JP2531560B2

JP2531560B2 - 遊星クロス圧延方法及び圧延装置

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Publication number: JP2531560B2
Application number: JP4090238A
Authority: JP
Inventors: 桂一郎吉田
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1992-03-16
Filing date: 1992-03-16
Publication date: 1996-09-04
Anticipated expiration: 2011-09-04
Also published as: JPH0788506A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、長尺金属材料を、幅
方向（材料の進行方向に対し、直角の方向）へ高速度で
圧延することを目的とした遊星クロス圧延方法及び圧延
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、長尺金属材料を幅方向へ圧延する
技術は、先に本願発明者が提案している（例えば特公昭
５９−４６６８３号）。

【０００３】また、長尺金属材料を遊星ローラの相互間
又は遊星ローラとアンビル間で材料の進行方向に圧延す
る技術も知られていた。

【０００４】

【発明により解決すべき課題】前記、長尺金属材料をそ
の幅方向へ圧延する技術については、多大の成果をあ
げ、産業上利用されているが、該技術は、圧延ローラを
金属材料面で幅方向へ往復転動圧延させる方法であるか
ら、高速度で圧延することがむつかしく、多量生産に関
し問題点となっていた。また、長尺金属材料を、その進
行方向に対し直角の方向（幅方向）へ圧延ローラを転動
して往復圧延すると、材料が交番圧延力を受けると共
に、幅方向の伸びも異なっているので、圧延製品の縁部
の仕切りが不均等になり易い（波打つ如くなり易い）問
題点があった。更に材料の中央部が硬化して、縁部より
変形抵抗が大きくなる問題点もあった。

【０００５】前記長尺金属材料を、その長手方向に圧延
させるに当り遊星ローラ相互を用いる技術は、金属材料
の幅方向圧延が不可能であるのみならず、遊星ローラの
外側とアンビルとの間に金属材料を装入する構成である
から、遊星ローラの架設剛性に問題点があり、幅方向圧
延は著しく困難であると認められた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】然るにこの発明は、太陽
ローラと遊星ローラとの間に長尺圧延材料を装入し、逐
次圧延することにより、前記従来の問題点を解決したの
である。

【０００７】即ちこの発明は、長尺金属材料を幅方向へ
圧延する方法において、前記長尺金属材料を太陽ローラ
と遊星ローラとの間で圧延させるべく、前記長尺金属材
料を、前記太陽ローラと遊星ローラの中心軸の方向から
装入することを特徴とした遊星クロス圧延方法であり、
長尺金属材料に張力を付与しつつ装入し、順次圧延する
ことを特徴としたものであり、長尺金属材料は、非圧延
時に所定長さ宛前進させて装入することを特徴としたも
のである。また装置の発明は、スタンドに架設固定した
太陽ローラの外壁の一部にアンビルを設け、前記太陽ロ
ーラの外周壁に沿って、遊星ローラを当接架設させると
共に、移動させるように架設し、前記遊星ローラの外側
にバックアップホイールを嵌装し、前記アンビルと遊星
ローラとの間にその中心軸の方向から長尺金属材料を装
入する為の材料装入手段を付設したことを特徴とする遊
星クロス圧延装置であり、太陽ローラの外壁の一部へ、
太陽ローラの中心軸と平行な溝を設け、該溝へ、アンビ
ルを出入可能に嵌入させると共に、前記溝底と、アンビ
ルの内壁との間へ、該アンビルの出入量調節用の楔片を
介装したものであり、材料装入手段は、圧延装置の前後
に架設した長尺金属材料のピンチローラとしたものであ
る。次に他の発明は、太陽ローラの上側壁、又は下側壁
側或いはその両方にアンビルを設置したものであり、遊
星ローラは、バックアップホイールの内周へ等間隔、又
は１組２本〜３本とし、各組毎に等間隔に架設したもの
であり、遊星クロス圧延装置の複数台をタンデムに配置
したものである。

