JP2522577Y2 - スピニングリール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、リール本体の前部のロータに形成された一
対のアーム部夫々の間に、巻取り姿勢と解放姿勢とに切
換自在にベールアームを備え、又、このベールアームを
巻取り姿勢から解放姿勢に切換える切換操作機構を前記
ロータに備えて成るスピニングリールに関し、詳しく
は、ルアー等の仕掛のキャスティングを補助するための
技術に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、上記の如く切換操作機構を備えたスピニングリ
ールとしては実開昭61-186361号公報に示されるものが
存在するものの、従来、このように切換操作機構を備え
たスピニングリールにおいて、仕掛のキャスティングを
補助するための装置類を備えたものは存在しない。

〔考案が解決しようとする課題〕

ここで、ルアーフィッシングでルアーのキャスティン
グを行う際の操作について考えるに、このキャスティン
グ時にはベールアームを解放姿勢に設定した状態でロッ
ド（釣り竿）を振る操作を行うことになる。

又、このキャスティング時にはポイントの位置、ポイ
ントの周囲の地形、立木等の状態に応じて、オーバース
ロー、サイドスロー等様々な形態でロッドを振ることに
なるが、バス釣りのように、ボートを用いて比較的岸辺
近くでキャスティングを行うことの多い形態の釣りで
は、釣り人の頭近くに立木の枝が張出し、又、前方には
丈の高いブッシュが茂っていることもあり、このように
位置からキャスティングを行おうとすると、ロッドが枝
やブッシュに接触してポイントへの正確なキャスティン
グを行えないばかりか、ロッドやルアーを傷めることも
多く改善の余地がある。

本考案の目的は、釣り竿の操作を行い難い環境下で
も、ポイントに対するキャスティングを補助し得るスピ
ニングリールを合理的に構成する点にある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の第１の特徴は、冒頭に記したようにベルアー
ムの姿勢の切換を行う切換操作機構を備えて成るスピニ
ングリールにおいて、 前記切換操作機構に対する操作力を解除することによ
ってベールアームを巻取り姿勢に復元操作する付勢手段
を設けると共に、該リールから釣り竿の先端で折り返し
てリール側に導かれた釣り糸の先端に備えた仕掛を係止
するための係止片を、前記釣り竿の弾性復元力に起因し
て釣り糸に作用する前方への引張り力に抗して係止状態
を保持する係止位置と、前方への引張り力による前方へ
の移動を許す係止解除位置とに切換自在に設け、前記ベ
ールアームの解放姿勢への切換と共に前記係止片を係止
位置から係止解除位置への切換を行う、若しくは、切換
を許容するよう、該係止片をベールアームの揺動系に形
成する、若しくは、該係止片とベールアームとの間に連
動系を形成して成る点にあり、 又、本考案の第２の特徴は冒頭に記したようにベルア
ームの姿勢の切換を行う切換操作機構を備えて成るスピ
ニングリールにおいて、 前記切換操作機構に対する操作力を解除した際に、付
勢力によってベールアームを開放姿勢に維持する状態
と、ベールアームを巻取り姿勢に復元操作する状態とに
切換自在な動作切換機構を設けると共に、該リールから
釣り竿の先端で折り返してリール側に導かれた釣り糸の
先端に備えた仕掛を係止するための係止片を、前記釣り
竿の弾性復元力に起因して釣り糸に作用する前方への引
張りに抗して係止状態を保持する係止位置と、前方への
引張り力による前方への移動を許す係止解除位置とに切
換自在に設け、前記ベールアームの解放姿勢への切換と
共に前記係止片を係止位置から係止解除位置への切換を
行う、若しくは、切換を許容するよう、該係止片をベー
ルアームの揺動系に形成する、若しくは、該係止片とベ
ールアームとの間に連動系を形成して成る点にあり、そ
の作用、及び、効果は次の通りである。

