JP2520477B2 - メダル搬送機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 ［産業上の利用分野］ 本発明は、投入されたメダルを、無端ベルト間に挟持
しつつ搬送するメダル搬送機に関する。

［従来の技術］ 従来、この種のメダル搬送機は、一対の無端ベルトを
所定範囲にわたって接触させて形成された挟持搬送部を
備えており、この挟持搬送部にてメダルを挟持しつつ搬
送することにより、所望する方向、即ち水平方向ばかり
か上方あるいは下方へ、メダルを確実に搬送することが
できるもので、種々の分野で利用されている。

例えば、遊技ホール等の床面に設置したメダル回収機
からスロットルマシン，メダル貸出機へメダルを供給す
るメダル供給機へ至る垂直な経路には、上記の様なメダ
ル搬送機が設置され、メダル回収機からメダル供給機等
にメダルを垂直に搬送している。

又、メダルを挟持して搬送しているので、メダルを搬
送経路から落下させたり、搬送中のメダルどうしを接触
させたりすることがない。このため、傷つき易い金貨等
の搬送機としても利用されている。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、上記したメダル搬送機であっても、次
の様な問題点が残されている。

上記メダル搬送機の挟持搬送部に、メダルが重なった
状態で送り込まれると、重なったメダルの厚み分の隙間
がベルト間に生じ、その隙間が生じた部分の周辺では、
ベルトの接触度合が変化し、その付近で挟持していたメ
ダルのズレや落下を招いていた。また、重なったまま挟
持されたメダル自体についても、搬送過程で落下した
り、ズレが生じることがあった。

これに対し、従来は、上記メダル搬送機の上流側に、
メダル回収機等からのメダルを一つずつ順次排出するメ
ダル排出機器が配置されてはいたが、その信頼性が低く
現実的な解決には至っていなかった。

本発明は、上記問題点を解決するためになされたもの
で、上述の如き挟持搬送部を備えるメダル搬送機におい
て、メダルを一つずつ順次排出するメダル排出機器を用
いなくとも、挟持搬送部へメダルを重なることなく適正
なペースで順次送り込み可能とすることを目的とする。

発明の構成 ［課題を解決するための手段］ かかる目的を達成するために本発明の採用した手段
は、 第１の無端ベルトによって形成され、搬送面上に載置
されるメダルを下流側へと搬送可能な載置搬送部と、 該載置搬送部に連続する下流側で、前記第１の無端ベ
ルトに対し、第２の無端ベルトを所定範囲にわたって接
触されて形成され、前記載置搬送部から供給されるメダ
ルを、前記第１、第２の無端ベルトの接触部分で挟持し
つつ搬送可能な挟持搬送部と を備えたメダル搬送機において、 前記第１、第２の無端ベルトを、平滑な搬送面を有す
るベルトとし、 前記載置搬送部を、積層されたメダル同士の摩擦角よ
り大きくて、前記第１の無端ベルトの搬送面に対するメ
ダルの摩擦角より小さい角度で、上流側から下流側へ上
り勾配に設け、 更に、前記第２の無端ベルトを、モータによって循環
駆動すると共に、前記第１の無端ベルトは、前記第２の
無端ベルトとの接触部分に作用する摩擦力によって循環
駆動する構造としたことをその要旨とする。

［作用］ 上記構成を有する本発明のメダル搬送機では、載置搬
送部を、積層されたメダル同士の摩擦角より大きくて、
搬送面に対するメダルの摩擦角より小さい角度で、上流
側から下流側へ上り勾配に設けたので、載置搬送部に対
してメダルが積み重なったまま供給された場合、メダル
の上に重なったメダルは送り出し途中で搬送方向の上流
側に滑落し、その一方、搬送面に直接接触しているメダ
ルは滑落しない。その結果、メダルの積み重なりが解消
され、挟持搬送部へはメダルが１枚ずつ供給される。し
たがって、本発明のメダル搬送機にメダルを供給するに
当たっては、メダルを１枚ずつ供給する様なメダル排出
機器を使わなくても、挟持搬送部にメダルが積み重なっ
たまま侵入することはなく、挟持搬送部におけるメダル
の落下やズレ等が防止される。

