JP2519577B2 - 室温硬化性シリコ―ンゴム組成物及びその硬化物 - Google Patents

室温硬化性シリコ―ンゴム組成物及びその硬化物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、特に構造用シーラントとして有効に使用さ
れる室温硬化性シリコーンゴム組成物及びその硬化物に
関するものである。
(従来技術) 縮合型室温硬化性オルガノシロキサン組成物は、一般
に、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジオルガノポリ
シロキサン、架橋剤、充填剤、及び硬化促進剤から構成
されており、所定の部位に適用することによって、大気
中の水分により硬化してシリコーシエラストマーを形成
する。
この室温硬化性オルガノシロキサン組成物は、一液型
あるいは二液型何れの形式でも使用することができ、従
来から、建築、機械、電気等の産業分野において、シー
リング材、被覆材、接着剤等として広く使用されてい
る。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、従来公知の室温硬化性オルガノシロキ
サン組成物は、架橋剤及び硬化促進剤の種類、量の選
択、充填剤や可塑剤の選択的使用により、用途に応じて
初期硬化物性が得られるものの、硬化後の物性の経時変
化に関して、十分な対策が講じられていないのが現状で
ある。
例えば、該組成物を所望部位に適用した場合、初期の
一定時間が経過した時においては、硬化が一定割合以上
進行しており、その硬化物性は特に問題は無いのである
が、硬化が完全に終了したわけではない。即ち、該組成
物中の架橋剤の反応活性点が全て消費されたわけではな
く、かなりの量の反応活性点が残存した状態にある。
従って、経時変化に応じて、この残存した反応活性点
から架橋反応が徐々に進行し、硬度上昇、モジュラスの
増加等のゴム物性の変化を避けることができないのであ
る。特に環境条件によっては、かなり短期間で架橋反応
が進行し、接着界面へのストレス増大、伸縮性の低下等
のゴム物性としては望ましくない変化が生じる。
かかる不都合は、架橋剤の使用量を少なくすることに
よって回避することが可能ではあるが、この場合には、
硬化速度が著しく遅延し、実用性が損なわれてしまう。
本発明は、このような硬化後のゴム物性の低下の問題
を、硬化速度の低下を招くことなく回避することを目的
とするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明の室温硬化性シリコーン組成物は、下記の
(A)〜(C)の成分、即ち、 (A)分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジオルガノポ
リシロキサン、 (B)一分子中に、少なくとも2個の加水分解性基を有
するポリシラン、 及び、 (C)α−オレフィン、エチレン系二重結合含有芳香族
化合物及びアルケニル基含有シロキサンからなる群より
選択されるシリルラジカル捕捉剤、 を必須の成分として含有しているものである。
(作用) 既に述べた通り、室温硬化性のシーラント組成物は、
所定の初期時間が経過して硬化物表面がタックフリーと
なった後にも、一般に遅くはなるが、架橋反応は確実に
進行する。
本発明においては、主材であるジオルガノポリシロキ
サン(A)に、架橋剤として(B)のポリシラン、及び
シリルラジカル捕捉剤(C)を組み合わせることによっ
て、架橋反応の進行による物性低下を有効に回避するこ
とに成功したものである。
即ち、架橋剤である成分(B)のポリシランに含まれ
るポリシラン結合は、光(特に紫外光)によって徐々に
開裂してシリルラジカルを形成し、捕捉剤である成分
(C)の有機化合物に含まれる不飽和結合は、このシリ
ルラジカルを捕捉するように作用する。
従って、本発明の組成物がシーラントとして使用さ
れ、長期間屋外に保持された場合、成分(B)の有機ケ
イ素化合物に含まれる加水分解性基による架橋反応とと
もに、ポリシラン結合の切断による解重合反応及び成分
(C)の有機化合物に含まれる不飽和結合による解重合
反応の停止が進行することとなる。
即ち本発明によれば、シーラント組成物が硬化してタ
ックフリーとなった後において、これらの反応がバラン
スよく並行して進行することにより、その硬化反応に起
因する硬度の上昇、モジュラスの増加等が防止され、安
定した物性を長期間維持することが可能となるものであ
る。
(発明の好適態様の説明) (A) ジオルガノポリシロキサン 本発明において主材として使用するジオルガノポリシ
ロキサンは、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたもので
