JP2521131B2 - 空気マットレス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はマットレス、特に、空気などの気体やその他
のある種の流体を充満することが可能であり、マットレ
スやベッドその他の支持構造物の長軸方向に直交して配
置された隣り合う複数の楕円形状の袋状要素からなり、
該袋状要素が相互に対し帯状に連続して結合されている
空気マットレスまたは類似物に関する。

（従来の技術） 個別要素からなる空気マットレス、その他これらに類
似する柔軟寝具類は従来から知られており、これらのう
ちのいくつかは、例えば、米国特許第3,192,540号明細
書及び米国特許第1,545,806号並びに第2,141,333号明細
書に記載されている。これらの公知文献の最初の文献は
隣接する楕円形状小室からなる空気圧座席クッションを
開示しており、これらの小室は圧力空気などのある種の
加圧流体で膨張可能になっている。これらの小室は別々
になっているが、相互に連絡している。所望圧力まで空
気が充満されると、充填パイプは遮断される。空気が充
満された小室は直線ボードに圧接して、断面半球状また
は類似形状になる。この寝具類の構造は使用者の体格に
合うように十分に弾力性がなく、堅くなっているので堅
固に身体を支えるようになっている。さらに、この構造
は安定性がなく、また下部との接触を防止するようにな
っていない。つまり、マットレスにかかる体重によって
表面層が下部に圧接することがよくある。

次に、米国特許第2,141,333号明細書が開示している
空気マットレスは隣接する個々の空気袋から構成されて
おり、個々の空気袋は相互に空気ダクトで連結するよう
に取り付けられている。これらの空気袋はベッドの長手
方向に直交してベッド・フレーム構造体内部に配置され
ている。このことの他に、空気袋は５つのグループに分
かれており、各グループは個々のパイプを通して空気供
給装置に接続されている。この種のマットレスは特殊な
フレーム構造にすることが要件であり、そのために空気
供給装置を独立の装置として接続する必要がある。これ
と類似するマットレスが英国特許第1,545,806号でも提
案されている。

（発明が解決しようとする課題） 最近の病人看護において重大な問題は、病人に可能な
限り苦痛と不便さを与えないようなベット環境を作り、
病人の看護に伴うさまざまな仕事、例えば、ベッドの清
掃と洗濯が行えるようにすることである。特に長期間あ
るいは死ぬまで病床にあって、自分の力で脚を裏返した
り、動かしたりできない病人の場合には、通常のベッド
やマットレスに寝ているとき床ずれは避けられない問題
である。床ずれが起こると、病人の日常の看護がさらに
困難になり、特に床ずれはそこからいろいろな病原菌が
侵入する経路となっている。この床ずれは、病人の皮膚
に圧接する表面圧力が絶えず35-50ミリバールより高く
なっている個所で起こる。従って、床ずれした病人は、
２ないし３時間ごとに看護人が向きを変えたり、位置を
変えたりしてやる必要がある。しかし、例えば重度身障
者を動かしたり、向きを変えることは事実上不可能であ
る。

上に挙げた米国特許第1,545,806号及び第2,141,333号
に開示されたマットレス及びベッドの構造は特に病院環
境用の設計になっている。これらの例では、空気マット
レスとベッド・フレームは分離不可の構造になってい
る。これらは構造が複雑であり、製造費が高価であるの
で、一般家庭で日常マットレスとして使用するのに適し
ていない。

