JP2519426B2 - ベンゾトリアゾ―ル化合物及び該化合物からなる有機高分子のための光安定剤 - Google Patents

ベンゾトリアゾ―ル化合物及び該化合物からなる有機高分子のための光安定剤

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JP2519426B2 JP61207647A JP20764786A JP2519426B2 JP 2519426 B2 JP2519426 B2 JP 2519426B2 JP 61207647 A JP61207647 A JP 61207647A JP 20764786 A JP20764786 A JP 20764786A JP 2519426 B2 JP2519426 B2 JP 2519426B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は感光性有機物質の劣化を防ぐために有用な選
ばれた液体2−アリール−2H−ベンゾトリアゾールおよ
びこのベンゾトリアゾールを含む安定化された組成物に
関する。
(従来の技術) o−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール群
の紫外線吸収剤は有機物質の有効な光安定剤として以前
から知られており、相当の商業的成功をおさめてきた。
しかしながら、これまでに公知のこの群の2−アリー
ル−2H−ベンゾトリアゾールは、ある環境下で、ある種
の基質との適合性が限定されており、安定化した組成物
を、温度を高めてシート、フィルム、ファイバーまたは
他の薄膜に加工する際に、しみ出し、昇華し、および/
または蒸発する傾向が非常に大きかった。同様に、この
ようなベンゾトリアゾールは、特に薄いフィルムまたは
コーティングのような製造した構造物から、特に使用中
に温度を高めた状態におかれた時に、蒸発または昇華に
よって過度に失われることもある。
ベンゾトリアゾールの構造を変更することにより適合
性を高め、蒸発による損失を少くする試みがなされてき
た。
米国特許第3,230,194号においては、ヒドロキシフェ
ニル部位中でメチル基を高級アルキル基に置換してい
る。
米国特許第4,127,586号においては、2−アリール−2
H−ベンゾトリアゾール部位に更に変更を行なってい
る。日本の特開昭50-158588号では、2−(2−ヒドロ
キシ−3−α,α−ジメチルベンジル−5−メチルフェ
ニル)−2H−ベンゾトリアゾールのような他のベンゾト
リアゾール光安定化剤が開示されている。
(発明が解決しようとする問題点) しかしながら、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤の技
術分野においては、高温での加工にさらされている間の
安定化組成物からの耐消失性を更に改良させるという、
実用上の目的及び要求が残されていた。
米国特許第4,226,763号には、揮発による消失に対する
ベンゾトリアゾール光吸収剤の抵抗を増加させる試みが
記載されている。該特許には、安定化組成物の高温度加
工中においても、また安定化組成物のコーティングある
いはフィルムを外部の気候や光にさらすような最終使用
時においても、従来の2−アリール−2H−ベンゾトリア
ゾールを含む安定化組成物と比較して、非常に失われ難
い2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニ
ル)−2H−ベンゾトリアゾールが記載されている。この
優れた性能は、或る基質及び加工溶媒への相対的に低い
溶解性を犠牲にして達成されている。
米国特許第4,283,327号には、加工溶媒や基材に対
し、高い溶解性を示す2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ
−第三オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールが
開示されているが、しかしそれは揮発による消失に対し
顕著な抵抗を示さない。
米国特許第4,278,589号には、置換基として2個のα
−クミル基又は2個の第三オクチル基をもつ化合物では
できない、両性質のバランスをとることを試みて、2−
フェニル環上に1個のα−クミル基及び1個の第三オク
チル基を有するベンゾトリアゾールが開示されている。
溶解性及び蒸発による消失に対する抵抗性の良いバラン
スを有するベンゾトリアゾールが得られているが、本当
に優れた性質を伴う光安定化剤として、ますます多くを
要求される市場で求められている各レベル程に顕著では
ない。
2H−ベンゾトリアゾールのベンゾ環上を、低級アルキ
ル基、低級アルコキシ基及びハロゲン原子で置換するこ
とは、例えば米国特許第4,127,586号及び特公昭59-172,
655号で知られているがベンゾ環上を高級アルキル基で
置換することは知られていない。
伝統的に、高い光沢のコーティングを得るために、自
動車産業及び他の産業においてラッカー類が用いられて
いる。そのようなラッカー類は典型的に、適当な溶媒中
に溶解させた高分子量ポリマーからなっている。通常、
塗料の70%を超える溶媒は焼付けによって蒸発し、ポリ
マーフィルムを残す。
エネルギー及び環境の問題から、改良された塗装シス
テムとして、いわゆるハイソリッドエナメル(high sol
ids enamels)が最近開発され、それは、揮発性有機化
合物(VOC)を減少させようという政策にかなうもので
ある。ハイソリッドエナメルは典型的に、メチルメタク
リレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルア
クリレート及びスチレンの低分子量コポリマーからなっ
ている。側基のヒドロキシル基を含むそのようなコポリ
マーは、その後、メラミン架橋樹脂(比率約7:3)と混
合される。最終の架橋反応は、塗布された物品が焼付け
されたときに起こる。ハイソリッドエナメルは、ラッカ
ーと対比して、50%より少ない溶媒を通常含んでいる。
これら溶媒の大部分はモノマーのポリマー化工程にお
いて採用されている。一般的に総溶媒量の10%以下の少
量の溶媒のみが、最終塗料へ後で加えられるホールドア
ウト(hold out)溶媒として保留する。光安定化添加物
はこの状態で混合できるよう、このホールドアウト溶媒
に対し充分に溶解性でなければならない。塗料の粘性
は、流布や垂下のような不都合を避けるための臨界的要
因であるため、溶媒の量を意図的に変えることはできな
い。
(問題点を解決するための手段) 高溶解性というこれらの要求に答えるために当該安定
化剤が開発された。これら製品もまた、樹脂との混和性
及び揮発度の欠如に関して、当分野の物質の現状にかな
う、及び/又は卓越するものである。
本発明は選択された2−(2−ヒドロキシフェニル)
−2H−ベンゾトリアゾール光吸収剤に、及びそれからな
る有機高分子のための安定剤に関する。
より詳しくは、本発明の2−(2−ヒドロキシジフェ
ニル)−2H−ベンゾトリアゾールは次式I 〔式中、 T1は炭素原子数8ないし18のアルキル基を表わし、 T2及びT3は独立して次式II (式中、E1及びE2は独立して炭素原子数1ないし4の
アルキル基を表わし、 そしてE3は水素原子を表わす)で表わされる基を表わ
し、そして T4は水素原子を表わす〕 で表わされる。