尚、本発明においては、連続する１本の無端ベルトで
載置搬送部と挟持搬送部とを構成してあるので、載置搬
送部及び挟持搬送部における搬送のペースは常に一致
し、面倒な調整をしなくても、載置搬送部から過剰なペ
ースで挟持搬送部にメダルが供給されることはない。

また特に、挟持搬送部に過剰気味にメダルが保持され
ると、第１、第２の無端ベルト相互に接触面積が減っ
て、両者間に作用する摩擦力が低下してスリップが発生
し、従動側である第１の無端ベルトが、やや遅れ気味に
追従動作する状況になることがあり、この様な状況に陥
った場合、挟持搬送部におけるメダルの搬送速度は、速
くても第２の無端ベルトの動作速度、遅いと第１の無端
ベルトの動作速度となる可能性があり、平均的には両者
の中間的な搬送速度となって、第２の無端ベルトの動作
速度の割には、メダルの搬送速度が低下するが、この時
は、第１の無端ベルトの動作速度でメダルを載置搬送部
から挟持搬送部へ供給するため、載置搬送部での搬送ペ
ースが挟持運搬部での搬送ペースを上回ることはなく、
挟持搬送部に過剰に抱え込んだメダルが徐々に放出され
て行くのに伴って、第１の無端ベルトの動作速度は次第
に回復して行く。

［実施例］ 次に、本発明に係るメダル搬送機の実施例について図
面に基づき説明する。

第１図は本実施例のメダル搬送機の模式図、第２図は
このメダル搬送機や複数台のスロットマシーン，台間メ
ダル貸出器等から構成される一つの島の概略図である。

まず、全体の構成について説明する。第２図に示すよ
うに、遊技ホールの島は、スロットマシーン１とメダル
貸出器２とが複数配列された列（以下、機器列という）
を中心として構成され、この機器列の上部及び下部に設
置されたメダルの送り出し用コンベア3,メダルの回収用
コンベア４、メダルを洗浄すると共に洗浄済みのメダル
を送り出し用コンベア３に揚送するメダル研磨兼循環装
置５、回収用コンベア４の搬送したメダルをメダル研磨
兼循環装置５に回収するためのメダル搬送機６等を備え
ている。

島海に設置されたメダル研磨兼循環装置５は、ペレッ
ト（研磨材）とメダルとを撹拌・混合することによりメ
ダルを洗浄し、洗浄済みのメダルを内部に一定量貯留す
ると共に、洗浄済みのメダルを一枚ずつ図示しないコン
ベアにより送り出し用コンベア３に揚送する。

機器列の上方を走る送り出し用コンベア３は、メダル
研磨兼循環装置５からのメダルを各スロットマシーン1,
メダル貸出器２に運搬するものである。これで運搬され
たメダルは、これら各機器の要求に応じてソレノイドを
利用した排除用部材3aで、送り出し用コンベア３から各
機器のメダル受け入れ口へ排除・投入される。

機器列の下方を走る回収用コンベア４は、各スロット
マシーン1,メダル貸出器２の図示しない排出経路から排
出されたメダルを、メダル搬送機６に送り返すものであ
る。

従って、島内のメダルは、メダル研磨兼循環装置5,送
り出し用コンベア3,各スロットマシーン1,メダル貸出器
2,回収用コンベア4,メダル搬送機６の順に循環してい
る。

次に、メダル搬送機６について説明する。

第１図に示すように、メダル搬送機６は、回収用コン
ベア側４が回収したメダルを投入するための投入部７と
投入されたメダルを揚送するための揚送部８とから構成
されている。この投入部７は、回収用コンベア側４の末
端に臨んで開口した回収タンク10、回収タンク10の底部
開口部にほぼ接した状態で設けられてメダルを図中矢印
Ａで表す方向に送り出す回収送り出しコンベア11等を備
え、揚送部８は、長短一対の無端ベルト12,13、及び両
無端ベルト12,13を回転させる駆動モータ14、駆動モー
タ14の回転がベルト15を介して伝達される駆動ローラ16
等を備えている。