（課題を解決するための手段） 本発明の目的は、マットレス、特に空気マットレスを
提供することにより、特に前述の問題点を解決すること
にある。

即ち本発明は、複数の隣接する楕円形状の袋状要素か
ら構成され、該袋状要素は空気などの気体またはその他
のある種の流体を充満することが可能であり、マットレ
スやベッドあるいはその他の支持構造物の長軸方向（D-
D）に対して直交して配置され、該袋状要素を帯状に連
続して相互に接続してなるマットレス、特に空気マット
レスまたは類似物において、前記袋状要素（２、２′）
は、該要素の長さ方向の継ぎ目（６、6b）が一定の間隔
でマットレスの下部（1b）に位置し、当該位置で前記継
ぎ目（６、6b）がマットレスの底板（７）に接続してい
るように配置されると共に、前記継ぎ目（６、6b）の間
の区域がマットレスの下部（1b）から上方へフリー状に
突出する構造物を構成するように配置されたマットレス
である。前記において、袋状要素（２、２′）は対にな
って相互に折り重ねられ、該要素の長さ方向に向かって
２つ目置きの継ぎ目（6a）はマットレスの上部（1a）に
位置し、２つ目置きの継ぎ目（6b）は下部（1b）に位置
するようになっている。前記袋状要素（２、２′）は、
該要素の長さ方向の継ぎ目（６）がマットレスの下部
（1b）に位置するように逆Ｕ字状に屈曲されている。前
記連続要素（２、２′）の下と、底板（７）に位置する
継ぎ目（6b、６）の中間に、別の組の楕円形状の袋状要
素が設けられ、該要素も空気や類似物で膨張可能であ
る。前記袋状要素（２）の下に相互に接続された別の組
の要素（10）が対応して設けられている。前記袋状要素
（２、２′）の下と、底板（７）に位置する継ぎ目（6
b、６）の間に、ある種の内実弾力質の材料で作られた
またはかかる材料が充填された別の組の楕円形状要素
（８）が設けられている。前記空気マットレスの要素
（２、２′と９、10）は、マットレスの長軸（D-D）方
向に、少なくとも３つのグループ（Ａ、Ｂ、Ｃ）に分け
られており、各グループの要素は相互に接続されると共
に、フレキシブル・チューブなどのインレット・ダクト
（12a、12b、12c）経由で接続ダクト（11a、11b、11c）
に接続され、さらに圧力センサー（13a、13b、13c）と
制御可能弁（14a、14b、14c）及び適当な調節装置（1
5）を通して気体供給源（16）または類似装置に接続さ
れ、各グループの要素内または単独要素内の気体圧力を
測定して適当な圧力に調節すると共に、マットレスの使
用時には所望圧力レベルに維持するようにした。前記個
々のグループ（Ａ、Ｂ、Ｃ）間の境界域で、２つの異な
るグループの要素を該グループの両方に交互に分けてい
る。前記マットレス（１）の要素（２、２′と９、10）
の少なくとも１つをパイプ（11、12）と遮断弁（18）を
介して付近に位置する要素の１つまたは複数にまたは接
続ダクト（12）に接続し、気体流量が所定の上限値を超
えたとき遮断弁（18）がダクトを閉じるようにしてあ
る。前記遮断弁（18）はハウジンク（19）と該ハウジン
グ内に置かれた室（20）と該室の対応する面積より小さ
い断面積をもつフロート（21）とから構成され、室（2
0）の第１端側に気体入口路（22）が接続され、室（2
0）の第２端側に気体出口路（23）が接続され、前記フ
ロート（21）は前記室（20）内で前記入口路（22）と出
口路（23）の中間に設けられ、気体流量が所定値より小
さいときは、フロート（21）は室（20）内の少なくとも
ほぼ一定位置に留まっており、気体流量が所定値より大
きいときは、フロート（21）は気体流と共に変位して気
体出口路（23）を閉じ、前記遮断弁（18）は気体流の速
度に関係なく、出口路（23）から入口路（22）に向かっ
て気体を逆流させるようにしてある。

