JP2519640B2 - 色模様を有する成形物の製造方法 - Google Patents

色模様を有する成形物の製造方法

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JP2519640B2 JP4301746A JP30174692A JP2519640B2 JP 2519640 B2 JP2519640 B2 JP 2519640B2 JP 4301746 A JP4301746 A JP 4301746A JP 30174692 A JP30174692 A JP 30174692A JP 2519640 B2 JP2519640 B2 JP 2519640B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、色模様を有する成形物
の製造方法に係り、更に詳しくは、表面に立体的な深み
のある色模様が施された成形物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、色模様を有する成形物の製造方法
として、例えば特開平3−21362号公報の多重色模
様塗装用スプレーガンを用いて、複数色の着色ゲルコー
ト樹脂を、スプレーガンのガンヘッドに設けられた噴射
口から下型の平坦な型面に吹き付けて着色ゲルコート層
を設け、次いでこの着色ゲルコート層上に裏打ち層を積
層して、前記下型に上型を嵌合することにより、表面に
御影石調の多重色模様を有する成形物を製造するものが
知られている。なお、この従来のスプレーガンは、複数
色の着色ゲルコート樹脂を1個の噴射口から吹き付ける
直前で混合する構造になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の多重色模様を有する成形物の製造方法において、こ
のように噴射口から吹き付けられた着色ゲルコート樹脂
は、下型の平坦な型面に直接塗布されるので、製造され
た成形物の表面の多重色模様は平面的になり、立体感に
欠けた深みのない模様になっていた。また、前述したよ
うに、従来のスプレーガンは、複数色の着色ゲルコート
樹脂を1個の噴射口から吹き付ける直前で混合するの
で、スプレーガンの噴射口からは完全には混合していな
いものの、一体化した状態の複数色の着色ゲルコート樹
脂が吹き付けられる。これにより、下型に吹き付けられ
た着色ゲルコート層には、一部に複数色の着色ゲルコー
ト樹脂が混ざり合った中間色が発生し、天然の御影石に
比べて若干ながら違和感がある。しかも、この複数色の
着色ゲルコート樹脂の混ざり具合は、温度変化によるゲ
ルコート樹脂の粘性に左右されるので、色調のバラツキ
が大きく再現性に乏しいという問題点があった。本発明
はこのような事情に鑑みてなされたもので、立体的な深
みのある単色または多重色の色模様が現出でき、また複
数色の着色ゲルコート樹脂の混合による中間色の発生を
防止でき、これにより再現性の向上ができる色模様を有
する成形物の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の色模様を有する成形物の製造方法は、下型の型面
に、透明ゲルコート樹脂を塗布して透明ゲルコート層を
設け、該透明ゲルコート層が完全に乾かないうちに、着
色ゲルコート樹脂をスプレーガンにより液滴状態で吹き
付けて着色ゲルコート層を設けることにより、吹き付け
られた前記各液滴状態の着色ゲルコート樹脂の一部が、
半乾きの前記透明ゲルコート層に丸い液滴状態を保持す
るように浸透し、次いで前記着色ゲルコート層上に裏打
ち材からなる裏打ち層を積層し、続いて前記下型に上型
を嵌合して成形物を製造する色模様を有する成形物の製
造方法であって、前記スプレーガンとして、それぞれの
色の前記着色ゲルコート樹脂を単独で吹き付ける複数の
噴射口を有し、かつそれぞれの前記着色ゲルコート樹脂