あり、液状シリコーンゴムの原料として従来公知のもの
である。即ち、この水酸基と成分(B)のポリシランに
含まれる加水分解性基との間で架橋反応が生じてゴム状
の弾性体を形成するものである。
本発明において使用するこの成分(A)のジオルガノ
ポリシロキサンは、25℃における粘度が500〜1,000,000
cSt、特に1,000〜100,000cStの範囲にあるものが好適で
あり、このものは通常、下記一般式(I)、 式中、R′及びR″は、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等の
シクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル
基、フェニル基、トリル基等のアリール基あるいはこれ
らの基の水素原子の一部がハロゲン原子等で置換されて
いるクロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基
などの、通常炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8
の、非置換又は置換1価炭化水素基であり、このR′及
びR″は同一の基であっても異種の基であってもよく、 nは、10以上の整数である、 で表される。
(B) 架橋剤 本発明においては、架橋剤として、一分子中に少なく
とも2個の加水分解性基と少なくとも1個のポリシラン
結合(≡Si−Si≡結合)とを有するポリシランを使用す
る。
即ち、上記加水分解性基が反応活性点となって、上記
のジオルガノポリシロキサン(A)の分子鎖末端の水酸
基との間で架橋反応も生じる。このような加水分解性基
としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキ
シ基等のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオノキシ
基、ブチロキシ基等のアシロキシ基;プロペニルオキシ
基、イソブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジ
メチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、
シクロペンタノキシム基、シクロヘキサノキシム基等の
イミノキシ基;N−ブチルアミノ基、N,N−ジエチルアミ
ノ基等のアミノ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチ
ルアセトアミド基等のアミド基;N,N−ジメチルアミノオ
キシ基、N,N−ジエチルアミノオキシ基等のアミノオキ
シ基を挙げることができる。
またポリシラン結合は、既に述べた通り、その切断に
よる解重合により、経時変化により生ずる硬化が引き起
こす物性低下を抑制する。
前記の加水分解性基を有するポリシランは、ジシラン
類、トリシラン類、テトラシラン類等のポリシラン類
に、それ自体公知の方法によって上記の加水分解性基を
導入することによって得られる。例えば、メチルクロロ
ジシラン等のクロロポリシラン化合物に、アルコール、
無水酢酸、メチルエチルケトキシム、アセトン等を反応
させることによって、容易に得ることが可能である。
かかるポリシランは種々存在するが、本発明において
は、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラメトキシジシラ
ン、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラアセトキシジシラ
ン、1,1,2−トリメチル−1,2,2−トリアセトキシジシラ
ン、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラプロペノキシジシ
ラン、1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラブタノオキシム
ジシラン、1,1,2−トリメチル−1,2,2−トリ(メチルエ
チルケトオキシム)ジシランが好適に使用される。
本発明において、架橋剤として使用する上記ポリシラ
ンは、その種類によっても相違するが、一般的に前記ジ
オルガノポリシロキサン(A)100重量部あたり0.5〜30
重量部、特に1〜20重量部の割合で使用されることが好
適である。この使用量が、0.5重量部よりも少ない場合
には、硬化速度が遅くなって実用的でなく、また30重量
部よりも多く使用されると、作業性が低下するばかり
か、タックフリー後において残存する反応活性点が多く
なって、経時的に進行する硬化によって生ずる物性低下