前述した本願発明の空気マットレスによれば、複数の
隣接する楕円形状の袋状要素から構成され、該袋状要素
は空気などの気体または、その他のある種の流体を充満
することが可能であり、マットレスやベッドあるいはそ
の他の支持構造物の長軸方向（D-D）に対して直交して
配置され、該袋状要素を帯状に連続して相互に接続して
なるマットレス、特に空気マットレス又は類似物であっ
て、該袋状要素の長さ方向の継ぎ目（６、6b）が一定の
間隔でマットレスの下部（1b）に位置し、当該位置で前
記継ぎ目（６、6b）がマットレスの底板（７）に接続し
ているように配置されると共に、前記継ぎ目間の区域が
マットレスの下部（1b）から上方へフリー状に突出する
構造物を構成するように配置されており、前記マットレ
スの袋状要素（２、２′、９、10）は、マットレスの長
軸（D-D）方向に、少なくとも３つのグループ（Ａ、
Ｂ、Ｃ）に分けられており、各グループの前記袋状要素
（２、２′、９、10）は相互に接続されると共に、フレ
キシブル・チューブなどのインレット・ダクト（12a、1
2b、12c）経由で接続ダクト（11a、11b、11c）に接続さ
れ、更に圧力センサー（13a、13b、13c）と制御可能弁
（14a、14b、14c）及び適当な調節装置（15）を通して
気体供給源（16）または類似物に接続されている空気マ
ットレスにおいて、前記袋状要素内の気体圧力を調節す
る方法であって、前記マットレスの袋状要素（２、
２′、９、10）は、空気やその他のある種の流体で部分
的に充満され、気体圧力は、前記マットレスの袋状要素
（２、２′、９、10）が体重による荷重を受けていない
時は、周囲の圧力と同じであるが、人体又はその一部に
よってマットレス要素に体重による荷重がかかる場合に
は15ミリバール乃至20ミリバールに増加し、その結果、
前記マットレスの袋状要素（２、２′、９、10）は人体
又はその一部の輪郭に合った形状に変形すると同時に、
人体又はその一部にかかる表面圧力が人体全体又はその
一部に均等に分布されるようにしたことを特徴とする空
気マットレス調節方法を提供することもできる。前記第
１組の要素（２、２′）の気体圧力は標準値に設定し、
第２組の要素（９、10）の気体圧力はマットレスが使用
中のときほぼ15ないし20ミリバールの範囲内に設定し、
あるいは該２組の要素の気体圧力を逆に設定したもので
ある。前記要素（２、２′と９、10）内の気体圧力はマ
ットレスが使用中のときは、絶えず設定値に維持され、
気体圧力が例えば10ミリバールまで低下したとき、つま
り、マットレスが通常に使用されていないときは、要素
への気体供給を遮断したものである。

（作用） 本願発明の空気マットレスにおいては、マットレスの
下部（1b）に位置する袋状要素間の継ぎ目（６、6a）は
マットレスの底板７に接続されているので、各袋状要素
はその固定されている位置で前記人体による押圧を受
け、またその固定されている継ぎ目（６、6a）の間の区
域はマットレス下部（1b）から上方へフリー状に突出し
ている結果、空気マットレス上に人体が横たわった場
合、気体等の流体で部分的に充満されている各袋状要素
は押圧され、隣合う袋状要素が互いに接触して横向きに
押されるという変形を受けることになる。人体の重さ
は、頭部、胸部、腹部、脚部などそれぞれ異なる重量を
有しているわけであるが、前述したように、隣接する袋
状要素が互いに接触して横向きに押されるという変形を
受けることによって、マットレス全体としてみれば、人
体の形状に沿って変形し、人体との接触圧力は、人体の
どの部位においても、ほぼ一定したものになる。またこ
のように、マットレスと人体との接触面積が大きくなる
ので、人体との接触圧力を比較的小さくすることができ
る。

（実施例） 以下、添付図面を参照して本発明及び本発明のその他
の利点について詳しく説明する。

第１図において、マットレス１は隣接する楕円形状の
袋状の多数の要素２、２′から構成され、これらの要素
は空気やその他のある種の気体で膨張可能になってい
る。要素２、２′はマットレスやベッドあるいはその他
のある種の支持構造体の長軸D-D方向に対し直交するよ
うに配置されており、連続して帯状に相互に接続されて
いる。従って、マットレスは２つの重なり合う材質のウ
ェブ３、４からなる均一バンドとして製造できるという
利点がある。これらのウェブ３、４は継ぎ目部５、６で
階段状に結合されている。１個所または数個所の継ぎ目
６を含む直交方向の継ぎ目部６の間隔により、マットレ
スの要素２、２′が形成されている。かくして得たバン
ドは適当な長さ、例えば、各々が４ないし6mの基本セク
ションに切断される。この基本セクションの長さはベッ
ドの長さを除き、要素をどれだけベッドに組み入れる必
要があるかによっても決まる。

連続する要素２、２′の配置は、要素の長さ方向の継
ぎ目６、6bが一定の間隔でマットレスの底部1bに位置す
るように、さらにこれらの継ぎ目間の領域がマットレス
の底部1bから上方に向かう構造体を形成するように配置
されるようになっている。実際には、要素の長さ方向の
継ぎ目６、6b間の構造体は、本発明の好適実施例を示す
第２図と第３図から理解されるように、断面ループ状に
上向きに屈曲している。

