JP2529023B2 - 水素吸蔵電極の製造方法 - Google Patents

水素吸蔵電極の製造方法

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JP2529023B2
JP2529023B2 JP2301700A JP30170090A JP2529023B2 JP 2529023 B2 JP2529023 B2 JP 2529023B2 JP 2301700 A JP2301700 A JP 2301700A JP 30170090 A JP30170090 A JP 30170090A JP 2529023 B2 JP2529023 B2 JP 2529023B2
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哲男 境
信宏 栗山
博 石川
淳 高木
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工業技術院長
株式会社豊田自動織機製作所
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、水素吸蔵電極の製造方法に関する。
[従来技術] 従来、水素吸蔵電極用の金属集電体として、発泡ニッ
ケルなどの金属多孔体を使用したもの(特開昭61−2339
67、他多数)、織成されたニッケル製の金網を使用する
もの(例えば特開昭61−185863号公報、他多数)、ニッ
ケル薄板に多数の小孔を打抜いたピンチングメタルを使
用するもの(特開昭64−67868、他多数)が知られてい
る。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、金属多孔体が薄くすることが困難で、
活物質の脱落が多く、柔軟性に欠け、金属多孔体の重量
比率が高く放電容量が低下するという欠点を蔵してい
る。
金網は、水素吸蔵合金粉末の混練物をペースト状にし
て圧着せねばならない金属多孔体に比べ、混練物をシー
ト状にして圧着でき、混練物中の水素吸蔵合金粉末の比
率を高めて放電容量の向上に有利であり、また、柔軟性
を有する。しかし、縦線と横線とが絡みあっているだけ
なので、引張り強度が低く、電極巻回時における引張り
力により変形したり活物質の脱落を生じ、その結果とし
てサイクル寿命が低下するという問題をもつ。
パンチングメタルは、一体の多孔薄板形状をもつの
で、金網よりも強度が高いが、たとえ表面を粗化処理し
たとしても、パンチングメタル表面は平坦であるので活
物質シートの剥離を生じやすく、また、打抜かれた材料
分だけ材料消費が大きい。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、水
素吸蔵合金粉末の混練物との接着性に富み、水素吸蔵合
金粉末の剥離が少なく、機械強度にも優れる水素吸蔵電
極の製造方法を提供することを、その解決すべき課題と
している。
[課題を解決するための手段] 本発明の水素吸蔵電極の製造方法は、水素吸蔵合金粉
末を結着材とともに混練して予備成形したシートを、菱
状開口を有し、表面に多数の線状の凹凸が形成されてい
るエキスパンドメタルからなる金属集電体に圧着してな
る水素吸蔵電極の製造方法において、 前記エキスパンドメタルの厚さを0.01〜0.8mm、前記
エキスパンドメタルの線幅を0.05〜1.0mmとし、前記菱
状開口の4つの頂点の内、互いに最も離れた2頂点間の
寸法である長軸距離LWMを0.3mmより長く、10mmより短く
設定し、前記菱状開口の4つの頂点の内、前記菱状開口
の4つの頂点の内、残りの2頂点の距離である短軸距離
SWMを0.2mmより長く前記長軸距離LWMより短く設定する
とともに、前記長軸距離LWMに平行に実施するロールプ
レス工程により前記圧着を実施することを特徴としてい
る。
本発明でいうエキスパンドメタルとは、薄平板に互い
に平行な線状で裏まで達する切込みを多数設け、切込み
方向と直角方向に拡張して、第2図及び第3図に示すよ
うな多数の菱形模様を形成したものである。
エキスパンドメタルの好ましい素材として、例えば、
ニッケル、銅、鉄、SUS316を採用でき、これらの表面に
ニッケルメッキ、銅メッキを施してもよい。
エキスパンドメタルの好適な寸法を、第2図を参照し
て説明する。
板厚は0.01〜0.8(mm)、線幅は0.05〜1.0(mm)の範
囲にあることが望ましい。板厚が0.01mmを下回ると強度
