JP2522115B2 - 車両の出力制御方法 - Google Patents

車両の出力制御方法

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JP2522115B2 JP2417291A JP41729190A JP2522115B2 JP 2522115 B2 JP2522115 B2 JP 2522115B2 JP 2417291 A JP2417291 A JP 2417291A JP 41729190 A JP41729190 A JP 41729190A JP 2522115 B2 JP2522115 B2 JP 2522115B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両の出力制御方法に関
し、オートクルーズ制御と旋回制御とを有機的に結合さ
せたものである。
【0002】
【従来の技術】オートクルーズ制御ができる自動車で
は、オートクルーズを選択することにより、アクセルペ
ダルを踏まなくても運転者の希望する一定車速で走行が
続けられる。ところがオートクルーズ速度を高速に設定
していたときに、カーブ走行をすると、オートクルーズ
速度が速すぎて危険であることがある。そこでカーブ走
行をするときには自動的に速度を低下させるオートクル
ーズ装置が開発された。
【0003】特公昭61−19456号には、舵角,車
速から車体に作用する遠心力を検出し、この検出信号に
応じて減速指令を出すオートクルーズ装置が開示されて
いる。一方、実開昭62−137133号には、舵角判
定手段により検出した舵角が所定値より大きいと判断し
たときに、舵角に対応して設定速度を低減させるオート
クルーズ装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで従来のオート
クルーズ装置では、減速指示あるいは設定速度の低減割
合が舵角や車速により決定されるため、路面の状態とは
無関係に決定されていた。このため、摩擦係数の高い路
面を条件として減速指示や設定車速低減割合を決める
と、摩擦係数が低い路面を走行するときには減速が不充
分となる。逆に、低減割合を低摩擦係数の路面に応じた
ものとすると、高摩擦係数の路面では不必要な減速が行
われるという問題があった。
【0005】一方、本願出願人は車両の旋回時に発生す
る横加速度の大きさに応じて機関の駆動トルクを迅速に
低減させ、車両を安全に走行させるようにした車両の出
力制御方法(旋回制御)を開発し出願した(特願平2−
17823号、特願平2−124275号)。この旋回
制御では、路面の状況(摩擦係数が高いか低いか)を加
味してスタビリティファクタ(詳細は後述)を求め、目
標車体速度VM を求めトルク制御をしている。
【0006】本発明は、オートクルーズ制御と旋回制御
を組み合せることにより、理想的なカーブ走行のできる
車両の出力制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の構成は、運転者による操作とは独立に機関の駆動ト
ルクを低減させるトルク制御手段と、オートクルーズス
イッチによりオートクルーズ設定速度を設定すると車速
をオートクルーズ設定速度とするオートクルーズ手段と
を有する車両において、左右の従動輪の周速度の差と操
舵軸の旋回角を用いて車両に作用している横加速度と車
速とスタビリティファクタを演算し、このスタビリティ
ファクタから求めた目標横加速度と、前記横加速度と前
記車速を基に、目標車体速度及び目標前後加速度を演算
し、この目標前後加速度と、車体重量と、車輪有効半径
と、ロードロードトルクとを基に基本駆動トルクを演算
し、前記目標車体速度が前記オートクルーズ設定速度よ
りも低いときには、前記機関の駆動トルクが、基本駆動
トルクに応じた値となるように前記トルク制御手段の作
動を制御し、前記オートクルーズ設定速度が前記目標車
体速度よりも低いときには、オートクルーズ手段により
車速をオートクルーズ設定速度とするよう制御すること
を特徴とする。
【0008】
【作用】旋回制御により演算した目標車体速度VM と、
オートクルーズ制御により設定したオートクルーズ設定
速度VATとを比較し、VM ≧VATのときにはオートクル
ーズ制御をし、VAT>VM となったときには旋回制御を
する。
【0009】
【実施例】本発明による車両の出力制御方法を前輪駆動
形式の車両に応用した一実施例の概念を表す図1及びそ
の車両の概略構造を表す図2に示すように、機関11の
燃焼室12に連結された吸気管13の途中には、この吸
気管13によって形成される吸気通路14の開度を変化
させ、燃焼室12内に供給される吸入空気量を調整する
スロットル弁15を組み込んだスロットルボディ16が
介装されている。図1及び筒状をなすこのスロットルボ
ディ16の部分の拡大断面構造を表す図3に示すよう
に、スロットルボディ16にはスロットル弁15を一体
に固定したスロットル軸17の両端部が回動自在に支持
されている。吸気通路14内に突出するこのスロットル
軸17の一端部には、アクセルレバー18とスロットル
レバー19とが同軸状をなして嵌合されている。またス
ロットル軸17の他端部には、オートクルーズ制御時に
作動するモータ200が備えられている。このモータ2
00は非作動時には、スロットル軸17が自由に回転で
きるようにフリー状態となる。
【0010】前記スロットル軸17とアクセルレバー1
8の筒部20との間には、ブシュ21及びスペーサ22
が介装され、これによってアクセルレバー18はスロッ
トル軸17に対して回転自在となっている。更に、スロ
ットル軸17の一端側に取り付けた座金23及びナット
24により、スロットル軸17からアクセルレバー18
が抜け外れるのを未然に防止している。又、このアクセ
ルレバー18と一体のケーブル受け25には、運転者に
よって操作されるアクセルペダル26がケーブル27を
介して接続しており、アクセルペダル26の踏み込み量
に応じてアクセルレバー18がスロットル軸17に対し
て回動するようになっている。
【0011】一方、前記スロットルレバー19はスロッ
トル軸17と一体に固定されており、従ってこのスロッ
トルレバー19を操作することにより、スロットル弁1
5がスロットル軸17と共に回動する。又、アクセルレ
バー18の筒部20にはカラー28がこれと同軸一体に
嵌着されており、前記スロットルレバー19の先端部に
は、このカラー28の一部に形成した爪部29に係止し
得るストッパ30が形成されている。これら爪部29と
ストッパ30とは、スロットル弁15が開く方向にスロ