を抑制するこが困難となる傾向がある。
また本発明においては、上述したポリシラン系架橋剤
以外にも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリス
(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリアセ
トキシシラン等の従来から使用されている架橋剤を、本
発明の目的を損なわない範囲内において併用することも
可能である。
(C) 捕捉剤 本発明の組成物において、成分(C)は、α−オレフ
ィン、エチレン系二重結合含有芳香族化合物及びアルケ
ニル基含有シロキサンからなる群より選択されるシリル
ラジカル捕捉剤である。これらは、その分子中にシリル
ラジカル捕捉性の不飽和結合を有するものであり、該不
飽和結合に、前記架橋剤(B)のポリシラン結合の開裂
によって生じたシリルラジカルが付加反応して捕捉され
る。即ち、この有機化合物は、解重合反応の停止剤とし
て働く。
本発明においては、エチレン系二重結合を有する有機
化合物が安定性等の見地から望ましく、1−ペンテン、
1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネ
ン、1−デセン等のα−オレフィン類、スチレン、α−
又はβ−メチルスチレン、θ−、m−又はp−メチルス
チレン等のエチレン系二重結合含有芳香族化合物、1−
アリル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、1,1,
1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ビニルトリシロキサン
等のアルケニル基含有シロキサンが好適に用いられる。
かかる捕捉剤は、前記成分(A)のジオルガノポリシ
ロキサン100重量部当り0.1〜30重量部、特に0.2〜20重
量部の割合で使用されることが望ましい。この使用量が
0.1重量部よりも少ない場合には、解重合の停止が有効
に行われず、経時的に、硬化よりもむしろ解重合が支配
的に進行することとなり、解重合による物性低下を来す
場合がある。また30重量部よりも多量に使用された場合
には、解重合が有効に進行せず、経時的に進行する硬化
による物性低下を回避することが困難となる。
その他の配合剤 本発明の組成物においては、上記(A)〜(C)の必
須成分に加えて、その用途等に応じて、充填剤、流動抑
止剤、硬化促進剤等を配合することができる。
例えば、充填剤としては、微粉末シリカ、シリカエア
ロゲル、沈降性シリカ、けいそう土、酸化鉄、酸化亜
鉛、酸化チタンなどの金属酸化物、或いはこれらの表面
をシラン処理したもの、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、炭酸亜鉛などの金属炭酸塩、アスベスト、ガラス
ウール、カーボンブラック、微粉マイカ、溶融シリカ粉
末、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンな
どの合成樹脂粉末等を例示することができる。本発明に
おいては、これらの中でも、微粉末シリカ、特に比表面
積が100m2/g以上のヒュームドシリカが好適であり、就
中、シラン、シロキサン等で表面処理されたヒュームド
シリカが好適に使用される。かかる充填剤は、ジオルガ
ノポリロキサン(A)100重量部あたり、1〜200重量
部、好ましくは5〜100重量部の割合で使用することが
できる。
また流動抑止剤としては、オキシアルキレン化合物、
例えば、下記式 A−O−(CLH2LO)qB 式中、A及びBは、それぞれ水素原子、炭素数1〜6
のアルキル基又はアルケニル基の何れかを示し、 lは1〜4の整数、 qは、4〜2,000の数を示す、 で表されるオキシアルキレン化合物、あるいは、主鎖が
−(CLH2LO)−で示され且つ分子鎖末端に下記式、 式中、kは0又は1、mは2又は3、aは0、1、又
は2、pは0〜50の整数、R1はR′、R″と同様の、炭
素数1〜8の非置換又は置換1価単科水素基、R2はメチ
ル基又はエチル基を示す、で表される基を有するオキシ
アルキレン化合物が好適に使用され、これら流動抑止剤
は、一般にジオルガノポリシロキサン(A)100重量部
あたり、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜2重量部の割
合で使用される。
また硬化促進剤としては、有機スズ系触媒が好適に使
用される。この有機スズ系触媒は、硬化触媒として作用
するものであり、例えばジブチルスズアセテート、ジブ
チルスズジラウレート、ジブチルスズオクトエート等の
アルキルスズエステル化合物、ハロゲン化スズ化合物、