炭素原子数8ないし18のアルキル基であるT1は、例え
ば2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、第三オクチ
ル基、n−ドデシル基、第三ドデシル基又はn−オクタ
デシル基であってよい。
炭素原子数1ないし4のアルキル基であるE1又はE
2は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基又は第三ブチル基であって
よい。
T1は炭素原子数8ないし12のアルキル基であるのが好
ましい。
式IIの基は、α,α−ジメチルベンジル基であるのが
最も好ましい。
最も、好ましい化合物の例を下記する: 5−第三オクチル−2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ジ
−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベン
ゾトリアゾール; 5−n−ドデシル−2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ジ
−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベン
ゾトリアゾール。
本発明の化合物は、置換2−ニトロアニリンをジアゾ
化し(例えば亜硝酸ナトリウムにより)、次いで好まし
くは強塩基媒質中、適当なフェノールと結合させ中間体
のo−ニトロアゾベンゼンを製造する米国特許第4,226,
763号に示されている方法によって製造される。
このo−ニトロアゾベンゼン中間体は、亜鉛及びアル
カリ、ヒドラジン、触媒による接触水素添加、及び同様
のものを含む多くの慣用還元系のいずれかを用いる還元
環化反応により相応する2−アリール−2H−ベンゾトリ
アゾールに変えられる。この製造方法は次の反応式によ
り表わすことができる。
式Vの置換フェノールは公知であるか、又はそれ自体
公知の方法、例えば酸触媒の存在下、オレフィンとフェ
ノールのアルキル化により製造することができる。米国
特許第4,226,763号に開示されている2,4−ジ(α,α−
ジメチルベンジル)フェノールの製造が、典型的な例で
ある。
式IVの置換o−ニトロアニリンは公知であるか、又は
それ自体公知の方法、例えば酸触媒の存在下でジイソブ
チレンのようなオレフィンを用いるo−ニトロアニリン
の直接アルキル化により、又は4−n−ドデシルアニリ
ンのようなアルキル化アニリンからアミノ基のアセチル
化、続いてニトロ化、及び最終的に該アミンから保護ア
セチル基を加水分解により除去することにより製造する
ことができる。式IV及びVの出発物質の製造の詳細は実
施例中に記してある。
置換フェノール、o−ニトロアニリン、α−メチルス
チレン、スチレン、ベンジルアルコール、及びそのよう
な物の如き種々の出発物質の多くは市販品目であるか又
は公知方法により容易に製造することができる。
次式III: 〔式中、T1,T2,T3及びT4は上記で定義した意味を表わ
す〕 のo−ニトロベンゼン中間体もまた新規化合物で、本発
明の一部を構成する。好ましい置換基Tは、式Iの化合
物について上述したものと同じである。
本発明の化合物は広範囲にわたる有機ポリマーの有効
な光安定剤である。安定化され得るポリマーとしては下
記のものが挙げられる: 1.モノオレフィン及びジオレフィンから誘導されるポリ
マー、例えば場合により架橋していてもよいポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−
1、ポリメチルペンテン−1、ポリイソプレンもしくは
ポリブタジエン、並びにシクロオレフィン例えばシクロ
ペンテンもしくはノルボルネンのポリマー。
2.1)で示したポリマーの混合物、例えばポリプロピレ
ンおよびポリイソブチレンの混合物。
3.モノオレフィンおよびジ−オレフィン同士または他の
ビニルモノマーとのコポリマー、たとえば、エチレン/
プロピレンコポリマー、プロピレン/ブテン−1コポリ
マー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン
/ブテン−1コポリマー、プロピレン/ブタジエンコポ
リマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレ
ン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アル
キルメタクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセ
テートコポリマーまたはエチレン/アクリル酸コポリマ
ーおよびそれらの塩(イオノマー)ならびにエチレンと
プロピレンおよびジエン、たとえばヘキサジエン、ジシ
クロペンタジエンまたはエチリデンノルボルネンとのタ
ーポリマー。
4.ポリスチレン及びポリ−(p−メチルスチレン)。
5.スチレンまたはα−メチルスチレンとジエンまたはア
クリル誘導体とのコポリマー、たとえばスチレン/ブタ
ジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アル
キルメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水または
スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート:ス
チレンポリマーと他のポリマー、たとえば、ポリアクリ
レート、ジエンポリマーまたはエチレン/プロピレン/
ジエンターポリマーから得られる耐衝撃性樹脂混合物;
さらにまたスチレンのブロックコポリマー、たとえば、
スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソブレ
ン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレ
ンまたはスチレン/エチレン/プロピレン/スチレン。
6.スチレンのクラフトコポリマー、たとえば、スチレ
ンの縮合したポリブタジエン、スチレンおよびアクリロ
ニトリルの結合したポリブタンジエン、スチレン及びマ
レイン酸無水物の結合したポリブタエジエン、スチエン
およびアルキルアクリレートもしくはメタクリレートの
結合したポリブタジエン、スチレンおよびアクリロニト
リルの結合したエチレン/プロピレン/ジエンターポリ
マー、スチレンおよびアクリロニトリルの結合したポリ
アルキルアクリレートもしくはポリアルキルメタクリレ
ートまたはスチレンおよびアクリロニトリルの結合した
アクリレート/ブタジエンコポリマー、およびこれらと
5)に挙げたコポリマーとの混合物、たとえば、ABS,MB
S,ASAもしくはAESポリマーとして知られるコポリマー混
合物。
7.ハロゲン含有ポリマー、たとばポリクロロプレン、塩
素化ゴムまたは塩素化もしくはクロロスルホン化ポリエ
チレン及びエピクロロヒドリンのホモ及びコポリマー、
特にハロゲン含有ビニル化合物から得られるポリマー、
たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
フッ化ビニルまたはポリフッ化ビニリデン;ならびにこ
れらのコポリマー、たとえば塩化ビニル/塩化ビニリデ
ン、塩化ビニル/酢酸ビニルまたは塩化ビニリデン/酢
酸ビニルコポリマー。