例えば、上で触れた基本セクションにおける連続要素
２は、第２図に示すように、対になって互いに折り重な
っている。つまり、２つ置きの長さ方向継ぎ目6aはマッ
トレスの上部1aに位置し、２つ置きの継ぎ目6bはマット
レス１の下部1bに位置するようになっている。

第３図に示す変形例では、連続要素２′は要素の長さ
方向継ぎ目6aが常にマットレスの下部1bに位置するよう
に逆Ｕ字状に屈曲している。この例では、要素２′は下
部からループ状に隆起している。

本発明の第１実施例によれば、製造工場から出荷され
たマットレスの基本セクションは長さ方向に折り重ねら
れて、アコーデオン構造のベッド長マットレスを構成し
てから（第２図）、例えばベット・フレームに載置され
る。継ぎ目6bの個所で、要素２は底板７に接続される
か、側面だけで機械的に相互に結合される。

製造工程で製造されたマットレスの基本セクションは
マットレス本体を形成するように組み立てられる。その
結果、マットレスの長軸方向D-Dに沿って、要素２′は
底板７から上方に突出するループ状部分を形成する。つ
まり、連続要素は上述したように（第３図）、逆Ｕ字状
に屈曲される。次に、本発明の特徴である比較的に幅が
広い継ぎ目６は、要素２が底板７からループ状に立ち上
がるように底板７に隣接して取り付けられる。

マットレスの要素２、２′の下には、底との接触を防
止するためにある種のパッドが別に配置されているのが
本発明の特徴である。このパッドは例えば均質パッド・
カーペットにすることができる。また、これは、連続要
素２、２′の下と、マットレス１の下部1bに位置する継
ぎ目6b、６の間に、１つまたは複数の楕円形状のパッド
８（第３図）を置くことによっても実現できる。これら
のパッド８は相互に連結できるので簡単な方法で製造で
きる。さらに、これらのパッドは袋状要素９（第２図）
にして、空気やその他のある種の気体を充満させること
も可能である。他方、これらの楕円形状要素は、例えば
ある種の内実で、弾性質の材料で作ることも、あるいは
かかる材料を詰めることも可能である。

本発明の空気マットレスは、最初の連続要素の下に、
別の組の類似要素10を配置し、これらの第１及び第２要
素を第４図に示すように相互に連結することによっても
実現できる。この種の空気マットレスは第１図で説明し
たのと同じ原理で製造することができる。製造工程で
は、３番目の材質ウェブを最初の２つの上に置くだけで
よく、この３番目のウェブは継ぎ目５、６の個所で他の
ウェブと階段状に接続される。

マットレス１の要素２は、第５図に示すように、マッ
トレスの長軸方向D-Dに少なくとも３つの別々のグルー
プＡ、Ｂ、Ｃに分割されているのが本発明の特徴であ
る。つまり、空気マットレスの要素のグループ分けは、
例えば、最初のグループ、例えば、グループＡがベッド
に横たわる人の頭部の下に位置し、２番目のグループ、
例えば、グループＢが身体の中間部の下に位置し、３番
目のグループ、例えば、グループＣが脚部の下に位置す
るように行なわれる。各グループの要素2a、2b、2cは相
互に接続されると共に、フレキシブル・チューブなどの
インレット・パイプ11a、11b、11cを通して接続ダクト1
2a、12b、12cに接続され、さらに制御可能弁14a、14b、
14cと該弁に接続された適当な調節装置15を経由して、
空気ポンプなどの気体供給源16または類似供給源に接続
されている。この気体供給源も調節装置15の制御下に置
かれている。補助パイプ17a、17b、17cを通して、各種
グループ内に存在する気体圧は調節装置15に接続された
圧力センサー13a、13b、13cで検出される。この圧力セ
ンサー13a、13b、13cは接続ダクト12a、12b、12c内に設
けることも可能である。各グループＡ、Ｂ、Ｃの要素2
a、2b、2cの気体圧はこのような方法で測定され、適当
な圧力に調節され、特にマットレス１が使用中のときは
所望圧力レベルに維持される。

