JP2523930B2 - 電気掃除機の製御方法 - Google Patents

電気掃除機の製御方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電気掃除機に関し、特に、掃除対象の床面や
使用吸口に応じて最適運転される電気掃除機の制御方法
に関する。
〔従来の技術〕
従来の電気掃除機は、特開昭64−52430号公報に記載
のように、吸口に設けたノズルモータに流れる電流の変
化から被掃除面が何であるかを検知し、その結果を基に
フアンモータの入力を制御している。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術は、例えば、床面がたたみの場合、吸口
をたたみ面のいぐさの並び方向に対して平行に操作した
時と直交した操作した時とでは、ノズルモータの電流の
変化が異なる点についての配慮はされておらず、単なる
ノズルモータの電流の変化から床面を検知する方式で
は、床面の判断に間違いが生ずる問題があつた。
本発明の目的は、床面に応じた最適な吸込力及び最適
なロータリブラシの回転速度が得られる電気掃除機の制
御方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために本発明の特徴とするところ
は、塵埃を捕集するフイルタ及び吸込気流を発生させる
フアンモータとを内蔵する掃除機本体と、該掃除機本体
に接続されるホースと,該ホースに延長管を介して接続
される吸口とを有し、該吸口には掃除面の塵埃を掻き上
げる回転清掃体と、該回転清掃体を駆動するノズルモー
タとを有する電気掃除機であって、前記ノズルモータに
流れる電流を検出する検出回路と、該検出回路に基づい
て前記ファンモータ及び前記ノズルモータを制御する制
御装置とを有し、該制御装置は、前記ファンモータを所
定の第1の回転速度に立ち上げるとともに前記ノズルモ
ータを所定の回転速度に立ち上げ、前記吸口の操作時に
おけるノズルモータの電流値の変動幅を検出し、検出後
前記ファンモータを前記第1の回転速度より高い第2の
回転速度に上昇させるとともに該第2の回転速度に対応
するノズルモータの電流値の変動幅を検出し、前記ノズ
ルモータの電流値の変動幅及び前記第1,第2の回転速度
のおけるノズルモータの電流値の変動幅の増加率から床
面を推定し、推定結果に基づいて前記フアンモータ及び
前記ノズルモータの入力を制御するようにしたことにあ
る。
また、本発明の特徴とするところは、塵埃を捕集する
フイルタ及び吸込気流を発生させるフアンモータとを内
蔵する掃除機本体と、該掃除機本体に接続されるホース
と,該ホースに延長管を介して接続される吸口とを有
し、該吸口には掃除面の塵埃を掻き挙げる回転清掃体
と、該回転清掃体を駆動するノズルモータとを有する電
気掃除機であって、該電気掃除機の圧力を検出する圧力
センサと、該圧力センサに基づいて前記ファンモータ及
び前記ノズルモータを制御する制御装置とを有し、該制
御装置は、前記ファンモータを所定の第1の回転速度に
立ち上げるとともに該第1の回転速度に対応する圧力の
変動幅を検出し、検出後前記ファンモータを前記第1の
回転速度より高い第2の回転速度に上昇させるとともに
該第2の回転速度に対応する圧力の変動幅を検出し、前
記圧力の変動幅及び前記第1,第2の回転速度のおける圧
力の変動幅の増加率から床面を推定し、推定結果に基づ
いて前記フアンモータ及び前記ノズルモータの入力を制
御するようにしたことにある。
〔作用〕
本発明によれば、ノズルモータの電流値の変動幅(圧
力の変動幅)及び第1,第2の回転速度のおけるノズルモ
ータの電流値の変動幅(圧力の変動幅)の増加率(圧力
の変動幅)から床面を推定し、推定結果に基づいて前記
フアンモータ及び前記ノズルモータの入力を制御するよ
うにしているので、吸口をたたみ面のいぐさの並び方向
に対して平行に操作した時と直交した操作した時におい
ても床面を精度良く検出することができる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例を第1図〜第12図により説明
する。本発明では掃除機の駆動源として可変速モータを
フアンモータとして使用することを前提としている。可
変速モータとしては、入力を制御することによつて速度
