JP2533438B2 - 直接通電用コイル - Google Patents

直接通電用コイル

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JP2533438B2
JP2533438B2 JP4269564A JP26956492A JP2533438B2 JP 2533438 B2 JP2533438 B2 JP 2533438B2 JP 4269564 A JP4269564 A JP 4269564A JP 26956492 A JP26956492 A JP 26956492A JP 2533438 B2 JP2533438 B2 JP 2533438B2
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induction
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立美 中村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークの表面焼入に使
用される直接通電用コイルに関する。
【0002】
【従来の技術】ラックギアのような長尺状のワークの表
面を焼入する方法として、直接通電用コイルを使用した
高周波焼入がある。この高周波焼入に使用される従来の
直接通電用コイルを図3に示す。
【0003】従来の直接通電用コイルは、ベース上に水
平に固定された角筒状の誘導コイル1を備えている。誘
導コイル1は、焼入ジャケットを兼ねており、上面に多
数の焼入液噴出孔を有する。誘導コイル1の一端部上面
には第1の接触子2が取り付けられており、他端部下面
にはリード3が取り付けられている。誘導コイル1の他
端側には、第2の接触子4が配置されている。そして、
リード3と接触子4の間に高周波電源5が接続されてい
る。
【0004】焼入すべき長尺状のワークWは、接触子
2,4に跨がって接触子2,4上に載置され、接触子
2,4の上からワーク押さえにより圧下されて、両端部
下面が接触子2,4に圧接される。リード3と接触子4
の間に接続された高周波電源5を作動させると、誘導コ
イル1を経由してワークWの下面表層部に高周波電流が
流れ、その表層部が通電加熱される。また、誘導コイル
1を流れる高周波電流により、ワークWの下面表層部に
誘導電流が生じ、この誘導電流によってもワークWの下
面表層部が加熱される。
【0005】ワークWの下面表層部が所定の焼入温度に
加熱されると、誘導コイル1内に焼入液を導入する。こ
れにより、誘導コイル1の上方へ焼入液が噴出され、ワ
ークWの下面表層部が急冷されて所定の焼入組織とな
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ワーク
Wは加熱により湾曲し、通常は加熱温度が高い誘導コイ
ル1の側に凸となるように変形して、長手方向中央部が
誘導コイル1に接近する。この接近は、ワークWの長さ
が比較的短い場合は問題にならないが、ワークWの長さ
が長くなると顕著となり、極端な場合はワークWの中央
部が誘導コイル1に接触する。ワークWが誘導コイル1
に接触すると、火花が飛び、ワークWが損傷し、誘導コ
イル1も損傷する。また、ワークWが誘導コイル10に
接触しないまでも、その接近が顕著になるとワークWの
加熱が長手方向でばらつき、焼入品質が低下する。
【0007】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であり、ワークの長さが長い場合にも、ワークの湾曲に
起因する損傷や焼入品質の低下を防止できる直接通電用
コイルを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる直接通電
用コイルは、焼入すべきワークの長手方向に高周波電流
を流して該ワークの表面を直接通電加熱すると共に、そ
の表面に沿って配置された誘導コイルの長手方向に高周
波電流を流すことにより表面を高周波誘導加熱する直接
通電用コイルにおいて、前記誘導コイルが長手方向に分
割された複数の部材からなり、隣接する部材が折曲自在
に且つ導電可能に連結されることにより、誘導コイルが
ワークの湾曲に対応して変形するよう構成したことを特
徴としている。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明の一実施例を示す直接通電用コイル
の側面図、図2は図1のA−A線断面矢視図である。
【0010】本直接通電用コイルは、ラックギアのよう
な長尺状のワークWの焼入に主として使用され、図3に
示した従来の直接通電用コイルとは、誘導コイルが主に
異なっている。
【0011】本直接通電用コイルに使用された誘導コイ
ル10は、絶縁物からなるベース20の上に間隔をあけ
て水平に支持され、その長手方向に3分割されている。
両端の部材11,11は、断面がほぼ正方形の角筒状の
銅管からなり、上面に多数の焼入液噴出孔を有する。中
央の部材13も、断面がほぼ正方形の角筒状の銅管から
なり、上面に多数の焼入液噴出孔を有する。そして、両
端の部材11,11の中央側の端部が、中央の部材13
の両端部に下方から重なり、部材11,13,11が上
下に屈曲自在に連結されている。
【0012】即ち、両端の部材11の両端部には、両端
側へ突出した突出部12,12が設けられている。突出
部12の上面には半円形の凸部が設けられている。一
方、中央の部材13の両端部には、突出部12,12が
嵌合する凹部付きの切欠部14,14が設けられてい
る。そして、切欠部14,14に両端の部材11,11
の中央側の突出部12,12が嵌合することにより、部
材11,13,11が上下に屈曲自在に連結されてい
る。
【0013】両端の部材11,11の中央側の突出部1
2,12は、スプリング15aによって上方に付勢され
ている。一方、中央の部材13の両端部は、一対のアー
ム16,16によってベース20に連結されている。ア
ーム16の上端部は、部材13の端部側面に回動自在に
接続され、下端部はピン17に接続されている。ピン1
7は、ベース20上のブラケット18に設けた長孔18