原理的には、空気膨張が可能であり、空気マットレス
の上部と下部のどちらかに置かれているどちらの組の要
素２、２′と９、10も、前記グループに分割することが
可能である。その場合には、一方の組の要素内の空気圧
は一定値に設定され、他方の組の要素内の気体圧は調節
可能にする。さらに、個々の要素内の気体圧を適当な圧
力に調節し、マットレス使用中にこのレベルに維持させ
ることも可能である。グループＡ、Ｂ、Ｃ間の幅広の区
域では、個々のグループの要素を、例えば、第６図の2b
と2cのように、交互に異なるグループに、例えば、前記
グループＢとＣの両方に分割するこができる。従って、
グループは境界面Ｒ付近で部分的に重なるようにからみ
合うので、例えば、２つ目置きの要素2cは脚部の下のグ
ループＣに属し、２つ目置きの要素2bは身体の下のグル
ーＢに属するようになる。この方法によると、想像上の
境界表面付近に位置する１つまたは２つの要素だけをグ
ルーブ分けすることができるという利点がある。この配
置には、ベッドに横たわる人に、これらの要素が異なる
グループに分かれていることを感じさせないという利点
がある。

マットレスの要素2a、2b、2cは、第５図に示すよう
に、グループＡ、Ｂ、Ｃにおいてインレット・パイプ11
a、11b、11c経由で接続ダクト12a、12b、12cに接続され
ると共に相互に接続され、さらに、空気ポンプやタンク
などの気体供給装置16や類似装置に接続されている。パ
イプ11または12には、第６図から明らかなように、遮断
弁18を設けることが可能である。各弁は、気体の流量が
所定の制限値を超えたとき、インレット・パイプ11など
のパイプを閉じるように機能する。この配置の主要利点
の１つは、例えばベットから身体を起こしたときのよう
に、人の体重がマットレス２組の要素だけの上部に移動
したとき、これらの要素は完全に平坦化しないで、身体
を支える働きを維持することである。その理由は、要素
から突然に気体が抜けるのを弁18が防止するからであ
る。マットレスのすべての要素２に前記遮断弁18を設け
る必要は必ずしもない。これらは、例えばマットレスの
中央部Ｂに位置する要素に設けるか、あるいはベッドに
横たわる人の尻部の下に位置する１つまたは２つの要素
に設けることができる。グループＢは、さらに２つの要
素グループに分けて、それらの間に遮断弁18を設けるこ
とも可能である。

前記遮断弁18は第７図に示すような種類の弁にすると
よいが、他のタイプの適当な弁を採用することも可能で
ある。第７図に示す遮断弁18について以下説明する。遮
断弁18はハウジング19、ハウジング19内に設けられた室
20、及び室20内に置かれたフロート21から構成されてい
る。フロート21の断面積は室の対応する断面積より小さ
くなっている。気体入口路22は室の第１端側に接続さ
れ、気体出口路23は室の第２の端側に接続されている。
フロート21は室20内で前記入口路22と出口路23の間に置
かれている。このフロート21は、気体の流量が所定値以
下のときは室20内にほぼ一定位置に保持されているが、
気体流量が所定値を超えると、気体の流れと共に変位
し、出口路23を閉じるようになっている。遮断弁18は、
気体が流速に関係なく、出口路から入口路に向かって反
対方向に流れるようにするとよい。必要ならば、遮断弁
は、例えば、フロートの重量または前記表面積を変える
ことにより、あるいは適当なスプリング装置によって調
節することができる。

本発明のマットレスの要素２、２′の高さ、つまり、
マットレスの厚さは通常のマットレスの厚さである10な
いし20cm範囲内にするのが好都合である。マットレス１
の幅、従って要素２、２′の幅は、個々の要求とベッド
の寸法に応じて選択する。ベッド自体は通常のベッドな
らば種類を問わない。例えば、通常のスプリング・マッ
トレスが置かれる病院ベッドでもよい。マットレスの材
質はプラスチックや気体や空気が通りにくいフレキシブ
ルで伸長性のない材料が使用できる。

