JP2532227B2 - 炭素皮膜の気相合成装置 - Google Patents

炭素皮膜の気相合成装置

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JP2532227B2 JP62019483A JP1948387A JP2532227B2 JP 2532227 B2 JP2532227 B2 JP 2532227B2 JP 62019483 A JP62019483 A JP 62019483A JP 1948387 A JP1948387 A JP 1948387A JP 2532227 B2 JP2532227 B2 JP 2532227B2
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Description

【発明の詳細な説明】 a. 産業上の利用分野 本発明は炭素皮膜の気相合成装置に関する。
b. 従来の技術 炭素皮膜の気相合成装置としてマイクロ波を利用して
プラズマ処理をする装置が知られている。マイクロ波を
利用する利点として、他の方法よりもプラズマ密度が効
率的に高められること、プラズマ化できる圧力範囲が広
いこと、必要に応じて試料の加熱が可能なこと、放電を
起すための電極が反応容器中にないので試料表面の汚染
を少くできること等があげられる。
第4図は従来技術による炭素皮膜の気相合成装置の概
念図である。
マイクロ波発振器1aの出力電力は導波管2aを経由して
石英製反応容器3aに導かれる。反応容器3aにはガス供給
部6aから炭化水素と水素の混合ガスが導入され、排気部
7aから一定流量で排気される。これにより反応容器3aの
内部は一定の圧力に維持される。導入されたガスはマイ
クロ波電力によりプラズマ化され、試料台5の上に載置
された基板4の上に炭素皮膜を形成する。この際、基板
4a,試料5aはマイクロ波により必要な温度まで加熱され
る。なおマイクロ波の位相はプランジャー8aで調整され
る。
c. 発明が解決しようとする問題点 結晶作成一般について言えることであるが、特に気相
法による炭素皮膜の合成においては基板の温度制御が極
めて重要な役割を演じる。すなわち基板の温度を所定の
温度に、かつ一様な温度に保たなければならない。
従来技術による場合、基板の面積が小さいときは、加
熱は専らマイクロ波照射によって行なわれている。マイ
クロ波は基板加熱とプラズマ発生の2つの目的のために
使用されるので、両者についてそれぞれ最適の条件を同
時に達成することは困難である。
基板の面積が大きいときは、マイクロ波エネルギーを
均一にするために導波管末端部をテーパ状に拡大し、プ
ラズマを均一に発生させることが行なわれている。しか
しこの場合、基板を必要な温度まで上昇させることが困
難である。このため高周波誘導加熱,あるいはヒータを
別に備けてマイクロ波加熱と併用することが考えられる
が、構造が複雑になりまたガス汚染源および消費電力の
大幅な増大という問題が生じる。
従来技術によるとき、試料の温度はもっぱらベルジャ
ーの外部から光学的手段によって計測されている。しか
しプラズマを通しての測定であるので必ずしも十分な精
度を得ることができない。さらに温度を設定値に自動的
に制御するためには非常に複雑な方法に依らざるを得な
い。
本発明は基板を一様に所定の温度に加熱することがで
き、かつプラズマ発生のための最適の条件を達成するこ
とができる炭素皮膜の気相合成装置を提供することを課
題とする。
d. 問題点を解決するための手段 上記課題は、マイクロ波発振回路と、マイクロ波を伝
播させる導波管と、導波管の終端部に収容された反応容
器と、反応容器に炭化水素と水素の混合ガスを送るガス
供給管と、反応容器からガスを排出するガス排出管と、
反応容器中に基板を載置する試料台を備え、反応容器中
のガスにマイクロ波を照射してガスを振起してプラズマ
を発生させ、該プラズマを用いて基板上に炭素被膜を形
成する炭素被膜の気相合成装置に、いて、上記試料台が
マイクロ波を吸収する誘電体としての性質を有しかつそ
の電気抵抗が温度とともに変化する材料からなり、上記
試料台に電力を送る電源と、上記試料台の電気抵抗を測
定しそれに基づき上記試料台の温度を測定する手段と、
上記温度を測定する手段で得られた温度に基づいて上記
電源を制御する電力制御部を備えることを特徴とする炭
素被膜の気相合成装置によって解決された。
e. 作用 本発明に係る炭素皮膜の気相合成装置における試料台
として炭素珪素SiCを使用した場合を例として、その作
用を説明する。
SiCは発熱体として知られ、通電することにより発熱
する。したがってその形状・寸法等に応じて適当な電流
値を選ぶことにより数100〜1000℃まで容易に加熱する
ことができる。SiCからなる試料台はマイクロ波エネル
ギーを吸収することによっても発熱するので、所定の温
度を保持するために必要なエネルギーとマイクロ波から
の吸収エネルギーの差に相等するエネルギーを直流電源
または交流電源から供給する。
第3図は炭化珪素SiCの電気抵抗と温度の関係を示す
グラフである。なお抵抗値は相対値のみを示す任意座標
で示されている。
予め電気抵抗と温度の関係を精度よく校正しておくこ
とにより、試料台を所定の温度に加熱することができ
る。また抵抗値を一定に保つようにエネルギー源に負帰
還をかけることにより、試料台の温度を所定の温度に保
持することができる。
f. 実施例 第1図は本発明に係る炭素皮膜の気相合成装置の好ま
しい実施例の概念的断面図である。
マイクロ波発振器1で発生したマイクロ波は、末端が
テーパ状に拡大した導波管2を経て、石英製反応容器3
に送られる。石英製反応容器3の内部には基板4が試料
台5の上に載置されている。一方、炭化水素CH4と水素H
2の混合ガス(混合比約1:100)は、ガス供給管6から反
