JP2524547B2 - 加熱加工装置 - Google Patents

加熱加工装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば食品表面のこげ
目付け等の加熱加工に好適な加熱加工装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】食品加工工場等では、食品の加熱加工用
にオーブンを使用しているが、近年、金属等の繊維を積
層したファイバーマットを用いた表面燃焼バーナ(ファ
イバーマットバーナ)の利用が検討されている。このフ
ァイバーマットバーナーは、ファイバーマットの一方の
側から空気と燃料ガスの混合物を送り込んで他方の側の
表層部で燃焼させ、表層部自体を加熱することによっ
て、燃料ガスのエネルギーを効率的に輻射熱に変換する
ものであり、ローストビーフやハンバーグ等の加熱調理
に好適である。
【0003】従来のこの種の加熱加工は、コンベアに食
品を載置して食品表面と対向するように表面燃焼バーナ
が配置された燃焼室内を通すことによって行なわれ、燃
焼室内の滞在時間、バーナの火力、バーナと食品との距
離等を事前に調整しておくことにより、所望の加工状態
を得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来の技術では、加熱加工装置におけるバーナの配置は
対象とする食品に応じて予め固定されていて変更が困難
であるため、形状が異なる食品の加熱加工を同一の装置
で行なうことができないという問題があった。
【0005】例えば、へん平な食品を対象とする場合に
は食品の上面と対向するようにバーナが配置されるが、
立方体状の食品を対象とする場合には上面だけでなく側
面の加熱も考慮しなくてはならず、バーナの配置を変え
る必要がある。しかし、従来の加熱加工装置では、バー
ナは予め設定された位置に固定されており、1日の作業
工程の中で、食品の種類を変更する度に装置を停止して
バーナの配置換えを行なうことは不可能である。仮に、
配置換えを行なったとしても多大な時間の損失を招き、
現実の食品の加工には対応できない。
【0006】従って、形状の相違する食品の加工を行な
う場合には、それぞれ専用の装置を装備しなければなら
ず、各装置の運転効率の低下、設置スペースの確保等、
種々の付帯的な問題が生じていた。
【0007】この発明は、かかる点に鑑みてなされたも
のであり、バーナの配置(燃焼室の形状)を加工対象物
に応じて容易に変更することのできる加熱加工装置を提
供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、焼室内でバー
ナーにより対象物品を加熱する加熱加工装置において、
前記燃焼室内で、対象物品載置面に対して互いに異なる
向きで配向した二つの燃焼面を持つ複数の表面燃焼バー
ナと、前記表面燃焼バーナのそれぞれを回転させて対象
物品載置面に対する熱照射方向を変える回動手段と、前
記回動手段の回動割合を燃焼室の外部から操作する操作
手段とを更に備えたものである。
【0009】また、好ましくは、前記燃焼室は、複数の
対象物品を連続的に移動させるコンベアの一部を覆う筒
状体に構成され、前記表面燃焼バーナは、前記コンベア
の進行方向に平行な中心軸を持ち、この中心軸の周りを
回転することにより、前記燃焼室内の熱照射分布を変え
て前記燃焼室内部の熱の対流状態を変化させるものであ
り、前記対象物品が食品であるものとしている。
【0010】
【作用】上述のように、本発明で用いる表面燃焼バーナ
は、対象物品載置面に対して互いに異なる向きで配向し
た二つの燃焼面を有しているため、1つの表面燃焼バー
ナで二つの燃焼面の開き角に応じた2方向からの加熱が
なされる。従って、表面燃焼バーナを回転させて、斜め
下方に向けて開いた状態とすれば、二つの燃焼面が異な
る角度方向から対象物品載置面に対して加熱を行うので
上方と側方の両方向からの加熱が可能であり、加熱方向
は、バーナ回転量によって容易に調整できる。
【0011】また、表面燃焼バーナを真下に向けた状態
とすれば、上方からのみの平坦な加熱も可能である。こ