ットルレバー19を回動させるか、或いはスロットル弁
15が閉まる方向にアクセルレバー18を回動させた場
合に相互に係止するような位置関係に設定されている。
【0012】前記スロットルボディ16とスロットルレ
バー19との間には、スロットルレバー19のストッパ
30をアクセルレバー18の爪部29に押し付けてスロ
ットル弁15を開く方向に付勢するねじりコイルばね3
1が、スロットル軸17に嵌合された筒状をなす一対の
ばね受け32,33を介し、このスロットル軸17と同
軸状をなして装着されている。又、スロットルボディ1
6から突出するストッパピン34とアクセルレバー18
との間にも、アクセルレバー18の爪部29をスロット
ルレバー19のストッパ30に押し付けてスロットル弁
15を閉じる方向に付勢し、アクセルペダル26に対し
てディテント感を付与するためのねじりコイルばね35
が前記カラー28を介してアクセルレバー18の筒部2
0にスロットル軸17と同軸状をなして装着されてい
る。
【0013】前記スロットルレバー19の先端部には、
基端をアクチュエータ36のダイヤフラム37に固定し
た制御棒38の先端部が連結されている。このアクチュ
エータ36内に形成された圧力室39には、前記ねじり
コイルばね31と共にスロットルレバー19のストッパ
30をアクセルレバー18の爪部29に押し付けてスロ
ットル弁15を開く方向に付勢する圧縮コイルばね40
が組み込まれている。そして、これら二つのばね31,
40のばね力の和よりも、前記ねじりコイルばね35の
ばね力のほうが大きく設定され、これによりアクセルペ
ダル26を踏み込むか、或いは圧力室39内の圧力を前
記二つのばね31,40のばね力の和よりも大きな負圧
にしない限り、スロットル弁15は開かないようになっ
ている。
【0014】前記スロットルボディ16の下流側に連結
されて吸気通路14の一部を形成するサージタンク41
には、接続配管42を介してバキュームタンク43が連
通しており、このバキュームタンク43と接続配管42
との間には、バキュームタンク43からサージタンク4
1への空気の移動のみ許容する逆止め弁44が介装され
ている。これにより、バキュームタンク43内の圧力は
サージタンク41内の最低圧力とほぼ等しい負圧に設定
される。
【0015】これらバキュームタンク43内と前記アク
チュエータ36の圧力室39とは、配管45を介して連
通状態となっており、この配管45の途中には非通電時
閉塞型の第一のトルク制御用電磁弁46が設けられてい
る。つまり、このトルク制御用電磁弁46には配管45
を塞ぐようにプランジャ47を弁座48に付勢するばね
49が組み込まれている。
【0016】又、前記第一のトルク制御用電磁弁46と
アクチュエータ36との間の配管45には、スロットル
弁15よりも上流側の吸気通路14に連通する配管50
が接続している。そして、この配管50の途中には非通
電時開放型の第二のトルク制御用電磁弁51が設けられ
ている。つまり、このトルク制御用電磁弁51には配管
50を開放するようにプランジャ52を付勢するばね5
3が組み込まれている。
【0017】前記二つのトルク制御用電磁弁46,51
には、機関11の運転状態等を制御する電子制御ユニッ
ト54(以下、これをECUと呼称する)がそれぞれ接
続し、このECU54からの指令に基づいてトルク制御
用電磁弁46,51に対する通電のオン,オフがデュー
ティ制御されるようになっており、本実施例ではこれら
全体で本発明のトルク制御手段を構成している。
【0018】例えば、トルク制御用電磁弁46,51の
デューティ率が0%の場合、アクチュエータ36の圧力
室39がスロットル弁15よりも上流側の吸気通路14
内の圧力とほぼ等しい大気圧となり、スロットル弁15
の開度はアクセルペダル26の踏み込み量に一対一で対
応する。逆に、トルク制御用電磁弁46,51のデュー
ティ率が100%の場合、アクチュエータ36の圧力室
39がバキュームタンク43内の圧力とほぼ等しい負圧
となり、制御棒38が図1中、左斜め上方に引き上げら
れる結果、スロットル弁15はアクセルペダル26の踏
み込み量に関係なく閉じられ、機関11の駆動トルクが
強制的に低減させられた状態となる。このようにして、
トルク制御用電磁弁46,51のデューティ率を調整す
ることにより、アクセルペダル26の踏み込み量に関係
なくスロットル弁15の開度を変化させ、機関11の駆
動トルクを任意に調整することができる。
【0019】前記ECU54には、機関11に取り付け
られて機関回転数を検出するクランク角センサ55と、
スロットルボディ16に取り付けられてスロットルレバ
ー19の開度を検出するスロットル開度センサ56と、
スロットル弁15の全閉状態を検出するアイドルスイッ
チ57とが接続し、これらクランク角センサ55及びス
ロットル開度センサ56及びアイドルスイッチ57から
の出力信号がそれぞれ送られる。
【0020】更にECU54にはオートクルーズスイッ
チ201が接続されている。オートクルーズスイッチ2
01によりオートクルーズ設定速度VATが設定される
と、ECU54の指令によりモータ200が作動してス
ロットル弁15の開度を制御し、車速がオートクルーズ
設定速度VATとするようコントロールする。
【0021】又、機関11の目標駆動トルクを算出する
トルク演算ユニット(以下、これをTCLと呼称する)
58には、前記スロットル開度センサ56及びアイドル
スイッチ57と共にスロットルボディ16に取り付けら
れてアクセルレバー18の開度を検出するアクセル開度
センサ59と、駆動輪である左右一対の前輪60,61
の回転速度をそれぞれ検出する前輪回転センサ62,6
3と、従動輪である左右一対の後輪64,65の回転速
度をそれぞれ検出する後輪回転センサ66,67と、車
両68の直進状態を基準として旋回時における操舵軸6
9の旋回角を検出する操舵角センサ70とが接続し、こ
れらセンサ59,62,63,66,67,70からの
出力信号がそれぞれ送られる。
【0022】ECU54とTCL58とは、通信ケーブ
ル71を介して結ばれており、ECU54からは機関回
転数やアイドルスイッチ57からの検出信号の他に吸入
空気量等の機関11の運転状態の情報がTCL58に送
られる。逆に、TCL58からはこのTCL58にて演
算された目標駆動トルクに関する情報がECU54に送
られる。
【0023】本実施例による制御の大まかな流れを表す
図4に示すように、本実施例ではスリップ制御を行った
場合の機関11の目標駆動トルクTOSと、旋回制御を行
った場合の機関11の目標駆動トルクTOHとをTCL5
