JP2524283B2 - 光部品用調芯装置のキャリア保持構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は例えば光通信、光情報
処理に用いられる光ＩＣとキャリアに保持された光ファ
イバとを光軸を合わせて接着固定したり、レーザダイオ
ード、フォトダイオードとキャリアに保持された光ファ
イバとを光軸を合わせて接着固定したりする光部品用調
芯装置に用いられ、前記光ファイバが保持されたキャリ
アを前記光部品用調芯装置に保持させるためのキャリア
保持構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】光部品とキャリアに保持された光ファイ
バとの光軸の位置合わせを行うには、キャリアに保持さ
れた光ファイバの径が微小であるため高い測定精度と位
置決め精度とが必要であり、一般に測定手段として顕微
鏡を使用し、位置決め手段としてマイクロメータ付のス
テージを使用している。光部品とキャリアに保持された
光ファイバとの光軸の位置をＸ軸方向、Ｙ軸方向及びＺ
軸方向の３方向とも合わせるために、従来においては図
２に示す構成の光部品用調芯装置を使用していた。図２
は光ＩＣの入出力両端においてそれぞれキャリアに保持
された光ファイバの光軸を合わせる場合を示している。

【０００３】ベース１の上にＸ軸方向に移動可能なステ
ージ２及び３が設置され、ステージ２及び３の上にはそ
れぞれＸ軸方向、Ｙ軸方向及びＺ軸方向の３方向に高精
度の移動が可能な調芯ステージ４及び５が搭載されてい
る。ステージ２とステージ３との間には、光ＩＣ２１が
設置される固定台６がベース１の上に設置されている。
固定台６と調芯ステージ４及び５のベース１からの高さ
はほぼ等しく設定されている。調芯ステージ４及び５上
にそれぞれキャリアに保持された光ファイバ２２及び２
３が設置される。

【０００４】平面画像用顕微鏡７は固定台６に設置され
た光ＩＣ２１と調芯ステージ４（５）に設置されたキャ
リアに保持された光ファイバ２２（２３）をＹ軸方向か
ら観察するものである。ベース１にＸ軸方向に移動可能
なステージ８が設置され、そのステージ８にＹ軸方向に
移動可能なステージ９が搭載され、そのステージ９に顕
微鏡７が取付けられている。顕微鏡７の像は顕微鏡７に
取付けられたビデオカメラ１０により撮影され、モニタ
１１に画像として表示される。

【０００５】側面画像用顕微鏡１２は光ＩＣ２１とキャ
リアに保持された光ファイバ２２（２３）をＺ軸方向か
ら観察するものである。図に示していないＸ軸方向に移
動可能なステージにＺ軸方向に移動可能なステージ１３
が搭載され、そのステージ１３に顕微鏡１２が取付けら
れている。顕微鏡１２の像は顕微鏡１２に取付けられた
ビデオカメラ１４により撮影され、図に示していないモ
ニタに画像として表示される。

【０００６】顕微鏡７のモニタ画像と顕微鏡１２のモニ
タ画像とから光ＩＣ２１とキャリアに保持された光ファ
イバ２２（２３）の間のＸ軸方向及びＹ軸方向の各距離
を読取り、これら読取った距離に基づいて調芯ステージ
４（５）を移動し、光ＩＣ２１とキャリアに保持された
光ファイバ２２（２３）との光軸を合わせる。図３、４
に従来のキャリア保持構造を示す。図３に示された従来
のキャリア保持構造では、キャリア保持台３０の上面３
４の対向する一組の縁辺に平行して、これらの間のほぼ
中央に、光ファイバ３１を保持したキャリア３２の先端
の一部が他組の縁辺の一辺より突出して配され、そのキ
ャリア３２の上面にはキャリア固定板３３のほぼ中央部
が重ねられて、キャリア固定板３３の両端がキャリア固
定ネジ３４を用いてキャリア保持台３０の上面に固定さ
れる。

【０００７】図４に示された従来の他のキャリア保持構
造では、Ｌ字状キャリア保持台３８の垂直基準面３５と
水平基準面３６とが交わるコーナ付近の、光ファイバ３
１を保持したキャリア３２と対接する部分の両面に一端
部が開口した真空吸着穴３７がキャリア保持台３８に設
けられている。光ファイバ３１を保持したキャリア３２
はその先端の一部がＬ字状キャリア保持台３８より突出
するようにされ、且つ真空吸着穴３７を塞ぐようにして
このコーナの両面に対接され、真空吸着穴３７を介する
真空引きによりＬ字状キャリア保持台３８上のコーナに
保持される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、図
３に示された従来のキャリア保持構造では、キャリア３
２はネジ締めによりキャリア保持台３０上に固定されて
いるため、調芯時にキャリア３２と接着固定される光部
品が接触すると、キャリア３２または光部品が破損され
る事があった。又、この構造では調芯時に利用される基
準面として上面３４しか設けられていないため、この上
面３４と垂直な軸心回りの太矢印方向の回転を含む位置
合わせが必要とされ、作業性が悪いという欠点があっ
た。

