JP2522468B2 - 基準電圧発生回路 - Google Patents

基準電圧発生回路

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JP2522468B2
JP2522468B2 JP4308213A JP30821392A JP2522468B2 JP 2522468 B2 JP2522468 B2 JP 2522468B2 JP 4308213 A JP4308213 A JP 4308213A JP 30821392 A JP30821392 A JP 30821392A JP 2522468 B2 JP2522468 B2 JP 2522468B2
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克治 木村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、定電圧発生回路で基準
電圧の発生に用いられる基準電圧発生回路に係り、特に
MOSトランジスタとバイポーラトランジスタとで構成
される基準電圧発生回路に関する。
【0002】
【従来の技術】MOSトランジスタとバイポーラトラン
ジスタとで構成される基準電圧発生回路としては、従
来、例えば図5に示すものが知られている。この基準電
圧発生回路は、バンドギャップ・ボルテージ・リファレ
ンス回路と一般に称されるものであるが、図5は、LS
I化を指向してN型サブストレート上にCMOSプロセ
スを実施して実現した例を示しOPアンプ51といわゆ
る寄生トランジスタ(Q1、Q2)とを中心に構成され
る。以下、概要を説明する。
【0003】図5において、Q1のベース・エミッタ間
電圧VBE1 は数式1で表され、Q2のベース・エミッタ
間電圧VBE2 は数式2で表される。なお、数式1と同2
において、IS1、IS2はそれぞれQ1、Q2の飽和電流
であり、またVT =kT/qである。但し、kはボルツ
マン定数、qは単位電子電荷、Tは絶対温度である。
【0004】
【数1】 VBE1 =VT ln(I1 /IS1
【0005】
【数2】 VBE2 =VT ln(I2 /IS2
【0006】数式1と同2から、ベース・エミッタ間電
圧の差電圧ΔVBEは数式3となる。
【0007】
【数3】 ΔVBE=VBE1 −VBE2 =VT ln{(I1 /I2)(IS2/IS1)}
【0008】ここで、Q1とQ2のエミッタサイズは等
しいので、IS1=IS2である。従って、差電圧ΔVBE
数式4となる。
【0009】
【数4】 ΔVBE=VT ln(I1 /I2)
【0010】また、I2 =ΔVBE/R3 である。従っ
て、出力基準電圧VREF は数式5と求められる。
【0011】
【数5】 VREF =(R1 +R3)I2 +VBE2 =(1+R1 /R3)ΔVBE+VBE2 =VBE1 +(R1 /R3)ΔVBE
【0012】この出力基準電圧VREF の温度特性は、R
1 /R3 の温度特性は無視できるので、数式6と表せ
る。
【0013】
【数6】 dVREF /dT=dVBE1 /dT+(R1 /R3)dΔVBE/dT
【0014】この数式6の右辺第1項は、ほぼ−2mV
/deg である。また数式4においてI1 とI2 の比はほ
ぼ一定とみなせ、かつ、対数圧縮されるので、差電圧Δ
BEの温度特性は数式7となる。
【0015】
【数7】 dΔVBE/dT≒+0.085mV/deg ×ln(I1 /I2)
【0016】従って、(R1 /R3)ln(I1 /I2)=2
3.5に設定すれば、dVREF/dT≒0となる。このと
き、VBE1 ≒0.6Vとすれば、VREF ≒1.211V
と求まる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の基準電
圧発生回路は、制御素子としてOPアンプを使用してい
るので、回路規模が大きくなり、また回路電流も多くな
るという問題がある。
【0018】本発明の目的は、回路規模を小さくでき、
かつ、回路電流の低減を可能にする新規構成の基準電圧
発生回路を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の基準電圧発生回路は次の如き構成を有する。す
なわち、第1発明の基準電圧発生回路は、一方の電源端
子側に配置されるトランジスタであって、トランジスタ
の能力(エミッタサイズまたはゲート幅Wとゲート長L
の比(W/L))が異なり、ベース同士またはゲート同