本発明による空気マットレスの圧力を調節する方法
は、人の身体またはその一部の下に、身体を支える気体
または空気クッションを設け、その圧力ｐをできる限り
小さくし、身体またはその一部との接触面Ａをできるか
ぎり大きくするという考え方に基づいている。空気が人
の体重ｍを支えるためには、圧力ｐをｐ＝m/Aとすべき
ことは明白である。そこで、人体の頸部から臀部までの
表面積がＡ＝50×70cm＝3,500cm²であり、人体の上部の
体重ｍがｍ50kgであるとすると、人体を支えるために
マットレスに要求される圧力ｐ15g/cm²でつまり、約1
5ミリバールになる。ある人が従来の通常の空気マット
レスに横になった場合には、その圧力は空気圧と前記圧
力の和になり、その人はマットレスの底まで沈むことに
なる。つまり、マットレスはその人の下の部分が平坦化
し、その人の外側にあるマットレス部分は膨らんだまま
なにっている。その人はマットレスの圧力を上の計算で
求めた圧力よりも著しく高くしなければ、寝具類の上に
持ち上がらない。しかるに、本発明の空気マットレスで
は、その標準体積の要素は計算で求めた圧力値まで達す
ると、押さえ付けられて、その形は人体またはその一部
とマットレス間の接触面積が可能な限り大きくなるよう
な形状になる。マットレス１の各要素２、２′つまり、
マットレスの各グループＡ、Ｂ、Ｃは、本発明の方法で
は、各要素にかかる体重による荷重が存在しないとき
は、部分的にだけ気体、好ましくは空気が充満され、各
要素内の空気圧は周囲の圧力、つまり、 バールに等しくなるようになっている。この場合には、
各要素は部分的に圧縮される。人体またはその一部がマ
ットレス要素の上にのると、各要素内の圧力ｐ′は、公
知のｐ′＝ｐ＋m/Aのあと、人体またはその一部の体重
による荷重に応じて増加して行く。ただし、ｐは初期圧
力、ｍは人体またはその一部の質量、Ａは人体とマット
レス要素間の接触面積である。従って、各要素の支持弾
力表面は人体またはその一部の凹凸部と同じ形状にな
り、かつ人体またはその一部にかかる表面圧力を人体全
体またはその一部に均等に分布させることになる。

マットレス要素２、２′内の気体圧力は、マットレス
が使用中のとき、つまり、人がそこに横たわっていると
きは、約15ないし25ミリバールの範囲内に設定しておく
のが最適である。ある要素内の気体圧力は特に、該要素
が人体に対しどこに置かれているかによって左右され
る。要素が背中と尻部の下にあるときは、気体圧力は頭
部や脚部の下にある場合よりも高くするのが自然であ
る。

空気マットレスが第１要素２、２′及び第２要素９、
10から構成され、これらの要素がマットレスに積み重な
っており（第２、３、及び４図）、気体または空気が充
満されている場合は、気体圧力はどちらか一方の組の要
素、例えば、第１組２、２′では、適当な一定値に設定
し、他方の組の要素９、10の気体圧力は上述した方法に
従って調節することができる。別の方法として、要素
２、２′と９、10の圧力を相反する形で設定することも
可能である。

本発明の空気マットレスの圧力を調節する方法は、マ
ットレスが病院や類似施設などで高度身障者看護マット
レスとして使用される場合には、圧力の上下限値を制御
するようにすると利点が得られる。この場合には、マッ
トレスは例えば、15ないし20cmのように比較的薄層に構
成すれば、特に低い気体圧力が使用できる。制御システ
ムは、圧力がマットレス１かその要素２、２′かグルー
プＡ、Ｂ、Ｃのどれかで限界値以下に低下したとき、も
っと多くの気体または空気がそこに送り込まれて、要素
を膨張させるように動作する。気体の供給は、上限値に
達すると、例えば、グループＢ内の要素の気体圧力が上
限値15ないし25ミリバールまでになったとき、遮断され
る。マットレスをゼロ圧力制御することも可能である。
つまり、気体圧力が例えば10ミリバール以下に低下した
ときは、マットレスは通常使用されていないことが考え
られるので、空気供給は停止される。この場合、空気の
供給を止めないと、人がベッドを離れたとき、マットレ
スは過剰圧力まで膨張することになる。

上述した場合には、病人はマットレス内の深くに「浮
上」することになる。洗濯、ベッドの整頓、清掃といっ
た病人の看護に伴う色々な仕事を行なうときは、マット
レスを一杯に膨らませば、病人を上に持ち上げることが
できる。