が変わる交流整流子モータ,位相制御モータ,インバー
タ駆動のインダクシヨンモータ,リラクタンスモータ、
あるいはブラシレスモータ等が考えられるが、本一実施
例では、機械的な摺動を伴うブラシをもたず、それ故長
寿命で、又、制御応答性のよいブラシレスモータをフア
ンモータとして用いた例について説明する。
さらに、本発明では基本的には吸口にロータリブラシ
を駆動するノズルモータを有するものを前提とし、ノズ
ルモータとしては直流マグネツトモータ,交流整流子モ
ータが考えられるが、本一実施例では整流回路内蔵の直
流マグネツトモータを用いた例について説明する。
第1図は制御回路の概略構成を示すブロツク図、第2
図は制御回路の全体構成を示す。
図において、16はインバータ制御装置を示している。
29は交流電源で、この電流29を整流回路21で整流し、コ
ンデンサ22にて平滑してインバータ回路20に直流電圧Ed
を供給するものである。インバータ回路20は、トランジ
スタTR1〜TR6と、それぞれのトランジスタTR1〜TR6に並
列に接続された環流ダイオードD1〜D6から構成された12
0度通電形インバータである。トランジスタTR1〜TR
6は、正のアームを構成する。トラジスタTR1〜TR6は負
のアームを構成し、それぞれの流通期間は電気角で120
度でパルス幅変調(PWM)される。R1は、負アームを構
成するトランジスタTR1〜TR6のエミツタ側とコンデンサ
22のマイナス側との間に接続された比較的低い抵抗であ
る。
FMはフアン駆動用モータであるブラシレスモータ(以
下、フアンモータと称す)で、2極の永久磁石からなる
回転子Rと、電機子巻線U,V,Wとを有している。これら
の巻線U,V,Wに流れる負荷電流Idは前記抵抗R1の電圧降
下として検出できる。フアンモータFMの速度制御回路
は、回転子Rの磁極位置をホール素子17等で検出する磁
極位置検出回路18,前述した負荷電流Idを検出し増幅す
るフアンモータ電流検出回路23,前記トランジスタTR1
TR6を駆動するベースドライバ15、および前記回路18か
らえられた検出信号18Sに基づいてベースドライバ15を
駆動するマイクロコンピユータ19とから主要構成され
る。30は、実際の使用者が操作する運転スイツチであ
る。
一方、26は掃除機の吸口側に設けられたロータリブラ
シを駆動するノズルモータであり、交流電源29をトライ
アツク(FLS)25で位相制御することにより電力が供給
される。24はトライアツク25の点弧回路、27はノズルモ
ータ26に流れる負荷電流INの電流検出器であり、28は電
流検出器27の出力信号を検出し増幅するノズルモータ電
流検出回路である。
磁極位置検出回路18はホール素子17からの信号を受け
て、回転子Rは磁極位置信号18Sを生成するものであ
る。この磁極位置信号18Sは電機子巻線U,V,Wの電流切換
えに用いることに加え、回転速度を検出する信号として
も用いるものである。マイクロコンピユータ19は、この
磁極位置信号18Sを一定のサンプリング内での数を数え
ることにより、速度を求めるものである。
フアンモータFMの負荷電流Idの検出回路23は、抵抗R1
の電圧降下をピークホールド回路(図示せず)を介して
直流分に変換し、かつ増幅してフアンモータFMの負荷電
流Idを得るものである。
ノズルモータ(整流回路を内蔵している)26の負荷電
流IN用の検出回路28は、電流検出器27の出力信号が交流
であるので、整流して直流分に変換し、かつ、増幅して
ノズルモータ26の負荷電流INを得るものである。
マイクロコンピユータ19は、セントラルプロセツシン
グユニツト(CPU)19−1,リードオンリ−メモリ(ROM)
19−2、およびランダムアクセスメモリ(RAM)19−3
を含んでおり、これらは図示しないがアドレスバスやデ
ータバスおよびコントロールバス等によつて相互に接続
されている。そして、ROM19−2には、フアンモータFM
を駆動するのに必要なプログラム、例えば、速度の演算
処理,運転指令の取込み処理,速度制御処理(ASP),
電流制御処理(ACR),ノズルモータの電流検出処理,
フアンモータの電流検出処理及び静圧検出処理等を記憶
させてある。
一方、RAM19−3は、前記ROM19−2に記憶させた種々
のプログラムを実行するに際し、必要な各種の外部デー
タを読み書きするのに用いられる。
