JP2521384Y2 - インナーキャップを備えた筆記具のキャップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はインナーキャップを備えた筆記具のキャップ
に関する。

（従来の技術） 従来、キャップ本体の内部にインナーキャップを取付
けるために、インナーキャップをネジ接合できる固定用
ナットをキャップ本体の内部に接着又は圧入により固定
していた。

しかしながら、固定用ナットをキャップ本体内に接着
によって固定するのは作業が面倒であり、また圧入によ
り固定するのは固定が不確実であった。

そこで、実開昭56-176883号公報、実開昭56-66479号
公報、及び実開昭56-26287号公報等に開示されたよう
に、キャップ本体の内部に没入するクリップの取付脚部
をインナーキャップの外周面に設けた溝に係止させるこ
とによりインナーキャップを固定する方式が考案され
た。

しかしながら、上記の各公知例は、インナーキャップ
の溝にクリップの取付脚部を弾性変形により嵌合させる
ようになっており、そのためにインナーキャップの先端
面にテーパを設けたり、クリップの取付脚部を折り曲げ
て傾けるなど、形状に工夫を施す必要があって設計が面
倒であった。また、キャップ本体に対しインナーキャッ
プが周方向に回転して摩擦音を発生する等の問題もあっ
た。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、キャップ本体の内部にインナーキャップを
簡単かつ確実に固定することができ、又、クリップの取
付脚部を特殊な形状にすることなくインナーキャップに
対しスムースに組付けることができ、更に、キャップ本
体に対するインナーキャップの回転を防止することがで
きるインナーキャップを備えた筆記具用キャップの提供
を目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案のインナーキャッ
プを備えた筆記具のキャップは、キャップ本体１の内部
へクリップ２の取付脚部３を没入させてその取付脚部３
に設けた屈曲した係止片４をキャップ本体１の内面に係
止させ、一方、インナーキャップ７の外周面に周方向の
溝５とその溝５に連通して先端面へ開口する軸方向の縦
溝部10を設けるとともに、その周方向の溝５の奥壁８の
近傍に係止リブ９を設け、上記クリップ２の係止片４を
インナーキャップ７の縦溝部10から周方向の溝５へと導
入してその奥壁８と係止リブ９との間に嵌合係止したこ
とを特徴とする構成を具えるものである。

（実施例） 以下、図面に基づき本考案の実施例について説明す
る。まずインナーキャップ７は先端近傍の外周面に円周
方向の溝５を設けてその溝５のつきあたりの奥壁８の近
くに係止部位として奥壁８の反対側の側面が傾斜した係
止リブ９を設けている。溝５は奥壁８の反対側の一端を
軸方向の縦溝部10によってインナーキャップ７の先端面
に開口させている。そのインナーキャップ７の先端面に
は細軸部11が突設されてその外周面にはネジ部６が形成
されている。またインナーキャップ７の内孔部には六角
レンチが嵌合可能な六角孔部12が設けられている。次に
キャップ本体１にはクリップ２がその取付脚部３を側面
から没入させて取付脚部３に設けたレ字状に屈曲した係
止片４をキャップ本体１の内面に係止することにより取
付けられている。このクリップ２の取付脚部３の係止片
４には係止段部13が形成されている。キャップ本体１の
内部にインナーキャップ７を挿入して、インナーキャッ
プ７の縦溝部10から溝５の一端にクリップ２の係止片４
を導入した後に、インナーキャップ内の六角孔部12に六
角レンチを嵌合させてインナーキャップ７を回転させる
ことににより溝５に沿って係止片４を移動させ、最後に
係止片４を弾性変形によって係止リブ９を乗り越えさせ
ると、係止片４が溝５の奥壁８と係止リブ９によっては
さまれた空間に嵌合して係止することになる。そして係
止片４は係止リブ９によって円周方向の回転が阻止され
て溝５からの抜け出しが阻止され、インナーキャップ７
は係止片４の係止段部13によって軸方向の抜け出しが防
止されて確実に固定されることになる。なお、上記のイ
ンナーキャップ７の先端部に設けたネジ部６は必ずしも
必要ではない。然しながら、ネジ部６を併設することに
よりインナーキャップ７に汎用性を持たせることが可能
となる。たとえば、第７図に示すように、クリップ２を
天冠14を利用して挟着し更に装飾リング15を取付けるよ
うな構造のキャップにおいて、インナーキャップ７を天
冠14と螺着することにより固定できる。即ち、ネジ部６
を併設することにより２種類のキャップに対しインナー
キャップ７を取付け可能となり、部品の共通化をもたら
すことができる。

（考案の効果） 本考案のインナーキャップを備えた筆記具のキャップ
は以上のとおりであり、キャップ本体に対するインナー
キャップの取付けが、接着のように面倒でなく、且つ圧
入に比べてより確実となる効果がある。また本考案のキ
ャップは従来例のような固定用ナット等の部品が不要な
ので部品点数を減少できる利点がある。そして、本考案
は特に、インナーキャップ７の外周面に設けた周方向の
溝５と連通して先端面へ開口する縦溝部10を設けたの
で、クリップ２の取付脚部３の係止片４を弾性変形させ
ることなく縦溝部10から周方向の溝５へとスムースに導
入することができる。したがって、インナーキャップ７
の溝５へ嵌入するためにクリップ２の取付脚部３を特殊
な形状にする必要がなく、シンプルな形状でも不都合は
ないので、設計が容易になる利点がある。さらに、イン
ナーキャップ７における周方向の溝５の奥壁８の近傍に
係止リブ９を設けて、クリップ取付脚部３の係止片４を
その奥壁８と係止リブ９との間に嵌合係止させるように
したので、キャップ本体１に対するインナーキャップ７
の回転を阻止して、摩擦音の発生などを防止することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はキャップ要部の縦断面図、第２図はキャップ要
部の横断面図、第３図はインナーキャップを固定する前
の状態の斜視図、第４図はインナーキャップの半断面側
面図、第５図及び第６図はそれぞれクリップの正面図と
底面図、第７図はインナーキャップを他の異なるキャッ
プに取付けた状態の半断面側面図である。 １……キャップ本体、２……クリップ、３……取付脚
部、４……係止片、５……溝、６……ネジ部、７……イ
ンナーキャップ、９……係止リブ、10……縦溝部、13…
…係止段部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】キャップ本体１の内部へクリップ２の取付
   脚部３を没入させてその取付脚部３に設けた屈曲した係
   止片４をキャップ本体１の内面に係止させ、一方、イン
   ナーキャップ７の外周面に周方向の溝５とその溝５に連
   通して先端面へ開口する軸方向の縦溝部10を設けるとと
   もに、その周方向の溝５の奥壁８の近傍に係止リブ９を
   設け、上記クリップ２の係止片４をインナーキャップ７
   の縦溝部10から周方向の溝５へと導入してその奥壁８と
   係止リブ９との間に嵌合係止したことを特徴とするイン
   ナーキャップを備えた筆記具のキャップ。