JP2534142Y2 - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置

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JP2534142Y2
JP2534142Y2 JP1989109610U JP10961089U JP2534142Y2 JP 2534142 Y2 JP2534142 Y2 JP 2534142Y2 JP 1989109610 U JP1989109610 U JP 1989109610U JP 10961089 U JP10961089 U JP 10961089U JP 2534142 Y2 JP2534142 Y2 JP 2534142Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は内燃機関の点火時期制御装置に関する。
〔従来の技術〕
ノッキングが発生したときに点火時期を遅角させるよ
うにした点火時期制御装置が公知である(特開昭58-135
424号公報参照)。この点火時期制御装置ではノッキン
グが発生すると点火時期が遅角されるのでその後のノッ
キングの発生を抑制することができる。
〔考案が解決しようとする課題〕
ところで通常基本となる点火時期は最適点火時期(M.
B.T)に設定されており、この場合機関負荷が高いとき
にはノッキングが発生する可能性があるが機関負荷が低
いときには本来的にノッキングが発生しない。ところが
機関負荷運転時でも何らかの原因によってノッキングが
発生することもあるがこのノッキングは大きくなること
はなく、従って上述の点火時期制御装置におけるように
ノッキングが発生したときに機関負荷が低いときでも点
火時期を遅らせるようにすると機関出力が低下すると共
に燃料消費率が悪化するだけであまりメリットはない。
そこで通常は機関負荷が予め定められた設定負荷より
も低いときはノッキングが発生しても点火時期を遅角さ
せず、機関負荷が設定負荷よりも高いときのみノッキン
グが発生したときに点火時期を遅角するようにしてい
る。ところがこの設定負荷をどのように定めるかが難か
しい問題となる。即ち、設定負荷が小さくしすぎると大
きく成長しないノッキングが発生したときにも点火時期
が遅角されることになり、斯くして上述したように機関
出力が低下すると共に燃料消費率が低下するだけであま
りメリットがない。これに対して設定負荷を大きくしす
ぎるとノッキングが大きく成長して機関に損傷を与える
という問題がある。更に、機関負荷が設定負荷よりも高
くなったときにノッキングが発生すれば点火時期を遅角
し、機関負荷が設定負荷よりも低くなったときにはたと
えノッキングが発生していたとしても点火時期を遅角し
ないようにすると機関負荷が設定負荷を中心として変動
したときに点火時期が大巾に変動し、斯くして機関出力
が変動するという問題がある。
〔課題を解決するための手段〕
上記問題点を解決するために本考案によれば第1図の
考案の構成図に示されるようにノッキングの発生を検出
するノッキング検出手段Aと、機関負荷を検出する機関
負荷検出手段Bと、ノッキングを発生したときの点火時
期の遅角量が予め定められた設定遅角量を越えないよう
に点火時期を制御する点火時期制御手段Cとを具備した
内燃機関の点火時期制御装置において、設定遅角量を制
御するめに機関負荷について第1の設定負荷と第1の設
定負荷よりも大きな第2の設定負荷とを設定し、機関負
荷が第2の設定負荷よりも大きいときの第2の設定遅角
量を機関負荷が第1の設定負荷よりも低いときの第1の
設定遅角量よりも大きくし、機関負荷が第1の設定負荷
よりも低い負荷から第1の設定負荷と第2の設定負荷の
間に変化したときには設定遅角量を第1の設定遅角量に
維持すると共に、機関負荷が第2の設定負荷よりも高い
負荷から第1の設定負荷と第2の設定負荷の間に変化し
たときには設定遅角量を第2の設定遅角量と第1の設定
遅角量の中間の遅角量に設定する設定遅角量制御手段D
とを具備している。
〔作用〕
第1の設定負荷と第2の設定負荷との間の負荷に高負
荷側から移行した場合と低負荷側から移行した場合とで
設定遅角量の設定に対しヒステリシスが与えられる。
〔実施例〕
第2図を参照すると、1は機関本体、2はピストン、
3はシリンダヘッド、4は燃焼室、5は点火栓、6は吸
気弁、7は吸気ポート、8は排気弁、9は排気ポートを
夫々示し、吸気ポート7は対応する枝管10を介してサー
ジタンク11に連結される。各枝管10には燃料噴射弁12が
取付けられ、これら燃料噴射弁12からは対応する吸気ポ
ート7内に向けて燃料が噴射される。サージタンク11は
吸気ダクト13およびエアフローメータ14を介して図示し
ないエアクリーナに接続され、吸気ダクト13内にはスロ
ットル弁15が配置される。一方、排気ポート9は排気マ