トランジスタTR1〜TR6は、マイクロコンピユータ19で
処理,生成された点弧信号19Sに応じ、ベースドライバ1
5によりそれぞれ駆動される。
トライアツク25は、交流電源29のゼロクロス検出回路
32に基づいて同じくマイクロコンピユータ19で処理,生
成された点弧信号19Dに応じ点弧回路24により駆動され
る。
静圧検出回路31は掃除機本体内の圧力センサ8の出力
を静圧に変換する。
この値のフアンモータFMは、電機子巻線に流れる電流
がモータの出力トルクに対応するので、逆に印加電流を
変えれば出力トルクを可変にできる。すなわち、印加電
流を調整することにより、モータの出力トルクを連続的
に任意に変えることができる。また、インバータの駆動
周波数を変えることにより、フアンモータFMの回転速度
を自由に変えることができる。
本発明の電気掃除機は、このようなブラシレスフアン
モータを用いるものである。
次に、第3図は掃除機の全体構成、第4図はパワーブ
ラシ吸口の内部構造を示したものである。
第3図と第4図において、1は床面、2は掃除機の本
体、3はホース、4は手元スイツチ部、5は延長管、6
はロータリブラシ内蔵のパワーブラシ吸口、7はフイル
タ、8はフイルタ7の目詰り度合いを検知する圧力セン
サ(半導体圧力センサ)である。パワーブラシ吸口6の
吸口ケース6Aの内部には、ノズルモータ26,ロータリブ
ラシ10、それに取付けられたハケ11がある。12はノズル
モータ26の駆動力をロータリブラシ10に伝えるタイミン
グベルト、13は吸引延長管、14はローラである。ノズル
モータ26の電源リード線9は、延長管5中に設けられた
電源線5Aに接続されている。
これより、ノズルモータ26が電力供給され回転する
と、ベルト12を介してロータリブラシ10が回転する。ロ
ータリブラシ10が回転している時にパワーブラシ吸口6
を床面1に接触させると、ロータリブラシ10にはハケ11
が付いているので、ハケ11が床面1に接し、ノズルモー
タ26の負荷電流INが大きくなる。ところで、種々実験の
結果、ノズルモータ26は、一方向回転なのでロータリブ
ラシ10も一方向回転となり、パワーブラシ吸口6を前後
に操作した場合、ロータリブラシ10を回転させた時にパ
ワーブラシ吸口6が進む方向にパワーブラシ吸口6を操
作した場合にはノズルモータ26の負荷電流INが小さくな
り、逆方向にパワーブラシ吸口6を操作した場合はノズ
ルモータ26を負荷電流INが大きくなることがわかつた。
そこで、次にノズルモータの負荷電流の変化を用いた
床面の判断(推定)方法について説明する。
まず、第5図はノズルモータの位相制御用のゼロクロ
ス検出回路、第6図はノズルモータに印加される電力,
電流波形を示したものである。
第5図と第6図において、交流電源29が第6図(イ)
中の電圧Vsであると、抵抗R2,ダイオードD7,フオトカプ
ラPS,抵抗R3からなるゼロクロス検出回路32により、第
6図(ロ)に示すゼロクロス信号32Sが得られる。マイ
クロコンピユータ19はこのゼロクロス信号32Sの立ち上
がり、立ち下がりに同期している第6図(ハ)に示すカ
ウントタイマを動作させ、カウントタイマがゼロになつ
た時、マイクロコンピユータ19からFLS25への点弧信号1
9Dを出力する。これによつて、ノズルモータ26には第6
図(イ)に示す負荷電流INが流れ、位相制御によつてノ
ズルモータ26の回転速度、いわゆる入力が制御される。
第7図はノズルモータの電流の検出回路構成と出力例
を示したものである。ノズルモータ26へ供給される負荷
電流INは第6図(イ)に示したように断続した交流電流
波形であるので、全波整流増幅回路28,ダイオードD10,
ピークホールド回路28Bにより、第7図(ロ)に示す直
流電圧信号VDPが得られる。そして、この出力信号VDP
吸口操作時には第7図(A)に示すように、吸口の操作
に対応して電圧VDPがVMXとVMNの間で変化する。この電
圧(VMX−VMN)を検出電圧の変動幅VMBとする。
第8図はノズルモータの低速回転における、吸口操作
時のノズルモータの負荷電流の変化に対応した検出電圧
の変動幅VMBを床面に応じて測定した結果を示したもの
である。ここで、フアンモータの回転速度は回転速度
から回転速度の順に大きくなり、言い換えれば順に吸
込力が大きくなる。また、じゆうたんからじゆうたん