の主剤と硬化剤とを混合するスタティックミキサを設け
たものを採用し、また前記スプレーガンにより複数色の
前記着色ゲルコート樹脂をそれぞれの前記噴射口から単
独で吹き付けて多色模様の前記着色ゲルコート樹脂を設
ける構成としている。
【0005】
【作用】請求項1記載の色模様を有する成形物の製造方
法においては、下型の型面に、透明ゲルコート樹脂を塗
布して透明ゲルコート層を設け、この透明ゲルコート層
が完全に乾かないうちに、スプレーガンにより着色ゲル
コート樹脂を透明ゲルコート層に向かって液滴状態で吹
き付けることにより、色模様が現出した着色ゲルコート
層が積層されている。この際、吹き付けられた液滴状態
の着色ゲルコート樹脂は、その一部が半乾きの透明ゲル
コート層に浸透した状態でこの層に付着している。次い
で、着色ゲルコート層上に裏打ち材を塗布して裏打ち層
を積層し、それから下型に上型を嵌合して成形物を成形
すると、製造された成形物の表面からは、所定厚さの透
明ゲルコート層を通して、一部が透明ゲルコート層に浸
透して立体的に硬化した着色ゲルコート樹脂からなる着
色ゲルコート層の色模様が見える。従って、成形物の模
様は立体的な深みのある模様になる。そして、下型の透
明ゲルコート層に、スプレーガンの操作により複数の噴
射口から各色の着色ゲルコート樹脂をそれぞれ分離状態
で噴射することにより、各色の着色ゲルコート樹脂は互
いに混ざり合うことなく透明ゲルコート層に吹き付けら
れるので、複数色の着色ゲルコート樹脂の混合による中
間色の発生を防止できて、この透明ゲルコート層上に色
目が明瞭な再現性のある多色模様の着色ゲルコート層が
できる。しかも、噴射口から吹き付けられる直前にスタ
ティックミキサにより着色ゲルコート樹脂の主剤と硬化
剤とを混合するようにしたので、二液混合のスプレーガ
ンが軽量になり、長時間の成形作業に耐え得る。
【0006】
【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明
を具体化した実施例につき説明し、本発明の理解に供す
る。ここに、図1は本発明の一実施例に係る色模様を有
する成形物の製造方法に適用されたスプレーガンの斜視
図、図2は同スプレーガンの正面図、図3は同スプレー
ガンの側面図、図4(a)は本発明の一実施例に係る色
模様を有する成形物の製造方法の透明ゲルコート層の成
形中の拡大断面図、図4(b)は同着色ゲルコート層の
成形中の拡大断面図、図4(c)は同裏打ち層の成形中
の拡大断面図、図5は同成形型の嵌合中の拡大断面図、
図6は同製造された成形物の拡大断面図、図7は同製造
された成形物の一部拡大平面図を示す。
【0007】本発明の一実施例に係る色模様を有する成
形物の製造方法を説明する。まず、本発明の一実施例に
使用されるスプレーガン10の構成を説明する。図1に
示すように、スプレーガン10はグリップ11の上部に
操作スイッチ12を設けており、グリップ11の下部に
は操作用のエアE1の吸排気部13を設けている。グリ
ップ11上には横長なL字鋼状の連結部材14を設けて
おり、連結部材14には3個のガンヘッド15(15
a、15b、15c)を横並び状態で取り付けている。
各々のガンヘッド15の先端部には材料の噴射口16が
開口された3個のノズル部17を設けており、各ガンヘ
ッド15の下部にはモータを有する攪拌装置を用いなく
ても二液の混合が可能なスタティックミキサ18と、エ
アチューブ19を一組づつ垂設している。また、各ガン
ヘッド15のスタティックミキサ18とエアチューブ1
9の下端部には、3個のジョイントブロック20(20
a、20b、20c)が連結されている。
【0008】図2、3に示すように、それぞれのジョイ
ントブロック20内には、スタティックミキサ18に連
通する材料供給路21と、エアチューブ19に連通して
エアE2が圧送されるL字形に屈曲したエア供給路22
