JP2520669Y2 - 車両用ステアリング装置のダストカバー取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は車両用ステアリング装置において、ステアリ
ングシャフトに外嵌されているダストカバーをダッシャ
パネルに固定する取付構造に関する。

（従来の技術） 通常、自動車等の車両におけるステアリング装置で
は、ハンドル操舵時の回転力を該ハンドルに連結された
ステアリングシャフトによって取り出し、車輪に連結さ
れているステアリングロッドをラック・ピニオン機構を
介し車体左右方向に摺動させて車輪を転舵させるように
構成される。

そのためには、上記のステアリングシャフトがダッシ
ュパネルを貫通して車室側からエンジンルームに配設さ
れることになるが、たとえば実開平１−130880号公報に
は、ステアリングシャフトがダッシュパネルを貫通する
部分において、該ステアリングシャフトに外嵌させたダ
ストカバーを車室側でダッシュパネルに固定することに
より、該シャフト貫通部をふさぐと共に、車内体裁を向
上させる技術が開示されている。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上記ダストカバーのダッシュパネルへの取
り付けは、通常、ステアリング装置を車体に配設した状
態で行われる。すなわちステアリングシャフトをダッシ
ュパネルに通して上述のラックピニオン機構と連結する
と共に、ステアリングシャフトを保持するステアリング
コラムならびにハンドルをダッシュパネルに支持させた
状態で行われ、ダストカバー取り付け時にはすでに該ダ
ストカバー取り付け部分周りにスペース的な余裕が少な
くなっている。また、ダッシュパネルに取り付けられた
ダストカバーが不測に回転するとステアリングシャフト
に対して位置ずれして、該シャフトにこじり力が働く不
都合があるため、ダストカバーは、たとえばボルトなど
の締結具を用いてダッシュパネルに固定する必要が生じ
る。

このため、ステアリング装置の配設後の狭い作業スペ
ース内でダストカバーをダッシュパネルにボルト止めし
なければならなくなって、ダストカバーの取り付け性に
欠けるきらいがあった。

そこで本考案は、狭い作業スペースであっても、ダス
トカバーをダッシュパネルに回り止めを施した状態で簡
便に取り付けることができる車両用ステアリング装置に
おけるダストカバー取付構造の提供を課題とする。

（課題を解決するための手段） すなわち本考案は、ステアリングシャフトがダッシュ
パネルを貫通している部分において、該ステアリングシ
ャフトに外嵌されているダストカバーが車室側でダッシ
ュパネルに留め付けられている車両用ステアリング装置
のダストカバー取付構造において、上記ダッシュパネル
の車室側にステアリングシャフト貫通穴を備えたセット
プレートが固定されると共に、該セットプレートに上記
貫通穴を囲んで車室側に突出する壁部が設けられ、該壁
部に上記ダストカバーが嵌合されると共に、この嵌合部
にダストカバーの回り止め部が設けられていることを特
徴とする。

（作用） 上記の構造によれば、ダストカバーをセットプレート
に設けられている壁部に嵌合させてダッシュパネルに取
り付けるので、セットプレートを予めダッシュパネルに
固定しておけば、ステアリング装置の車体に対する配設
後に、ステアリングシャフトに外嵌されているダストカ
バーをスライドさせて上記の壁部に嵌合させるだけで取
り付けが行え、しかも該嵌合部に設けられている回り止
め部によって自動的にダストカバーが回り止めされる。

（実施例） 次に、本考案の実施例を図面に基づき説明する。

第１図に示すステアリング装置１においては、車室２
側でダッシュアッパパネルに図示しない支持装置によっ
て支持されているステアリングコラム３に、一端がハン
ドル４に連結されているステアリングシャフト5aが通さ
れ、かつ該ステアリングシャフト5aの他端に別のステア
リングシャフト5b（第４図参照）が自在継手６を介して
連結されると共に、、このステアリングシャフト5bがダ
ッシュロアパネル７を貫通してエンジンルーム８内に配
設され、該エンジンルーム８において周知のラック・ピ
ニオン機構によりステアリングロッドに連結され、これ
によってハンドル操舵時の回転力がステアリングシャフ
ト5a,5bからステアリングロッドに伝達されるようにな
されている。

また、上記のステアリング装置１において、ダッシュ
ロアパネル７に設けられている取り付け穴９（第２図お
よび第４図に示す）にセットプレート10が取り付けられ
る。このセットプレート10はステアリング装置１の配設
前、または配設時に車室側においてダッシュロアパネル
７に当て付けられた状態でボルト11とナット12（第２図
および第３図参照）により該パネル７に固定されるもの
で、皿形状とされ、その周部に補強リブ13が形成される
と共に、内部にダッシュロアパネル７側の前記取り付け
穴９に対応するシャフト貫通穴14が開設される。その場
合、該シャフト貫通穴14はその一部が直線部とされた穴
とされると共に、該シャフト貫通穴14の内縁部に穴形状
にそって車室２側に突出する壁部15が設けられる。した
がって該壁部15もその一部に穴側の直線部に対応する直
線部15a（第３図参照）を備えることになる。