は毛足の長さを表しており、順に長くなる。第8図に
おいて、検出電圧の変動幅VMBから床面の種類を推定で
きるか否かについて考える。回転速度の吸入力が弱い
時には、変動幅VMBがゆかのときゼロであるのに対し、
たたみ順目,たたみ逆目,じゆうたんの順に大きくなる
が、たたみ逆目の場合がじゆうたんの場合より大きく
なつている。回転速度,回転速度の場合についても
同様となり、単に変動幅VMBの大小で床面の種類を推定
できない。ここで、回転速度と回転速度との間の変
動幅VMBの増加率に着目すると、たたみ逆目の場合の増
加率Aより、じゆうたんの場合の増加率Bの方が明ら
かに小さい。したがつて、ノズルモータを最初低速回転
させている時、検出電圧の変動幅VMB及び回転速度と
の間の変動幅の増加率の大きさから、床面のゆか,た
たみ,じゆうたん,じゆうたんと及びじゆうたん
とに区別,推定できる。
第9図はノズルモータの高速回転における、吸口操作
時のノズルモータの負荷電流の変化に対応した検出電圧
の変動幅VMBを床面に応じて測定した結果を示したもの
である。第9図において、ノズルモータが高速回転の時
には、フアンモータの回転速度,,にほとんど係
らず、検出電圧の変動幅VMBが、ゆか、たたみ、じゆう
たん,じゆうたんと,じゆうたんの順に大きく
なつているので、検出電圧の変動幅VMBの大小で床面の
種類を推定できる。
ここで、ノズルモータの低速回転は3000rpm程度でロ
ータリブラシの回転速度1200rpm以下としており、たた
み、及びゆかの時に床面に傷つけないことと騒音を下げ
ることを目的としている。ノズルモータの高速回転は60
00rpm以上でロータリブラシの回転速度2400rpm以上とし
ており、じゆうたん(たたみを含むこともある)対応で
ある。
したがつて、掃除をしていない時はノズルモータ及び
フアンモータとも低速回転とし、吸口操作時を検知した
時にはフアンモータの回転速度ととの検出電圧の変
動幅VMBを用いて初期の床面推定を行う。次いでその床
面推定結果を基にノズルモータを高速回転させ、検出電
圧の変動幅VMBの大小から床面を推定する。これらの床
面推定結果に基づいて、フアンモータとノズルモータの
入力を自動的に制御する。
今までは、ノズルモータの電流のピーク値である検出
電圧の変動幅を用いた床面推定について述べたが、掃除
機本体中に設けた圧力センサの出力を用いた床面の推定
(判断)方法について説明する。
第10図はフアンモータの回転速度に対する静圧の変動
幅(静圧に対応した検出電圧の変動幅)HMBを床面に応
じて測定した結果を示したものである。第10図におい
て、フアンモータの回転速度の時の電圧の変動幅HMB
はじゆうたんのみ突出していて、その他のゆか,たた
み,じゆうたんの〜については同様の変動幅となつ
ている。フアンモータの回転速度との時の静圧の変
動幅HMBについては、たたみ逆目の場合が最も大きくな
つている。これより、単に静圧の変動幅HMBの大きさの
みでは、たたみ逆目があるために、床面の種類を区別で
きない。
そこで、フアンモータの回転速度と回転速度との
間の静圧の変動幅HMBの増加率について見ると、たたみ
逆目のAがじゆうたんのB、じゆうたんのCより大
きくなつている。
これより静圧の変動幅HMBを用いて床面推定する時に
は、回転速度の時の水口操作時における静圧の変動幅
HMBを基準とし、それ以上の回転速度,ではたたみ
順目での変動幅HMBをしきい値とすると共に、回転速度
と回転速度及び回転速度との間の静圧の変動幅H
MBの増加率を加味することにより、ゆか,たたみ類とじ
ゆうたん類とに区別,推定できる。
第11図はフアンモータの運転モードを示したものであ
る。ここで、掃除機の吸込力P0は下式 P0∝Q・H(W) で示され、風量Qと静圧Hとの積に比例する。第11図に
おいて、風量Q一定は吸口部での必要最小限の風量と静
圧を常に確保するもので、フイルタの目詰りに応じて静
圧が大きくなる(フイルタの目詰りに応じて回転速度を
大きくして風量Qを一定に保つもので、逆に静圧Hの大
きさでフイルタの目詰り度合いが推定できる。)静圧H
一定は床面と吸口部との密着性を緩和するもので、例え
ば吸口に異物がくつついても静圧がある程度までしか上
昇しないので、その異物が排除し易い。風量が小さくな
つた場合には、ほとんど吸込力がないので、回転速度N
一定に移行させ、むだなパワーを省く。なお、H一定か