士が共通接続されダイオードとして動作する2つのトラ
ンジスタと; 他方の電源端子側に配置され前記2つの
トランジスタそれぞれに抵抗を介して共通の電流を流し
込む2段のカレントミラー回路で構成される定電流源
と; を備え、前記定電流源を構成するカレントミラー
回路の各段は構成するFETの極性が異なり、かつミラ
ー電流と基準電流の関係が互いに逆となるように接続さ
れ、前記各段のカレントミラー回路の一方のFETがダ
イオード接続され、2段のカレントミラー側の2つの抵
抗端の少なくとも一方を出力端とする; ことを特徴と
するものである。
【0020】第2発明の基準電圧発生回路は、一方の電
源端子がわに配置されるトランジスタであって、能力
が1:K1 でありベース同士またはゲート同士が共通接
続されダイオードとして動作する2つのトランジスタ
と; 他方の電源端子がわに配置される定電流源であっ
て、能力比がK2 :1である2つのPチャネルFET及
び2つのNチャネルFETで構成される第1及び第2の
カレントミラー回路で構成される定電流源と; を備
え、前記第1及び第2のカレントミラー回路はダイ オー
ド接続FETが互いに逆の配置となって能力の等しいF
ET同士直列接続されると共に; その能力がK2
ある方のFETの出力端に抵抗を介して前記2つのトラ
ンジスタのうち能力比が1であるトランジスタのエミッ
またはソースを接続し; その能力が1である方のF
ETの出力端に抵抗を介して前記2つのトランジスタの
うち能力比がK1 であるトランジスタのエミッタまたは
ソースを接続し; 第1及び第2のカレントミラー回路
側の2つの抵抗端の少なくとも一方を出力端とする;
ことを特徴とするものである。
【0021】また、第3発明の基準電圧発生回路は、
1発明において、2段のカレントミラー回路は、少なく
とも1段を、カスコードカレントミラー回路と交差接続
型カレントミラー回路とウイルソンカレントミラー回路
のいずれかで構成してある;ことを特徴とするものであ
る。
【0022】また、第4発明の基準電圧発生回路は、第
1発明において、2段のカレントミラー回路は、少なく
とも1段を、インプルーブドウイルソンカレントミラー
回路で構成される; ことを特徴とするものである。
【0023】
【作用】次に、前記の如く構成される本発明の基準電圧
発生回路の作用を説明する。本発明では、OPアンプを
使用せず、エミッタサイズが異なりダイオードとして動
作する2つのトランジスタと、この2つのトランジスタ
を抵抗を介して各別に駆動する定電流源とで構成し、定
電流源は2のカレントミラー回路で構成してある。従
って、回路規模を小さくでき、回路電流を少なくでき
る。なお、2段のカレントミラー回路の各段は、第3発
明や第4発明のように多段化すれば、カレントミラー回
路の電圧レギュレーションやミラー比を改善できる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は、本発明の第1実施例に係る基準電圧発生
回路を示す。なお、トランジスタに関し符号は図5と同
一符号を使用するが、これは同一物であることを意味し
ない。また、記号も説明の便宜上同一記号を使用する
が、内容の同一を意味するものではない。以下、同じ。
この第1実施例路は、一方の電源端子がわ(接地端が
わ)に配置される2つのPNPトランジスタ(Q1、Q
2)と、他方の電源端子がわ(電源VDDがわ)に配置さ
れ定電流源を構成する2つのカレントミラー回路[(M
1、M2)(M3、M4)]とを中心に構成される。
【0025】2つのトランジスタ(Q1、Q2)は、エ
ミッタサイズの比が、Q1:Q2=1:K1 であり、ベ
ース同士が共通接続されてアナロググランドVAGを介し
て接地され、またコレクタもそれぞれ接地される。つま
り、このQ1とQ2はダイオード接続されている。な
お、アナロググランドVAGは、省略してもよい。
【0026】定電流源を構成する2つのカレントミラー
回路[(M1、M2)(M3、M4)]は、図示例で
は、(第1の)カレントミラー回路(M1、M2)が電
源VDD側に配置され、(第2の)カレントミラー回路
(M3、M4)が駆動側に配置されるが、(第1の)カ
レントミラー回路を構成する2つのトランジスタ(M
1、M2)は、PチャネルFET(MOSトランジス
タ)で構成され、また、(第2の)カレントミラー回路
を構成する2つのトランジスタ(M3、M4)は、Nチ
ャネルFET(MOSトランジスタ)で構成され、これ
らのトランジスタの能力(W/L)の比(ミラー比)