8.α,β−不飽和酸およびその誘導体から誘導されるポ
リマー、たとえばポリアクリレートおよびポリメタクリ
レート、ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリ
ル。
9.8)に挙げたモノマー同士のコポリマーまたは8)に
挙げたモノマーと他の不飽和モノマーとのコポリマー、
たとえば、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、
アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、
アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレートコ
ポリマー、アクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリ
マーまたはアクリロニトリル/アルキルメタクリレート
/ブタジエンターポリマー。
10.不飽和アルコールおよびアミンまたはそれらのアシ
ル誘導体またはアセタールから誘導されるポリマー、た
とえばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリス
テアリン酸ビニル、ポリビニルベンゾエート、ポリビニ
ルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタ
レートまたはポリアリルメラミン。
11環状エーテルのホモポリマーおよびコポリマー、たと
えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシ
ド、ポリプロピレンオキシドまたはこれらとビス−グリ
シジルエーテルとのコポリマー。
12.ポリアセタール、たとえばポリオキシメチレン、な
らびにコモノマー、たとえばエチレンオキシドを含有す
るポリオキシメチレン。
13.ポリフェニレンオキシドおよびポリフェニレンスル
オフィド、並びにポリフェニレンオキシドとポリスチレ
ンの混合物。
14.末端水酸基を有するポリエーテル、ポリエステル及
びポリブタジエンと、脂肪族または芳香族ポリイソシア
ネートとから誘導されるポリウレタン、並びにそれらの
前駆物質。
15.ジアミンおよびジカルボン酸から、および/または
アミノカルボン酸もしくは相当するラクタムから誘導さ
れるポリアミドおよびコポリアミド、たとえばポリアミ
ド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、ポリアミド6/1
0、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリ−2,4,4−トリメ
チルヘキサメチレンテレフタルアミドおよびポリ−m−
フェニレンイソフタルアミド、並びにこれらとポリエー
テル、たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコールまたはポリテトラメチレングリコールと
のコポリマー。
16.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミドおよび
ポリベンズイミダゾール。
17.ジカルボン酸およびジアルコールから、および/ま
たはヒドロキシカルボン酸または相当するラクトンから
誘導されるポリエステル、たとえば、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4
−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、および
ポリヒドロキシベンゾエート、ならびに末端水酸基をも
つポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテル−
エステル。
18.ポリカーボネート及びポリエステル−カーボネー
ト。
19.ポリスルホン、ポリエーテル−スルホン並びにポリ
エーテルケトン。
20.アルデヒドと、フェノール、尿素またはメラミンと
から誘導される架橋ポリマー、たとえば、フェノール/
ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂お
よびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
21.乾性および不乾性アルキド樹脂。
22.飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールと
の、ビニル化合物を架橋剤とする、コポリエステルから
誘導される、不飽和ポリエステル樹脂ならびにそのハロ
ゲン原子を含む難燃性の変性樹脂。
23.置換アクリル酸エステル、たとえば、エポキシアク
リレート、ウレタン−アクリレートまたはポリエステル
−アクリレートから誘導される架橋性アクリル樹脂。
24.メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネートまた
はエポキシ樹脂と混合したアルキド樹脂、ポリエステル
樹脂およびアクリレート樹脂。
25.ポリエポキシド、たとえば、ビス−グリシジルエー
テルまたは脂環式ジエポキシドから誘導される架橋エポ
キシ樹脂。
26.天然のポリマー、たとえば、セルロース、天然ゴ
ム、ゼラチンおよびそれらを重合同族体として化学変性
した誘導体、たとえば、酢酸セルロース、プロピオン酸
セルロース、セルロースブチレート並びにセルロースエ
ーテル、たとえばメチルセルロース。
27.上記のポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えばP
P/EPDM,ポリアミド6/EPDMもしくはABS,PVC/EVA,PVC/AB
S,PVC/MBS,PC/ABS,PBTP/ABS。
本発明の化合物は、一般的2−アリール−2H−ベンゾト
リアゾール光吸収剤として、光誘導劣化を受けやすい有
機基質の主材のための非常に効果的な安定化剤である一
方で、揮発、滲出又は昇華の原因となる高温加工中で、
安定化組成物からの消失に対する優れた抵抗を備える当
該化合物は、強制的に高められた湿度で加工させるポリ
マー性基質の安定化に特に価値がある。
このように本発明の化合物は、ポリエステル、例えば
ポリ(エチレン テレフタレート)、ポリ(ブチレン
テレフタレート)又はそれらのコポリマー;ポリカーボ
ネート、例えばビスフェノールAとホスゲンから誘導さ
れたポリカーボネート、又はそのコポリマー;ポリスル
ホン;ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10
及びその同族類のようなポリアミドならびにコポリアミ
ド;熱硬化性アクリル樹脂;熱可塑性アクリル樹脂;ポ
リエチレン、ポリプロピレン、コポリオレフィンのよう
なポリオレフィン及びその同族類;及び高温の加工及び
製作を要するポリマー系を保護するための安定化剤とし
て特に有用である。
本発明の化合物は光安定作用を付与するために使用し
得るが、本発明の化合物は安定化組成物の製造において
しばしば他の安定化剤、他の光安定剤とさえ併せて使用
することができる。安定剤はフェノール系酸化防止剤、
顔料、着色剤または染料、立体障害性アミンのような光
安定剤、金属不活性化剤等と共に使用し得る。
通常、本発明の安定剤は、特定の物質及び施用法によ