の際、輻射熱(赤外線)は対象物品の上面に対して真上
からではなく二つの燃焼面の開き角に応じた角度をもっ
て入射することになるが、食品等の加熱加工を行なう場
合においては、全く問題にならない。
【0012】後述する実施例に示されるように、2つの
表面燃焼バーナを左右に並べて配置し、それぞれの軸回
りに適宜回転させれば、2つの表面燃焼バーナのそれぞ
れの燃焼面によって形成される燃焼室の形状を釣鐘状
(トンネル型)から平面状まで、容易に変更することが
可能である。表面燃焼バーナの回転を外部から行なえる
ようにしておけば、燃焼中であっても燃焼室の形状を変
更することができ、異なる物品について単一の装置で連
続的に加熱加工することが可能となる。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は、本発明実施例による食品加熱加工装置
(オーブン)の要部の構成を示す中央断面図であり、図
2は図1の装置の概略的な側面図、図3は図1の装置の
部分正面図である。
【0014】図1において、水平に設置された耐熱性の
ベルトコンベア2の上方には、対象物品載置面に対して
互いに異なる向きで配向した二つの燃焼面を持つ2つの
表面燃焼バーナ(以下、単に「へ」の字型バーナとい
う)1L,1Rがコンベア2の幅方向に並べて配置され
ている。本実施例では、コンベア2と「へ」の字バーナ
1L,1Rのそれぞれの燃焼面との間の空間が燃焼室A
として形成されている。さらに、これらの「へ」の字型
バーナ1L,1Rの上方はバーナフード9で覆われてい
る。
【0015】本実施例における「へ」の字型バーナ1
L,1Rは、それぞれ2つの平板状のファバーマットバ
ーナ(1aと1b,1cと1d)を燃焼面が所定の角度
なすように組み合わせてバー3b,3e(後述)で固定
したものであり、バー3b,3eの横棒部略中心で各々
軸5a,5bに回転可能に支持されている。この「へ」
の字型バーナ1L,1Rの長さ(コンベア2長手方向の
寸法)は、適宜設定されるものであるが、通常のこげ目
付け等の加熱加工では30〜150cm程度が適当であ
る。
【0016】上記の「へ」の字型バーナ1L,1Rを構
成する各ファイバーマットバーナ1a,1b,1c,1
dには、図3に示されるように、フレキシブルホース1
0が接続され、空気と予混合された燃料ガスがボンベ等
から送りこまれる。また、ファイバーマット表面に対向
するように着火手段(図示せず)が備えられ、バーナフ
ード9の略中央部には燃焼によって生じる二酸化炭素等
を排出するための排気孔8が開口されている。この排気
孔8には、排気流量を調節するためのダンパ8aが装備
されている。
【0017】コンベア2の下方には、予熱のためのヒー
タ7がコンベア2の下面と対向するように配置されてい
る。このヒータ7は、装置内の温度を一定以上に保って
ファイバーマットバーナ1a,1b,1c,1dによる
加熱効果を上げる役割りを果たす。装置が大型である場
合には、温度上昇までの時間が長くかかるので、工程の
都合で作業が中断する場合にも、バーナ1a,1b,1
c,1dだけを消火して予熱ヒータ7による加熱は継続
する方が(このときコンベア2は局部的な加熱を避ける
ために回転させておく)エネルギーのロスが少ない。
【0018】さて、本実施例では、上記の「へ」の字型
バーナ1L,1Rを回転させるための回動手段として、
リンク機構3とハンドル4を設けており、燃焼室Aの上
方にはシャフト3aが水平に配置されている。この水平
シャフト3aは、一端(紙面左端)がバーナフード9の
外に突き出しており、端部に取り付けられたハンドル4
の回動によって進退可能となっている。本実施例におけ
るリンク機構3の具体的な構造は次のようである。
【0019】まず、紙面左側の「へ」の字型バーナ1L
は逆T字型のバー3bに固定されており、バー3bの縦
棒部の端部には溝6a付の係止部材6が取り付けられて
いる。バー3bと水平シャフト3aは溝6a内をスライ
ドするピンP1で係止され、水平シャフト3aの進退に
伴なってバー3bが回転する構造となっている。
【0020】また、バー3bの縦棒部の中程と所定の位