とが左右に配設されている。また、それぞれのジョイン
トブロック20の前部には、材料供給路21に連通して
主剤A(A1、A2、A3)を供給する主剤路23と、
硬化剤Bを供給する硬化剤路24とが上下に配設されて
いる。ジョイントブロック20aの主剤A1は白色の着
色ゲルコート樹脂であり、ジョイントブロック20bの
主剤A2は灰色の着色ゲルコート樹脂であり、ジョイン
トブロック20cの主剤A3は黒色の着色ゲルコート樹
脂であって、それぞれ3個の比較的低圧なポンプ25に
より各々の主剤路23に供給される。なお、主剤A1〜
A3は、それぞれ硬化剤Bが混合されて着色ゲルコート
樹脂A1′、A2′、A3′となる。また、図3に示す
ようにそれぞれのジョイントブロック20の主剤路23
側の後部には、パイロットシリンダ26を設けている。
以下、図3を参照してパイロットシリンダ26を詳細に
説明する。
【0009】ジョイントブロック20の後部には気室2
7が形成されており、気室27の外部側の開口部を被う
ようにピストンケース28を設けている。ピストンケー
ス28内には、スプリング29により常時、主剤路23
側に付勢されたピストン30をオーリング31を介して
収納している。また、ピストン30の内面には、気室2
7を通過して主剤路23側へ延びる長尺なロッド32を
設けている。ロッド32の先端部には、主剤路23の排
出側の開口部を開閉する弁33を設けており、気室27
の材料供給路21側の開口部には、ロッド32との隙間
を埋める一対のパッキン34を配設している。また、ジ
ョイントブロック20の下部には、グリップ11側から
供給されるエアE1の流入孔35が気室27に連通状態
で穿孔されている。操作スイッチ12を押すとグリップ
11側からのエアE1は流入孔35から気室27内に圧
送され、スプリング29のばね力に抗してピストン30
をピストンケース28内に押し込み、これによりロッド
32が同図矢印方向に引かれて、主剤路23と材料供給
路21を連通させる。次に、同じく図3を参照しなが
ら、硬化剤Bがそれぞれの硬化剤路24に流入される流
入経路を詳細に説明する。
【0010】図3に示すように、硬化剤路24の下流側
の開口部には常閉のチェック弁36を設けており、また
吸排気部13からパイロットシリンダ26にエアE1を
供給する流路系の途中に圧力スイッチ37を設けてい
る。この流路系にエアE1が流れて圧力スイッチ37に
入力があるとポンプ38が作動し、硬化剤Bはそれぞれ
のジョイントブロック20の硬化剤路24に供給され、
硬化剤Bの流圧により開弁したチェック弁36を経て材
料供給路21内に流入する。図1に示すように、それぞ
れのエア供給路22は、常時エアを供給する外設のブロ
ア装置39に接続されており、ブロア装置39よりエア
E2がそれぞれのジョイントブロック20のエア供給路
22内に供給される。なお、このブロア装置39は前記
グリップ11の吸排気部13にエアE1を供給するブロ
ア装置を兼務している。
【0011】次にまた、図3に示すように、それぞれの
ジョイントブロック20の下部には、材料供給路21に
連結した洗浄剤Cの流入部40を突設している。スプレ
作業の終了後、流入部40に洗浄剤Cを供給する洗浄系
を接続し、ポンプ41により流入部40内に洗浄剤Cを
供給すると、供給された洗浄剤Cの流圧により流入部4
0内に設けられた常閉のチェック弁42が開弁され、洗
浄剤Cは材料供給路21、スタティックミキサ18の内
部流路そしてガンヘッド15やノズル部17内の流路に
圧送されて、これらの流路および噴射口16を洗浄す
る。
【0012】次に、このスプレーガン10の動作を説明
する。図3に示すように、グリップ11を握って操作ス
イッチ12を押すと、吸排気部13からのエアE1の主
流は、それぞれのジョイントブロック20に配設された
パイロットシリンダ26の流入孔35から気室27内に
流入し、スプリング29のばね力に抗してピストン30