〔作用〕

上記第１の特徴によると、釣り竿の振り操作を行い難
い環境でキャスティングを行う場合には、先ず、リール
からの釣り糸を適当な量だけ操出しておき、ベールアー
ムを巻取り姿勢に設定して釣り糸の繰出しが阻止された
状態で、仕掛をリールの側に引き寄せて釣り竿を曲げ方
向に弾性変形させ、釣り竿の弾性復元力が釣り糸に張力
として作用する状態で仕掛を係止片に引掛けて係止保持
する（図３を参照）。

次に、釣り竿の先端側をポイントの方向に向け、切換
操作機構を操作することにより、ベールアームの解放姿
勢への切換と同時に係止片が係止解除位置に切換られる
ので、仕掛は釣り竿の弾性復元力により前方に投擲さ
れ、釣り糸もリールから繰り出されるものとなる（第４
図を参照）。更に、このように仕掛の放擲が行われた後
に切換操作機構の操作力を解除した際には、付勢手段か
らの力でベールアームが巻取り姿勢に復元して釣り糸の
繰出しを阻止し、この時点以後の釣り糸の巻取りを可能
にする。

上記第２の特徴によると、前述した第１の特徴と同様
の操作で釣り竿の弾性復元力を利用した仕掛の放擲を可
能にするものであり、切換操作機構の操作力を解除した
際にベールアームを巻取り姿勢に復元するよう動作切換
機構を設定した場合には、前述した第１の特徴と同様に
切換操作機構の操作力を解除した時点から釣り糸の巻取
りを可能にするものとなる。

〔考案の効果〕

従って、係止片を形成するという比較的簡単な改良に
より、釣り竿の振り操作の困難な環境下でもポイントに
対するキャスティングを補助し得ると共に、仕掛が着水
した後には迅速にリーリングを開始してリトリーブ等の
動作を行えるスピニングリールが構成されたのである。

特に、本考案では仕掛のキャスティングが釣り竿の長
手方向に沿う直線的な軌跡となるので、初心者でもポイ
ントへの正確なキャスティングを行い得るという効果も
奏する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第５図乃至第７図に示すように、ハンドル（１）を備
えたリール本体（２）の前部にロータ（３）、スプール
（４）を備え、又、後部にドラグ装置（５）を備えると
共に、ロータ（３）に形成された第１・第２アーム部
（６），（７）夫々に対し支軸（８），（８）周りで揺
動自在に揺動アーム（９），（９）を設け、夫々の揺動
アーム（９），（９）の間に亘って、これらの一体揺動
により巻取り姿勢（Ｗ）と解放姿勢（Ｆ）とに切換自在
なベールアーム（10）を備えてスピニングリールを構成
する。

第６図に示すように、第１アーム部（６）にはベール
アーム（10）を前記巻取り姿勢（Ｗ）に操作するよう圧
縮バネ（11S）を有した付勢手段（11）を内装すると共
に、ベールアーム（10）を解放姿勢（Ｆ）に切換えるた
めの切換操作機構（Ａ）を備え、又、この第１アーム部
（６）の揺動アーム（９）には釣り糸（12）を案内する
ラインローラ（13）も備えている。

この切換操作機構（Ａ）は軸（14）周りで揺動自在に
支持されたレバー（15）と、揺動アーム（９）に形成し
たカム部（9C）とで成り、第５図及び第６図に示す姿勢
においてレバー（15）に指先を掛けて上方に引き上げる
ことにより、レバー（15）の押圧面（15A）がカム部（9
C）に接触して揺動アーム（９）に回転力を作用させ、
ベールアーム（10）を解放姿勢（Ｆ）に切換え得るよう
構成されている。

第１図乃至第５図には、このリールをルアーロッド
（16）（釣り竿の一例）に装着した状態を表してあり、
このリールではルアーロッド（16）の弾性力を利用した
ルアー（17）（仕掛の一例）のキャスティングを補助す
るため、第２アーム部（７）の揺動アーム（９）と一体
的に係止片（18）を形成してある。