各無端ベルト12,13は、駆動ローラ16を共通にして、
それぞれ次のようにして揚送部８内に張られている。

無端ベルト12は、メダルに対するベルト表面の摩擦係
数がメダルどうしの摩擦係数より大きな値であり、無端
ベルト12に押圧バネの付勢力を利用してテンシュンをか
けるテンションローラ17から駆動ローラ16までの間を約
15度の角度で傾斜し、上記駆動ローラ16及びテンション
ローラ17の他、従動ローラ18,19,20,21,22,23等によ
り、図示するように閉ループを形成している。この無端
ベルト12の傾斜部分には、投入部７の回収送り出しコン
ベア11から送り出し樋24を介してメダルが投入される。

無端ベルト12の傾斜角度θ（15度）は、メダルどうし
の摩擦角（静止摩擦角）μＭより大きな角度であり、か
つメダルに対するベルト表面の摩擦角（静止摩擦角）μ
Ｂより小さな角度として定められている。つまり、第３
図に示すように、メダル重力ＦMG×sinθで求まる斜面
方向分力ＦMS，メダル重力ＦMG×sinμＢで求まるベル
ト表面の最大静止摩擦力ＦM1，メダル重力ＦMG×sinμ
Ｍで求まるメダルどうしの最大静止摩擦力ＦM2とは、μ
Ｍ＜θ＜μＢであるために、ＦM2＜ＦMS＜ＦM1なる関係
にある。

一方、無端ベルト13は、駆動ローラ16の他、無端ベル
ト13に押圧バネの付勢力を利用してテンションをかける
テンションローラ25,従動ローラ26,27,28,29等により図
示するように閉ループを形成して張られており、隣接す
る従動ローラ21,29と駆動ローラ16との間にわたって、
無端ベルト12に接合している。

従って、駆動モータ14により駆動ローラ16が図中矢印
Ｂで示す方向に回転すると、無端ベルト12は図中矢印C,
D,E,Fで示すように、一方、無端ベルト13は図中矢印C,
G,H,Iで示すようにそれぞれ回転する。

尚、無端ベルト２の傾斜部の上方には、当該ベルト表
面に直に接触しているメダル上面に付着しているゴミ等
を除去するためのゴム製のスクレーパ30が設けてある。

又、無端ベルト12,13の接合部の末端には、第２図に
示すメダル研磨兼循環装置５内の図示しないメダル貯留
タンクに通じるメダル排出樋31が設置されている。

次に、上記構成を備えた本実施例のメダル搬送機６に
よるメダル搬送について説明する。

以上説明した構成の内、無端ベルト12の傾斜部が、本
発明の載置搬送部に相当し、無端ベルト12、13の接合部
が、本発明の挟持搬送部に相当する。

各スロットルマシン１から排出されたメダルＭは、回
収用コンベア４により搬送されて投入部７の回収タンク
10内に一時貯められた後、回収送り出しコンベア11によ
り回収タンク10底部から投入部７外部へ運び出される。
このようにして運び出されたメダルＭは、上記したよう
に回転している無端ベルト12の傾斜部に投入され、図示
するように無端ベルト12の傾斜部の経路上に堆積する。

メダルに対する無端ベルト12表面の摩擦係数はメダル
どうしの摩擦係数より大きな値であり、しかも、この無
端ベルト12の傾斜角度（15度）はメダルどうしの摩擦角
より大きく、かつメダルに対するベルト表面の摩擦角よ
り小さな角度であるため、第３図に示すように、無端ベ
ルト12上に堆積したメダルＭのうち、この無端ベルト12
に直に接触しているメダルM1にはメダル重力ＦMGの斜面
方向分力ＦMSより大きな摩擦力ＦM1が作用し、一方、こ
のメダルM1に乗り上げた状態にあるメダルM2には、斜面
方向分力ＦMSより小さな摩擦力ＦM2が作用している。

従って、無端ベルト12に直に接触しているメダルM1の
みがベルトの回転に伴い傾斜部の経路にそって搬送さ
れ、一方、メダルM1に乗り上げた状態にあるメダルM2は
傾斜部の経路にそって滑り落ちる。