らN一定へのつなぎは、フアンの負荷特性に沿うように
する。
この風量Q,静圧H一定の制御値は床面に応じて変化さ
せる。第11図における風量Q1〜Q5,静圧H1〜H5は、先に
述べたノズルモータの電流のピーク値の変動幅を用いた
床面推定結果であるゆか,たたみ,じゆうたん,じゆ
うたんと、及びじゆうたんに対応し、この順に吸
込力を大きくする。
静圧の変動幅を用いた床面推定では、ゆか,たたみ類
とじゆうたん類とにしか区別できないので、風量Q一
定,静圧H一定を第11図のQ2,H2とQ4,H4とに設定すれば
良い。
ここで、静圧Hについては圧力センサの出力を用いれ
ば良いが、風量Qについては演算で求める。方法として
は、フアンモータの電流と回転速度を用いるものと、静
圧とフアンモータの回転速度(回転速度そのものでな
く、回転速度に対応した情報でも良い)を用いれば良
い。
以上、ノズルモータの電流のピーク値を変動幅及び静
圧の変動幅を用いた床面推定(判断)方法について述べ
たが、次に使用吸口の推定(判断)方法について述べ
る。
第12図は代表的な吸口であるすき間用、棚用及び一般
吸口の風量と静圧の関係の測定結果を示したものであ
る。一般吸口の中にパワーブラシ吸口も入る。パワーブ
ラシ吸口とその他の吸口との区別は、ノズルモータにゼ
ロクロス信号を基に瞬間電圧を印加し(回転してはいけ
ない時にロータリブラシが回転すると、使用者が奇異に
感じるため、ロータリブラシが回転しない電圧を瞬間印
加する)、ノズルモータに電流が流れればパワーブラシ
吸口、電流を検知できない時はその他の吸口と判断す
る。その他の吸口の中ですき間吸口,棚用吸口及び一般
吸口の区別は、第12図中に示すように、動作点風量Qに
対する静圧Hの平均値により、すき間用、棚用及び一般
吸口とに区別,推定できる。
次に、第1図を主に用いてマイクロコンピユータ19の
具体的な制御・処理内容を説明する。
手順1…運転スイツチ30が入ると運転指令取込処理及び
起動処理(処理7)を行つてフアンモータの回転速度を
待機状態の回転速度まで立ち上げる。
手順2…磁極位置検出回路18からの信号18Sを受けて回
転速度Nを演算し(処理1)、フアンモータFMの電流指
令I*(負荷電流に相当)とから風量Qを演算にて算出
する(処理12)。静圧検出回路31の信号31Sを受けて静
圧検出処理(処理13)を行つて静圧Hを検出する。そし
て、ノズルモータ26にゼロクロス検出回路32の信号を受
けて瞬間電圧を印加し、ノズルモータ電流検出回路24の
信号24Sを受けてノズルモータ電流検出処理(処理2)
を行い、吸口判定(処理14)において、ノズルモータ電
流を検知すればパワーブラシ吸口,電流を検知できなけ
ればその他の吸口と判定する。そして、その他の吸口で
あれば、風量Qと静圧Hの関係(第12図参照)からすき
間用吸口,棚用吸口及び一般吸口と区別,推定する。
手順3…また、風量Qに対する静圧Hの関係からフイル
タの目詰り検出処理(処理5)を行つてフイルタの目詰
り度合いを検出する。
手順4…吸口判定(処理14)において、パワーブラシ吸
口であれば、ゼロクロス検出回路32,位相制御角設定
(処理8)及び点弧信号処理(処理9)を介してノズル
モータ26を駆動し(低速回転)、吸口操作時のノズルモ
ータ電流のピーク値の変動幅,静圧の変動幅及びフイル
タの目詰り度合いを検出する。
手順5…第1の床面推定が終了した段階で、フアンモー
タを回転速度まで立ち上げ、ノズルモータ電流のピー
ク値を変動幅と回転速度との間の増加率,静圧の変動
幅と回転速度との間の増加率及びフイルタの目詰り度
合いを加味して床面推定(処理4)を行う。
手順6…手順5の床面推定(処理4)結果に基づき、適
応制御モデル19Aでは床面に応じた風量Q(Q1〜Q5),
静圧H(H1〜H5)及び回転速度Nを設定し、それを切換
えながら速度指令N*を出力する。そして、フアンモー
タ電流検出回路23の信号23Sを受けてフアンモータ電流
検出処理(処理3)を行つて負荷電流IDを検出する。こ
の負荷電流ID(処理3)、回転速度N(処理I)と速度
指令N*とを受けて速度制御処理(ASR),電流制御処
理(ACR)の処理11から電流指令I*を出力する。この
電流指令I*を受けて点弧信号発生処理(処理10)にて
ベースドライバ信号19Sを出力し、フアンモータFMを所