は、M1:M2=M3:M4=K2 :1である。
【0027】この2つのカレントミラー回路は、能力の
等しいトランジスタ同士[(M1とM3)、(M2とM
4)]が直列接続されて1つの定電流源を構成してい
る。即ち、(第2の)カレントミラー回路(M3、M
4)において、能力がK2 であるトランジスタM3のソ
ースが抵抗R1 を介してエミッタサイズの比が1である
トランジスタQ1のエミッタに接続され、能力が1であ
るトランジスタM4のソースが抵抗R2 と抵抗R3 の直
列回路を介してエミッタサイズの比がK1 であるトラン
ジスタQ2のエミッタを接続される。なお、抵抗R2
抵抗R3 は実体は1つの抵抗であるが、動作解析の都合
から2つに区分したものである。
【0028】以上の構成において、抵抗R1 を流れる電
流をI1 、抵抗R2 と同R3 を流れる電流をI2 とする
と、(第1の)カレントミラー回路のM1とM2のミラ
ー比がK2 :1であるので、I1 =K2 ×I2 である。
また(第2の)カレントミラー回路のM3とM4のミラ
ー比もK2 :1であるので、M4のソース電圧VREF
M3のソース電圧VREF ′とは等しくなる。
【0029】このとき、Q1のベース・エミッタ間電圧
BE1 は数式8で表され、Q2のベース・エミッタ間電
圧VBE2 は数式9で表されるので、差電圧ΔVBEは数式
10となる。
【0030】
【数8】 VBE1 =VT ln(K22 /IS)
【0031】
【数9】 VBE2 =VT lnI2 /(K1S)
【0032】
【数10】 ΔVBE=VBE1 −VBE2 =VT ln(K12)
【0033】また、VREF =VREF ′であるので、I2
=ΔVBE/R3 となる。従って、出力基準電圧VREF
数式11となる。
【0034】
【数11】 VREF =VBE2 +(1+R2 /R3)ΔVBE =VBE1 +(R2 /R3)ΔVBE =VBE1 +(R1 /R3)K2 ΔVBE
【0035】そして、この出力基準電圧VREF の温度特
性は、数式12となる。
【0036】
【数12】 dVREF /dT=dVBE1 /dT+(R2 /R3)dΔVBE/dT =dVBE1 /dT+(R1 /R3)K2 dΔVBE/dT
【0037】ここで数式12において、dVBE1 /dT
≒−2mV/deg 、dΔVBE/dT=0.085mV/
deg である。従って、(R2 /R3)ln(K12)=(R
1 /R3)K2 ln(K12)=23.5に設定すれば、d
REF /dT≒0となる。このときのVREF の値はV
BE1 ≒0.6Vとすると、VREF ≒1.211Vとな
る。つまり、図5に示したのと同等の特性の基準電圧発
生回路を実現できたのである。
【0038】次に、図2は、本発明の第2実施例に係る
基準電圧発生回路を示す。この第2実施例回路は、一方
の電源端子がわを電源VDDがわとし、他方の電源端子が
わを接地がわとして構成したものである。即ち、前記第
1実施例回路において、PNPトランジスタをNPNト
ランジスタとし、PチャネルMOSトランジスタをNチ
ャネルMOSトランジスタとし、NチャネルMOSトラ
ンジスタをPチャネルMOSトランジスタとしたもの
で、同等の特性が得られる。
【0039】なお、本第1、第2実施例回路は、3つの
方式で実現できる。第1は個別部品で実現する方式であ
る。回路規模が小さいので、当該回路単独ならばそれな
りの利点がある。第2はCMOSプロセスで実現する方
式である。図1の構成はPサブストレートを用いたCM
OS集積回路に適用でき、図2の構成はNサブストレー
トを用いたCMOS集積回路に適用できる。この場合に
は、Q1とQ2はいわゆる寄生トランジスタを利用する
ことになり、アナロググランドVAGは必要があれば、外
部から供給する。第3はバイポーラトランジスタとMO
Sトランジスタとを同一サブストレートに形成するBi
−CMOSプロセスで実現する方式である。
【0040】次に、図3は、本発明の第3実施例に係る
基準電圧発生回路を示す。この第3実施例回路は、一方
の電源端子がわ(接地端がわ)に配置される2つのPN
Pトランジスタ(Q1、Q2)と、他方の電源端子がわ
(電源VDDがわ)に配置され定電流源を構成する3つの
カレントミラー回路[(M1、M2)(M3、M4)
(M5、M6)]とを中心に構成される。
【0041】2つのトランジスタ(Q1、Q2)は、エ
ミッタサイズの比が、Q1:Q2=1:Kであり、ベー
ス同士が共通接続されて接地され、またコレクタもそれ
