JP2519515B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物

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JP2519515B2 JP27079588A JP27079588A JP2519515B2 JP 2519515 B2 JP2519515 B2 JP 2519515B2 JP 27079588 A JP27079588 A JP 27079588A JP 27079588 A JP27079588 A JP 27079588A JP 2519515 B2 JP2519515 B2 JP 2519515B2
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順二 小泉
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Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、自動車用部品、特にシリンダヘツドカバ
ー、ギヤケースなど制振性能が要求されるエンジン周辺
部品の材料として好適なポリアミド樹脂組成物に関す
る。
〔背景技術〕
ナイロン樹脂材料は、金属材料に比較してその製品が
軽量であり、かつ、制振性、剛性、耐熱性、耐油性等の
点において各種の優れた性能を備えているため、近年、
軽量化と騒音低減を目的として、自動車用部品、特に、
シリンダヘツドカバー、ギヤケースなどのエンジン周辺
部品の成形材料として用いられている。
一般に樹脂材料は、金属材料に比較すると、その部品
の制振性能は優れるが、騒音低減効果からみると、固体
伝搬音すなわち、その部品自体の振動に基づく音は低減
するものの、比重が小さいことに基づく、空気透過音
は、増加する。したがって材料の変換による有効な騒音
低減効果を得るためには、空気透過音の増加を上回る固
体伝搬音の低減が要求されることになる。すなわち、言
い換えれば、極端に高い制振性能が要求される。
この点からみて、従来、上記の如き自動車部品に使用
されているナイロン樹脂材料は、成形部品の制振性能が
不充分であり、あるいは、制振性能があっても、80℃〜
120℃程度の高温の実用温度領域での制振性能において
充分でないため、解決すべき技術的課題を有していた。
高温使用条件下における制振性能を改良するため、ポ
リアミド樹脂に粘着付与剤樹脂を配合した樹脂組成物も
提案されているが(特開昭61-36357号参照)、成形部品
の強度、剛性の点において解決さるべき問題が存在して
いる。
一般にプラスチツク材料は粘弾性的性質を強く保有
し、制振性能は主として高分子材料のガラス転移にもと
づく力学分散の損失正接(tanδ)の極大温度前後にお
いて最も高くなり、通常その温度は示差走査熱量測定
(DSC)で観察されるガラス転移温度(Tg)より10°〜3
0℃高い領域に存在する。例えばナイロン6、ナイロン6
6、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン610等の直鎖脂肪
族系ナイロンはTgが40°〜60℃前後で、制振性能は60°
〜80℃付近で極大となる。またその他のナイロン樹脂と
して、分子鎖中に芳香環を有する結晶性のメタキシリレ
ンジアミン樹脂(MXDナイロン)、ジアミンの一種又は
それ以上とジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸
etc)の一種又はそれ以上との共重合体である非晶性ナ
イロン等の芳香族系ナイロンは、Tgが120℃以上であり
制振性能が極大となるのは130℃以上の高温領域であ
る。
本発明者らはポリアミド樹脂材料の制振性、機械的性
質を向上させることを目的として種々研究した結果、特
定のポリアミド樹脂を特定の割合で配合することによ
り、種々の要求に適う特性を有するポリアミド樹脂組成
物が得られることを見い出した。
〔発明の開示〕
本発明は、改良された制振性能とともに、著しく優れ
た機械的強度を有する成形部品を得るための新規なポリ
アミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明は、かかる目的に適う新規な樹脂組成物、すな
わち (a) ナイロン6樹脂 30〜90重量% (b) ナイロン66樹脂 5〜35重量%および (c) ナイロン11樹脂 5〜50重量% (ただし、(a)ナイロン6樹脂と(c)ナイロン11樹
脂との合計は65重量%以上とし、(a)ナイロン6樹脂
と(b)ナイロン66樹脂との合計は50重量%以上であ
る) を必須成分として含有することを特徴とするポリアミド