望の回転速度に制御する。
手順7…また、同時に床面推定(処理4)結果に基づ
き、ゼロクロス検出回路32の信号を受けて位相制御角設
定(処理8)にて点弧角を決定し、点弧信号発生処理
(処理9)を介してノズルモータ26用のFLS25の点弧信
号19Dを出力し、ノズルモータ26を所望の回転速度に制
御する。
手順8…床面推定(処理4)結果が床面のゆかであれ
ば、ノズルモータ26を低速回転とし、フアンモータFMの
回転速度と実際の回転速度の2つの回転速度でのデー
タを用いて、手順5の床面推定をくり返す。
手順9…床面推定(処理4)結果が床面のたたみ,じゆ
うたんであれば、ノズルモータ26を高速回転とし、ノズ
ルモータ電流のピーク値の変動幅の大小,静圧の変動幅
及びフイルタの目詰り度合いを加味して2床面推定(処
理4)を行い、この床面推定方法をくり返す。
手順10…手順2の吸口判定(処理14)において、一般吸
口の場合はフアンモータFMの回転速度を基準とし、実
際の回転速度での静圧の変動幅と回転速度との間の静
圧の変動幅の増加率及びフイルタの目詰り度合いを加味
して床面のゆか,たたみ類とじゆうたん類とを区別,推
定する。
手順11…手順10で床面をゆか,たたみ類と推定した時に
は適応制御モデルでは、例えば風量Q2静圧H2,回転速度
Nに対応した速度指令N*を出力し、手順6で述べた内
容に従つてフアンモータFMの回転速度を制御し、手順10
の床面推定をくり返す。
手順12…手順10で床面のじゆうたん類と推定した時には
適応制御モデルでは、例えば風量Q2静圧H2,回転速度N
に対応した速度指令N*を出力し、手順6で述べた内容
に従つてフアンモータFMの回転速度を制御し、手順10の
床面推定をくり返す。
手順13…手順12の吸口判定(処理14)において、棚用吸
口及びすき間用吸口と判定した場合には、適応制御モデ
ルでは一つの風量Q,静圧Hに応じた速度指令N*あるい
は静圧の変化に応じて2つの風量Q,静圧Hに対応した速
度指令N*を出力し、以下、手順6で述べられた内容に
従つてフアンモータFMの回転速度を制御し、手順2の吸
口判定をくり返す。
なお、以上述べたマイクロコンピユータ19の処理内容
では、床面がゆかの場合、ロータリブラシを低速回転と
したが、ロータリブラシの回転を停止させ、静圧の変動
幅の大小で再度回転させるようにしても良い。また、マ
イクロコンピユータ19にはフアンモータFMの駆動ソフト
もしくはフアンモータFMとノズルモータの駆動ソフトを
具備し、吸口推定及び床面推定のソフトを別のマイクロ
コンピユータに具備させても良い。なお、風量Qの演算
において、本実施例では回転速度と負荷電流を用いた
が、静圧と回転情報(フアンモータを交流整流子モータ
を用いた場合等には位相制御角)を用いても差しつかえ
ない。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、ノズルモータの
電流値の変動幅(圧力の変動幅)及び第1,第2の回転速
度のおけるノズルモータの電流値の変動幅(圧力の変動
幅)の増加率(圧力の変動幅)から床面を推定し、推定
結果に基づいて前記フアンモータ及び前記ノズルモータ
の入力を制御するようにしているので、吸口をたたみ面
のいぐさの並び方向に対して平行に操作した時と直交し
た操作した時においても床面を精度良く検出することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す電機掃除機用フアンモ
ータの制御回路の概略構成を示すブロツク図、第2図は
その制御回路の全体構成、第3図は掃除機の全体構成
図、第4図はパワーブラシ吸口の内部構造、第5図は交
流電源電圧のゼロクロス検出回路、第6図はノズルモー
タに印加される電圧,電流波形,ゼロクロス信号,カウ
ントタイマ及びFLSトリガ信号を示す図、第7図はノズ
ルモータ電流の検出回路構成とその出力例、第8図,第
9図はノズルモータ低速回転時及び高速回転時の床面に
対するノズルモータ電流のピーク値の変動幅の変化を示
す図、第10図は床面に対する静圧の変動幅を示す図、第
11図は適応制御モデルの風量Q,静圧H,回転速度Nの関係
を示す図、第12図は各吸口風量Qと静圧Hの関係を示す
図である。 8……圧力センサ、16……インバータ、19……マイクロ
コンピユータ、23……フアンモータ電流検出回路、25…