ぞれ接地される。つまり、このQ1とQ2はダイオード
接続されている。
【0042】3つのカレントミラー回路では、各カレン
トミラー回路を構成する2つのFET(MOSトランジ
スタ)は同一能力、つまり、各カレントミラー回路にお
けるミラー比は1であるが、電源VDD側のカレントミラ
ー回路(M1、M2)はPチャネルFETで構成され、
中間のカレントミラー回路(M3、M4)と駆動側のカ
レントミラー回路(M5、M6)はそれぞれNチャネル
FETで構成され、トランジスタM5のソースが抵抗R
1 を介してエミッタサイズの比が1であるトランジスタ
Q1のエミッタに接続され、トランジスタM6のソース
が抵抗R2 と抵抗R3 の直列回路を介してエミッタサイ
ズの比がK1 であるトランジスタQ2のエミッタを接続
される。なお、抵抗R2 と抵抗R3 は実体は1つの抵抗
であるが、動作解析の都合から2つに区分したものであ
る。
【0043】なお、(M3、M4)(M5、M6)の各
カレントミラー回路において、M3とM5がドレイン・
ゲート間を接続し、M4とM6が開放の場合を図示して
あるが、これらの関係は相互に交換可能である。このよ
うに、同極性のトランジスタからなる2つのシンプルカ
レントミラー回路をダイオード接続トランジスタ(FE
T)を同じ側に配置してカスコード(cascode)接続した
カレントミラー回路は、カスコードカレントミラー(ca
scode current mirror)回路と称される。 また、駆動側
のカレントミラー回路(M5、M6)は、図4に示すよ
うに、M5のゲートをM6のドレインに接続し、M6の
ゲートをM5のドレインに接続しても良い。このよう
に、同極性のトランジスタからなる2つのシンプルカレ
ントミラー回路であるが、一方がダイオード接続トラン
ジスタを含むカレントミラー回路で、他方が交差接続の
カレントミラー回路である構成のものは、正式名称はな
いが、トランスリニアクロスクァッド接続とした文献が
あることから、交差接続型カレントミラー回路と称する
こととする。 また、中間のカレントミラー回路(M3、
M4)は、図示例ではNチャネルFETで構成してある
が、PチャネルFETで構成しても良い。そうすれば、
(M1〜M4)でインプルーブド(improved)ウイルソ
ンカレントミラー回路が構成される。なお、ウイルソン
カレントミラー回路は、図3の構成で言えばM4を省略
してM2のソースとM6のドレインを直結し、その直結
ラインにダイオード接続を解除したM3のゲートを接続
した構成のものである。そして、図示省略したが第1実
施例に対する第2実施例のように、一方の電源端子がわ
を電源VDDがわとし、他方電源端子がわを接地がわとし
ても構成できる。
【0044】以上示した第3実施例回路(図3)及び第
4実施例回路(図4)の構成において、MOSトランジ
スタのゲート幅変調は無視するとして、抵抗R1 を流れ
る電流をI1 、抵抗R2 と同R3 を流れる電流をI2
すると、各カレントミラー回路のミラー比は1であるの
で、I1 =I2 となり、M5のソース電圧VREF とM6
のソース電圧VREF ′とは等しくなる。
【0045】トランジスタQ1のベース・エミッタ間電
圧VBE1 は数式13で表され、Q2のベース・エミッタ
間電圧VBE2 は数式14で表される。また、Q1とQ2
のエミッタサイズ比はQ1:Q2=1:Kであるから、
S2=KIS1である。従って、差電圧ΔVBEは数式15
となる。
【0046】
【数13】 VBE1 =VT ln(I1 /IS1 )
【0047】
【数14】 VBE2 =VT ln(I2 /IS2 )
【0048】
【数15】 ΔVBE=VBE1 −VBE2 =VT lnK
【0049】各カレントミラー回路において、2つのM
OSトランジスタは同一能力、つまり、ゲート幅Wとゲ
ート長Lの比(W/L)は等しいので、R1 =R2 とお
くと、ΔVBE=I23 となる。従って、出力基準電圧
REF は数式16となる。
【0050】
【数16】 VREF =VREF ′ =VBE1 +I11 =VBE1 +(R1 /R3)KΔVBE
【0051】そして、この出力基準電圧VREF の温度特
性は、数式17となる。
【0052】
【数17】 dVREF /dT=dVREF ′/dT =dVBE1 /dT+(R1 /R3)dΔVBE/dT
【0053】ここで数式17において、dVBE1 /dT
≒−2mV/deg であるので、数式15から、dΔVBE
/dT=(lnK)×0.085mV/deg と求まる。従
