JP2525592B2 - カルボキシペプチダ−ゼおよびその製造法 - Google Patents

カルボキシペプチダ−ゼおよびその製造法

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JP2525592B2 JP5127487A JP5127487A JP2525592B2 JP 2525592 B2 JP2525592 B2 JP 2525592B2 JP 5127487 A JP5127487 A JP 5127487A JP 5127487 A JP5127487 A JP 5127487A JP 2525592 B2 JP2525592 B2 JP 2525592B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はカルボキシペプチダーゼおよびその製造法に
関し、詳しくは75〜80℃に最適作用温度を示し、耐熱性
にすぐれたカルボキシペプチダーゼおよびその製造法に
関する。
〔従来の技術、発明が解決しようとする問題点〕
カルボキシペプチダーゼは微生物界,動物界,植物界
から多数分離され、それぞれの構造,性質等が詳細に調
べられている。カルボキシペプチダーゼは、その触媒活
性の発現の違いによって、セリンカルボキシペプチダー
ゼ,メタロカルボキシペプチダーゼ,システィンカルボ
キシペプチダーゼに分類されている。
しかし、これまでに報告されているカルボキシペプチ
ダーゼは常温生物から得られたものであり、好熱性細菌
をはじめとした好熱性生物からはまだ精製されていな
い。また、細菌から分離されたメタロカルボキシペプチ
ダーゼの報告は少ない。
〔問題点を解決するための手段〕
そこで本発明者らは、耐熱性にすぐれたカルボキシペ
プチダーゼを生産する好熱性細菌を探索すべく研究を重
ねた結果、サーマス(Thermus)属に属する高度好熱性
細菌が目的とする酵素を生産することを見出し、本発明
を完成した。
すなわち本発明は、下記の理化学的性質を有するカル
ボキシペプチダーゼ並びにサーマス属に属し、該カルボ
キシペプチダーゼを生産する能力のある高度好熱性細菌
を培養し、培養物中に該カルボキシペプチダーゼを生成
せしめ、これを採取することを特徴とするカルボキシペ
プチダーゼの製造法を提供するものである。
作用:ペプチドのC末端からアミノ酸を順次遊離す
る。
基質特異性:C末端にProを含むCbz−Gly−Proを除い
たペプチドに対して広い特異性を示す。
最適作用pH:8.0〜9.0 最適作用温度:75〜80℃ 熱安定性:高い熱安定性を有し、80℃,20時間の加
熱で約75%、90℃,20時間の加熱で約40%の活性が残存
する。
金属イオンの影響:Ca2+,Co2+,Mg2+に対して安定で
あるが、Zn2+により失活する。
分子量:62000(ゲル濾過法) 本発明のカルボキシペプチダーゼは、サーマス属に属
し、該酵素生産能を有する高度好熱性性細菌を栄養培地
に培養し、培養物中に該酵素を生成せしめ、これを採取
することによって製造することができる。
目的とするカルボキシペプチダーゼを生産する能力の
ある微生物としては、たとえばサーマス・アクアテイカ
ス(Thermus aquaticus)YT−1(ATCC 25104)があ
り、本菌のほかその自然的もしくは人工的変異株なども
該酵素生産能を有する限り本発明に使用することができ
る。
栄養培地は、上記微生物が十分に生育し、目的とする
酵素を生産しうるものであればよく、たとえばポリペプ
トン,酵母エキス,ホエイ蛋白質等の硫酸カルシウムな
どの無機塩類等を加えたものが好適に用いられる。
培養は通常、通気攪拌培養法により行うことが好まし
く、必要に応じて消泡剤を添加する。一般に、培養は中
性付近のpHに調整し、40〜80℃の温度で12時間〜10日間
程度行い、カルボキシペプチダーゼを十分に生成せしめ
る。この酵素は主として菌体中に蓄積される。
培養物からのカルボキシペプチダーゼの採取は適宜既
知の手法を組合せて行えばよく、その1例を示すと、培
養終了後、培養物から遠心分離などによって菌体を集
め、必要により凍結保存する。菌体を破砕処理したのち
遠心分離して得た上清液を適当な緩衝液で透析して菌体
抽出粗酵素液を得る。
