JP2527265Y2 - シリンダ錠のクリック機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、シリンダ錠のキー抜取位置のクリック機構
（プラグをキー抜取位置に位置決めして軽く係止する機
構）を、シリンダ錠に設けられた鍵孔保護用のシャッタ
に内設したシリンダ錠のクリック機構に関する。

〔従来の技術〕

シリンダ錠は、シリンダケースと、このシリンダケー
スの内周面に挿入され前面に鍵孔が設けられたプラグと
を有し、プラグの前面に設けられた鍵孔にキーを差し込
むとプラグが回動可能になる。

プラグの後端部にはプラグの回動を制限するカム板が
設けられ、プラグを一方向に回すと施錠位置まで回動
し、プラグを他方向に回すと解錠位置まで回動する。

この施錠位置と解錠位置との中間に、キーが抜取可能
となる抜取位置があるが、プラグを抜取位置に位置決め
するストッパは無い。

〔考案が解決しようとする課題〕

キーを抜き取るには、ほぼ抜取位置においてキーを把
持する指先を微細に動かして指先の感触により抜取位置
を手探りしながらキーを抜き取っているのが現状であ
り、キーを簡単に抜き取ることができない不便がある。

本考案はかかる課題を解決することを目的とし、プラ
グをキー抜取位置に位置決めするクリップ（click）機
構を、シリンダ錠に設けられた鍵孔保護用のシャッタ内
に設けた。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、シリンダケー
スにプラグを回動可能に嵌挿し、上記プラグの前面に設
けられた鍵孔にキーを挿入して施錠及び解錠するシリン
ダ錠において、上記プラグの前面に上記鍵孔から上記プ
ラグの外周面に連通する摺動溝を設け、シャッタの裏面
に上記摺動溝に係合する摺動突起を設け、上記摺動溝に
鋼球を挿入すると共に、該鋼球と上記摺動突起との間に
ばねを弾装し、キーの抜取位置において上記鋼球が接触
する上記シリンダケースの内周面に上記鋼球が挿入する
凹部を設けた。

〔作用〕

上記のように構成されたシリンダ錠のクリック機構の
作用は、次のようになる。

プラグの摺動溝に係合する摺動突起は鍵孔方向に付勢
され、シャッタは鍵孔を閉鎖している。

又、摺動溝の中に挿入された鋼球はシリンダケーシの
内周面に押し付けられている。

シャッタが鍵孔を閉鎖しているときには、ばねの圧縮
量が少ないが、キーを鍵孔に挿入すると、開かれたシャ
ッタがばねを圧縮し、ばねが鋼球を押圧する力が増大す
る。

次に、キーによりプラグを施錠位置或いは解錠位置に
回動した後に、キーを抜取位置方向に回動すると、プラ
グが抜取位置に回動したときに鋼球がシリンダケースの
内周面の凹部に嵌まり込み、プラグが抜取位置に位置決
めされるので、キーを引き抜くことが出来る。

キーを引き抜くと、シャッタが鍵孔を閉鎖すると共
に、ばねの圧縮力が減少する。

〔実施例〕

本考案の実施例について図面を参照しながら説明す
る。

第１図の縦断面図及び第１図の部分拡大図である第５
図に示すように、シリンダケース１の内周面にプラグ２
の外周面2a及び鍔部2bが回動可能に嵌挿され、シリンダ
ケース１の上部、下部及び横方向には、それぞれ複数個
のドライバピン孔３がシリンダケース１の軸方向に配列
して設けられ、各ドライバピン孔３はシリンダケース１
の外周面に取付けられる固定部材４によって被覆され
る。

各ドライバピン孔３にはドライバピン５が挿入され、
各ドライバピン５と固定部材４の間にばね６が挿入され
る。

プラグ２には、プラグ２の前面に開口する鍵孔７と、
ドライバピン孔３に対応する位置に鍵孔７からプラグ２
の外周面2aに貫通するタンブラピン孔８が設けられ、タ
ンブラピン孔８の中にタンブラピン９が挿入される。

そして、鍵孔７にキーが挿入されていないときには、
ばね６に押されたドライバピン５の内側先端がタンブラ
ピン孔８に係入しているため、プラグ２は回動不能であ
るが、鍵孔７にキーを挿入すると、キーに押されたタン
ブラピン９がドライバピン５を押動し、ドライバピン５
の内側先端がプラグ２の外周面2aであるシャーラインＬ
に一致するのでプラグ２が回動可能になり、キーを回動
してシリンダ錠を施錠或いは解錠することが出来る。