り変化するが、安定化された組成物の約0.05ないし約10
重量%、特には0.1ないし約5重量%で使用される。有
利な範囲は約0.5ないし約3重量%である。
式I及び式IIの安定剤は成形品の製造前の任意の便利
な段階で従来技術により容易に有機材料中に混入でき
る。例えば、安定剤は乾燥ポリマーと混合してもよく、
または安定剤の懸濁液、溶液もしくは乳懸液をポリマー
の溶液、懸濁液もしくは乳懸液と混合してもよい。本発
明による安定化されたポリマー組成物は、所望により
(例えば約0.1ないし約5重量%、好ましくは約0.5ない
し約3重量%の濃度で)種々の常用の添加剤、例えば下
記に示したもの、特にフェノール系酸化防止剤もしくは
光安定剤、またはそれらの混合物を含有することもでき
る。
1.酸化防止剤 1.1 アルキル化モノフェノール類 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、 2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、 2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、 2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノー
ル、 2,6−ジ−tert−ブチル−4−i−ブチルフェノー
ル、 2,6−ジ−シクロペンチル−4−メチルフェノール、 2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチル
フェノール、 2,6−ジ−オクタデシル−4−メチルフェノール 2,4,6−トリ−シクロヘキシルフェノール 2,6−シ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノ
ール。
1.2 アルキル化ヒドロキノン類 2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、 2,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキノン、 2,5−ジ−tert−アミル−ヒドロキノン、 2,5−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノー
ル。
1.3 ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類 2,2′−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチ
ルフェノール)、 2,2′−チオ−ビス−(4−オクチルフェノール)、 4,4′−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−3−メチ
ルフェノール)、 4,4′−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−2−メチ
ルフェノール)。
1.4 アルキリデン−ビスフェノール類 2,2′−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−
メチルフェノール)、 2,2′−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−
エチルフェノール)、 2,2′−メチレン−ビス−〔4−メチル−6−(α−
メチルシクロヘキシル)−フェノール〕、 2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロ
ヘキシルフェノール)、 2,2′−メチレン−ビス−(6−ノニル−4−メチル
フェノール)、 2,2′−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフ
ェノール)、 2,2′−メチリデン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチル
フェノール)、 2,2′−エチリデン−ビス−(6−tert−ブチル−4
−イソブチルフェノール)、 2,2′−メチレン−ビス−〔6−(α−メチルベンジ
ル)−4−ノニルフェノール〕、 2,2′−メチレン−ビス−〔6−(α,α−ジメチル
ベンジル)−4−ノニルフェノール〕、 4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−tert−ブチルフ
ェノール)、 4,4′−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−2−
メチルフェノール)、 1,1−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−
2−メチルフェニル)−ブタン、 2,6−ジ−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒ
ドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、 1,1,3−トリス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シ−2−メチルフェニル)−ブタン、 1,1−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−
2−メチルフェニル−3−n−ドデシルメルカプトブタ
ン、 エチレングリコール−ビス−〔3,3−ビス−(3′−t
ert−ブチル−4′−ヒドロキシ−フェニル)−ブチレ
ート、 ジ−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチ
ルフェニル)−ジシクロペンタジエン、 ジ−〔2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ
−5′−メチル−ベンジル)−6−tert−ブチル−4−
メチル−フェニル〕テレフタレート。
1.5 ベンジル化合物 1,3,5−トリ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、 ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)スルフィド、 イソオクチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル−メルカプトアセテート、 ビス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロオキシ−2,6
−ジメチルベンジル)ジチオールテトラフタレート、 1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシベンジル)イソシアヌレート、 1,3,5−トリス−(4−tert−ブチル−5−ヒドロキ
シ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、 ジオクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル−ホスホネート、 モノエチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル−ホスホネートのカルシウム塩。