8にて常に並行して演算し、これら2つの目標駆動トル
クTOS,TOHから最適な最終目標駆動トルクTO を選択
し、機関11の駆動トルクを必要に応じて低減できるよ
うにしている。
【0024】具体的には、図示しないイグニッションキ
ーのオン操作により本実施例の制御プログラムが開始さ
れ、M1にてまず操舵軸旋回位置の初期値δm(o)の読み
込みを行うと共に各種フラグのリセット或いはこの制御
のサンプリング周期である15ミリ秒毎の主タイマのカ
ウント開始等の初期設定を行う。
【0025】そして、M2にて各種センサからの検出信
号に基づいてTCL58は車速V等を演算し、これに続
いて前記操舵軸69の中立位置δM をM3にて学習補正
する。この車両68の操舵軸69の中立位置δM は、前
記イグニッションキーのオン操作の度に初期値δm(o)
読み込まれるが、この初期値δm(o)は車両68が後述す
る直進走行条件を満たした場合にのみ学習補正され、イ
グニッションキーがオフ状態となるまでこの初期値δ
m(o)が学習補正されるようになっている。
【0026】次に、TCL58はM4にて前輪60,6
1と後輪64,65との回転差に基づいて機関11の駆
動トルクを規制するスリップ制御を行う場合の目標駆動
トルクTOSを演算し、M5にて旋回制御をを行った場合
の機関11の目標駆動トルクTOHを演算する。また目標
駆動トルクTOHを演算するのに先だち、目標車体速度V
M を演算する。
【0027】M6にてオートクルーズ設定速度VATと目
標車体速度VM とを比較する。オートクルーズ設定速度
ATが目標車体速度VM より低いときには、オートクル
ーズ制御をして車速を一定速度とする。逆に目標車体速
度VM がオートクルーズ設定速度VATより低いときに
は、M7に進む。
【0028】そして、M7にてTCL58はこれらの目
標駆動トルクTOS,TOHから最適な最終目標駆動トルク
O を後述する方法で選択したのち、機関11の駆動ト
ルクがこの最終目標駆動トルクTOとなるように、EC
U54は一対のトルク制御用電磁弁46,51のデュー
ティ率を制御し、これによって車両68を無理なく安全
に走行させるようにしている。
【0029】このように、機関11の駆動トルクをM8
にて主タイマのカウントダウンが終了するまで制御し、
これ以降はM9にて主タイマのカウントダウンを再び開
始し、そしてM2からこのM9までのステップを前記イ
グニッションキーがオフ状態になるまで繰り返すのであ
る。
【0030】操舵軸69の中立位置δM をM3のステッ
プにて学習補正する理由は、車両68の整備時に前輪6
0,61のトーイン調整を行った場合や図示しない操舵
歯車の摩耗等の経年変化によって、操舵軸69の旋回量
と操舵輪である前輪60,61の実際の舵角δとの間に
ずれが発生し、操舵軸69の中立位置δM が変わってし
まうことがあるためである。
【0031】この操舵軸69の中立位置δM を学習補正
する手順を表す図5に示すように、TCL58は後輪回
転センサ66,67からの検出信号に基づき、C1にて
車速Vを下式(1) により算出する。 V=(VRL+VRR)/2 …(1) 但し、上式においてVRL,VRRはそれぞれ左右一対の後
輪64,65の周速度である。
【0032】次に、TCL58はC2にて左右一対の後
輪64,65の周速度差(以下、これを後輪速差と呼称
する)|VRL−VRR|を算出する。しかるのち、TCL
58はC3にて車速Vが予め設定した閾値VAより大き
いか否かを判定する。この操作は、車両68がある程度
の高速にならないと、操舵に伴う後輪速差|VRL−VRR
|等が検出できないために必要なものであり、前記閾値
A は車両68の走行特性等に基づいて実験等により、
例えば毎時20kmの如く適宜設定される。
【0033】そして、車速Vが閾値VA 以上であると判
定した場合には、TCL58はC4にて後輪速差|VRL
−VRR|が予め設定した、例えば毎時0.1kmの如き閾値
B よりも小さいか否か、つまり車両68が直進状態に
あるかどうかを判定する。ここで、閾値VB を毎時0km
としないのは、左右の後輪64,65がタイヤの空気圧
が等しくない場合、車両68が直進状態であるにもかか
わらず左右一対の後輪64,65の周速度VRL,VRR
相違してしまうためである。
【0034】このC4のステップにて後輪速差|VRL
RR|が閾値VB 以下であると判定したならば、TCL
58はC5にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)が操舵角セ
ンサ64により検出した前回の操舵軸旋回位置δm(n-1)
と同一であるかどうかを判定する。この際、運転者の手
振れ等による影響を受けないように、操舵角センサ70
による操舵軸69の旋回検出分解能を例えば5度前後に
設定しておくことが望ましい。
【0035】このC5のステップにて現在の操舵軸旋回
位置δm(n)が前回の操舵軸旋回位置δm(n-1)と同一であ
ると判定したならば、TCL58はC6にて現在の車両
68が直進状態にあると判断し、このTCL58に内蔵
された図示しない学習用タイマのカウントを開始し、こ
れを例えば0.5秒間継続する。
【0036】次に、TCL58はC7にて学習用タイマ
のカウント開始から0.5秒経過したか否か、即ち車両6
8の直進状態が0.5秒継続したかどうかを判定する。こ
の場合、車両68の走行当初においては学習用タイマの
カウント開始から0.5秒経過していないので、車両68
の走行当初はC1からC7までのステップが繰り返され
ることとなる。
【0037】そして、学習用タイマのカウント開始から
0.5秒が経過したことを判断すると、TCL58はC8
にて舵角中立位置学習済フラグFH がセットされている
か否か、即ち今回の学習制御が初回であるか否かを判定
する。
【0038】このC8のステップにて舵角中立位置学習
済フラグFH がセットされていないと判断した場合に
は、C9にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)を新たな操舵
軸69の中立位置δM(n)と見なしてこれをTCL58内
のメモリに読み込み、舵角中立位置学習済フラグFH
セットする。
【0039】このようにして、新たな操舵軸69の中立
位置δM(n)を設定したのち、この操舵軸69の中立位置
δM(n)を基準として操舵軸69の旋回角δH を算出する
一方、C10にて学習用タイマのカウントがクリアさ
れ、再び舵角中立位置学習が行われる。
【0040】前記C8のステップにて舵角中立位置学習
済フラグFH がセットされている、つまり舵角中立位置