次いで、粗酵素液を硫安塩析,カラムクロマトグラフ
ィー,ゲル濾過,電気泳動などの酵素精製に用いられる
通常の操作を適宜組合せることによって精製されたカル
ボキシペプチダーゼを得ることができる。
次に、本発明の酵素の性質を以下に示す。なお、酵素
活性の測定は以下の方法で行った。
1) 一般の合成ペプチドに対する活性の測定 一般の合成ペプチドに対する酵素活性の測定は、Math
esonら(Can.J.Biochem.,42,95,1864)の方法に準じて
行い、酵素作用によって生じたアミノ酸などをニンヒド
リンと反応させて比色定量した。実際に、緩衝液に溶解
した1mMの各種プチド溶液0.1mlを酵素反応温度とした後
に、酵素溶液0.1mlをそれぞれ加えて一定時間反応させ
た後,0.1M酢酸溶液0.1mlを加えて反応を停止させた。反
応停止溶液に蒸留水0.7mlを加えて1mlとした後に、0.2M
クエン酸緩衝液(pH5.0)0.5mlとニンヒドリン試薬1.2m
lを加え攪拌混合後、沸騰水浴中で7.5分間加熱を行っ
た。その後、速かに氷水中で十分に冷却した後、60%エ
タノール2.5mlで希釈し、室温で570nmにおける吸光値を
分光高度計で測定した。また、分析内容によっては、酵
素反応時の基質溶液,酵素溶液,蒸留水または緩衝液の
割合を変えて行った。酵素活性の単位は、精製工程中は
pH9.0,80℃,その他はpH8.5,70℃において酵素溶液1ml
が1分間に生成するニンヒドリン陽性物質をロイシン量
に換算し、1μMにロイシンに相当するニンヒドリン陽
性物質を生成する酵素量を1単位(U)とした。
2) プロリン残基を含むペプチドに対する活性の測定 プロリン残基を含むペプチドに対する酵素活性の測定
は、YaronとMlyner(Biochem.Biophys.Res.Commun.,32,
658,1968)の方法に準じて行い、酵素作用によって生じ
たプロリンをニンヒドリンを反応させて比色定量した。
実際には、緩衝溶液に溶解した1mMの各種ペプチド溶液
0.1mlを酵素反応温度とした後に、酵素溶液0.1mlをそれ
ぞれ加えて反応を行った。反応条件は通常pH8.5で70℃,
30分間で行った。反応停止は0.1M酢酸溶液0.1mlを加え
て行い、さらに蒸留水を0.7ml加え全体で1mlとした。そ
の後、氷酢酸2.5mlとニンヒドリン試薬2.5mlを加えて攪
拌混合してから沸騰水浴中で30分間加熱を行った。加熱
終了後は氷水中で十分に冷却してから室温に戻して480n
mにおける吸光値を分光光度計で測定した。酵素活性の
単位は、通常pH8.5,7.5℃において酵素溶液1mlが1分間
に生成するプロリン量を算出し、1μMのプロリンを生
成する酵素量を1単位(U)とした。
以上の2種類の方法を用いて測定し、酵素の比加勢は
酵素溶液中の蛋白質1mg当りの活性単位で表わした。
1) 分子量 本酵素の分子量はセファデックスG−200によるゲル
濾過法で求めた。精製酵素および標準蛋白質の溶出位置
と分子量の関係を第1図に示した。この結果、本酵素の
分子量は62,000と推定された。
2) アミノ酸組成 本酵素のトリプトファンを除いたアミノ酸分析の結果
と分子量62,000とした場合の計算上の残基数を第1表に
示した。構成するアミノ酸組成はGlu(n),Gly,Ser,Al
aの含量が比較的多くCysは含まなかった。
3) 最適作用pH 本酵素の最適作用pHはpH5.0から10.0の範囲で、カル
ボベンゾキシ(Cbz)−Phe−Tyrを基質として70℃,30分
間の反応条件で測定した。緩衝液は室温で各pHに調製し
た0.5Mクエン酸塩緩衝液(pH5〜6),0.05Mリン酸塩緩
衝液(pH6〜8),0.05M Tris-HCl緩衝液(pH8〜9)お
よび0.05M H3BO4・KCl-NaOH緩衝液(pH9〜10)を使用し
た。結果は第2図に示した。最適作用pHは8.0から9.0の
範囲であった。pH9.5よりアルカリ性側,pH7より酸性側
では相対的活性は低下した。
4) 最適作用温度 精製酵素の最適作用温度は30℃から95℃の温度で、Cb
z-Phe-Tyrを基質としてpH8.5 0.05M Tris-HCl緩衝液を
用いて30分間の反応で測定した。結果は第3図に示し
た。本酵素は75℃から80℃に最適作用温度を示し、85℃