1.6 アシルアミノフェノール類、 4−ヒドロキシ−ラウリン酸アニリド、 4−ヒドロキシ−ステアリン酸アニリド、 2,4−ビス−オクチルメリカプト−6−(3,5−ジ−te
rt−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−S−トリアジ
ン、 オクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)カーバメート。
1.7 β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)−プロピオン酸の一価又は多価アルコールとの
エステル類、その例は: メタノール、 オクタデカノール、 ヘキサン−1,6−ジオール、 ネオペンチルグリコール、 チオジエチレングリコール、 ジエチレングリコール、 トリエチレングリコール、 ペンタエリトリトール、 トリス−ヒドロキシエチルシアヌレート、 ジ−ヒドロキシエチル−ショウ酸アミド。
1.8 β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)−プロピオン酸の一価又は多価アルコ
ールとのエステル、その例は: メタノール、 オクタデカノール、 ヘキサン−1,6−ジオール、 ネオペンチルグリコール、 チオジエチレングリコール、 ジエチレングリコール、 トリエチレングリコール、 ペンタエリトリトール、 トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、 ジ−ヒドロキシエチル−シュウ酸ジアミド。
1.9 β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)−プロピオン酸のアミド類、その例は: N,N′−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニルプロピオニル)−ヘキサメチレンジアミン、 N,N′−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニルプロピオニル)−トリメチレンジアミン、 N,N′−ジ−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニルプロピオニル)−ヒドラジン。
2.紫外線吸収剤及び光安定剤 2.1 2−(2′−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリ
アゾール類、例えば、5′−メチル、3′,5′−ジ−te
rt−ブチル、5′−tert−ブチル、5′−(1,1,3,3−
テトラメチルブチル)、5−クロロ−3′,5″−ジ−te
rt−ブチル、5−クロロ−3′−tert−ブチル−5′−
メチル、3′−sec−ブチル−5′−tert−ブチル、
4′−オクトキシ、3′,5′−ジ−tert−アミル及び
3′,5′−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)誘導
体。
2.2 2−ヒドロキシベンゾフェノール類、例えば4−
ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクトキシ、4−デシ
ルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、
4,2′,4′−トリヒドロキシ及び2′−ヒドロキシ−4,
4′ジメトキシ誘導体。
2.3 置換又は未置換安息香酸エステル類、例えば:サ
リチル酸4−tert−ブチル−フェニル、サリチル酸フェ
ニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾ
ルシノール、ビス−(4−tert−ブチルベンゾイル)−
レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸−2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニルエステル及び3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル。
2.4 アクリル酸エステル類、例えばα−シアノ−β,
β−ジフェニルアクリル酸エチル又はイソオクチル、α
−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−桂皮酸メチル又
はブチル、α−カルボメトキシ−p−メトキシ−桂皮酸
メチル及びN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニ
ル)−2−メチル−インドリン。
2.5 ニッケル化合物、例えばn−ブチルアミン、トリ
エタノールアミン又はN−シクロヘキシル−ジエタノー
ルアミンのような他の配位子を有する又は有しないで1:
1又は1:2錯体のような2,2′−チオ−ビス−〔4−(1,
1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール〕のニッケ
ル錯体、ニッケルジブチル−ジチオカルバメート、メチ
ル又はエチルのようなモノアルキル=4−ヒドロキシ−
3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホネートのニッケ
ル塩、2−ヒドロキシ−4−メチル−フェニル−ウンデ
シルケトンオキシムのようなケトオキシムのニッケル錯
体及び配位子を有する又は有しない1−フェニル−4−
ラウロイル−5−ヒドロキシパラゾールのニッケル錯
体。
2.6 立体障害アミン類、例えばビス−(2,2,6,6−テト
ラメチルピペラジル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6
−ペンタメチル−ピペリジル)セバケート、ビス−(1,
2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)n−ブチル−3,5−
ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−マロネー
ト、1−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−
4−ヒドロキシピペリジンとこはく酸の縮合物、N,N′
−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ヘキサメチ
レンジアミンと4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジク
ロロ−1,3,5−S−トリアジン、の縮合物、トリス−
(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−ニトリロトリ
アセテート、テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタン−テトラカルボン
酸及び1,1′−(1,2−エタンジイル)−ビス−(3,3,5,
5−テトラメチル−ピペラジノン)。
2.7 シュウ酸ジアミド類、例えば4,4′−ジ−オクチル
オキシオキサニリド、2,2′−ジ−オクチルオキシ−5,
5′−ジ−tert−ブチル−オキサニリド、2−エトキシ