学習が二回目以降であると判断された場合、TCL58
はC11にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)が前回の操舵
軸69の中立位置δM(n)と等しい、即ちδm(n)=δ
M(n-1)であるかどうかを判定する。そして、現在の操舵
軸旋回位置δm(n)が前回の操舵軸69の中立位置δ
M(n-1)と等しいと判定したならば、そのままC10のス
テップに戻って再び次の舵角中立位置学習が行われる。
【0041】C11のステップにて現在の操舵軸旋回位
置δm(n)が操舵系の遊び等が原因となって前回の操舵軸
69の中立位置δM(n-1)と等しくないと判断した場合、
現在の操舵軸旋回位置δm(n)をそのまま新たな操舵軸6
9の中立位置δM(n)と判断せず、前回の操舵軸旋回位置
δm(n-1)に対して予め設定した、例えば操舵角センサ7
0の検出分解能に相当する5度程度の補正制限量Δδを
減算或いは加算したものを新たな操舵軸69の中立位置
δM(n)とし、これをTCL58内のメモリに読み込むよ
うにしている。
【0042】つまり、TCL58はC12にて現在の操
舵軸旋回位置δm(n)から前回の操舵軸69の中立位置δ
M(n-1)を減算した値が予め設定した負の補正制限量−Δ
δよりも小さいか否かを判定する。そして、このC12
のステップにて減算した値が負の補正制限量−Δδより
も小さいと判断した場合には、C13にて新たな操舵軸
69の中立位置δM(n)を、前回の操舵軸69の中立位置
δM(n-1)と負の補正制限量−Δδとから δM(n)=δM(n-1)−Δδ と変更し、一回当たりの学習補正量が無条件に負側へ大
きくならないように配慮している。
【0043】これにより、何らかの原因によって操舵角
センサ70から異常な検出信号が出力されたとしても、
操舵軸69の中立位置δM が急激には変化せず、この異
常に対する対応を迅速に行うことができる。
【0044】一方、C12のステップにて減算した値が
負の補正制限量−Δδよりも大きいと判断した場合に
は、C14にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)から前回の
操舵軸69の中立位置δM(n-1)を減算した値が正の補正
制限量Δδよりも大きいか否かを判定する。そして、こ
のC14のステップにて減算した値が正の補正制限量Δ
δよりも大きいと判断した場合には、C15にて新たな
操舵軸69の中立位置δm(n)を前回の操舵軸69の中立
位置δM(n-1)と正の補正制限量Δδとから δM(n)=δM(n-1)+Δδ と変更し、一回当たりの学習補正量が無条件に正側へ大
きくならないように配慮している。
【0045】これにより、何らかの原因によって操舵角
センサ70から異常な検出信号が出力されたとしても、
操舵軸69の中立位置δM が急激には変化せず、この異
常に対する対応を迅速に行うことができる。
【0046】又、C14のステップにて減算した値が正
の補正制限量Δδよりも小さいと判断した場合には、C
16にて現在の操舵軸旋回位置δm(n)を新たな操舵軸6
9の中立位置δM(n)としてそのまま読み出す。
【0047】従って、前輪60,61を旋回状態のまま
にして停車中の車両68が発進した場合、この時の操舵
軸69の中立位置δM の変化状態の一例を表す図6に示
すように、操舵軸69の中立位置δM の学習制御が初回
の時、前述したM1のステップにおける操舵軸旋回位置
の初期値δm(o)からの補正量は非常に大きなものとなる
が、二回目以降の操舵軸69の中立位置δM はC13,
C14のステップにおける操作により、抑えられた状態
となる。
【0048】このようにして操舵軸69の中立位置δM
を学習補正した後、車速Vと前輪60,61の周速度V
PL,VFRとの差に基づいて機関11の駆動トルクを規制
するスリップ制御を行う場合の目標駆動トルクTOSを演
算する。
【0049】ところで、機関11で発生する駆動トルク
を有効に働かせるためには、タイヤと路面との摩擦係数
と、このタイヤのスリップ率との関係を表す図7に示す
ように、走行中の前輪60,61のタイヤのスリップ率
Sが、このタイヤと路面との摩擦係数の最大値と対応す
る目標スリップ率SO 或いはその近傍となるように、前
輪60,61のスリップ量sを調整し、車両68の加速
性能を損なわないようにすることが望ましい。ここで、
タイヤのスリップ率Sは、 S=[{(VFL+VFR)/2}−V]/V であり、このスリップ率Sがタイヤと路面との摩擦係数
の最大値と対応した目標スリップ率SO 或いはその近傍
となるように、機関11の目標駆動トルクTOSを設定す
るが、その演算手順は以下の通りである。
【0050】まず、TCL58は前記(1) 式により算出
した今回の車速V(o) と一回前に算出した車速V(n-1)
とから、現在の車両68の前後加速度GX を下式により
算出する。 GX =(V(n) −V(n-1) )/3.6・Δt・g 但し、Δtは主タイマのサンプリング周期である15ミ
リ秒、gは重力加速度である。
【0051】そして、この時の機関11の駆動トルクT
B を下式(2) により算出する。 TB =GXF・Wb ・r+TR …(2) ここで、GXFは前述の前後加速度GX の変化を遅延させ
るローパスフィルタに通した修正前後加速度である。ロ
ーパスフィルタは、車両68の前後加速度GX がタイヤ
と路面との摩擦係数と等価であると見なすことができる
ことから、車両68の前後加速度GX が変化してタイヤ
のスリップ率Sがタイヤと路面との摩擦係数の最大値と
対応した目標スリップ率SO 或いはその近傍から外れそ
うになった場合でも、タイヤのスリップ率Sをタイヤと
路面との摩擦係数の最大値と対応した目標スリップ率S
O 或いはその近傍に維持させるように、前後加速度GX
を修正する機能を有する。又、Wb は車体重量、rは前
輪60,61の有効半径、TR は走行抵抗であり、この
走行抵抗TR は車速Vの関数として算出することができ
るが、本実施例では図8に示す如きマップから求めてい
る。
【0052】一方、車両68の加速中には路面に対して
常に車輪のスリップ量が3%程度発生しているのが普通
であり、又、砂利道等の悪路を走行する場合には、低μ
路を走行する場合よりも目標スリップ率SO に対応する
タイヤと路面との摩擦係数の最大値が一般的に大きくな
っている。従って、このようなスリップ量や路面状況を
勘案して前輪60,61の周速度である目標駆動輪速度
FOを下式(3) により算出する。 VFO=1.03・V+VK …(3) 但し、VK は前記修正前後加速度GXFに対応して予め設