置に固設された軸5cの間には、ピンP3で回転可能に
接続されたバー3c,バー3dが架け渡されており、バ
ー3cはバー3bに対してピンP2で回転可能に係止さ
れ、略V字型のバー3dはV字の角部で軸5cに回転可
能に係止されている。更に、バー3dの横棒部の端には
略L字型のバー3eがピンP4で回転可能に係止され、
バー3dの横棒部にはもう1つの「へ」の字型バーナ1
Rが固定されている。
【0021】次に、上述した「へ」の字型バーナ1L,
1Rの配置、即ち、バーナ1L,1Rで形成される燃焼
室Aの形状を変更する際のリンク機構3の動作について
説明する。図1においては、変更前の「へ」の字型バー
ナ1L,1R及びリンク機構3の状態を実線で示し、変
更後の状態を点線で示す。
【0022】まず、変更前においては、2つの「へ」の
字型バーナ1L,1Rは、左右対称にそれぞれ斜め下方
に(紙面左側のバーナ1Lは斜め右下方向に、紙面右側
のバーナ1Rは斜め左下方向に)「へ」の字が開いた状
態で固定されており、「へ」の字型バーナ1L,1Rの
燃焼面とコンベア2の間には釣鐘状の燃焼室Aが形成さ
れている。この状態では、略立方体形状の食品に対して
上方からも側方からも加熱がなされ、上面,側面ともほ
ぼ均等にこげ目をつける加工を行なうことができる。
【0023】上記のような加工に続いて、ハンバーグ等
のへん平な形状の食品の上面だけにこげ目をつけるよう
な加工を行なう場合には、ハンドル4を廻して水平シャ
フト3aを紙面右側に押し進める。これにより、逆T字
型のバー3b及びこれに固定された「へ」の字型バーナ
1Lは、図に示されるように軸5aの回りに右回りに回
転し(ピPンP1はP’1の位置に、ピンP2はP’2
の位置に移動)、「へ」の字型バーナ1Lは「へ」の字
が真下に開いた状態となる。
【0024】また、バー3bの回転に伴なって、ピンP
3はP’3の位置に移動し、更に、略V字型のバー3d
が軸5cの回りに回転(ピンP4はP’4の位置に移
動)する。これにより、略L字型のバー3eとこのバー
3eに固定された紙面右側の「へ」の字型バーナ1Rが
軸5bの回りに左回りに回転し、「へ」の字型バーナ1
Rの「へ」の字は真下に開いた状態となる。
【0025】以上の動作によって、2つの「へ」の字型
バーナ1L,1Rは、左右対称にそれぞれの軸5a,5
bの回りに回転され、燃焼室Aの形状は釣鐘状から平面
状に変更される。この動作は、外部に設けられたハンド
ル4の操作によって燃焼中であっても容易に行なうこと
ができる。
【0026】従って、上述した本実施例の装置を用いれ
ば、頻繁に食品の形状が代わるような場合でも連続的に
加熱加工を行なうことが可能であり、上面だけの加熱、
上面と側面の両方の加熱、側面を主とした加熱等対象と
なる食品に応じて多様な加熱加工を行なうことができ
る。この際、「へ」の字型バーナ1L,1Rを構成する
各ファイバーマットバーナ1a,1b,1c,1dの出
力は必ずしも同じである必要はなく、個別に調節できる
ようにしておいても良い。
【0027】なお、上記の実施例では、幅の狭いファイ
バーマットバーナ1a,1b,1c,1dを2つずつ組
み合わせて「へ」の字型バーナ1L,1Rを構成してい
るが、本発明における「へ」の字型バーナは単一のバー
ナの燃焼面を略への字に形成したものでも良く、半球型
(燃焼面は凹面)のバーナを用いても良い。への字の開
き角や球面の曲率半径は、対象となる食品の大きさや形
状、加工の仕様(こげ目のつけ方)等を考慮して適宜設
定すれば良い。
【0028】また、図1では2つの「へ」の字型バーナ
1L,1Rを左右の軸5a,5bに回転可能に支持させ
ているが、必要に応じて3つ以上の「へ」の字型バーナ
をそれぞれ適当な位置に配置しても良い。この際、各
「へ」の字型バーナは図1のように水平方向に適当な間
隔をおいて並べても良いし、あるいはコンベア2を目の
粗い金網等て構成してコンべア2の下側にも「へ」の字
型バーナを配置(への字は上方に向けて開いた状態)す
るようにしても良い。
【0029】もちろん、1つの軸に2つ以上のバーナを
支持させても良いことは言うまでもなく、本実施例の