この結果、駆動ローラ16による無端ベルト12及び13の
接合部へは、無端ベルト12に直に接触しているメダルM1
のみが順次送り出され、当該メダルM1のみが両無端ベル
ト間に挟持されて図中矢印Ｃで示す方向に、無端ベルト
12,13の接合部の末端である従動ローラ21,29間まで揚送
される。そして、揚送されたメダルM1は、メダル排出樋
31を滑り落ち、メダル研磨兼循環装置５内の図示しない
メダル貯留タンクに流入する。

この様に、本実施例のメダル搬送機６によれば、メダ
ルを一つずつ順次送り出すような何等特殊な機器を使用
しなくとも、無端ベルト12,13の接合部へメダルを確実
に重なることなく順次送り込むことができる。このた
め、接合部に送り込まれて挟持されている上記無端ベル
トの接合範囲における各メダルはそれぞれ均一に無端ベ
ルト間に挟持されたまま、上方へ確実に搬送される。

又、本実施例では、傾斜部上のメダルに付着したゴミ
等をスクレーパ30で除去するようにしたので、無端ベル
トの接合範囲における各メダルの挟持はより一層均一と
なる。

以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこ
うした実施例に何等限定されるものではなく、その要旨
を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る
ことは勿論である。

例えば、本実施例では、無端ベルト12の傾斜部の傾斜
角度を約15度としたが、メダルどうしの摩擦角より大き
く、かつメダルに対するベルト表面の摩擦角より小さな
範囲の角度であれば、いかように定めてもよい。この範
囲内でできるだけ大きな角度とすれば、傾斜部における
経路を短くすることができ好ましい。

発明の効果 以上実施例を含めて詳述したように、本発明のメダル
搬送機によれば、載置搬送部に投入されたメダルのう
ち、載置搬送部の搬送面に直に接触したメダルの上に積
層したメダルを、挟持搬送部への搬送中に上流側へ滑落
させ、載置搬送部の搬送面に直に接触したメダルのみ
を、一枚ずつ順次挟持搬送部に確実に送り出すことがで
きる。この結果、挟持搬送部では、一枚ずつメダルを挟
持してメダルを落下させたりすることなく、所望する方
向に確実に搬送することができる。

しかも、載置搬送部及び挟持搬送部における搬送のペ
ースは常に一致し、面倒な調整をしなくても、載置搬送
部から過剰なペースで挟持搬送部にメダルが供給される
ことはなく、仮に挟持搬送部でベルト間にスリップが発
生しても、やはり、載置搬送部から過剰なペースで挟持
搬送部にメダルが供給されることはない。

したがって、従来使われていた様な、メダルを一つず
つ順次排出するメダル排出機器は不要となり、メダル排
出機器が占めていた設置スペースも、他に有効に活用で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は実施例のメダル搬送機の模式図、第２図は実施
例のメダル搬送機の設置された遊技ホールの一つの島の
概略図、第３図は実施例のメダル搬送機の作用・効果を
説明するための説明図である。 １……スロットマシーン、２……コイン貸出器 ３……送り出し用コンベア、４……回収用コンベア ５……コイン研磨兼循環装置、６……メダル搬送機 ７……投入部、８……揚送部 11……回収送り出しコンベア 12,13……無端ベルト、16……駆動ローラ 17,25……テンションローラ 18〜23,26〜29……従動ローラ

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】第１の無端ベルトによって形成され、搬送
   面上に載置されるメダルを下流側へと搬送可能な載置搬
   送部と、 該載置搬送部に連続する下流側で、前記第１の無端ベル
   トに対し、第２の無端ベルトを所定範囲にわたって接触
   させて形成され、前記載置搬送部から供給されるメダル
   を、前記第１、第２の無端ベルトの接触部分で挟持しつ
   つ搬送可能な挟持搬送部と を備えたメダル搬送機において、 前記第１、第２の無端ベルトを、平滑な搬送面を有する
   ベルトとし、 前記載置搬送部を、積層されたメダル同士の摩擦角より
   大きくて、前記第１の無端ベルトの搬送面に対するメダ
   ルの摩擦角より小さい角度で、上流側から下流側へ上り
   勾配に設け、 更に、前記第２の無端ベルトを、モータによって循環駆
   動すると共に、前記第１の無端ベルトは、前記第２の無
   端ベルトとの接触部分に作用する摩擦力によって循環駆
   動する構造としたこと を特徴とするメダル搬送機。