定された路面補正量であり、修正前後加速度GXFの値が
大きくなるにつれて段階的に増加するような傾向を持た
せるが、本実施例では走行試験等に基づいて作成された
図9に示す如きマップからこの路面補正量VK を求めて
いる。
【0053】次に、車速Vと目標駆動輪速度VFOとの差
であるスリップ量sを前記(1) 式及び(3) 式に基づいて
下式(4) により算出する。 s={(VFL+VFR)/2}−VFO …(4) そして、下式(5) に示すようにこのスリップ量sが主タ
イマのサンプリング周期毎に積分係数KI を乗算されつ
つ積分され、目標駆動トルクTOSに対する制御の安定性
を高めるための積分補正トルクTI (但し、TI ≦0)
が算出される。ただしi=1〜n TI =Σ KI ・s(i) …(5)
【0054】同様に、下式(6) のようにスリップ量sに
比例する目標駆動トルクTOSに対して制御遅れを緩和す
るための比例補正トルクTP が、比例係数KP を乗算さ
れつつ算出される。 TP =KP ・s …(6) そして、前記(2),(5),(6) 式を利用して下式(7) により
機関11の目標駆動トルクTOSを算出する。 TOS=(TB −TI −TP +TR )/ρm ・ρd …(7) 上式においてρm は図示しない変速機の変速比、ρ
d は差動歯車の減速比である。
【0055】車両68には、スリップ制御を運転者が選
択するための図示しない手動スイッチが設けられてお
り、運転者がこの手動スイッチを操作してスリップ制御
を選択した場合、以下に説明するスリップ制御の操作を
行う。
【0056】このスリップ制御の処理の流れを表す図1
0に示すように、TCL58はまずS1にて上述した各
種データの検出及び演算処理により、目標駆動トルクT
OSを算出するが、この演算操作は前記手動スイッチの操
作とは関係なく行われる。
【0057】次に、S2にてスリップ制御中フラグFS
がセットされているか否かを判定するが、最初はスリッ
プ制御中フラグFS がセットされていないので、TCL
58はS3にて前輪60,61のスリップ量sが予め設
定した閾値、例えば毎時2kmよりも大きいか否かを判定
する。
【0058】このS3のステップにてスリップ量sが毎
時2kmよりも大きいと判断すると、TCL58はS4に
てスリップ量sの変化率GS が0.2gよりも大きいか否
かを判定する。
【0059】このS4のステップにてスリップ量変化率
S が0.2gよりも大きいと判断すると、S5にてスリ
ップ制御中フラグFS をセットし、S6にてスリップ制
御中フラグFS がセットされているか否かを再度判定す
る。
【0060】このS6のステップにてスリップ制御中フ
ラグFS がセット中であると判断した場合には、S7に
て機関11の目標駆動トルクTOSとして前記(7) 式にて
予め算出したスリップ制御用の目標駆動トルクTOSを採
用する。
【0061】又、前記S6のステップにてスリップ制御
中フラグFS がリセットされていると判断した場合に
は、TCL58は目標駆動トルクTOSとして機関11の
最大トルクをS8にて出力し、これによりECU54は
トルク制御用電磁弁46,51のデューティ率を0%側
に低下させる結果、機関11は運転者によるアクセルペ
ダル26の踏み込み量に応じた駆動トルクを発生する。
【0062】なお、このS8のステップにてTCL58
が機関11の最大トルクを出力するのは、制御の安全性
等の点からECU54が必ずトルク制御用電磁弁46,
51のデューティ率を%側、即ちトルク制御用電磁弁4
6,51に対する通電を遮断する方向に働かせ、機関1
1が確実に運転者によるアクセルペダル26の踏み込み
量に応じた駆動トルクを発生するように配慮したためで
ある。
【0063】前記S3のステップにて前輪60,61の
スリップ量sが毎時2kmよりも小さいと判断した場合、
或いはS4のステップにてスリップ量変化率GS が0.2
gよりも小さいと判断した場合には、そのまま前記S6
のステップに移行し、TCL58は目標駆動トルクTOS
として機関11の最大トルクをS8のステップにて出力
し、これによりECU54がトルク制御用電磁弁46,
51のデューティ率を0%側に低下させる結果、機関1
1は運転者によるアクセルペダル26の踏み込み量に応
じた駆動トルクを発生する。
【0064】一方、前記S2のステップにてスリップ制
御中フラグFS がセットされていると判断した場合に
は、S9にてアイドルスイッチ57がオン、即ちスロッ
トル弁15が全閉状態となっているか否かを判定する。
【0065】このS9のステップにてアイドルスイッチ
57がオンであると判断した場合、運転者がアクセルペ
ダル26を踏み込んでいないことから、S10にてスリ
ップ制御中フラグFS をリセットし、S6のステップに
移行する。
【0066】又、S9のステップにてアイドルスイッチ
57がオフであると判断した場合には、S6にて再びス
リップ制御中フラグFS がセットされているか否かを判
定する。
【0067】なお、運転者がスリップ制御を選択する手
動スイッチを操作していない場合、TCL58は前述の
ようにしてスリップ制御用の目標駆動トルクTOSを算出
した後、旋回制御を行った場合の機関11の目標駆動ト
ルクを演算する。
【0068】この車両68の旋回制御に際し、TCL5
8は操舵軸旋回角δH と車速Vとから、車両68のスタ
ビリティファクタAを算出し、車両68が極端なアンダ
ーステアリングとならないような車体前後方向の加速
度、つまり目標前後加速度GXOを、スタビリティファク
タAに対応した横加速度GY に基づいて設定する。そし
て、この目標前後加速度GXOと対応する機関11の目標
駆動トルクを求め、これら目標駆動トルクをECU54
に出力する。
【0069】ところで、車両68の横加速度GY は後輪
速差|VRL−VRR|を利用して実際に算出することがで
きるが、操舵軸旋回角δH を利用することによって、車
両68に作用する横加速度GY の値の予測が可能となる
ため、迅速な制御を行うことができる利点を有する。
【0070】しかしながら、操舵軸旋回角δH と車速V
とによって、機関11の目標駆動トルクを求めるだけで
は、運転者の意志が全く反映されず、車両68の操縦性
の面で運転者に不満の残る虞がある。このため、運転者
が希望している機関11の要求駆動トルクTd をアクセ
ルペダル26の踏み込み量から求め、この要求駆動トル
クTd を勘案して機関11の目標駆動トルクを設定する
ことが望ましい。又、15ミリ秒毎に設定される機関1
1の目標駆動トルクの増減量が非常に大きな場合には、