「へ」の字型バーナ1L,1Rを長手方向に分割し、個
別又は同時に回転させる構成としても良い。このように
すれば、長手方向の位置によって燃焼室の形状を変える
こともでき、例えば、前段で食品の側面を主に加熱し、
後段で(必要に応じてソース等を塗布した後に)上面だ
けを加熱するというような加工を行なうこともできる。
【0030】また、図1の例では、リンク機構3とハン
ドル4によって左右の「へ」の字型バーナ1L,1Rを
対称動作させているが、「へ」の字型バーナを回転させ
るための機構は図1のものに限定されるものではない。
例えば、それぞれの「へ」の字型バーナを回転軸に固設
し、回転軸の先端をバーナフードの外に延設してレバー
を設け、レバーの操作によって各軸を個別に回転させる
ようにしても良い。いずれの場合も、各「へ」の字型バ
ーナに燃料ガスを供給する配管については、バーナの回
転に追従できるようにフレキシブルホースを用いること
が望ましい。
【0031】また、上記の実施例では、食品をコンベア
に載せて移動させる形式の加熱加工装置を示している
が、本発明はバッチ式の加熱加工装置にも適用できるも
のである。
【0032】更に、本発明の加熱加工装置は、食品の加
熱加工だけでなく、例えば塗装物の乾燥工程等にも応用
が可能である。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明の加熱加工装置で
は、複数の「へ」の字型バーナを異なる軸に回転可能に
支持させているので、「へ」の字型バーナを回転させる
ことによって、燃焼中であっても容易に燃焼室の形状を
変更することが可能である。即ち、本発明によれば、加
工対象物(例えば食品)の形状等が頻繁に代わるような
場合でも、同一の装置を用いて効率良く適切な加熱を行
なうことができる。従って、従来のように類似の装置を
多数揃える必要がなく、設備面の負担が著しく軽減され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例による加熱加工装置の要部の構成
を示す断面図である。
【図2】図1の加熱加工装置の概略的な側面図である。
【図3】図1の加熱加工装置の部分正面図である。
【符号の説明】
1L,1R 「へ」の字型バーナ 1a,1b,1c,1d ファイバーマットバーナ 2 コンベア 3 リンク機構 3a 水平シャフト 4 ハンドル 5a,5b 回転軸 6 係止部材 6a 溝 7 予熱ヒータ 8 排気孔 9 バーナフード 10 フレキシブルホース 11 食品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−61950(JP,A) 特開 昭62−147229(JP,A) 特開 昭62−248443(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼室内でバーナーにより対象物品を加
    熱する加熱加工装置において、 前記燃焼室内で、対象物品載置面に対して互いに異なる
    向きで配向した二つの燃焼面を持つ複数の表面燃焼バー
    ナと、 前記表面燃焼バーナのそれぞれを回転させて対象物品載
    置面に対する熱照射方向を変える回動手段と、 前記回動手段の回動割合を燃焼室の外部から操作する操
    作手段とを更に備えていることを特徴とする加熱加工装
    置。
  2. 【請求項2】 前記燃焼室は、複数の対象物品を連続的
    に移動させるコンベアの一部を覆う筒状体に構成され、 前記表面燃焼バーナは、前記コンベアの進行方向に平行
    な中心軸を持ち、この中心軸の周りを回転することによ
    り、前記燃焼室内の熱照射分布を変えて前記燃焼室内部
    の熱の対流状態を変化させることを特徴とする請求項1
    に記載の加熱加工装置。
  3. 【請求項3】 前記対象物品が食品であることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の加熱加工装置。
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