ニホルド16に接続され、この排気マニホルド16内に酸素
濃度検出器17が配置される。燃料噴射弁12および点火栓
5は電子制御ユニット30に接続され、燃料噴射弁12から
の噴射時期および点火栓5による点火時期は電子制御ユ
ニット30の出力信号に基いて制御される。
電子制御ユニット30はディジタルコンピュータからな
り、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リ
ードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモ
リ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35
および出力ポート36を具備する。エアフローメータ14は
吸入空気量に比例した出力電圧を発生し、この出力電圧
はAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。酸素
濃度検出器17は機関シリンダ内に供給される混合気がリ
ーンのときは0.1ボルト程度の出力電圧を発生し、機関
シリンダ内に供給される混合気がリッチのときは0.9ボ
ルト程度の出力電圧を発生する。この酸素濃度検出器17
の出力電圧はAD変換器38を介して入力ポート35に入力さ
れる。また、シリンダヘッド3にはシリンダヘッド3の
振動強度に比例した出力信号を発生するノッキングセン
サ18が取付けられ、このノッキングセンサ18の出力電圧
がAD変換器39を介して入力ポート35に入力される。ま
た、機関本体1には機関冷却水温に比例した出力電圧を
発生する水温センサ19が取付けられ、この水温センサ19
の出力電圧はAD変換器40を介して入力ポート35に入力さ
れる。上死点検出センサ20は180クランク角度毎に出力
パルスを発生し、クランク角センサ21は30クランク角度
毎に出力パルスを発生し、これら上死点検出センサ20お
よびクランク角センサ21の出力パルスが入力ポート35に
入力される。電子制御ユニット30内では上死点検出セン
サ20およびクランク角センサ21の出力パルスから現在の
クランク角が計算され、クランク角センサ21の出力パル
スから機関回転数が計算される。
一方、出力ポート36は対応する駆動回路41,42を介し
て点火栓5および燃料噴射弁12に接続される。
第3図(A)の実線X1は機関負荷Q/N(吸入空気量Q/
機関回転数N)が0.6(l/rev)のときの最適点火時期
(M.B.T)を示しており、第3図(B)の実線X2は機関
負荷Q/Nが0.7(l/rev)のときの最適点火時期(M.B.T)
を示している。また、第3図(A)および(B)におけ
る破線Y1,Y2は大きく成長するノッキングが発生する点
火時期の進角限界を示している。本考案による実施例で
は基本となる点火時期は最適点火時期X1,X2に設定され
ており、この最適点火時期は機関負荷Q/Nが高くなると
遅角側となる。従って第3図(A)からわかるように機
関負荷Q/Nが0.6(l/rev)よりも低ければ最適点火時期X
1がノッキング発生限界点火時期Y1に対して遅角されて
いるので大きく成長するノッキングは発生することがな
い。一方、第3図(B)からわかるように機関負荷Q/N
が0.7(l/rev)よりも高くなると最適点火時期X2がノッ
キング発生限界点火時期Y2よりも進角側にあるので大き
く成長するノッキングが発生する可能性が極めて高い。
従って機関負荷Q/Nが0.7(l/rev)のときにはノッキン
グが発生したときには点火時期を最適点火時期X2に対し
て徐々に遅角させると共にこのときの遅角量KLに限界を
設けている。この限界値は下限ガード値と称され、第3
図(B)の鎖線Zで示される。第3図(B)からわかる
ようにこの下限ガード値Zはノッキング発生限界点火時
期Y2に対して多少の余裕をもって遅角側に設定される。
なお、第3図(B)に示される実施例では遅角量KLは機
関回転数Nによらずに一定である。なお、下限ガード値
Zは点火時期がこれ以上低下すると機関出力が大巾に低
下すると共に燃料消費率が悪化する限界値である。
ところが機関負荷Q/Nが0.6(l/rev)<Q/N<0.7(l/r
ev)では大きく成長するノッキングが発生するか否かが
不明瞭な領域である。この負荷領域ではノッキングが発
生したときに点火時期を少し遅角すればノッキングはそ
れ以上大きくなることはなく、従ってこの負荷領域でノ
ッキングが発生したときに点火時期を遅角量KLまで遅角
させると過遅角となって機関出力が低下すると共に燃料
消費率が悪化する。一方、この領域においてノッキング
が発生したときに点火時期を遅角させないと大きなノッ
キングに成長する可能性がある。
従って第4図(A)に示す第1実施例では実線で示さ
れるようにQ/N0.7(l/rev)のときには遅角量KLを大
きな値Aとしておき、機関負荷が次第に小さくなって0.