車両68の加減速に伴うショックが発生し、乗り心地の
低下を招来することから、機関11の目標駆動トルクの
増減量が車両68の乗り心地の低下を招来する程大きく
なった場合には、この目標駆動トルクの増減量を規制す
る必要もある。
【0071】以上のような知見を考慮した旋回制御の演
算ブロックを表す図11,図12に示すように、TCL
58は、一対の後輪回転センサ66,67の出力から車
速Vを前記式(1) により演算すると共に、横加速度GY
を下式(8) から演算する。 GY =(|VRR−VRL/V)/b …(8) 〔但し b:トレッド〕
【0072】次に、操舵角センサ70からの検出信号に
基づいて前輪60,61の舵角δを下式(9) より演算す
るとともに、演算した横加速度GYをフィリタリングし
てフィルタ処理した横加速度GYFを得る。 δ=δH /ρH …(9) 〔但し ρH :操舵歯車変速比〕
【0073】更に、求めた車速V,横加速度GYF,舵角
δと、下式(10)を用いてスタビリティファクタAを演算
する。 A=(δ/GYF・ω)−(1/V2 ) …(10) 〔但し ω:ホイールベース〕
【0074】TCL58には、ブロックB1に示すよう
なスタビリティファクタAと目標横加速度GYOとの関係
を示すマップがあらかじめ記憶されている。そこで上記
(10)式で求めたスタビリティファクタAを、このマップ
に適用して、このときの目標横加速度GYOを読み取る。
【0075】次に次式(11)を用いて目標前後加速度GXO
を求める。なお次式においてV(GYO/GYF1/2 は目
標車体速度VM であり、本発明においては、オートクル
ーズ設定速度VATと共に重要な値である。 GXO=K・V{(GYO/GYF1/2 −1} …(11) この目標前後加速度GXOにより、機関11の基準駆動ト
ルクTBを下式(12)により算出する。 TB =(GXO・WB ・r+TL )/ρm ・ρd …(12) 但し、TL は車両68の横加速度GYFの関数として求め
られる路面の抵抗であるロードロード(Road−Load)ト
ルクであり、本実施例ではブロックB2に示す如きマッ
プから求めている。また、WB は車体重量、rは車輪有
効半径、ρm は総減速比(機関回転数に対する駆動輪の
回転割合)、ρd は差動歯車減速比である。
【0076】次に、基準駆動トルクTB の採用割合を決
定するため、この基準駆動トルクTB に重み付けの係数
αを乗算して補正基準駆動トルクを求める。重み付けの
係数αは、車両68を旋回走行させて経験的に設定する
が、例えば0.6程度前後の数値を採用する。
【0077】一方、クランク角センサ55により検出さ
れる機関回転数NEとアクセル開度センサ59により検
出されるアクセル開度θA とを基に運転者が希望する要
求駆動トルクTd をブロックB3に示す如きマップから
求め、次いで前記重み付けの係数αに対応した補正要求
駆動トルクを要求駆動トルクTd に(1−α)を乗算す
ることにより算出する。例えば、α=0.6に設定した場
合には、基準駆動トルクTB と希望駆動トルクTd との
採用割合が6対4となる。従って、機関11の目標駆動
トルクTOHは下式(13)にて算出される。 TOH=α・TB +(1−α)・Td …(13)
【0078】車両68には、旋回制御を運転者が選択す
るための図示しない手動スイッチが設けられており、運
転者がこの手動スイッチを操作して旋回制御を選択した
場合であって、目標車体速度VM がオートクルーズ設定
速度VATより低い場合には、以下に説明するような旋回
制御の操作を行うようにしている。オートクルーズ設定
速度VATが目標車体速度VMより低い場合にはオートク
ルーズ制御が行われる。
【0079】この旋回制御用の目標駆動トルクTOHを決
定するための制御の流れを表す図13に示すように、H
1にて上述した各種データの検出及び演算処理により、
目標駆動トルクTOHが算出されるが、この操作は前記手
動スイッチの操作とは関係なく行われる。
【0080】次に、H2にて車両68が旋回制御中であ
るかどうか、つまり旋回制御中フラグFCHがセットされ
ているかどうかを判定する。最初は旋回制御中ではない
ので、旋回制御中フラグFCHがリセット状態であると判
断し、H3にて目標駆動トルクTOHが予め設定した閾
値、例えば(Td −2)以下か否かを判定する。つま
り、車両68の直進状態でも目標駆動トルクTOHを算出
することができるが、その値は運転者の要求駆動トルク
d よりも遥かに大きいのが普通である。しかし、この
要求駆動トルクTd が車両68の旋回時には一般的に小
さくなるので、目標駆動トルクTOHが閾値(TO −2)
以下となった時を旋回制御の開始条件として判定するよ
うにしている。
【0081】なお、この閾値を(Td −2)と設定した
のは、制御のハンチングを防止するためのヒステリシス
としてである。
【0082】H3のステップにて目標駆動トルクTOH
閾値(Td −2)以下であると判断すると、TCL58
はH4にてアイドルスイッチ57がオフ状態か否かを判
定する。
【0083】このH4のステップにてアイドルスイッチ
57がオフ状態、即ちアクセルペダル26が運転者によ
って踏み込まれていると判断した場合、H5にて旋回制
御中フラグFCHがセットされる。次に、H6にて舵角中
立位置学習済フラグFH がセットされているか否か、即
ち操舵角センサ70によって検出される舵角δの信憑性
が判定される。
【0084】H6のステップにて舵角中立位置学習済フ
ラグFH がセットされていると判断すると、H7にて旋
回制御中フラグFCHがセットされているか否かが再び判
定される。
【0085】以上の手順では、H5のステップにて旋回
制御中フラグFCHがセットされているので、H7のステ
ップでは旋回制御中フラグFCHがセットされていると判
断され、H8にて先の算出値、即ちH1のステップでの
目標駆動トルクTOHがそのまま採用される。
【0086】一方、前記H6のステップにて舵角中立位
置学習済フラグFHがセットされていないと判断する
と、(9) 式にて算出される舵角δの信憑性がないので、
(13)式にて算出された目標駆動トルクTOHを採用せず、
TCL58は目標駆動トルクTOHとして機関11の最大
トルクをH9にて出力し、これによりECU54がトル
ク制御用電磁弁46,51のデューティ率を0%側に低
下させる結果、機関11は運転者によるアクセルペダル
26の踏み込み量に応じた駆動トルクを発生する。
【0087】又、前記H3のステップにて目標駆動トル
クTOHが閾値(Td −2)以下でないと判断すると、旋
