JP2529810B2 - ダイコ―タ―への塗料供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ダイコーターへの塗料
供給装置に関するものである。詳しくは精密塗工用のダ
イコーターに好適に適用し得る塗料供給装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ダイコーターは、ダイの製作精度
や制御技術等の制約により、主に厚膜塗工または高粘度
塗料の塗工に用いられてきた。ダイコーターに供給され
る塗料は、通常、ドラム缶等の容器に入っており、容器
の上部から吸引用のパイプを挿入して塗料を取り出して
いる。従って、ダイコーターへの塗料の供給は、ダイコ
ーターと塗料容器とを配管で連絡し、その途中にギヤー
ポンプ等の供給ポンプと所望によりフィルターとを挿入
した簡単な装置で行なわれている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】近時、精密塗工用のダ
イコーターが開発されつつあるが、このようなダイコー
ターへの塗料の供給は高い定量性を要求されるので、一
般のギヤーポンプ等の定量性の低い供給ポンプを利用し
た従来の塗料供給装置では対応し得ない。しかし、単に
一般の定量性に乏しいギヤーポンプ等に代えてゼニスポ
ンプ等の定量性の高いポンプを用いたのでは、プライム
作業（呼び水を差す作業）に長時間を要し、また塗料を
変更する際の配管洗浄作業にも支障を生ずる。また、従
来は塗装作業中に塗料容器に塗料を補給するには、補給
用の塗料を収容してある容器から塗料容器へ塗料を移送
する独立した装置が必要であった。

【０００４】本発明はプライム作業を効率よく行なうこ
とができ、且つ塗装作業中における塗料容器への塗料の
補給も容易に行なうことのできる塗料供給装置を提供せ
んとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係る塗料供給装
置は、自吸性ポンプ１、ポンプ１の吸引口から塗料容器
２まで延びており途中に弁３を有する吸引管４、自吸性
ポンプ１の吸引口から弁３に至る途中で吸引管４から分
岐して補助塗料容器５まで延びており途中に弁６を有す
る補給吸引管７、塗料容器２の液面よりも低い位置に設
置されている定量ポンプ８、弁３から塗料容器２に至る
途中で吸引管４から分岐して定量ポンプ８の吸引口まで
延びている定量ポンプ吸引管９、自吸性ポンプ１の吐出
口からダイコーター１０まで延びており途中に弁１１を
有するダイコーター供給管１２、弁１１からダイコータ
ー１０に至る途中でダイコーター供給管１２から分岐し
て定量ポンプ８の吐出口まで延びている定量ポンプ吐出
管１３、自吸性ポンプ１の吐出口から弁１１に至る途中
でダイコーター供給管１２から分岐して塗料容器２まで
延びており途中に弁１４を有する補給供給管１５を備え
ている。

【０００６】本発明に係る塗料供給装置について更に詳
細に説明するに、この装置は、定量性は良くないが容量
の大きい自吸性ポンプと、定量性に優れているが自吸性
が乏しく且つ容量の小さい定量ポンプとの２種類のポン
プを用い、これらのポンプと塗料容器、補助塗料容器及
びダイコーターとを配管で巧みに連絡し、且つ配管の要
所にそれぞれ弁を設置したものである。この装置を用い
ると、弁の切替により、プライム作業を効率的に行なう
ことができ、且つ塗装作業中における補助塗料容器から
塗料容器への塗料の移送も効率的に行なうことができ
る。

【０００７】本発明を図面に基づいて更に具体的に説明
するに、図１は本発明に係る塗料供給装置の１例を示す
説明図である。図中、１は定量性は良くないが容量が大
きく且つ自吸性のあるポンプであり、通常はダイアフラ
ムポンプ、スネークポンプ又は一般のギヤーポンプ等が
使用される。８は自吸性は要求されないが定量性に優れ
た定量ポンプであり、通常はゼニスポンプが使用され
る。２はダイコーターに供給する塗料を収容してある塗
料容器、５は塗料容器への補給用の塗料を収容してある
補助塗料容器である。定量ポンプ８は塗料容器２の液面
よりも低い位置に設置されており、塗装作業中はサイホ
ンの原理により塗料が塗料容器２から定量ポンプ８に供
給されるようになっているので、定量ポンプ８の空転が
回避される。１０はダイコーターである。４、７、９、
１２、１３及び１５は配管である。配管は洗浄の容易な
ことから、サニタリー配管、テフロンライニング配管が
推奨される。３、６、１１及び１４はそれぞれ配管の途
中に設置されている弁であり、その開閉により管内の塗
料の移動を許容−阻止し得るようになっている。

【０００８】図１の装置を用いて塗装作業を行なう際の
手順の１例について説明すると、先ずプライム作業とし
て、弁３、１１及び１４を開とし、弁６を閉として自吸
性ポンプ１を作動させる。すると塗料は主に吸引管４及
び補給供給管１５を経て循環するが、同時にその一部は
定量ポンプ吸引管９、ダイコーター供給管１２及び定量
ポンプ吐出管１３にも流入して、吸引管４、定量ポンプ
吸引管９、定量ポンプ吐出管１３、及びダイコーター供
給管１２からなる配管系に塗料が充満される。なお、プ
ライム作業において定量ポンプ吐出管１３、ダイコータ
ー供給管１２に塗料を充満させるのは不可欠ではないが
好ましい態様である。また、補給供給管１５に塗料を充
満させることを好まない場合には、弁１４を閉として塗
料をダイコーターへ供給し、ダイコーターから更に塗料
容器２に戻るようにすればよい。