6(l/rev)<Q/N<0.7(l/rev)となったときには遅角
量KLを小さな値Bとするようにしている。従って機関負
荷が次第に小さくなって0.6(l/rev)<Q/N<0.7(l/re
v)になったときにはノッキングが発生したときに点火
時期が遅角量Bまでしか遅角しないので機関出力がさほ
ど低下することがないと共に燃料消費率もさほど悪化す
ることがない。また、点火時期が遅角量Bまで遅角され
ればノッキングが大きく成長することもない。
一方、第1実施例では破線で示されるように機関負荷
Q/Nが0.6(l/rev)よりも低いときには遅角量KL=Oで
あり、即ち点火時期が基本となる点火時期とされ、機関
Q/Nが次第に大きくなって0.6(l/rev)<Q/N<0.7(l/r
ev)となったときにも遅角量KL=Oであり、点火時期が
基本となる点火時期とされる。この場合、0.6(l/rev)
<Q/N<0.7(l/rev)でノッキングが大きくなる可能性
があるが遅角量KLの設定に対してヒステリシスを設けて
いるので機関負荷が0.6(l/rev)〜0.7(l/rev)付近で
変動したときに点火時期が大巾に変動して機関出力が変
動する危険性はない。
第4図(B)に示す第2実施例では、0.6(l/rev)<
Q/N<0.7(l/rev)で遅角量KLが小さな値Bとされる。
従ってこの場合には0.6(l/rev)<Q/N<0.7(l/rev)
においてノッキングが大きく成長することがなく、また
機関出力がさほど低下することがないと共に燃料消費率
もさほど悪化しない。しかしながらこの実施例では遅角
量KLに対してヒステリシスを設けていないので第1実施
例に比べて点火時期が変動するというデメリットがあ
る。
第5図および第6図は第4図(A)に示す点火時期制
御を実行するためのルーチンを示しており、このルーチ
ンは一定時間毎の割込みによって実行される。
第5図および第6図を参照するとまず初めにステップ
50において機関負荷Q/Nが0.7(l/rev)以上か否かが判
別される。Q/N0.7(l/rev)のときにはステップ51に
進んでフラグがセットされる。次いでステップ52におい
て遅角量KLがAとされ、ステップ53に進む。
一方、Q/N<0.7(l/rev)のときはステップ54に進ん
で機関負荷Q/Nが0.6(l/rev)以下であるか否かが判別
される。Q/N<0.6(l/rev)であればステップ55に進ん
でフラグがリセットされる。即ち、フラグはQ/N<0.6
(l/rev)となったときにリセットされる。一方、Q/N
0.6(l/rev)のときはステップ56に進んでフラグがセッ
トされているか否かが判別される。フラグがセットされ
ているときにはステップ57に進んで遅角量KLがBとされ
る。このBはAの半分或いは1/4等である。次いでステ
ップ53に進む。
ステップ53ではノッキングセンサ18の出力信号に基い
てノッキングが発生しているか否かが判別される。ノッ
キングが発生しているときにはステップ58に進んで遅角
量KCSに0.5度が加算される。次いでステップ59では遅角
量KCSがKLよりも大きいか否かが判別され、KCSKLのと
きにはステップ60に進む。ステップ60では吸入空気量Q
および機関回転数Nから基本点火時期θが計算され
る。この基本点火時期θは最適点火時期(M.B.T)と
なっている。次いでステップ61では機関冷却水温等に基
く点火時期の補正値θが計算され、次いでステップ62
において次式に基いて点火時期θが計算される。
θ=θ+θ−KCS ノッキングが発生している限りステップ58で遅角量KC
Sに0.5度が加算され続けるので点火時期θは徐々に遅角
せしめられる。次いでステップ59でKCS>KLになるとス