回制御に移行せずにH6或いはH7のステップからH9
のステップに移行し、TCL58は目標駆動トルクTOH
として機関11の最大トルクを出力し、これによりEC
U54がトルク制御用電磁弁46,51のデューティ率
を0%側に低下させる結果、機関11は運転者によるア
クセルペダル26の踏み込み量に応じた駆動トルクを発
生する。
【0088】同様に、H4のステップにてアイドルスイ
ッチ56がオン状態、即ちアクセルペダル26が運転者
によって踏み込まれていないと判断した場合にも、TC
L58は目標駆動トルクTOHとして機関11の最大トル
クを出力し、これによりECU54がトルク制御用電磁
弁46,51のデューティ率を0%側に低下させる結
果、機関11は運転者によるアクセルペダル26の踏み
込み量に応じた駆動トルクを発生して旋回制御には移行
しない。
【0089】前記H2のステップにて旋回制御中フラグ
CHがセットされていると判断した場合には、H10に
て今回算出した目標駆動トルクTOHと前回算出した目標
駆動トルクTOH(n-1) との差ΔTが予め設定した増減許
容量TK よりも大きいか否かを判定する。この増減許容
量TK は乗員に車両68の加減速ショックを感じさせな
い程度のトルク変化量であり、例えば車両68の目標前
後加速度GXOを毎秒0.1gに抑えたい場合には、前記(1
2)式を利用して TK =0.1・Wb ・r・Δt/ρm ・ρd となる。
【0090】前記H10のステップにて今回算出した目
標駆動トルクTOHと前回算出した目標駆動トルクT
OH(n-1) との差ΔTが予め設定した増減許容量TK より
も大きくないと判断されると、H11にて今度は目標駆
動トルクTOHと前回算出した目標駆動トルクTOH(n-1)
との差ΔTが負の増減許容量TK よりも大きいか否かを
判定する。
【0091】H11のステップにて今回の目標駆動トル
クTOHと前回算出した目標駆動トルクTOH(n-1) との差
ΔTが負の増減許容量TK よりも大きいと判断すると、
今回算出した目標駆動トルクTOHと前回算出した目標駆
動トルクTOH(n-1) との差の絶対値|ΔT|が増減許容
量TK よりも小さいので、算出された今回の目標駆動ト
ルクTOHをそのままH8のステップでの算出値として採
用する。
【0092】又、H11のステップにて今回算出した目
標駆動トルクTOHと前回算出した目標駆動トルクT
OH(n-1) との差ΔTが負の増減許容量TK よりも大きく
ないと判断すると、H12にて今回の目標駆動トルクT
OHを下式により修正し、これをH8のステップでの算出
値として採用する。 TOH=TOH(n-1) −TK つまり、前回算出した目標駆動トルクとTOH(n-1) に対
する下げ幅を増減許容量TK で規制し、機関11の駆動
トルク低減に伴う減速ショックを少なくするのである。
【0093】一方、前記H10のステップにて今回算出
した目標駆動トルクTOHと前回算出した目標駆動トルク
OH(n-1) との差ΔTが増減許容量TK 以上であると判
断されると、H13にて今回の目標駆動トルクTOHを下
式により修正し、これをH8のステップでの算出値とし
て採用する。 TOH=TOH(n-1) +TK つまり、駆動トルクの増大の場合も前述の駆動トルク減
少の場合と同様に、今回算出した目標駆動トルクTOH
前回算出した目標駆動トルクTOH(n-1) との差ΔTが増
減許容量TK を越えた場合には、前回算出した目標駆動
トルクTOH(n-1) に対する上げ幅を増減許容量TK で規
制し、機関11の駆動トルク増大に伴う加速ショックを
少なくするのである。
【0094】このように、目標駆動トルクTOHの増減量
を規制した場合の操舵軸旋回角δH と目標前後加速度G
XOと目標駆動トルクTOHと実際の前後加速度GX との変
化状態を破線で示す図14に示すように、目標駆動トル
クTOHの増減量を規制しなかった実線で示す場合より
も、実際の前後加速度GX の変化は滑らかとなり、加減
速ショックが解消されていることが判る。
【0095】以上のようにして目標駆動トルクTOHが設
定されると、TCL58はH14にてこの目標駆動トル
クTOHが運転者の要求駆動トルクTd よりも大きいか否
かを判定する。
【0096】ここで、旋回制御中フラグFCHがセットさ
れている場合、目標駆動トルクTOHは要求駆動トルクT
d よりも大きくないので、H15にてアイドルスイッチ
57がオン状態か否かを判定する。
【0097】このH15のステップにてアイドルスイッ
チ57がオン状態でないと判断されると、旋回制御を必
要としている状態であるので、前記H6のステップに移
行する。
【0098】又、前記H14のステップにて目標駆動ト
ルクTOHが運転者の要求駆動トルクTd よりも大きいと
判断した場合、車両68の旋回走行が終了した状態を意
味するので、TCL58はH16にて旋回制御中フラグ
CHをリセットする。同様に、H15のステップにてア
イドルスイッチ57がオン状態であると判断されると、
アクセルペダル26が踏み込まれていない状態であるの
で、H16のステップに移行して旋回制御中フラグFCH
をリセットする。
【0099】このH16にて旋回制御中フラグFCHがリ
セットされると、TCL58は目標駆動トルクTOHとし
て機関11の最大トルクをH17にて出力し、これによ
りECU54がトルク制御用電磁弁46,51のデュー
ティ率を0%側に低下させる結果、機関11は運転者に
よるアクセルペダル26の踏み込み量に応じた機関11
の駆動トルクを発生する。
【0100】なお、上述した旋回制御の手順を簡素化す
るために運転者の要求駆動トルクTd を無視することも
当然可能であり、この場合には目標駆動トルクとして前
記(13)式により算出可能な基準駆動トルクTB を採用す
れば良い。又、本実施例のように運転者の要求駆動トル
クTdを勘案する場合でも、重み付けの係数αを固定値
とするのではなく、図15に示すように制御開始後の時
間の経過と共に係数αの値を漸次減少させたり、或いは
図16に示すように車速に応じて漸次減少させ、運転者
の要求駆動トルクTd の採用割合を徐々に多くするよう
にしても良い。同様に、図17に示すように制御開始後
のしばらくの間は係数αの値を一定値にしておき、所定
時間の経過後に漸次減少させたり、或いは操舵軸旋回量
δH の増大に伴って係数αの値を増加させ、特に曲率半
径が次第に小さくなるような旋回路に対し、車両68を
安全に走行させるようにすることも可能である。
【0101】なお、上述した演算処理方法では、機関1
1の急激な駆動トルクの変動による加減速ショックを防