一方、ステアリングシャフト5bに外嵌されるダストカ
バー16はゴム製とされ、第２図ないし第４図に示すよう
に内部にステアリングシャフト5bを挿通させるシャフト
通し穴17が設けられると共に、ダストカバー16の上端部
にステアリングシャフト5b側を把持するシャフト把持部
16aが形成され、かつ該シャフト把持部16aの内周部にシ
ールリング18が嵌着される。そしてステアリングシャフ
ト5bに套嵌されている樹脂製のカラー19に上記のシャフ
ト把持部16aを外嵌させた状態で該ステアリングシャフ
ト5b側に取り付けられる。

また、上記のダストカバー16の下端部が上述のセット
プレート10における壁部15に適合して外嵌する嵌合部16
bとされる。したがって該嵌合部16bには壁部15の直線部
15aに対応する直線部16cが形成されており、ダストカバ
ー16はセットプレート10に対して、壁部直線部15aに嵌
合部直線部16cを合致させて嵌合され、これによって該
ダストカバー16がセットプレート10を介してダッシュロ
アパネル７に取り付けられる。

以上のようにダッシュロアパネル７にセットプレート
10を取り付け、該セットプレート10の壁部15に、ステア
リングシャフト5bならびにカラー19に外嵌させたダスト
カバー16を嵌合させる構造としているから、車両の組立
時、ダッシュロアパネル７に対して車室２側にセットプ
レート10を当て付け、かつエンジンルーム８側にラック
・ピニオン機構側のケース20を位置させた状態で、ダッ
シュロアパネル７とケース20ならびにセットプレート10
とを前記したボルト11とナット12で固定すると共に、ス
テアリングシャフト5bをセットプレート10のシャフト貫
通穴14を通して車室２からエンジンルーム８に配設し、
かつ該ステアリングシャフト5bを上記のラック・ピニオ
ン機構に連結させる作業時に、ステアリングシャフト5b
（詳しくはカラー19）に予め外嵌させているダストカバ
ー16を第４図の鎖線に示すように正規の位置よりもハン
ドル４側にずらした状態で上記作業を行い、その後に第
４図の鎖線位置からダストカバー16をカラー19およびス
テアリングシャフト5bにそって降ろして、その嵌合部16
bをセットプレート10の壁部15に嵌合させれば、ダスト
カバー16がセットプレート10を介してダッシュロアパネ
ル７に固定されることになる。そして、セットプレート
10とダストカバー16との嵌合が壁部15と嵌合部16bとの
互いの直線部15a,16cを合致させてなされることによ
り、該ダストカバー16の回り止めが自動的に行れる。

したがって、ダストカバー16の取り付けは、ステアリ
ング装置１の配設後にダストカバー16をカラー19ならび
にステアリングシャフト5bにそって移動させてセットプ
レート10に嵌めるだけで済み、スペース的に余裕のない
ステアリング装置周りでボルト止め等の煩雑な作業を行
う必要がなくなって、ダストカバー16の取り付け性が向
上する。

（考案の効果） 以上の記載によって明らかなように、本考案によれ
ば、ダストカバーをセットプレートに設けられている壁
部に嵌合させてダッシュパネルに取り付けるので、セッ
トプレートを予めダッシュパネルに固定しておけば、ス
テアリング装置の車体に対する配設後に、ステアリング
シャフトに外嵌されているダストカバーをスライドさせ
て上記の壁部に嵌合させるだけで該ダストカバーの取り
付けが行え、しかも該嵌合部に設けられている回り止め
部によって自動的にダストカバーが回り止めされる。し
たがってダストカバーの取り付けが簡便に行えて作業性
が向上する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案にかかる車両用ステアリング装置のダスト
カバー取付構造の実施例を示し、第１図はステアリング
装置の側面図、第２図はダストカバー取り付け部分の拡
大図、第３図は第２図のIII−III線矢視図、第４図は第
３図のIV−IV線矢視切断拡大図である。 １……ステアリング装置、5a,5b……ステアリングシャ
フト、７……ダッシュパネル（ダッシュロアパネル）、
10……セットプレート、14……シャフト貫通穴、15……
壁部、15a,16a……回り止め部（15aは壁の直線部、16a
はダストカバーの直線部）、16……ダストカバー。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ステアリングシャフトがダッシュパネルを
   貫通している部分において、該ステアリングシャフトに
   外嵌されているダストカバーが車室側でダッシュパネル
   に留め付けられている車両用ステアリング装置のダスト
   カバー取付構造であって、上記ダッシュパネルの車室側
   にステアリングシャフト貫通穴を備えたセットプレート
   が固定されると共に、該セットプレートに上記貫通穴を
   囲んで車室側に突出する壁部が設けられ、該壁部に上記
   ダストカバーが嵌合されると共に、この嵌合部にダスト
   カバーの回り止め部が設けられていることを特徴とする
   車両用ステアリング装置のダストカバー取付構造。