って、(R1 /R3)lnK=23.5に設定すれば、dV
REF /dT≒0となる。このときのVREF の値は常温で
BE1 ≒0.6Vとすると、VREF ≒1.211Vとな
る。
【0054】つまり、本第3、第4実施例回路は電源電
圧が上述した第1、第2実施例の場合よりも若干高くな
るものの、第1、第2実施例と同様に図5に示したのと
同等の特性の基準電圧発生回路を実現できたのである。
【0055】なお、以上の解析では、ゲート幅変調を無
視したが、実際のトランジスタにはゲート幅変調が現れ
る。しかし、M3〜M6の2つのカレントミラー回路を
図3に示すようにカスコード接続するか、図4に示すよ
うにトランスリニアクロスクァッド接続とすれば、I1
とI2 の比がずれても、VREF とVREF ′の値をほぼ等
しくできる。
【0056】また、本第3、第4実施例回路は、3つの
カレントミラー回路は特性を揃える必要があるので、C
MOSプロセス又はBi−CMOSプロセスで実現する
方が望ましい。
【0057】なお、以上の各実施例では、2段のカレン
トミラー回路で駆動されるダイオード動作をする2つの
トランジスタがバイポーラトランジスタである場合を示
したが、FETに代えても同様の作用効果が得られるこ
とは明らかである。念のため、FETに代えた場合の動
作を、図1においてQ1→M11、Q2→M22として
説明する。この場合のK 1 は、ゲート幅Wとゲート長L
の比(W/L)を示すことになる。
【0058】 M11に流入する電流I 1 と、M22に流
入する電流I 2 とは等しく、I 1 =I 2 である。M11
のゲート・ソース間電圧をV GS1 、M22のそれをV
GS2 、スレッショールド電圧をV TH とすると、I 1 は数
式18、I 2 は数式19と表せる。
【0059】
【数18】 1 =β(V GS1 −V TH ) 2
【0060】
【数19】 2 =K 1 β(V GS2 −V TH ) 2
【0061】 但し、数式18、同19において、βはト
ランスコンダクタンスパラメータであり、電子の移動度
μ、ゲート酸化膜容量C OX 、比(W/L)を用いて、β
=(C OX /2)μ(W/L)と示される。
【0062】 従って、数式18と同19から、数式2
0、同21が得られるので、ゲート・ソース間電圧の差
ΔV GS は数式22となる。
【0063】
【数20】 GS1 −V TH =√(I 1 /β)
【0064】
【数21】 GS2 −V TH =√{I 2 /(K 1 β)}
【0065】
【数22】 ΔV GS =V GS1 −V GS2 =√(I 1 /β)−√{I 2 /(K 1 β)}
【0066】 ここで、V GS1 −V GS2 =I 2 3 とおく
と、I 1 は数式23と求まるので、両辺の平方をとって
数式24が得られる。
【0067】
【数23】 √I 1 =(1−1/√K 1 )/(R 3 √β)
【0068】
【数24】 1 =(1−1/√K 1 ) 2 /(R 3 2 β)
【0069】 また、トランスコンダクタンスパラメータ
βにおいて、移動度μと温度Tとには数式25の関係が
あるので、βと温度Tとの関係は数式26と表せる。
【0070】
【数25】 μ∝T -(3/2)
【0071】
【数26】 1/β∝T 3/2
【0072】 つまり、1/βは、ほぼ温度Tに比例する
とみなせる。従って、ΔV GS はほぼ温度Tに比例するこ
とになる。また、数式23から数式27が得られ、さら
に数式28が得られるので、基準電圧V REF ′は数式2
9と求まる。
【0073】
【数27】 √I 1 =(1−1/√K 1 )/(R 3 √β)=√β(V GS1 −V TH
【0074】
【数28】 GS1 −V TH =(1−1/√K 1 )/(R 3 β)
【0075】
【数29】 REF ′=V AG +V GS1 +R 1 1 =V AG +(1−1/√K 1 )/(R 3 β) +V TH +R 1 (1−1/√K 1 ) 2 /(R 3 2 β) =V AG +(1−1/√K 1 )/(R 3 β) ×{1+R 1 (1−1/√K 1 )/R 3 }+V TH
【0076】 数式29の第3式において、第2項は温度
Tに比例する電圧である。また、第3項のV TH は、MO
Sプロセスでは通常−2.3mV/deg の負の温度特性
を持っている。従って、第2項と第3項においてR 1
3 、K 1 を設定することで温度特性をほぼ打ち消すこ