これまでの説明では、本発明を特に空気マットレスの
場合に限定して説明してきたが、座席クッションのよう
に、パッド付きの他の支持物にも適用できることは勿論
である。また、マットレスまたは類似物の要素は空気や
他のある種の気体で膨らますことができると説明してき
たが、空気や気体に代えて、水などの他の流体を使用す
ることも可能である。

（発明の効果） 本発明は、流体を充満した楕円形状の袋状要素を連続
したマットレスであって、その継目をマットレスの上方
と下方に一定間隔で保たせ、下方の継目はマットレスの
底板に固定し、その固定された継目の間の区域はマット
レスの底板から上方へフリー状に突出させたもので、マ
ットレス上に人体などが上った場合に、人体面との接触
圧力がほゞ一定化することになる。また、前記マットレ
スに人体等の荷重を受けていない時には、前記袋状要素
内の圧力は周囲と同一の圧力であり、マットレスに外圧
が掛る時には、荷重に応じて内力が増加して、マットレ
スは人体又はその一部の形状にそって変形し、人体等の
表面に均等に分布されることになる。

本発明の空気マットレスは構造が単純であり、大量生
産に適しているので、製造費を妥当な範囲内に抑えるこ
とができる。従って、本発明の空気マットレスは家庭や
病院などの多様化された環境で使用できる。

本発明のマットレスを構成する要素に空気などの気体
が部分的に充満すると、気体圧力はマットレス要素に荷
重がかかっていないときは周囲の圧力と同じになるが、
マットレスに向かって体重またはその一部がかかると、
その荷重に応じて公知のように気体圧力が増加してい
き、その結果マットレスの体重を弾力的に支える上面は
人体またはその一部に合わせて変形すると同時に、人体
またはその一部に反作用する表面圧力は人体全体または
その一部に均等に分布することになる。

これまでに述べてきたこととは別に、本発明の空気マ
ットレスの利点について以下簡単に説明することにす
る。ベッドに横たわる人の皮膚にかかる表面圧力は、寝
具に圧接するどの個所においても、毛細血管の循環が支
障なく行われる程度になっている。このことは、特に病
院環境では重要である。病院のベッドなどの通常ベッド
には、本発明のマットレスを必要時に何時でも簡単に装
着させることができる。このマットレスの調節は簡単に
かつ確実な方法で行うことができる。本発明のマットレ
スは使用が簡単であり、安価な製造費で工業生産ができ
る。病院で使用する場合には、例えば、病人の睡眠中に
病人の位置を変える必要がない。本発明のマットレスは
病人にとって便利であり、また特別なトラブルや苦痛を
与えることがないなどの諸効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のマットレスを展開した基本構造を示す
平面図、第２図は本発明のマットレスの断面図、第３図
は本発明の別のマットレス断面図、第４図は本発明の更
に別のマットレスの断面図、第５図は要素グループに分
割された本発明のマットレス及び調節装置とその気体供
給源の概略図、第６図は本発明のマットレスの断面上面
図、第７図は本発明のマットレスに関連して使用される
弁の概略図である。 1a……マットレスの上部、1b……マットレスの下部 ２、２′……第１組の要素、2a、2b、2c……要素 ６、6b……継ぎ目、７……底板 ８……別の組の要素、９、10……第２組の要素 11、12……パイプ 12a、12b、12c……接続ダクト 13a、13b、13c……圧力センサー 14a、14b、14c……制御可能弁 15……調節装置、16……気体供給源 18……遮断弁、19……ハウジング 20……室、21……フロート 22……気体入口路、23……気体出口路 Ａ、Ｂ、Ｃ……グループ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭62−50632（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−190262（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−118（ＪＰ，Ｕ)