を後方に押し込み、ロッド32が後退して主剤路23を
塞ぐ弁33が開弁する。これにより、それぞれのポンプ
25により主剤路23内まで供給された主剤Aは材料供
給路21内に流入する(図2参照)。一方、吸排気部1
3から流出したエアE1の一部は圧力スイッチ37を入
力させてポンプ38を作動させ、硬化剤Bがそれぞれの
ジョイントブロック20の硬化剤路24内に流入し、チ
ェック弁36を開弁させて同じく材料供給路21内に流
入する。
【0013】それぞれのジョイントブロック20の材料
供給路21内では、主剤Aと硬化剤Bが混在状態にな
り、その後スタティックミキサ18内に流入して、この
スタティックミキサ18を通過することにより両剤A、
Bは完全混合されて着色ゲルコート樹脂A1′〜A3′
になり、ガンヘッド15内の流路に流れ込む。このと
き、ブロア装置39からのエアE2がエア供給路22お
よびエアチューブ19を経てガンヘッド15内のニード
ル弁が設けられた流路に供給されており、このエアE2
により液滴状態にされた着色ゲルコート樹脂A1′〜A
3′は、ノズル部17内の流路を経て、それぞれの噴射
口16から各々混ざり合うことなく個別に噴射される。
すなわち、図1に示すように、ガンヘッド15a側の噴
射口16からは白色の着色ゲルコート樹脂A1′が噴射
され、ガンヘッド15b側の噴射口16からは灰色の着
色ゲルコート樹脂A2′が噴射され、ガンヘッド15c
側の噴射口16からは黒色の着色ゲルコート樹脂A3′
が噴射される。このように、主剤Aと硬化剤Bはスタテ
ィックミキサ18により混合されてガンヘッド15に流
入し、ここで混合後直ちにエアチューブ19から供給さ
れた高圧のエアにより噴射口16から噴射されるので、
予め主剤Aと硬化剤Bを混合状態で容器内に貯留し、混
合から吹き付けまでの間に比較的長時間かかるものに比
べて、この混合から噴射までの時間が短くなり硬化によ
るスプレーガン10内の目詰まりが起き難い。
【0014】次に、スプレーガン10の洗浄時には、図
3に示すように、それぞれのジョイントブロック20の
流入部40に外設の洗浄系を接続し、ポンプ41により
洗浄剤Cを流入部40に供給すると、洗浄剤Cの流圧に
より流入部40内のチェック弁42が開弁し、洗浄剤C
は材料供給路21内に流入してスプレーガン10の主剤
流路系を洗浄する。このように、混合状態の主剤Aと硬
化剤Bが流通する範囲は、スタティックミキサ18から
ガンヘッド15の噴射口16までの比較的容積が小さい
範囲であり、よって使用後の洗浄作業が容易になる。こ
のスプレーガン10は、図5に示すような上、下型4
3、44により成形される成形物45の成形工程に使用
される。続いて、スプレーガン10を用いた本発明の一
実施例に係る色模様を有する成形物の製造方法について
説明する。
【0015】図4(a)に示すように、下型43の型面
に透明ゲルコート樹脂を塗布して透明ゲルコート層46
を設け、次いで図4(b)に示すように、透明ゲルコー
ト層46が完全に乾かないうちにこの透明ゲルコート層
46上に着色ゲルコート層47を成形する。次に、この
着色ゲルコート層47の成形方法を具体的に説明する。
図4(b)に示すように、スプレーガン10を下に向け
て操作スイッチ12を押すと、ガンヘッド15a、15
b、15cの各ノズル部17の噴射口16からはそれぞ
れ白色の着色ゲルコート樹脂A1′、灰色の着色ゲルコ
ート樹脂A2′、黒色の着色ゲルコート樹脂A3′が、
互いに混ざり合わない液滴状態で下型43の型面に吹き
付けられる。これにより、各色の着色ゲルコート樹脂A
1′〜A3′は互いに混ざり合うことなく透明ゲルコー
ト層46に吹き付けられて、色目が明瞭な多重色模様の
一例としての御影石模様を現出した着色ゲルコート層4
7が積層される(図7参照)。
【0016】この際、図6の部分拡大図に示すように、
吹き付けられた各着色ゲルコート樹脂A1′〜A3′
