JP2531191Y2 - 自動車用霜取り器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車用霜取り器に関する。

従来技術とその問題点 従来、自動車のフロントガラスに付着した霜を除去す
る装置として、上記フロントガラスを車内側から、自動
車のシガーライターを電源として発熱する面状発熱体を
用いて加熱し解氷させるような構造のものが種々提案さ
れている。この従来方式のものは、自動車のシガーライ
ターを電源としているので、使用場所に制限を受けず利
便であるが、品質、性能面で次の通りの問題点があっ
た。

i フロントガラスの略々全面を覆い全面加熱できる構
成のものは、発熱面積がかなり大きくなるので、自動車
の電源電圧では充分な発熱温度が得られず、解氷に時間
がかかる。

ii フロントガラスの曲面に沿って密着できないので加
熱状態にむらを生じ易く、性能低下を招く。

iii 破裂や断線に弱く、折畳みや巻取りができないの
で、保管に場所をとり不利である。

本考案はこのような従来の問題点を一掃することを目
的としてなされたものである。

問題点を解決するための手段 本考案は、面状発熱体の表裏両面にラミネート層を一
体に積層してなる自動車フロントガラス加熱用発熱シー
トと、該発熱シートを自動車のシガーライターを電源と
して発熱させる接続コードとを具備し、上記面状発熱体
は上記フロントガラスの左右巾方向に間隔をもって並列
された複数枚のグラフアイト面状発熱ブロックと、之等
ブロックを接続する電極としての柔軟性通電部材とから
構成され、上記発熱シートの各ブロック間の間隔部分
が、表裏ラミネート層及び通電部材の柔軟性により屈曲
自在部を構成していることを特徴とする自動車用霜取り
器に係る。

実施例 以下に本考案の一実施例を添附図面にもとづき説明す
ると次の通りである。

本考案による霜取り器は、例えば第１図から第２図に
示す様に発熱シート（１）と、該シート（１）を自動車
のシガーライターを電源として発熱させる接続コード
（２）とを具備し、発熱シート（１）は自動車のフロン
トガラスの略々全面を覆い得る程度の大きさを持ってい
る。

発熱シート（１）は、面状発熱体（11）と、該発熱体
（11）の表裏両面に一体に積層されたラミネート層（1
2）（12）とから構成されている。

面状発熱体（11）は、上記フロントガラスの左右巾の
方向に間隔（111）を隔てて並列された面状発熱ブロッ
ク（112）と、之等ブロック（112）……を接続する電極
としての柔軟性通電部材（113）（113）とからなり、こ
れらは、発熱シート（１）の断面でみれば、第３図〜第
４図に示す様な構成になっている。上記ブロック（11
2）は図示のように短曲状とすることができ、短曲状ブ
ロック（112）（112）の相互間には、ブロック（112）
の1/3〜2/3巾、例えば1/2巾程度の間隔（111）が形成さ
れる。間隔（111）の巾がこれ以上大きくなると、加熱
むらの原因となり、またこれ以上小さくなると、発熱体
の数が多くなり発熱温度の向上をあまり期待できなくな
るうえに折曲、収納に不利なので好ましくない。面状発
熱ブロック（112）としては、公知の各種の構成のもの
を用い得るが、グラファイト面状発熱体は自動車の電源
電圧（通常12ボルト）で比較的高い発熱温度が得られる
ので、特に好ましい。このようなグラファイト面状発熱
体として例えばモナヒート（商品名、東海カーボン製）
を例示できる。面状発熱ブロック（112）の断裂防止を
目的として、第５図に示すように補強プレート（114）
により補強できる。補強プレート（114）はプラスチッ
ク、マイカ絶縁処理した金属などの薄板が適当であり、
更に熱線反射を目的として、アルミ等の蒸着フィルムを
はさむことができる。

柔軟性通電部材（113）は上記ブロック（112）の上下
両側部に於て電極を構成し、一端側に於て接続コード
（２）に接続されている。通電部材（113）は柔軟でし
かも繰返し受ける屈曲に耐え得るものがよく、例えば極
細線材から編織製されたテープ状のものが適当である。

表裏のラミネート層（12）（12）は、面状発熱体（1
1）の絶縁及び保護層として機能し、更に各ブロック（1
12）（112）間の間隔（111）部分に於てその柔軟性によ
り屈曲自在部を構成する。ラミネート層（12）は柔軟性
で且つ氷点下でもその特性を失なわれないような耐寒性
であることが好ましく、このようなプラスチックとし
て、PET、耐寒塩化ビニル樹脂などを例示できる。