では相対的活性で約95%,95℃でも約85%と非常に高温
度でも活性を有した。低い反応温度での活性は、60℃で
は約75%,50℃では約55%,30℃では約20%であった。
5) 熱安定性 酵素活性の熱安定性は菌体抽出粗酵素液と精製酵素で
測定した。酵素の加熱処理は、pH7.2 0.05M Tris-HCl緩
衝液を用いて80℃から95℃の範囲で20時間行い、加熱後
に残存する活性はpH8.5でCbz-Tyrを基質として70℃,30
分間の反応で測定し、それぞれの未加熱の酵素活性を基
準として相対的活性値を示した。加熱時の蛋白質濃度は
精製酵素は10μg/mlで行い、菌体抽出粗酵素液は未加熱
時に精製酵素と同じ活性を有する濃度で行った。得られ
た結果を第図に示した。精製酵素は80℃,20時間の加熱
で約75%、90℃,20時間の加熱でも約40%の活性が残存
した。また、菌体抽出粗酵素液は精製酵素より更に高い
熱安定性を示し、80℃,20時間の加熱で約85%、90℃,20
時間の加熱で約65%の活性が残存した。
6) 金属イオンの影響 本酵素の活性におよぼす各種金属イオンの影響を測定
した結果を第2表に示した。各種金属イオンをそれぞれ
酵素溶液に1mMとなるように加え、25℃で30分間放置し
た後に金属イオン混在下でCbz-Phe-Tyrを基質としてpH
8.5で70℃,30分間の反応を行った。本酵素はCa2+,Co2+,
Mg2+に対しては安定であったが、Zn2+によって殆ど活性
を失った。また、Cu2+,Fe2+,Su2+,Mn2+によってある程
度影響を受けた。
7) 試薬の影響 本酵素の活性におよぼす各種試薬の影響を測定した結
果を第3表に示した。酵素溶液とそれぞれの濃度の各種
試薬を混合し、25℃で30分間放置した後に、試薬混在下
でCbz-Phe-Tyrを基質としてpH8.5で70℃,30分間の反応
を行った。本酵素の活性は1mM EDTA,1mM 1−10フェナン
トロリンのような金属キレート剤によって強く阻害され
た。また、SH試薬であるPCMBにもかなり阻害を受けた。
1mM N−エチルマレイミド,1mMモノヨード酢酸,1mM 2−
メルカプトエタノール,0.1mMシスティン,10μMアマス
タチン,10μMベスタチンに対して殆ど影響を受けなか
った。SDSに対しては0.05%,グアニジン塩酸には0.5M
でかなり強く阻害を受けた。
8) km値およびVmax. 本酵素のkm値およびVmax.はCbz-Phe-Tyrを基質として
酵素反応温度を変えて求めた。各種濃度の基質をpH8.5
の0.05M Tris-HCl緩衝液で調製して30℃,50℃,70℃,90
℃の温度で酵素反応を行った後に、遊離したチロシンを
日立アミノ酸自動分析計835型で同定、定量した。得ら
れた結果からそれぞれの温度のLineweaver-Burkプロッ
トを第5図に示した。km値は30,50,70,90℃でそれぞれ
0.056,0.057,0.058,0.068mMであった。一方、Vmax.はそ
れぞれ0.48,1.64,5.41,9.52μM/minであった。反応温度
によってkm値は殆ど変化しなかったが、Vmax.はかなり
異っており90℃で最も高い値を示した。
9) 基質特異性 本酵素の各種基質に対する特異性を測定しCbz-Phe-Ty
rを基準とした相対的活性値を第4表に示した。酵素反
応はpH8.5で70℃30分間行った。本酵素はC末端にProを
含むCbz-Gly-Proを除いたペプチドに対して広い(低
い)特異性を示し、C末端から2残基目にProを持つペ
プチドに対しても弱いながら活性を示した。疎水性アミ
ノ酸からなるCbz-Phe-Tyrに対して高い活性を示したが
C末端がPhe,Tyrといった疎水性アミノ酸でもC末端か
ら2残基目のアミノ酸の種類によって活性は大きく異っ
た。C末端がPheで2残基目にGluを持つペプチドとGly
を持つペプチドの活性を比較するとGlyの方が高い活性
を示した。また、C末端にTyrを持ち2残基目がGluとPh
eのペプチドを比較するとPheの方が高い活性を示した。
このような結果はCbz-Gly-LeuとCbz-Gly-Pro-Leu,Cbz-G
ly-GlyとCbz-Gly-Pro-Leu-Glyの比較でも得られた。