は、その一部が半乾きの透明ゲルコート層46に浸透し
た立体感のある状態でこの層46の表面に付着してい
る。なお、このスプレーガン10はガンヘッド15内の
ニードル弁の調整により、霧状のものからこの御影石の
ような粒の大きな液滴状の着色ゲルコート樹脂A1′〜
A3′まで選択的に噴射できる。従って、着色ゲルコー
ト層47にはこのように粒の大きな模様だけでなく粒の
小さな模様も造ることができる。次いで、図4(c)に
示すように、着色ゲルコート層47上に裏打ち材を塗布
して所定厚さの裏打ち層48を積層する。本実施例の裏
打ち材は、結合材としての不飽和ポリエステル樹脂に、
石粉および水酸化アルミニウム粉末からなる充填材を添
加したものが採用されているが、これに限定しなくて
も、例えばFRPなどのその他の裏打ち材であってもか
まわない。次にまた、図5に示すように、下型43に上
型44を嵌合して図6、7に示す成形物45を製造す
る。
【0017】このように、下型43の型面に、スプレー
ガン10の操作により3つの噴射口16から3色の着色
ゲルコート樹脂A1′〜A3′をそれぞれ分離状態で噴
射することにより、各色の着色ゲルコート樹脂A1′〜
A3′は互いに混ざり合うことなく吹き付けられるの
で、従来手段のものでは噴射口からの噴射前の混合によ
り中間色が発生して模様の色目がぼやけたり、同じ模様
ができにくかったのに比ベて、本手段では複数色の着色
ゲルコート樹脂の混合による中間色の発生がなくなり、
この型面上に図7に示すような色目が明瞭な再現性のあ
る御影石模様の着色ゲルコート層47ができる。また、
着色ゲルコート層47の成形時に、液滴状の各着色ゲル
コート樹脂は、その一部が透明ゲルコート層46に浸透
してこの層46に付着するので、製造された成形物45
の表面からは、所定厚さの透明ゲルコート層46を通し
て立体感を保持して硬化した着色ゲルコート層47の色
目の異なる液滴群からなる御影石模様が見え、ちょうど
肉厚の透明ガラス内に埋め込まれた物体を見るように、
この成形物45の模様は立体的な深みのある模様にな
る。また、スプレーガン10の主剤Aと硬化剤Bの混合
手段としてスタティックミキサ18を採用したので、ス
プレーガン10が軽量になり、長時間の成形作業に耐え
得るものが提供できる。
【0018】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではなく、要旨を
逸脱しない範囲での設計変更などがあっても本発明に含
まれる。例えば、実施例では、スプレーガンとして、主
剤と硬化剤の混合手段にスタティックミキサを採用した
ものを示したが、これに限定しなくても、例えばガンヘ
ッドに電動式のミキサを取り付けたものなど、その他ど
のようなスプレーガンであってもよい。また、実施例で
は、3色の着色ゲルコート樹脂を3個のガンヘッドを有
するスプレーガンにより吹き付けて3重色模様を有する
成形物の製造方法を例示したが、これに限定しなくて
も、例えば単色の着色ゲルコート樹脂を1個のガンヘッ
ドを有するスプレーガンにより吹き付けて単色模様の成
形物を製造したり、2色または4色以上の着色ゲルコー
ト樹脂をそれぞれ対応する個数のガンヘッドを有するス
プレーガンにより吹き付けてその他の多重色模様の成形
物を製造する方法にも採用できる。
【0019】
【発明の効果】請求項1記載の色模様を有する成形物の
製造方法においては、このように着色ゲルコート層の成
形時に、吹き付けられた着色ゲルコート樹脂の一部が透
明ゲルコート層に浸透してこの層に付着するので、製造
された成形物の表面からは、所定厚さの透明ゲルコート
層を通し、立体感を保持して硬化した着色ゲルコート樹
脂の液滴群からなる多重色模様が見え、ちょうど肉厚の
透明ガラス内に埋め込まれた物体を見るように、この成
形物の模様は立体的な深みのある模様になる。また、着
色ゲルコート層の成形の際に、スプレーガンの複数の噴