【０００９】又、図４に示された従来の他のキャリア保
持構造では、調芯時に利用される基準面として、垂直基
準面３５及び水平基準面３６の２面が備えられているの
で、位置合わせの作業性が良く、キャリア３２と接着固
定される光部品が接触しても、真空吸着穴３７の大きさ
と真空到達速度の制限で真空引きによるキャリア３２の
吸着保持力が比較的弱いため、キャリア３２は光部品と
反対方向に逃げる事が出来るので、キャリア３２或いは
光部品を破損する事はない。しかし、この「真空引きに
よるキャリア３２の吸着保持力が比較的弱い」ことは、
逆に言えば、キャリア３２の端面と光部品との接着固定
時に接着界面に使用される接着剤の層を圧縮しきれず接
着不良になる恐れもある事をも意味していた。

【００１０】この発明の目的は、従来の利点を生かし且
つ欠点は取り除き、位置合わせの作業性が良く、キャリ
アと光部品に破損を生ぜず、且つ接着不良を避けるキャ
リア保持構造を提供する事にある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】この発明では、キャリア
に保持された光ファイバと光部品とを互いの光軸を調芯
すると共に互いに接着固定する調芯装置におけるキャリ
アをＬ字状キャリア保持台に保持させる光部品用調芯装
置のキャリア保持構造において、Ｌ字状キャリア保持台
上には、水平基準面と、これと垂直な垂直基準面とより
なり、これらの両基準面にキャリアが対接されるコーナ
が形成され、そのコーナの水平基準面と垂直基準面とに
一端部が開口された真空吸着穴がＬ字状キャリア保持台
に形成され、コーナに接して配されたキャリアの上面と
間隔を保って一端部が対向し、そのキャリア上面から離
れる方向に偏きされた押え片がＬ字状キャリア保持台に
取り付けられ、押え片にピストンの一端が係合され、そ
のピストンが真空吸着穴と連通されたシリンダ内に収容
され、真空引きによりピストンが引かれて押え片でキャ
リアをＬ字状キャリア保持台に押さえる事が出来るよう
にされる。

【００１２】

【作用】以上述べたようにこの発明のキャリア保持構造
では、キャリアはＬ字状キャリア保持台上に、Ｌ字状キ
ャリア保持台の水平基準面と垂直基準面とのコーナに設
けられた真空吸着穴を介する真空引きの吸着力により保
持され、且つ真空吸着穴と連通したシリンダに収容さ
れ、真空引きにより引かれるピストンの一端に取り付け
られ、キャリア上面から離れる方向に偏きされた押え片
で押さえられる。

【００１３】

【実施例】次に、この発明の一実施例を図面を参照して
説明する。この発明のキャリア保持構造を図１に示す。
キャリア３２に保持された光ファイバ３１と（図には示
されていない）光部品とを互いの光軸を調芯すると共に
互いに接着固定する（図には示されていない）調芯装置
におけるキャリア３２をＬ字状キャリア保持台３８に保
持させる（図には示されていない）光部品用調芯装置の
キャリア保持構造において、Ｌ字状キャリア保持台３８
上には、水平基準面３６と、これと垂直な垂直基準面３
５とよりなり、これらの両基準面にキャリアが対接され
るコーナが形成され、そのコーナの水平基準面３６と垂
直基準面３５とに一端部が開口された真空吸着穴３７が
Ｌ字状キャリア保持台３８に形成され、このコーナに接
して配されたキャリア３２の上面と間隔を保って一端部
が対向した板バネ型の押え片３９がＬ字状キャリア保持
台３８に取り付けられ、押え片３９のほぼ中央部にピス
トン４０の一端が係合され、そのピストン４０が真空吸
着穴３７と連通されたシリンダ４１内に収容され、真空
引きによりピストン４０が引かれて押え片３９でキャリ
ア３２をＬ字状キャリア保持台３８に押さえる事が出来
るようにされる。

【００１４】図１Ｂは真空吸着穴３７が真空引きされる
前の状態を示している。キャリア保持台３８の垂直基準
面３５を一側面に持つ突出部３８ａの上面４３と対向し
て押え片３９が配され、押え片３９の一端部は、突出部
３８ａの垂直基準面３５と反対の側の面に対接するよう
に折り曲げられて固定部３９ａとされ、その固定部３９
ａがネジ４４でキャリア保持台３８に固定される。押え
片３９はその固定部３９ａの位置より、突出部３８ａの
上面４３に対し徐々に離れるように垂直基準面３５方向
に延長され、垂直基準面３５の近くで上面４３に対し離
れるように段部が形成され、その段部より遊端部が、水
平基準面３６上に配されたキャリア３２の上面と対向す
る押さえ部３９ｂとされている。水平基準面３６上に配
されたキャリア３２の上面よりも突出部３８ａの上面４
３は下に位置され、この段差は押え片３９の前記段部段
差より大とされている。