【０００８】前記において、アンビルの上面と遊星ロー
ラの表面を平行に保たせる場合と、角度をもたせる場合
とがある。

【０００９】前者の場合には、長尺金属材料を遊星ロー
ラの長さだけ同時に装入しなければならない反面、装入
量が多いので、圧延速度を増大させ、かつ長さ方向の伸
びを殆んど皆無にさせる特質がある。前記後者の場合に
は、長尺金属材料を、所定長さ宛（例えば遊星ローラの
長さの数十分の１）装入し、同一箇所を複数圧延できる
特質がある。

【００１０】従って、前記二つの圧延における優劣は俄
に判断し難く、長尺金属材料の材質、タンデムに連結さ
れる圧延装置の数、１装置パスにおけるリダクションの
多寡など、幾多の条件により選定する。

【００１１】前記における遊星ローラの数は、３本以上
が好ましいが、数が多くなると、圧延製品の幅が自ら制
約されるので、求める製品幅により適宜定める。前記に
おいて、使用遊星ローラの数を２本にすると、遊星ロー
ラの架設状態が不安定になるので好ましくない。また遊
星ローラの相互間隔よりも、圧延製品の幅が広くなる
と、少なくとも１つのローラにより常時圧延される状態
にある為に、長尺金属材料の装入が不可能になる。従っ
て、圧延製品の幅との関係で遊星ローラの数は制約され
る。

【００１２】前記、この発明における圧延方法は、長尺
金属材料を、太陽ローラと遊星ローラとの間に装入し、
遊星ローラはバックアップホイール（ハウジング）にバ
ックアップされている為に、剛性を著しく高く保持する
ことができる。

【００１３】また長尺金属材料は、その前進方向に張力
をかけ、かつ送り手段を加えてある為に、遊星ローラの
通過直後に、前記金属材料を所定量宛前進させ、爾後同
一量宛前進させることができる。

【００１４】前記におけるアンビルの表面と、遊星ロー
ラの外壁との間隙は、例えば楔片をねじにより移動させ
るなど、公知の方法を応用して調節することができる。

【００１５】この発明の圧延装置は、１台のみで圧延で
きることは勿論、複数台をタンデム連結して用いること
もできるが、タンデム連結の数、遊星ローラの数などは
金属材料の材質、製品の幅その他圧延目的等により、適
宜選定する。この発明により圧延できる長尺金属材料
は、断面が円形、角形、帯状その他各種断面形状であっ
てもよいが、製品はほぼ帯状になる。

【００１６】また長尺金属材料を幅方向に圧延する為
に、従来往復ローラで圧延した場合と同様に長尺製品を
１装置パスで著しく巾広く圧延できると共に、製品縁部
の亀裂の発生がなく、高品質の製品を連続的に生産する
ことが出来る。更に高速度で圧延処理できるので、生産
性を飛躍的に増大させることができる。

【００１７】

【作用】この発明によれば、太陽ローラと、遊星ローラ
との間で圧延し、遊星ローラはバックアップホイールで
バックアップさせる為に、装置各部に著しく大きな剛性
を保たせて圧延処理できる。

【００１８】また遊星ローラは、３個以上架設するの
で、安定性が頗る良好であり、各ローラの圧延間隔（隣
接ローラの圧延終了から、圧延開始までの時間）は、ロ
ーラ数、製品幅などにより適宜定める。

【００１９】

【実施例１】外径４００ｍｍの太陽ローラの外周部に、
その外壁を転動できる直径１２０ｍｍ、長さ２００ｍｍ
の遊星ローラ８本を等間隔で架設し、その外側にバック
アップホイールを嵌装する。該バックアップホイールを
毎分５００回転すると共に、厚さ１ｍｍ、幅４０ｍｍの
ステンレススチール帯を、前記太陽ローラに設けたアン
ビルと遊星ローラとの間に装入した所、１圧延装置を通
過した際に、前記ステンレススチール帯は、厚さ０．５
ｍｍ、幅８０ｍｍに加工され、その速度は毎分３ｍであ
った（製品は長さ方向にほぼ５％のびた）。