10) ペプチドに対する加水分解作用 本酵素のCbz-Gly-Pro-Leu-Gly,Thr-Thr-Met-Pro-Leu-
Trp,Tyr-Leu-Gly-Tyr-Leu-Glu-Gln-Leu-Leu-Argに対す
る加水分解作用を測定した。酸素反応はpH8.5 0.1Mギ酸
−アンモニア緩衝液を用いて70℃で行い、酵素/基質
(W/W)は各々1:30,1:40,1:70で行った。Cbz-Gly-Pro-L
eu-Glyに対する作用は最初にGlyが遊離した後、Leuは比
較的ゆっくり遊離した。そして、C末端がProになったC
bz-Gly-Proに対しては作用せず、先の基質特異性の分析
結果と同じであった。Thr-Thr-Met-Pro-Leu-Trpに対し
てはC末端からTrp,Leuと速やかに遊離し、Leuの遊離速
度はProが同じ条件で位置する(C末端から2残基目)
先のペプチドとは異った結果を示した。次に、C末端が
ProになったThr-Thr-Met-Proに対しても弱いながら活性
を示し、このProが遊離するとMet,Thrと殆ど同時に遊離
した。Tyr-Leu-Gly-Tyr-Leu-Glu-Gln-Leu-Leu-Argに対
してはC末端のArgから順次加水分解しGlu,Gluに対して
も作用した。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例により詳しく説明する。
実施例 ポリペプトン0.4%,酵母エキス0.2%,CaSO4・2H2O0.
15g/lを地下水で溶解し、NaOHでpH7.2に調整後、120℃
で60分間滅菌を行ったものを栽培とした。この培地にサ
ーマス・アクアティカスYT−1(ATCC 25104)を接種
し、75℃で24時間振盪培養を行った。
次いで、3l容ジャーファーメンターに上記と同じ組成
の培地1を入れて滅菌したのち前培養液を2%の割合
で接種し、250rpm,1.0VVM,0.5kg/cm2にて75℃で24時間
第2次前培養を行った。
本培養は、ポリペプトン0.8%,酵母エキス0.4%,CaS
O4・2H2O0.15g/l,ホエイ蛋白質0.4%を地下水で溶解
し、前培地と同様にpH調整,滅菌した培地を用い、第2
次培養液を4%接種し、65℃で定常期になるまで培養を
行った。なお、第2次前培養,本培養では必要に応じて
消泡剤(Adecanol LG126)を添加した。培養後菌体は遠
心分離で常法にもとづいて集菌した。
次いで、菌体を0.05M Tris-HCl緩衝液(pH7.2)に懸
濁(10%W/V)した後に、強力超音波振盪器(ブランソ
ン社,モデル200 100V 20KHz)を用いて最大出力で10分
間超音波処理を行い、菌体を粉砕した。この時の試料の
温度は10℃以下で行った。その後、菌体の破片を遠心分
離(35,000×g20分間)で除去し、得られた上清液を同
上緩衝液で十分に透析して菌体抽出粗酵素液とした。
次いで、以下の方法により酵素を精製した。
1) 硫酸アルモニウムによる塩析 菌体抽出粗酵素液50mlに硫酸アンモニウム28.05gを加
えて80%飽和となるようにし、30分間放置した後、遠心
分離(10,000×g30分間)を行う。得られた沈殿物は0.0
5M、Tris-HCl緩衝液(pH7.2)で溶解し、同緩衝液で十
分に透析した後に、硫酸アンモニウム沈殿酵素画分とす
る。
2) DEAEセファセルクロマトグラフィー 80%硫酸アンモニウム沈殿酵素画分70mlを予め0.5M T
ris-HCl緩衝液(pH7.2)で平衡化したDEAEセファセルカ
ラム(2.4×24cm)に吸着させる。カラムを同緩衝液で
洗浄してから、0M〜0.5M塩化ナトリウム(NaCl)の直線
的濃度勾配となる条件で同緩衝液1000mlを用いて溶出す
る。溶出速度は40ml/時間で行い、溶出液は1画分10ml
づつ分取する。分画した各画分蛋白質量(280mmの吸光
値)およびCbz-Phe-Tyrに対する加水分解活性を測定
し、カルボキシペプチダーゼ活性を含む溶出画分No.24
〜54を集め、0.05M Tris-HCl緩衝液(pH7.2)で透析を
行った後に、DEAEセファセルクロマトグラフィー酵素画
分とする。
3) フェニルセファロースCL-4Bクロマトグラフィ フェニルセファロースCL-4Bカラム(1.2×20cm)を予
