JP2523934B2 - サ―マルヘッドの抵抗値トリミング法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はプリンタやフアクシミリ等の感熱記録装置に
用いられるサーマルヘッドの抵抗値を調整するトリミン
グ方法に関する。

従来の技術 プリンタやフアクシミリ等の感熱記録装置は、従来サ
ーマルヘッドを用い、感熱紙あるいはインクシートと重
ね合わせた普通紙に対して感熱記録を行っている。感熱
記録時の記録濃度はサーマルヘッドの発熱抵抗体の単位
体積当りの発熱量（自己発生ジュール熱）により決まる
ものであり、発熱抵抗体の抵抗値ばらつきがあると各抵
抗体の発熱量が異り、しいては印字濃度むらの原因とな
る。

従来、酸化ルテニウムフリットの焼結体等を発熱抵抗
体に利用した厚膜型サーマルヘッドのドット抵抗値は、
同一ヘッド内で、十数パーセントにおよぶばらつきを有
していた。該ばらつきを減少させるための抵抗値トリミ
ングの方法として一般的には、発熱抵抗体にμsecオー
ダーのパルス巾狭い高電圧パルスを供給したときに生じ
る抵抗値変化を利用するいわゆる通電過負荷トリミング
法が利用されている。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、従来の通電過負荷トリミング方式は、
まず、全抵抗体の抵抗値を測定し、目標抵抗値を設定
し、各抵抗体にパルス電圧を任意の回数だけ印加してト
リミングを実行し、トリミングを一旦停止させた後トリ
ミング後の抵抗値を測定し、目標抵抗値に達していない
場合、再度同じ操作を繰り返すことにより目標抵抗値に
収束して行く方法であるために、トリミングに時間がか
かり過ぎるという欠点を有していた。

本発明は、上記問題点を解消し、抵抗体の抵抗値を短
時間にトリミングする方法を提供することを目的とす
る。

課題を解決するための手段 本発明の特徴は、各ドットの発熱抵抗体の抵抗値につ
いて一定の範囲で分割し、各分割ブロック毎に一定のパ
ルス電圧を印加することにある。

作用 本発明は、抵抗体の抵抗値トリミングを迅速に実現す
る方法及び装置を供することにより、低コストで高精度
なサーマルヘッドを提供することができる。

実施例 最初に本発明のトリミングの原理について説明する。
まず、各ドットの抵抗値を測定し、平均抵抗値を算出し
た後、目標抵抗値を設定する。便宜上ここでは、目標抵
抗値範囲を±10％とする。例えば、第１図に示すような
ばらつきを有するサンプルについて、（１）ドット抵抗
値が＋15％以上のもの、（２）ドット抵抗値が＋15％〜
＋10％のもの、（３）ドット抵抗値が±10％のもの、
（４）ドット抵抗値が−10％以下のものとに分割し、
（１）のドットに対して一律に−20％のトリミングを実
施し、（２）のドット群に対しては一律に−10％のトリ
ミングを実施すると、図中のＢに示したようなドット抵
抗値分布が得られる。ここで、もし＋30％以上の抵抗値
を有するドットが存在すると許容範囲内にトリミングす
ることが出来ず、また、−10％以下のドット（抵抗値が
許容最低値より低いドット）もトリミング不能となる。
よって、抵抗値分布範囲が目標抵抗値に対して、−10％
〜＋30％の範囲のものであれば、前述の２段階のトリミ
ングで簡便に全ドットを許容範囲（±10％）に揃えるこ
とが出来るものである。

以上の方法を用いた実際のトリミング（±３％）の結
果について述べる。

アルミナグレーズ基板上に金ペーストの印刷焼成、ホ
トリソエッチングによって８ドット/mmの密度の千鳥型
電極群を形成し、このうえに酸化ルテニウムのフリット
系ペーストの印刷焼成によってライン状の抵抗体を形成
し、さらに、ガラスペーストの印刷焼成により耐磨耗層
を形成した。発熱抵抗体384ドットについての各ドット
の抵抗値を第２図に示す。

本ヘッドの発熱低抗体の平均抵抗値が3250Ωで、抵抗
値ばらつきは±10％、標準偏差／平均抵抗値は0.03であ
った。また、パルス巾約１μsecの矩形波電圧を発熱抵
抗体に印加したときの印加電圧と抵抗値の変化率を第３
図に示す。第３図よりこのヘッドの抵抗値は＋,00Vまで
の矩形波パルス電圧を印加することで抵抗値を−20％程
下げること出来る。

