め形成された一方の
基板と、一方の基板と枠状のシール材を介し対向させて
接合され、所定の間隙の密封領域を形成する他方の基板
と、一方の基板と他方の基板の内の何れかの基板の枠状
のシール材で囲まれた領域に滴下され、一方の基板と他
方の基板とにより密封領域内に押し広げられて均一な液
晶層を形成した液晶とを備え、シール材は、付加反応型
シリコン系接着剤からなり、一方の基板と他方の基板と
を接合すると共に前記液晶を変質させずに密封するもの
である。

〔作用〕

すなわち、本考案は、一対の基板を接着するシール材
としてシリコン系接着剤を用いたものであり、このシリ
コン系接着剤は未硬化状態でも液晶に溶解したり、液晶
を分解しないから、本考案の液晶表示素子は、一方の基
板上に液晶を供給した後に一対の基板を接着する方法で
製造しても、液晶に変質を生じさせることなく良好な表
示特性を得ることができる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図および第２図を参照
して説明する。

第１図は本実施例の液晶表示素子の断面図であり、図
中1,2はガラス等からなる一対の透明基板であり、この
一対の基板1,2の対向面には、図示しないが、透明電極
と配向膜がそれぞれ形成されている。なお、カラー画像
を表示する液晶表示素子の場合は、両基板1,2のいずれ
か一方にカラーフィルタが形成されている。そして、こ
の一対の基板1,2は、例えば付加反応型シリコン接着剤
等のシリコン系接着剤からなる枠状のシール材３を介し
て接着されており、両基板1,2間のシール材３で囲まれ
た領域には液晶４が封入されている。

第２図は上記液晶表示素子の製造方法を示している。
この製造方法は、一方の基板上に液晶を供給した後に一
対の基板を接着する方法であり、上記液晶表示素子は次
のようにして製造される。

まず、第２図（ａ）に示すように、透明電極および配
向膜を形成した一対の基板1,2のうち、一方の基板１面
に、シリコン系接着剤からなるシール材３をスクリーン
印刷法等により枠状に印刷し、このシール材３をその硬
化温度より低い温度で、圧力を加えたときに変形する程
度の硬度に予備硬化させる。

次に、第２図（ｂ）に示すように、他方の基板２上に
滴下法または転写法等によって適量の液晶４を供給し、
この後、真空中で、液晶４を供給した基板２の上に、シ
ール材３を印刷した前記一方の基板１を対向させて、こ
の両基板1,2を重ね合わせる。

次に、第２図（ｃ）に示すように、両基板1,2を加圧
してこの両基板1,2の間隔を所定のセルギャップにす
る。このとき、シール材３は両基板1,2間で押しつぶさ
れてセルギャップの厚さに変形し、また液晶４は両基板
1,2間のシール材３で囲まれた領域全体に押し広げられ
る。

この場合、両基板1,2間で押し広げられた液晶４は、
未硬化状態（予備硬化状態）のシール材３に触れるが、
このシール材３はシリコン系接着剤であり、このシリコ
ン系接着剤は耐溶剤性が高くかつ化学的に安定であるた
めに、未硬化状態でも液晶に溶解しないし、また液晶を
分解することもないから、シール材３の付近の液晶４中
にシール材３から不純物が溶け込んだり、また液晶が分
解して、液晶４が変質することはない。

そして、両基板1,2を所定のセルギャップになるまで
加圧した後は、この加圧状態を維持しながら、シール材
３の硬化温度以上に加熱して、シール材３を硬化させ、
このシール材３により両基板1,2を接着して液晶表示素
子を完成する。

すなわち、上記実施例の液晶表示素子は、一対の基板
1,2を接着するシール材としてシリコン系接着剤を用い
たものであり、このシリコン系接着剤は未硬化状態でも
液晶に溶解したり、また液晶を分解しないから、この液
晶表示素子は、一方の基板１上に液晶４を供給した後に
一対の基板1,2を接着する方法で製造しても、液晶４に
変質を生じさせることなく良好な表示特性を得ることが
できる。

〔考案の効果〕

本考案の液晶表示素子は、接着剤からなる枠状のシー
ル材が予め形成された一方の基板と、一方の基板と枠状
のシール材を介し対向させて接合され、所定の間隙の密
封領域を形成する他方の基板と、一方の基板と他方の基
板の内の何れかの基板の枠状のシール材で囲まれた領域
に滴下され、一方の基板と他方の基板とにより密封領域
内に押し広げられて均一な液晶層を形成した液晶とを備
え、シール材は、付加反応型シリコン系接着剤からな
り、一方の基板と他方の基板とを接合すると共に前記液
晶を変質させずに密封するものであるから、一方の基板
上に液晶を供給した後に一対の基板を接着する方法で製
造しても、液晶に変質を生じさせることなく良好な表示
特性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を示す液晶表示
素子の断面図およびその製造工程図である。 1,2……基板、３……シール材（シリコン系接着剤）、
４……液晶。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】接着剤からなる枠状のシール材が予め形成
   された一方の基板と、 前記一方の基板と前記枠状のシール材を介し対向させて
   接合され、所定の間隙の密封領域を形成する他方の基板
   と、 前記一方の基板と前記他方の基板の内の何れかの基板の
   前記枠状のシール材で囲まれた領域に滴下され、前記一
   方の基板と前記他方の基板とにより前記密封領域内に押
   し広げられて均一な液晶層を形成した液晶とを備え、 前記シール材は、付加反応型シリコン系接着剤からな
   り、前記一方の基板と前記他方の基板とを接合すると共
   に前記液晶を変質させずに密封することを特徴とする液
   晶表示素子。