【０００９】吸引管４及び定量ポンプ吸引管９に塗料が
充満されたならば自吸性ポンプ１を停止し、弁３及び１
１を閉とし、定量ポンプ８を作動させる。定量ポンプ８
は塗料タンク２の液面より低い位置にあるので、サイホ
ン作用により塗料は、吸引管４及び定量ポンプ吸引管９
を経て定量ポンプ８に供給され、定量ポンプ吐出管１３
及びダイコーター供給管１２を経てダイコーター１０に
流入し、塗装作業が行なわれる。ダイコーターとしては
種々のものが知られているが、本発明はこれらのいずれ
にも適用することができる。

【００１０】塗装作業中に補助塗料容器５から塗料容器
２に塗料を移送するには、弁６及び１４を開として自吸
性ポンプ１を作動させる。すると塗料は、塗装作業とは
無関係に補給吸引管７及び補給供給管１５を経て補助塗
料容器５から塗装容器２に移送される。移送終了後、補
給吸引管７及び補給供給管１５のそれぞれの開放端を補
助塗料容器及び塗料容器から引上げて、シンナーを収容
してある容器に投入し、自吸性ポンプ１を作動させる
と、塗料の補給に用いた配管系を容易に洗浄することが
できる。このためには、補給吸引管７及び補給供給管１
５のうち少くとも開放端を含む部分を、耐油性のゴムホ
ースの如き、可撓性のある材料で構成しておくのが好ま
しい。

【００１１】本発明に係る塗料供給装置は、基本的構成
として上述の如き構成を有しているが、通常はこれに更
に種々の補助手段を備えている。例えば塗料容器２には
撹拌機を備え、もって塗料の凝集を防止するのが好まし
い。また吸引管４の開放端には適当な目開きの金網を設
置して、塗料中の異物や凝集塊等が吸引管４中に吸引さ
れないようにするのが好ましい。更にダイコーター供給
管１２には、ダイコーター１０の直前に濾過装置１６を
設けて塗料中の異物や凝集塊等を一層確実に除去するの
が好ましい。

【００１２】本発明に係る塗料供給装置は手動で制御す
ることもできるが、各種の制御機構を採用して自動化を
図るのが好ましい。例えば塗料容器２内の塗料残存量を
測定して、補給信号を発したり、塗料使用量の監視や記
録を行なうために、ロードセル秤を制御系に組込むこと
ができる。定量ポンプ８の駆動には高精度のインバータ
モータを使用し、塗工速度や塗膜等の条件に従って塗料
供給量を演算して、定量ポンプの駆動を自動制御するこ
ともできる。自吸性ポンプ１や弁の開閉についてもタイ
マー回路等の利用により自動制御することができる。

【００１３】

【発明の効果】本発明に係る装置によれば、定量ポンプ
の使用により高精度の塗布を行なうことができ、しかも
プライム作業や塗料補給作業等も自吸性ポンプにより効
率よく行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る塗料供給装置の１例である。

【符号の説明】

１ 自吸性ポンプ ２ 塗料容器 ３ 弁 ４ 吸引管 ５ 補助塗料容器 ６ 弁 ７ 補給吸引管 ８ 定量ポンプ ９ 定量ポンプ吸引管 １０ ダイコーター １１ 弁 １２ ダイコーター供給管 １３ 定量ポンプ吐出管 １４ 弁 １５ 補給供給管 １６ 濾過装置

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自吸性ポンプ（１）、自吸性ポンプ
   （１）の吸引口から塗料容器（２）まで延びており途中
   に弁（３）を有する吸引管（４）、自吸性ポンプ（１）
   の吸引口から弁（３）に至る途中で吸引管（４）から分
   岐して補助塗料容器（５）まで延びており途中に弁
   （６）を有する補給吸引管（７）、塗料容器（２）の液
   面よりも低い位置に設置されている定量ポンプ（８）、
   弁（３）から塗料容器（２）に至る途中で吸引管（４）
   から分岐して定量ポンプ（８）の吸引口まで延びている
   定量ポンプ吸引管（９）、自吸性ポンプ（１）の吐出口
   からダイコーター（１０）まで延びており途中に弁（１
   １）を有するダイコーター供給管（１２）、弁（１１）
   からダイコーター（１０）に至る途中でダイコーター供
   給管（１２）から分岐して定量ポンプ（８）の吐出口ま
   で延びている定量ポンプ吐出管（１３）、自吸性ポンプ
   （１）の吐出口から弁（１１）に至る途中でダイコータ
   ー供給管（１２）から分岐して塗料容器（２）まで延び
   ており途中に弁（１４）を有する補給供給管（１５）を
   備えていることを特徴とするダイコーターへの塗料供給
   装置。
2. 【請求項２】 補給吸引管（７）及び補給供給管（１
   ５）のうち、少くとも補助塗料容器（５）及び塗料容器
   （２）と連絡する部分が可撓性のある材料で構成されて
   いることを特徴とする請求項１記載の装置。