−2′−エチル−オキサニリド、N,N′−ビス−(3−
ジメチルアミノプロピル)−オキサルアミド、2−エト
キシ−5−tert−ブチル−2′−エチル−オキサニリド
及び2−エトキシ−2′−エチル−5,4′−ジ−tert−
ブチル−オキサニリドとの混合物、及びオルド及びパラ
−メトキシ−及びO−及びP−エトキシ−2置換オキサ
ニリドの混合物。
3.金属不動態化剤、例えばN,N′−ジフェニルシュウ酸
ジアミド、N−サリチラル−N′−サリチロイルヒドラ
ジン、N,N′−ビス−サリチロイルヒドラジン、N,N′−
ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニルプロピオニル)−ヒドラジン、3−サリチロイルア
ミノ−1,2,4−トリアゾール及びビス−ベンジリデン−
シュウ酸ジヒドラジン。
4.亜リン酸エステル類及びホスホニット類、 例えば亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルア
ルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリ−
(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸
トリオクタデシル、二亜リン酸ジステアリルペンタエス
トリトール、亜リン酸トリス−(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)、二亜リン酸ジイソデシルペンタエリトリ
トール、二亜リン酸ジ−(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)ペンタエリトリトール、三亜リン酸トリステアリ
ルソルビトール及びテトラキス−(2,4−ジ−tert−ブ
チルフェニル)4,4′−ビフェニレンジホスホニット。
5.過酸化物を分解する化合物、例えばβ−チオ−ジプロ
ピオン酸のエステル、例えばラウリル、ステアリル、ミ
リスチル又はトリデシルエステル、メルカプトベンゾイ
ミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛
塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、二硫化ジオクタ
デシル及びテトラキス−(β−ドデシルメルカプト)プ
ロピオス酸ペンタエリトリトール。
6.ポリアミド安定剤、例えばヨウ化物及び/又はリン化
合物とともに銅塩、そして二価マンガン塩。
7.塩基性補助安定剤、メラミン、ポリビニルピロリド
ン、ジシアンジアミン、トリアリルシアヌレート、尿素
誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリ
ウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属及びアルカリ−土
類金属塩、例えばステアリン酸Ca、ステアリン酸Zn、ス
テアリン酸Mg、リシノール酸Na、パルミチン酸K、ピロ
カテコール酸アンチモン及びピロカテコールすず。
8.核剤、例えば4−tert−ブチル安息香酸、アジピン酸
及びジフェニル酢酸。
9.充てん剤及び強化剤、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸
塩、ガラス繊維、石綿、タルク、カオリン、雲母、硫酸
バリウム、金属酸化物及び水酸化物、カーボンブラック
及び黒鉛。
10.その他の添加剤、例えば可塑剤、潤滑剤、乳化剤、
顔料、螢光増白剤、防炎剤、帯電防止剤及び発泡剤。
(実施例) 下記の実施例は単に本発明を説明するためのものであ
り、いかなる方法によっても本発明の内容または範囲を
限定するものとして解釈されることはない。
参考例1 4−第三オクチル−2−ニトロアニリン 冷却器、窒素注入口、撹拌器、温度計及び添加漏斗を
備えた2l反応フラスコに無水塩化亜鉛272g(2.0モル)
を入れる。そのフラスコ中を窒素雰囲気下とし、22℃か
ら40℃に高めた温度で濃塩酸(12N)166ml(2.0モル)
を10分間かけて加える。次いでこれにo−ニトロアニリ
ン276g(2.0モル)を塊の生成を避けるため15分間かけ
て加える。得られた濃厚赤色スラリーを60℃に加熱し、
次いでジイソブチレン474g(3.0モル)を110分間かけ
て、その間の温度を60°から90℃に上げて、除々に加え
る。その深い赤色流状反応混合物を、薄層クロマトグラ
フィーによりo−ニトロアニリンの痕跡量のみが観察さ
れるまで、環流により更に18時間加熱する。
粗生成物の固体を水を用いて2度すり砕き、次いで温
めたトルエン中に溶解する。そのトエン層を下の水層か
ら分離し、次いで無水炭酸カリウムで乾燥する。減圧に
よりトルエンを除いて得られる固体を、エチレングリコ
ールで一度だけ次いで再びヘプタンで再結晶すると標記
生成物が、融点104〜107℃の固体として、77.2g(15.6
%)の収量で得られる。生成物は薄層クロマトグラフィ
ーで唯一のスポットを与える高純度のものである。
参考例2 a.N−アセチル−4−n−ドデシルアニリン 攪拌器及び環流冷却器を備えた1フラスコに、トル
エン138ml中に溶解したp−n−ドデシルアニリン137.5
g(0.525モル)を入れる。これに無水酢酸57.5mlを15分
間かけて加える。温度は40°から80℃へと上昇する。全
ての無水酢酸を加えた後、その反応混合物を40℃で3時
間攪拌する。次いで反応混合物を冷やして得られた粗成
物をエタノール800mlから再結晶すると、標記化合物15
1.1gが融点100〜102℃の固体として得られる。
b.N−アセチル−4−n−ドデシル−2−ニトロアニリ
ン 参考例2aで得られたN−アセチル−4−n−ドデシル
アニリン146gを氷酸酸150mlに溶解して、攪拌器を備え
た2l丸底フラスコに入れる。これに濃硫酸300mlを、温
度を60℃に上げて加える。それから該溶液に、外部冷却
によって反応混合物を55℃に保ちながら、濃硝酸(70
%)66ml及び濃硫酸42mlの溶液を1時間かけて滴下して
加える。発熱が静まった後、その反応混合物を45℃に加
熱し、総反応時間を4時間とする。その反応混合物を4l
の氷上に注ぎ、そして濾過により固体生成物を単離す
る。その粗生成物を石油エーテルから数回再結晶し、融
点71〜73℃の純生成物55.6gを得る。
c.4−n−ドデシル−2−ニトロアニリン 攪拌器及び環流冷却器を備えた1フラスコ中で、N
−アセチル−4−n−ドデシル−2−ニトロアニリン
(参考例2bで製造したもの)61.8g、エタノール320ml及
び40%水酸化カリウム水溶液64mlを環流下で1時間加熱
する。反応混合物を冷却してから、1.5lの水中へ注ぐ。
その粗生成物を濾過により単離し、冷水で繰返し洗浄
し、そしてメタノールから再結晶する。標記生成物が、
融点69〜71℃の固体として収量45gまで単離される。
元素分析値:C18H30N2O2 計算値:C,70.54;H,9.86;N,9.14。
実測値:C,70.5;H,9.7;N,9.1。
参考例3 2,4−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)フェノール この中間体は、p−トルエンスルホン酸モノハイドレ
ート触媒25.7g(0.135モル)の存在下、フェノール705.