つまり、この係止片（18）はベールアーム（10）を巻
取り姿勢（Ｗ）に設定した際には第１図に示すように前
方に向かう引張力が作用した状態のルアー（17）のフッ
ク（17A）を係止位置（Ｋ）で保持し、又、ベールアー
ム（10）を解放姿勢（Ｆ）に設定した際には第２図に示
すように係止解除位置（Ｌ）への揺動によりルアー（1
7）の前方への抜出しを許すよう揺動アーム（９）との
相対姿勢を設定してあり、この係止片（18）でキャステ
ィングの補助を行う場合には、第３図に示すようにルア
ーロッド（16）を曲げ方向に弾性変形させ釣り糸（12）
に張力が作用する状態でルアー（17）のフック（17A）
を係止片（18）に係止保持すると共に、この状態のまま
ルアーロッド（16）の先端側をポイントの方向に向け、
前述した切換操作機構（Ａ）のレバー（15）を引き上げ
操作することにより、第４図に示すようにベールアーム
（10）が巻取り姿勢（Ｗ）から解放姿勢（Ｆ）に切換る
際にルアー（17）の係止が解かれた後、釣り糸（12）の
拘束が解かれるので、ルアー（17）は前方に向けて略直
線的に投擲されるのである。

そして、このように投擲された後には、切換操作機構
（Ａ）のレバー（15）を緩め操作するだけで、前記付勢
手段（11）によりベールアーム（10）が巻取り姿勢
（Ｗ）の方向に揺動するので、この緩め量を適当に設定
するだけで、スプール（４）から繰出される釣り糸（1
2）に対してベールアーム（10）が接触する結果、キャ
スティングの距離の調節、「糸フケ」の防止を簡単に行
え、しかも、ルアー（17）がポイントに着水した後に
は、レバー（15）から指を離すだけで、ベールアーム
（10）が巻取り姿勢（Ｗ）に復元するので、迅速にリー
リングを開始してリトリーブを行えるようになってい
る。

尚、このリールでは係止片（18）にルアー（17）のフ
ック（17A）を係止している状態で、外部からのショッ
ク等により誤ったキャスティングが行われないよう、揺
動アーム（９）の凹部（9A）に係合するロック片（19）
が第２アーム部（７）に対してスライド移動自在に備え
られている。

〔別実施例〕

本考案は上記実施例以外に、例えば、次の各項に示す
ように構成しても良い。

第８図に示すように、付勢手段（11）を軸（11A）周
りで揺動自在な揺動部材（11B）と、この揺動部材（11
B）に対してバネ（11S）で突出付勢された突出部材（11
C）とで構成すると共に、この付勢手段（11）をトッグ
ル作動させてベールアーム（10）を巻取り姿勢（Ｗ）と
解放姿勢（Ｆ）とに保持させるトッグル位置（Ｔ）と、
ベールアーム（10）を常に巻取り姿勢（Ｗ）に設定させ
る復元位置（Ｒ）とに切換操作を行えるよう前記軸（11
A）の位置を変更する案内溝（21）で動作切換機構
（Ｂ）を構成する 第９図に示すように、と同様に付勢手段（11）を構
成して、トッグル作動を行わせると共に、切換操作機構
（Ａ）の操作によってベールアーム（10）が解放方向に
操作された際には仕掛（17）のキャスティング、及び、
釣り糸（12）の拘束を解除する程度にベールアーム（1
0）の揺動を許し乍ら、付勢手段（11）の付勢方向がデ
ッドポイント（DP）を越えることを阻止するストッパー
（22）を、作用する位置（Ｓ）と作用しない位置（Ｎ）
とに切換自在に設けて動作切換機構（Ｂ）を構成する。

第10図に示すように、係止片（18）をリール本体
（２）に設けると共に、第１アーム部（６）の揺動アー
ム（９）が解放姿勢の側に揺動した際に後方に向けて突
出する突出ピン（23）の押圧力をアーム（24）の接当部
（24A）で受けて揺動力に変換した後、係止片（18）と
咬合するロック片（25）をロッド材（26）を介してロッ
ク解除方向に操作するよう連動系を構成する。