発熱シート（１）の表面側に該シート（１）をフロン
トガラス面に粘着固定するための粘着層（３）が設けら
れる。粘着層（３）は第２図に示すように、例えば発熱
シート（１）の表面側の上縁部と下縁部に、間隔（11
1）部分を除いて、設けられる。粘着層（３）は、少な
くとも発熱シート（１）の４隅と上下の辺の中央部に設
けられていればよい。粘着層（３）としては、粘着性ウ
レタン製のものが、粘着力に優れ厚みを薄くでき、かつ
何度でも着脱可能でありフロントガラス面への発熱シー
ト（１）の密着を妨げないので適当である。

本考案霜取り器は、発熱シート（１）を粘着シート
（３）に於て、フロントガラスの内面に張り付け、この
状態で接続コード（２）をシガーライターに接続し、発
熱シート（１）に通電し発熱させることで、霜取りを行
なう。

発熱シート（１）の発熱源としての面状発熱体（11）
は、これを構成する面状発熱ブロック（112）（112）間
の間隔（111）相当分だけ面積が減少するので、その分
発熱温度が高くなる。間隔部分の加熱はその両側のブロ
ック（112）（112）よりの熱伝導により行ない、間隔
（111）の巾を、ブロック（112）の巾の1/3〜2/3程度に
設定することにより、実質的に加熱むらの発生なしに、
フロントガラス面を全面加熱できる。

更に発熱シート（１）は間隔（111）部分に於て自由
に屈曲できるので、フロントガラスの曲面に沿わせて変
形させることができ、発熱シート（１）をフロントガラ
ス面に略々密着状態に装着できる。

本考案によれば発熱温度の上昇と、フロントガラス面
への密着により、解氷時間を短縮できる。

更に発熱シート（１）は間隔（111）部分の屈曲自在
性により、折畳み又は第６図に示す様にロール状に丸め
て保管できる。

更にフロントガラス面への装着時や保管時の屈曲変形
は、間隔（111）部分の屈曲自在性により行なわれるの
で、面状発熱ブロック（112）を断裂させる虞れがな
く、電気系統のトラブル原因を一掃できる。

以下に本考案品の実験例を掲げる。

〔実験例〕

（ｉ）実験方法 庫内温度−15℃設定の冷凍庫内にて、一昼夜冷凍した
自家用車のフロントガラスへ霧吹きで人口の「着霜状
態」を設定して、それを解氷させる実験を繰り返し行っ
た。

（ii）実験器具 ・軽自動車用フロントウィンドゥ ・DC電源（12V15A） ・本考案品（実施例参照） （iii）実験結果 通電後約３分位から解氷が始まり、その後急速に解氷
しだした。最初の３分間は、外気およびガラス面に熱エ
ネルギーが奪われたものと考えられるが、十分にガラス
への熱エネルギー供給が行われ始めた３分後より解氷が
進み、本実験の目標時間とした「５分以内」に達成する
事が出来た。また、本実験では解氷に人為的な補助手段
は用いなかったが、実際に使用する際では、４分程度の
解氷状態ならば、ワイパーで容易に払拭する事が可能で
ある。

（iv）ガラス外側表面の温度推移 ０分〜30秒〜 1分〜２分〜 3分〜 4分〜 5分 −15℃
−15℃ −10℃ −３℃ 2℃ 11℃ 18℃ 効果 本考案によれば、解氷に要する時間を短縮できると共
に、電気発熱系統に断裂などの悪影響を与えることなし
に、折畳み又はロール状に丸めることができ、保管時の
省スペース化を達成でき、品質、性能のよいこの種製品
を提供をできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す一部切欠き裏面図、第
２図は表面図、第３図は第２図のＡ〜Ａ線に沿う拡大断
面図、第４図は第２図のＢ−Ｂ線に沿う拡大断面図、第
５図は第３図に対応する他の実施例を示す拡大断面図、
第６図は本考案品のロール状巻取り状況を示す斜視図で
ある。 図に於て、（１）は発熱シート、（11）は面状発熱体、
（111）は間隔、（112）は面状発熱ブロック、（113）
は柔軟性通電部材、（２）は接続コード、（３）は粘着
層である。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】面状発熱体の表裏両面にラミネート層を一
   体に積層してなる自動車フロントガラス加熱用発熱シー
   トと、該発熱シートを自動車のシガーライターを電源と
   して発熱させる接続コードとを具備し、上記面状発熱体
   は上記フロントガラスの左右巾方向に間隔をもって並列
   された複数枚のグラフアイト面状発熱ブロックと、之等
   ブロックを接続する電極としての柔軟性通電部材とから
   構成され、上記発熱シートの各ブロック間の間隔部分
   が、表裏ラミネート層及び通電部材の柔軟性により屈曲
   自在部を構成していることを特徴とする自動車用霜取り
   器。
2. 【請求項２】グラファイト面状発熱ブロックが補強プレ
   ートにより補強されていることを特徴とする請求項１記
   載の霜取り器。