が小さくなり、0.8mmを越えると電極を薄くすることが
困難となる。また線幅が0.05mmを下回ると強度が小さく
なり1.0mmを越えるとメッシュ径が小さくなって活物質
シートの剥離を生じやすくなる。
菱状の開孔の4頂点の内、互いに対向する2頂点間の
距離LWM、SWMは、0.3mm<LWM<10mm、0.2×LWM<2SWM<
LWMの範囲にあることが望ましい。これは、LWM、SWMと
も小さすぎるとエキスパンドメタルのメッシュ径が小さ
くなって活物質シートの接着強度が弱くなり、剥離を生
じやすくなる。逆に大きすぎると電極強度が小さくなっ
て巻回時に破断するからである。
[作用] エキスパンドメタルを金属集電体として用いると、放
電容量が増加し、また、サイクル寿命(充放電サイクル
の経過に伴う放電容量の低下)が向上することが判明し
た。
これは恐らく、両者の接着性が良いこと、及び、金属
集電体の形状がパンチングメタルのような無駄がないこ
とのために、エキスパンドメタルからの水素吸蔵合金粉
末の脱落が少なく、水素吸蔵合金粉末の充填率が高く、
内部電気抵抗が低いためであると推定される。
接着性がよい理由を調べるために、エキスパンドメタ
ル表面を顕微鏡で調べた。その結果、エキスパンドメタ
ル表面には、第4図に示すように多数の線状の凹凸が形
成されていることが判明した。この凹凸は、一定間隔で
二次元面に設けられた錐状刃群を、素材である薄平板に
押し込み、錐状刃群又は薄平板を一定方向に移動させて
切込みを多数設け、次に、切込み方向と直角方向に薄平
板を拡張して、第2図及び第3図に示す多数の菱形模様
を形成する過程でその表面に形成される。一考するに、
この凹凸は、錐状刃群を薄平板に押入する際の水平押圧
力により形成されるのではないかと思われる。
例えば、金属集電体からの水素吸蔵合金粉末の剥離
は、水素吸蔵合金粉末のシートと金属集電体とを圧着し
た後、セパレータ及びニッケル正極とともに巻回して電
池を構成する場合にストレスにより発生する。このエキ
スパンドメタルは上記した凹凸をその表面に多数有する
ので、他の金属集電体に対して優れた接着性を奏するも
のと思われる。
[実施例] (第1実施例) 合金組成MmNi3.5Co0.7Al0.8を負極用の水素吸蔵合金
として用いた。この合金を機械的に100メッシュ以下の
粉末とし、市販のメッキ溶液を用いて無電解ニッケルメ
ッキを行った。この時のメッキ量はメッキした合金に対
して10重量%になるようにした。
このニッケルメッキした合金粉末にPTFEの固形分が3
〜5重量%(ニッケルメッキした合金粉末とPTFE固形分
の和に対して)となるようにPTFEディスパージョン(ダ
イキン工業D−1)を加えて混練し、予備成型してシー
ト1とし、それを第1図に示すようにホットローラープ
レス3を用いてニッケルエキスパンドメタル(板厚0.1m
m、線幅0.2mm、LWM:3mm、SWM:1.5mm)2の両側に圧着し
た。成型条件は300℃、300kg/cm2である なお、エキスパンドメタルは第2図及び第3図に示す
形状をしており、LWM方向にロールがけするのが望まし
い。これはSWM方向にロールをかけるとエキスパンドメ
タルが変形することがある(LWM方向の強度が強い)か
らである。
こうして作製した電極シートを、幅33mm、長さ220mm
に切断し負極とした。なお厚さは0.5mmである。この負
極をポリプロピレン不織布を介して公知の焼結式ニッケ
ル正極と重ねてうず巻き状に巻き、サブCサイズの密閉
型電池を構成した。なお従来例として、金属集電体をパ
ンチングメタルとし上記と同様に作製したもの、および
金属多孔体中にペースト状にした合金粉末を充填し上記
と同様に作製したものを用意し、同様にサブCサイズの
密閉型電池を構成した。
これらの電池の公称容量は巻取られた正極の量から表
1の様になる。
表 1 電池No. 集 電 体 公称容量mAh A エキスパンドメタル 3000 B パンチングメタル 3000 C 金属多孔体 2500 各電池A〜Cを各々充電:0.1C×15hr、放電:0.2C、1V
の条件で充放電したところ第6図の放電カーブが得られ
た。
この結果から明らかなように実施例品Aは従来品B、
Cより大きな放電容量をもち、更に放電電圧も高い。従
来品C(金属多孔体型式)は、電極厚さを薄くすること
が困難で電極厚さが0.8mm程度あるため、巻き取られた
正極の量が少なく電池容量が低い。また合金粒子として