め1M NaClを含んだ0.05M Tris-HCl緩衝液(pH7.2)で平
衡化を行った。先の酵素溶液300mlは同緩衝液で1M NaCl
とした後にカラムに吸着させた。その後、1M〜0.05M Na
Clの直線的濃度勾配となる条件で0.05M Tris-HCl緩衝液
(pH7.2)700ml,0.05M〜0M NaClの条件で同緩衝液200m
l,NaClを含まない同緩衝液100ml,0.05M Tris-HCl緩衝液
(pH9.0)100ml,蒸留水100ml,更にエタノール100mlで順
次溶出を行う。溶出速度は20ml/時間で行い、溶出液は
1画分5mlづつ分取する。分画した各画分の蛋白質量(2
80mmの吸光値)およびCbz-Phe-Tyrに対する加水分解活
性を測定し、カルボキシペプチダーゼ活性を含む溶出画
分No.38〜160を集め、0.05M Tris-HCl緩衝液(pH7.2)
で透析を繰り返した後にフェニルセファロースCL-4Bク
ロマトグラフィ酵素画分とする。
4) セファデックスG−200ゲルクロマトグラフィ 先の酵素溶液610mlはコロジオンバックで濃縮した後
に、0.05M Tris-HCl緩衝液(pH7.2)で平衡化し、最終
的に3mlまで濃縮を行う。濃縮試料は、予め同緩衝液で
平衡化したセファデックスG−200カラム(2×70cm)
にのせ、同緩衝液で溶出を行う。溶出速度は5ml/時間で
行い、溶出液は1画分2.5mlづつ分取する。分画した各
画分の蛋白質量(280mmの吸光値)およびCbz-Phe-Tyrに
対する加水分解活性を測定し、カルボキシペプチダーゼ
活性を含む溶出画分No.48〜74を集め、セファデックス
G−200クロマログラフィ酵素画分とする。
5) DEAEセファセルによる再クロマトグラフィ 先のゲル濾過により精製で得た酵素溶液65mlを、予め
0.05M Tris-HCl緩衝液(pH7.2)で平衡化したDEAEセフ
ァセルカラム(1.7×20cm)に吸着させる。同緩衝液で
洗浄してから、0M〜0.4M NaClの直線的濃度勾配となる
条件で400mlの同緩衝液で溶出を行う。溶出速度は20ml/
時間で行い、溶出液は1画分5mlづつ分取する。溶出し
た各画分の蛋白質量(280mmの吸光値)およびCbz-Phe-T
yrに対する加水分解活性を測定する。酵素の活性は1回
目のDEAEセファセルによる精製工程でも認められたよう
に今回も活性の主ピークの前部分で活性が肩のように広
がって分画されたため、カルボキシペプチダーゼ活性を
含む溶出画分を2画分に分けて集め、最初に活性が肩の
ように溶出した画分No.23〜32をDEAEセファセル再クロ
マトグラフィ酵素画分I、活性の主ピークが溶出した画
分No.33〜48をDEAEセファセル再クロマトグラフィ酵素
画分IIとする。それぞれの酵素画分は0.05M Tris-HCl緩
衝液(pH7.2)で透析を行う。ここで得られた比活性は
酵素画分Iは325.5U/mg,酵素画分IIは712.2U/mgであっ
た。
6) ディスク電気泳動ゲル抽出 先のDEAEセファセル再クロマトグラフィで精製した酵
素画分I50mlおよび酵素画分II80mlは各々コロジオンバ
ックで濃縮を行う。ディスク電気泳動は7.5%ポリアク
リルアミドゲルを用いてpH8.0で行い、濃縮した酵素画
分I,IIはカラム1本当り蛋白質量で220μgづつのせ、
1本当り3mAの定電流で約2時間電気泳動を行う。泳動
後、酵素画分I,IIの1本は染色し、他のゲルは2mm毎に
スライスして各々の画分を1mlの0.05M Tris-HCl緩衝液
(pH7.2)に浸し、破砕して酵素を抽出する。酵素画分
I,IIの染色したゲルの吸光値550mmのデンシトメーター
によるパターンと、分画した各画分のCbz-Phe-Tyrに対
する加水分解活性を測定した結果、DEAEセファセル再ク
ロマトグラフィで得た酵素画分I,IIをディスク電気泳動
ゲル抽出で精製したカルボキシペプチダーゼ活性のパタ
ーンは同じであった。ディスク電気泳動上のカルボキシ
ペプチダーゼ活性は、相対的移動度約0.35の位置に主な
活性ピークを示し、それより移動度の低い部分全体にも
弱い活性が認められた。以後は、先のDEAEセファセル再
クロマトグラフィによる精製工程で高い比活性の有した