【００１５】キャリア保持台３８の突出部３８ａの上面
４３において押え片３９と対向して開口した円形穴がシ
リンダ４１としてキャリア保持第３８に形成され、その
シリンダ４１はその底面より真空吸着穴３７と連通穴４
６で連通されている。シリンダ４１に円柱上のピストン
４０がその軸心に沿って移動自在に嵌合される。ピスト
ン４０の上端からピン４０ａが突出され、ピン４０ａは
押え片３９に形成された小孔に通され、ピン４０ａの先
端の鍔がその小孔に引っかかるようにされている。

【００１６】この図１Ｂに示したこの状態では、押え片
３９の上向きの復元応力がピストン４０と重力による力
のモーメントに勝っているので、ピストン４０はシリン
ダ４１内で上方に引き上がられ、押え片３９の支点の反
対側の面と水平基準面３６との間隔は、キャリア３２を
移動設置するときに邪魔になる事はない。キャリア３２
は垂直基準面３５及び水平基準面３６とに対接し、且つ
真空吸着穴３７を塞ぐように設置される。その設置完了
後、真空吸着穴３７は真空引きされ、キャリア３２は応
分の力でＬ字状キャリア保持台３８に吸着されるが、真
空吸引圧とピストン４０の力のモーメントが押え片３９
の復元応力に打ち勝つまではピストンは引き下げられる
事がなく、従って押え片３９がキャリア３２を押さえつ
ける事もなく、キャリア３２は正確に水平基準面３６と
垂直基準面３５とに対接して正しく位置決めされる。真
空吸引圧がこの限界を越えると、ピストン４０は引き下
げられ、押え片３９が下方に引き下げられてその押さえ
部３９ｂでキャリア３２が水平基準面３６に対して押さ
えつけられ、キャリア３２をＬ字状キャリア保持台３８
のコーナに保持する為の保持力が増加する（図１Ｃ）。

【００１７】以上の実施例では、キャリア上面から離れ
る方向に偏きされた押え片として板バネ型の押え片３９
を使用したが、この押え片３９の代わりに剛体の板状片
を押え片とし、例えばその押え片とキャリア保持台３８
の上面４３との間にコイルバネを介在させて、キャリア
上面から離れる方向に押え片を偏きしてもよい。

【００１８】

【発明の効果】以上述べたようにこの発明のキャリア保
持構造によれば、キャリアはＬ字状キャリア保持台上
に、Ｌ字状キャリア保持台の水平基準面と垂直基準面と
のコーナに設けられた真空吸着穴を介する真空引きの吸
着力により保持され、且つ真空吸着穴と連通したシリン
ダに収容され、真空引きにより引かれるピストンの一端
に係合し、キャリア上面から離れる方向に偏きされた押
え片で押さえられる。従って、水平基準面と垂直基準面
の２種の基準面によりキャリアの位置決めが容易にさ
れ、真空引きの吸着力と押え片による押圧の適切な合圧
でキャリアがＬ字状保持台に保持されるため、キャリア
或いはそれと接着固定される光部品を損傷する事がな
く、且つ接着不良を避ける事が出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】Ａはこの発明によるキャリア保持構造の斜視
図、Ｂはその真空引き前の縦断面図、Ｃはその真空引き
後の縦断面図である。

【図２】光部品用調芯装置を示す図。

【図３】従来のキャリア保持構造の斜視図。

【図４】従来の他のキャリア保持構造の斜視図。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 キャリアに保持された光ファイバと光部
   品とを互いの光軸を調芯すると共に互いに接着固定する
   調芯装置における上記キャリアをＬ字状キャリア保持台
   に保持させる構造において、 上記Ｌ字状キャリア保持台上には、水平基準面と、これ
   と垂直な垂直基準面とよりなり、これらの両基準面に上
   記キャリアが対接されるコーナが形成され、 そのコーナの上記水平基準面と上記垂直基準面とに一端
   部が開口された真空吸着穴が上記Ｌ字状キャリア保持台
   に形成され、 上記のコーナに接して配された上記キャリアの上面と間
   隔を保って一端部が対向し、そのキャリア上面から離れ
   る方向に偏きされた押え片が上記Ｌ字状キャリア保持台
   に取り付けられ、 上記押え片にピストンの一端が係合され、そのピストン
   が上記真空吸着穴と連通されたシリンダ内に収容され、
   真空引きにより上記ピストンが引かれて上記押え片で上
   記キャリアを上記Ｌ字状キャリア保持台に押さえる事が
   出来るようにされている光部品用調芯装置のキャリア保
   持構造。