aに沿って上下動し、上限で部材11,13,11を水
平に支持する。中央の部材13の両端部上面には、ワー
クWの下面に当接する絶縁性の接触チップ19が取り付
けられている。
【0014】誘導コイル10の一端側には、第1の接触
子30が配設されている。接触子30はベース20上に
立設されており、他端側の側面から水平に突出したコイ
ル部31を有する。コイル部31は、誘導コイル10と
同一レベルにあり、誘導コイル10と同様に焼入液を噴
出するようになっている。そして、コイル部31の平坦
な下面に、一端側の部材11の一端部に設けた突出部1
2の凸部がスプリング15bによって押し付けられてい
る。
【0015】誘導コイル10の他端側には、リード40
が配設されている。リード40は、ベース20を垂直に
貫通して固定されており、その上端部は、一端側に屈曲
してコイル部41を形成している。コイル部41は、接
触子30のコイル部31と同様に、誘導コイル10と同
一レベルにあり、焼入液を噴出するようになっている。
そして、コイル部41の下面に形成した半円形の凹部
に、他端側の部材11の他端部に設けた突出部12の凸
部が嵌合し、この状態で、コイル部41に突出部12が
スプリング15cによって押し付けられている。
【0016】リード40の更に他端側には、第2の接触
子50が配設されている。該接触子50は、リード40
と同様に、ベース20を垂直に貫通して固定されてお
り、リード40との間には絶縁体60が介在されてい
る。そして、リード40と第2の接触子50が図示され
ない高周波電源に接続されている。
【0017】次に、本直接通電用コイルを使用した焼入
操作を説明する。
【0018】ワークWがラックギアの場合、先ず、その
歯部を下にして接触子30,50によりワークWの両端
部を支持する。次いで、ワークWの両端部をエアシリン
ダ70,70により下方に押さえて、両端部下面を接触
子30,50に押し付ける。これにより、ワークWが歯
部を誘導コイル10の上面に対向させて水平に固定され
る。
【0019】ワークWのセットが終わると、高周波電源
を作動させる。高周波電源の作動により、リード40−
誘導コイル10−第1の接触子30−ワークW−第2の
接触子50なる通電経路が形成され、高周波電流がワー
クWおよび誘導コイル10に流れる。そして、ワークW
を流れる高周波電流により、ワークWの歯部が直接通電
加熱されると共に、該歯部が誘導コイル10を流れる高
周波電流によっても誘導加熱される。
【0020】ワークWが加熱されると、該ワークWが下
方に凸の状態に湾曲する。即ち、ワークWの長手方向中
央部が下がる。そうなると、誘導コイル10において
は、接触チップ19,19がワークWの下面によって下
方へ押され、中央の部材13が下がる。一方、一端側の
部材11の一端部は、コイル部31に下方から押し付け
られているため下降しない。ただし、その接触部は、電
気的な接触を保ったまま屈曲する。他端側の部材11の
他端部も、コイル部41に対して電気的な接触を保った
まま屈曲する。その結果、部材11,13,11、即ち
誘導コイル10は、ワークWの湾曲に追従して下方に凸
の状態に変形する。従って、誘導コイル10とワークW
の間隔は、ワークWが湾曲しても当初の間隔が全長にわ
たってほぼ一定に保たれる。
【0021】なお、誘導コイル10が湾曲すると、その
一端から他端までの距離が変化する。この距離変化は、
一端側の部材11の一端面に設けた突出部12の凸部
が、コイル部31の平坦な下面に沿ってコイル長手方向
に移動することにより吸収される。また、他端側の部材
11の他端面に設けた突出部12の凸部は、コイル部4
1の下面に設けた凹部に嵌合することで、コイル長手方
向の位置決めを行っている。
【0022】そして、ワークWの歯部が所定の焼入温度
に加熱されると、通電を停止して、誘導コイル10の部
材11,13,11内に焼入液を導入し、その焼入液を
ワークWの歯部に吹き付けて、該歯部を所定の焼入組織
とする。
【0023】
【発明の効果】以上に説明した通り、本発明にかかる直
接通電用コイルは、誘導コイルがワークの湾曲に対応し
て変形するので、ワークの長さが長い場合にもワークと
誘導コイルの間隔を長手方向の全長にわたってほぼ一定
に維持できる。従って、ワークと誘導コイルの接触によ
る損傷が防止される。また、ワークの加熱が長手方向で
均一化され、ワークの焼入品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す直接通電用コイルの側
面図である。
【図2】図1のA−A線断面矢視図である。
【図3】従来の直接通電用コイルの側面図である。
【符号の説明】
10 誘導コイル 11,13 部材 15a,15b,15c スプリング 19 接触チップ 20 ベース 30 第1の接触子 31 コイル部 40 リード 41 コイル部 50 第2の接触子 W ワーク

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼入すべきワークの長手方向に高周波電
    流を流して該ワークの表面を直接通電加熱すると共に、
    その表面に沿って配置された誘導コイルの長手方向に高
    周波電流を流すことにより、ワークの表面を高周波誘導
    加熱する直接通電用コイルにおいて、前記誘導コイルが
    長手方向に分割された複数の部材からなり、隣接する部
    材が折曲自在に且つ導電可能に連結されることにより、
    誘導コイルがワークの湾曲に対応して変形するよう構成
    したことを特徴とする直接通電用コイル。
  2. 【請求項2】 隣接する部材の一方の端部を他方の端部
    に重ねて、端部同士を折曲自在に且つ導電可能に連結
    し、反ワーク側の端部をワーク側へ付勢すると共に、ワ
    ーク側の端部に、ワークの表面に接触してその表面まで
    の距離を一定に維持する絶縁性の接触チップを設けたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の直接通電用コイル。
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