酵素画分IIでディスク電気泳動による相対的移動度0.35
の主活性ピークの部分を精製することとし、このカルボ
キシペプチダーゼ活性画分を集めてディスク電気泳動酵
素画分とした。
7) ディスク電気泳ぎ動による再ゲル抽出 酵素溶液IIのディスク電気泳動による主な活性画分溶
液をコロジオンバックで濃縮し、先と同じ方法で再度デ
ィスク電気泳動でゲル抽出を行い、Cbz-Phe-Tyrに対す
る加水分解活性を含む画分を集めて0.05M Tris-HCl緩衝
液(pH7.2)で透析を行った後に、精製酵素溶液とす
る。
以上の精製工程における結果を第5表に要約する。精
製酵素はCbz-Phe-Tyrを基質として菌体抽出粗酵素液と
比較すると、比活性で412.5倍に精製され、活性の収率
は21.6%であった。
〔発明の効果〕 本発明のカルボキシペプチダーゼは最適作用温度が75
〜80℃であり、高温下での熱安定性も優れている。この
ように高い耐熱性とペプチドのC末端からアミノ酸を順
次遊離する真のカルボキシダーゼ作用を有するので、本
酵素は酵素の構造や機能の研究,分析用試薬,食品工業
への応用など幅広い利用が期待される。
また、本酵素は好熱性細菌を用いて効率よく製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の酵素および標準蛋白質の溶出位置と分
子量の関係を示すグラフであり、図中のAはキモトリプ
シン(分子量25,000),Bはオボアルブミン(分子量43,0
00),Cは牛血清アルブミン(分子量67,000),Dはアルド
ラーゼ(分子量160,000),Eは本発明の酵素を示す。第
2図はpHと酵素の残存活性の関係を示すグラフであり、
pH5〜6はクエン酸ナトリウム,pH6〜8はリン酸ナトリ
ウム,pH8〜9はトリス−HCl,pH9〜10はホウ酸ナトリウ
ムの各緩衝液(0.05M)を用いた。第3図は温度と酵素
の相対活性の関係を示すグラフ、第4図は温度と酵素の
残存活性を示すグラフ、第5図は本発明の酵素のkm値と
Vmax.を示すグラフであり、30℃(黒丸),50℃(四
角),70℃(白丸)または90℃(三角)でpH8.5にて30分
間インキュベートしたときの結果を示している。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有するカルボキシペ
    プチダーゼ。 作用:ペプチドのC末端からアミノ酸を順次遊離す
    る。 基質特異性:C末端にProを含むCbz−Gly−Proを除い
    たペプチドに対して広い特異性を示す。 最適作用pH:8.0〜9.0 最適作用温度:75〜80℃ 熱安定性:高い熱安定性を有し、80℃,20時間の加
    熱で約75%、90℃,20時間の加熱で約40%の活性が残存
    する。 金属イオンの影響:Ca2+,Co2+,Mg2+に対して安定で
    あるが、Zn2+により失活する。 分子量:62000(ゲル濾過法)
  2. 【請求項2】サーマス属に属し、下記の理化学的性質を
    有するカルボキシペプチダーゼを生産する能力のある高
    度好熱性細菌を栄養培地に培養し、培養物中に該カルボ
    キシペプチダーゼを生成せしめ、これを採取することを
    特徴とするカルボキシペプチダーゼの製造法。 作用:ペプチドのC末端からアミノ酸を順次遊離す
    る。 基質特異性:C末端にProを含むCbz−Gly−Proを除い
    たペプチドに対して広い特異性を示す。 最適作用pH:8.0〜9.0 最適作用温度:75〜80℃ 熱安定性:高い熱安定性を有し、80℃,20時間の加
    熱で約75%、90℃,20時間の加熱で約40%の活性が残存
    する。 金属イオンの影響:Ca2+,Co2+,Mg2+に対して安定で
    あるが、Zn2+により失活する。 分子量:62000(ゲル濾過法)
  3. 【請求項3】サーマス属に属するカルボキシペプチダー
    ゼ生産能を有する高度好熱性細菌が、サーマス・アクア
    ティカスYT−1(ATCC 25104)である特許請求の範囲第
    2項記載の方法。
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