射口から各色の着色ゲルコート樹脂をそれぞれ分離状態
で下型の透明ゲルコート層に噴射するようにしたので、
各色の着色ゲルコート樹脂は互いに混ざり合うことなく
透明ゲルコート層に吹き付けられ、複数色の着色ゲルコ
ート樹脂の混合による中間色の発生を防止して、色目が
明瞭な再現性のある多色模様を有する成形物を製造でき
る。さらに、スプレーガンの主剤と硬化剤の混合手段と
してスタティックミキサを採用したのでスプレーガンが
軽量になり、長時間の成形作業に耐え得るスプレーガン
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る色模様を有する成形物
の製造方法に適用されたスプレーガンの斜視図である。
【図2】同スプレーガンの正面図である。
【図3】同スプレーガンの側面図である。
【図4】(a)本発明の一実施例に係る色模様を有する
成形物の製造方法の透明ゲルコート層の成形中の拡大断
面図である。 (b)同着色ゲルコート層の成形中の拡大断面図であ
る。 (c)同裏打ち層の成形中の拡大断面図である。
【図5】同成形型の嵌合中の拡大断面図である。
【図6】同製造された成形物の拡大断面図である。
【図7】同製造された成形物の一部拡大平面図である。
【符号の説明】
10 スプレーガン 11 グリップ 12 操作スイッチ 13 吸排気部 14 連結部材 15 ガンヘッ
ド 15a ガンヘッド 15b ガンヘ
ッド 15c ガンヘッド 16 噴射口 17 ノズル部 18 スタティ
ックミキサ 19 エアチューブ 20 ジョイン
トブロック 20a ジョイントブロック 20b ジョイ
ントブロック 20c ジョイントブロック 21 材料供給
路 22 エア供給路 23 主剤路 24 硬化剤路 25 ポンプ 26 パイロットシリンダ 27 気室 28 ピストンケース 29 スプリン
グ 30 ピストン 31 オーリン
グ 32 ロッド 33 弁 34 パッキン 35 流入孔 36 チェック弁 37 圧力スイ
ッチ 38 ポンプ 39 ブロア装
置 40 流入部 41 ポンプ 42 チェック弁 43 下型 44 上型 45 成形物 46 透明ゲルコート層 47 着色ゲル
コート層 48 裏打ち層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B05B 7/08 B05B 7/24 7/24 B29L 9:00 B29L 9:00 7310−4F B29C 67/14 K

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下型の型面に、透明ゲルコート樹脂を塗
    布して透明ゲルコート層を設け、該透明ゲルコート層が
    完全に乾かないうちに、着色ゲルコート樹脂をスプレー
    ガンにより液滴状態で吹き付けて着色ゲルコート層を設
    けることにより、吹き付けられた前記各液滴状態の着色
    ゲルコート樹脂の一部が、半乾きの前記透明ゲルコート
    層に丸い液滴状態を保持するように浸透し、次いで前記
    着色ゲルコート層上に裏打ち材からなる裏打ち層を積層
    し、続いて前記下型に上型を嵌合して成形物を製造する
    色模様を有する成形物の製造方法であって、 前記スプレーガンとして、それぞれの色の前記着色ゲル
    コート樹脂を単独で吹き付ける複数の噴射口を有し、か
    つそれぞれの前記着色ゲルコート樹脂の主剤と硬化剤と
    を混合するスタティックミキサを設けたものを採用し、
    また前記スプレーガンにより複数色の前記着色ゲルコー
    ト樹脂をそれぞれの前記噴射口から単独で吹き付けて多
    色模様の前記着色ゲルコート樹脂を設けたことを特徴と
    する色模様を有する成形物の製造方法。
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