とができる。これは、MOSでは、熱電圧V T の代わり
に(1−1/√K 1 ) 2 /(R 3 β)と置き換え、V BE
代わりにV TH と置き換 えれば良いことを示すものであ
る。即ち、FETでも、バイポーラトランジスタと同様
の作用効果が得られるのである。
【0077】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の基準電圧
発生回路によれば、OPアンプを使用せず、エミッタサ
イズが異なりダイオードとして動作する2つのトランジ
スタと、この2つのトランジスタを抵抗を介して各別に
駆動する定電流源とで構成し、定電流源は2段のカレン
トミラー回路で構成してあるので、回路規模を小さくで
き、回路電流を少なくできる効果がある。なお、第3発
明や第4発明ではカレントミラー回路の電圧レギュレー
ションやミラー比を改善できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る基準電圧発生回路の
回路図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る基準電圧発生回路の
回路図である。
【図3】本発明の第3実施例に係る基準電圧発生回路の
回路図である。
【図4】本発明の第4実施例に係る基準電圧発生回路の
回路図である。
【図5】従来の基準電圧発生回路の回路図である。
【符号の説明】
Q1 トランジスタ Q2 トランジスタ M1〜M6 MOSトランジスタ R1 〜R3 抵抗 VAG アナロググランド VDD 直流電源 VREF 基準電圧 VREF ′ 基準電圧

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の電源端子に配置されるトランジス
    タであって、 トランジスタの能力(エミッタサイズまたはゲート幅W
    とゲート長Lの比(W/L))が異なり、ベース同士ま
    たはゲート同士が共通接続されダイオードとして動作す
    る2つのトランジスタと; 他方の電源端子に配置され前記2つのトランジスタそ
    れぞれに抵抗を介して共通の電流を流し込む2段のカレ
    ントミラー回路で構成される定電流源と; を備え、前記定電流源を構成するカレントミラー回路の各段は構
    成するFETの極性が異なり、かつミラー電流と基準電
    流の関係が互いに逆となるように接続され、前記各段の
    カレントミラー回路の一方のFETがダイオード接続さ
    れ、 2段のカレントミラー側の2つの抵抗端の少なくと
    も一方を出力端とする; ことを特徴とする基準電圧発生回路。
  2. 【請求項2】一方の電源端子がわに配置されるトランジ
    スタであって、能力比が1:Kでありベース同士また
    はゲート同士が共通接続されダイオードとして動作する
    2つのトランジスタと;他方の電源端子がわに配置され
    る定電流源であって、能力比がK:1である2つのP
    チャネルFET及び2つのNチャネルFETで構成され
    る第1及び第2のカレントミラー回路で構成される定電
    流源と;を備え、前記第1及び第2のカレントミラー回
    路はダイオード接続FETが互いに逆の配置となって能
    力の等しいFET同士が直列接続されると共に、その能
    力がKである方のFETの出力端に抵抗を介して前記
    2つのトランジスタのうち能力比が1であるトランジス
    タのエミッタまたはソースを接続し;その能力が1であ
    る方のFETの出力端に抵抗を介して前記2つのトラン
    ジスタのうち能力比がK1であるトランジスタのエミッ
    タまたはソースを接続し;第1及び第2のカレントミラ
    ー回路側の2つの抵抗端の少なくとも一方を出力端とす
    る;ことを特徴とする基準電圧発生回路。
  3. 【請求項3】2段のカレントミラー回路は、少なくとも
    1段を、カスコードカレントミラー回路と交差接続型カ
    レントミラー回路とウイルソンカレントミラー回路のい
    ずれかで構成してある;ことを特徴とする請求項1に記
    載の基準電圧発生回路。
  4. 【請求項4】2段のカレントミラー回路は、少なくとも
    1段を、インブルーブドウウイルソンカレントミラー回
    路で構成される;ことを特徴とする請求項1に記載の基
    準電圧発生回路。
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