集電体との密着度が低いため、放電電圧も低い。
従来品B(パンチングメタル型式)、電極厚さを薄く
できるため、容量はエキスパンドメタルとほとんど変わ
らないものの、活物質シートと集電体との密着度が低い
ため放電電圧は低くなる。なお、このパンチングメタル
の表面は粗化処理されている。
(第2実施例) 次に電池A、B、Cと同じ負極を用い、これを10×12
cm2に切り出し、焼結式ニッケル極と組合わせ交互に積
層し、5NのKOHに1NのLiOHを混合した電解液中に浸漬し
て開放型電池を構成した。
これを充電:0.5C×3hr、放電:0.5C、0.9Vの条件でサ
イクル試験を行った。結果を第7図に示す。
第7図から明らかなようにエキスパンドメタルを集電
体に用いたものは従来のものよりサイクル寿命が格段に
優れることがわかる。
これは、充放電サイクルを繰り返すことによる活物質
の脱落、剥離が従来のものに比べ生じにくいためである
と考えられる。
[発明の効果] 以上説明したように本発明の水素吸蔵電極はエキスパ
ンドメタルを金属集電体としており、更に、エキスパン
ドメタルの厚さを0.1〜0.8mm、その線幅を0.05〜1.0mm
とし、菱状開口の4つの頂点の内、互いに最も離れた2
頂点間の寸法である長軸距離LWMを0.3mmより長く、10mm
より短く設定し、残りの2頂点間の距離である短軸距離
SWMを0.2mmより長く前記長軸距離LWMより短く設定する
とともに、前記長軸距離LWMに平行に実施するロールプ
レス工程により前記圧着を実施するので、接着性の向上
に伴い放電容量及びサイクル寿命が向上する。
また、パンチングメタルに比べて素材の利用効率が高
く経済性に富む点、金網に比べて引張りに対する耐変形
性に富む。
更に、本発明では、菱状開口の長軸距離LWMの方向に
ロールプレスを行うので、ロールプレスによる菱状開口
の変形を抑止してシートの剥離を防止しつつロールプレ
スによる高い圧着能率を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例の水素吸蔵電極の圧着工程を示す模式工
程図、第2図はエキスパンドメタルの一部拡大斜視図、
第3図はエキスパンドメタルの平面図、第4図はエキス
パンドメタルの断面図、第5図はパンチングメタルの一
部断面図、第6図は本実施例品及び従来品の放電特性を
示す特性線図、第7図は本実施例品及び従来品のサイク
ル寿命特性を示す特性線図である。 1……水素吸蔵合金粉末のシート 2……エキスパンドメタル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 淳 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式 会社豊田自動織機製作所内 審査官 鈴木 正紀

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水素吸蔵合金粉末を結着材とともに混練し
    て予備成形したシートを、菱状開口を有し、表面に多数
    の線状の凹凸が形成されているエキスパンドメタルから
    なる金属集電体に圧着してなる水素吸蔵電極の製造方法
    において、 前記エキスパンドメタルの厚さを0.01〜0.8mm、前記エ
    キスパンドメタルの線幅を0.05〜1.0mmとし、前記菱状
    開口の4つの頂点の内、互いに最も離れた2頂点間の寸
    法である長軸距離LWMを0.3mmより長く、10mmより短く設
    定し、残りの2頂点間の距離である短軸距離SWMを0.2mm
    より長く前記長軸距離LWMより短く設定するとともに、
    前記長軸距離LWMに平行に実施するロールプレス工程に
    より前記圧着を実施することを特徴とする水素吸蔵電極
    の製造方法。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58163157A (ja) * 1982-03-23 1983-09-27 Toshiba Corp 金属酸化物・水素電池
JPS59224053A (ja) * 1984-04-05 1984-12-15 Matsushita Electric Ind Co Ltd 鉛蓄電池

Patent Citations (2)

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