JP2520821B2 - 大型積みブロック - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、擁壁を構成する大型積
みブロックに関する。

【０００２】

【従来の技術】大型積みブロックを用いて構築された擁
壁は、安定計算により算出された擁壁全体としての転
倒、滑動に対する支持力に基づいて、背後からの土圧を
支えてその崩壊を防止し、もって土地の高さの差を維持
している。図５及び図６に示すような従来の擁壁におい
ては、背後の土砂から雨水等を排出させるために、土中
に水抜管（０１）を埋設するとともに、その水抜管（０
１）の排出口端部（０２）を、隣接する各ブロック（０
３）の側面に予め設けられた半円筒状の凹部（０４）に
よって構成された水抜き穴（０５）内に挿入配置させて
いた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな水抜き穴（０５）の軸線は一般にブロック（０３）
の前面に対して垂直に形成されているので、ブロック
（０３）を積み上げることによって構築された擁壁の勾
配に起因して、結局水抜き穴（０５）の軸線はほとんど
の場合斜め上方を向くようになってしまう。これに対し
て水抜管（０１）は、水の流出が可能になるように擁壁
に向かって常に斜め下方に延設されている。

【０００４】したがって、水抜管（０１）は水抜き穴
（０５）内に単に部分的に挿入されることになり、水抜
管（０１）と水抜き穴（０５）との接続箇所には、必然
的に、水抜き穴（０５）の出口開口（０６）よりも下方
に所定の空間が形成されることになる。それゆえこの空
間内には常時水や泥が溜まるようになり、これに起因し
て土砂からの水の排出が十分に行われなかった。

【０００５】また水抜管（０１）の軸線と水抜き穴（０
５）の軸線とが互いに交差しているために、水抜管（０
１）を水抜き穴（０５）内に（例え部分的とは言え）挿
入するためには水抜き穴（０５）の直径を水抜管（０
１）の外径よりも大きくする必要があった。これによっ
て前記空間内に溜まる水や泥の量が更に増大して、水の
排出が一層不十分なものとなっていた。

【０００６】本発明は、このような問題点に着目してな
されたもので、擁壁の勾配に関係なく水抜管を直線的に
ブロックの外部に突出させて、確実な排水を実現するこ
とを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、擁壁を構成するための大型積みブロック
であって、ブロックの互いに隣接する側面に、水抜管を
収容するための凹部が形成されているものにおいて、こ
の凹部が、水抜管の外径の数倍の縦方向長さを有すると
ともに、ブロックの前面側において薄壁部により閉じら
れていることを特徴としている。

【０００８】

【作用】本発明の大型積みブロックを用いて擁壁を構築
する場合、土中に埋設された各水抜管の外径並びに空間
位置に応じて、各ブロックの薄壁部にその都度適当な開
口が形成される。その後水抜管は、擁壁の勾配とは無関
係に、ブロックの凹部と薄壁部に形成された開口を通し
て直接外部に突出せしめられる。したがって、従来のよ
うな水や泥が溜まり得る空間は存在しないので、水抜管
内を流れる雨水等は、水抜管内もしくは擁壁の内側に滞
留することなく、確実に外部に流出するようになる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１に示すように、ほぼ正方形の前面を有する大
型積みブロック（１）は、擁壁を構成するために、互い
に水平方向に隣接配置されつつ、計画通りの勾配で積み
上げられている。この場合上下の各ブロック列（２）
（３）の個々の隣接位置（４）は、互いに水平方向にず
らされている。

【００１０】図１〜図３に明瞭に示されているように、
ブロック（１）の両側面には、縦方向に長い凹部（５）
が形成されている。この凹部（５）は、水抜管（６）
（図４参照）を収容するためのもので、ブロック（１）
の前面側において薄壁部（７）により閉じられている。
各ブロック（１）の凹部（５）は、ブロック（１）を互
いに水平方向に隣接させた際に、その都度隣接するブロ
ック（１）の凹部（５）と合致して、全体として水抜管
（６）を収容し得る大きさの空間を構成する。

【００１１】特に図３に示すように、ブロック（１）の
背面には連結部材としての鉄筋（８）が突設されてい
る。この鉄筋（８）は、ブロック（１）を積み上げて擁
壁を構築する際に、ブロック（１）の背面側に打設され
た裏込めコンクリートとブロック（１）との一体化をよ
り確実に達成するためのものである。

【００１２】この実施例のブロック（１）を積み上げて
擁壁を構築する場合、土中に埋設された水抜管６の空間
位置及び外径に応じて、各ブロック（１）の薄壁部
（７）の適当な箇所をその都度ハンマー等で割ることに
よって、水抜管（６）を挿通させるための開口（９）を
形成する。その後、このようにして形成された薄壁部
（７）の開口（９）を通して、水抜管（６）を直接外部
に突出せしめる。ブロック（１）の背面と土砂との隙間
には、裏込めコンクリートを打設する。さらに水抜管
（６）とブロック（１）の凹部（５）もしくは薄壁部
（７）との隙間は、モルタル等によって充填する。

【００１３】

【発明の効果】本発明によれば、ブロックに設けられた
凹部は十分な縦方向長さを有しているために、ブロック
の薄壁部にその都度適当な開口を設けるだけで、擁壁の
勾配が相当に緩やかであっても、凹部並びに開口を介し
て水抜管を確実にブロックの外部まで斜め下向きに挿通
させることができる。それゆえ水抜管内を流れる雨水等
は、水抜管内もしくは擁壁の内側に滞留することなく、
確実に外部に流出するようになる。

【００１４】

【図面の簡単な説明】

【図１】擁壁を構成するために積み上げられたブロック
の斜視図である。

【図２】ブロックの側面図である。

【図３】図２のＡ−Ａに沿った断面図である。

【図４】水抜管を挿通させた状態のブロックの縦断面図
である。

【図５】従来のブロックから成る擁壁の斜視図である。

【図６】従来のブロックから成る擁壁の縦断面図であ
る。

【符号の説明】 （１） ブロック （２）
ブロック列 （３） ブロック列 （４）
隣接位置 （５） 凹部 （６）
水抜管 （７） 薄壁部 （８）
鉄筋 （９） 開口

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 擁壁を構成するための大型積みブロック
   であって、ブロックの互いに隣接する側面に、水抜管を
   収容するための凹部が形成されているものにおいて、こ
   の凹部は、水抜管の外径の数倍の縦方向長さを有すると
   ともに、ブロックの前面側において薄壁部により閉じら
   れていることを特徴とする大型積みブロック。
2. 【請求項２】 ブロックの凹部に水抜管を収容させる際
   に、ブロックの薄壁部に、水抜管に適合する開口が形成
   され、この開口に水抜管が挿通される請求項１に記載の
   大型積みブロック。
3. 【請求項３】 ブロックの背面には、ブロックと裏込め
   材を一体化させるための連結部材が突設されている請求
   項１又は２に記載の大型積みブロック。