8g(7.5モル)とα−メチルスチレン1772.7g(15モル)
の混合物を反応させることにより得られる。この混合物
を窒素雰囲気下、140℃で2.5時間加熱する。その反応混
合物を110℃に冷却し、そしてトルエン1125mlを加え
る。得られた溶液を80℃で、炭酸ナトリウム37.5g及び
塩化ナトリウム75gの水溶液750mlで洗浄した後、有機層
を塩化ナトリウム水溶液1000mlで三度洗浄し;次いで無
水硫酸ナトリウムで乾燥し;濾過し、そして減圧蒸留す
る。標記生成物が、沸点172〜175℃/0.15〜0.18mmHgの
主留分として、1229.8g(理論値の49.6%)の収量で得
られる。該生成物は63〜65℃で溶融する。
参考例4 4−第三オクチル−2−ニトロベンゼン ジアゾニウ
ムクロライド 攪拌器及び温度計を備えた100mlフラスコ中で、4−
第三オクチル−2−ニトロアニリン15.0g(0.06モル)
をトルエン20mlに懸濁させる。これに25℃で濃塩酸17.3
g(0.18モル)を加える。その懸濁液を38℃で1時間攪
拌し、次に水6mlを加える。相当する塩酸塩が粒状沈澱
物として結晶化するにつれて、混合物は濃厚となる。そ
の混合物を0℃に冷却し、そして温度を−5℃ないし−
2℃に保ちながら、水6ml中に溶解した亜硝酸ナトリウ
ム4.3g(0.062モル)を30分間要して加えることにより
ジアゾ化する。その混合物を−2℃で1時間攪拌する。
二層となる。合併層は所望のジアゾニウムクロライドを
含み、そしてそのままで使用される。
参考例5 4−第三オクチル−2−ニトロ−2′−ヒドロキシ−
3′,5′−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)アゾベン
ゼン 500mlフラスコ中で、水酸化ナトリウムのペレット13.
6g(0.34モル)をメタノール165mlに溶解する。これ
に、2,4−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)フェノー
ル16.5g(0.05モル)及びトルエン20mlを加える。得ら
れた溶液を0℃に冷却する。温度を0℃に保ちながら、
実施例4で製造したジアゾニウムクロライド溶液(0.06
モル)を6時間かけて加える。ヘプタン(20ml)を加え
て移動度をより良くする。2時間攪拌した後、酢酸15ml
を加えて反応混合物のpHを9にする。
層を分離するために水を加える。生成物がある有機上
層をヘプタンで希釈し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥し、そして減圧留去することにより定量的収率
で標記化合物が得られる。
実施例6 5−第三オクチル−2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ジ
−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベン
ゾトリアゾール 攪拌器、温度計、環流冷却器及び窒素ガス注入口を備
えた300ml三ツ首フラスコに、実施例5のo−ニトロア
ゾベンゼン中間体31g(0.05モル)及びトルエン100mlを
入れる。生じた溶液にイソプロパノール15ml及び水15ml
を加える。窒素雰囲気下において、50%水酸化ナトリウ
ム水溶液8g(0.1モル)を加える。亜鉛11.6g(0.177グ
ラム原子)を入れたフラスコをグーチゴムチューブによ
り反応フラスコに連結し、亜鉛粉末を基本的には15分間
隔で8等分したものを分配して反応混合物に加える。全
ての亜鉛を加えた後、その反応混合物を47℃で一夜攪拌
し、その後2時間、環流温度に加熱する。次いで反応混
合物を45℃に冷却し、そして50%硫酸水50gで酸性にす
る。
亜鉛スラッジを濾過により除去する。生成物は有機層
に含まれており、該層を70%硫酸20mlで3回、そして88
%蟻酸20mlで4回、水で、食塩水で洗浄してから無水硫
酸ナトリウムで乾燥する。トルエン溶液を30gに濃縮
し、次いでイソプロパノール85mlで希釈する。標記生成
物が、融点140〜142℃の白色固体として13.6g(48.6
%)の収量で得られる。
元素分析値:C38H45N3O 理論値:C,81.53;H,8.10;N,7.51。
実測値:C,81.6;H,7.8;N,7.4。
参考例7 4−n−ドデシル−2−ニトロベンゼン ジアゾニウ
ムクロライド 4−第三オクチル−2−ニトロアニリンを当量の4−
n−ドデシル−2−ニトロアニリンに換えて、参考例4
の一般的製法に従えば、標記のジアゾニウムクロライド
溶液が得られる。
4−n−ドデシル−2−ニトロアニリンは実施例1又
は2と同様にして調整できる。
参考例8〜14 o−ニトロアゾベンゼン中間体 実施例6の一般的製法を用いて、適当なジアゾニウム
クロライド溶液と、例えば参考例3と同様にして調整さ
れる適当なフェノールとを選択することにより、以下の
o−ニトロアゾベンゼン中間体が得られる。
実施例15 5−n−ドデシル−2−〔2−ヒドロキシ−3,5−
(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾ
トリアゾール 参考例6の一般的製法及び実施例11のo−ニトロアゾ
ベンゼン中間体を用いて、標記生成物が非結晶固体とし
て72%の収率で得られる。
元素分析値:C42H53N3O 理論値:C,81.90;H,8.68;N,6.82。