応容器3内に送られ、反応容器3内の圧力が一定(例え
ば10torr)になるように排気管7から排気(流量約300c
c/min)される。
マイクロ波は供給されたガスをプラズマ化するととも
に、基板4,試料台5をマイクロ波加熱する。試料台5は
炭化珪素SiCで作られ、さらに試料台5自体に電源9か
ら電力を送られている。すなわち試料台5はマイクロ波
加熱と電源9からの電力による自己発熱によって加熱さ
れる。温度制御は電源9からの供給電力を調整すること
によって行なわれる。
炭化珪素SiCの電気抵抗は温度依存性を有するので、
予めSiC製試料台5の印加電圧,電流を電圧検出手段10,
電流検出手段11を用いて測定し、それらの値いと温度の
関係を校正しておく。これを用いて炭素皮膜合成時に電
圧値と電流値から温度を知ることができる。
具体的には、マイクロ波電力が1KWであるとき、直径1
40φ,厚さ5mmのSiC製試料台に電圧約50V,電流約21Aの
電力を供給することにより、基板4である珪素Siウェハ
ーの温度を約800℃とすることができた。
なお、SiC製試料台に通電せずにSiCの電気抵抗の温度
依存性に基づき、SiCを温度検出器としてのみ使用する
ことも、SiC製試料台を加熱手段としてのみ使用し温度
は他の検出手段を用いて測定することも可能である。
第2図は本発明に係る炭素皮膜の気相合成装置の他の
好ましい実施例の概念的断面図である。
この実施例は第1図の実施例を、試料台の温度を電源
に負帰還することにより温度を設定値に保つように改良
したものである。第1図と共通の部材については、同一
の参照番号を付し説明を省略する。
試料台5に印加される電圧,試料台を流れる電流がそ
れぞれ電圧検出手段10,電流検出手段11で検出され、変
換回路12において試料台5の電気抵抗に対応する信号に
変換される。
温度設定部13において試料台5に設定すべき温度に対
応する抵抗値が設定され、比較部14において変換回路12
の出力と温度設定部13の出力が比較される。比較部14の
出力は電力制御部15に送られ、電力制御部15の出力によ
って電源9から試料台5に送られる電力が制御される。
SiC板の電気抵抗はマイクロ波処理および印加する電
力の両者によって変化するが、その温度は抵抗値と一定
の関係にあるので、マイクロ波電力の大きさにかかわら
ず、通電電力を制御して任意の抵抗値に設定することに
より、試料台5にマイクロ波が照射されているときにも
精度よく試料台5の温度を設定することができる。すな
わちプラズマエネルギーと試料台5の温度を独立に制御
することができる。
本発明に係る炭素皮膜の気相合成装置を用いて、珪素
Siウェハーからなる基板4を約800℃に3時間保持する
ことによって、厚さ約1μmの結晶性のよいダイヤモン
ド状炭素皮膜を合成することができた。
g. 発明の効果 i)試料台をマイクロ波吸収によって加熱するだけでな
く、試料台に電源からの直接電力を供給して発熱させる
ことができる。この際ガス汚染源となるヒーター等を別
に備けることを要しないので、構造が簡単であり、また
ガス汚染が少い。
ii)温度を光学的手段を使用せず、電気的に直接測定す
ることができる。この結果、温度測定の精度が向上し、
また温度の自動制御が容易である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る炭素皮膜気相合成装置の好ましい
実施例の概念的断面図、第2図は本発明に係る炭素皮膜
気相合成装置の他の好ましい実施例の概念的断面図、第
3図は炭化珪素SiCの電気抵抗と温度の関係を示すグラ
フ、第4図は従来技術による炭素皮膜の気相合成装置の
概念図である。 1……マイクロ波発振器、2……導波管、 3……反応容器、4……基板、 5……試料台、6……ガス供給管、 7……排気管、9……電源、 10……電圧検出手段、11……電流検出手段、 12……変換回路、13……温度設定部、 14……比較部、15……電力制御部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 守屋 勉 東京都江東区亀戸6−31−1 セイコー 電子工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−200519(JP,A) 実開 昭57−113438(JP,U) 実開 昭54−179060(JP,U) 特公 昭59−27754(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マイクロ波発振回路と、マイクロ波を伝播
    させる導波管と、導波管の終端部に収容された反応容器
    と、反応容器に炭化水素と水素の混合ガスを送るガス供
    給管と、反応容器からガスを排出するガス排出管と、反
    応容器中に基板を載置する試料台を備え、反応容器中の
    ガスにマイクロ波を照射してガスを励起してプラズマを
    発生させ、該プラズマを用いて基板上に炭素被膜を形成
    する炭素被膜の気相合成装置において、上記試料台がマ
    イクロ波を吸収する誘電体としての性質を有しかつその
    電気抵抗が温度とともに変化する材料からなり、上記試
    料台に電力を送る電源と、上記試料台の電気抵抗を測定
    しそれに基づき上記試料台の温度を測定する手段と、上
    記温度を測定する手段で得られた温度に基づいて上記電
    源を制御する電力制御部を備えることを特徴とする炭素
    被膜の気相合成装置。
  2. 【請求項2】上記試料台の材料が炭化珪素SiCであるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の炭素被膜の
    気相合成装置。
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