スズオルソエステル化合物等が例示されるが、本発明に
おいては、反応性及び取扱の容易さからいって、特にア
ルキルスズエステル化合物が好適である。
この有機スズ系触媒の使用量は、所謂触媒量でよく、
例えば前記成分(A)のジオルガノポリシロキサン100
重量部当り0.01〜10重量部、特に0.1〜1重量部の割合
で使用されるのが一般的である。
更に、上述した配合剤以外にも、例えばポリエチレン
グリコールおよびその誘導体等のチクソトロピー付与
剤、顔料、防錆剤、防かび剤、染料、老化防止剤、酸化
防止剤、帯電防止剤、酸化アンチモンや塩化パラフィン
等の難燃剤、窒化ホウ酸や酸化アルミニウム等の熱伝導
性改良剤、接着性付与剤、アミノ基、エポキシ基、チオ
ール基等を有する所謂カーボンファンクショナルシラ
ン、カルボン酸の金属塩、金属アラコラート等の従来公
知の各種添加剤を配合することも可能である。
組成物の調製 上述した(A)乃至(C)成分を必須成分とする本発
明の組成物は、各成分の所定量を乾燥雰囲気中で均一に
混合することにより一液型の室温硬化性組成物として得
られる。
この組成物は、これを空気中に暴露すると、空気中の
湿分によって架橋反応が進行し、ゴム弾性体に硬化す
る。
(発明の効果) 本発明によれば、実用的な効果速度を維持しつつ、タ
ックフリー後の硬化に起因する物性低下が有効に抑制さ
れ、安定したゴム物性を長期間保持し得る優れた硬化物
を得ることが可能となった。
この組成物は、シール材として有用であり、特に施工
後において長期間屋外に置かれる構造用シーラントとし
て有利に使用される。
本発明の優れた効果を次の例で説明する。
(実施例) 尚、以下の実施例において、配合量を表す「部」は、
特記しないかぎり『重量部』を表し、また粘度は、25℃
の測定値である。
ベース組成物の調製 下記処方にしたがって、各成分を均一に混合してベー
ス組成物を調製した。
処方; ジメチルポリシロキサン 100部 分子鎖両末端が水酸基で封鎖、 粘度 20,000cSt ジメチルポリシロキサン 8部 分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖、 粘度 100cSt 1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ビニルトリシロキ
サン 2部 煙霧質シリカ 12部 オクタメチルシクロテトラシロキサンで表面処理、 比表面積 200m2/g 架橋剤の合成 1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラクロロジシランを使
用し、これに無水酢酸またはメチルエチルケトキシム−
トリエチルアミンを反応させ、 1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラメトキシジシラン及
び 1,2−ジメチル−1,1,2,2−テトラ(メチルエチルケト
オキシム)ジシラン を、それぞれ合成し、架橋剤とした。
硬化組成物の調製 前記ベース組成物100重量部当り、上記で合成された
架橋剤8重量部、硬化促進剤(ジメチルスズジラウレー
ト)0.05重量部、および接着促進剤(γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、信越化学工業(株)製KBE−90
3)0.5重量部を無水条件下で混合して、硬化組成物Iお
よびIIを調製した。
また比較のために、架橋剤としてメチルトリブタノキ
シシランを用いた以外は上記と同様にして、硬化組成物
IIIを調製した。
実験例 上記の硬化組成物I、II、IIIを使用し、それぞれに
ついてステンレス板(50×50×2mm)を被着体としてH
型試験体を作成した。
この試験体について、初期硬化物性を測定するととも
に、QUV促進暴露試験を利用して老化を行い、80℃/60hr
および80℃/120hr後の硬化物性を測定した。
測定結果を第1表に示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)分子鎖両末端が水酸基で封鎖された
    ジオルガノポリシロキサン、 (B)一分子中に、少なくとも2個の加水分解性基を有
    するポリシラン、及び、 (C)α−オレフィン、エチレン系二重結合含有芳香族
    化合物及びアルケニル基含有シロキサンからなる群より
    選択されるシリルラジカル捕捉剤、 を含有していることを特徴とする室温硬化性シリコーン
    ゴム組成物。
  2. 【請求項2】請求項(1)に記載の組成物を硬化させて
    なる硬化物。
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