Claims (10)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数の隣接する楕円形状の袋状要素から構
   成され、該袋状要素は空気などの気体またはその他のあ
   る種の流体を充満することが可能であり、マットレスや
   ベッドあるいはその他の支持構造物の長軸方向（D-D）
   に対して直交して配置され、該袋状要素を帯状に連続し
   て相互に接続してなるマットレス、特に空気マットレス
   または類似物において、前記袋状要素（２、２′）は、
   該要素の長さ方向の継ぎ目（６、6b）が一定の間隔でマ
   ットレスの下部（1b）に位置し、当該位置で前記継ぎ目
   （６、6b）がマットレスの底板（７）に接続しているよ
   うに配置されると共に、前記継ぎ目の間の区域がマット
   レスの下部（1b）から上方へフリー状に突出する構造物
   を構成するように配置されていることを特徴としたマッ
   トレス。
2. 【請求項２】前記袋状要素（２、２′）は対になって相
   互に折り重ねられ、該要素の長さ方向に向かって２つ目
   置きの継ぎ目（6a）はマットレスの上部（1a）に位置
   し、２つ目置きの継ぎ目（6b）は下部（1b）に位置する
   ようになっていることを特徴とした請求項１記載のマッ
   トレス。
3. 【請求項３】前記袋状要素（２、２′）は、該要素の長
   さ方向の継ぎ目（６）がマットレスの下部（1b）に位置
   するように逆Ｕ字状に屈曲されていることを特徴とした
   請求項１記載のマットレス。
4. 【請求項４】前記袋状要素（２、２′）の下と、底板
   （７）に位置する継ぎ目（6b、６）中間に、別の組の楕
   円形状の要素が設けられ、該要素も空気や類似物で膨張
   可能であることを特徴とした請求項１ないし３のいずれ
   かに記載のマットレス。
5. 【請求項５】前記袋状要素（２）の下に相互に接続され
   た別の組の要素（10）が対応して設けられていることを
   特徴とした請求項１ないし３のいずれかに記載のマット
   レス。
6. 【請求項６】前記袋状要素（２、２′）の下と、底板
   （７）の位置する継ぎ目（6b、６）の間に、ある種の内
   実弾力質の材料で作られたまたはかかる材料が充填され
   た別の組の楕円形状要素（８）が設けられていることを
   特徴とした請求項１ないし３のいずれかに記載のマット
   レス。
7. 【請求項７】空気マットレスの要素（２、２′と９、1
   0）は、マットレスの長軸（D-D）方向に、少なくとも３
   つのグループ（Ａ、Ｂ、Ｃ）に分けられており、各グル
   ープの要素は相互に接続されると共に、フレキシブル・
   チューブなどのインレット・ダクト（12a、12b、12c）
   経由で接続ダクト（11a、11b、11c）に接続され、さら
   に圧力センサー（13a、13b、13c）と制御可能弁（14a、
   14b、14c）及び適当な調節装置（15）を通して気体供給
   源（16）または類似装置に接続され、各グループの要素
   内または単独要素内の気体圧力を測定して適当な圧力に
   調節すると共に、マットレスの使用時には所望圧力レベ
   ルに維持するようにしたことを特徴とした請求項１ない
   し６のいずれかに記載のマットレス。
8. 【請求項８】個々のグループ（Ａ、Ｂ、Ｃ）間の境界域
   で、２つの異なるグループの要素を該グループの両方に
   交互に分けたことを特徴とした請求項７記載のマットレ
   ス。
9. 【請求項９】マットレス（１）の要素（２、２′と９、
   10）の少なくとも１つをパイプ（11、12）と遮断弁（1
   8）を介して付近に位置する要素の１つまたは複数にま
   たは接続ダクト（12）に接続し、気体流量が所定の上限
   値を超えたとき遮断弁（18）がダクトを閉じるようにし
   たことを特徴とした請求項１ないし８のいずかに記載の
   マットレス。
10. 【請求項１０】前記遮断弁（18）はハウジンク（19）と
    該ハウジング内に置かれた室（20）と該室の対応する面
    積より小さい断面積をもつフロート（21）とから構成さ
    れ、室（20）の第１端側に気体入口路（22）が接続さ
    れ、室（20）の第２端側に気体出口路（23）が接続さ
    れ、前記フロート（21）は前記室（20）内で前記入口路
    （22）と出口路（23）の中間に設けられ、気体流量が所
    定値より小さいときは、フロート（21）は室（20）内の
    少なくともほぼ一定位置に留まっており、気体流量が所
    定値より大きいときは、フロート（21）は気体流と共に
    変位して気体出口路（23）を閉じ、前記遮断弁（18）は
    気体流の速度に関係なく、出口路（23）から入口路（2
    2）に向かって気体を逆流させるようにしたことを特徴
    とした請求項９記載のマットレス。