第３図の特性にしたがって、発熱抵抗体の抵抗値を±
３％以内に揃えることを目的として、最低抵抗値が−３
％以内に入る目標抵抗値を3100Ωと定め、各ドットを抵
抗値範囲を目標抵抗値の、１）−３％〜＋３％、２）＋
３％〜＋５％、３）＋５％〜＋10％,4）＋10％〜＋20％
の４つのグループに分割し、１）のグループに入る133
ドットにたいしては無付加とし、２）のグループに入る
86ドットに対しては80Vのパルス電圧を印加し、３）の
グループに入る155ドットに対しては105Vのパルス電圧
を印加し、４）のグループに入る10ドットに対しては12
0Vのパルス電圧を印加したところ、第４図に示すよう
に、全ての発熱抵抗体の抵抗値を±３％以内にトリミン
グできた。

また、本ヘッドの抵抗値ばらつきを±５％以内に揃え
る場合は、目標抵抗値を3170Ωとし、１）−５％〜＋５
％、２）＋５％〜＋10％、３）＋10％〜＋20％の３つの
グループに分割し、１）のグループに入る297ドットに
たいしては無付加とし、２）のグループに入る84ドット
に対しては105Vのパルス電圧を印加し、３）のグループ
に入る３ドットに対しては120Vのパルス電圧を印加した
ところ、第５図に示すよに、全ての発熱抵抗体の抵抗値
を±５％以内にトリミングできることが分った。

以上のトリミングにおけるフローチャートの一例を第
６図に示す。前記の例の場合においては、分割グループ
数としてそれぞれＮ＝４、Ｎ＝３に相当するものであ
る。

本方法は、ドット毎に抵抗値を測定し、トリミング電
圧を逐次変えてトリミングし、さらに抵抗値を測定し、
必要とあらば再トリミングを行なう従来の方法に較べ、
ドット毎の抵抗計への電気的スイッチング時間とトリミ
ング電圧の設定時間が不要となり、トリミング時間が大
幅に短縮できる。実際には、従来法に較べ約30倍の高速
でトリミングができた。

各ドットの抵抗値範囲を分割するグループ数は、目標
とする抵抗値ばらつきによって異り、ばらつきを少なく
するためには分割グループ数を増やせば良いが、分割数
が増えれば当然のことながら、トリミング時間も増加す
るものである。本方法が効果のあるのは分割数として10
までであれば、従来法よりも２〜３倍の高速でトリミン
グが出来る。特に、高階調印字が要求されない用途のサ
ーマルヘッドに対しては効果的である。

トリミング時における各ドットの選択に関しては、マ
ルチプローブを用いたステップ方式や単一プローブを用
いたスキャン方式でも良く、各々の方式において、本発
明の分割法を用いることで効果的に短時間でトリミング
が達成できる。

発明の効果 本発明によれば、サーマルヘッドの発熱抵抗体の抵抗
値を短時間に、効率良くトリミングできるため、低コス
トのサーマルヘッドを提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の発熱抵抗体の仮想トリミン
グの説明図、第２図はサーマルヘッドの発熱抵抗体の抵
抗値分布図、第３図は発熱抵抗体の抵抗変化率とトリミ
ングパルス電圧の関係図であり、第４図および第５図は
トリミング後の抵抗値分布例図、第６図は本発明の一実
施例のトリミング方法のフローチャートである。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】サーマルヘッドの各ドットの発熱抵抗体の
   抵抗値について一定の範囲で分割し、各分割ブロック毎
   に一定のパルス電圧を印加することを特徴とするサーマ
   ルヘッドの抵抗値トリミング法。
2. 【請求項２】予めサーマルヘッドの全ドットの抵抗値を
   測定した後、各ドットの発熱抵抗体の抵抗値について２
   分割から10分割の範囲で分割し、最も抵抗値の低いブロ
   ック以外のブロックに対して、各分割ブロック毎に一定
   のパルス電圧を印加することにより、全ドットの抵抗値
   を最も抵抗値の低いブロックの抵抗値範囲内に抵抗値を
   揃えることを特徴とする請求項１記載のサーマルヘッド
   の抵抗値トリミング法。
3. 【請求項３】基板上に発熱抵抗体と前記抵抗体に通電す
   るための電極群を設け、前記抵抗体および電極群の一部
   を覆うように耐摩耗層を形成したサーマルヘッドにおい
   て、トリミング用プローブ電極を前記電極群上を走査し
   ながら、トリミングパルス電圧を抵抗体に印加すること
   を特徴とする請求項１記載のサーマルヘッドの抵抗値ト
   リミング法。