【００２０】然して圧延処理がきわめて短い時間の間に
継続的に行われる為に、前記ステンレススチールの塑性
変形も容易となり、かつ金属の材質を改善することがで
きる。更に、一方向圧延であるから、製品の両縁部に波
状を生じるおそれがなく、優良製品を多量生産すること
が可能である。

【００２１】

【実施例２】この発明の装置の実施例を図１、２、３に
ついて説明する。

【００２２】ローラ基台１（スタンド）に太陽ローラ２
の取付軸３を水平に固定する。前記太陽ローラ２の上部
外壁に、その中心軸と平行な溝４を設け、溝４の中に楔
片５と、アンビル６を順次重ね、楔片５の外端部に調節
ねじ７の先端を回転自在に取付ける。前記調節ねじ７
は、楔片５の外端部に回転可能に連結させられると共
に、太陽ローラ２に固定した支板８に螺合してある。前
記太陽ローラ２の外周壁には、その取付軸３と平行に３
本以上の遊星ローラ９、９がラック１０、１０により回
転自在に架設され、前記遊星ローラ９、９の外側にはバ
ックアップホイール１１が嵌装され、バックアップホイ
ール１１とモータのプーリー１２との間にベルト１３が
装着されている。

【００２３】前記実施例において、モータ（図示してな
い）を始動すると共に、圧延材料１４（例えばステンレ
ススチール帯）の先端をアンビル６上へ装入すると、図
２中、ベルト１３が矢示１５の方向に移動すれば、バッ
クアップホイール１１は矢示１６のように回転するの
で、遊星ローラ９、９は、自転しつつ矢示１６の方向へ
公転する。そこで圧延材料１４はアンビル６と遊星ロー
ラ９とにより図６（ａ）のように幅Ｗ₀からＷ₁まで圧
延され、製品１４ａとなる。前記図６（ａ）の記号は次
の通りである。

【００２４】ａ＝先進量ｂ＝後進量ｃ＝Ｗ₀＝材料幅ｈ₁＝圧延後の厚さｈ₀＝材料の厚さｌ₁＝加工間隔ｌ₂＝加工点と中性点の間隔ｌ₃＝中心線と中心点との間隔

【００２５】即ち、１装置パスにおける製品幅Ｗ₁は、
Ｗ₁＝ａ＋ｂ＋ｃ（Ｗ₀）となる。

【００２６】図１、２、３の実施例はアンビルを上向き
にして、太陽ロールの上方に設置したが、図５のように
アンビルを下向きにすることもできる。

【００２７】また、図４のように、１つの太陽ロールに
対し、上向きと下向きの二つのアンビルを設けることも
できる（能率２倍）。この場合に、遊星ローラが偶数な
らば（図４（ａ））２ヶ所同時圧延となり、奇数ならば
（図４（ｂ））同時圧延にならない（アンビルが中心対
称だから）。

【００２８】前記において、材料１４は、図１のように
２組のピンチロール１７、１８により送られると共に、
張力がかけられる。そこで、非圧延時（材料と遊星ロー
ラが接触しない時）に、前記ピンチロール１７、１８を
矢示１９、２０のように回転すれば、材料１４を矢示２
１の方向へ移動させることができる。

【００２９】前記楔片６は、調節ねじ７を回転すること
により、矢示２２又は２３の方向へ移動し、アンビル６
を矢示２４、又は２５のように昇降させる。そこでアン
ビル６の上面と遊星ローラ９の加工面との間隙が調節さ
れ、リダクション量が決り、製品の厚さが決る。

【００３０】図中２６は太陽ローラー固定ねじである。

【００３１】この発明の圧延装置Ａは、単独使用もでき
るが、通常図７のように複数個の圧延装置Ａ₁、Ａ₂、
Ａ₃、Ａ₄をタンデム連結して使用する。この場合にお
いては、１装置パスで最終製品ができる。例えば厚さ
１．０ｍｍ、幅１０ｍｍの材料を厚さ０．２ｍｍ、幅５
０ｍｍに加工できる。