…トライアツク、26……ノズルモータ、28……ノズルモ
ータ電流検出回路、30……運転スイツチ、31……静圧検
出回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安部 岳志 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 遠藤 常博 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 宮下 邦夫 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内 (72)発明者 石井 吉太郎 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内 (72)発明者 常楽 文夫 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内 (72)発明者 須賀 久央 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内 (72)発明者 細川 敦志 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内 (72)発明者 豊島 久則 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内 (72)発明者 川又 光久 茨城県日立市東多賀町1丁目1番1号 株式会社日立製作所多賀工場内

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塵埃を捕集するフイルタ及び吸込気流を発
    生させるフアンモータとを内蔵する掃除機本体と、該掃
    除機本体に接続されるホースと,該ホースに延長管を介
    して接続される吸口とを有し、該吸口には掃除面の塵埃
    を掻き上げる回転清掃体と、該回転清掃体を駆動するノ
    ズルモータとを有する電気掃除機であって、 前記ノズルモータに流れる電流を検出する検出回路と、
    該検出回路に基づいて前記ファンモータ及び前記ノズル
    モータを制御する制御装置とを有し、 該制御装置は、前記ファンモータを所定の第1の回転速
    度に立ち上げるとともに前記ノズルモータを所定の回転
    速度に立ち上げ、前記吸口の操作時におけるノズルモー
    タの電流値の変動幅を検出し、検出後前記ファンモータ
    を前記第1の回転速度より高い第2の回転速度に上昇さ
    せるとともに該第2の回転速度に対応するノズルモータ
    の電流値の変動幅を検出し、前記ノズルモータの電流値
    の変動幅及び前記第1,第2の回転速度のおけるノズルモ
    ータの電流値の変動幅の増加率から床面を推定し、推定
    結果に基づいて前記フアンモータ及び前記ノズルモータ
    の入力を制御するようにしたことを特徴とする電気掃除
    機の制御方法。
  2. 【請求項2】塵埃を捕集するフイルタ及び吸込気流を発
    生させるフアンモータとを内蔵する掃除機本体と、該掃
    除機本体に接続されるホースと,該ホースに延長管を介
    して接続される吸口とを有し、該吸口には掃除面の塵埃
    を掻き上げる回転清掃体と、該回転清掃体を駆動するノ
    ズルモータとを有する電気掃除機であって、 該電気掃除機の圧力を検出する圧力センサと、該圧力セ
    ンサに基づいて前記ファンモータ及び前記ノズルモータ
    を制御する制御装置とを有し、 該制御装置は、前記ファンモータを所定の第1の回転速
    度に立ち上げるとともに該第1の回転速度に対応する圧
    力の変動幅を検出し、検出後前記ファンモータを前記第
    1の回転速度より高い第2の回転速度に上昇させるとと
    もに該第2の回転速度に対応する圧力の変動幅を検出
    し、前記圧力の変動幅及び前記第1,第2の回転速度のお
    ける圧力の変動幅の増加率から床面を推定し、推定結果
    に基づいて前記フアンモータ及び前記ノズルモータの入
    力を制御するようにしたことを特徴とする電気掃除機の
    制御方法。
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