止するため、目標駆動トルクTOHを算出するに際して増
減許容量TK によりこの目標駆動トルクTOHの規制を図
っているが、この規制を目標前後加速度GXOに対して行
うようにしても良い。この場合の増減許容量をGK とし
た時、n回時における目標前後加速度GXO(n-1) の演算
過程を以下に示す。 GXO(n) −GXO(n-1) >GK の場合、 GXO(n) =GXO(n-1) +GK XO(n) −GXO(n-1) <−GK の場合、 GXO(n) =GXO(n-1) −GK なお、主タイマのサンプリングタイムを15ミリ秒とし
て目標前後加速度GXOの変化を毎秒0.1gに抑えたい場
合には、 GK =0.1・Δt となる。
【0102】TCL58はこれら2つの目標駆動トルク
OS,TOHから最適な最終目標駆動トルクTO を選択
し、これをECU54に出力する。この場合、車両68
の走行安全性を考慮して一番小さな数値の目標駆動トル
クを優先して出力する。但し、一般的にはスリップ制御
用の目標駆動トルクTOSが小さいことから、スリップ制
御用,旋回制御用の順に最終目標駆動トルクTO を選択
すれば良い。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、旋
回制御により求めた目標車体速度VM と、オートクルー
ズ制御により設定したオートクルーズ設定速度VATとを
比較し、低い方の値の速度となるように制御している。
つまり目標車体速度VM の方が低いときには、オートク
ルーズ走行をしていても、旋回制御を実行して車速を減
じている。
【0104】旋回制御は目標車体速度VM を求めるため
にスタビリティファクタを用いているため、路面状況に
応じて目標車体速度VM を設定できる。このためオート
クルーズ走行をしているときにカーブして旋回制御が開
始されると、路面の摩擦抵抗に応じて旋回走行時の車速
が設定され、高摩擦抵抗路面では減速割合が少なく、低
摩擦抵抗路面では減速割合が充分多くなり、路面状況、
天候等のいかんにかかわらず多様な状況においてオート
クルーズ走行ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両の出力制御方法を実現し得る
機関の制御系の一実施例の概略構成図である。
【図2】車両の制御系を示す概略図である。
【図3】スロットル弁の駆動機構を表す断面図である。
【図4】制御全体の流れを表すフロー図である。
【図5】操舵軸の中立位置学習補正制御の流れを表すフ
ローチャートである。
【図6】操舵軸の中立位置を学習補正した場合の学習値
の補正状態の一例を表すグラフである。
【図7】タイヤと路面との摩擦係数と、このタイヤのス
リップ率との関係を表すグラフである。
【図8】車速と走行抵抗との関係を表すマップである。
【図9】修正前後加速度と速度補正量との関係を表すマ
ップである。
【図10】スリップ制御の流れを表すフローチャートで
ある。
【図11】目標駆動トルクを演算する手順を示すブロッ
ク図である。
【図12】目標駆動トルクを演算する手順を示すブロッ
ク図である。
【図13】旋回制御の流れを表すフローチャートであ
る。
【図14】操舵軸旋回角と目標駆動トルクと前後加速度
との関係を表すグラフである。
【図15】制御開始後の時間と重み付けの係数との関係
を表すグラフである。
【図16】制御開始後の時間と重み付けの係数との関係
を表すグラフである。
【図17】制御開始後の時間と重み付けの係数との関係
を表すグラフである。
【符号の説明】
11 機関 12 燃焼室 13 吸気管 14 吸気通路 15 スロットル弁 17 スロットル軸 18 アクセルレバー 19 スロットルレバー 26 アクセルペダル 27 ケーブル 29 爪部 30 ストッパ 36 アクチュエータ 38 制御棒 42 接続配管 43 バキュームタンク 44 逆止め弁 45,50 配管 46,51 トルク制御用電磁弁 54 ECU 55 クランク角センサ 56 スロットル開度センサ 57 アイドルスイッチ 58 TCL 59 アクセル開度センサ 60,61 前輪 62,63 前輪回転センサ 64,65 後輪 66,67 後輪回転センサ 68 車両 69 操舵軸 70 操舵角センサ 71 通信ケーブル 200 モータ 201 オートクルーズスイッチ A スタビリティファクタ FH 舵角中立位置学習済フラグ FS スリップ制御中フラグ FCH 旋回制御中フラグ GX 目標前後加速度 GXO 前後加速度 GY 横加速度 GYO 目標横加速度 g 重力加速度 TOS スリップ制御用目標駆動トルク TOH 目標駆動トルク TO 最終目標駆動トルク TB 基準駆動トルク Td 要求駆動トルク V 車速 VM 目標車体速度 VAT オートクルーズ設定速度 s スリップ量 θA アクセル開度 θT スロットル開度 θTO 目標スロットル開度 δ 前輪の舵角 δH 操舵軸の旋回角 δM 操舵軸中立位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大崎 正喜 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 橋口 雅幸 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転者による操作とは独立に機関の駆動
    トルクを低減させるトルク制御手段と、オートクルーズ
    スイッチによりオートクルーズ設定速度を設定すると車
    速をオートクルーズ設定速度とするオートクルーズ手段
    とを有する車両において、左右の従動輪の周速度の差と
    操舵軸の旋回角を用いて車両に作用している横加速度と
    車速とスタビリティファクタを演算し、このスタビリテ
    ィファクタから求めた目標横加速度と、前記横加速度と
    前記車速を基に、目標車体速度及び目標前後加速度を演
    算し、この目標前後加速度と、車体重量と、車輪有効半
    径と、ロードロードトルクとを基に基本駆動トルクを演
    算し、前記目標車体速度が前記オートクルーズ設定速度
    よりも低いときには、前記機関の駆動トルクが、基本駆
    動トルクに応じた値となるように前記トルク制御手段の
    作動を制御し、前記オートクルーズ設定速度が前記目標
    車体速度よりも低いときには、オートクルーズ手段によ
    り車速をオートクルーズ設定速度とするよう制御するこ
    とを特徴とする車両の出力制御方法。
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