【００３２】前記におけるタンデム連結する圧延装置の
台数は、使用目的に応じ適宜定める。

【００３３】また遊星ローラが多くなると、各ローラ間
隔が狭くなり、自ら制約があるが、図８のように、２本
１組Ｂの圧延ローラは近接させ、各組Ｂ₁、Ｂ₂、
Ｂ₃、Ｂ₄の間隔は可及的に広くすれば、圧延製品の幅
による制約を大幅に軽減することができる。

【００３４】

【発明の効果】この発明は、圧延材料を連続的に同一幅
方向へ圧延するので、長さは殆んど伸びることなく、幅
のみを増大させることができる。従って、高速度で圧延
することができる効果がある。

【００３５】またこの発明の圧延と、従来の圧延とを施
せば、金属材料の圧延方向性をクロスさせる特性をもつ
効果があるので、プレス加工時又は折曲げ加工時に、金
属板から材料取りの選定を行う必要がなく、等方向性に
近い２方向性を有する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施装置の一部断面図。

【図２】同じく一部を省略した正面図。

【図３】同じく一部拡大斜視図。

【図４】（ａ）同じくローラを偶数にした他の実施装置
の一部斜視図。（ｂ）同じくローラを奇数にした他の実
施例の一部斜視図。

【図５】同じく他の実施例の一部拡大斜視図。

【図６】（ａ）同じく材料の圧延状態を示す斜視図。
（ｂ）同じく太陽ローラ、遊星ローラ及び材料の関係を
示す一部正面図。

【図７】同じくタンデム連結を示す概略図。

【図８】おなじく他の実施例の一部正面図。

【符号の説明】

１ローラ基台２太陽ローラ５楔片６アンビル７調節ねじ９遊星ローラ１１バックアップホイール１４圧延材料１７、１８ピンチロールＡ圧延装置Ｂ一組の圧延ローラ

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】長尺金属材料を幅方向へ圧延する方法に
おいて、前記長尺金属材料を太陽ローラと遊星ローラと
の間で圧延させるべく、前記長尺金属材料を、前記太陽
ローラと遊星ローラの中心軸の方向から装入することを
特徴とした遊星クロス圧延方法。
【請求項２】長尺金属材料に張力を付与しつつ装入
し、順次圧延することを特徴とした請求項１記載の遊星
クロス圧延方法。
【請求項３】長尺金属材料は、非圧延時に所定長さ宛
前進させて装入することを特徴とした請求項１記載の遊
星クロス圧延方法。
【請求項４】スタンドに架設固定した太陽ローラの外
壁の一部にアンビルを設け、前記太陽ローラの外周壁に
沿って、遊星ローラを当接架設させると共に、移動させ
るように架設し、前記遊星ローラの外側にバックアップ
ホイールを嵌装し、前記アンビルと遊星ローラとの間に
その中心軸の方向から長尺金属材料を装入する為の材料
装入手段を付設したことを特徴とする遊星クロス圧延装
置。
【請求項５】太陽ローラの外壁の一部へ、太陽ローラ
の中心軸と平行な溝を設け、該溝へ、アンビルを出入可
能に嵌入させると共に、前記溝底と、アンビルの内壁と
の間へ、該アンビルの出入量調節用の楔片を介装したこ
とを特徴とする請求項４記載の遊星クロス圧延装置。
【請求項６】材料装入手段は、圧延装置の前後に架設
した長尺金属材料のピンチローラとしたことを特徴とす
る請求項４記載の遊星クロス圧延装置。
【請求項７】太陽ローラの上側壁、又は下側壁側或い
はその両方にアンビルを設置したことを特徴とする請求
項４又は５記載の遊星クロス圧延装置。
【請求項８】遊星ローラは、バックアップホイールの
内周へ等間隔、又は１組２本〜３本とし、各組毎に等間
隔に架設したことを特徴とする請求項４記載の遊星クロ
ス圧延装置。
【請求項９】遊星クロス圧延装置の複数台をタンデム
に配置したことを特徴とする請求項４記載の遊星クロス
圧延装置。