実測値:C,82.0;H,9.0;N,6.5。
参考例16〜21 実施例6の一般的製法及び参考例8〜10及び12〜14の
適当なo−ニトロベンゼン中間体を用いて以下の2H−ベ
ンゾトリアゾールを製造する。
実施例22 ベンゾトリアゾール安定剤の耐損失性 安定剤の50重量%損失に至る時間(分)を指示させる
ため、窒素ガス流量100ml/分、共に280℃の等温にて、
並びに安定剤の10及び50重量%損失が観察される温度を
確かめるため、10℃/分の加熱速度による走査モード
で、若干数の2−アリール−2H−ベンゾトリアゾール光
安定剤を熱重量分析にかける。
実験データを下表に示す。
これらの結果は、示された安定剤のシート、フィル
ム、繊維又は他の加工膜を製造中のポリマー配合材の加
工工程における滲出又は揮発に対する耐性と密接に関係
している。
加工設備(即ち、ローラ、ガイド、オリフィス及び同
様の設備)上に、滲出した又は揮発した安定剤が存在し
ないこと又は実質的に存在しないことは、連続的に操作
される加工設備の操業停止が求められるまでの時間を有
意に増加させそして特定の安定剤の使用に関連して莫大
な実際上の及び経済上の節約があることを表している。
実施例6及び15のベンゾトリアゾール類は、従来技術
のベンゾトリアゾールよりも、熱重量損失に対し非常に
耐性を示す。このことは、本発明のトリアゾール類は従
来技術のベンゾトリアゾール類と比較して、昇華と滲出
に対し優れた耐性を示すことを意味する。
安定化されたポリマー組成物中に配合された本発明化
合物は、加工中においても優れた易加工性を与えなが
ら、連続光誘導劣化に対しより大きな保護を伴って最終
のポリマー薄膜と結合してそこに残存する。
実施例23 340nmにおける光吸収 本発明の化合物は、5位にアルキル基のない従来の化
合物F(実施例22の表の脚注を参照)と比較した、モル
吸光係数Eの測定から判るように、340nmにおいて、予
期できない吸光度の増強を示す。化合物 モル吸光係数E 化合物F 15,100 実施例6の化合物 18,200 実施例24 メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、ブチルアクリレート及びスチレンから製造された
コポリマー70重量部、及び架橋剤としてヘキサキス メ
トキシメチル メラミン30重量部、及びp−トルエンス
ルホン酸0.1重量部からなるハイソリッド熱硬化性アク
リルエナメルに、実施例6の化合物2重量部を配合す
る。次いでその得られた透明エナメルを、シルバーメタ
リック塗料で下塗りした鋼製パネル上に、クリヤーコー
トとして噴霧する。比較の目的で、安定化剤を入れない
1個のサンプルを製作した。
硬化した後のパネルを、フロリダ州の野外に12ケ月間
さらす。そして光沢の保持率を測定する。安定化剤 最初の光沢の保持率(%) 安定化剤なし 24 実施例6の化合物 82

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次式I 〔式中、 T1は炭素原子数8ないし18のアルキル基を表わし、 T2及びT3は独立して次式II (式中、E1及びE2は独立して炭素原子数1ないし4のア
    ルキル基を表わし、 そしてE3は水素原子を表わす)で表わされる基を表わ
    し、そして T4は水素原子を表わす〕で表わされる化合物。
  2. 【請求項2】前記式Iにおいて、T1が炭素原子数8ない
    し12のアルキル基である特許請求の範囲第1項記載の化
    合物。
  3. 【請求項3】前記式Iにおいて、T2及びT3がα,α−ジ
    メチルベンジル基を表わす特許請求の範囲第1項記載の
    化合物。
  4. 【請求項4】5−第三オクチル−2−〔2−ヒドロキシ
    −3,5−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕
    −2H−ベンゾトリアゾールである特許請求の範囲第1項
    記載の化合物。
  5. 【請求項5】5−n−ドデシル−2−〔2−ヒドロキシ
    −3,5−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕
    −2H−ベンゾトリアゾールである特許請求の範囲第1項
    記載の化合物。
  6. 【請求項6】次式I 〔式中、 T1は炭素原子数8ないし18のアルキル基を表わし、 T2及びT3は独立して次式II (式中、E1及びE2は独立して炭素原子数1ないし4のア
    ルキル基を表わし、 そしてE3は水素原子を表わす)で表わされる基を表わ
    し、そして T4は水素原子を表わす〕で表わされる化合物からなる有
    機高分子のための光安定剤。
  7. 【請求項7】有機高分子がアミノプラストである特許請
    求の範囲第6項記載の光安定剤。
  8. 【請求項8】アミノプラストが熱硬化性アクリル樹脂で
    ある特許請求の範囲第7項記載の光安定剤。
  9. 【請求項9】5−第三−オクチル−2−〔2−ヒドロキ
    シ−3,5−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)フェニ
    ル〕−2H−ベンゾトリアゾールからなる特許請求の範囲
    第6項記載の光安定剤。
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