樹脂組成物を提供するものである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物に使用される上記(a)のナイロン6
樹脂は、カプロラクタム単位を90モル%以上有するポリ
アミド類であって、他のコモノマー成分、例えばω−ラ
ウロラクタム等を含有していてもよい。分子量、粘度は
特に制限されず、通常の成形条件で成形可能な分子量範
囲にあるものが好ましい。
上記(b)のナイロン66樹脂は、ヘキサメチレンアジ
パミド単位を90モル%以上有するポリアミド類であっ
て、他のコモノマー成分、例えばω−ラウロラクタム等
を含有していてもよい。分子量、粘度は特に制限され
ず、通常の成形条件で成形可能な分子量範囲にあるもの
が好ましい。
上記(c)のナイロン11樹脂は、11−アミノウンデカ
ン酸の重縮合によって得られる通常この名称をもって呼
ばれているポリアミド樹脂である。
本発明の樹脂組成物は、常法により、各成分のペレッ
ト、粉末などを所定の割合にてタンブラー式ブレンダ
ー、ヘンシエルミキサー、リボンミキサー等で混合し、
一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリミキサー
等の通常の混練機を用いて溶融混合することにより得る
ことができる。また、押出機を用いる場合、上記
(a),(b),(c)の各配合成分のうちの1種類ま
たは2種類をペレツトあるいは粉末の状態であるいは溶
融した状態で、混合の途中で供給してもよい。その他の
種々の変法を用いることも可能である。
本発明の樹脂組成物には、その製品の成形性、物性を
損なわない限りにおいて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
滑剤、帯電防止剤、核剤、離型剤、可塑剤、顔料、難燃
剤、増量剤、無機フイラー、繊維状補強剤、他の樹脂材
料等を添加することができる。
本発明に係る樹脂組成物は、その成形製品が、高い制
振性能を有し、かつ機械的特性も優れていることから、
自動車部品、電気・機械部品に適用可能であり、特に自
動車のエンジンルーム内において振動により騒音が発生
する製品、例えばシリンダヘツドカバー、ギヤカバー、
オイルパン等は好適使用例として挙げることができる。
シリンダヘツドカバー、ギヤカバー等のエンジン周辺
部品については、制振性能以外に高い剛性と耐熱性が要
求されるため、材料として使用するにあたっては、ガラ
ス繊維、マイカ、ウオラストナイト、タルク、カーボン
繊維等のフイラーで補強して用いることが好ましい。
以下に、本発明に係る樹脂組成物に関する実施例を比
較例とともに掲げる。
〔試料作製、測定方法〕
実施例、比較例ともに表に示した各配合成分をタンプ
ラー式ブレンダーで5分間混合し、得られた混合物をL/
D=27、30mm異方向回転2軸押出機で溶融混練ペレツト
化した。ペレツトを100℃5時間乾燥した後、メルトプ
レスによりテストピースを成形し、これを試料とした。
測定前に真空中にて100℃、8時間アニールした。
・損失係数(註:制振性能の尺度となる) 試料形状:150mm×150mm、厚さ3mm 測定法:恒温槽中で、試料の中心部を0.1Gで加振させ
伝達関数を測定し、2次共振点から半値幅法にて損失係
数ηを計算した。
・引張強度、引張破断伸び 試料形状:JIS3号ダンベル厚さ0.5mm 測定条件:クロスヘツドスピード50mm/min、23±3℃
雰囲気中、標線間隔20mm 得られた結果を表に示す。
以上、述べたところから明らかなように本発明に係る
ポリアミド樹脂組成物は、その成形品の制振性能、特に
80℃近辺の高温条件下における制振性能が優れており、
かつ、機械的強度においても著しく優れているものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−168940(JP,A) 特開 昭57−212252(JP,A) 特開 昭61−60754(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ナイロン6 樹脂 30〜90重量% (b)ナイロン66樹脂 5 〜35重量%および (c)ナイロン11樹脂 5 〜50重量% (ただし、(a)ナイロン6樹脂と(c)ナイロン11樹
    脂との合計は65重量%以上とし、(a)ナイロン6樹脂
    と(b)ナイロン66樹脂との合計は50重量%以上であ
    る) を必須成分として含有することを特徴とするポリアミド
    樹脂組成物。
JP27079588A 1988-10-28 1988-10-28 ポリアミド樹脂組成物 Expired - Lifetime JP2519515B2 (ja)

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