又、本考案はベルアームと一体的に係止片を形成する
ことも可能であり、付勢手段の構造、係止片を操作する
ための構造も様々に実施できる。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係るスピニングリールの実施例を示し、
第１図はベールアーム巻取り姿勢における係止片を表す
図、第２図はベールアーム解放姿勢における係止片を表
す図、第３図及び第４図はキャスティング準備状態と、
キャスティング直後の状態を表す側面図、第５図は該ス
ピニングリールの側面図、第６図及び第７図は切換前の
状態と、切換後の状態を表す切換操作機構の平面図であ
り、第８図及び第９図は動作切換機構の別実施例の平面
図、第10図は連動系の別実施例の側面図である。 （２）……リール本体、（３）……ロータ、（６），
（７）……アーム部、（10）……ベールアーム、（11）
……付勢手段、（12）……釣り糸、（16）……釣り竿、
（17）……仕掛、（18）……係止片、（Ａ）……切換操
作機構、（Ｂ）……動作切換機構、（Ｆ）……解放姿
勢、（Ｋ）……係止位置、（Ｌ）……係止解除位置、
（Ｗ）……巻取り姿勢。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】リール本体（２）の前部のロータ（３）に
   形成された一対のアーム部（６），（７）夫々の間に、
   巻取り姿勢（Ｗ）と解放姿勢（Ｆ）とに切換自在にベー
   ルアーム（10）を備え、又、このベールアーム（10）を
   巻取り姿勢（Ｗ）から解放姿勢（Ｆ）に切換える切換操
   作機構（Ａ）を前記ロータ（３）に備えて成るスピニン
   グリールであって、 前記切換操作機構（Ａ）に対する操作力を解除すること
   によってベールアーム（10）を巻取り姿勢（Ｗ）に復元
   操作する付勢手段（11）を設けると共に、 該リールから釣り竿（16）の先端で折り返してリール側
   に導かれた釣り糸（12）の先端に備えた仕掛（17）を係
   止するための係止片（18）を、前記釣り竿（16）の弾性
   復元力に起因して釣り糸（12）に作用する前方への引張
   り力に抗して係止状態を保持する係止位置（Ｋ）と、前
   方への引張り力による前方への移動を許す係止解除位置
   （Ｌ）とに切換自在に設け、 前記ベールアーム（10）の解放姿勢（Ｆ）への切換と共
   に前記係止片（18）を係止位置（Ｋ）から係止解除位置
   （Ｌ）への切換を行う、若しくは、切換を許容するよ
   う、該係止片（18）をベールアーム（10）の揺動系に形
   成する、若しくは、該係止片（18）とベールアーム（1
   0）との間に連動系を形成して成るスピニングリール。
2. 【請求項２】リール本体（２）の前部のロータ（３）に
   形成された一対のアーム部（６），（７）夫々の間に、
   巻取り姿勢（Ｗ）と解放姿勢（Ｆ）とに切換自在にベー
   ルアーム（10）を備え、又、このベールアーム（10）を
   巻取り姿勢（Ｗ）から解放姿勢（Ｆ）に切換える切換操
   作機構（Ａ）を前記ロータ（３）に備えてなるスピニン
   グリールであって、 前記切換操作機構（Ａ）に対する操作力を解除した際
   に、付勢力によってベールアーム（10）を開放姿勢
   （Ｆ）に維持する状態と、ベールアーム（10）を巻取り
   姿勢（Ｗ）に復元操作する状態とに切換自在な動作切換
   機構（Ｂ）を設けると共に、 該リールから釣り竿（16）の先端で折り返してリール側
   に導かれた釣り糸（12）の先端に備えた仕掛（17）を係
   止するための係止片（18）を、前記釣り竿（16）の弾性
   復元力に起因して釣り糸（12）に作用する前方への引張
   り力に抗して係止状態を保持する係止位置（Ｋ）と、前
   方への引張り力による前方への移動を許す係止解除位置
   （Ｌ）とに切換自在に設け、 前記ベールアーム（10）の解放姿勢（Ｆ）への切換と共
   に前記係止片（18）を係止位置（Ｋ）から係止解除位置
   （Ｌ）への切換を行う、若しくは、切換を許容するよ
   う、該係止片（18）をベールアーム（10）の揺動系に形
   成する、若しくは、該係止片（18）とベールアーム（1
   0）との間に連動系を形成して成るスピニングリール。