本考案は、上記のようなシリンダ錠の鍵孔７をカバー
するシャッタ内部に、プラグ２をキー抜取位置に位置決
めするクリック機構を設けるものである。

プラグ２の鍔部2bの前面に、鍵孔７からプラグ２の外
周面2aに貫通するアリ溝形状の摺動溝10が設けられ（第
２図参照）、第１図においてシャッタ11の表面の上端に
テーパ面12を設けると共に、シャッタ11の裏面の上端部
側に、摺動溝10に係合する摺動突起13を設ける。

又、摺動溝10にばね15及び鋼球16を挿入し、ばね15に
押された鋼球16が、プラグ２の外周面2aから突出してシ
リンダケース１の内周面に圧接する。

プラグがキー抜取位置にあるとき、シリンダケース１
の内周面の鋼球16が圧接する位置に、鋼球16が嵌まり込
む底の浅い凹部17を設ける。

シャッタ11の材質には、シリンダ錠の前面が悪質なド
リリングにより破壊されることを防止するため、ステン
レス鋼或いは焼入れ鋼を使用する。

プラグ２の後端部側には当接面18a,18bを有するカム
板18が固着され、シリンダケース１にはカム板18の回動
を制限する突起19が設けられ、当接面18aが突起19に当
たるとプラグ２が施錠角度となり、当接面18bが突起19
に当たるとプラグ２が解錠角度となる。

次に、シャッタ11の内部に設けられたシリンダ錠のク
リック機構を作用を説明する。

鍵孔７にキーを挿入していないときには、ばね15によ
り上方に押されたシャッタ11が鍵孔７を閉鎖している。

従って、シリンダ錠が屋外の自動販売機などに設けら
れていても、鍵孔７には雨水や塵埃が侵入することはな
い。

シャッタ11のテーパ面12にキーを押し当てると、テー
パ面12に働く分力によりシャッタ11が開き、キーがその
まま鍵孔７に挿入されてプラグ２が回動可能になると共
に、開かれたシャッタ11によりばね15が圧縮され、鋼球
16を凹部17に押し付ける力が増大する。

プラグ２を施錠方向に回動すると、カム板18の当接面
18aが突起19に当たりプラグ２が施錠位置となり、プラ
グ２を解錠方向に回動すると、当接面17bが突起19に当
たりプラグ２が解錠位置となる。

プラグ２を、施錠位置と解錠位置の中間にあるキー抜
取位置に向けて回動すると、鋼球16が底の浅い凹部17に
嵌まり込み、プラグ２がキー抜取位置に位置決めされる
ので、キー抜取位置を手探りする面倒な操作を必要とし
ないで、そのままキーを抜き取ることが出来る。

〔考案の効果〕

本考案は、以上説明したように構成されているので、
以下に示すような効果を奏する。

（１） シリンダ錠に、プラグをキー抜取位置に位置決
めするクリック機構を設けたので、プラグを極めて容易
にキー抜取位置に位置決めすることが出来るようになっ
た。

（２） プラグをキー抜取位置に位置決めするシリンダ
錠のクリック機構は構造が簡単であり、シリンダ錠の前
面に設けられたシャッタの中にコンパクトに設けること
が出来るので、クリック機構付きのシリンダ錠の大きさ
は従来のシリンダ錠と変わらない。

（３） キーが挿入されたときに、キーによって開かれ
たシャッタにばねが圧縮され、ばねが鋼球を押圧する力
が増大する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図は本考案の実施例を示し、 第１図はシリンダ錠の縦断面図、 第２図はシリンダ錠の横断面図、 第３図はカバーを除去したシリンダ錠の正面図、 第４図はシリンダ錠の背面図、 第５図は第１図の部分拡大図である。 １……シリンダケース、２……プラグ、2a……外周面、
３……ドライバピン孔、７……鍵孔、８……タンブラピ
ン孔、10……摺動溝、11……シャッタ、13……摺動突
起、15……バネ、16……鋼球、18……カム板、19……突
起。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダケースにプラグを回動可能に嵌挿
   し、上記プラグの前面に設けられた鍵孔にキーを挿入し
   て施錠及び解錠するシリンダ錠において、上記プラグの
   前面に上記鍵孔から上記プラグの外周面に連通する摺動
   溝を設け、シャッタの裏面に上記摺動溝に係合する摺動
   突起を設け、上記摺動溝に鋼球を挿入すると共に、該鋼
   球と上記摺動突起との間にばねを弾装し、キーの抜取位
   置において上記鋼球が接触する上記シリンダケースの内
   周面に上記鋼球が嵌まり込む底の浅い凹部を設けたこと
   を特徴とするシリンダ錠のクリック機構。