テップ63に進んでKCS=KLとされるので点火時期θはKL
以上遅角されることがない。
ステップ53においてノッキングが発生していないと判
別されたときはステップ64に進んで遅角量KCSから0.5度
が減算される。従ってノッキングの発生が停止すると点
火時期θは徐々に進角される。次いでステップ65では遅
角量KCSが正であるか否かが判別され、KCSOになると
ステップ66に進んでKCS=Oとされる。
一方、Q/N<0.6(l/rev)であるか0.6(l/rev)Q/N
<0.7(l/rev)であってもフラグがリセットされている
ときにはステップ66に進んで遅角量KCS=Oとされる。
従ってこの場合にはノッキングが発生しても点火時期θ
は遅角されない。
第7図は第4図(B)に示す点火時期制御を実行する
ためのルーチンを示している。第7図のルーチンと第5
図および第6図のルーチンの異なるところは第5図およ
び第6図の鎖線で囲んだ部分だけであり、従って第7図
にはこの部分のみを示す。
第7図を参照するとこのルーチンではまず初めにステ
ップ70においてQ/N0.7(l/rev)か否かが判別され、Q
/N0.7(l/rev)のときにはステップ71に進んでKL=A
とされる。Q/N<0.7(l/rev)のときにはステップ72に
進んでQ/N<0.6(l/rev)か否かが判別され、Q/N0.6
(l/rev)のときにはステップ73に進んでKL=Bとされ
る。Q/N<0.6(l/rev)のときにはステップ66(第5
図)に進んでKCS=Oとされる。
〔考案の効果〕
機関負荷が変動したときに点火時期が変動して機関出
力が大巾に変動するのを阻止しつつ、機関出力の低下、
燃料消費率の悪化およびノッキングの成長を適度に抑制
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案の構成図、第2図は内燃機関の全体図、
第3図は点火時期を示す線図、第4図は遅角量を示す線
図、第5図および第6図は点火時期を制御するためのフ
ローチャート、第7図は点火時期を制御するための別の
実施例のフローチャートである。 5……点火栓、18……ノッキングセンサ。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】ノッキングの発生を検出するノッキング検
    出手段と、機関負荷を検出する機関負荷検出手段と、ノ
    ッキングが発生したときの点火時期の遅角量が予め定め
    られた設定遅角量を越えないように点火時期を制御する
    点火時期制御手段とを具備した内燃機関の点火時期制御
    装置において、上記設定遅角量を制御するめに機関負荷
    について第1の設定負荷と第1の設定負荷よりも大きな
    第2の設定負荷とを設定し、機関負荷が第2の設定負荷
    よりも大きいときの第2の設定遅角量を機関負荷が第1
    の設定負荷よりも低いときの第1の設定遅角量よりも大
    きくし、機関負荷が第1の設定負荷よりも低い負荷から
    第1の設定負荷と第2の設定負荷の間に変化したときに
    は設定遅角量を上記第1の設定遅角量に維持すると共
    に、機関負荷が第2の設定負荷よりも高い負荷から第1
    の設定負荷と第2の設定負荷の間に変化したときには設
    定遅角量を上記第2の設定遅角量と第1の設定遅角量の
    中間の遅角量に設定する設定遅角量制御手段とを具備し
    た内燃機関の点火時期制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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